結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年07月06日(水曜日)

ニチリウ研修会の1日講義と「危機対応が次の危機をつくる」

昨夜から大阪。

台風一過。
台風が去ると、
関西はやはり関東より暑い。

新大阪の隣の西中島。IMG_41052

日本流通産業㈱の研修会。
通称「ニチリウ」。
1974年に発足した流通機構。
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朝10時から始まる。
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全国のニチリウ加盟企業から、
受講者が参集。
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午前中の講師は結城義晴。

ゴドフリー・レブハーは書き残している。
「チェーンストアは、
小売業であり、
卸売業である」

小売業の側面は店舗運営部が担い、
卸売業の側面は商品部が担当する。
それが一つの会社として、
有機的に機能する。

これが根本的な考え方だ。
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昼食をはさんで、
午後の講師は鈴木哲男先生。IMG_40852

「52週MD」の考え方は、
鈴木先生がつくり出し、
理論を確立した。

そしてそれが今や、
日本中の消費産業の大原則となった。IMG_40942
そのご本人から学ぶのが一番いい。

夕方、再び結城義晴。

最後の総括をしつつ、
プライベートブランドのあり方、
仕様書発注の注意点、
さらにサプライチェーンの本質など、
マスターしておかねばならないテーマを
最後に講義した。

米国のサプライチェーンカウンシルは、
その概念を定義している。

「価値提供活動の初めから終わりまで
つまり原材料の供給者から
最終需要者に至る全過程の
個々の業務プロセスを、
一つのビジネスプロセスとしてとらえ直し、
企業や組織の壁を越えて
プロセスの全体最適化を継続的に行い
製品・サービスの顧客付加価値を高め、
企業に高収益をもたらす
戦略的な経営管理手法」

これを目指すのが、
卸売業であり小売業であるという側面の、
チェーンストアである。IMG_41012

ホテルの中は涼しくて静かだ。IMG_41032

講義が終わると最後に、
質疑応答。

各社の代表から、
質問を出してもらい、
感想を述べてもらった。
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そして最後に拍手をいただいた。IMG_41242
ご清聴を感謝しつつ、
参加者のご健闘を祈りたい。

講義が終わると、
すぐに新大阪から新幹線に乗って、
車中で原稿執筆。
こんなに集中する時間はない。

午後8時半ごろ、
横浜の商人舎オフィスに帰った。

そして7000字の最後の原稿を書き上げて、
入稿し、責了した。

お疲れ様。

いい雑誌ができました。
ご期待ください。

今日の日経新聞「大機小機」
コラムニストは赤金さん。
テーマは、
「危機対応がつくる次の危機」

「危機への対応が次の危機を用意する――」
その通り。

「急速に世界で進む
金融市場の逆回転をみると、
その歴史を繰り返すことになるかとの
懸念がよぎる」

歴史は回る。

「世界を襲った新型コロナウイルス禍」

「人やモノの移動が止まり
需要が蒸発する事態に各国は
大規模な金融緩和と財政出動で
しのぐ道をとった」

「ただ、それは一段とマネーをあふれさせ、
新たなバブルを膨らませることになった」

危機への対応が、
次の危機を生んだ。

「30年続いた低金利時代は
債券価格が上昇を続けるという
大相場をつくった」

「脱炭素を旗印にした欧米の需要創出策も、
ロシア問題で道が険しくなった」

「インフレ抑制を優先すれば
景気の犠牲は免れず、
まして金融緩和策の手も取りづらい」

あちらを立てれば、
こちらが立たず。

「危機打開へ国際協調を期待できなければ
閉塞感は強まるだろう」

「忍び寄る嵐の気配」と、
コラムニスト。

会社の経営でも、
店の運営でも、
「危機への対応」が、
「次の危機」をつくる。

そんな危機連鎖のときに、
なにを拠り所とし、
どう考え、どう行動するか。

月刊商人舎7月号に、
そのヒントがある。

ご期待ください。

〈結城義晴〉

2022年07月05日(火曜日)

