結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年05月07日(日曜日)

俵万智「きみと君とキミ」の「大衆から分衆・小衆、多様性(?)へ」

ゴールデンウィーク最後の日は、
打って変わって雨。

鯉のぼりはどうしているだろう。
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最後の商売の予定は狂ったか。
予期せぬことばかりが起こる。
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石川・能登の地震。

こどもの日の5月5日、
珠洲市で最大震度6強が起こった。
そのあとも、
震度1以上が52回も発生した。

政府の地震調査委員会の指摘では、
地下水などの移動が関係している可能性がある。

地震に地下水が関係しているのか。

深さ20~30キロにあった水が、
徐々に上がっていって、
震源も徐々に浅くなっていった。

県内では1人の方が死亡。
33人が怪我をした。

お見舞い申し上げたい。

黄金週間最後の日は、
1日中、家にいて、
のんびりした。

アメリカ出張が控えている。

朝日新聞「折々のことば」
第2725回。

七色の紫陽花の咲く
この国の大切な人、
きみと君とキミ
(俵万智『青の国、うたの国』から)
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編著者の鷲田清一さん。
「多様性という考えは大事だが、
多様性という言葉は危うくもある」

同感だ。

「たとえばLGBT。
しばしば多様性のシンボルのごとくに語られる」

俵万智さん。
「多様性という言葉でさえ、
何かをひとまとめにしようとする」

これにも同感だ。

「”きみ”と呼びあう二人称の存在にも、
さまざまなニュアンス、
〈虹〉のように微細で鮮やかな
グラデーションがある」

だから「きみと君とキミ」なのか。

多様であることは真実だ。
だからその多様であることを、
認めつつ、自覚しつつ生きるのがいい。

マス・マーケティング一辺倒の中にいると、
息苦しくなる。

しかし「多様性」を連呼すると、
またその「多様性」に縛られてしまう。

かつて「大衆」の時代から、
「小衆」や「分衆」の時代へ、などと言われた。

しかしその小さいことや分かれていることを、
ひとまとめにして縛ろうとしてしまった。

「分衆」という言葉は1985年の新語・流行語大賞。
博報堂生活総合研究所編の「分衆の誕生」で定義された。
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そうしたら今度は電通が「小衆」と言い出した。

大衆というマスマーケティングから、
分衆や小衆というSTPマーケティングへ。
そんなニュアンスがあった。

俵万智の「きみと君とキミ」は、
さらにワン・トゥ・ワンへの変貌を意図している。

考え方はとてもいいけれど、
作為の歌自体はあまりよろしいものではない。

俵万智も60歳。

早稲田大学文学部の学生のころ、
佐佐木幸綱に師事して短歌を始めた。

私の従妹も佐佐木の弟子だった。
「先生に認められた」などと、
とても喜んでいた。

そして俵万智は、
神奈川県立橋本高等学校の国語教師になり、
1987年に『サラダ記念日』を大ヒットさせた。
私もこの歌集を買った。
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考えてみるとサラダ記念日も、
分衆・小衆と言われ始めた時代の歌集だった。

2006年、第11回若山牧水賞を受賞。
その年から宮城県仙台市に居住。

2011年3月11日、東日本大震災のあと、
沖縄県・石垣島に移住。

さらに2016年、宮崎市に移転。

エッセイのタイトルにある「青の国、歌の国」は、
牧水の生まれた宮崎のことだ。

俳人や歌人はあちこちと流浪するものらしい。
商人がひとつのところに居つくのとは反対だ。

「多様性」という言葉に縛られる。
これはパラドックスだ。

以って自戒としよう。

〈結城義晴〉

2023年05月06日(土曜日)

WHOの「緊急事態」終了宣言とJ.S.ミルの「唯一の幸福の道」

立夏。

夏が立つ日。

横浜は最高気温26℃。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長。
COVID-19の終了宣言を発した。
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思い返せば2020年1月30日。
新型コロナウイルス感染拡大が始まって、
WHOが世界に向けて宣言した。
「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」
Public Health Emergency of International Concern。
略して「PHEIC」
、フェイクと呼ばれる。

