結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年06月27日(木曜日)

安倍晋三「やってる感」外交と景気が悪い時代の「一流とは何か」

西日本が記録的な遅さで、
やっと梅雨入りしたと思ったら、
もう台風第3号が発生。
ネーミングは「セーパット」。

気象庁が今日の19時に発表した。
中心気圧998ヘクトパスカル、
最大風速毎秒18m(35ノット)、
最大瞬間風速毎秒25m(50ノット)。
毎秒15m以上の強風域は、
南東側280km、北西側110km。
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一昨日のブログで書いたが、
天候に関しても「先行き不透明」の時代。

だからいつもの標語。
「最悪を覚悟して、
最善を尽くす」

台風が通過する地域のお店の人たち、
頑張ってください。
陰ながら支援します。

商人舎流通SuperNews。
サンエーnews|
「サンエー浦添西海岸 PARCO CITY」グランドオープン
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沖縄のサンエーの期待の店。
浦添西海岸PARCO CITY。
今日、グランドオープン。
サンエー2

しかし昨日から今朝にかけて、
沖縄地方は多いところで、
180ミリの雨が降った。

80ミリ以上の雨を「猛烈な雨」という。
気象庁の説明では、
「息苦しくなるような圧迫感で、
外に出られない」

それが180ミリ。
大変なことだった。

それでも午前9時には、
無事テープカットをして、
グランドオープンにこぎつけた模様。sanne-
雨降って地固まる。
サンエー、頑張れ!

私は一日、横浜商人舎オフィス。
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このところ、仕事の合間に、
スクワットをやっている。IMG_79999

ゆっくりと、
両ひざが前に出ないように、
姿勢を正して。
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やっていることが、
自分でわかるのが、
何よりいい。

さて通常国会が閉幕したら、
今度は参議院選挙。
7月4日公示、21日投開票と決まった。

さらに明日から、
G20大阪サミット。
大阪は戒厳体制だが、
台風セーパット来襲の中、
もうすでに各国首脳が大阪入りしている。

中国の習近平国家主席は、
早くも安倍晋三首相と会談。

来年の五輪イヤーの春先に、
「国賓」として訪日する。

中国元首の正式来日は、
2010年の胡錦涛国家主席以来。

昨年5月に李克強首相がまず来訪、
10月には安倍首相が訪中。
そして来春、習近平主席。

参議院選にも向けた、
安倍首相のパフォーマンス。
ヒット・エンド・ラン作戦を採用したが、
お騒がせのドナルド・トランプ大統領が、
日米安全保障条約にまで、
いちゃもんをつけつつ来日する。
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G20の議論はやはり「先行き不透明」だ。

2年前のこのブログで取り上げたが、
日本経済新聞出版社刊『政治が危ない』
御厨貴・芹川洋一対談本。
政治が危ない
この本の中で指摘されるのが、
安倍晋三の「やってる感」。
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「日本には成果の有無ではなく、
“頑張っている人をおとしめてはならない”
という文化がある」

「アベノミクスは道半ば」
しかし、
「次々新しいスローガンを
掲げ続ける経済政策は、
確かに頑張っている印象を与える」

「頻繁に外遊をこなし、その度に
テレビに自身の姿を映し出す外交姿勢は
『やってる感』満載」

「しかも首相自身が、
“やってる感が大事なんだ”と意識して
行動している」

しかしこの日本人のマインド文化は、
20カ国・地域の首脳には通じない。

そこんとこ、よろしく。
頼みますよ。

さてさて「ほぼ日刊イトイ新聞」
糸井重里さんの巻頭コラムは、
「今日のダーリン」。
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ずっと昔、ある先輩が教えてくれた。

景気のいい時代、
景気がふつうの時代、
景気のわるい時代がある。

「景気のいい時代には、
どういう業界でも、
一流と二流と三流と、
四流の人さえ食えるんです」

「景気のふつうの時代では、
一流と二流が食えるでしょう」

「で、景気のわるい時代には、
一流しか食えなくなります」

「一流の人が
一流のことをやっていれば、
どんな時代がきても、
なんの問題もないんです。」

糸井。
「なるほどなぁと、ぼくは思った」

これは「景気」と同時に、
「競争」にも当てはまるし、
その両方が同時に作用してくる。
私はそう思う。

つまり景気がいい時代と、
競争がない時代。
景気がふつうの時代と、
競争がふつうの時代。
景気がわるい時代と、
競争が厳しい時代。

そこで先輩のたとえ話。
「レストランでいえば、
料理人の腕が一流。
そして、立地や内装が一流。
フロアのサービスが一流と、
3つの要素が一流なら、
それが一流です」

これ、業態とフォーマットの話に通じる。

業態は商品と価格が主体。
フォーマットは、
ポジショニングが必要になる。
だから内装・照明・店内サインも、
パーソナリティやコミュニケーションも、
ノンファンクショナルベネフィットも、
必須になる。

糸井さんの先輩。
「でも、いくら料理がおいしいとしても、
たとえば接客のところで
一流と言えない人がいたら、
それは、もう一流では
なくなってしまいますよね。」

「ああ、そうだよなぁ」と再び糸井。

先輩は続ける。
「それでも、景気のいい時代には
お客さんが来ますから、
まだ一流だと思いこんでいられるんです」

「でも、接客のサービスを、
落ちたままにしておいたり、
店の建物や内装とかインテリアを、
きれいなままにできなくなっていたら、
景気がわるくなったときには、
もうアウトになります。」

