結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年08月27日(土曜日)

「脱小沢vs寄小沢」の対立構造鮮明化、ニューヨークにはアイリーン到来、日本の株価・営業は「西高東低」

前原誠司vs海江田万里。
反小沢vs親小沢、
あるいは脱小沢vs寄小沢?
今日告示の民主党代表選挙。
構図ははっきりしてきた。

良いか悪いか、
国会のため、国民のためには、
たぶん良いとは断定できないけれど。

日経新聞の「きょうのことば」が面白い。
「民主党グループ」を説明している。

「有力議員を中心とした集まり」で、
「最大勢力は約130人とされる小沢一郎元代表のグループ。
約50人の前原誠司前外相、菅直人首相のグループがそれに次ぐ規模」

「民主党グループは自民党の派閥のような結びつきは薄く、締め付けも緩いため、
大学の『サークル』にたとえられる」

大学サークルもいまや一人が最低3つくらいに属している。
民主党も複数のグループに参加する議員が多い。

だから「代表選では掛け持ち議員の奪い合い」が始まる。
それが極まるのが、今日明日、そして明後日早朝まで。

しかし、菅直人首相の退任は、
あんなにゆっくりしていたのに、
重要な次の首相の選任は、
こんなに急ぐ。

なんだか、まったく逆じゃないか?

世の中、逆のことって、
結構、多いけれど。

社員が現場で働かず、
役員が日々の業務に勤しむふりをする。
社員が会社の将来を無責任に語り、
役員は目の前の利益にあくせくする。

これ、歴史があるけれど、
体質が古い会社の典型的な構図。

そんな会社の役員になったら、
「最悪を覚悟して、
最善を尽くせ」

いつもこの心構えしかない。

そして少なくとも、
将来のビジョンや本来の理念を、
説き続けるリーダーであってほしい。

そのビジョンや理念が欠落していれば、
話にはならないけれど。

万が一、そんなことが起こっているとすれば、
いつでもご相談に乗る用意はある。

さてニューヨークには、
アイリーンがやってくる。

大西洋を北上中のハリケーン。
今夜あたりから、米北東部一帯を直撃する恐れが高まる。
7州が「非常事態宣言」
ニューヨーク市ブルームバーグ市長は住民約30万人に対して、
史上初めて強制避難命令を出した。

地下鉄・バスの運行は全面停止される。

沿岸部の200人以上にも避難命令が出された。

アイリーンの規模は「カテゴリー2」
5段階の下から2番目。
2005年の「カトリーナ」はカテゴリー3で、
約1800人が死亡。
しかしカトリーナはミシシッピ川沿岸の中南部だった。

アイリーンは人口密集地の北東部。

バラク・オバマ大統領は、
「歴史的な暴風雨となる」と警告を発し、
米軍は10万人態勢での出動を指令した。

さて、これも日経新聞の「まちかど」。
タイトルは、「『西高東低』に裏付け」

ただしここでいう「西高東低」は株式市場の株価の話。
「関西私鉄大手の京阪電と近鉄は今週、年初来高値を更新、
関東大手の東武や京成に差をつけている」

さらに百貨店も、
「近鉄百の株価も堅調で、日経平均が直近高値をつけた」
「騰落率は松屋や三越伊勢丹を上回る」

数字の裏付けがある。
「7月の百貨店売上高は、
マイナスだった東京に対して
大阪はプラス」

「6月の鉱工業生産指数も関西が関東を上回る」

一昨日から昨日まで、その関西に出張。
梅田駅上の三越伊勢丹は、
12階フロアの飲食店はごった返していたが、
それ以外の物販フロアは「買われていない」。

人は集まるが、買い物はしない。
この傾向。

しかしそれでも、全体でみると、
関東よりもいいようだ。

大阪のおばちゃんの言う「見てきた⤴?」
これ。

それでも、なんというか、関西は元気。
高速道路も混んでいた。

関西の積乱雲は、元気に見えた。
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入道雲は、まだまだ盛り。
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「脱小沢vs寄小沢」の対立構造鮮明化、
ニューヨークにはアイリーンが到来、
日本の株価・営業は「西高東低」

関東よりも、盛り上がっている。
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昨日は朝から豊中の㈱阪食本部へ。
松元努常務(私の右)と志水孝行さん(左)と、
来年の研修会の打ち合わせのあと「疋田」で食事。
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千野和利社長も登場くださって、
熱い熱いミッションを語り合った。

