結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年10月18日(火曜日)

イオンスタイル天王町のグランドオープンと「フォーマット」の創造

イオン天王町ショッピングセンター。
グランドオープン。IMG_63872
核店舗はイオンスタイル天王町。

朝8時35分からグランドオープン式典。
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そのテープカット。IMG_52772

オープンの10時前に、
2000人の顧客の行列ができた。
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9時になって開店したら、
顧客がどっと店内に流れ込んできた。IMG_52852

そして1階の食品売場へ。
2階へ向かう顧客も多い。
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1階は「フード&ウエルネスフロア」。
スーパーマーケット部門と「イオンリカー」。
それにドラッグストアの「グラムビューティーク」。
この店の目玉「カフェランテ」は、
食のセレクトショップだ。

その1階の食品フロア入り口はブドウ一色。IMG_62962
青果部門が強力だ。

さらに顧客が集中したのが鮮魚部門。
対面売場で生魚を売りながら、
盛んに試食を展開する。IMG_62862

商人舎流通スーパーニュース。
イオンリテールnews|
「イオンスタイル天王町」で10/18「福島鮮魚便」展開

「福島鮮魚便」は、
福島県で水揚げされた新鮮な魚を、
全国に先駆けて限定店舗へ届ける取り組みだ。IMG_62832

鮮魚から精肉、ハム・ソーセージ売場へ。IMG_62682

注目の的は冷凍食品売場。
アット・フローズンのアイテムを、
天王町向けにアソートメントした。IMG_62742

もちろんオープンセールも大展開。
卵は1パック98円。IMG_63782

食品が集客の核となっているが、
2階は「ライフスタイルファッション」と、
「カルチャー」のフロアだ。IMG_63222

中核はトップバリュの「ホームコーディ」。
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その隣に無印良品の広大な売場。
ホームコーディとMUJIが、
妙な補完関係にある。IMG_63372

無印は静かなオープニング。
盛んに入会の勧誘をしていた。IMG_63512

その隣がユニクロ。IMG_63522

こちらはまるで、
スーパーマーケットの開業のようだ。IMG_63532

さらに3コインズ・プラス。IMG_63582

3階は「キッズ&ファミリー」、
そして「スポーツフロア」

「スポージアム」は、
イオンリテールのスポーツ衣料ブランド。
それからマシンジム「3FIT」。
㈱ジーフットの「スポーツ・アウトドアシューズ」。
これらの連携は全国初の試みだ。IMG_63702

キッズ・リパブリックは物販に徹して、
この地域のニーズに応える。IMG_63622

さらにフードコートは「かるがもキッチン」。IMG_63642

フードサービス機能を、
1階と3階に配置して、
これも顧客のニーズをキャッチする。

1階にはオープン記念で、
天王町の神輿が出た。
地域を上げてこの店を応援している。IMG_63042

オープン当日の店舗をじっくり見てから、
私は商人舎オフィスに戻った。

第一屋製パン㈱の取締役会に、
オンラインで出席。

「わが社の強み」について語った。

その間、メディアは共同記者会見。IMG_63542

特別に会場をセッティングして、
旗艦店リニューアルの説明と質疑応答。IMG_63592

井出武美イオンリテール㈱社長(右)と、
中野公現(なかのこうげん)イオンスタイル天王町店長。IMG_636222
イオン天王町の店づくりやMD、
そしてこの井出さんのスピーチなどは、
月刊商人舎11月号でたっぷりと紹介しよう。

私の地元での旗艦店大改装。
私の評価は高い。

ご期待いただきたい。

イオンスタイルは「総合スーパー業態」である。
国際的にはハイパーマーケットという。

「ウォルマートスーパーセンター」は、
ハイパーマーケット業態の中の、
ウォルマート社が創造したフォーマットだ。
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フォーマットは、
「業態が分化した様々な形」のこと。
これは田村正紀神戸大学名誉教授の定義。

別の表現をすると、
業態の売り方を大きく変えて、
ポジショニングを構築すると、
フォーマットが出来上がる。

だからターゲット社も、
ハイパーマーケット業態の、
「スーパーターゲット」という、
独自のフォーマットを展開する。
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Kマート社は、
弱いけれど「スーパーKマート」を営業している。