糸井重里、みたび述懐。
「この話は、何十年経っても、
忘れていない」

「一流とはなにかという
定義にもよるかもしれないが、
“一流とはなにか?”を
考えていることは、まず必要だ」

いつも「一流」であることを自覚する。

「そして、なにか、
ひとつくらいの取り柄だとか、
少々ほめられているような点に得心して、
汚れているのれん、
掃除の行き届いてない看板に
気づかないでいるようになったら、
ただの”自称一流”になってしまうだろうし、
もっと景気のわるい時代になったら、
消えてしまう」

その通り。

「その怖さをも、しっかり
抱えていなくてはだめだな」

まったくの同感。

しかし糸井重里。
自分が偉そうな言い回しをすると、
すぐに反省する。
「人のことは、平気で
“だめになったよね”などと言うけど」

ここがいいなぁ。
見習わねばいけない。

「やってる感」だけではいけない。

〈結城義晴〉

2019年06月26日(水曜日)

日経新聞「2018小売業調査」とTBSラジオ「スーパー総選挙」

近畿・四国地方が梅雨入りしない、と、
このブログで連発したからではないが、
今日、気象庁が梅雨入り宣言。

最近は「宣言」と胸を張る様子はない。

それでも近畿では平年より19日遅かった。
気象庁が統計を取り始めて以来、
最も遅い梅雨入り。

その統計を取り始めたのが1951年。
68年間で最も遅い梅雨入り。

結構、すごい記録だ。

しかし梅雨入りとともに、
明日は激しい雨が降るし、
今後1週間は雨や曇りが続く。

ちょっと安心したというか、
やはり梅雨の鬱陶しさが気になるというか、
昨日、このブログで書いた、
「先行き不透明」は天気にも当てはまる。
天気も「どんより感」満載だ。

さて恒例の日本経済新聞の調査。
「2018年度の小売業調査」

第52回となるから、
西日本の梅雨入り記録より、
歴史は新しい。

それでも毎年毎年、
感謝しています。

コンパラブルな491社の総計は、
前年比3.8%増加。
これは7年連続となる。

その代わりに、
前年比が出せない企業、中小企業は、
減少していると予測できる。

店数に関しては、
持ち株会社などを除いた470社の総数が、
12万1208店で1.6%の増加。

単純には比較できないが、
1店当たりの売上高は増えた模様だ。

日経本誌が強調するのは、
ネット通販を含む通信販売事業。
総売上高は8.4%増の3兆5884億円。
これも小売業だ。

伸び率は昨年度の調査と同じで、
日本のeコマースは、
中国経済以上の成長を示した。

eコマース最大のアマゾンジャパンは、
年商1兆5265億円の14.3%増で、
通信販売全体の4割強を占める。

月刊商人舎5月号特集は、
「ラストワンマイルの優勝劣敗」
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サブタイトルは、
「ネットスーパー」と「宅配ビジネス」の勝者総取り!?

勝者といっても1社ではない。
1社では独占になってしまう。
だから複占、
あるいは鼎占。

最近は「三占」を、
「鼎占」と言っている。
寡占や複占と釣り合う感じがいい。
結城義晴の造語。

その「鼎占」や「複占」に至るスピードが、
有店舗小売業よりもはるかに速い――。
これも結城義晴の持論。

ネットスーパーと宅配ビジネスに、
移動スーパーも加えておかねばならない。

さて小売業ランキング。
1位 イオン
2位 セブン&アイ・ホールディングス
3位 ファーストリテイリング
4位 ヤマダ電機
5位 アマゾンジャパン
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このあたりはすでに、
月刊商人舎6月号で特集した。
2019同盟決算
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6位 三越伊勢丹ホールディングス
7位 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
7位がドン・キホーテとユニーの統合企業。

8位 エイチ・ツー・オー リテイリング
9位 高島屋
10位 ビックカメラ

ベスト10にまだ百貨店が3社残っている。
セブン&アイのそごう西武を加えると4社。

総合スーパーを持つ企業も3社。
イオンリテールのイオンと、
イトーヨーカドーのセブン&アイ、
そしてユニーとMEGAドン・キホーテ。

とはいっても営業利益レベルでは、
イオンは銀行とモールが主力、
セブン&アイはコンビニと銀行。

ビッグ10には家電・カメラが2社と、
ファストカジュアル1社が入る。

つまり成熟社会の成熟小売業は、
業態の種類が多様化し、
それぞれの業態ごとに、
複占化、あるいは鼎占化してくる。

これも結城義晴の持論。
言い続け、書き続けている。

詳細は月刊商人舎6月号を読んでほしい。

さて、日経の調査のすばらしさは、
悉皆調査であること。

網羅的である。

その網羅された小売業の中で、
2桁の伸びを示した企業。

2位のセブン&アイが12.5%、
3位のファーストリテイリングが14.4%、
5位のアマゾンジャパンが14.3%。

7位のパン・パシフィックも13.6%。

いずれも凄い成長性だ。

成長性から言えば、
ウェルシアホールディングスが12.1%、
17位のツルハホールディングスが16.7%、
23位のコスモス薬品が11.0%。

ドラッグストアが並ぶ。

ただしドラッグはコスモスを除いて、
M&Aによる成長が加算されている。

この業界は数年後には、
明暗がはっきりしてきて、
そして売上げの伸びも安定してくる。

スーパーマーケットでは、
38位のオーケーが10.2%の伸び。
94位と100位以内に入ってきたが、
ロピアが16.1%。

既存店の力強い伸びと、
新店の初年度からの繁盛。
それが2桁成長を支える。

この2社に関しては、
TBSラジオの生活情報番組でも目立った。
「ジェーン・スー 生活は踊る」主催の、
「スーパー総選挙」。

商人舎流通SuperNewsでも取り上げた。
スーパー総選挙news|
1位オーケー、2位ライフ、3位ヤオコー/ロピア躍進で4位
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第3回スーパー総選挙。
スーパーマーケット333社がエントリー。