千野さんや松元さん、志水さんと会って話していると、
「西高東低」も理解できるような気がする。

<結城義晴>

2011年08月26日(金曜日)

滋賀県彦根の「平和堂ビバシティ」でアメリカ視察研修会事前ガイダンス講義

菅直人首相が正式に退陣を表明し、
各紙で菅政権の総括が行われている。
すべてが皮肉たっぷり。

一方、それを受けて、
27日(土曜日)に公示し、
29日(月曜日)に投開票される、
拙速な民主党代表選。

前原誠司氏の出馬表明で、
やっと対立軸が見えてきた。
ただしそれでも、この軸は、
「小沢一郎」という人間に近いか遠いか。

今週末のテレビ・新聞は、
これまたお祭り騒ぎ。

候補者全員そろった討論会など、各局が企画して、
視聴率争いを展開するに違いない。

自民党・谷垣禎一総裁が何とわめこうとも、
こちらは蚊帳の外。

あれだけ、こぞって「菅降ろし」をしたのだから、
ここは実のある日本国首相を選んでもらいたい。

さて、福島原発事故によるセシウム汚染で出荷停止されていた牛肉。
岩手、福島、栃木産が政府によって解除され、
出荷停止は全面的になくなった。

それでも風評被害で、
牛肉は、売れない。

毎日新聞では関西スーパーマーケットを取り上げた。
同社は、「宮崎など自社グループ牧場で飼育した牛肉だけを売っている」

「にもかかわらず、今夏の国産和牛の売上げは、
昨年比で数%落ちた」

出荷停止が解除されても、
風評被害から解放されるのは、
時間がかかる。

小売業も独自に検査して、
この風評被害に立ち向かう。

静岡県知事の川勝平太さんの言葉を引こう。
静岡文化芸術大学学長から転身した学究知事。

「無知は恐怖の源です」

そして風評被害には、
知識と情報で対抗する。

これ以外にない。

昨日の25日、滋賀県南彦根の平和堂ビバシティへ。
平和堂本社に隣接する大型ショッピングセンター。
その2階のビバホールで、
アメリカツアーのガイダンス講義。
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この6月に第一斑の総勢50名とともに
アメリカのダラス、サンフランシスコの流通視察を行った。

この9月には、第二班の視察を実施する。
だからこの日は、一斑・二班の計103名が集まり、
一斑の視察報告会と、二班に向けた視察ガイダンス。

夏原平和社長、古川幸一専務も同席して、
朝9時からスタート。
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はじめに、第一斑団長の村上茂人さんが、
二つの目標を示した。
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一斑には、持続的なイノベーションと、
自分自身の行動を要請、
二班には、見て、聞いて、感じて、体験してほしいということ。

第一班の団長として、
平和堂取締役教育人事部長として、
村上さんの開講の挨拶は、
とてもよかった。

その後、6月の参加者が8グループに分かれて
15分ずつ視察報告を行った。
各チームとも、視察店を分析し、
そこから学んだこと、
自らの業務に取り入れ実行していること、
さらに会社への提案などを発表。
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ともに参加したほかのチームも、
この秋に参加するメンバーも、
真剣に耳を傾けた。
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私は、この連続的・継続的な研修が、
必ず成果をもたらすと考えている。
各チームの報告を聞き、
それぞれに講評するのが私の役目。
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各チームの報告に、
私は想像以上の満足を感じた。

8チームが発表を終え、全体講評を行う。

チェーンストアは分業のシステムだ。
だから本部・商品部と店舗が一体となって、
学んだこと、提案したことを、
実行しなければならない。

その結果、イノベーションが起こる。

私の主張は変わらない。
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午前の部の最後は、夏原社長の総評。
夏原さんご自身が、
アメリカに学ぶ姿勢を強く持つ。
アメリカに学んだ経験も豊富だ。

したがって、きわめて実践的で、役立つ総評となった。
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かつて、呉服のやまとや鈴乃屋もアメリカに学んだ。
アメリカでは呉服を着る習慣はもちろんないし、
呉服のチェーンストアも存在しない。

しかし彼らはアメリカに真摯に学んで、
見事なチェーンストアをつくった。

そんな学び方をしてほしい。
それが夏原さんの言わんとすること。

夏原さんも故渥美俊一先生に師事した。
その意味では私も同窓の後輩。

私たち二人の考えは、
その意味で一致している。

昼食をはさんで、午後は、
第二班秋の参加者に向けたガイダンス講義。
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平和堂は理念の企業である。
近江商人の三方よし。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」
この考え方に基づいた経営を貫いてきた。