だからスーパーセンターは業態用語ではない。
これがコーネル大学のロジックであり、
私の持論である。

イオンはイオンスタイルを、
総合スーパーのフォーマットにしようと、
懸命に模索してきた。

そしてこのイオンスタイル天王町によって、
間違いなくフォーマットの完成に近づいた。

総合スーパー業態のピークは、
1997年だった。

いまから25年も前のことだ。

それ以降、業態の衰退が続いた。

しかしフォーマットが創造されると、
この業態が蘇る。

その記念碑のような店である。

月刊商人舎10月号特集は、
「新フォーマット続々!!」
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ポストコロナ時代が見えてきて、
「フォーマット」が定着してきた。

これはチェーンストアの大きな節目である。
私はそれがうれしい。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2022年10月17日(月曜日)

クローガー/アルバートソン合併の「コロナは規模集中を早めた」

Everybody! Good Monday!
[2022vol㊷]

2022年第42週。
10月中旬に入って、
秋本番。

しかし秋の長雨。
「秋雨」(あきさめ)という。

東日本では初夏の梅雨よりも、
秋のほうが雨の季節である。

商人舎流通スーパーニュース。
クローガーnews|
米国2位食品スーパー「アルバートソン」を3.6兆円で買収
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ちょっと驚いた。

クローガーは、
米国スーパーマーケット1位。
チェーンストアランキング5位。

アルバートソンは、
スーパーマーケット2位で、
チェーンストア10位。
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その米国スーパーマーケットの、
1位と2位が合併で合意した。

クローガーの2022年1月期売上高は1379億ドル。
米国内35州に2726店を展開する。

アルバートソンは719億ドル、
34州に2276店を有する。

1990年代のアルバートソンは、
エクセレントカンパニーと呼ばれた。
しかし2000年代に入ると、
経営は悪化した。

その根本原因は合併にあった。

1998年、ウォルマートが、
スーパーマーケットの実験を始めた。
「ネイバーフッドマーケット」と名づけられた。
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1990年に米国一の小売業となったウォルマート。

創業時代からウォルマートはノンフード小売業で、
食品専業の業態を展開してはいなかった。
伝統のディスカウントストア「ウォルマート」、
最強のハイパーマーケット「スーパーセンター」。

しかし食品市場の大きさを知らぬはずはない。

そこでスーパーマーケット専業業態の実験に入った。

既存の食品産業は大騒ぎ。

第4位だったアルバートソンが、
第3位アメリカンストアーズを傘下に入れて、
2位に躍り出た。
第1位クローガーはフレッドメイヤーを合併した。
第2位のセーフウェイはなんと、
クローガーの買収を画策したが、
それに失敗して、ドミニクスを買った。

この相次ぐ合併によって、
チェーンストアとしてのマネジメント力が問われた。

アルバートソンの合併は失敗して、
経営が悪化していった。

2006年には卸売業のスーパーバリューに買収され、
企業分割されてしまった。

さらに2013年には、
投資会社サーベラスに売却された。

一方のクローガーは合併に成功して、
さらに繁栄していった。

セーフウェイは停滞した。

その後、2015年1月、
サーベラスはセーフウェイを傘下に入れた。
当時はそのセーフウェイが2位のチェーンだった。
社名はアルバートソンとなった。

そのアルバートソンが今、
クローガーと合併しようとしている。

今回の合併で両者を単純計算すれば、
売上高2097億7500万ドル、
店舗数は合計5002店となる。
1ドル100円で換算して20兆9775億円。
150円で換算すれば31兆円を超える。

重複エリアの店舗は売却されたりするから、
それらを除くと4996店舗。
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チェーンストア1位はウォルマート、
2位はアマゾン・コム。
3位コストコホールセール、
4位ホームデポだが、
クローガーは3位に躍り出る。

クローガー、セーフウェイ、アルバートソン、
その連合軍となって、
ウォルマートとアマゾンに対抗する。

世界最大のウォルマートの米国部門は、
売上高3932億ドルで、米国内店舗数5342店。
全世界のウォルマート合計は5678億ドル、
サムズクラブが736億ドル、
国際部門が1010億ドル。
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業態の概念で考えると、
独禁法に抵触するかもしれない。
だから米国連邦取引委員会(FTC)が調査して、
買収の承認が下りない可能性もある。