投票方法は3種類。
ラジオ番組のリスナーが、
⑴メールで投票
⑵ホームページの投票フォームで投票
⑶TBSラジオfamの投票箱に直接投票

応募期間は6月1日から6月21日の3週間。
結果として投票総数は6007票。

1位は3年連続でオーケー(1610票)。
投票数の26.8%。

以下、
2位 ライフ(754)
3位 ヤオコー(658)
4位 ロピア(591)
5位 サミットストア(261)
6位 オオゼキ(168)
7位 マルエツ(159)
8位 西友(107)
9位 文化堂(106)
10位 ベルク(98)11位以下のランキングやその僅差には、
あまり意味がない。

首都圏に店がないツルヤが14位で49票。
これは面白い。

イトーヨーカドーは15位で44票。
イオンは20位で35票。
ドンキもユニーも、ランク外。

売上規模で大手の3社は、
ラジオでは人気がない?

それとも会社が、この番組に対して、
「無視」を決め込んでいるのか?

基礎数値が1万に満たない統計だし、
日経の小売業統計の悉皆調査とは、
比べるべくもない。

それでも小売業調査の成長率で、
オーケーの10.2%増と、
ロピアの16.1%増は、
総選挙の数字と同期した。

スーパー総選挙で上位の、
ライフコーポレーションは、
年商ランク14位で、年間成長率3.1%、
33位のヤオコーは伸びが4.8%、
48位のサミットは2.2%増と、
これまた立派な成績だ。

ラジオ番組には、
組織票もあるかもしれない。
悉皆調査とは大違いではある。

しかし私は、
ラジオでもテレビでも、
何でも活用してよいと思う。

ただし店と売場と商品、
そして働く人たちが、
お客様の人気を博さねば、
年間売上高の伸びはないし、
ラジオ投票でも票は入らない。

「ラジオ総選挙」を、
大げさに取り上げるのは、
私を含めてちょっと、
踊らされ過ぎだと、反省。

悉皆調査を分析して、
何が成長の原動力となるのかを、
とくと考えねばならない。

〈結城義晴〉

2019年06月25日(火曜日)

「とくし丸」住友達也の「先行き不透明」との闘い

堺市。
大阪府泉北地区にあって、
大阪第2の都市。
今年5月段階の人口は82万9145人、
世帯数は35万8585。

堺市の人口は、
都道府県人口順位41位の佐賀県を上回る。
以下、山梨県、四国の徳島県、高知県、
山陰の島根県、鳥取県の順。
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昨日からのホテルは、
アゴーラリージェンシー堺。
その22階の部屋で目覚めると、
梅雨入りしていない大阪湾は快晴。DSCN94599

朝一番で起き出して、
南海電鉄でなんば駅まで出る。
そして大阪シティエアーターミナルから、
リムジンバスに乗り込む。
OCATと略す。

行先は徳島。

G20のための警備体制もあって、
大阪市内はちょっと渋滞。

しかし神戸に向かうとスムーズに流れて、
あっという間に須磨へ。
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そして神戸淡路鳴門自動車道を、
明石海峡大橋へ。
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全長3911 mの世界最長の吊り橋。
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大阪平野と淡路島に囲まれた海域。
それが大阪湾。
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美しい。
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淡路島に入ると、
淡路サービスエリア大観覧車。DSCN94909

日本で一番大きな島が淡路島。
とはいっても日本列島の本州も、
北海道、九州、四国も、
島であることはかわりない。

だから淡路は五番目に大きな島で、
大阪湾という巨大な湖を囲む一角を成す。DSCN94919

その結構、大きな淡路島を、
高速道路で抜ける。
風光明媚。
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そして淡路島から四国をつなぐのが、
大鳴門橋。
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有名な「鳴門の渦」はこのあたり。DSCN94999

ぽっかり浮かぶ「飛島」。
鳴門飛島灯台が立っている。
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なんばOCATから2時間半で、
徳島駅に到着。IMG_79879

駅前にはそごう百貨店がある。
高いヤシの木が、
ひょろりひょろりと立っている。IMG_79899
このそごうは徳島県唯一の百貨店だ。
1983年10月1日にオープンして、
店舗面積は約8100坪で、
四国最大だった。

36年が経過する。

もちろん㈱そごう時代の開業で、
その後、西武百貨店と経営統合し、
そごう・西武となってから2005年、
セブン&アイ・ホールディングスが買収。

徳島駅からタクシーで、
南末広町のあわわビルへ。

㈱とくし丸本部。

代表取締役社長の住友達也さんと対談。DSCN95249

月刊商人舎2015年4月号で、
華々しく登場してもらった。

[特集]
ネットスーパー! 移動スーパー!!