さらに故成瀬義一先生の教えを大切にする。
「商人よ、正人たれ」

成瀬先生は倉本長治商業界主幹の愛弟子。
「損得より先に善悪を考えよう」

そして写真の白板に書いてある言葉。
「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」

アメリカのウォルマートやウェグマンズのミッションは、
倉本長治や成瀬義一と一致している。

アメリカ視察研修のガイダンス講義は、
そこから始まる。
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最後は、「企業の目的」。
ご存知ピーター・ドラッカー先生の『マネジメント』より。
「企業の目的として有効な定義はひとつしかない。
すなわち顧客の創造である」

「従って企業は二つの、そして二つだけの基本的機能を持つ。
それがマーケティングとイノベーションである。
マーケティングとイノベーションだけが、
企業に成果をもたらす」

もう一つ、「Integrity」。
これもドラッカー先生。
「マネージャーとして、はじめから、
身に着けていなければならない資質が、
ひとつだけある。
才能ではない。
真摯さである」

この考え方を徹底しつつ、
アメリカから多くのことを学び、
イノベーションを起こしたい。

最後に第一斑と第二班の団長、副団長のみなさんと写真。
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左から村上さん、
私の隣が第二班団長の常務取締役経営企画本部長の平松正嗣さん、
第二班副団長の販売促進部部長の杉崎邦彦さん。

朝日新聞の「経済気象台」で、
「購買力平価」(こうばいりょくへいか)が取り上げられた。
PPPと略されるが、Purchasing Power Parity Theory。

外国為替レートの決定要因を、
実勢価格で説明する概念。

自国通貨と外国通貨の購買力の比率によって試算した為替レート。

1921年にスウェーデンの経済学者グスタフ・カッセルが発表。

テキストやこのブログでも、
私は米国での為替レートを1ドル100円にしているが、
いつも講義で言う。
「120円くらいが妥当だと思う」。

それはこの購買力平価に沿っている。

経済気象台では、トヨタ自動車のカムリを例に出した。
現在米国内での最低小売希望価格は、2100ドル。
日本では250万円。
これを割り算すると、1ドル119円となる。

私の実勢為替レート。
トヨタ・カムリでちょうど良い。

事前ガイダンスが終わって、
いよいよ始まった。

秋への始動。

暑い暑い日だったが、
私の気分は爽快だった。

皆さんも、爽快な週末を。

<結城義晴>

2011年08月25日(木曜日)

「一生懸命負けるなよ」西鉄ライオンズ・三原脩監督の言葉が意味する「精神のペース配分」

昨夕、東京駅を発って、
秋に近づいた空を見ながら名古屋へ。
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駅の上のマリオットアソシエ名古屋。
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大阪も、京都も、そして名古屋も、
駅の上などに大型ホテルができて、
さらに百貨店をはじめとする大型商業集積が並び、
街の中心がステーションになってきた。

かつての繁華街がさびれる。
名古屋の栄地区など、夜の9時を過ぎると、
閑散としている。

これは横浜が一番早かった。

青江三奈の歌で有名な桜木町など、
とうの昔に廃れてしまい、
横浜駅周辺がにぎわう。

かつての国鉄、現在のJRが中核となって、
そこに私鉄ターミナルが重なる。

もともと人が通過するポイントに、
商業や宿泊の大型施設ができると、
人は集まる。

人間は他が集まるところに、
群れる。

人間に限らない。
生物は群れる。

これが特徴。

世界中、都市化現象が顕著だ。
それが現時点の最大の特徴だが、
久しぶりに名古屋に宿泊して、
そんなことを思った。

さて、今朝の日経新聞スポーツ欄のコラム。
豊田泰光の「チェンジ・アップ」。

タイトルは「精神のペース配分」。
「ヤクルトに引き離された巨人や阪神、中日の逆転優勝はあるか」

問題提起よりも、豊田自身の経験談がいい。
1958年、私は6歳だったが、
わが西鉄ライオンズが、
南海ホークスに球宴前につけられた10.5ゲームという差を、
ひっくり返した。

