結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年09月27日(火曜日)

山本慎一郎カスミ社長と懇談/「セブン・ザ・プライス」発売

安倍晋三元首相の国葬の日。

弔意は表するけれど、
私は献花には行かない。

商人舎オフィスに出社して、
午後から社内会議。

月刊誌の企画の検討から始めて、
2023年の事業計画まで、
認識を一致させ、意見を出し合った。

夕方、東海道線で上野へ。
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伊豆栄(いずえい)梅川亭。
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伊豆榮は八代将軍吉宗公の時代、
上野池之端で創業。

江戸前の鰻屋。

当時、上野界隈では良質な鰻が獲れ、
簡易な造りの蒲焼屋が建ち並んでいた。

その中の一店が、
今も歴史を繋ぐ。

九代目女将は土肥好美さん。

梅川亭の最上階の一室で、
山本慎一郎さんと懇親。
㈱カスミ代表取締役者社長。
そして㈱U.S.M.H代表取締役副社長。
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日本酒をたしなみながら、
伊豆栄のフルコースと鰻を堪能した。

もちろんスーパーマーケット産業について、
突っ込んだ意見交換をした。

「刈り取られ産業」を脱して、
正当な社会的機能を果たしたい。

山本さんはリベラルな経営者だ。
そして極めて論理的、科学的。
筋が通っている。

以前は「リテールDX」に関して質問し、
見解を聞くことが多かったが、
今夜はそれ以外の話題に飛躍しつつ、
小売業の本質を語り合った。

酒を飲める人は、
その酒を酌み交わしつつ、
議論をするのがいい。

飲めない人に無理強いはしない。

けれど飲みながら語り合うのは、
格別のものがある。

議論がどんどん展開する。
そんな気がする。

実に有意義な秋の一夜だった。

途中で浅草振袖の椿さん登場。
この伊豆栄のサービスで、
全室を10分ずつ巡ってくれる。
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「京に舞妓はん、浅草は振袖さん」
㈱浅草振袖に所属する芸者さん。
白塗りに日本髪、華やかな振袖姿。

島倉千代子の「すみだ川」を一曲、
優雅に踊ってくれた。

楽しい夜だった。

山本慎一郎さん。
産業を背負って立つ人だ。

さて商人舎流通スーパーニュース。
絶好調で今日は24本のニュースが挙がった。

カスミnews |
茨城県石岡市で10/3「移動スーパー開始」・49台体制
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山本さんも今日、話していたが、
カスミはすべて直営で展開する。
ただし行政協働型だ。

それで十分に採算に乗るし、
地域への貢献は大きいという。

それが50台体制間近となった。

もう一つ。
セブン&アイnews |
価格訴求ブランド「セブン・ザ・プライス」発売

グループPB「セブンプレミアム」に、
『セブン・ザ・プライス』が加わる。
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イトーヨーカ堂が2021年7月に、
「ザ・プライス」の価格訴求ブランドを発売した。

食品、日用品中心に、
シンプルな商品スペックにし、
コスト削減の工夫をした。
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現在の取り扱いアイテム数は約190品目、
累計販売金額は39億円を突破。

このブランドを、
新ブランドに変更した。

イトーヨーカドー、ヨークなどはもとより、
コンビニのセブン-イレブンでも販売する。

商人舎の分類でいえば、
コンペティティブブランド。
あるいはファイターブランド。

イオンのトップバリュの中では、
「ベストプライス」に該当する。

感慨深い。

とうとうセブン&アイも、
コンペティティブブランドを開発し、
それをセブン-イレブンで売る。

鈴木敏文さんは、
何と言うだろう。

是非、聞いてみたいものだ。

コンビニエンスストアのコンセプトと、
ファイターブランドは合わない。

フランチャイジーの加盟店から、
発注が上がってくるか。

粗利益率はどうなっているか。
それが問題だ。

売れて儲かるならば、
発注も増えるだろう。

売れてもごくごく薄利ならば、
加盟店には魅力的な商品ではない。

しかし価格競争に巻き込まれないのが、
本来のセブン-イレブンである。

価格訴求ブランドを並べるのは、
ポジショニングの齟齬を来しはしないか。

このあたりインタビューしたり、
議論したりしたいところだが、
最近はこういった取材は受けつけられない。

山本慎一郎さんとの今宵のように、
産業全体を良くする質疑応答をしたいのだが、
なかなかそれができなくなっている。

残念なことだ。

Retail is Detail.
小売りの神は細部に宿る。

そのDetailに関して、
当事者、当該者と議論する。

それが産業の発展につながる。
私はそう信じている。

〈結城義晴〉

2022年09月26日(月曜日)