その中の記事が、
移動スーパー「とくし丸」創設者
住友達也の独白

その時の話をベースにして、
現時点のとくし丸を語ってもらった。DSCN95719

とくし丸本部と、
契約スーパーマーケット企業、
そして個人事業主のパートナーさんが、
三位一体で「三方良し」で展開する。
それがとくし丸モデル。

契約スーパーマーケットは113社。
稼働台数は412台となった。

500台はもうすぐだし、
1000台が視野に入ってきた。

おばあちゃんのコンシェルジュを標榜。
もう7年。

住友さん自身の構想は、
もっともっとスピード感があるが、
それでも有店舗小売業の成長と比べると、
驚くべき発展と進化を遂げる。DSCN95799

1981年に徳島県で、
タウン情報誌『あわわ』を創刊。
1984年、㈱あわわを創設して、
代表取締役社長に就任。

もともとは私と同じ出版人。

話はどんどん盛り上がった。DSCN95809

とくし丸は、
全国規模の移動スーパーに発展した。
同時に、商品領域も拡大されて、
実に面白いマーケティングを構想し、
展開する。

その一つが「とくし丸プラス」。DSCN95969

とくし丸と住友達也の物語は、
月刊商人舎7月号で、
詳細にレポートし位置づけしよう。DSCN95989

住友達也さんは、
この混迷の時代に、
鮮明な未来を見ている。DSCN96009
それが私は嬉しかった。

日経新聞電子版「経営者ブログ」
今日は㈱IIJ会長の鈴木幸一さん。
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テーマは、
「先行き不透明」の時代。

「朝だか、夕暮れなのかわからない。
厚い灰色の雲が垂れこめている。
梅雨時の朝、灰色に覆われた重い風景は、
最近の報道でよく使われる、
“先行き不透明”といった言葉を
思い出させる」

大阪も徳島も梅雨入りしていないが、
東京は梅雨の真ん中。

「政治、経済、国際情勢、すべてが
大きなリスクを抱えたままである」

「米中の覇権争い、米・イラン、
欧州連合(EU)問題から、
日本の株価に至るまで、
すべて”先行き不透明”と
くくってしまうほかないようだ」

その通りだが、
「何の示唆も与えてはくれないのだが、
いちばん、適切な表現なのかもしれない」

この言い回しが実に、
現時点を的確にとらえている。

「”先行き不透明”な状況が続いて、
最後は、日本を素通りして、
“先行き不透明”の原因をつくっている国が、
落ち着くところというか、
落としどころを見いだして、
落ち着いてくるのを待つほかない」

アベノミクスも、
落としどころを待つしかない。

「当事国でない限り、情報も限られ、
解決策を提示できるわけでもない」

「国も人も、緊張感にも、
すぐに”慣れ”てしまう」

この「慣れ」こそ怖い。

「慣れてしまえば、
何らかの解が見えるまで、
どんよりと重たい空気が
漂い続けるだけである」

日本の小売りサービス業界にも、
共通している。

「先行き不透明」に慣れてはいけない。

「先行き不透明」に、
一番どんよりしているのは、
国民であり、消費者である。
おばあちゃんたちである。

住友達也は、
「先行き不透明」と闘いつつ、
そこに鮮明な解を与えている。

その意味では、
徳島とおなじ。
梅雨入りしてはいない。

亜熱帯地方のような徳島で、
そんなことを感じた一日だった。

もちろん神出鬼没の結城義晴も、
「先行き不透明」と闘い続けている。

〈結城義晴〉

2019年06月24日(月曜日)

万代ドライデイリー会総会の「すぐに役立たないこと」

Everybody! Good Monday!
[2019vol25]

5月から令和時代となったが、
1月からの2019年は第26週を迎えた。
6月最終週。

本当にもう、半年が終わる。

月刊商人舎Webコンテンツ。
月曜朝一・2週間販促企画が、
7月の催事行事をダイジェスト。

7月は「海の月間」であるとともに、
「熱中症予防強化月間」。

7月1日(月)から夏祭りのシーズン。
京都では祇園祭、福岡では博多祇園山笠。
それぞれ1カ月、半月の開催。

7月2日(火)は「半夏生」。
農家は半夏生までに田植えを終える。

7月7日(日)は二十四節気の「小暑」。
暑さが最盛期に向かって本格化。
そして今年の小暑は「七夕」でもある。

15日(月)は「海の日」。
「海の恩恵に感謝するとともに、
海洋日本国の繁栄を願う日」。

7月20日(土)は土用。
そして27日(土)が土用丑。

今年の夏のウナギ商戦は、
もう始まっている。

23日(火)は大暑。
本格的な暑さが到来。
そしてこの大暑のころに、
梅雨明けするはず。

もっとも今年は異常気象で、
九州から近畿まで、
いまでも梅雨入りしていない。

今週水曜日あたりに梅雨入りらしいが、
梅雨明けはどうなることやら。

7月26日(金)は「隅田川花火大会」。
各地の花火大会も最盛期。

このころから小中学生の夏休み。

そして8月に入っていく。

こうしてみると、
7月も早く行きそうだ。

だから私の得意の評語。
「今日も一日、慌てず、急げ!」

さて今日も朝から、
東海道新幹線。

梅雨の真っ只中だから、
富士山は見えないだろうと思っていた。

その通りだった。

かわりに日本の水田の美しさが、
車窓に迫ってきた。
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日本の初夏はいいなあ。
DSCN93389
新大阪駅に着くと、
タクシーで堺市へ。