豊田は「問題はここまでの消耗度だ」と分析する。

「58年の我々に逆転の成算があったわけではない」
「ただ、余力はあった」

「超合理主義者」だった当時の三原脩監督。
無駄な労力を使わない人だった。

その口癖。
「一生懸命負けるなよ」
「一生懸命にやったあげく、負けるのが一番よくない、
風向きが悪いとみたときにはさっさと引きなさい」

豊田は分析する。
「不毛な消耗を強いられた戦争体験が影響していた」

「そうした方針の下で、我々はジタバタせず、
自分たちの時が来るのを待つことができた」

不毛な消耗は、
フィジカルよりも、
メンタルに効く。

「肉体的には持つかもしれないが、
問題は精神のスタミナ」

「こちらは人それぞれ、
年間の持ち分が大体決まっていて、
常時百パーセント集中、
というわけにはいかない」

豊田は結論づける。
「三原式の割り切りが、
精神面のペース配分に必要だ」

ペース配分のためには、
「割り切り」が必須。
これは「トレード・オフ」の考え方。
トレード・オフも必要なコンセプトだ。

この話で思いついたのが、
島田紳助の人生のペース配分。

誰しもずっと走り続けていたら、
精神のペース配分ができない。
それが今回の事件の真相かもしれない。

企業や組織では、
自分のことはまだ自己責任でいいかもしれないが、
上司は部下の精神のペース配分を、
ケアしてやらねばならない。

麻原彰晃のように、
常に「ステージを上げろ」と強いてばかりでは、
組織は持たない。

自己の精神のペース配分に関しては、
私自身、以て自戒とすべし、と心得ているつもり。

「のんびりゆこうよ♪」

かまやつひろしの歌声が聴こえてくる。

昨日の会議で考えたこと。
チェーンストアは現場が、
何よりも「商売」をしなければならない。

店舗現場は商売することに、
ひたすら徹する。

本部やスタッフは、
そのことのお膳立てをし、
サポートをする。

それが全体の仕組みとなっている。
こういったことをシステムと呼ぶ。

システムにとっても、
店舗現場にとっても、
「精神のペース配分」は不可欠である。

夏の終わりの今頃、
お盆商戦が終了して、
夏休み休暇も残りわずかのお客様。

「のんびりゆこう♪
のんびりゆこう♪」

「ペース配分」は、組織全体に、
秋の疾走をもたらしてくれる。

<結城義晴>

2011年08月24日(水曜日)

百貨店・総合スーパー・スーパーマーケット・コンビニの7月販売統計と「一人は万人のために、万人は一人のために」

島田紳助が去り、
前原誠司が表舞台に。

夏の終わりには、
何かしら事件が起こる。

さらりと受け流して、
秋に目を向けよう。

さて、うれしいことがありました。

今春卒業した立教大学大学院生の渋木克久さん。
結城ゼミのゼミ長だったが、
その渋木さんの修士論文が、
吉野家ホールディングス『CSR報告書 2011』に、
掲載された。
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渋木さんの論文は外食産業の海外投資をテーマにしたものだが、
吉野家の田中常泰専務がインタビューに応じてくれた。

渋木さんも渾身の力を込めたすぐれた論文となり、
もちろん出来上がった作品は吉野家にお送りした。

それが「学生の企業研究活動のサポート」という項目で、
『CSR報告書』に写真入りで掲載されたわけ。

CSRとはCorporate Social Responsibilityの頭文字をとったもので、
「企業の社会的責任」を示す。

それを報告書として毎年発表する。

吉野家HDはこのあたりしっかりした会社で、
上質のCSR報告書となっている。
(ダウンロードして中身もご覧いただきたい)

渋木さんも大喜びだが、
私も指導教授として、これ以上にない誇りと感激。

さて、百貨店からコンビニまでの7月の実績報告。

まず全国百貨店の7月の売上高概況。
日本百貨店協会が発表。

総売上高は6006億6333万円。
2カ月ぶりの前年同月比マイナスだが、
そのマイナスも0.1%。
ほぼ前年並みといえる。

7月は意外なことに、
宝飾品や特選衣料雑貨などの高額商材の動きがよかった。
身のまわり品はプラス3.8%、
美術・宝飾・貴金属プラス5.3%と好調だった。
これは震災の影響が少しずつ薄らいできて、
消費マインドが回復してきたことが要因。

次に、7月のコンビニの販売統計調査。
日本フランチャイズチェーン協会発表。

既存店ベースの売上高は7454億1100万円で、
前年同月比は、こちらはプラス9.5%。
これで9カ月連続プラスを記録して、
ちと古いが中畑清張りに「絶好調」。

来店客数プラス2.4%、
客単価プラス6.9%。

さらには商品別売上高の前年同月比が、
日配プラス7.1%、
加工食品プラス0.7%、
非食品プラス26.1%、
サービスがプラス14.3%と、
すべての項目でプラスを達成。