しかし食品販売企業として見れば、
上位にウォルマートがいるので、
独占禁止法には引っかからないかもしれない。

米国スーパーマーケット業態は、
現在、「複占」の状態にある。

クローガーとアルバートソン。
その両者が合併すると、
年商2098億ドルの圧倒的なトップである。

2位はロイヤル・アホールド・デレーズUSA。
オランダの国際企業の米国事業は年商537億ドル。

3位はパブリックスで、
リージョナルチェーンながら480億ドル。

つまり業態の「複占」による拮抗が大きく崩れる。

しかし業態の枠を超えた食品小売業で見れば、
ウォルマートが米国内シェア18%、
新生クローガーが13%。

そして3位のコストコが、
1404億ドルで9%。

クローガー/アルバートソンの2000億ドルは、
日本のスーパーマーケット全体の規模に匹敵する。

コロナは米国食品小売産業において、
規模の集中を早めたか。

合併の繰り返しで、
巨大な企業が出来上がった。

高いマネジメントレベルと、
チェーンオペレーションによって、
規模の威力が発揮され、
「成長」につながればいいけれど、
単なる「膨張」であってはならない。

故田島義博学習院大学院長の言葉。
「規模が大きくなるほど、
経営は難しくなる」

では、みなさん、今週も、
高いマネジメントレベルを目指そう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年10月16日(日曜日)

「世界食料デー」のガルブレイスとヴァンフォーレ甲府の「下剋上」

10月16日、第3日曜日。
World Food Day。
世界食料デー。
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国連食糧農業機関(FAO)が、
1981(昭和56)年に制定。
Food and Agriculture Organization of the United Nations

FAOは国際連合の専門機関の一つ。
目的は飢餓の撲滅を達成すること。
そのために、
世界の食糧生産と分配の改善を図り、
開発途上国の栄養失調や飢餓をなくし、
生活向上を目指す。

World Food Dayは、
開発途上国などでの飢餓を考える日だ。

ジョン・ケネス・ガルブレイス。
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「ゆたかな社会における貧困の除去を
社会的・政治的な日程に
強力に載せようではないか」

「さらに進んで、
その中心に据えようではないか」

「そしてまた、
地球を守るという名目で、
地球に灰しか残さないようにする
懼(おそ)れのある人たちから、
われわれのゆたかさを守ろうではないか」
〈『ゆたかな社会』鈴木哲太郎訳より〉
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大学時代に、
『経済学と公共目的』がテキストとされて、
原書で学んだが、
私は翻訳本を手に入れて単位をとった。

無頼派を気取って、
あまりいい学生とは言えなかった。

ガルブレイスは1906年生まれ、2006年没。
カナダ生まれの経済学の巨人。

ルーズベルトから、
トルーマン、ケネディ、ジョンソンの、
それぞれの政権で重用された。

とくにジョン・F・ケネディとは親しくて、
その公共投資政策に貢献した。
それが上の言葉だ。

「貧困との戦い」と称された。

著書も50作以上。
表現者としても超一流だった。

「地球を守るという名目で、
地球に灰しか残さないようにする
懼(おそ)れのある人たちから、
われわれのゆたかさを守ろうではないか」

プーチンの戦争を予言していた。

「ゆたかさ」を守り、
その豊かさを向上させるのが、
小売業の役割だ。

さて日曜日のスポーツ。

サッカー天皇杯。

ヴァンフォーレ甲府。
劇的な優勝を果たした。

J2と呼ばれる2部リーグのチームだ。
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決勝戦はJ1のサンフレッチェ広島戦。
広島のベースとなっているのは、
東洋工業という実業団チームだった。

天皇杯を3度制している。

しかしJリーグのサンフレッチェとなってから、
このタイトルをとってはいない。
だからサンフレッチェにとっても、
念願の天皇杯だった。

ゲームは、
1対1のタイで延長戦でも決着がつかず、
ペナルティキック戦の末、
ヴァンフォーレが勝利した。

ヴァンフォーレは、
3回戦でコンサドーレ札幌、
4回戦でサガン鳥栖、
準々決勝でアビスパ福岡、
準決勝で鹿島アントラーズを破って、
決勝に進出した。

いずれもJ1チームだった。

初の完全下剋上の快挙だ。

日本のサッカー界には3つのタイトルがある。
第1がJリーグのリーグ戦。
現在、J1リーグ18チーム、
J2リーグ22チームで行われる、
ホーム&アウェー総当たり戦。