G20を週末に控えて、
大阪市内は厳重警戒態勢が敷かれている。
開催の28日、29日の2日間は、
完全交通規制が敷かれる。

だから事前に商品搬入を急ぐ。
つまり大阪市内はどこもかしこも、
トラックによる渋滞状態。

堺駅前のアゴーラ・リージェンシー。
青空がまぶしい。
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ここで今日は、
万代ドライデイリー会定期総会。
そしてミラノ視察ツアーの報告会。
さらに下期の商品部会。DSCN9419

会場には1000名を超える参加者が参集。
㈱万代の取引先の卸とメーカー。

午後1時から、
ドライデイリー会の活動報告・決算報告、
さらに今年度の活動方針が発表された。
すべて問題なく、採択された。DSCN9339-1

そして6月のミラノ勉強会の報告会。
参加者が7つの班に分かれて
それぞれのテーマで視察した。

その視察や勉強の報告をし、
さらに万代への提案を、
班ごとに発表する。

もちろん前列には
万代の経営幹部が勢ぞろいして聞いている。
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1班はパンの提案。
各班には万代の商品部部長が参加している。
1班には和久正樹さん、デイリー部部長。DSCN9343-q

パンの提案者は、
第一屋製パン㈱の加藤万由子さん。
今回の海外勉強会の紅一点。DSCN9348-q

第2班の万代担当は、
グロサリー部部長の日下幸生さん。
万代知識商人大学3期生の級長。DSCN9352-1

提案は簡潔でなおかつ論理的、
そして直接的だった。
参加者がもれなく真剣に聞いてくれた。DSCN9354-1

第3班は堀越時宗さんが紹介。
万代知識商人大学「花の1期生」で、
農産部部長。DSCN9358-1

第4班は石川慎也さんがリーダー。
畜産部部長で同じく「花の1期生」。DSCN9365-1

5班のリーダーは、
惣菜部部長の松岡俊行さん。
万代知識商人大学2期生の級長。DSCN9372-1

6班は幹部グループだったので、
発表は免除して、
最後に7班の報告。
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今回の発表はいずれも、
とても高度でありながら具体的だった。

6つの班の発表に盛大な拍手が贈られた。DSCN9379-1

そして各班の発表のあとは、
結城義晴の記念講演。DSCN9383-1

ドライデイリー会の海外勉強会は、
アメリカから始まった。
その後、ヨーロッパ、アジアに広がり、
世界をまたにかける勉強会となった。DSCN9384-1

この勉強会と万代の商品政策について、
私の見方、考え方を語った。DSCN9398-1

橋本武さんの言葉。
「すぐ役立つことは、
すぐに役立たなくなる」DSCN9407-1
これは仕事に臨むときの鉄則でもあるが、
例えば本当の「教育」などは、
「すぐに役立つこと」とは縁遠い。

しかし教育が必須であることは論を待たない。

マクラの話のあとは今日の本論。
ヨーロッパの消費と小売業の全体像、
その中でのイタリアの小売業の特徴。DSCN9401-1

コラッド、コープ、エッセルンガ、
それからイータリーとイーペル、
最後にリドルの実態を、
写真をふんだんに使って解説した。DSCN9413-1

勉強会に参加できた人は40人足らず。
しかしこの会場に参集したのは1000人。
その1000人に向けて、
世界最先端のフードビジネスを紹介した。

その後、コモディティ化現象の中で、
万代のマーチャンダイジングが、
いかにポジショニングしていくか。

それからスローフードとオーガニック。
最後は商品問題と商売の利益。

そして2025年の大阪万博に向けて、
関西のマーケットがいかに変貌していくか。

ご清聴に感謝したい。

報告会と講演会の後は、
各商品部門別に取引先のメンバーも分かれて、
分科会。

私もそれぞれの分科会に、
少しずつ顔を出して、
バイヤーやメーカーの営業担当者の、
それぞれのプレゼンテーションを聞いた。

惣菜部会は一番の成長分野で、
バイヤー全員がカテゴリー別に、
今年の第2四半期の方針を明らかにした。DSCN9428-1

グロサリー部会は最大人数で、
こちらもバイヤーの報告のあとで、
細分化したカテゴリー別に、
からの提案があった。

これは実質的なカテゴリーマネジャー制である。DSCN9435-1

私も使うキャズム理論など駆使して、
新しい切り口の提案がなされた。DSCN9436-1

デイリー部門の分科会に参加したら、
もう最後のまとめに入っていた。DSCN9438-1

ここでは中筋浩二さんが、
万代の基本方針を見事に語っていた。
ドライデイリー部門担当取締役。DSCN9441-1

堺の空は、
これで本当に梅雨が来るのだろうか、
と思わせるような快晴。DSCN9422-1

しかし日の長い一日にも、
夕刻が迫ってきた。
DSCN9423-1

6時から全員で、
懇親会。

乾杯の音頭とスピーチは、
㈱日本アクセスの福田雅弘さん。
取締役常務執行役員。DSCN9446-1

簡潔なあいさつのあと、
乾杯。
DSCN9449-1
そしてアゴーラの食事と懇親。

第一屋製パン㈱の西日本営業部の面々。
右が滝西洋平さん、左が吉田大作さん。
真ん中は先ほど発表した加藤さん。
私はこの会社の社外取締役を務める。DSCN9452-1
懇親会はそれぞれの商品の中身を、
全員で語り合っているという印象。
万代らしい懇親だった。

