結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年05月12日(水曜日)

コーネル・ジャパン、上田惇生「ドラッカーの方法論」と荒井伸也・大久保恒夫「マネジメント論」

ユニクロのファーストリテイリングは、
海外戦略を強化する

日経新聞の企業欄トップに記事が載った。
だから外国人の採用が増える。

ユニクロはファッションをマス化した。
柳井正会長兼社長はかつて、言った。
「国民服をつくって売りたい」

そうして、日本のカジュアルファッション分野で高占拠を果たした。

ここから、当然ながら海外戦略が見えてくる。

一方、ゼンショーが日本マクドナルドを超えて、
日本第一位の外食企業
になるという予測。
ゼンショーが展開する牛丼の「すき家」は、
昨年12月から、売上高、客数、客単価とも急増させ、
ナンバー1の地位を築いた。

そして海外戦略を展開し始めた。

さて、昨日から、東京・市谷の法政大学。
コーネル大学リテール・マネジメント・ジャパン。
その5月講義。

第二期が昨年10月に始まり、
8回目の講義となった。

5月の8講座が終了すると、
6月のシミュレーション、
7月上旬の最終講座、
そして7月下旬のコーネル大学への卒業旅行。

本当に、あっという間に1年は過ぎる。

そして第三期生が集まってくる。
結果として、徐々に「伝統」が出来上がる。

コーネル・ジャパンは産業内大学を標榜しているが、
それは講師陣がつくるのではない。
カリキュラムがつくるのでもないし、
看板のコーネルがつくるのでもない。

学生がつくっていくものだと思う。
脱グライダー人間の集団が、
コーネル大学RMPジャパンの伝統をつくっていく。

昨日の第一講座は、上田惇生先生。
コーネル大学RMPジャパン主任講師。
ドラッカー学会代表、ものつくり大学名誉教授、
立命館大学客員教授。 

テーマは、
『マネジメントの父ドラッカーの経営思想の真髄(方法論)』
上田先生は、こういった講演はほとんど、
お引受けにならない。

しかし、コーネルだから、
そして川勝利一さんの要望だから、
ご講義くださる。

川勝さん(写真左)は、㈱アイドマ東京営業本部長にして、
商人舎エグゼクティブ。

今回も、素晴らしい講義だった。

上田先生の中には、ドラッカー思想が詰まっている。
だからどこから切ってもドラッカーとなる。
話が飛ぶようでいて、すべてがつながっている。

今回上田先生が強調したことは、
「両方必要」だということ。

例えば、「変革」と「「継続」
「変革」は必要。
しかし「継続」も必要。
「変革していかねば継続できない」

ドラッカーは、「見る人」だった。
しかし「分析する人」でもあった。

「分析」で左脳が使われなければいけない。
しかし「感性」の右脳も使われねばならない。

私は、「オクシモロン」のことを思いながら、
上田先生の講義を聞いていた。

その後、
1.モダンの誕生
2.ポストモダンへの移行
3.正統保守主義
4.万人の帝王学
と講義は進み、さらに、講義は佳境に入って行った。
「ポストモダンの七つの作法」
「一流たるための七つの心得」
「ビジネスリーダーの七つの心得」

最後にドラッカーの名言。

「われわれはいつの間にか、
モダン(近代合理主義)と呼ばれる時代から、
名もない新しい時代へと移行した。
昨日までモダンと呼ばれ、
最新のものとされてきた世界観、問題意識、拠り所が、
いずれも意味をなさなくなった」
 

商業の近代化から現代化へ。
すなわちモダンからポストモダンへ。 
    
「組織に働く者は、
組織の使命が社会において重要であり、
他のあらゆるものの基盤である、
との信念をもたなければならない。

この信念がなければ、いかなる組織といえども、
自信と誇りを失い、成果をあげる能力を失う」

ミッションと信念。

今年最後の上田先生の講義。
とても良かった。

第二講座は、首席講師の荒井伸也先生
今回のテーマは、
「組織づくりとコミュニケーション」
荒井先生が発見し、提唱している論理が展開された。

まず、スーパーマーケットの製品(product)は何か。
それは、店舗(売場)である。
メーカーのプロダクトが商品であることと対比的。

そのために、明確にしておかねばならないのが、
第二に、スーパーマーケットの店づくりの仕組み。

そして、第三のテーマ、
「スーパーマーケット・チェーンの組織」。
ここで有名な「作」と「演」の関係が、
荒井先生ご自身の説明によって、
丁寧に明らかにされた。


荒井先生が最も強く強調したのが、次の点。
『演』が目的、『作』は手段。
これは最近、荒井先生の原稿によく出てくる概念。
「作演システム」は普及したが、
まだ本質が間違って受け止められているところがある。
「演」としての店舗づくりが目的で、
「作」としての本部は手段である。

なぜならば、
小売業の製品は、
店舗であり、
売場であるから。

荒井先生の講義は、いつもながら論理的。

第三講座は、大久保恒夫先生。
㈱成城石井社長。
テーマは、
「スーパーマーケット・マネジメント」

大久保さんの主張の出発点は、
「小売業の仕事はお客様に喜んでいただくこと」
だから「売場がお客様に満足されているか」が何よりも大切。
そこで「売場での実行」こそが最重要となる。

英語では「Execution」という。

大久保さんは、「マネジメントレベル」を問題にする。
「経営方針が現場で実行されているか」
「本部指示が売場で実行されているか」

「何をするか、より、実行するかどうか」
その「マネジメントレベルの差が業績の差」となる。

マネジメントレベルを上げるための考え方と方法論が、
実務経験をもとに展開された。

第四講座の講師は、弥冨拓海先生。
㈱賃金管理研究所所長。
テーマは、
「強い企業であり続けるための賃金体系と福利厚生」

弥富先生の主張は、
第一に「企業は力強く成長し続けなければならない」
そのために第二に、大切なのが、
「カスタマーサティスファクション(CS)」と、
「エンプロイーサティスファクション(ES)」。

弥富先生は「お客様満足」と「従業員の納得」と言う。

そして、第三に、何を根拠に個別給料を決めるかが、
実にわかりやすく解説され、
さらに第四に、様々な賃金体系の整理が行われた。

最後に弥富先生が提示した数値。
所定内給与が年間約329万円とすると、
賞与や福利費、退職金、教育費、募集費など加えて、
総額人件費を計算すると555万円となる。
なんと168.6%。
これは厚生労働省の「2008年就労条件総合調査」の数字。

給与体系は、会社の体系でもある。

コーネル・ジャパンの講義は、続く。

<結城義晴>


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