第2がナビスコカップ。
J1リーグ所属のチームだけで、
争われるカップ戦。

そして第3が天皇杯。
1921年から始まって、
今回、102回を数える伝統のタイトル。

このゲームに途中出場したのが、
42歳の山本英臣。

ディフェンダー、ミッドフィルダー、
両方のポジションをこなす。

ジェフユナイテッド市原出身で、
ヴァンフォーレには在籍20年。

山本は出場するとすぐに、
ペナルティエリア内でハンドの反則を犯した。
ペナルティキックを献上してしまう。

1対1のタイだった。

そこでゴールキーパーの河田晃兵が、
ファインセーブ。

河田も35歳。

PK戦となって、
再び河田が1つのファインセーブ。

最後のシューターがなぜか山本となった。

ここで山本がゴール左上隅に、
見事に決めて勝利を呼び込んだ。

山本のハンドの反則と見事なシュート。
河田の2つの機敏なセービング。
劇的な優勝だった。

天皇杯はすべてのJリーグチームと、
都道府県代表チームが出場する。
大学生も高校生も試合に出ることができる。

その大舞台での42歳の活躍。
私も感動した。

「貧困との戦い」のうえに、
感動が加わることによって、
本当の豊かさは実現される。

地球に灰しか残さないような人間から、
われわれの「ゆたかさ」を守りたい。

〈結城義晴〉

2022年10月15日(土曜日)

1ドル148円の「円安の壁・バカの壁」と「禁欲円・享楽円」

1ドル148円80銭台。
瞬間的な為替レートだが、
1990年8月以来、
32年ぶりの円安・ドル高。

これはもう150円を超えるに違いない。

私がはじめてアメリカに行った1978年は、
1ドル195円だった。

その1978年11月、
ジミー・カーター大統領が、
大胆な経済政策を打ち出して、
為替市場への協調介入を強化し、
公定歩合を8.5%から9.5%へ1%引き上げた。

「カーター・ショック」と言われた。

カーター・ショックによって、
1982年11月には278円台までドルが上昇。

しかし1985年の「プラザ合意」で、
ドル高に終止符が打たれた。

プラザ合意はドナルド・レーガン政権下で、
米国と日本、そして欧州5カ国が合意した、
ドル高是正策のことだ。

その舞台は、
マンハッタンのプラザホテルだった。

この国際協働介入によって、
1987年12月にはドルは、
1ドル121円台まで下落。

1995年には79円のドル安・円高になった。

その後、2005年に117円、
さらに2011年に76円。

しかし今、148円となって、
1ドル150円の大台が視野に入った。

感覚的に言えば、
プラザ合意のころまで戻ったことになる。

今、「第2のプラザ合意」という案も出てきた。

財務省のコメント。
「過度の変動が繰り返されるときには
断固たる対応を取る用意ができている」

しかしそれは日本独自の対応では足りない。

日経新聞電子版。
「円安の壁」と「バカの壁」
日経新聞コメンテーターの西村博之さんが書く。

「円安×インフレで
途上国から先進国に来た気分」

海外旅行に行った人の言葉。

シンガポールで入った王将は、
「餃子セットが2000円!」

歯医者では20分話しただけで2万円。

マレーシアでも「物価は日本並み」

「もう以前のようには国外に出られない」

日本という発展途上国から、
アジアの先進国に来た気分になったそうだ。

コロナによる鎖国が解かれたところへ、
「円安の壁」が出現した。

「バカの壁」は養老孟司東大名誉教授の著書。
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表層的な情報によって、
「わかったつもり」になる風潮を戒めた。