冷やし麺や飲料などの夏物商材が売れたが、
非食品が26%も伸びているところに注目しておきたい。

コンビニの社会的機能が、
広がりつつある。

そして、日本チェーンストア協会の販売統計
加盟するのは総合スーパー9社を中心に、
スーパーマーケットやニトリ、ダイソーといった企業60社。

総売上高は1兆1226億8741万円。
前年同月比プラス2.1%で、
2カ月連続で伸びた。

住関連商品の中でも特に
「家具・インテリア」の売れ行きが好調で、
プラス10.9%だった。
ここにはニトリの数字が貢献している。

さらにアナログ放送が7月24日に終了し、
地上デジタル放送へ完全移行したことに伴い、
薄型テレビやレコーダー、チューナーなどの
駆け込み需要も大きかった。

最後に、スーパーマーケット3団体発表
7月の販売統計。

総売上高は堅調な伸びを見せた。
既存店ベースで8709億4400万円で、
前年同月比プラス1.7%。

4月以降、ずっと前年同月比を割っていたので、
久しぶりの好調な数字。

新日本スーパーマーケット協会副会長の増井徳太郎さんも嬉しそう。
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数値を細かく見ていと、
食品の合計が7324億5247万円でプラス1.4%。

青果は相場高の影響があり、
1063億7582万円で、プラス1.1%。

水産は全体的な水揚げ高の不足に加え、
関東では、天候の影響で「土用の丑」のうなぎ販売が不調だった。
売上高は757億6634万円、マイナス1.3%。

畜産は810億2010万円で、プラス0.6%。
牛肉の放射線汚染問題があったにも関わらず、
プラスを維持できている。

なぜか。

「牛肉の売上げが20~30%下がったからといって、
売上げが水産品へは流れていかない。
鶏や豚、輸入牛の売上げが増加する。
つまり、日本人に『肉中心の食生活』が定着している」(増井さん)からだ。

畜牛農家やそれにかかわる産業医は大きな痛手だが、
スーパーマーケットでは代替商品が売れていく。
それが輸入牛肉、豚肉、鶏肉。
惣菜は763億8607万円のプラス3.1%で、
今月も好調。

日配品は1600億6683万円で、プラス2.0%、
一般食品は2328億3670万円で、プラス1.7%。

最後に、非食品が930億8941万円のプラス1.9%、
その他が476億8202万円でプラス1.3%だった。

今月のゲストスピーカーは
日本生活協同組合連合会の青竹豊執行役員
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生協とは、
「組合員が出資して、
自分たちの生活をよりよくするために
必要な事業を行うことを目的とする」組織。

つまり「売る機関」ではなく「買う組織」だ。
日本では、地域生協や大学生協が有名だが、
今日では、地域生協の宅配事業が、
もっとも大きなウエイトを占めている。

「この宅配事業が震災後、大きな役割を果たしている。
震災後、近隣のスーパーマーケットがなくなってしまった地域がある。
そんなところでは買物難民や高齢者の宅配利用が増えている

「宅配事業で使用されるトラックも大いに役立った。
トラックを改造し、移動販売ができるようにしたのだ。
この移動販売へのニーズは今、非常に高い」

「例年、8月は宅配事業が不調となる傾向があるが、
今年は内食需要の高まりによって、
好調をキープしている」

「被災地域にあるみやぎ生協は、
県民の約70%が生協に加入している。
さらに宮城県との災害協定を結んでいたため、
震災直後の支援物資を非常にスムーズに
避難所へ届けることができた」

日本生協連では、
今後は放射線問題などに関する学習会を
積極的に開催していく。

私は、震災や原発問題が起こった時こそ、
生協の出番であると考えている。

「一人は万人のために、万人は一人のために」
協同・助け合いの理念は生協の根底にあるものだが、
それはすべての商業・小売業、サービス業も、
共有しなければならないものだ。

理念だけ声高で、
実行が伴わないのが、
一番いけない。

<結城義晴>

2011年08月23日(火曜日)

「公平と不公平」のオクシモロンの問題解決を果たすのは「機縁」と糸井重里は言った!