台風去って大阪へ。第1四半期決算の「良い戦略」

台風4号「アイレー」
長崎県に上陸したが、
九州を横断中に、
温帯低気圧に変わった。

しかし各地で大雨を降らせた。
お見舞い申し上げたい。

私は横浜商人舎オフィスで、
原稿執筆と入稿。

今月号は故岡崎久彦さんや、
故外岡秀俊さん、
そして遠藤乾さんが書かれたものを、
参考にさせてもらった。

岡崎さんは元外交官、評論家の論客。
サウジアラビアとタイで特命全権大使を歴任。

外岡さんは元朝日新聞編集局長で、
ジャーナリスト、小説家。
昨年12月23日に逝去した。

遠藤さんは国際政治学者。
東京大学大学院教授で、
読売・吉野作造賞を受賞している。

原稿を書くなかで、
どういうわけか、
怒りのようなものが込み上げてきた。

ウクライナ問題などに関して、
私のストレスがたまっていたのか。

それが巻頭の原稿に、
ストレートにあふれ出てきた。

そういったときもあるだろう。
それもいい。

夜の8時半まで必死で書いてから、
新横浜に向かった。

雨はやんでいた。

すぐにチケットを買って、
新幹線のホームに上がる。
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待合室に座っていると、
後ろをひかり号が過ぎていった。IMG_E40602

私が乗るのは21時13分発ののぞみ115号。IMG_38202

乗り込んでパソコンに向かっていると、
2時間余りで新大阪に着いた。IMG_38212

新幹線の構内にもう人影は見当たらない。IMG_38222

新大阪隣接のホテル。
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大阪は雨がしとしと降っていた。

定宿は上本町のホテルだが、
遅く入る時はこのマリオット。
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新幹線から近いのがいい。IMG_38262

さて商人舎流通SuperNews。
このところ、
第1四半期決算が報告されている。

U.S.M.Hnews|
第1Q営業収益1736億円・経常利益68.7%減の減収減益

ウエルシアnews|
第1Q売上高2677億円7.6%増・経常利益18.6%増

サンエーnews|
第1Q営業収益512億円0.7%増・経常利益26億円1.0%増

アークランドサカモトnews|
第1Q巣ごもり消費の反動減で売上高828億円

U.S.M.Hはスーパーマーケット業態で、
減収減益。
ウエルシアはドラッグストアで、
増収増益。
サンエーは総合スーパー中心で、
微増収微増益。
アークランドサカモトは、
ホームセンターで多分、
増収増益だが、
収益認識に関する会計基準を採用したので、
今期はわからない。

四者四様。

営業利益率と経常利益率は、
ユナイテッドが0.4%、0.5%。
ウエルシアは2.9%、3.9%。
サンエーは5.0%、5.2%、
アークランドサカモトは、
同じく7.1%、7.6%。

売上高や利益額の前年対比指標は、
コロナ禍の巣ごもり消費の反動などがあって、
今、正確に企業力を示してはいない。

しかし利益率は、
その企業のレベルを表している。

商品値上げやエネルギーコストが、
歴史的高騰を見せるとき、
良い戦略のもとに進む企業は、
戦術の失敗を取り戻すことができる。

今、自覚すべきは、
根本的な戦略の問題である。

〈結城義晴〉

2022年07月04日(月曜日)

そごう・西武の売却問題と「3つの処方箋」

Everyone! Good Monday!
[2022vol㉗]

2022年第27週。
7月第2週。

梅雨は本当に明けたのか?
そう思わせるような天気だ。

そのうえ台風「アイレー」が北上中。
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7月1日午前9時の日本列島の南の海上、
熱帯低気圧が台風4号に変わった。