西村さん。
「”円安の壁”は”バカの壁”に転じうる」

コロナ禍の影響が一服したアジア地域では、
人々の往来が再開し、
各国の企業に接触したアナリストが、
続々と詳細な報告を上げてきた。

一方の日本。
「最新の技術や市場動向から後れをとり、
それに気付いてもいない」

海外留学した日本の学生の数。
2018年度の約11万5000人から、
20年度は1487人に激減。

「実際に行って、見て、経験して、
“知ったつもり”でない生きた知識を得たい
若者の壁はぐんと高くなった」

小売業の海外視察も同様だ。

「”円安の壁”が長居すれば、
“諦めの壁”に変わりかねない」

日本政府と日銀にどれだけの力があるか。
「頼みますよ!!」

さて、日経新聞本誌の記事。
「小売り・外食、
巣ごもり消費一巡で明暗」

コロナ禍の巣ごもり消費が一巡し、
消費系企業の業績で明暗が分かれている。

その2022年6~8月期決算。

食品スーパーマーケット。

巣ごもり消費の一巡や光熱費の上昇が重荷となり、
12社の純利益の合計は35%減の109億円だった。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス。
純利益は55%減の5億9500万円だった。

藤田元宏社長。
物価高で消費者の節約意識が高まる中、
価格を据え置いた。
しかし、「顧客が競合に流出して
大きな客数流入にならなかった」
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ホームセンターも巣ごもりの反動。
9社の純利益は計151億円と39%減。

百貨店6社の最終損益の合計は、
173億円の黒字に転換。
前年同期は24億円の赤字だった。

高島屋では、
3~8月の高級ブランドの売上げが、
19年比で5割増えた。

第2四半期は81億円の黒字。
前年同期は30億円の赤字。

外食11社の純利益の合計は、
44%増の46億円だった。

吉野家ホールディングスは、
32億円と前年同期の2倍となった。

スーパーマーケットとホームセンターが、
巣ごもりの反動で減益し、
百貨店とフードサービスが
黒字転換、あるいは増益。

明暗が分かれた。

記事は最後に、
イオンの吉田昭夫社長の言葉を紹介する。
「生活防衛意識と価格への感度は
高まっている」
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しかしそれはコロナ前に戻り、
さらに厳しくなった。

ただし高島屋など、
コロナ前以上に高額品が売れた。

「禁欲円」の消費に耐えられず、
「享楽円」が爆発した。
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そしてこれもほんの一部の現象で、
生活防衛意識と価格コンシャスの、
「禁欲円」消費が日本を覆っている。

「円安の壁」は高くて厚いけれど、
なんとか「バカの壁」は避けなければならない。

〈結城義晴〉

2022年10月14日(金曜日)

イオン天王町の「Soft Open」とファストリ・MUJIの本決算

午前中に商人舎オフィスに来客。

㈱ジャパン・インフォレックスのみなさん。IMG_62012
私の隣から社長の西田邦生さん、
専務取締役の八十島幹夫さん、
そして執行役員の牧内孝文さん。

ジャパン・インフォレックスは、
食品産業の商品マスターを登録・管理し、
業界全体の合理化と生産性向上に、
貢献するIT企業だ。

コロナ禍によって、
その商品マスター登録のスピードが上がってきた。

コロナは時間を早める。

そして今、流通業界は、
生産性向上が最大の問題となっている。

「複合危機」によって、
経営コストが高騰し続けているからだ。

ジャパン・インフォレックスの役割は重いし、
貢献度はますます高まる。

11月に講演をすることになった。

午後は東京駅へ。
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丸の内北口。
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その八角形の天井ドーム。
四隅に干支のレリーフがある。
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東京駅前の新丸ビル。
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そして大手町プレイスウェストタワー。IMG_62272

この地下1階の大手町プレイス内科。IMG_62262
毎月の検査と診察。

私の主治医・田嶼尚子先生からは、
食事療法と運動のススメ。

田嶼先生の診察を受けると、
不思議にやる気になる。

ありがとうございます。

ソフトオープン初日夕方の、
イオンスタイル天王町。IMG_6234

生鮮食品のオペレーションも、
無難に進んでいる。
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1階の餃子の王将は、
テイクアウトもするが、
顧客が並んだ。
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スシローも繁盛している。