残暑が残るというものの、
一雨ごとに秋がやってくる気がする。
昨日は横浜の商人舎オフィスで、
窓を開け放って仕事した。

蝉の声が耳をつんざくほどに響いたが、
不思議なもので、しばらくしたら、慣れる。

私は、40代の終わりからメニエル氏病で、
いつも、耳がシンシンと鳴っているから、
蝉の声はそれを掻き消してくれて、
むしろ快適ささえ感じる。

ちょっと自虐的ではあるが、
そんな短い、季節の隙間。

残暑 お見舞い申し上げたい。

さて昨日は夕方に、
㈱イースト・プレス書籍1部の中西庸(よう)さん来社。
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ご存知『店ドラ』の担当編集者。
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』
お陰様で、書店でも売れ行き好調です。
「ドラッカー・コーナー」におかれるといいのだけれど、
どうしても小売り・サービス、販売・営業などの書籍売り場に並ぶ。

それでも、読者は見つけて買ってくれるそうだ。
ありがたいことです。

もっともっと、アピールして、
この本の値打ちを広めたい。

ふたりして、そう、誓い合った。

中西さんは、最近担当した『論語』など、
新刊本を持ってきてくれて、そのうえで情報交換。

来年の春に向けて、
新しい本の執筆に取り組むことにした。
楽しみにしてください。

さて、「ほぼ日」。
糸井重里さんが主宰するサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」

考えてみると、「もしドラ」にしろ「店ドラ」にしろ、
「ほぼ日」にしろ、つづめて表現するのが心地よい。
そんな語感の時代に入っている。

[毎日更新宣言]はさしずめ「マイ宣」」だろうか。
その「ほぼ日」の巻頭言は、
「今日のダーリン」とタイトルされている。

昨日の巻頭言は良かった。

糸井さんは今年、ずいぶんと、
「公平・不公平」について考えた。

「なんでも公平であるべきだ‥‥よく言われます。
不公平はよくない‥‥正しいのだと思います」

「ただ、ほんとうに悩ましいのは、
原理主義的に公平を実現しようとすると、
どんどん減っていってしまうものがあるということです」

これが問題意識。

鋭い。

被災地に送られた救援物資、支援物資の話。
「公平に配れないから、配らない」

「50人の人がほしいものが、35しかなかったら、
それは配るわけにはいきません」

こんなことが、「きっとあちこちであったでしょう」

糸井さんは言う。
「あなたが『配る立場』になったときに、
どうするだろうか、ということも考える必要がある」

そこで、論理は展開する。
「35人の人をよろこばせることと、
15人の方々の不満について『なんとかする』ことと、
両方ができるような方法があるか‥‥というわけです」

これが私の強調する「オクシモロン」
オクシとは鋭い、賢いという意味のギリシャ語、
モロンは鈍い、愚かだとう意味。
それらを合わせて、オクシモロン。

「創造的破壊」「ヘタウマ」など、
現代の問題解決のカギを握る考え方。

糸井さんは再び語る。
「『配らない』と思考停止するのではなく、
15人の人がよろこべる方法は、ないものだろうか?
そういう考え方が求められているんだと思うのです」

最初からの思考停止が一番よくない。
ただし、「ほんとうは『公平』とか『平等』って、
神様仏様にも出来てないことなんですよね」

そこで糸井さん、結論に近づく。
「そういうことについて『機縁』ということばで、
説明した坊さんがいました」

「ある命を救うことができた『縁』もあるし、
ある命を奪うことになった『縁』もある‥‥」

「できないことを追いかける」のではなく、
じぶんのその立場で目の前の「できることを、する」

これは、東日本大震災の時の、
ヨークベニマル物江信弘店長と全く一緒の心境。
「自分にとって今、できることは何か。
お客様のために今、できることは何か。
それだけを考えていた」

オクシモロンの問題解決のひとつが、
「機縁」。

大きな収穫。

そういえば、㈱カスミ会長の小濵裕正さんが言っていた。
「バイヤーは100店全店に並べる商品ばかり追いかけて、
100店のロットに至らないものは視野に入らない。
チェーンオペレーションの行き過ぎた弊害です」

「公平」と「顧客の喜び」「店の役割」。

オクシモロンと「機縁」で解決の方向が見えた。

さて日経新聞「消費欄」。
「店内に設けたベーカリーで販売する『焼きたてパン』の人気が高まっている」
つまり「インストアベーカリー」の人気が上昇しているという記事。

それは東日本大震災の影響。

製パンメーカーは、原材料価格高騰で値上げに踏み切った。
しかしスーパーマーケットはほとんどの企業が価格を維持した。
さらに震災直後も、品切れはなかった。
「頼りになった」
いなげや練馬上石神井南店を訪れた50代の主婦の言。

