結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年12月21日(火曜日)

FSSF2021の報告・反省会とコンビニvsスーパーマーケット

東日本大震災のあとのような心持ちで、
昨日という1日が過ぎていった。

夏原平和さんが亡くなって、
心にぽっかりと空洞ができたようだった。
夏原平和2
毎月のようにお会いしたわけではない。

けれど、
月刊商人舎や毎日更新宣言ブログを、
読んでくださっていて、
未来に続く同じテーマを考えている。

私はそんな印象をもっていた。

いわば同志を失った。
私だけの気持ちだが、
ひどく寂しい。

ご冥福を祈りつつ。

昨日は午前中に、
東京・八丁堀。
日本食糧新聞社。

フードストアソリューションズフェア。
略してFSSF2021。
12月2日・3日に大阪で開催された。

その結果報告と反省の会。

主催の日本食糧新聞社から、
今野正義会長と杉田尚社長。
共催の離島振興地方創生協会から、
理事長の千野和利さん。
そしてアドバイザーの商人舎。
結城義晴と亀谷しづえ。

千野さんが一足先に、
次のアポに向かわれたので、
残る三人で写真。
IMG_00511
来年も商人舎はセミナーをはじめとして、
さまざまの協力をすることになった。

よろしくお願いします。

2025年に大阪万国博覧会が開催される。

コロナ後の日本はこの、
4年後の大阪万博に向かって、
一つの大きな軌道を歩む。

それが東京一極集中を脱し、
着実に地方創生を推進することになる。

FSSFは西日本の食品小売業18社が、
副主催となってそれを支える。

私は九州・福岡に生まれ、
神奈川県で育ち、
東京にある大学と会社に通った。

だから東京首都圏のすごさを思い知らされたし、
西日本や地方の大切さもわかる。

FSSFは関西と西日本と地方から、
日本の食品産業を盛り上げる。
そんな使命をもっている。

そのあと、横浜商人舎オフィスに戻る。
横浜駅西口の新田間川。IMG_97631

それから今年最後の仕事。
月刊商人舎2022年1月号の編集。

夏原平和さんには、
読んでいただけないけれど、
渾身の一冊にする。

今回も執筆量は多い。
頑張ります。

夕方の新田間川と横浜駅西口。IMG_976411
さて昨日の日経新聞「経営の視点」
タイトルは、
「流通、11兆円支える270社と3社」
サブタイトルは、
「地場零細に宿る価値」

編集委員の田中陽さんの書下ろし。

スーパーマーケットと、
コンビニエンスストア。

その産業の特性の差異を分析する。

「両者の市場規模は約11兆円でほぼ同じ。
ところが企業数では全く違う顔を見せる」

スーパーマーケットは約270社、
コンビニは大手3社で約9割を占める。

「スーパーはさぞかし苛烈な競争を
演じているかといえば
主要都市の住宅地周辺などの
局地戦を除くと、そうではない。
すみ分けが進む」

私はかつてこれを、
「スーパーマーケット天国」と呼んだ。

「コンビニは厳しい競争にさらされ、
再編が繰り返され、
寡占でも競争環境は変わらない」

こちらは「鼎占(ていせん)である。

「この違いを今日的な言葉で表現すれば
“多様性と同質性”の差だろう」

スーパーマーケットはいまだ、
ローカルチェーンが基礎単位だ。
私は廃藩置県の「藩単位」が基準だと考えている。

コンビニはナショナルチェーンとなった。

「国土が狭いニッポンだが、
同一法人として全国展開する食品スーパーは
存在しない」

アメリカには、
クローガーとアルバートソンがある。

しかし日本は、
ナショナルチェーンとはならない。

イオンのマックスバリュなどは、
リージョナルシフトを敷いている。

田中さん。
「同グループは
幾度となく集約化を検討したが
食文化、食習慣を尊重すると
中央集権型でなく、
地域密着の分散経営に落ち着いた」

「川一本を挟んだだけで
味噌やしょうゆの味や色が異なる。
餅の形も丸や四角に。
水の違いもある」

「日本には、
しょうゆ、味噌のメーカーが
それぞれ約1000あり、
こうした商品をスーパーに届けるのが
地域に根を張る食料・飲料卸売業。
事業所数は約3万5000」

「メーカーも零細だから量産は難しく、
それが郷土料理として輝く」

「卸も零細だが、
それゆえに地域のひだに入り、
庶民が慣れ親しんだ味覚、
舌の記憶を支える。
豊かで共同体的な市場経済が
エコシステムとなる」

一方のコンビニは、
「大手3社は全都道府県に
看板を掲げるまでに成長した」

「狭い売り場で高速回転で
人気の商品をさばき続けて
利益を稼いだ結果が同質化」

「地域性を意識はするが
地場スーパーには及ばない。
コンビニ経営の間尺には合わなかった。
再編で目指した寡占の果実は
逃げ水だった」

コンビニにも手厳しい。

田中陽さんの結論。
「コロナ禍でいろいろな産業で
再編が加速している。
流通業も例外ではないが、
再編、寡占に勝者はいるのか」

「そうした資本と競争の論理とは
一線を画し、地域社会を守るところに
存在価値が宿るはずだ」

これは同感だ。

だから食品による「地方創生」は、
スーパーマーケットが、
地域の卸売業や生産者・製造業とともに、
推し進めることになる。

巨大なナショナルチェーンと、
良質のリージョナルチェーン、
個性的なローカルチェーン。
そして類のない支店経営。

それぞれにそれぞれの、
ポジショニング戦略がある。

ユニークな立ち位置があるからこそ、
それが存在価値となって、
地方創生は進捗するのだと思う。

〈結城義晴〉


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