結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2008年01月05日(土曜日)

「商業現代化」のヒント⇒江崎玲於奈先生の「オクシモロン」

「近代化」とは何か。
今、改訂で話題の『広辞苑』では、
「近代的な状態へ移行すること」とある。
「産業化、資本主義化、合理化、民主化など、
捉える側面により多様な観点が存在する」
慎重な物言い。
これでは、よくわからないが、
「産業化、資本主義化、合理化、民主化」ではあるのだろう。

注目の『ウィキペディア(Wikipedia)』にはこうある。
「社会が近代的な状態になること。
社会全般の産業化がその前提となる。
国民国家・民主主義・資本主義・合理主義などの
諸現象や諸制度をともなう」

私の言う「商業の近代化」は、
従って、「商業の産業化、合理化、民主化」である。
士農工商の序列をなくすことも、
まさしく近代化である。

「トレードオフ」という概念も、
ある意味で、近代化の特徴であるし、
「インダストリアリズム」は、
「産業化・工業化」であるから、
まさしく「近代化」に含まれる概念ということになる。

もちろん「インダストリアリズム研究所」を主催された小林宏さんは、
この言葉を「好循環活動」と認識し、実際に活動された。

ここにも「ポスト近代化」はあった。

私は、日本の商業には、
まだまだ近代化のなされていない部分があると思っている。
だから「近代化」は、今も、必要だし、
不可欠である。

しかし、「近代化」だけでは、
説明のつかない難題が出てきている。
問題が、解決できなくなっている。
現実が、良い方向にいかなくなっている。

「規模の論理の破綻」などともいわれる。

そこで、江崎玲於奈さんの登場である。
日本経済新聞の「私の履歴書」でのコメント。

「素晴らしい発明、発見が生まれるのはどのような研究環境か」
という質問に対する答え。

「萌芽的業績は個人の創造力に負う。
そこで優れた研究者を多数集めたとしよう。
彼らが個性的、独創的であればあるだけ、
独立を求め干渉されることを好まない。
一方、研究所長はマネジメントの立場から
重点課題に焦点を合わせた秩序ある体制を求める。
ここにはちょっとした二律背反がおこる。
そこで最も好ましい研究環境を一口でいえば、
“組織化された混沌”
とでも表現せねばならない。
部分的に見れば、
研究者は自由奔放に仕事を進めているので混沌としているが、
研究所全体としては
バランスがとれ、秩序がある状態をいう」

江崎さんは、次に、
「オクシモロン」(oxymoron)という概念を披露する。
日本語にすると「撞着語法」というが、
「対立する語句を並べて
新しい意味を主張する語法」

となる。

さきの“組織化された混沌”のようなもの。

私は、「日本商業の現代化」については、
このオクシモロンにヒントを求めたいと考えている。

倉本長治師の残した言葉は、
オクシモロンだらけである。

まず、最初。
「店は客のためにあり、店員とともに栄える」
この言葉を私は、
「CSとESは鏡である」
と解説している。
CSとはカスタマーサティスファクション<顧客満足>
ESはエンプロイーサティスファクション<従業員満足>

倉本長治『商売十訓』でも、無意識的にだろうが、
オクシモロンが多用されている。
「損得より先に善悪を考えよう」
オクシモロンでいえば、
「善悪の中の損得」

「創意を尊びつつ良いことは真似よ」
これなどオクシモロンそのものの名句である。
「創意と模倣」

「欠損は社会のためにも不善と悟れ」
「店の発展を社会の幸福と信ぜよ」

これらは「私を公とせよ」である。

「文化のために経営を合理化せよ」
オクシモロンであると同時に、
「商業の現代化」を予言している。
「ポストインダストリアリズム」の提唱である。

考えてみると、
ウォルマート創始者サム・ウォルトンは、
最初にオクシモロンを使った。

1962年、ディスカウントストアのウォルマート第1号店。
その店頭には、次の言葉が掲げられていた。
We sell for less.
Satisfaction Guarantee.

「私たちは、安く売ります。
同時に顧客満足を提供します」

この時代、商品はこうだった。
良いものは高く、
安いものは悪い。

サムのお客様へのお約束は、
まさにオクシモロンだったのだ。
サムは、それを徹底した。
貫徹した。

この言葉は、
現在も、ウォルマートを貫く理念となっている。
そして昨年9月に発表された新しいキャッチフレーズも、
これは、オクシモロンである。
Save Money.Live Better.

私自身の言葉にも、実は、
オクシモロンは散りばめられている。

昨年の標語。
「心は燃やせ、頭は冷やせ」

拙著『メッセージ』のタイトルから、
「正規軍とゲリラ」
「特定多数」
「あちらを立てて、こちらも立てる」
「十箇月と一瞬」
「模倣と創造」
「個と全体、それぞれの責任
「集権か、分権か」
「敗者復活」

そして、私の、自分自身への日々の元気づけの言葉。
「今日も一日、優しく強く」
「今日も一日、慌てず急げ」

ちなみに、「オクシモロン」はギリシャ語で、
パラドックス(逆説)の一形態。
oxy<鋭い、賢い>とmoron<鈍い、愚かだ>の合成語であるという。

<結城義晴>

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