結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年03月28日(木曜日)

2月の業態別売上実績の「商略」と商売の三大原則

昨日の商人舎流通スーパーニュース。

2月6業態統計まとめ|
コンビニ増収/総合スーパーとスーパーマーケットは減収
matome_20190327_01
今年の二月、逃げる。

2月決算企業も3月決算企業も、
最後の追い込みにもかかわらず悪かった。

しかし、
全業態が低調というわけでもない。

既存店売上高の前年同月比。
良かった業態から並べよう。
⑴コンビニエンスストア2.0%増
⑵外食産業1.9%増
⑶ショッピングセンター0.9%増
⑷百貨店0.4%増

ここまでが前年比プラス。

⑸スーパーマーケット2.2%減
⑹総合スーパーは2.5%減

その業態の全体の売上高が、
スーパーマーケットは97.8%、
総合スーパーは97.5%。

ただし業界や業態が、
全体でマイナス2%台というのは、
前年比100%前後の企業があった半面、
9割を割る企業も多かったということだ。

95%を切った企業、
90%にしか行かなかった企業は、
厳しい表現となるが、
根本的に何かがおかしい。
あるいは決定的に競争の敗者である。

小手先の「商略」では、
問題は解決しない。

「商略」という用語は、
故渥美俊一先生がよく使われた。

商いの駆け引きや策略。
あの手この手の目先の作戦。
あるいは士気高揚だけの方策。

くるくると方針が変わる。
政策の軸がぶれる。

「すぐ役に立つことは
すぐに役立たなくなる」
(橋本武)

何度でも言わねばならない。

商略に頼っていては、
これからの競争時代に、
絶対に生き残ってはいけない。

厳しい時代に入ってきた。

ただし、小売業は、
回転差資金が働く生業(なりわい)だ。
一言でいわば、
キャッシュフロー経営をやりやすい。
最も潰れにくい業種である。

だからオーソドックスに、
基本の徹底を繰り返すこと。

その三大原則はQSC。
第1にQuality
第2にService
第3にCleanliness

第1は「品質、鮮度、味」
第2は「フレンドリーサービス」
第3は
「クレンリネス」
クレンリネスははただ清潔で、
きれいなだけでは足りない。
ピカピカなこと。

一方、鈴木敏文さんが考え出した、
セブン-イレブンの四大原則は、
①品揃え
②鮮度管理
③クリンリネス
④フレンドリーサービス

商売の原則のQSCの中のQualityが、
コンビニでは鮮度管理だとすれば、
①の品揃え、欠品しないことが加わる。

ただし近年は、
「売り切れ御免」の商売も成り立つ。
それを戦略にしている企業もある。

ドン・キホーテがその代表だし、
エブリイも故岡﨑雅廣さんが、
この戦略を打ち出した。

アメリカでは、
「ポップアップセール」と呼んで、
大きな成果を上げている。

⑴全店に、
⑵標準化して、
⑶エブリデー、
⑷品揃えしなければいけない。

それもあっていいだろうけれど、
それがない企業もあっていい。
それがない時期があってもいい。
年末商戦などその一例だ。

これもポジショニング戦略の一環である。

もちろん、
基本の徹底とともに、
変化への対応も必須だ。

イトーヨーカ堂の社是。

変化への対応が、
マーケティングであり、
イノベーションだ。

しかしその前に、
基本の徹底がなければ、
商売は基礎の部分から崩れていく。

さて、今日は、朝から、
東京・小平。

第一屋製パン㈱の定時株主総会。
小平の本社と小平工場。
その敷地に桜が八分咲き。
IMG_44819

前年の決算を発表し、
今年度の方針を株主に問う。

東証一部上場企業だが、
アットホームな社風で、
工場の大会議室と中会議室に、
株主の皆さんに集まってもらって、
定時総会を開催する。

総会もそうだし、
その後、続けて行われる懇親会も、
温かい励ましや提案などが、
次々に発言される。

細貝理栄代表取締役会長には、
株主のファンがいて、
発言の最後に声をかけてくれる。
「会長! 100歳まで頑張ってよ!」

いいパン屋さんだね。

私もこの会社のそこが好きだ。
まだまだ改革し続け、
努力しなければならないことが、
山積しているけれど。

「おいしさに まごころこめて」

桜の花がそれを祝福してくれる。
IMG_44829
取締役が入れ替わって、
私も再選された。

その後、役員会の面々に、
本部長や幹部全員が加わって、
立川でランチ。

お疲れさまでした。
そして今年度もよろしく。

その後、横浜商人舎オフィスに戻ると、
裏の遊歩道の早咲きの桜は、
完全に散っていた。IMG_44718

それでも春はこれから本番。

桜の花も「それぞれの咲き方」。
小平の工場の桜、
横浜北幸の遊歩道の桜。
どれもいい。

それがまた、
ポジショニング戦略の総体図である。
IMG_44728

朝日新聞「折々のことば」
3月25日の第1413回。

世界がぜんたい
幸福にならないうちは
個人の幸福は
あり得ない
(宮沢賢治「農民芸術概論綱要」から)
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「人は自己のみならず
他者の不幸をも悲しむ。
他人のみならず他の生き物、
さらに宇宙の苦しみをも苦しむ、
つまり共感(シンパシー)が
〈人〉の本性であるかぎり、
“世界”が幸福でなければ
自分も幸福でない」

編著者の鷲田清一さんは、
寺山修司の『幸福論』から、
とある接客業の女性の言葉を引用する。
「ひとりで
幸福になろうとしても、
それは無理よ」

私のポジショニング戦略は、
「それぞれのドラッカー」に、
根差している。

だからそれぞれに、
それぞれの良さや強みを貫く限り、
世界は幸福になる。

商略ばかりで、
自分だけ
儲けようとする者は、
必ず滅びる。

〈結城義晴〉


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