このPHEICの終結宣言が発せられた。

何はともあれ、
ほっとする。

3年3カ月。

死亡率が低下し、
医療システムへの負担が減少している。
多くの国で生活が通常に戻っている。

しかしこれは、
「新型コロナがもう
世界的な脅威ではないという意味ではない。
ウイルスは命を奪い続けている」

政府分科会の尾身茂会長。
「日本でも感染症法上の位置づけを
5類に移行する対応をとる中でもあり、
WHOの判断は適切なのではないか」

そう、日本でも、
5月8日から感染症法のうえで、
2類相当から5類に分類が変更される。

実質的な終了宣言である。

2021年2月号の月刊商人舎。
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[Message of February]
あすへの希望
新型コロナのおでましだ。
新型コロナのおとおりだ。
そうして一年、すぎました。
そうして一年、ゆきました。

ちいさな喜び、つくります。
ささやかな幸せ、ご提供。
あすへの希望、つむぎます。
そうして一年、ゆきました。

雨が、あがって、風が吹く。
雲が、流れる、月かくす。
そうして一年、すぎました。
そうして一年、ゆきました。

ちいさな喜び、つくります。
ささやかな幸せ、ご提供。
あすへの希望、つむぎます。
そうして今日が、おわります。

それが私のしごとです。
それが私のやくめです。
そうして今日が、はじまって、
そうして今日が、おわります。

新型コロナの行く手には、
まだまだ、深い、ため息が、
なんだかはるかな、幻想が、
湧くけど、それは、つかめない。

だれにも、それは、語れない
ことだけれども、それこそが、
いのちだろうぢゃないですか。
けれども、それは、示(あ)かせない……

新型コロナのおでましだ。
新型コロナのおとおりだ。
そうして一年、ゆきました。
そうして一年、すぎました。

ちいさな喜び、つくります。
ささやかな幸せ、ご提供。
あすへの希望、つむぎます。
そうして今日も、おわります。

※中原中也「春宵感懐」を一部、拝借しました。??????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????

ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。

それらを祈念しつつ、
この3年間を過ごしてきた。

だからPHEIC終結宣言はうれしい。

月刊商人舎5月号を責了して、
ゴルフラウンド。
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雲が流れる。
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茨城県の茨城ゴルフクラブ西コースで、
女子プロのメジャー大会が開催されている。
ワールドレディスチャンピオンシップ。

アンダーパーの選手がひとりもいなくなった。
雨よりも、日照りよりも、
風のなかでのプレーが
ゴルフは一番難しい。

強風のなかの私も、
やっと100をきって、
97だった。

とほほ、情けない。

ゴルフから帰宅して、
自由が丘。

いつもの花屋。
モンソーフルール。
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母の日プロモーション一色。
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カーネーションが色とりどりに並んだ。

私にもやっと、
ゴールデンウィークがやって来た。

幸せはどこにでもある。

しかし、
ジョン・スチュアート・ミル。
「自分は今幸福かと
自分の胸に問うて見れば、
とたんに幸福ではなくなってしまう」

「幸福になる唯一の道は、
幸福をでなく何かそれ以外のものを
人生の目的にえらぶことである」

ミルは19世紀のイギリスの哲学者、経済学者。
1806年5月20日~1873年5月8日。

「自意識も細かな穿盤心(せんさくしん)も自己究明も、
すべてをその人生目的の上にそそぎこむがよい」

「そうすれば他の点で
幸運な環境を与えられてさえいるなら、
幸福などということを
クヨクヨと考えなくとも、
想像の中で幸福の先物買いをしたり
むやみに問いつめて
幸福をとり逃がしたりせずに、
空気を吸いこむごとくいとも自然に
幸福を満喫することになるのである」
(『ミル自伝』岩波文庫より)
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幸せをつかむことを、
人生の目的にしてはいけない。
幸せは空気を吸い込むごとく、
いとも自然に満喫するものである。

商売の利益は幸せに似ている。

だから利益を目的としてはいけない。
利益は空気を吸い込むように、
いとも自然に得られるものである。

〈結城義晴〉

2023年05月05日(金曜日)

こどもの日のマルト「マリン寿司」とジ・アウトレット湘南平塚

こどもの日。

祝日だが出社して、
原稿を書き、校正し、責了した。IMG_3039 (002)3
今月の[Message of May]は、
消費の天窓を開け放て!