そしてもう、中締め。
ケイ低温フーズ㈱社長の岡﨑忠勝さん。DSCN9453-1

全員への感謝の弁を、
岡﨑さんらしい語り口で述べた後、
恒例の大阪締めへ。DSCN9457-1

手締めは万代幹部が舞台に立ってリードする。IMG_79549

芝純常務を中心に、
商品部の各部部長が勢揃い。IMG_79609

そして大阪締め。
リードは和久さん。

うーちまひょ! シャンシャン、
もひとつせ! シャンシャン、
祝おうて三度、シャシャンがシャン。IMG_79649

私は会場で阿部秀行社長と握手。 IMG_79689

最後の最後は、
万代の全幹部とバイヤーが整列して、
すべてのお取引先をお見送り。IMG_79719

私も入れてもらって、
最後の記念写真。IMG_79779

全営業を統括するのが芝純さん。IMG_79809
お疲れさまでした。

堺の港にも夜が下りてきた。IMG_79829
関西には依然として、
梅雨がやってくる気配はなかった。

では、みなさん、今週も、
「すぐ役立つことは、
すぐに役立たなくなる」
Good Monday!

〈結城義晴〉

2019年06月23日(日曜日)

アリストテレスの「再現」と小田和正のピーター・ポール&マリー

アリストテレスは、
古代ギリシャの哲学者。
紀元前384年から322年の人。
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三木清は日本の哲学者。
1897年に生を受けて、1945年に没している。
京都大学哲学科で、
西田幾多郎の「善の研究」に感激して、
西田に師事した。
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アリストテレスやソクラテスの本も書いた。

そのアリストテレスの『詩学』
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「再現することは、
子供のころから
人間にそなわった、

自然な傾向である」

「しかも人間は、
最も再現を好み、再現によって、
最初にものを学ぶという点で、
他の動物と異なる」

この「再現」は「模倣」とも訳される。

人間は真似るものだ。
それがアリストテレスの著書『詩学』を貫く、
基本テーマである。

「再現、模倣」は、
ギリシャ語で「メミーシス」という。

アリストテレスは続ける。
「動物や人間の死体の形状のように、
その実物を見るのは苦痛であって、
それらをきわめて正確に描いた絵であれば、
これを見るのを喜ぶ」

なぜ、人間はそれを喜ぶのか。

「学ぶことが、
哲学者にとってのみならず、
他の人々にとっても同じように、
最大のたのしみであるということにある」

バンドを始めるとき、
まずやるのが「コピー」だ。

小田和正は、
アマチュアのオフコース時代に、
ピーター・ポール&マリーのコピーを、
実に見事に演奏し、歌唱した。
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それでヤマハミュージックコンテストで、
いきなり2位になった。

1位は後藤悦治郎率いる赤い鳥だった。
旧姓・新居潤子の山本潤子がいた。

小田和正は実は、
私の中学高校の5年先輩だ。
小田和正
私たちは「小田さん」と呼ぶ。

母校に戻って、
演奏したオフコースに感銘を受けて、
私たちもまず、
ピーターとポールとマリーをやった。
模倣の模倣だ。

大学のときにはビートルズをやった。
「Something」のコピーから始めた。
Beatles-Come-Together-Japan

それはそれ自体、実に楽しかった。
「コピー」は技術を学ぶ際には、
本当に楽しいことだ。

しかしだんだんコピーだけでは、
つまらなくなる。

そこでオリジナルをつくり始めた。

文章も詩も、コピーから入る。

学問も先行研究を学ぶところから始まる。
つまりは本を読む。
それに終始して終わる場合もある。
なぜならそれはそれで楽しいからだ。

仕事も再現から始まる。
模倣からスタートする。

それも楽しい。

しかしやがて、
「模倣」を凌ぐ仕事を成し遂げる。

好きな作家の再現をしたい。
好きな音楽家の模倣をしたい。
尊敬する上司の真似をしたい。

そしてその繰り返しは楽しい。

「私たちは再現を反復しながら生きている」
これは俳人の坪内稔典さんの言葉。

アリストテレスは『詩学』で続ける。

「詩人(作者)の仕事は、
すでに起こったことを語ることではなく、
起こりうることを、すなわち、
ありそうな仕方で、あるいは、
必然的な仕方で起こる可能性のあることを、
語ることである」

「歴史家は、
すでに起こったことを
語り、

詩人は、
起こる可能性のあることを
語る」

しかし再現をすればすなわち、
「起こる可能性」になるかというと、
これが全く違っている。

例えば、米国で起こっていることを語る。
これは「浅はかな歴史家」に過ぎない。
そしてそれ自体は楽しいから困る。

もちろんアーノルド・トインビーをはじめ、
本物の歴史家は、
透徹した目で未来を見通す。
その意味では、
アリストテレスのいう「詩人」でもある。

ただしアメリカで起こった事実が、
日本でも起こると短絡的に判断する者は、
間違いを起こす。

アメリカで起こっていることの中で、
必然的に起こる可能性のあることを、
熟考を重ねて、再現する。
これは結構、時間と手間がいるし、
苦しいことでもある。

あるいは米国や欧州で起こったことを、
体験し続け、見続けていれば、
日本で今、起こりつつあることにも、
合点がいく。

ピーター・ドラッカーは、
「モニタリングせよ」と説く。
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つまり、観察し続けよ。