「9月西高東低」の「体力・知力・気力」と商人舎米国研修再開宣言

Everybody! Good Monday!
[2022vol㊴]

2022年第39週、
9月第4週の最終週。

今週末の土曜日から10月。
つまり、あと5日で10月。
今年もあと3カ月。

その10月は一段と商品値上げが進む。
6000品目超えだとか、
8000アイテムを超えるだとか。
今年最大の値上げラッシュ。

だから今週は、
駆け込み需要が発生する。

9月のスーパーマーケット実績。
商人舎特任研究員からの報告では、
「西高東低」

たとえば関東圏と近畿圏に、
どちらにも店舗展開する企業では、
関東圏が前年比割れ、
関西圏は前年クリア。

台風14号、15号の影響も、
もちろん大きい。
直前の駆け込み需要も起こるけれど。

東北のスーパーマーケットも、
台風の進路に近かった南東北は悪くて、
北東北は絶好調だった。

そして電気代高騰の打撃は、
全国的に避けられない問題だ。

売上高に対して1%から1.5%が、
電気代経費である。

営業利益が1%台のチェーンは、
電気代だけでそれを食ってしまう。

水面下に沈む。

大久保恒夫㈱西友CEOは、
「来年こそ正念場だ」と警告する。

同感だ。

このところ毎年のように、
新しい正念場がやってくる。

2019年は消費増税による正念場。

2020年と2021年は、
コロナ禍の正念場が加わった。

そして2022年は、
ウクライナ/ロシア戦争の正念場が重なる。

原材料やエネルギーコストが上がる。

それらにも影響されて、
為替相場が異常に変動し、
経験したことのない急激な「円安」が起こる。

人手不足は慢性化しつつ、
深刻さを増していく。

それらはすべての企業の上に、
公平にやってくる。

だとすれば、
川野幸夫㈱ヤオコー会長が語るように、
「体力勝負」が続くことになる。

私の言葉で言えば、
「無呼吸泳法」である。

「企業の体力」とは、
「収益性」である。

一つは本業の営業利益である。

電気代にしても、
人手不足にしても、
営業利益が高ければ、
そこから経費を削り取って、
対応することが可能だ。

その余力を「体力」と呼ぶ。

二つめは「営業外利益」である。
儲け主義の多角経営を奨励はしない。
けれど正当な営業外の利益が、
会社の管理部門によって担保されていれば、
それを経常利益の補填に回すことができる。

これも「体力」の一部である。

最後の最後には、
いずれかの企業体や事業体が行き詰まって、
より体力のある競争相手に、
残存者利益がもたらされる。

「企業の体力」はこの、
残存するための資源である。

体力以外に企業には、
「気力」と「知力」とがある。

「企業の気力」は、
リーダーシップによって生まれる。
ロイヤルティによっても生じる。

「企業の知力」はまずトップや幹部が、
必死に学ぶことによって養われる。
ミドルマネジメントの学習によって高まる。

「体力」は気力と知力の充実によって、
企業のなかに根づくものだ。

今からでも遅くはない。

日々の仕事や自己研鑽のすべてが、
企業の「知力と体力」へと結びつくように、
業務体制や教育体系を変えていく。

今からでも遅くはない。

さて、先週金曜日に、
小阪裕介さんが商人舎を訪れてくれた。
㈱JTB大阪第三事業部営業第四課長。
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商人舎の海外研修についての打ち合わせ。