山本恭広編集長も校正。
お疲れ様。IMG_3044 (002)3
お陰様で今月も、
すごくいい雑誌が出来上がった。

いつもながらデザインは秀逸。
七海真理さんのおかげです。

心から感謝します。

商人舎を購読している皆さん、
デザインも味わってください。
色づかいを楽しんでください。

七海さんはアメリカでデザインを学んだ。
そのうえ内容をざっと読んで、考える。
だから実に的確な表現となる。

私が書くMessageのページなど、
毎号、とても気に入っている。

ありがとうございます。
末永く、よろしくお願いします。

さて、
㈱マルトの「マリン寿司」
Facebookに投稿されたが、
面白い。
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こどもの日に向けて、
予約限定で販売した。

見ても楽しい。
食べてもおいしい。344167642_1401149500786623_2784655012117680973_n

マルトは今年、惣菜大賞を受賞した。
その実力をいかんなく発揮して、
この楽しい寿司をつくった。

すばらしい。

一昨日、山本編集長が、
平塚のアウトレットに行った。

商業経営問題研究会のメンバーとともに。
Retail Management Learning Circle。
RMLCと略す。

故杉山昭次郎先生を囲んだ杉山ゼミが、
スタートだった。
杉山先生亡きあと、
故磯見精祐さんを座長に生まれた。

磯見さんが亡くなると、
今度は私が仮の座長となって続いた。
事務局長は高木和成さん。
㈱ユニーの元幹部。
元日本チェーンストア協会事務局長。

そのころこのRMLCから、
単行本を発刊した。
東洋経済新報社刊、
『1秒でわかる小売業』
結城義晴編著、商業経営問題研究会著。

そのRMLCはコロナ禍で、
ちょっと中断していたが、
再開することとなった。

私はそんなに参加できないけれど、
山本編集長が高木事務局長とともに、
運営してくれることになった。

商人舎流通スーパーニュース。
イオンモールnews|
4/28「ジ・アウトレット湘南平塚」グランドオープン

イオンモールが開発した、
ジ・アウトレットの3番目のショッピングセンター。IMG_3034 (002)

このゴールデンウィークの、
4月29日にオープンした。

アメリカでは1950年代から、
ショッピングセンターが発達した。
モータリゼーションの発展とともに、
郊外に計画的に商業集積がつくられた。

そして4つのタイプに整理されるようになった。
小型のネイバーフッドセンター、
中型のコミュニティセンター。
大型のリージョナルセンター、
超大型のスーパーリージョナルセンター。

さらにこの4タイプが全米に飽和状態になると、
新しい4つのタイプが生まれた。

パワーセンター、
アウトレットセンター、
ライフスタイルセンター、
テーマ・フェスティバルセンターだ。

この新しいタイプのひとつが、
アウトレットセンターである。

イオンモールは本来、
リージョナルセンターを開発していた。
ときにスーパーリージョナルセンターもあった。

そのイオンモールが、
新しいタイプを開発した。
それがジ・アウトレットだ。

一言で表現するならば、
「オフプライスストア」の集積。IMG_3028 (002)

アウトレットセンターは、
基本的にオープンエアーである。
つまり屋根がない。

だから晴れた日には、
快適な空間となる。

ジ・アウトレットは、
飲食ゾーンが人気だった。IMG_3031 (002)

フード・フォレスト。
このアウトレットのフードコート。IMG_3030 (002)

凄い混雑だった。IMG_3029 (002)

それから利休亭も行列ができた。IMG_3033 (002)

アパレルのなかの「ドットエスティ」IMG_3032 (002)

アウトドア用品の「スノウピーク」IMG_3037 (002)

店内にテントが張られている。IMG_3036 (002)

湘南ベルマーレのグランドもある。
ジ・アウトレット・フィールド。IMG_3035 (002)

アウトレットは、
日常の買物の場ではない。

ゴールデンウィークなどに最適の、
楽しむ場である。

アメリカには300カ所も、
アウトレットが開発された。

日本でもこれからまだまだ増えるだろう。

一度、アウトレットの特集でもやろうか。

こどもの日なのに、
仕事のことばかり考えていた。

だから最後に谷川俊太郎の詩。

生まれたよ ぼく

生まれたよ ぼく
やっとここにやってきた
まだ眼は開いてないけど
まだ耳も聞こえてないけど
ぼくは知ってる
ここがどんなにすばらしいところか

だから邪魔しないでください
ぼくが笑うのを ぼくが泣くのを
ぼくが幸せになるのを

いつかぼくが
ここから出て行くときのために
いまからぼくは遺言する
山はいつまでも高くそびえていてほしい
海はいつまでも深くたたえていてほしい
空はいつまでも青く澄んでいてほしい

