結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年12月22日(木曜日)

経営数値「上げるもの・下げるもの・変えないもの」と百貨店・総合スーパー・コンビニ・食品スーパー11月実績

今日は冬至(とうじ)。

1年を4つに分けると、
今日の正反対の日が夏至(げし)。

その中間に秋分があり、
秋分の真反対が春分。

冬至は一番、昼が短く、夜が長いとき。
そして、寒いとき。

ほんとうに寒いのは、
冬至から約30日後の大寒。

冬至には柚子湯に入り、南瓜を食す。
小豆と米でつくる冬至粥もいただく。
私はあまりおかゆは食べないが、
柚子湯は大好きだ。

そしてこの冬至に使われる四字熟語。
「一陽来復」(いちようらいふく)。

朝日新聞の『天声人語』と読売の『編集手帳』が、
今朝のコラムでかぶった。
「かぶる」とは重なること。

「一陽来復」の本来の意味は、
「陰暦10月に陰がきわまって
11月の冬至に陽が初めて生じること」

ここから「冬至」そのもののことを一陽来復というし、
転じて、「冬が去り春が来ること、新年が来ること」も意味する。
さらに転じて「悪いことが続いた後で幸運に向かうこと」をも表す。

朝日も読売も、
2011年に悪いことが続いて、
2012年には良いことに向かう、
そう、言いたがっている。
私も、そう思う。

だから今日は「一陽来復」の日。
来年の年賀状にも使うことができるし、
1月いっぱいの時候の挨拶にも適している。

みなさんも、今夜は、ぜひとも、
柚子湯につかってもらいたい。
柚子湯を提案してもらいたい。

私など、これから年末まで、
毎日でも、柚子湯を楽しむ。
柚子の果実を5~6コの輪切りにして、
布袋に入れて湯船に放り込んでおく。

それだけでいい香り、
気分はリラックスして、
1年間の疲れが吹っ飛ぶ。

さて昨日のクイズ。
「経営するマネジメントとして、
賃金と人件費をどうしたいか?
上げたいか、下げたいか?」

いまちゃん、ありがとう。
投稿してくれた。
「現在の日本の賃金体系では、
雇用者は賃金値下げ、
被雇用者は値上げを望みます」

「営業職や管理職なら自分の働き(目標達成等)が
会社の利益に貢献した分を賃金に反映する。
スタッフ・ライン作業は同一作業・同一賃金(正社員・パートの区別無く)を
日本的にアレンジしたのが理想ではないか?と思います」

いまちゃんには、
『1秒でわかる! 小売業界ハンドブック』を進呈しよう。

昨日の夜、お会いした常盤勝美さんは、
「経営者として賃金は上げたいし、
人件費も総額は上げたいが、率は下げたい」

これも、ご名答。

正解は一つではない。

経営者ならば、リーダーならば、
社員、従業員、一人ひとりの賃金は上げてやりたい。
だから、いまちゃん指摘の「雇用者は賃金下げ」は、
実際には業績が悪い企業にはとても多くて、
そんな企業では「被雇用者は値上げを望」んでいる。

しかしこの悪循環に陥ると、
後戻りするのは大変。

理想的には、
「賃金は上げ、人件費は下げる」
これ、オクシモロンの問題。

もうちょっと細かく考えると、
「賃金は上げ、人件費の比率は下げる」
常盤さんの回答が、いい。

事業が成長していて、
人員が増えていれば、
そして既存の人員の賃金を上げ続ければ、
人件費総額は、当然ながら上がる。

だから「賃金が上がれば、人件費は上がる」
しかし「賃金を上げ」ながら、
「人件費率は下げ」なければならない。
その中で、いまちゃんは、
「公平な分配」の考え方を提示してくれた。