商人舎はJTBと組んで、
海外研修を実施している。

日本第一の旅行代理業。
世界でも5位から7位に入る。

それだけの信用と情報量がある。
法務部門もセキュリティも、
日本第一である。

国際的な難事や紛争が続くときだ。
今年一杯は海外渡航視察研修を控えた。

そして来年、
COVID-19パンデミックから、
まるまる3年が経過して、
再開することを決定した。

商人舎海外研修再開宣言である。

商人舎で公募する研修会は、
来年の5月第2週から第3週。
ベーシックコースから再開する。
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その後、スペシャルコースを実施する。

今から派遣を検討してほしい。

その前に企業別の研修会を実施する。
こちらは少しずつ企画が進んでいる。

よろしくお願いしたい。

企業としての「知力」を養成するために、
最適の研修会だ。

それが企業の体力に直結している。

そして、神は現場にあり。

さて今週のスケジュール。
月刊商人舎10月号の入稿が始まる。

今日はZOOM会議。
明日の27日は編集会議。
夕方、私は懇親会。

明後日の28日はヤオコーの開店取材。

商人舎流通スーパーニュース。
ヤオコーnews |
「八王子鑓水店」ビバモール内に9/28オープン
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ヤオコー八王子鑓水(やりみず)店は、
店舗面積684坪。

ビバモール八王子多摩美大前内への出店。
スーパービバホームが21日、
ヤマダデンキテックランドが23日に、
すでにオープンしている。

9月29日は前橋みなみモールの取材。
私は行けないけれど山本恭広編集長が訪れる。
ワークマン女子とWORKMAN Shoesの、
コンビネーションストア全国2号店。

すでに9月8日(木)にオープンしている。

その間も商人舎10月号の執筆と入稿。

頑張ります。

では、みなさん、今週も、
気力、知力、体力を養成しよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年09月25日(日曜日)

スポーツの秋の「37歳」の活躍と「自分で老けてはいけない」

スポーツの秋だ。

台風が去った後の9月第4日曜日。
大久保恒夫さんとゴルフを楽しんだ。
㈱西友社長兼CEO。

暑い夏は避けて、
9月・10月・11月と、
一緒にラウンドする。

そう約束して、
約束が実現した。

写真を撮るのも忘れるほど、
プレイに熱中し、
懇談した。

大久保西友は絶好調だが、
どの企業も電気代の高騰には、
大いに悩まされている。

電気代が営業利益を食ってしまう。
そんな企業が圧倒的に多い。

来年、その電気代が下がる保証はない。
むしろ2023年こそ正念場を迎える。

見解は一致した。

楽しい一日だった。

ありがとうございました。

(よね)くるる友を今宵の月の客
〈松尾芭蕉〉

それぞれに馳走を持ち寄って、
今宵、友と月見酒。

芭蕉の友の句はしみじみとしている。

世界中がスポーツの秋だ。

ベルリン・マラソン。
1974年に西ベルリンで開催され、
毎年9月最終日曜日に4万人が走る。

その第48回大会で、
エリウド・キプチョゲが圧勝。
ケニア人。
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世界新記録を樹立。
2時間1分9秒。
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もう2時間を切りそうだ。

オリンピックでは、
リオデジャネイロと東京で、
二連覇中のキプチョゲは、
なんと37歳。

大相撲の玉鷲。
同じ37歳で優勝を飾った。
モンゴル出身力士。

13勝2敗の見事な制覇。

しかも玉鷲も、
キプチョゲと同じ37歳。

37歳10カ月での賜杯獲得は、
年6場所制となった1958年以降で最年長。

スポーツ選手の37歳は高齢者だ。

この玉鷲、
初土俵から一回も休場していない。
通算連続出場記録1463回で、
歴代3位。

けれんみのない押し相撲。
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部屋での稽古の仕方が面白い。
一度に2人の若手を相手に相撲を取る。
それによってとっさの反応を磨く。

37歳の研鑽。

負けまじき相撲を寝ものがたりかな
〈与謝野蕪村〉

負けてはならぬ相撲を負けた。
それをしみじみ寝ものがたりにする。

スポーツではもう一つ、
プロ野球セントラルリーグ。
東京ヤクルトスワローズ。
リーグ優勝を決めた。

2年連続。

絶対的存在の村上宗隆を主軸に、
高津臣吾監督の采配で、
首位を独走し続けた。

野球は監督で決まる。
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今やかの三つのベースに人満ちて
そぞろに胸のうちさわぐかな
〈正岡子規〉

