結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年05月19日(水曜日)

ホールフーズ旗艦店とHEBセントラルマーケット写真報告と現状分析

日本からアメリカにやってくる。
初日は、実に長い。

日本で出発の朝、6時に起床すると仮定しよう。
今回の私のように、正午近くの便に乗って11時間半。
すると例えばダラスの午前9時ごろに到着。
それからオースティンなどに乗り換えてやってくると、
正午過ぎになる。
この時間は日本では、深夜の2時過ぎ。

そこから視察をして、
夕方にホテルに入り、
セミナーで語り、
夕食をとって、
酒を飲み、
部屋に帰って、
ブログを書く。
夜の12時に書き終わったとして、
日本時間は午後2時。

日本からのフライトの中で、
少しでも寝ておかないと、
32時間くらいぶっ続けで起きていることになる。

私の場合、飛行機で少し寝る。
1時間か2時間くらいか。

あとは起きている。

しかし、アメリカに来て初日に頑張って、
その晩、ぐっすりと寝ると、
まったく元気に動き続けることができる。

ところが今回は、違った。
初日夜には、すんなりブログを書いたが、
その後も部屋で仕事をした。
結局、テキサス時間午前4時に寝た。
そして7時前に起きた。

それでも、バスの中でも語り続け、
店舗はくまなく見て歩き、
時にはインタビューし、
質問に答え、
何より頭をフル活動して、
考察する。

アメリカが私に、
異様な刺激を与えてくれる。

さて、そんな長い初日の次の日。

オースティンは、からりと晴れ上がった。
いや、灼熱の夏のような気候。

朝、8時出発で、まず、
ホールフーズの旗艦店を再訪。  

陳列作業が終了していて、
見事の一言。

ホールフーズの2009年実績。

売上高80億3200万ドル。
100円で円換算すると8032億円。
伸び率は0.9%と落ち込んだ。

2008年はワイルドオーツを買収したから20.6%伸びた。

既存店伸び率は、マイナス 3.1%。
これもピークの2004年度には20.8%もの劇的伸長率を示した。

粗利益率は、34.3で堅持。

純利益は1億4700万ドル、147億円。

期末店舗数は、284で、
期中新店15、閉鎖店6。
この面ではノーマルな成長。
しかし現場には明らかに活気が戻っている。

CEOのジョン・マッケイが「基本に戻ろう」と呼び掛け、
アソシエーツがそれに応えた。
写真でお楽しみいただこう。

本社の下の旗艦店。
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店を入ると圧巻の青果部門。
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朝8時、開店時品揃え100%が完成していた。
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葉物野菜とニンジンを組み合わせた典型的な前進立体陳列。
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オーガニック野菜もピンピンとしていて、美しい売り場になっている。
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下段キャベツの陳列。見てください。

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青果部門はワンウェイコントロールになっている。
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これも美しい前進立体陳列。
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バナナは必ず青果部門の最後にある。
マグネットの役割を果たす。

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天井は高く、ダクトがむき出しだが、ホールフーズらしく、美しい。
プロペラ方式のファンがゆっくりと回っている。
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鮮魚売り場は作業通路が一段と高くなっている対面方式。
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氷の上に生魚を美しく並べる。
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スモークシーフード売り場。
この商品が美味。
そのうえサンプルを要求すると、いやな顔一つ見せず、
本当にどれでも食べさせてくれる。
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シーフードの前にはフードコート。店内主要カテゴリーの前には、
必ずフードコートが設けられている。
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広い通路と美しい店内、美しい商品陳列。そのなかで試食もするが、
完食もしてもらう。
それがホールフーズの政策。