いなげやでは震災以降、5月まで、
インストアベーカリーの売上げが2割増。
6月以降も2~3%の伸び。
一方、メーカー品は前年割れが続く。

現在、メーカーの食パンの価格帯は、
特売にかけられることもあって150円程度。
スーパーマーケットの「焼きたての食パンは250円程度」

価格差はある。

しかし、ブランドスイッチが起こりつつある。

サミットは全99店のうち、51店にベーカリーを導入。
7月の売上げは前年比5%増。

ヤオコーも震災前までは前年割れだったが、
「足元は前年実績を上回っている」

スーパーマーケットのインストアベーカリー。
震災と製パンメーカーの値上げが、
追い風になって、やっと利益が出る体質がつくれるか。

これまで確かなニーズはあった。
しかし営業利益が出なかった。

それが売れてきた。
売れれば売れるほど、
ロスは減るし、
コスト率は下がる。
少しだけ安くも売れる。


そして利益が出る。

オクシモロンの問題解決に悩んでいたインストアベーカリー。
チャンス到来。

震災が機縁をもたらしたかもしれない。

頑張れ、インストアベーカリー。
ナンバ君も。

<結城義晴>

2011年08月22日(月曜日)

中部大学・武田邦彦教授の持論「衰退する業界・企業の4つの特徴」に共感!

Everybody! Good Monday!
[vol34]

2011年第34週、8月第4週。
㈱商人舎、夏季休暇が終わり、
今日から全力疾走で、営業再開。

お待たせしました。
よろしくお願いします。

さて、一般的にみれば、
生徒・児童の夏休みも10日を切った。
いよいよ、子供たちは宿題の追い込み時期。

この週末は、涼しくて、9月の到来を予感させた。
人気ブログ[常盤勝美の2週間天気予報]では、
「19日(金)頃から秋雨前線が日本列島南岸付近に停滞」
「東日本を中心に、気温が平年をかなり下回った」

「週後半は全般に平年並みに戻る」

そして来週は、まだまだ「残暑」。
残暑お見舞い申し上げる

今朝の朝日歌壇より四句。

玉のやうな第一週よ夏休み
[東京都・井原三郎]

これで始まった。

日めくりを数枚忘る暑さかな

[可児市・金子嘉幸]

さらに、祭りでは。
古老来て草書のやうに踊るなり
[名古屋市・可知豊親]

そしてこうなった。
とんぼうの肩に止まりて山近し
[姫路市・田中明美]

今週のトレンドは、
お盆の「祭りのあと」のだらだら消費、
しかしそれでも、
子供たちの夏休みの終わりごろ。

そんな気分で生活が営まれる。
この暮らしの基本トーンを知っておきたい。

さて、日経MJ の『底流を読む』。
編集委員の田中陽さんが、
「不毛の価格競争 再考の時」と題して提言。

田中さんはいつも、鋭い切り口で、
ズバリズバリと言を呈する。

「直近の四半期や半期決算の蓋を開けたら、
好業績の数字が並んでいる」

山崎製パンの飯島延浩社長は、
「事業内容を一変させた」
セブン&アイ・ホールディングス村田紀敏社長は、
「消費は強い」。

それもあろう。
しかし、田中さんは言う。
「理由は簡単だ」

「供給量が絞られ、
特売を打たなくても商品が売れたからだ」

その通り。

学習院大学の上田隆穂教授。
「これまでは意味のない値下げが目立った」
これも、おっしゃる通り。

そして田中さんの問題提起。
「供給体制が回復して
再び価格競争を招くのか」

「小売業は反射的に
価格引き下げのアクセルを
踏んでしまうのか」

私は、4月21日のこのブログで書いた。
「震災特需と商人の品格」

「震災特需」
それがあった業態と地域。
それがなかった業態と地域。

鮮明に浮かび上がった。

そこで、「特需」を受けた企業群は、
どう行動するか。

もちろんこれは、
「未来の自分の売上げの先食い」
という側面もある。

ただし3月にはすべての企業が、
特売を控えた。

すなわち定価で販売し、
これだけの売上げ増だった。
粗利益は上がっただろうし、
営業利益も出たはず。

今日は、はっきりと言っておこう。

被災した企業や地域は、
壮絶だ。

「震災特需」の利益。
いかに使うかが、
商人の品格である。

本当の志が、わかる。

ディスカウントを社是のようにする企業は、
ずっとそれを貫いた。
しかも円高は進む。

だから値下げをすることは、
企業の存在価値だ。
ニトリ、オーケー、大黒天物産、
エトセトラ、エトセトラ。

しかし小売業がすべて、
安売り大会に参加するのは、
いかがなものか。

それが田中さんの指摘だと思う。

8月のうちは夏休みだらだら消費。
9月に入って、どんな姿勢を見せるのか。

それぞれの企業に問われている。

さて、先週金曜日の第38回PCSA公開勉強会での講演。
中部大学教授・武田邦彦先生。

実に面白い資源材料学の学者。
「試験で点数をつけない先生」である。

たとえば、問題を出しておいて、
答案用紙に一番下まで書けば100点。
半分なら50点、4分の1なら25点と明言する。
字の大きさ、行間の広さは問わず。
そしてその通りに採点する。