玉鷲に対する落合博満のアドバイス。
「自分で老けないことですね」

落合も37歳でホームラン王になった。

そう、自分で老けてはならない。

つい最近、大久保恒夫さんが、
鈴木敏文さんに会いに行った。

大久保さんが報告した。
「66歳になりました」

「まだまだ若いなあ」

鈴木さんは今年12月1日に、
90歳になる。

頭は冴えている。

化け物級の先輩たちは元気だ。

伊藤雅俊さん、98歳。
岡田卓也さん、97歳。
清水信次さん、96歳。

私たちも、
自分で老けるわけにはいかない。

〈結城義晴〉

2022年09月24日(土曜日)

台風一過、西郷隆盛の「丈夫玉砕すとも 甎全を愧ず」

台風15号は温帯低気圧に変わった。
そして台風一過の横浜の空。IMG_57402

ベランダのオリーブの葉に水がたまった。IMG_E57292

外に出るとバーベナ、
日本名は「美女桜」。
クマツヅラ科クマツヅラ属の花。
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彼岸花にも雨粒が残る。
曼殊沙華ともいう。IMG_57442
人を泣かせ己も泣いて曼珠沙華
〈鈴木真砂女〉

雲が残ったが、
青空も見えて、
元気が出てくる。
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雨降って地固まる。
台風去って決意新た。

日経新聞の巻頭コラム「春秋」
その9月22日版。

「信なくば立たず」

日本の政治家はこの言葉を好んで使う。
岸田文雄首相も自民党総裁選立候補の際に、
このフレーズを使って、さらにこう語った。

「政治の根幹である国民の信頼が崩れている」
菅義偉政権のことだ。

岸田内閣の支持率が、
驚くスピードで下がっている。
旧統一教会と自民党との関係、
安倍晋三元首相の国葬への批判。

「秋の日が落ちる速さで
国民の心が離れつつある」

「信なくば立たず」は、
「論語」に由来する。

政治について問われた孔子が、
軍備と食料を十分にすることよりも、
まずは民衆の「信」が大事だと説いた。

急落する支持率について、
記者団から問われた首相は、
自らに言い聞かせるように
「一喜一憂しない」と答えた。

「聞く力」を看板に登場したリーダー。
「私にはやるべきことがある」
総裁選に打って出たときの初志を、
貫けるのか。

今日9月24日は、
西郷が自刃した日だ。

その南洲翁の有名な漢詩。
幾歷辛酸志始堅 
丈夫玉碎愧甎全 
一家遺事人知否 
不爲兒孫買美田 

「幾たびか辛酸(しんさん)を経て
志始めて堅(かた)

丈夫(じょうふ)玉砕(ぎょくさい)すとも
甎全(せんぜん)を愧(は)

一家(いっか)の遺事(いじ)
人知るや否や

児孫(じそん)の為に
美田(びでん)を買はず」
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何度も辛酸をなめて、
志ははじめて堅くなる。
丈夫、すなわち一人前の男というものは、
たとえ玉砕するとしても、
保身に走る「甎全」を恥じるものだ。
わが家の家訓を知っているだろうか。
子孫のために立派な田畑を買わないことだ。
つまり財産を遺したりしないことだ。

台風が去って、
西郷どんを思い出した。

「幾たびか辛酸を経て
志始めて堅し

丈夫玉砕すとも
甎全を愧ず」

〈結城義晴〉

2022年09月23日(金曜日)