ゆっくりと北北西に進み、
2日から3日にかけて、
沖縄本島地方や大東島地方に接近。
今日4日午後6時現在では、
鹿児島県西の海上を北上中。

明日5日(火)の日中に、
九州北部にかなり接近し、
あるいは上陸して、
6日(水)の未明から朝にかけて、
近畿地方に最も接近する見込みだ。

私は今日と明日、
月刊商人舎7月号の最後の責了をして、
明日の晩、大阪に入る。

そして明後日は1日中、
セミナーで講師を務める。
沖縄からも受講者が参加の予定。

心配だ。

KDDIの大規模な通信障害。
2日未明に発生した。

発生から62時間以上が経過して、
全国的にほぼ回復。

しかし全面的な復旧の判断は、
明日5日の夕方になる。

auの携帯電話だけでなく、
様々なところに影響を及ぼした。

鉄道貨物に遅れが出た。
バスの現在位置が把握できなくなった。
銀行のATMが動かなくなった。
アメダスの観測情報が集約できなくなった。

私はauではないので、
問題はなかったが、
商人舎でも3人が使っていて、
ずいぶん困ったらしい。

音声通話とインターネットは遮断されたが、
ショートメールは繋がった。
これで連絡をとって事なきを得た。

結局は通信網の危機管理が甘かった。
リスクマネジメント問題だ。

さて、そごう・西武の売却問題。

日経新聞がスクープ。

フォートレス・インベストメント・グループが、
優先交渉権を得た。
アメリカの投資ファンドだ。

これも日経の取材だが、
フォートレスはそごう・西武の買収に関して、
ヨドバシホールディングスと、
連携に向けた協議を進めている。

たとえば西武池袋本店の施設内で、
ヨドバシカメラが営業することもある。
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ヨドバシにとっては、
百貨店の本店は魅力ある物件だ。

記事では、
「セブン&アイとフォートレスは、
従業員の雇用や店舗の改革を含めた
詳細を詰めていく。
ただ条件を巡って
今後の協議は曲折も予想される」

「そごう・西武が、
百貨店をどのように改革するのか」

私は百貨店に関して、
もう20年ほど一貫して主張している。

『百貨店の未来』だとか、
『百貨店が復活する日』だとか、
そんな本が出た1998年、2000年にも、
私の考え方はそれらとは違った。

まず第1に旗艦店だけを残す。
英国ロンドンのハロッズが手本だ。

第2はその旗艦店から、
新しいフォーマットを生み出していく。
新しいサービスと新しい商品、
新しいライフスタイルを、
この店しかない形で提供する。

独自のポジショニングである。
それは世界中で、
この店にしかないものでなければならない。

そして第3に、
1店に1人の最終責任者を設ける。
1人のチームリーダーが、
チームマネジメントで、
1店ごとに完全独立採算制を担う。

その際、目標管理の自己管理がいい。

〈1店=1企業〉の考え方だ。

これしかないし、
それはできる。

ただし、誰がそれを意思決定し、
誰がそれを推進していくのか。

意思決定者と改革の推進者は、
現状ならば同じ人格のほうがいい。

本気のプロデューサーである。
故堺屋太一さんが推奨したやり方だ。

そごう・西武に関して、
それは誰なのか。

どう改革するかよりも、
誰が決めて、誰がやるか。

その「誰が」を決めるのにも、
今、誰が責任を持っているのか。

どこが買収先になるかも結局は、
誰が最終的に決めるのか。

そのあたり、
無責任な空気の中で進んでしまったら、
「西武池袋店にヨドバシを入れる」
くらいの話で終わってしまうだろう。

それは唯一のポジショニングには、
結びつかない。

私は西武池袋店も、
横浜そごうも、
大好きで、よく使う。
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だから成功してほしいと願うものだが、
まずは「誰がやるか」の「誰」が決まらねば、
泡と消えていく。

そして今、「誰がやるか」を決めるのは、
セブン&アイのトップしかいない。

では、みなさん、
今週も、暑さと台風には気をつけて。
一人ひとりが、
本気のプロデューサーを目指そう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年07月03日(日曜日)

「緊張感のない参議院選」と「歴史観のある骨太の論点」

梅雨は明けても花は咲く。

アガパンサス、紫君子蘭。
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台風がやってこようとも、
花は咲く。

ヒャクニチソウ。IMG_37962

ラベンダーは香りもいい。IMG_E38092

7月最初の日曜日。
自宅の部屋に籠って、
原稿と取り組む。

来週の日曜日は、
第26回参議院議員通常選挙の投票日だ。
即日開票される。

しかしどうも緊張感がない。

6月最後の日経新聞コラム「大機小機」
硬骨漢の一直さんが書く。

「新型コロナウイルス禍、
ロシアのウクライナ侵攻、
急速に台頭したインフレ懸念――」

「世界はいま、歴史上まれにみる
厳しい”複合危機”に遭遇している」

「その渦中で参議院選挙がスタートした」

ところが、
「緊張感が驚くほど感じられない」

私もそう思っていたから、
思わず膝を打った。

「緊張感がない」と語るのは、
自党候補の応援に多忙な衆院議員。

「実際、街に出ても熱気が伝わってこない」

なぜなのか。

コラムニストは、
岡崎久彦著『戦略的思考とは何か』を引く。
「日本人は肌で感じないと理解しない。
抽象的、論理的思考が苦手だ」
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現在の世界を見ると、
「グローバル経済の分断で
世界中の人々が
急激なインフレに苦しんでいる」