とても、いい答え。

「良い生徒には教師はいらない !」

商人舎ブログがそうなりつつあって、
私は心底、嬉しい。
2011年も、悪いことばかりではなかった。

しかしもう一点、
大事なことを付け加えておこう。

これは故渥美俊一先生から、
何度も何度も、教わったこと。
「経営数字には、三つの種類がある
上げるもの、
下げるもの、
一定に保つもの」

最後の「一定に保つ」は、
「変えないもの」という意味。

だから大きく整理すると、
①「変える数字」と「変えない数字」がある。

そして「変える数字」には、
②「上げる数字」と「下げる数字」がある。

一 賃金は?
⇒一般には常に「上げる数字」と認識しておくべき。

二 人件費は?
⇒売上高や粗利益高を大きく上げ、総賃金も上げるが、
その人件費の比率は「下げる数字」と考える。

ここで、その結果を見定めるために、
「分配率」の考え方を使う。

「分配率」とは、
「会社の付加価値に対して、
どれだけ経費がかかったかを表す指標」
のこと。

小売業・サービス業では一般に、
「労働分配率」を、こう計算する。
〈人にかかわる経費のすべて〉÷〈粗利益高〉
分子は〈給与・賞与・福利厚生費・教育費・退職給与引当金などのすべて〉

もうちょっと単純に、
〈賃金〉÷〈粗利益高〉を、
「賃金分配率」と言う。

そして、
分配率は、一定に保つ。

労働分配率指標は、
35%が目安。

これは故川崎進一先生や渥美先生の研究の成果。
ここに収れんさせる。

粗利益高を必死で上げ、
人時生産性を引き上げて、
その結果、労働分配率35%の、
「変えない数字」となる。
一定に保つには、
アヒルの水かきが必須。
むしろ「結果として変えない数字」こそ、
難しい。

上げるもの、
下げるもの、
一定に保つもの。

いかがだろう。

さて、2011年最後の販売統計結果発表。
11月の結果はどうだったのか、見ていこう。

まず、毎月まっ先に発表される、
日本百貨店協会の「全国百貨店売上高概況」。

11月は売上高総額が5465億0010万円で、
店舗数調整後の前年同月比マイナス1.9%となった。

5カ月連続マイナスの要因として考えられるのは、
全国的に気温が高かったこと。

販売最盛期を迎えるはずのコートやブーツなど、
冬物衣料が売れない。

ライフビジネスウェザーの常盤勝美さんも語っているが、
「厳しい寒さの方が消費は活性化する」のだ。

11月下旬に気温が下がり、
防寒衣料の販売が多少回復した。
しかし、商品全体でみると、
主要5品目は全品目がマイナスだった。

衣料品の売上前年比は、マイナス2.6%、
身のまわり品、マイナス1.7%
雑貨、マイナス1.9%、
家庭用品、マイナス0.2%、
そして食料品がマイナス0.8%。

百貨店とは対照的だったのはコンビニ。
「コンビニエンスストア統計調査月報」
日本フランチャイズチェーン協会の発表。

こちらは全店、既存店ともに、
2カ月連続で前年同月を上回った。

11月の売上高は、
全店で7225億7400万円のプラス10.4%。
既存店でも6625億6000万円で、プラス7.5%。

既存店の来店客数は11億1487万人でプラス4.6%、
平均客単価は594円でプラス5.5%。

日配の前年同月比はプラス4.0%、
加工食品はプラス1.5%、
たばこが依然好調の非食品はプラス24.7%、
サービスがプラス18.0%。

プラスづくめの絶好調。

一方、日本チェーンストア協会、
「チェーンストア販売統計月報」
総合スーパーを中心とした、
チェーンストアの販売結果を集計したもの。

売上高は1兆0399億8586万円。
店舗数は前年同月より188店舗増えたものの、
マイナス2.3%。
1カ月に35店増だが、前月比でもマイナス0.4%。

百貨店同様、平年に比べ気温が高かったことが影響し、
防寒衣料は思うように売れず、
さらに鍋物関連の食品も売れなかった。

ただし、11月17日木曜日に解禁された
ボジョレー・ヌーヴォーは売れた。

スーパーマーケット3団体11月度の販売統計発表。
この日は、日本橋の日本スーパーマーケット協会会議室で、
川野幸夫会長も同席しながらの記者発表。
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日本スーパーマーケット協会(JAS)、
オール日本スーパーマーケット協会(AJS・荒井伸也会長)、
新日本スーパーマーケット協会(NSAJ・横山清会長)。
3協会がまとめたスーパーマーケットの11月度の実績。

その売上高は、7386億4021万円、
既存店前年同期比マイナス2.1%

食品合計は、6345億8199万円、
マイナス2.2%。

内訳は、青果が895億2050万円、マイナス7.1%、
水産が664億5359万円、マイナス3.1%、
畜産が784億5144万円、マイナス2.2%、
惣菜が619億5551万円、マイナス1.0%、
日配が1356億0058万円、マイナス1.6%、
一般食品が2026億37万円、マイナス0.5%。