秋分の日の台風15号と宮沢賢治の「マヂエル様への祈り」

秋分の日。
三連休。

「祝日法」の定義では、
「祖先をうやまい、
なくなった人々をしのぶ。」

秋分の日は、
秋の彼岸の中日である。

秋分の日のイメージは、
私の場合、「快晴」である。

行楽の秋、
食欲の秋。

それなのに、またまた台風。
15号。

三連休の人々の出足を止めた。
観光業やサービス業は、
打撃を受けた。

小売業も痛手を受ける。
しかし事前の台風情報によって、
台風が直撃する前に、
駆け込み需要が生まれる。

台風14号のときには、
コンビニエンスストアに特需が生まれた。
スーパーマーケットも、
それで直撃の落ち込みが相殺された。

敬老の日を含んだ先週の三連休は、
予報官が「見たことのない」台風14号が来た。
関西地区では事前駆け込み需要が生まれた。
そのうえ台風の直撃がなかったから、
予想を超えた売上げがやってきた。

私はウェザーMDに関して言い続けている。
顧客は天候そのものよりも、
「天気予報」に合わせて、
購買行動を変化させる。
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台風14号のときには、
それが顕著になって、
駆け込み需要と本需要とが得られた。

この15号は、
三連休直撃だ。

最後の日曜日には、
15号は太平洋上に去って、
温帯低気圧に変わりそうだ。

それでも線状降水帯が発生して、
各地で大雨が降っている。

お見舞い申し上げたい。

それにしても、
ウクライナ戦線。
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ロシアのプーチンは、
大統領令を発動して、
軍務経験などのある、
30万人の予備役を動員する。

追い詰められている。

これに対して、
ロシア全土38都市で抗議デモが起こって、
およそ1400人の市民が拘束された。

ロシア国内からも、
少しずつ「戦争反対」の声が上がり始めた。

「河北春秋」
東北の地方新聞「河北新報」の巻頭言。

水曜日の9月21日。
哲学者の谷川徹三を取り上げた。
1895年生まれ、1989年逝去。
谷川徹三

詩人谷川俊太郎は、
その長男だ。

法政大学総長などを務めた徹三は、
宮沢賢治に深く傾倒した。

賢治は1896年に生まれ、
1933年に没した。
宮澤賢治
つまり二人はほぼ同世代である。

さらに谷川徹三の命日が9月27日で、
宮澤賢治の賢治忌が21日だ。

この秋の彼岸のあたりの時期に、
ふたりの命日が重なる。

戦前の1931年に賢治は、
岩手県の東北砕石工場に技師として招かれ、
石灰肥料の品質向上や販売に奔走した。

同年9月、東京出張で倒れる。

郷里の花巻の病床で11月、
『雨ニモマケズ』を書き留める。

谷川徹三はこれを「最高の詩」と称賛した。

コラム。
「賢治は世界全体の幸福を念願し、
生涯をささげた。」

賢治の童話のひとつ。
『烏(カラス)の北斗七星』
(青空文庫で誰でも読むことができる)
宮澤賢治鳥の北斗七星
賢治はカラスの群れを、
何十羽という大艦隊に見立てる。

その艦隊の一つを統率する「烏の大尉」。
強敵の山烏との間に戦闘が起こる。

敵を討った大尉は少佐に昇格する。

しかし新しい烏の少佐は、
「マヂエル様」と呼ぶ北斗七星に祈る。

「あゝ、マヂエル様、
どうか
憎むことのできない敵を

殺さないでいゝやうに
早くこの世界が
なりますやうに、

そのためならば、
わたくしのからだなどは、
何べん引き裂かれても
かまひません」

憎むことのできない敵を、
殺さないでいいような世界が、
訪れますように。

1924年に宮沢賢治が祈った。
その祈りは100年後の今も、
ウクライナとロシアに向けられている。

ウクライナ人にとっても、
ロシア人にとっても、
互いに憎むことのできない敵である。

18~60歳のウクライナ人男性は、
国外に出られず、
いわば総動員の形だ。

ロシア人は職業軍人以外の、
予備役が30万人も動員される。

100年経っても、
プーチンに象徴される人間の欲望は、
消えることがないのだろうか。

私たちもマヂエル様に、
祈らねばならない。

〈結城義晴〉

2022年09月22日(木曜日)