新しいテナント揃えは、
効果を発揮している。

かつてのチェーンストアは、
グランドオープン方式だった。

オープン初日にすべての力を結集する。
そのためにチラシを何十万枚も撒いて、
集客する。

百貨店の開業方式を真似たものだ。

しかしアメリカのチェーンストアは、
静かにソフトオープンして、
徐々に地域になじんでいくやり方をとる。

日本でそれを始めたのが、
ジャスコであり、イオンである。

私はずっとアメリカ式をお薦めしてきた。

店舗オペレーションにとって、
予行演習的なソフトオープンは、
実にいい考え方であり、やり方だ。

仕事に慣れていない従業員なども、
グランドオープンまでの猶予があれば、
心理的なプレッシャーが少ない。

少し慣れたところで、
グランドオープンを迎える。

イオン天王町ショッピングセンター、
グランドオープンは10月18日である。

さて商人舎流通スーパーニュース。
決算結果が続々と報告されている。

ファストリnews|
22年8月期は売上収益・営業利益とも過去最高を記録

㈱ファーストリテイリングは8月決算だ。
その2022年8月期の本決算。

2021年9月1日~2022年8月31日の営業。
売上収益2兆3011億円で前期比7.9%増。
日本で第4位の小売業である。
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1位セブン&アイ・ホールディングス、
2位イオン、
3位アマゾン・ジャパン。
そしてファーストリテイリング。

営業利益は2973億円で19.4%増。
こちらはセブン&アイの3877億円に次いで2位。
3位のイオンは全体で1743億円、

ただし単体の営業利益は、
ファーストリテイリングが日本一だ。
セブン-イレブン・ジャパンが2231億円で2位となる。
3位はニトリホールディングスの1383億円。

ファストリは円安効果が1143億円計上された。

この結果、税引前利益が4136億円(55.6%増)、
当期利益は2733億円(60.9%増)。

ただし為替の影響を除いても、
12カ月累計で過去最高の利益を達成。

売上収益に対する営業利益率は12.9%。

世界のアパレルチェーンで見ると、
ZARAのインディテックスが、
2022年1月決算で、
277億1600万ユーロ(3兆6136億円)。
前期から35.8%の回復だった。

H&Mは2021年11月期で、
1989億6700万SEK(2兆5468億円)。

ビッグ3の3位だが、
H&Mにはそろそろ手が届きそうだ。

一方、
良品計画news|
営業収益4962億円は過去最高も円安・輸送費高騰で減益

㈱良品計画の2022年8月期の本決算。

営業収益4962億円で前期比9.4%増、
営業利益328億円で22.8%減、
経常利益372億円で18.0%減。

増収減益。

それでも営業利益率6.6%、経常利益率7.5%。

無印良品(ライセンスドストアを含む)の店舗数は、
国内493店、海外579店の合計1072店。

国内では食品スーパーマーケットと、
コラボレーションを進める。

イオンスタイル天王町でも、
無印良品の売場は、
隣接するイオンのホームコーディ売場を、
引き立たせる機能を果たしている。

今や無印良品の導入は、
大型店やショッピングセンターにとって、
先を争う状態である。

それ以外にも商人舎10月号のように、
無印良品500の新フォーマットを始めた。
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コロナは時間を早める。

マイケル・オークショット。
「変化の時代に選びうるのは、
確実な損失か不確実な利益かの
いずれかである」

コロナの変化を前向きにとらえると、
成長は早まる。

〈結城義晴〉

2022年10月13日(木曜日)

イオンスタイル天王町「内覧会」と「SEJ・IYのパートナーシップ」

イオン天王町ショッピングセンター。
10月18日グランドオープン。
核店舗はイオンスタイル天王町。

今日は、その内覧会。IMG_62122

商人舎流通スーパーニュース。
イオンリテールnews|
旗艦店イオン天王町SC(横浜市)10/18オープン

㈱マイカルの前身の㈱ニチイが、
横浜進出を果たしたのは、
1977年である。

偶然のことだが、
私が㈱商業界に入社した年だ。

11月30日、第1号店として、
ニチイ天王町店ショッピングデパートが開業。

この店は1992年に天王町サティに増床転換し、
地域一番の座を堅持し続けた。

さらに2011年3月1日、
マイカルがイオンリテールに吸収合併されると、
イオン天王町店に変わった。

その後、2020年2月9日に閉鎖され、
今回、スクラップ&ビルドされて、
堂々のオープンを果たす。

一方、ニチイは、1978年9月20日、
ニチイ東神奈川ショッピングデパート開業。
この店は現在、イオンスタイル東神奈川となって、
上階に南関東カンパニーの本部がある。