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オーガニック満載の乳製品売り場。
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そして精肉部門に続く。ここにもフードコートがある。
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精肉も対面売り場で、顧客の注文に応える。
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コーヒーの売り場。
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コーヒーからケーキ、菓子の対面売り場につながる。
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ビールは専用のセラーがあって、冷やして売られる。
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水のプライベートブランド。
パッケージからもおわかりのようにファイターブランド。
競争的価格を出す、価格パワーを持つ商品。
ホールフーズがディスカウントを始めた。
それを象徴する商品。
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店舗左奥から見た広大なデリの売り場。
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左が寿司、右が対面の丼もの売り場。
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生ジュースとアイスクリーム売り場。
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デリ売り場は、朝食、昼食、夕食向けに店舗入り口にある。
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朝一番からにぎわっている。
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オールフーズ旗艦店が元気になった。

わたしはそれだけで嬉しくなった。
まさに世界最高峰の店の復活である。
次に訪れたのが、
HEBが展開するアップグレード・フォーマット。
「セントラルマーケット」  
その第一号店。1994 年オープンの店。

HEBの2009年度年商150億ドル、1兆5000億円。
売上げ伸び率2.4%。
店舗数317店。

3つの戦略的フォーマットを持つ。
第一が、フード&ドラッグ(H.E.B Food Store)。
生鮮食品の強さの上に、ドラッグストアをコンビネーションさせた。
店舗面積は1400坪から2500坪。
平均1週間70万ドルの売上高で、
そのうち、トップの20店舗は週100万ドルを稼ぐ。
すなわち年間約50億円。

第二の戦略フォーマットが、セントラルマーケット(Central Market)。
都市部の超大型グルメスーパーマーケット。
青果部門は全米有数のパワーを持つ。
そのうえでプリペアード・フードとグロサリーのスペシャルティ・プロダクト。
第三が昨日訪れたHEB プラス(plus)。
フー ド&ドラッグに、さらに非食品をプラスアルファしたコンビネーションタイプ。
11万~20万スクェアフィート(3000~5600坪)で、
1 週間80万~100万ドルの売上高。
円換算すると40億円から50億円の年商。

さて2番目のセントラルマーケットの第1号店、
最近、リニューアルした。

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「アルゼンチンへのパスポート」と題したキャンペーンで、
店中がアルゼンチンモード。
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青果部門の初めにオーガニック。緑色のPOP。

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ワンウェイコントロールの店。
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両サイドに高めの什器。
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青果から鮮魚へ。器用な手さばきで魚をおろす。
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精肉売り場は畜種別の対面コーナーが主力。
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ワイン部門にはアンデス山脈の大きなボード。
アルゼンチンのキャンペーンの一環。
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バルク売り場も、アップスケールタイプの店には不可欠。

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チーズ売り場。すっきりしたデザインだが、
私はリニューアル前のほうが断然、好きだ。
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ケーキ売り場も対面。
ワンウェイで顧客を引っ張るために対面コーナーを随所に設ける。
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フレッシュパスタのコ-ナー。

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最後にテイクアウトのデリ売り場。
この先に広大なフードコートが広がる。
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さてどうだろう。
不思議なことに、魅力が半減した。
私の目にはそう映った。

なぜか。

古都の寺。

例えば奈良の薬師寺。
五重塔が二つある。
一方は焼失して、それが復元された。
もう一方は、奈良時代から残った国宝。

この場合、古いほうが圧倒的に良い。

セントラルマーケット第一号店のリニューアル。
新しい五重塔のような感じになっている。

誠に残念。

それでも、商品も人も変わらない。
だから徐々に、良くなっていくのだろうが、
店そのものは、この場合、
古いほうが良かった。

店とは不思議なものだ。
もしかしたら、
生きているのかもしれない。

人間のように、
生物のように。  

生きているものの皮をはいで、
無理やり新しいものにするのは、
その生命力を 削ぐことになる。

もちろん古くて老衰しそうな生物に、
新しい血を降り注ぐことは必要だ。

その判断が、実はとても 難しい。

「むずかしいからおもしろい」  

さて話は オースティンに戻る。

セントラルマーケットの前で全員で写真。

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その後、私たちは急遽、予定を変更して、
「HEBプラス」の最新店に行った。

それが良かった。
HEBという企業の今後の姿勢を表していた。
[明日に続く] 

<結城義晴>  

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