結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年01月08日(水曜日)

杉山通敬「心技体/oneness」と権藤博「後退の許容/やらない我慢」

AJSネットワークと、
TERAOKA NEW BARANCE。
20140108201809.jpg
前者は、月刊で、
オール日本スーパーマーケット協会の機関誌。
後者は季刊で、
寺岡精工グループの機関誌。

前者は2007年11月から、
後者はもう覚えていないくらい前から、
コラムやエッセイを書いている。

正月号が届いて、目を通す。
ちょっとした喜び。

さて、「心技体」。
スポーツなどでよく使われる。

大辞林では、
「精神力・技術・体力の総称」とある。

精神力が心、
技術力が技、
体力がそのものずばりで体。

そのいずれもが大事で、
それらのバランスがとられている必要がある。

経営にも、仕事にも、
この「心技体」という概念は、
たびたび応用される。

アメリカには、
この「心技体」といった言葉があるのか。
あるいは同じような概念を、
どう表現するのか。

2008年に亡くなった杉山通敬。
かつて、日本の「心技体」を、
丁寧に説明した後で、
スティーブ・クックに尋ねた。
クックは米国人プロゴルファー。

答えは、
「oneness」。

なるほど!

プログレッシブ英和辞典では、
1 単一性、 統一(性)、同一性、不変性。
2 (思想・感情・目的などの)一致、調和。

日本の心技体と、
Americanのoneness。

なるほど!

朝から妙に納得。

日経Web刊の昨年12月31日版。
コラム『悠々球論』。
野球評論家の権藤博が書く。
「これなら続く、
元日からの肉体改造法」

権藤は社会人野球ブリヂストンタイヤから、
中日ドラゴンズに入団。
その1961年に35勝19敗、
沢村賞、新人王、
ゴールデングラブ賞などを総なめ。

この年は全130試合のうち69試合に登板。
投球回数429.1回、奪三振310、防御率1.70。

あの田中将大ですら、
こんなことはできない。

連投に次ぐ連投。
今なら流行語大賞になるだろうが、
「権藤、権藤、雨、権藤」
この後、まだ続く。
「雨、雨、権藤、雨、権藤」

とにかくすごい投手で、
稲尾和久を尊敬していた。
同郷の西鉄ライオンズの鉄腕。

酷使がたたって、
30歳で現役引退。

しかしその後、指導者としては、
見事に自分の経験を活かし、
「奔放主義」を掲げて大活躍。

考え方は、
ドラッカー先生の「自己管理・目標管理」に、
最も近い野球人。

1998年に横浜ベイスターズ監督に昇格、
38年ぶりのリーグ優勝と日本一。

このチームは1950年創設だが、
たった2回しか優勝していない。

はじめての優勝は1960年。
西鉄の監督だった三原脩を招聘、
最下位からのリーグ制覇、そして日本一。

権藤の指導者としての能力の高さは、
このことだけでも証明されている。

その権藤のコラム。
年の初めの目標。
「怖いのは三日坊主」。

権藤が編み出したのは、
「持続可能なトレーニング法」。

吉川英治の宮本武蔵を、
権藤が読んでひらめいた。

社会人野球選手の頃のこと。

「剣士を目指す少年が体を鍛えるときに、
成長していくアサだかケシの葉を
毎日飛び越える稽古をする」

「やがてアサの葉は人の背丈より伸び、
180センチくらいになるが、
毎日クリアしていくことで
知らず知らずのうちに跳躍力が付き、
ついにはその高さでも飛び越えられるようになる」

「これだと私は思った。
体のトレーニングでも勉強でも、
最初からきついことをしたり、
急に負荷を増したりするから、
ああやーめた、ということになる」

「自分でも気づかないくらい、
毎日少しずつトレーニングを上積みしていけば、
肉体的にも精神的にもつらくならずに済む。
これなら続けられるはずだ……」

社会人1年目の正月から、
権藤が始めたのが「アサの葉式」。

その成果が実って、
プロ野球選手になることができ、
「権藤、権藤、雨、権藤」
「雨、雨、権藤、雨、権藤」。

ただしこの権藤の「アサの葉式」。
ポイントが2つある。

「痛みが出たときにどうしたか。
私は自分に『後退』を許した。
体を痛めては元も子もないから、
もう一度、前に戻ってやり直す」

「肉体や精神が『ギブアップ』と悲鳴をあげる前に、
緩めるのが続けるためのコツだ」
これが第1のポイント。
つまり「後退の許容」。

第2は、「やらない我慢」。

「『もっとトレーニングしたい』という誘惑に
打ち勝たなければならない」

つまり、「トレーニングを『しない』という我慢」。

「あと1回ずつやれば、
あしたの分までできるじゃないか、
トレーニングの貯金ができるじゃないか、
という欲が絶対に出てくる。
この欲を抑えて、
1回で切り上げるのがミソだ」。

権藤は述懐する。
「皆さん、やってみればわかると思うが、
この我慢がなかなかしんどい」

「はやる気持ちを抑えて、
アサの葉の成長を追うようにじっくり、
少しずつやっていく」

権藤の結論。
「何事も『やる我慢』と同じくらい
『やらない我慢』が難しいのだ」

なるほど!

妙に納得。

ステージを上げろ、
ステージを上げろ。
過去最高、これまでで最大!

そんなことを連呼する御仁には、
権藤を学んでもらわねばならない。
「後退の許容」と「やらない我慢」。

心技体とoneness。

そして「後退の許容」と「やらない我慢」。

仕事にも勉強にも、
経営や事業にも、
そして自身の健康管理にも、
大いに役立つ考え方だ。

商人舎の今年の標語。
そして1月の標語。
「こまかく・きびしく・しつこく・なかよく」

「なかよく」を加えたことにも、
権藤博と同じような意味がある。

〈結城義晴〉

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