さらに1978年10月6日、
横浜駅西口にオープンしたのが、
ニチイ横浜ショッピングデパート。
この店は横浜ビブレとなっている。

私は横浜に在住しているので、
これらの店を45年間、見続けている。

内覧会のスタートは午前10時。
明日、ソフトオープンして、
5日後の来週火曜日にグランドオープンする。

生鮮食品売場は明日の開業に向けて準備中。IMG_61192
案内と説明は、
中野公現(なかのこうげん)さん。
イオンスタイル天王町店長。
IMG_60612

内覧会に集まったメディアは、
概要の説明を受けてから、
食品売場に入っていく。IMG_61112
そしてこの店の特徴の一つ、
冷凍食品売場へ。
IMG_61122

「アット・フローズン」の商品が導入され、
そこから天王町のマーケットに合わせて、
新しいアソートメントがつくられている。IMG_61132

食品売場の向かいに、
グラン・ビューティークがある。
ドラッグストアだ。
IMG_61162
カウンセリング化粧品売場がある。

さらにイオンリカー。
IMG_61172
イオンの様々な専門店が勢ぞろいしている。

そして1階のフードサービスコーナー。IMG_61202

ここに中華や回転ずし、
そしてマクドナルドなどが誘致された。IMG_61212

2階に上がって、
スポーツウェア×シューズ×フィットネス融合売場。IMG_61252

アスレチックジムも併設された。IMG_61262

赤ちゃん休憩室へ。
個室授乳室が設置されている。
それもジェンダーレス対応である。IMG_61292
2階と3階のフロアを巡りながら、
ポイントとなる新しい売場の説明を受けた。

詳細は月刊商人舎11月号で報告しよう。

最後にバックヤードに入って、
MaI(マイ)ボードの取り組みを説明してもらった。
従業員体験価値向上の取り組みである。IMG_61342

システム企画本部部ストアオペレーション部の、
天池志光(あまいけゆきひこ)部長と写真。
IMG_60942
天池さんとは一緒に米国研修をした。
いい仕事をしたと思う。

ゆっくり話を聞くことにした。

ずっと付き添ってくれたのが、
南関東カンパニー広報の一海徳士さん。IMG_60672

最後の最後にOMOスペース。
「オンラインとオフラインの融合」を測る。IMG_61402
イオンリテールの現時点の取り組み満載。

45年間見続けてきた店が蘇る。
私にとってもうれしいリニューアルだ。

今日は午後から、東京の四谷でも記者会見。
㈱セブン&アイホールディングス。seven&i_hansoku_2
こちらには山本恭広編集長が行ってくれた。

セブン&アイnews|
セブンとヨーカ堂で初の合同販促(第1弾はハロウィン)seven&i_hansoku

ちょっと意外なことだけれど、
㈱セブン-イレブン・ジャパンと、
㈱イトーヨーカ堂が、
初めての合同フェアを実施する。
「#めちゃハピハロウィン」フェア。seven&i_IMG_5216
この合同フェア以外にも、
両社のシナジーの最大化を目指して、
商品やサービス、販売促進、
そして店舗オペレーションなどで協業する。

名づけて「SEJ・IY・パートナーシップ」

商品・サービスは、
顔が見える野菜、ミールキット、
カップデリなどの相互供給。

販売促進は今回のようなフェアの合同開催、
アプリを通じた相互送客。

そして店舗オペレーションは、
7NOWとイトーヨーカドーネットスーパー。
さらに地域包括連携協定など。

セブン-イレブンとヨーカ堂が、
あらためてパートナーシップを結ぶ。

それがセブン&アイの時代の認識である。

イオンもセブン&アイも、
新しい動きを見せる。

「小売業複合危機」への対策とは、
新しい課題に挑戦することである。

マイケル・オークショット。
「変化の時代に選びうるのは、
確実な損失か不確実な利益かの
いずれかである」

〈結城義晴〉

2022年10月12日(水曜日)