そして人はここにやってきた日のことを
忘れずにいてほしい――。

こどもたちの邪魔をしてはいけない。
こどもたちのことを忘れてはいけない。

〈結城義晴〉

2023年05月04日(木曜日)

みどりの日の寺山修司と北原白秋

みどりの日。
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1日中、自宅で原稿書き。

セブン&アイとイオンの決算。
昨年は「逆転のダイナミズム」と題して書いた。

「どちらがマーケットリーダーなのか、
どちらがマーケットチャレンジャーなのか」

「この熾烈な競争は、それぞれに
異なる特徴を有することによって、
日本のチェーンストアの世界に
ダイナミズムを生み出す」

「異質性をもつ者同士のコンペティションは、
同質で量的拡大一辺倒の従来の競争を凌駕して、
それぞれにさらなる進化と深化を
求めるからである」

今年はその次の「それぞれの道」。

などと考察していても、
思いは様々にめぐる。

閑話休題。

40年前の今日、
寺山修司が死んだ。

47歳だった。

北海道新聞「卓上四季」が取り上げた。
「万華鏡・寺山修司」
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「1954年、早大に入学した同級生の
寺山修司さんと山田太一さん」

「ちょうど今ごろ、
ひょんなきっかけで親友になる。
戦争の傷痕が残る貧しい時代。
文学や芸術を熱く語り、恋愛に悩む」

「病気で長く入院した寺山と交わした
膨大な手紙が残る」

後に脚本家となる山田さん。
「情報も少く、後期少年時代」と回想する。

「とんでもない。
幅広い読書と豊かな感性、鋭い思考。
2人の才能は手紙の文面から既に明白だ」

良い友。

それが成長を促す。

「寺山の早熟ぶりはめざましい」

海を知らぬ少女の前に
麦藁帽のわれは
両手をひろげていたり

18歳のとき寺山は、
連作「チエホフ祭」で衝撃的デビューを果たす。

「病が癒えると大学を飛び出し、
多方面で活躍した」

劇作家、歌人、詩人、前衛劇団の主宰、
スポーツや競馬の評論家、映画監督…。

「多面体、それとも万華鏡か。
寺山修司というジャンルを確立した
と言えるのかもしれない」

マッチ擦る
つかのま海に霧ふかし
身捨つるほどの祖国はありや

木田元編『一日一文』
岩波文庫別冊24。
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1年366日と設定して日々、
「古今東西の偉人」の言葉が抜き出されている。

その5月4日編は北原白秋だ。
詩人、歌人、童謡作家。

その三篇の歌。
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銀笛のごとも哀(かな)しく
単調(ひとふし)に過ぎもゆきにし
夢なりしかな

夢は単調に過ぎてゆく。

いやはてに
鬱金(うこん)ざくらのかなしみの
ちりそめぬれば
五月(さつき)はきたる

五月は鬱金ざくらが咲いて、散る。

かくまでも
黒くかなしき色やある

わが思うひとの
春のまなざし

こんなにも黒くて悲しい色は、
あるのだろうか。
私の思う人の春のまなざし。

みどりは、
人間に喩えれば早春を象徴する。

若いころの瑞々しい感性。

寺山も白秋も、
若いころから天才ぶりを発揮した。

ゴールデンウィークには、
そんな若さがある。

明日の5月5日は子どもの日。
そして明後日の6日はもう立夏だ。

〈結城義晴〉

2023年05月03日(水曜日)

憲法記念日の「いのちをふたつもちしものなし」

憲法記念日。

昼過ぎに商人舎オフィスに出て、
原稿執筆。

休日に一人、
商人舎のデスクに向かって、
大型モニターで書く。

スピードが上がる。

家の自室で書くときには、
ノートパソコンだから、
画面は小さい。

だから静かなオフィスで書くのは好きだ。

3時ごろに山本恭広編集長が、
突然、やって来た。

山本編集長はもう、
自分の原稿を書き終わっているが、
6月の第20回ミドルマネジメント研修会の、
準備のために休日出勤してきた。

6月13日・14日・15日の火水木曜日に開催する。
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商人舎ミドルマネジメント研修会で、
講師デビューする。

