時差ボケ。
とはいっても、
体が怠(だる)くなったりはしない。
ただただ眠くなる。
秋分の日は午後中、
ぐっすり寝てしまった。
それでも元気を出して、
商人舎バイヤーセミナー。
世界的なトランプ関税の実施によって、
商品の調達や開発は従来通りにはいかない。
だからバイイング活動は変わらねばならない。
そんな変化の時には、
マイケル・オークショット。
「変化の時代に選びうるのは、
確実な損失か不確実な利益かの
いずれかである」
さらにピーター・ドラッカー。
「経済活動の本質とは、
リスクを冒すことである」
緊急開催のセミナーだったが、
北は青森から南は福岡まで、
多くの優良企業が参加者を派遣してくれた。
1泊2日のセミナーの初日の講師は、
結城義晴と鈴木哲男先生。
第1講義は結城義晴。
Prologueはまず、
コロナ禍によって考え方が変わった。
トレードオフからトレードオンへ。
トレードオフとは、
何かを得ると、別の何かを失うという
「相容れない関係」のなかで、
「何かを達成するために何かを犠牲にしよう」
と決めることである。
一方、トレードオンとは、
一見両立しそうもない二律背反を超え、
新たな価値を生み出すことで、
社会価値と経済価値を両立させること。
バイイングに今、
トレードオンが求められている。
もちろんトレードオフも、
否定する必要はない。
そこでマネジメントの6つの体系と、
マーケティングの位置づけ。
バイイングはマーケティングそのものだ。
だからフィリップ・コトラーを1時間で講義。
コトラーは言っている。
「マーケティングは一日あれば学べる。
しかし、使いこなすには一生かかる」
マーケティングとは何か。
そしてマーケティングの発展段階。
マーケティング1.0から2.0、3.0、4.0まで。
それぞれの段階で商品開発はどう変わるか。
マーケティングのプロセス。
マーケティングリサーチから、
STPマーケティング、
そして4Pと4C。
この構造とプロセスを理解して、
行動することが大事だ。
マーケティングのあらましを理解してもらって、
90分の開講講義はあっというまに終わる。
昼食休憩をはさんで、
午後の第2・3・4講義は鈴木哲男講師。
㈱REA取締役会長。
もちろんテーマは、
「バイヤーのための52週MD」
52週MDの本質とその技術、
重点商品と主力商品の定義と役割、
「作演調」の連携など、
資料をふんだんに使って整理してくれる。
力を入れてくれたのが最後の70分の講義。
「バイヤーのためのストアコンパリゾン」
これはマーケティングリサーチの技術だ。
ウォルマートの創業者サム・ウォルトン。
「Management By Walking Around」を強調した。
歩き回るマネジメント。
バイヤーにはこれが必須だ。
それが[Retail is Detail]につながる。
小売りの神は細部に宿る。
目的をもってストコンすることが、
何よりも重要である。
そのまま利用できる調査表を多数、
用意してくれた。
棚割り・フェイシング数調査シート、
商品構成グラフ集計表と作成表。
重点販売商品プロモーション調査シート、
レイアウト調査シート、
MD差異化調査シート、
ストアコンパリゾンでわかったこと、
活かすことシート。
行動と結果(PDCA)シート。
大いに役立ててほしい。
現代社会に発生するコモディティ化現象。
この現象で生まれる3つの商品分類。
これがバイイングの大基本。
コモディティ化現象をいかに利用するか。
それが成長のカギを握る。
最後は第二部実践編。
チェーンストアにおけるバイヤーの位置づけ。
バイヤーとマーチャンダイザーの機能分担。
今、改革の焦点はここにある。
ここに両利きの経営の考え方が入ってくる。
さらに商売の基本。
これがバイヤーの精神と技術だ。
そしてバイイングの基本。
商品の条件、取引先の要件、
商談と情報収集。
最後に、
ブルーオーシャン戦略のマトリックスと、
バリューエンジニアリング。
顧客価値を増大させる5つの方法。
朝10時半から夜7時までの初日の講義は、
無事に終了。
宿泊のホテル棟に移動。
明日は朝8時15分から、
今日学んだことの「理解度判定テスト」。
みんなの健闘を祈りつつ、
すぐに眠りに落ちた。
(つづきます)
〈結城義晴〉