政府・日銀の「為替介入」と万代渋川店の「良い品をどんどん安く」

日本国政府と日本銀行が、
やっと動いた。

円買い・ドル売りの為替介入。
1998年6月以来、約24年ぶりとなる。

日銀の大規模金融緩和維持によって、
円安・ドル高には拍車がかかっていた。

しかし日銀が「兆円単位」の介入をしても、
米連邦準備理事会(FRB)は、
大幅な利上げを続ける方針を出している。

日米の金利差は広がる。

円買い介入の効果は、
維持されはしない。

焼け石に水か。

今回は日本の「単独介入」である。
他国と足並みをそろえる「協調介入」ではない。

振り返ってみると、
3月初めの段階では、
1ドル115円くらいだった。

半年30円も円安が進んだ。

OECD調査の2021年の購買力平価は、
1ドル100.4円だった。
(つい最近の講義で120円と言ったのは間違いだった。
訂正してお詫びします)

そこから比べると、
実際の為替相場は、
円安ドル高がひどい。

グレートモデレーションという、
「超安定化」の時代は終わった。
グレートボラティリティの、
「超不安定化」の時代である。

先の見えない不安定な時代だ。

政府も日銀も、
勇気が必要だ。

いま存在しない商品やサービス、
いま存在しない技術などを、
生み出さねばならない。

それに手をつけずに、
単独為替介入では、
根本問題が解決されない。

小売業、サービス業は、
独創性をもって技術革新に臨みたい。

さて、万代渋川店。IMG_56632

万代知識商人大学の講義の日、
ランチはこの店で購入する。

その際、店の状態を確かめる。

一丁目一番地からの見通しが良くなった。IMG_56642

青果は「計量フェア」開催中。
このピーマン100グラム68円は値打ちもの。IMG_56662

ミニトマト100グラム98円。
陳列も見事だ。IMG_56672

梨の二十世紀は2個398円。IMG_56682

ダイコン1本198円。IMG_56692

シャインマスカット1パック980円。IMG_56702

白菜4分の1カット98円。IMG_56712

そしてキュウリ4本入り198円。IMG_56722
いずれも「良い品をどんどん安く」。

タイムサービスは、
生食用湯ダコ100グラム238円。
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トラウトサーモン刺身用、
100グラム258円。
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鮮魚部門は万代の強みの一つだ。IMG_56752

10月1日の「大総力祭」の告知。
この総力祭のパワーがすごい。
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それから店舗奥主通路中央に、
惣菜部門がある。
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私はチーフお薦めの「天津丼」を買った。
薄味の天津がうまかった。

万代の「夕市」。
夕方4時から「売り切れ御免」。IMG_56782

精肉部門は万代の核売場だ。
人時生産性も高い。
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そして店舗左翼の日配品部門。IMG_56802

最後のコーナーのパンの平台売場。
メーカーが競って、
「良い品をどんどん安く」に協力する。IMG_56812
万代の旗艦店は、
派手さはないけれど、
顧客にとって実にいい売場となっている。

学者やジャーナリストなどを、
万代の店に連れて行っても、
それほど強い関心を示さない。

けれど主婦や常連顧客は、
この良さを知っている。

現在の為替相場で、
観光客がやってきたら、
躍り上がって喜びそうな店だ。

アメリカ人観光客は、
ユニクロに殺到している。

「アメリカのユニクロの半額だ」

万代の青果、鮮魚、精肉、
デイリー食品。

国際比較すれば、
さらに強力な商品群となる。

日本の消費者は悲鳴を上げている。
それを助けるのが、
日本の小売業の使命である。

〈結城義晴〉

2022年09月21日(水曜日)

万代知識商人大学大学院で「生産性を上げる」を語る

昨日から大阪にいる。

台風一過の青空とはいかないが、
ずいぶん、涼しくなった。

そして今朝は東大阪市渋川にある㈱万代本部へ。
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万代知識商人大学大学第7期。
今年は万代の中核を担う人財が集う。
さらに取締役がほぼ全員揃う。

だから「万代知識商人大学院」と称する。
その第4回講義。

いつもの万代会議棟。
この1階にある大ホールが講義会場だ。IMG_5937-1

第4回のテーマは
「サプライチェーン&オペレーションマネジメント」
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9時から結城義晴の第1講義。IMG_5883-1