今回の選挙でもそれぞれの党の公約の、
トップに来るのは物価対策だ。
有権者の最大の関心もそこにある。

「物価高はモロに肌を刺激する」

「消費税を全廃すれば、
毎日が10%オフだ」
そんなことを言う党首も出てきた。

それでも盛り上がらない。

「自民党がエネルギーや食糧などの
価格抑制に焦点を当てているのに対し、
立憲民主党など野党の多くは
消費税減税を主張する」

一直さんはストレートだ。
「緊急時の対策に基幹税を充てるのは
いかにも無責任だ」

私も同じ考えだ。

「野党の対案が空論では
論争になるはずもない」

これが「緊張感のない参議院選」の理由である。

「もっと気になるのは、
核を保有する専制国家によって世界が
分断される時代に入ろうとしているのに、
この国をどんな理念で
どの方向に引っ張っていくのか、
根本の政策論争に熱が入っていない点だ」

岸田文雄首相の「新しい資本主義」も、
掛け声だけだ。

「将来を展望し長期戦略を描くには、
肌で感じられる目の前の事象から一歩離れ、
歴史の大きなトレンドを抽象化し、
論理を構築する、
哲学的思考が要求される」

小売業、流通業、サービス業にも、
この点は必要だし、
欠けている。

コラムニスト。
「岡崎氏が喝破したように、
詰め込み主義の教育の影響もあってか、
日本人はどうもここが弱い」

「ロシアの暴挙で
日本の安全保障政策のあり方が、
にわかに切実な国民的課題に
浮かび上がってきている」

自民党は、
「自衛力強化を目指して
9条の修正を含む憲法改正に取り組む」

これは自民党の結党以来の路線である。

一方の野党側からは、
「観念論を排した、
具体的防衛政策論が聞こえてこない」

コラムニスト。
「論戦の底が浅いのだ」

これにも同感。

与野党ともに底が浅い。

テレビ討論などを見ると、
その底の浅さが露呈している。

結局はこうなる。
「政治家は国民を超えない」

コラムニストの結論。
「論理的な骨太の論点を提示できない
政治家はもとより、
目先にとらわれがちな
わたしたち国民の責任も大きい」

情けないことだが、
いずれも同感せざるをえない。

国民がそれぞれの専門分野で、
政治家を超える論理性をもつ必要がある。

その自分の専門性をもとに、
逆に政治と政治家を監視し、
歴史観のしっかりした候補者に投票し、
骨太の論点を深める政治家を、
つくっていかねばならない。

だから私は、
小売流通業に関して、
目先にとらわれない、
骨太の論点を提示したい。

いつも言っている。
「すぐ役立つことは、
すぐに役立たなくなる」
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私と商人舎は、
その役目を担っていると、
思っている。

〈結城義晴〉

2022年07月02日(土曜日)