そして、非食品合計は、
715億1569万円のマイナス6.1%。

マイナスづくめ。

ただし「その他」は325億4253万円で、
この部門のみプラス4.5%。

「昨年のこの時期は青果物の相場高だったこともあり、
青果部門は、昨年をクリアできなかった。
今年は20日頃までは暖かく、飲料は好調だったが、
全体的に売上げをつくることができなかった」
日本スーパーマーケット協会大塚明専務理事の分析。
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「12月は昨年より寒く、
相場も徐々に戻っていることから、
相場の動きが条件になるが
昨年とトントンくらいで落ち着くのではないか」

「とくにクリスマス、正月のギフト需要は好調。
『絆』を大切にする傾向が要因ではないか」

この後、大塚専務理事が2011年を総括したうえで、
2012年のスーパーマーケット業界を予測。
「2012年度は増税と競争激化の年になる」

スーパーマーケット業界のキーワードは、
1つ目は、「パーソナル・ユース」。
人口がへ減少し、家族構成が変化する中で、
ファミリーを対象にしてきたスーパーマーケットにも、
パーソナル・ユース対応が求められる。

2つ目は、「近づく商売」。
届ける、引き売りするといった物理的に近づくことはもちろん、
生鮮の加工度をあげる、情報発信でお客の購買心理により近づく。
メーカーや卸に近づき協業する。
こういった「接近」が重要になる。

3つ目は、
特定少数の来店目的を促す品揃え。

全てがそろわなくとも、ある商品、あるカテゴリーが強い店、
とんがった商品群をもつ店。
そうした補完的な役割の新業態がでてくるのではないか。
あの店に行けばおいしいスイーツがあるとなれば、
お客は固定客になる。

昨日は、今年最後の発表記者会ということもあり、
最後は、ビールを片手に忘年懇親会。
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川野会長、大塚専務理事、
オール日本スーパーマーケット協会・松本光雄専務理事も加わり、
記者との和やかな意見交換会となった。

川野会長は記者の質問に丁寧に答えた後で、締めくった。
「厳しい環境だからこそ、
企業の使命は何か、何屋になるのかが大事」
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最後の最後に、
日本スーパーマーケット協会事務局の皆さんと、
記念撮影。
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今年1年、お世話になった。
ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

この後、立教大学のある池袋に移動。
この夜は、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の公開講演会。
場所は、池袋キャンパスにあるガラス張りの11号館AB01教室。
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7時過ぎに会場に着くと、
すでに2講演目が始まっていた。
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講演会のテーマは、
「インターネットがもたらす中小企業の変革」

中小企業のオンラインビジネスを支援し、
日本経済の活性化を図ることを目的に開催された。

講師は、ビジネスデザイン研究科委員長の亀川雅人教授、
グーグル㈱スモールマーケティング統括部長の伊佐裕也さん、
㈱リップル代表の紙谷由美子さん、
㈱フェイスフェイス代表の高田真理さん、
そして、結城ゼミ2期生の猪股信吾さん。

私は猪股さんの4講座目に間に合うよう、
何とか会場に飛び込んだ。
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猪股さんの講演タイトルは
「みんビズは、中小企業のオンラインビジネスを変えられるか」
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猪股さんは、
Webアナリスト・Webマーケティングコンサルタント。
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ホームページのSEO対策の有無によって、
読者や顧客の獲得がどれだけ変わってしまうかを、
多くの事例をあげながらわかりやすく話した。
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その事例のひとつとして、
商人舎サイトを取り上げてくれた。
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商人舎の人気ブログ「常盤勝美の2週間天気予報」。
「2週間天気予報」がキーワード検索でヒットし、
商人舎サイトへの新規顧客が倍増したことをデータで実証。
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論理的で問題解決的。
とてもシャープな講演だった。
4人の講演の中で、
一番、良いと思った。

欲目か?

その後、講演者によるパネルディスカッション。
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コーディネーターは亀川先生。
さすがの鋭い質問と的確な総括で、
この公開講座、まとまった。

9時過ぎに終了。
講師の猪股さんをはさんで、
常盤さんと3人で写真。
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昨日は、朝から一日、事業報告会。
その後、日本橋から池袋。
まさに「師走」の忙しさ。

柚子湯で疲れをとろう。

<結城義晴>

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