冒頭はいつものように、
マネジメント体系のおさらい。

会社は6つのマネジメントによって、
成り立っている。
そしてサプライチェーンマネジメントは、
それらにどのように関係するのか。IMG_5884-1

ローゼンワールドの信条から始める。
シアーズ・ローバック中興の祖。

さらに、
サプライチェーンマネジメントの意味と定義、
製造業と小売業の相違をガイダンス。

今日の司会は石川慎也さん。
人事部マネジャー。
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上手な進行だった。

第2講義は圓石一治取締役。
店舗運営・サポート部管掌。IMG_5895-1

店舗オペレーションの観点から、
生産性向上のための視点で講義した。
万代の多くの指標を駆使しながら、
大胆な仮説や提案もしてくれた。IMG_5898-1
企業内大学のいいところは、
自社の経営数値を使って、
具体的に論じることができる点だ。

第3講義は山口成樹取締役。
システム・物流管掌。

山口さんのテーマは
「新センター構想におけるその機能と役割」IMG_5925-1

堺物流センターの役割と現在の課題、
さらに近未来のセンター構想を講義した。

昼食をはさんだ第4講義は、
再び結城義晴。
IMG_5941-1

プロダクトマネジメントの誕生。
アダム・スミスの分業の概念から、
テイラリズムとフォーディズム。
これらは歴史的にも、
極めて重要な原則を示してくれる。

さらにアンドルー・シューハートの品質管理。
エドワーズ・デミングの14の原則、
大野耐一の「トヨタ生産方式」。
製造業のプロダクトマネジメントは、
小売業の作業システムに、
大いに参考になる。

さらに小売業のLSPの本質。
レイバースケジューリングプログラム。

2時間ちかく、じっくりと講義した。

全体のレクチャーが終わると、
問題解決編に入る。

万代カレッジ大学院恒例の、
ディスカッション。

前列に講師のお二人と、
関連する管掌を担う取締役が、
受講生を向かい合って座る。
互いに質疑応答して、議論する。
IMG_5947-1

仕切りはもちろん、
結城義晴。
IMG_5953-1

芝純常務は営業管掌の視点で、
質問に応える。
IMG_5955-1

加藤健常務も、
コーポレート管掌の視点から、
議論の中心となる。
IMG_5959-1

受講生は次々に意見を述べる。IMG_5966-1

写真右は松岡俊行さん。
生鮮商品部担当取締役で、
子会社アルヘイムフードサービス㈱社長を兼務。

左は人事・総務管掌の河野竜一取締役。
IMG_5968-1
河野さんは日本生産性本部の定義を披露して、
生産性についての3つの意義を、
わかりやすく整理してくれた。

この幹部による2時間の討議。
テーマが「生産性を上げる」だから、
店舗オペレーションに対する、
あらゆる課題が俎上に上がった。
議論も実に活発で、
問題解決的だった。

実にいい内容だった。

前に出て議論を進めた取締役の皆さんに、
それぞれ一言ずつ語ってもらって、
議論を終わらせた。

最後は結城義晴の総括講義。IMG_5970-1
KPIとKGIを説明して、
目標設定とその達成について解説した。

KPIはKey Performance Indicator。
「重要業績評価指標」。
KGIはKey Goal Indicator。
「重要目的達成指標」。

全講義が終わると、
不破栄副社長が講義内容について、
解説を加えつつ評価してくれた。
IMG_5978-1
不破さんは現在も、
日本生産性本部のコンサルタント資格を、
更新している。

その視点からも、
生産性を上げるテーマを総括してくれた。

大トリは阿部秀行社長。IMG_5986-1
小売業界や世間の常識にとらわれるな。
自ら考えよ。
それが商売だ。

阿部さんの講話はいつも変わらない。
それが万代の社風を構築している。

3人並んで写真。
IMG_5987-1

さらに本日の講師のお二人と写真。IMG_E5991-1

最後の最後は、
運営に尽力してくれた人事部マネジャー。
私の隣から海野正敏さん、
石川さん、入江功二さん。IMG_E5994-1

いい講義の1日だったし、
いい運営だった。
お疲れさま。
ありがとう。

〈結城義晴〉

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