結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年09月20日(土曜日)

ユニクロの「キッズ強化」とイトーヨーカ堂の「大衆百貨店化作戦」

日経新聞『消費ビズ』に、
「ユニクロ、東レと子供服」の記事。

ファーストリテイリングが例によって東レと組んで、
新素材「ウォームパデット」の子供服を開発。

ポリエステル繊維を極小のボール状に加工し、
それをまたポリエステルの生地で包み込む。
絡み合った繊維の間に空気が入り込む。

だから羽毛に近い保温性が保てるし、
洗ってもいい。

この新素材を中綿に使用する。

手洗いができるジャケット。
子供は汚すから。

この商品は2015年1月から一斉に販売。
税別価格は2990~4990円。

子供は成長が早い。
タンス在庫があったとしても、
すぐにサイズが合わなくなる。
だから購買頻度が高い。

アメリカのチェーンストアは、
キッズ・ファッションが極めて重要な領域だ。

ウォルマートのJUSTベーシックスは、
Jのジーンズ、
Uのアンダーウェア、
Sのソックス、
Tのティーシャツ。

しかしそれと同じくらいキッズは重要。

ユニクロのキッズのアイテム数は、
約300から450になる。

売場は1.5倍から2倍。

さらに今月のうちに、
子供服を扱う店舗数を680店に増やす。
これは6割増。

2013年9月~14年5月の第3四半期までの、
ユニクロの国内キッズ売上高は330億円。
前年同期比プラス14%。
しかし全売上高の5.8%。

年間では単純計算すると、
440億円くらいか。

少ない。

ということは伸ばす余地がある。

日経には矢野経済研究所の市場データがある。
日本国内の子供服とベビー服の2012年の売上高、
6990億円。

ユニクロは6.3%のシェア。

「まだまだ」。

柳井正さんの声が聞こえるようだ。

しかし、スポーツを押さえ、
これでキッズを確立して、
総合スーパーの衣料品は、
さらにユニクロに侵食される。

赤ちゃん本舗や、
西松屋チェーンも、
戦々恐々だろう。

一方、イトーヨーカ堂。
これは一昨日の日経新聞。
「百貨店PBで衣料テコ入れ」

セブン&アイ・ホールシングス傘下のそごう・西武百貨店と、
ヨーカ堂が衣料品事業で共同開発をスタート。

2014年度中というから、勝負はこの秋冬。

肌着など3アイテム。
3年で50億円の売上げ目標。

ブランド名は、
「リミテッドエディション IYコラボ」シリーズ。

「上質な素材を使い、
国内工場で縫製するなど製造工程にもこだわり、
百貨店レベルの品質の高さを前面に打ち出す」。

そごう・西武の「リミテッドエディション」は既に、
2014年度売上高約1000億円。

百貨店PBとして最大規模。

そこでIYコラボは、
最初に女性向けの肌着を
税抜き1790円で販売。

さらに14年度中には、
着圧機能を備えたストッキングを500~700円、
男性向けワイシャツ4900円を投入。

イトーヨーカ堂約150店と
そごう・西武全店で販売。

価格帯は、例えばワイシャツは、
従来のヨーカ堂アイテムより2000円程度高い。

この試みは、いい。
もっともっと早く、
やるべきですらあった。

イトーヨーカ堂の2013年度、
衣料品事業売上高約2040億円


全体では赤字。

あのヨーカ堂の衣料が赤字。
隔世の感あり。

かつては圧倒的に強かったヨーカ堂の衣料。

これはすなわち、
総合スーパーの業態フォーマットの問題でもある。

今月の月刊『商人舎』9月号で、
アメリカの「百貨店」と、
「いわゆるGMS」の業態整理をした。

従来の日本の百貨店とGMSの分類が、
間違いであったことの解析。

どんな難しい問題も、
解決してみればシンプルだ。

まさにそんな感じ。

その考え方からすると、
セブン&アイのそごう・西武百貨店と、
総合スーパー・イトーヨーカ堂。

もっともっとコラボすべきだ。

アメリカのメイシーズ百貨店。
840店の巨大チェーンだが、
高級百貨店をブルーミングデール、
大衆百貨店をメイシーズにしている。

私はヨーカ堂は、
メイシーズになるべきだと思う。

つまり、もっともっと高級化せよ。
古典的なチェーンストア理論など、
まったく無視してよい。

そして、そごう・西武は、
さらにアメリカのニーマンマーカスのように、
もちろんブルーミングデールのように、
超高級百貨店になる。

今回の「リミテッドエディション」。
IYコラボなどの言葉をつけずに、
堂々と百貨店アイテムであることを、
顧客に表明したほうがよろしい。

それがユニクロを模倣しない、
ポジショニング戦略である。

〈結城義晴〉


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