そうすれば、
「すでに起こった未来」がわかる。

アリストテレスは、
「必然的に起こる可能性のあること」。
ドラッカーは、
「すでに起こった未来」。

アリストテレスは紀元前4世紀の人だ。
ソクラテス、プラトンと続いた、
ギリシャ哲学のメミーシスから入った。
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三木清も、
西田幾多郎の再現から始めた。

小田和正はピーター・ポール&マリーを、
吉田拓郎はボブ・ディランを、
真似た。

誰にも「模倣」する師匠が必須だ。
その道の師匠を持たない者はいない。

さて結城義晴は、
倉本長治の再現から入った。
渥美俊一の模倣をした。
上野光平の真似をした。
杉山昭次郎の考えに影響を受けた。
荒井伸也のメミーシスをした。

そしてそれらを、
ある部分では継承し続け、
ある部分では「純粋批判」している。

坪内稔典の初夏の一句。
古代ギリシャの午後もだった緑さす

「この夏、緑さす窓辺でわたしは、
岩波文庫の『詩学』を読んだ」
と、坪内は語って、句をつくった。
坪内稔典

梅雨が明けると本格的な夏です。

〈結城義晴〉

2019年06月22日(土曜日)

一年で一番長い「夏至の日」の尾崎放哉と坂口安吾と谷川俊太郎

今日は「夏至」。

冬至の正反対、
立夏と立秋の中間。

暦の上では夏の盛り。

東京は梅雨のど真ん中だが、
大阪にはまだ梅雨は来ない。
というか気象庁の梅雨入り宣言がない。

太陽は最も空高く昇る。
昼の時間が最も長くなる。

しかし夏至の当日が、
日の出が最も早いわけではない。

日の出時刻は当然ながら、
地域によって異なる。
東京の場合、
今日の夏至の日の出は4時26分。

一番早いのは4時25分で、
6月6日から21日まで。

私の場合、時差ボケがずっと続いていて、
昼間によほど疲れることをしない限り、
午前3時、4時というのは当たり前になっている。

その分、深夜に仕事をしている。

だから今年も、
夏至の日のぼんやりした夜明けを、
感じることができた。

つくづくとひとりの我が歩夏至歩く
〈右城暮石 句集外〉

夜中に仕事をするが、
ぼんやりと詩集を読んだり、
句集を開いたりもする。

ぴったりしたのが今日は、
尾崎放哉(ほうさい)。
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1885年(明治18年)生まれ、
1926年(大正15年)死去の、
鳥取出身の俳人。

種田山頭火と並んで、
自由律俳句の双璧。

孤独の人。
障子しめきつて淋しさをみたす

自由律俳句は、
五七五にこだわらない。
それでも立派な俳句だ。

絵画でいえば、
古典派や印象派に対して、
キュビズムと言ったらいい。

孤独だから、ひどく優しい。
傘さしかけて心寄り添へる

しかし自分には厳しい。
自らをののしり尽きずあふむけに寝る

「おふむけ」は「仰向け(あおむけ)」だが、
これがとてもいい。

自分に厳しいから、
そっと反省する。
人をそしる心をすて豆の皮むく

「豆の皮むく」。
きっと猫背なんだろう。

そして心の解放を求める。
何か求むる心海へ放つ

坂口安吾は短編の名手でもある。
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学生時代から好きな一編。
私は海をだきしめてゐたい
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青空文庫で誰でも読める。

坂口安吾は、
1906年(明治39年)生まれ、
1955年(昭和30年)没。
小説家、評論家、随筆家。

昭和の戦前・戦後に活躍した無頼派の代表。

放哉と安吾。

繋がっている。

しかし放哉や安吾の気分も悪くないが、
彼らには夏至の今日、
谷川俊太郎の詩を捧げよう。
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生きる

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎてゆくこと

生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ――
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谷川は、1931年生まれの詩人、絵本作家。

商売をする人たちには、
谷川俊太郎がいいだろう。

それでもそんな商人も、
尾崎放哉や坂口安吾の気分になることもあるし、
そんな側面を持っていてもいいと思う。

多様性とはそんなことだ。
精神の多様性は、
店という公共の場には、
むしろ求められている。

そして現代のダイバーシティの世の中で、
商売はすべての人にあくまで公平である。

そこが商売のいいところだし、
それが顧客ビジネスの本質である。

〈結城義晴〉

2019年06月21日(金曜日)