3年に一人くらい、
横組みの答案用紙に、
縦に1列、最後の行のあたりまで、
書いてくる者がいる。

それでも100点。
「いじめて、出席とって、採点して。
これはやらない」

その武田先生の持論。
「業界や企業がダメになる現象、
衰退していく業界の特徴」

第1は、業界が団結していない状態。
思い当たる節、大あり。

第2は、業界が、
正しいことをしていると思い込んでいる状態。

武田先生は、水俣病事件を例にとった。
水銀事件を起こしたチッソ㈱。

彼らはずっと確信していた。
「工場設計は県と一緒にやった。
われわれは規則を守っている。
間違ったことはしていない」

しかし、犠牲者は出ていた。
このことにたいして、まず、
謙虚にならねばいけない。

第3が重要。
「多様化しないと業界は潰れる」

特定のところに進化してしまうと、危険。
多様化の方向に進歩しているならば大丈夫。

私の言う「業態からフォーマットへ」。
フォーマットとは、業態が、
「企業や事業の戦略行動によって分化したもの」

フォーマットの否定は、
業界の衰退を意味することになる。

第4が、業界や企業が、
「先手を打って社会に出ていかない状態」。

成功した業界、失敗した業界を見ているとわかる。
バッシングを受けてから社会に出ていくとダメ。
あらかじめ正しい情報を出しておけば大丈夫。

「俺は正しいことをやっているんだ」
ふんぞり返っている業界、企業は崩壊する。
良いことが、そのまま素直に、
理解されるように先手を打つ。

これです。

武田先生の話を聞いていると、
元気が出てくる。

夏の終わりに向かって、
今週も。

Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

[追伸]
第10回記念商人舎USA視察研修会。
経営戦略コースと商品戦略コース。
スペシャル編とマーチャンダイジング編の重箱スタイル。
日程は10月28日~11月4日、10月30日~11月6日。
申し込み締め切りは、
9月8日(木曜日)。

ご検討と申し込みは、
お早目に。

何しろ、大久保恒夫さんと林廣美先生が、
特別講師として参加してくださるのだから。

2011年08月21日(日曜日)

ジジと祭りのあと[2011日曜版vol34]

ずいぶん、
すずしくなりました。

ジジです。
20110821140226.jpg
とくに、夜は、
すごしやすい。

虫の声など、
きこえます。
20110821140254.jpg

にゅうどう雲も、
さっていきます。
20110821141411.jpg

ユウキヨシハルのおとうさん、
いそがしい夏でした。

元気に、あちこち、
うごきまわっていました。
20110821140329.jpg

とくに、阿波踊り。
20110821141519.jpg
「徳島にはまった」

おとうさんは、そう、
いいました。
20110821140341.jpg

踊るアホウに、見るアホウ。
20110821141552.jpg

おなじアホなら、
踊らにゃ、ソンソン。
20110821141605.jpg

阿波踊りは、えんえんと、
つづきました。
20110821140351.jpg

演舞場での「踊り込み」がおわってからも、
カラオケでうたって、おどる。
20110821141637.jpg

おなじアホなら、
うたわにゃ、ソンソン。
20110821141655.jpg

でも、おとうさんは、
おもいました。

「祭りのあとのさびしさ」
20110821140405.jpg
吉田タクローと岡本おさみ。

祭りのあとのさびしさが
いやでもやってくるのなら
祭りのあとのさびしさは
たとえば女でまぎらわし

またらいねんです。
祭りは。

こんやは、おとうさん、
ぐっすりねむっています。

今宵の酒に酔いしれて

ボクも、
ねむくなってきました。
20110821140415.jpg

だから、ねます。
20110821140427.jpg

ボクには、
祭りもないし、
祭りのあとも、
ないけれど。
20110821140436.JPG

「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」
20110821140445.jpg
「ヨイヨイヨイヨイ・・・・・・・・」

<『ジジの気分』(未刊)より>

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