似鳥昭雄「会社が始まって以来の失敗」と「自分の情報と勘」

似鳥昭雄さんの発言。
㈱ニトリホールディングス会長。

「会社が始まって以来の失敗だ」
似鳥昭雄

商人舎流通SuperNews。
ニトリnews |
第1Q売上高2166億円0.6%増・経常15%減/原価対策及ばず

第1四半期決算発表の記者会見。
微増収減益。

ニトリは通期決算では、
35期連続増収増益を誇っている。

しかし36期連続を目指す今期の、
第1四半期は減益となった。

似鳥さん。
「為替の予想が外れたことが一番大きい」

円安の影響である。

9月分まで為替予約をしていた。
1ドル114円90銭。

しかしそれが現在、136円前後で推移。

「せめて期末まで予約すべきだったと
反省している」

「為替予約」は、
外国通貨を購入または売却する際、
ある時点までの価格と数量を、
予約的に契約する取引きのことだ。

日経新聞によると、
「これまで似鳥会長は、
自身の情報や勘を頼りに
2~3年先まで為替予約をしていた」

似鳥さんらしい。
「ただ約2年前から為替予約の期間を短くし、
金融関係者の意見を聞く手法に改めた」

似鳥さん。
「責任を転嫁するつもりはないが、
私が間違っていた」

このきっぱりと言い切るのも、
似鳥さん独特のものだ。

商人舎発足の会では、
発起人に名を連ねていただいた。

ヤオコーの33期連続増収増益と、
ニトリの35期連続増収増益。
二つの金字塔だ。
途切れては欲しくない。

「もう二度とこんな失敗はしたくない。
チャンスがあれば長期の為替予約をしたい」

ニトリのようなプライベートブランド中心で、
しかも海外生産を主力とする企業にとって、
「円安」は実に大きな痛手となる。

同じ商品を同じ量、海外生産したら、
それがドル建てであれば高くなる。
そして大抵、ドル建てだ。

同じ商品を同じ量、国内で販売しても、
原価が高くなっているから、
利益は減ってしまう。

「会社始まって以来の失敗」は、
自身の情報と勘を捨てて、
専門家の意見を採用することで生じた。

ただし、この第1四半期は、
3月から5月までの決算である。
この間は114円90銭の為替予約の期間にあたる。

それでも減益となった。
第2四半期の6月から8月も、
まだ為替予約期間中だ。

だから9月・10月・11月の第3四半期以降が、
大いに心配になるところだ。

そのころの為替相場はどうなっているか。

35期連続の記録が途絶えるのか。

しかし似鳥さんには強い運がある。
何かが起こるかもしれない。

それは日本全体にとっても、
いいことであるはずなのだが。

さて、マスク論争。
毎日新聞の「余禄」が取り上げた。

「屋外では人と距離を取り、
あるいは会話がなければ外しても可」
政府見解が示されてひと月以上が経過する。

しかし「外マスク」は健在だ。

「ここ数日、多くの地域で
最高35度を超すうだるような熱暑が続く。
それでもきのう道ですれ違った人たちは
安心感からか、なお大多数が着用していた」

横浜でも同じだ。

長い街道をジョギングしている女性が、
マスクをしながらハアハア言っている。

あれなどすぐにマスクをとったほうがいい。

ちばてつやの漫画「おれは鉄平」で、
剣道の強豪校・東台寺学園が、
マスクをつけて練習するシーンが出てくる。
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心肺機能を鍛えるためだ。

しかしそれはあくまでも漫画で、
一般の人にとっては危険である。

コラム。
「屋内などでは、まだマスクは必要だ」

「ただし、炎天下でのマスクは
やはり息苦しく、つらいものだ」

「この夏、意識的に、
外歩き時にはマスクを外し、
素顔で歩くことに
慣れていってはどうか」

賛成だ。

私はもう、外歩きのときは、
マスクをポケットにしまって、
素顔である。

気持ちがいい。

もちろん店の中で、
顧客を迎えるときには、
マスクは必須である。

しかしその分、
外で人との接触がないときなど、
マスクは外したほうがいい。

絶対にそのほうが自由だ。
そして人間は自由でなければいけない。
商人も本来、自由だ。

似鳥昭雄さんも今は、
自分の情報と自分の勘を、
信じることにしているに違いない。

〈結城義晴〉

2022年07月01日(金曜日)

7月は店も営業も「不平等を排して平等を貫きたい」

7月、文月。

2022年の後半に突入。
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文月(ふみづき)のひと日ひと日が寿(ことぶき)
〈長谷川双魚〉

双魚は岐阜薬科大学教授、
東海女子短期大学教授を歴任した俳人。

七月文月の一日一日が、
目出度いことだ。

そんな7月になる。

文月や神祇釈教恋無常
〈正岡子規〉
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「神祇(じんぎ)」は神道にかかわること。
「釈教(しゃっきょう)」は釈迦の教え、仏教のこと。
「恋」は恋。
「無常」は人生のはかないこと。

和歌の構造分類には、
深層の「人事」と表層の「自然」の両軸があるが、
深層の人事全般は、
この「神祇」「釈教」「恋」「無常」の、
4ジャンルのいずれかに当てはまる。