万代知識商人大学第4期のオペレーションマネジメント講義

今日は万代知識商人大学講義。
4年目に入って、第4期生。
3月から開講して、4度目。

大阪府東大阪市の㈱万代本社。 DSCN00469

隣接する会議棟が、
万代の企業内大学の校舎。
DSCN00459

午前9時前に全員が集合したら、
すぐに始める。
DSCN99699

先月の講義をもとに、
各自にレポートが課される。
2名の4期生が選ばれて、
その提出レポートの報告をする。

まず木﨑稔さん。
惣菜部SVリーダー。
DSCN99739

畠山敏之さんは下新庄店店長。
DSCN99789

二人ともそれぞれに学んだことをもとに、
自分の考察を展開して、
よかった。

報告が終わると、
午前中いっぱい結城義晴の講義。
DSCN99819

第4回のテーマは、
オペレーションマネジメント。DSCN99829

初めに月刊商人舎6月号の内容を、
かいつまんで解説して、
業界の動静を教授する。

それからマネジメントの体系。
オペレーションはその中の、
どこにどう位置づけられるか。
DSCN99939

それからスーパーマーケットの、
ジャストインタイムと自働化を説明。
トヨタのかんばん方式は、
米国スーパーマーケットに学んだ。
そして今、日本のスーパーマーケットが、
トヨタのかんばん方式に考え方を学ぶ。DSCN99999
午前中は、
ウォルター・A・シューハートや、
ウィリアム・E・デミングの、
品質管理をはじめとする品質の問題を、
万代の企業特性に照らし合わせて、
ゆっくりと講義した。

12時過ぎまで3時間近くの講義も、
あっという間に終わってしまう。

午前中の終わりに、
4期生に質問した。
「5S」の5つのSを答えよ。

皆さんは、わかるだろうか。

そう、
①整理
②整頓
清掃
清潔
⑤しつけ

万代大学4期生。
見事に答えた。

それから整理と整頓の意味。

これも級長の川嶋敏宏さんと、
泉北深阪店店長の原田明博さんが、
見事に答えてくれて、
私は大いに満足した。

トヨタの定義だが、
「整理」とは、
「いるもの」と「いらないもの」を分け、
「いらないもの」を捨てること。

「整頓」とは、
「必要なもの」を「必要なとき」に、
「必要なだけ」取り出せるようにすること。

重要です。

ランチはいつも通り、
本社に併設された万代渋川店で購入。IMG_79159

金曜市を全面展開。
IMG_79089

一丁目一番地は、
鮮度感あふれる農産部門。
IMG_79149

水産部門は1000円で、
よりどり3パックの販促をやっていた。IMG_79129

そして主通路の島陳列。
これはウォルマートのようだ。
IMG_79169

店舗左翼のデイリー売場も、
商品を絞り込んで、
訴求アイテムを強調する。IMG_79199

店舗奥主通路中央に惣菜売場。
ここでランチメニューを購入。
IMG_79179

買物が終わるころ、
ばったりと会ったのが、
山下和孝さん。
㈱万代監査役にして、
㈱万代リテールホールディングス社長。
DSCN00099

仲良く記念写真。
DSCN00119

午後1時から講義再開。
専務取締役の芝純さんが、
万代のオペレーションマネジメントを、
具体的に語った。
DSCN00149

数字を使って、万代の方針をレクチャー。DSCN00179
オペレーションシステムは、
その会社のミッションや戦略に応じて、
それぞれに特徴を持っていなければならない。

たとえば、
アメリカのトレーダー・ジョーと、
ホールフーズマーケット。
どちらもスーパーマーケットで、
オーガニックやナチュラルを主力にする。
しかしその店舗運営や作業システムは、
まったく正反対と言えるくらい異なる。

万代も同じだ。

だから営業担当専務が、
その万代のオペレーションを解説する。

芝さんと握手。
良い講義でした。
DSCN00279

そのあとは人事部マネジャーで、
万代大学事務局の津田睦さんが講義。DSCN00359

より具体的に店舗損益の改善の考え方。

津田さんは店長を経験して、
それから人事部マネジャーとなった。
だから店舗の作業管理と数値管理は得意とする。DSCN00299
一気呵成に1時間、見事な講義だった。

それが終わると、
加藤徹さん、阿部秀行さんと懇談。
DSCN00369
加藤さんは㈱万代の前会長で、
現在は万代油脂工業㈱社長。

実質的なオーナーで、
万代知識商人大学理事長。

阿部さんはもちろん万代社長。
DSCN00409

午後3時から最後の講義。
レイバースケジューリングシステム。
DSCN00419

もちろん結城義晴。
DSCN00039

私はかつて村上忍さんから、
徹底的に作業システムを学んだ。
単行本も2冊ほど手掛けた。

そしていま高野保男さんに、
ミドルマネジメント研修会で講義してもらっている。
最新のレイバースケジューリングも学んでいる。

それをレクチャーした。
DSCN00489

さらに最後の最後は、
サプライチェーンマネジメントの基礎を講義した。DSCN00509
チェーンストアに従事する人たちの、
9割はこのオペレーションを仕事とする。

たった1日の講義だが、
きわめて重要なテーマなのだ。

次々に新しいマーケティングを展開したとしても、
それを現場で実現するには、
作業システムが出来上がっていなければならない。

私のあとに阿部社長の訓示。
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阿部さんもまさに「現場の人」だ。
その自分の経験と会社の大方針を、
最後にしっかりと30分も語ってくれた。

そして加藤さん、阿部さんと写真。DSCN00579
お疲れさまでした。

第4期生はそのあと、
今日のレポートを簡単にまとめた。

さらに2000字以上のレポートが課される。IMG_79219
1年間は徹底的に学び続ける。
もちろん徹底的に仕事に打ち込む。

それが幹部候補生の最低条件である。

最後に大野耐一さんの言葉。
「トヨタ生産方式」の考案者で、
最後はトヨタの副社長となった伝説の人。

「標準」とは
生産現場の人間が、

つくり上げるべきものである。
けっして上からの、
お仕着せであってはならない。

御意。

〈結城義晴〉

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