ご期待いただきたい。

もちろん商業界時代に、
編集長として教育事業担当取締役として、
講演や講義は限りなく経験している。

まったく心配していない。

第20回ミドルマネジメント研修会。
まだまだ募集中。

すでに申し込みは殺到しています。
どうぞ、研修を受けてみてください。
派遣してください。

さて76回目の憲法記念日。

歴史上の憲法は多い。

古代ローマには十二表法があったし、
日本では聖徳太子の十七条憲法があった。
前者は紀元前460年ごろ、
後者は604年の制定だ。

反対に成文憲法がない国もある。
イギリスである。
United Kingdom of  Great Britain。

ひとつの憲法がない代わりに、
三つの歴史的な決め事がある。

1215年のマグナ・カルタ(大憲章)、
1628年の「権利の請願」、
1689年の「権利の章典」である。

しかし現在も機能している憲法として、
最も古いのはアメリカ合衆国憲法だ。
1789年の制定である。

このあと世界中で、
約860の成文憲法が制定された。

問題の我が国の憲法。
1946年に11月3日に公布され、
翌年5月3日に施行された。1

昨年の文化の日のブログで書いた。

日本国憲法の前文。
中学だったか高校だったか、
暗記した。

「日本国民は、恒久の平和を念願し、
人間相互の関係を支配する
崇高な理想を深く自覚するのであって、
平和を愛する諸国民の
公正と信義を信頼して、
われらの安全と生存を
保持しようと決意した」

「われらは平和を維持し、
専制と隷従、圧迫と偏狭を
地上から永遠に除去しようと努めている
国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思う」

「われらは全世界の国民が、
ひとしく恐怖と欠乏から免れ、
平和の内に生存する権利を
有することを確認する」

先生は名文だと言ったけれど、
英語の関係代名詞以下をほぼ直訳している。
だから日本語として見れば悪文だ。

私流に改訂すると、
「日本国民は、
恒久の平和を念願する。
人間相互の関係を支配する、
崇高な理想を深く自覚する」

「国際社会の諸国民は、

平和を愛するものである。
私たちは、
その公正と信義を信頼する」

「したがって私たちは、
私たち自身の安全と生存を、
私たち自身で保持しようと
決意するものである」

「国際社会は平和を維持し、
専制と隷従、圧迫と偏狭を
永遠に地上から除去しようと努めている。
私たちはその国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思う」

「私たちは全世界の国民が、
ひとしく恐怖と欠乏から免れ、
平和の内に生存する権利を有することを
確認する」

さらに、重要なのは、
日本国憲法の「第2章 戦争の放棄」である。
その「第9条」が議論の対象となっている。

「日本国民は、
正義と秩序を基調とする
国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、
永久にこれを放棄する」 

「前項の目的を達成するため、
陸海空軍その他の戦力
これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない」

ここで国際政治学者の篠田英朗さん。
『はじめての憲法』
良い本です。

読んでみてください。
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この本のなかで、
第九条に以下の文面を加えて、
その部分の改憲をすればいい、と主張する。
「前二項の規定は、
本条の目的にそった
軍隊を含む組織の活動を禁止しない」

私も篠田さんに賛成するものだ。

「戦争の放棄」は「原理」ではない。
それを原理のように主張する人たちがいる。

しかし戦争の放棄は「目的」である。

「軍隊を含む組織の活動を禁止しない」
これを第三項に加えるだけで、
「自衛隊」という組織が正当化されて、
憲法に記される。

私の訂正した前文とも一致する。

超党派で検討してくれないかなぁ。

さて北海道新聞の巻頭コラム「卓上四季」
「憲法の水脈」

ウクライナ、スーダン。
世界各地の戦火はなくならない。

土岐善麿(ぜんまろ)の歌。
明治から昭和の歌人。

遺棄死体
数百といひ数千といふ

いのちをふたつ
もちしものなし

日中戦争と太平洋戦争の戦没者は、
軍民合わせて310万人。

二つとない<いのち>を大切に。
この願いが日本国憲法へ実を結んだ。

だから日本の憲法は、
平和主義の理念が主軸となっている。

この理念は時代や国を越えて、
人類が受け継いだ理想の到達点だった。

ルソーやカントが目指した永久平和、
植木枝盛(えもり)や中江兆民らの自由民権思想、
1928年のパリ不戦条約などが源流にある。

平和という理念と、
戦争の放棄という手段。

頭と心の整理をして、
ゴールデンウィークを生きたい。

「いのちをふたつ
もちしものなし」

〈結城義晴〉

2023年05月02日(火曜日)