TOKYO PACKの「レンゴー」と稲盛和夫の「艱難は商人を鍛える」

今日は東京ビッグサイト。IMG_60692

ここに来るとパリやケルンを思い出す。IMG_E60702
パリのシアル、
ケルンのアヌーガ。

世界二大食品フェア。

シアルはパリノール展示場、
アヌーガはケルンメッセ展示場。

私は1992年から2004年まで、
シアルドールの日本代表委員を担っていた。
だから偶数年は春と秋に、
フランスのパリを訪れた。

その間、奇数年にはドイツのケルンから、
招待されて取材した。

この東京ビッグサイトの国際展示場に来ると、
そのころのことが思い出される。 IMG_60742

1996年の開場。
建築面積約16万㎡、展示面積約11.5万㎡。
日本最大のコンベンションセンター。

しかし、世界で見ると36番目の規模だ。
IMG_60752

TOKYO PACK2022。
IMG_60772

東京国際包装展として、
1966年にスタート、以来、隔年開催。
包装資材・容器、包装機械を中心にした展示会。IMG_61032

レンゴー㈱のブースへ。IMG_60782

2022年3月期連結営業収益は7469億円。
ゼネラル・パッケージング・インダストリー。IMG_60962

デモンストレーション。IMG_60812

New Smart Display Packaging(NSD)の機械。IMG_60832

全自動でふりかけの商品が出来上がる。IMG_60852

段ボールケースをワンタッチで開封して、
そのまま陳列できる。IMG_60882

さまざまな段ボールケース。IMG_60902

細かいゴミが出ない、
片付けが楽。IMG_60912

冷蔵ショーケースでの、
段ボールカット陳列。
フクシマガリレイ㈱とのコラボレーション。IMG_60922

「デジパケ」は、
デジタル印刷活用のパッケージ。IMG_60942

藤井利明さんと岡野香織さん。
IMG_E60982
藤井さんはパッケージング部門、
開発本部開発営業第一部次長、
開発営業第一課課長。
岡野さんは、
デザイン・マーケティングセンター、
マーケティング課課長。

山本麻依子さん。
デザイン・マーケティングセンター、
マーケティング課。IMG_E61002

凄い展示会で、
面白いものばかりだった。

会社に戻って、
月刊商人舎10月号を手に取る。
うれしい瞬間。
IMG_E61092
今月号もいい出来栄えです。

特集は新フォーマット続々!
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それから「セルコレポート」が届いていた。
私の連載は、
「艱難は商人を鍛える」
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第六回は、
「稲盛和夫の”神の手”」

8月24日に逝去された稲盛和夫さん。
その若いころの艱難の人生を書いた。

朝日新聞「折々のことば」
第2514回にも稲盛さんの言葉。

飛び石を打ってはなりません。
(稲盛和夫)
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「囲碁に喩(たと)えれば、
“石はつないで打つ”のが肝要」

「事業を多角化する時も、
自分が”得手”とする範囲でしか
やってはいけない」

稲盛さんが、
悩める中小企業の経営者らに語る。
NHK・BS1の番組「逆襲のシナリオ」から。

チェーンストアの出店戦略も同じ。

基本は隣接する商圏に、
次々に店舗をつくっていく。
そして商勢圏をつくる。

その意味で、
「飛び石を打ってはいけない」

しかし一定の商勢圏をつくって、
ドミナントエリアが完成したら、
次の商勢圏を求めて、
飛んでもいい。

碁で言えば「地」をつくったら、
飛んでもいい。

稲盛さんの考え方と言葉は、
小売業やサービス業にも、
大いに参考になる。

しかし稲盛和夫の生き様そのものが、
何よりもいい勉強になる。

私の原稿をちょっとだけ紹介。

――家は貧しく、稲盛少年は、
紙袋の行商に勤しむことになります。
「父が内職で作った紙袋を自転車に積んで
市内を売り歩くのである」

――ヨークベニマルの「野越え山越」のようです。
「どこも品薄で飛ぶように売れ、
あまりの繁忙に中学を出たばかりの子を雇った」

――商人としての才能があったのです。
「私の一気の攻勢に
福岡からきていた同業者が撤収したと聞いた。
私の事業の原点はこの行商にある」

やはり稲盛さんは、
技術者であり、商人でもあったのです。

「艱難は商人を鍛える」

あらためて、ご冥福を祈りつつ、
心から感謝しよう。

〈結城義晴〉

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