そこで和歌では、
「神祇釈教恋無常」という言葉が、
世の中の有様を意味するようになった。

ちょっと難しそうに見える句だが、
子規は和歌の常套の分類語を使って、
7月は人事全般様々であることを、
この一句に込めた。

文月や神祇釈教恋無常

異常な早さで梅雨が明けて、
6月の営業は、
全般に低調だった。

既存店が前年比を超えた企業は多くはない。

値上げラッシュで購買心理が冷えたか。

梅雨明けへのジャストインタイムの対応が、
それだけ難しいということでもある。

読者でもある勉強家の友人の指摘の一つ。
「年金支給日の特需」
忘れてはならない。

年金支給日は、
毎偶数月の15日。
月の半ばに2カ月分が支給される。

6月はその支給月だった。

2カ月分が払われるだけに、
豊かになった気分も2倍になる。

それに的確に対応すれば、
特需を生み出すことができる。

「年金支給日のご奉仕」
ターゲットマーケティング。
今や全国的に必須のイベントである。

昨年の7月には、
東京オリンピックがあった。
オリンピック
映画「東京2020オリンピック」は、
「映画も無観客」と揶揄されている。

一昨年は、
本来のオリンピックイヤーだった。

そのうえ両年ともに、
コロナ禍に遭った。

だから今年の7月は、
前年、前前年の情報が使いにくい。

7月7日(木)の七夕。

7月18日(月)の海の日の祝日。

しかし今年は7月10日(日)に、
参議院議員選挙投開票日がある。

1年で一番暑い1カ月だが、
地道に地道に商品を手当てし、
売場をつくり、
店に顧客を迎える。

そんな文月だ。

新型コロナウイルスの感染は、
再び増加に転じつつある。
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全国の新規感染者数は、
黄金週間の連休明けに一時増えた後、
5月中旬以降、減少傾向にあった。
しかし6月29日までは、
前の週の1.17倍に増加した。

手洗い、マスク、ディスタンス。

今月も徹底したい。

今月の私は結構、忙しい。
7月5日に大阪に入って、
6日は朝から夕方まで、
セミナーの講師。

8日金曜日は、
フードストアソリューションズフェアの、
オンライン運営委員会。
セミナー企画も固まって、
9月7日・8日の開催を待つ。

7月11日(月)から13日(水)までは、
再び大阪。

ゴルフ拡大令和名人会で、
店舗クリニックとラウンド。
それから万代知識商人大学。

翌週の19日は第一屋製パン㈱、
20日は㈱True Dataの、
それぞれの取締役会。

21日・22日は、
千葉で連続セミナー。
これもフル出演で講師。

そして25日(月)は、
四日市で故小嶋千鶴子さんのお別れ会。

そのあとは月刊商人舎8月号の入稿。

暑さに負けず、
頑張ります。

朝日新聞「折々のことば」
第2425回。

社会状態が
人々に有利であるのは、
すべての人が
いくらかのものをもち、
しかも誰もが
もちすぎない限りにおいてなのだ。
(ジャン=ジャク・ルソー『社会契約論』から)
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「社会状態とは、
人々が威力や暴力ではなく
法秩序の下で暮らしていること」

ロシアや中国、北朝鮮、
そしてウクライナを思う。

「その基礎は、
各人が生活に必要な資財を
所有することにある」

日本はそれが堅守されている。

「法律は、
富裕層に有利になりがちだが、
社会状態は本来、
身体や力の不平等を
法的平等へと転じることで
個人を護(まも)るものだ」

ルソーは社会契約論によって、
ユートピアを説いた。

参議院選では、
法的平等を頭に入れて、
投票したい。

では、みなさん、今月も、
店はあくまで、
不平等を排して、
平等を貫こう。

年金支給日ご奉仕もその一環だ。

〈結城義晴〉

2022年06月30日(木曜日)

「流山おおたかの森」の競争の中にいて「いいこと考えた!」

2022年6月、最後の日。

西日本から関東まで広範囲に、
熱中症警戒アラートが発表された。

アラート(alert)は、
「警戒」とか「警戒態勢」の意味を持つ。

だから熱中症警戒アラートは、
「馬から落ちて落馬して」だが、
それでも熱中症に、
警戒しなければならないことはわかる。

環境省と気象庁が、
2020年7月から、
まず関東甲信地方で試行した。
そして2021年4月下旬からは、
全国を対象に運用を開始した。

この熱中症アラートのときの行動例。
⑴不要不急の外出は避け、
昼夜を問わずエアコン等を使用する。
⑵高齢者、子ども、障害者等に対して
周囲の方々から声かけをする。
⑶身の回りの暑さ指数(WBGT)を確認し、
行動の目安にする。
⑷エアコン等が設置されていない、
屋内外での運動は原則中止または延期する。
⑸のどが渇く前にこまめに水分補給するなど、
普段以上の熱中症予防を実践する。