黄金週間の岡潔「スミレはスミレのように咲けばよい」

ゴールデンウィークの最中だというのに、
1日中原稿書き。

ああ。

だがそれが私の仕事だ。

月刊商人舎5月号。

この雑誌を始めたのが、
2013年5月号から。

特集・ニッポンCRM元年!!

10年前の写真。
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私は「商売を科学せよ」と、
強く訴えていた。

今、読み返してみると、
ゆったりした誌面だった。

月刊商人舎の良いところは、
こうしていつでもパソコン画面で、
過去の雑誌をすべて閲覧できるところだ。

初めから「の雑誌」を標榜していた。
PaperのMagazineとNetのMagazine。
その融合。

このころから「両利きトレードオン」だった。

そして10年目の雑誌を今、
つくっている。

通巻121号。

今回も力の入った内容だ。
ご期待いただきたい。

この10年の間に、
私は10歳年を重ねて、
70歳となった。

だから60歳のときに、
新雑誌を創刊したことになる。

そして当時やっていたことを、
収斂させてきた。

立教大学大学院の特任教授は、
任期が来て辞めた。
ほかに大学の教授の口は探さなかった。

コーネル大学RMPジャパンの副学長も辞めた。

そして本来の商人舎社長の仕事に専念した。

そうすると万代知識商人大学などが始まった。
ロピアの躍進も起こった。

それが良かったと思う。

そして直近の3年間は、
コロナが時間を早めた。

朝日新聞「折々のことば」
鷲田清一さんの編著。

第2719回。
道義の根本は
人の悲しみがわかる
ということにある。
(岡潔『春宵(しゅんしょう)十話』から)
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「このことが基本にあってこそ
人は日々安心して暮らせるのだ」

「だが悲しみの感情とは難しいもの。
これを”人が悲しんでいるから自分も悲しい”
という程度にまでわかるには、
時間がかかる」

さすがに岡潔さんだ。

顧客が悲しんでいるから、
自分も悲しい。
顧客が喜んでいるから、
自分もうれしい。

この域に達するには時間がかかる。
しかしそれを目指す。

人の在り方の根本は、
人の悲しみがわかることだ。

商人の在り方も同じだ。

岡潔さんは日本を代表する数学者。

湯川秀樹、朝永振一郎、廣中平祐、
皆、岡さんの弟子みたいなものだ。
エッセイもたくさん書き残した。

その『春宵十話』のまえがき。

「人の中心は情緒である」

数学者なのに情緒が中心だと言い切る。

「私は数学の研究を
つとめとしている者であって、
大学を出てから今日まで三十九年間、
それのみにいそしんできた。
今後もそうするだろう」

「私は、人には表現法が
一つあればよいと思っている」

岡さんなら数学だ。
商人ならば商売だろう。

伊藤雅俊さんも岡田卓也さんも、
それに徹したから成功したのだ。

数学なんかをして
人類にどういう利益があるのだ、
と問う人がいる。

岡さんは答えた。
「スミレはただスミレのように
咲けばよいのであって、
そのことが春の野に
どのような影響があろうとなかろうと、
スミレのあずかり知らないことだ」

スミレはスミレのように咲けばよい。

この言葉も、
私のポジショニングの考え方に影響を与えた。

もうひとつ「折々のことば」
第2704回。

「人をコーフンさせる仕事をしてるんだから、
自分がコーフンしないとダメだよな」
〈忌野清志郎(いまわのきよしろう)〉

『あの頃、忌野清志郎と』から。
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この本はとてもいい。

マネージャーと衣装係を務めて、
清志郎のそばに40年、
付き添った片岡たまき。

「どこか遠くに連れて行ってくれそうな彼は、
周囲に濃(こま)やかに心を配る人でもあった」

人をコーフンさせる仕事をする。
だから自分もコーフンしなきゃ。

清志郎は本来、静かな男だ。
しかし自分の仕事に忠実だった。
だからメイクをし、派手な扮装をして、
顧客をコーフンさせた。

スミレはスミレとして咲いた。

このゴールデンウィーク。
自分らしく咲きたい。
自分の歌を歌いたい。

〈結城義晴〉

2023年05月01日(月曜日)

2023年5月の”Cup of Coffee”でも”Do your best!”

