日経新聞最終面の『交遊抄』。
産業界、経済界のトップが毎日、
心に残る交流相手を紹介しつつ、
そのエピソードを語る。
今日はコープさっぽろ理事長の大見英明さんが、
川一男さんとの「縁」を書いている。
川さんはダイエー副社長からマルエツ社長、
シジシー・ジャパン副会長を歴任した、
業界きっての戦略家、政策通。
大見さんは、生粋のコープさっぽろ育ちで、
1982年、同生活協同組合に入職して以来、
現場を経験し、商品部食品バイヤー、SSM業態部長、
リニューアル本部長、生鮮本部長、
そして2002年常務理事、2006年専務理事、
2007年から若き理事長。
ふたりの交友録のタイトルは、
「生き残りの原点」。
大見さんの率直さ、
川さんの奥深さが出ていて、
今朝の『交遊抄』はとりわけ、いい。
「大見君、お店に並ぶ1品1品を
すべて食べ比べていますか」
川さんから大見さんへの質問、
というか、問題提起。
大見さんは書く。
「私が運転する車の助手席で、
川氏がつぶやいた一言が胸に突き刺さった」
大見さんは、「2000年当時、生鮮本部長で
商品戦略の見直しを任されていた」
その見直しと立て直しのきっかけとなったのが、
川さんの言葉。
「私はライバル店の商品を購入し、
自分たちの商品と食べ比べた。
味、見た目、価格――」
ここからコープさっぽろの改革がスタートした。
名づけて、
「マーチャンダイジング・ラリー」。
「何が足りないのかを徹底的に分析する」
「どの評価項目でも他社の上をいく商品づくりに取り組んだ」
合言葉は、
「見えるものは全て比較しろ」
こういった地に足のついた改革によって、
「一度どん底を見た我々が生き残ることができた」
大見さんは述懐する。
生き残りの原点は、
店に並ぶ1品1品を、
すべて食べ比べる。
クリスマス、年末商戦。
忙しい。
しかしすべての商品を1品ずつ、
食べ比べる、あるいはライフテストする。
その準備が済んでいたら、
「知者惑わず、勇者恐れず」となる。
今日は川さんの、大見さんへの、
「このひとの、このひとこと」
皆で味わおう。
お二人に、心から感謝。
<結城義晴>