ところがそんなアラートの中、
私は千葉県流山市を駆け巡った。

流山おおたかの森S・C。IMG_39022
2007年3月12日、
地上3階建ての本館が開業。

タカシマヤ フードメゾン、
イトーヨーカドー食品館、
そしてTOHOシネマズなどなど。

2014年3月7日には、
別棟の地上3階建て「ANNEX1」オープン。

さらに昨2021年3月31日には、
地上6階建てのFLAPSが開業。

そして今日、「ANNEX2」がオープン。
箱形の4階建て。
核店は1階の角上生鮮市場。IMG_38272
その取材。

2階と3階はニトリ。IMG_38222

4階にセリアと東京古着。
この組み合わせ、面白い。

本館の高島屋フードメゾンへ。
IMG_37902
さらにイトーヨーカドー食品館。

流山おおたかの森SC全体を、
ほぼくまなく歩いた。

それから周辺の競合状況。
北東に向かって、
マルエツ流山おおたかの森店。IMG_39292

さらにカスミ。
フードスクエア流山おおたかの森店。IMG_39382

南西に下って、
ヤオコー流山おおたかの森店。IMG_397323
この時点では、
気温は40度を超えただろう。

熱中症警戒アラートだ。

それでも帽子をかぶって、
扇子をもって、
水分を取りながら、
丁寧に視察した。
IMG_E39752

それから北西に上って、
ベルク流山おおたかの森店。IMG_39792

名だたる上場企業が、
車で5分以内の至近距離で競争している。

最後にコトエ流山おおたかの森へ。
核店舗はロピア。IMG_40552

農産の八百物屋あづまで、
チーフのヒロセ君に会って、
スイカを選んでもらった。
IMG_40102
1個980円のスイカ1玉を買って帰って、
食べたら、絶品の味だった。

久しぶりにこんなうまいスイカを食べた。

ヒロセ君、ありがとう。

熱中症警戒アラートの影響もあったか。

それでもこの店舗クリニックで、
重大なことを発見した。

それは月刊商人舎7月号で明らかにする。

出し惜しみをしているわけではない。

まずヒントが浮かんだ。
それをさらに深く考察したら、
なにかセオリーが導き出せそうだと思う。

「”いいこと考えた!”と、
小さい子どもが言うでしょ。
あれが、ほんとに
すばらしいことだと思うのです」
ほぼ日の糸井重里エッセイ。
今年6月19日版。
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「なんでもかんでも
“いいこと考えた!”という、
思わずニヤッとしちゃったり、
大きな口を開けたり、
飛び上がったりするような
ところからはじまる」

「アイディアだの、
クリエイティブだの、
大発見だの、
イノベーションだの、
いろんなこと言うけど、
いいこと考えた!”って、まず、
じぶんの頭が一気に晴れ渡るような
瞬間があるんで」

「それは、説明より先に光が射して、
灰色の雲が消し飛ぶように
晴れるような感じ」

「どんよりしたまま、
知識だの情報だのを
パズルのように組み上げているときには
なかなか見えてこない晴れた空が、
見えたとき。
いいこと考えた!”って、
ことばが出るんです」

わかる、わかる。

NHKの人形劇、
「ひょっこりひょうたん島」で、
主人公の博士君が何かひらめく。

あれです。
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私の場合は編集長時代から、
「ピコピコが来た!」
と言っていた。

いい特集を思いついた。
いいタイトルが浮かんだ。
いい構想が浮かんだ。

糸井さん。
「実は、その”いいこと”っていうのが、
ちっともたいしたことじゃなかったりね。
そういう場合もものすごく多いんです。
でも、いいんです。
いいこと考えた!”って
光が必要なんです」

そうそう、「ピコピコ」は、
多産多死でいい。

「”いいこと考えた!”と思ったんだけど、
その”いいこと”には弱点があるぞ、だとか、
こういう困ったことがついてくるぞ、とか、
いずれは気づくことになると思うんです。
それでいいんですよね」

いま考えた”いいこと”が
見せてくれた困ったこと。
今度は、それを解決するために
考えればいいのだから、
そっちのほうが考えやすいんです」

糸井重里。
おそれく、その「いいこと考えた!」が、
「これからの”生産力”だと思うのです」

「”重箱の隅をつつくこと”ばかり
上手になってるけど、
もっと”いいこと考えた!”で
行きたいものです」

店をたくさん見ると、
必ず「ピコピコ」がやってくる。

今回も、来た。
「いいこと考えた!」

それはよく考えてから、
発表しよう。

ご期待ください。

〈結城義晴〉

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