Everybody! Good Monday!
[2023vol⑱]

2023年第18週。
5月に入って、
黄金週間の真っ只中。

今日5月1日はメーデー。
デモ行列が行く。
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メーデーの列とはなつてをらざりし
〈稲畑汀子〉

稲畑 汀子さんは昨年亡くなった。
高浜虚子の孫で『ホトトギス』を主宰した。
メーデーの隊列をそのまま見た。

メーデーの中やうしなふおのれの顔
〈榎本冬一郎〉

榎本さんはもっと古い。
1907年(明治40年)の生まれ。
だからこの句はメーデーがまだ、
華やかだったころにつくられた。

メーデーの束の風船昇天す
〈橋本美代子〉

2日間の合間があって、
5月3日から5連休。

淡々と仕事に邁進したい。

中日新聞の巻頭コラム「中日春秋」
東京新聞の「筆洗」と3分の2は同じ。

今日のテーマは、
「カップ・オブ・コーヒー」

そのまま全部、いい話。

今、新聞発行部数は、
読売、朝日、毎日、中日、日経の順だ。
中日新聞、意外によく読まれている。
日経よりも多いし、産経を凌駕している。

“Cup of Coffee”は、
大リーグの独特の言い方。
「下部組織のマイナーリーグから
大リーガーに昇格したものの、
振るわず、またたく間に
マイナーに逆戻りする選手のこと」

「栄光の期間がコーヒー一杯を飲むほどの
短い時間という意味なのだろう」

ピッツバーグ・パイレーツの内野手。
ドリュー・マジ選手。三十三歳。
majji
十三年間、大リーグでの出場はなく、
マイナーリーグのチームを転々として過ごした。
引退を考えても不思議ではない年齢。

その夢がかなった。
26日のメジャーリーグの試合。
ロサンゼルス・ドジャース戦。
代打で初出場を果たした。

「初打席に向かうオールドルーキーに
ファンが一斉に立ち上がり、
大きな拍手を送る」
majji2

「年俸は低く、
生活の苦しいマイナー暮らし。
それでも、あきらめず、
夢を追い続けたことへの敬意なのだろう」

「良い当たりのファウルを打ったが、
三振に終わる」

「それでも拍手が鳴りやまない」

試合後に語った。
「人生でこれ以上幸せな三振はなかった」

「努力すれば報われるとは
いいにくい時代かもしれない。
が、努力しなければ、
報われないのは本当だろう」

「数えきれぬほど、
コーヒーを楽しめる時間を期待する」

ほとんどの仕事は、
ドリュー・マジと同じだ。

努力しなければ報われることもない。
努力しても報われないことも多い。

それでも努力することに、
人々は感動する。

人々はそれを見ている。

私たちもこの5月、
自分ができる努力を、
精一杯続けようではないか。

私は今週、月刊商人舎5月号の入稿。
連休でデザインや印刷が休むので、
一両日中に終わらせねばならない。

そのあと、来週火曜日から、
米国ラスベガス。

商人舎USベーシックコース。
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満員御礼。

ご参加の皆さん、
楽しみにしていてください。

事前テキストが、
そろそろお手元に届いているはずだ。

ふたつの文章は読んでおいてください。

第1は、
米国チェーンストア産業を「鳥の目」で見る

第2は、
ベーシック店舗視察の考え方を知る
ストアコンパリゾンを経営戦略にせよ!

合わせて28ページになる。
時間を見つけて読むだけでいい。

万代知識商人大学の講義と、
総会での講演がある。

そして月刊商人舎6月号を編集し、執筆する。

私もできる努力を精一杯しよう。
みなさんも、自分のできることに、
真剣に取り組もう。

では、今週も、
“Cup of Coffee”であっても、
Do your best!

Good Monday!

〈結城義晴〉

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流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

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