結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年03月02日(金曜日)

阪急オアシス野中北店・平野西店の新フォーマットとポジショニング戦略

昨日、大阪から帰ったら、
片隅に少しだけ雪が残っていた。

今日は朝、羽田空港国際線ターミナルに集合。
立教大学大学院・結城ゼミ第3期生の修了旅行。
総勢8人の動きやすい旅。
台湾へ向けて出発。

ラウンジで、朝からビール。
20120302090452.jpg
みな、元気いっぱい。
楽しみです。

さて昨日は大阪。
3月1日オープン当日の阪急オアシス野中北店。
大阪市北西部の阪急電鉄三国駅から徒歩圏に位置し、
マンションの1階に居ぬき出店した。
関西スーパーが撤退した後の物件。
20120302050753.jpg

この日は人出がひと段落する2時ごろに訪れたが、
開店の賑わいはごらんの通り。
20120302050838.jpg

入ってすぐに青果売り場。
地産地消を謳う「おひさん市」。
20120302050813.jpg
現在、1000軒余りの農家、生産者と契約して、
商品供給を受けている。

入り口に並べられたイチゴ1パック298円がオープンの目玉商品。
補充したとたんにお客が手に取り、飛ぶように売れる。
20120302052009.jpg

右手壁面には「おひさん市」の果物や野菜が木製多段什器に並ぶ。
20120302050909.jpg

「採れたての安心・安全でおいしい生産者直売」。
「おひさん市」のボードの下には、
生産者の顔写真が名前入りで掲げられている。
顔の見える商品として大人気だ。
20120302050927.jpg

そして果物のカラーリング陳列の見事さ。
阪食の陳列技術の真骨頂。
20120302051304.jpg

野菜のばら売りコーナー。
1個単位で販売する。
手間暇がかりそうだが、
少人数世帯、単身世帯のお客には大好評。
20120302051110.jpg

トマトやさやブドウ、えんどう、天心甘栗など
ばら売りのアイテムも増えた。
20120302051059.jpg

青果売り場から鮮魚売り場へ。
20120302050951.JPG

ガラスで仕切られているが、
作業がみえるたオープンキッチンスタイル。
バックヤードの床を高くして、
作業状態を顧客が見上げる形にした。
ホールフーズが、
シアトルのパイク・プレイスの魚屋から学び取ったやり方と同じ。
だからマグロの解体ショーなどもよく見えるようになっている。
20120302051008.jpg

長崎県産地直送の鮮魚。
20120302051043.jpg
長崎県知事の肝いりで、
3つの島と4つの漁港から商品が途切れることなく供給される。

平ケースには、阪食が強化するハーフデリ商品。
半加工品から、最後に自宅で焼くだけの商品までそろう。
20120302051033.jpg

魚屋の鮨「魚彩」。
フレッシュな鮮魚をネタにリーズナブルな価格で提供する。
20120302051210.jpg

奥壁面に沿ってミート&デリの精肉売り場、
まず、とんかつなどの揚げ物コーナー。
20120302051544.jpg

揚げたてのとんかつは試食でお勧めする。
20120302051638.jpg

売り場の平台では、黒毛和牛の牛めし550円などのミートデリを販売。
20120302051425.jpg

主通路に設けられたキッチンステージではメニュー提案。
20120302051509.jpg

奥壁面の最後のコーナーは、
ワインとチーズ売場。
20120302051451.jpg

一角には、日本酒の島陳列。
20120302051621.jpg

そしてデリ&ベーカリーのコーナー。
20120302063305.jpg

惣菜は大皿に盛られたばら売り。
20120302063412.jpg

そして左壁面が惣菜売り場。
各売り場ではインカムをつけたスタッフが、
おすすめ商品をアピールする。
20120302051529.jpg

その前の主通路には、弁当類が並ぶ。
ごらんの通りの人。
20120302051248.jpg

平ケースのいちま鮨、
平台の和菓子コーナー。
什器使いにも常に工夫が加えられ、
洗練されてきた。
20120302051723.jpg

どれでも105円のインストアベーカーリー・コーナー。
20120302063249.jpg
コモディティ・アイテムは、
しっかり低価格をアピールする。

そして店舗最左翼左壁面最後に設けられた無料のレストスペース。
20120302063322.jpg

中央に配置されたグロサリーは低めの什器。
20120302051858.jpg

什器の上部には、
使用シーンをわかりやすく表示。
20120302051847.jpg

阪食では価格表示をおおきな文字で表示している。
高齢者にも見やすく、わかりやすい。
オリーブオイルの品ぞろえは、豊富。
20120302051942.jpg

阪食自慢のカレーコーナー。
阪食百貨店大食堂の名物カレーは1周年で10万食。
阪食の強みは、阪急ブランド。
この自社の「強み」、他の模倣を許さない商品は、
強烈に訴求する。
20120302063623.jpg

レジは6レーン。この日はダブル台でフル対応。
20120302051953.jpg

㈱阪食の千野和利社長と、
商品統括部志水孝行部長。

20120302051930.jpg
千野さんとは、
ポジショニング戦略について、
じっくり語り合った。

それがすなわち、
本当の「ブルー・オーシャン戦略」になっている。
つまりは簡単には模倣できない店づくり、売り場づくりを、
実現させ続けること。

そのために持続的な小さなイノベーションは、
欠かせない。

一方、この日は、
ひと月前の2月1日にオープンした
阪急オアシス平野西店
も視察。

大阪市南部の平野区は職住一体型の下町エリア。
800㎡の意欲的な小型店。
20120302065011.jpg

屋上駐車場42台だけの店だが、
近隣2キロ圏からの自転車客が多い。
足元商圏は2万4000人弱。
しかしポイント5倍セールのこの日は、
つぎつぎにお客が自転車をこいでやってきて、
駐輪場はあふれんばかり。
20120302065042.jpg

入り口を入るとご覧のひとだかり。
2週間目のポイント5倍セール日には、入場制限をしたという。
開店後ひと月が経過しても、
応援部隊が必要なほどの混雑ぶり。
20120302065627.jpg

次から次に顧客がやってくる。
カートが足りなくなるほどの来店客だ、
20120302065100.jpg

この平野西店では、青果部門の真ん中に、
加工スペース設けられた。
20120302072355.jpg

鮮魚売り場は長崎県と提携して、
常に鮮度抜群の商品が品切れしない。
20120302065139.jpg

寿司の商品化が間に合わず、
それでもお客が売場の前で出来上がるのを待っている。
20120302065119.jpg

平台の商品に群がる人人。
20120302065149.jpg

そして精肉売り場。
20120302065235.jpg

ここでも主通路は身動きできないほどの人。
20120302065353.jpg

デリ&ベーカーリー売場。
お客は主通路にあふれている。
20120302065423.jpg

ベーカリー売場にまで達したレジ待ちのお客。
20120302065507.jpg

こちらにもレジ待ちのお客。
20120302065539.jpg

これだけの来店客をいかにさばくか。
これが平野西店の課題になる。
20120302065528.jpg

それにしてもよく入っている。
高度成長時代のダイエーの店では、
並べた商品が飛ぶように売れた。
そんな風景をおもいだすほど、
平野店にはお客が殺到していた。
20120302065554.jpg
驚いたし、感動した。

阪急オアシス平野西店の近隣には、
万代、ライフストア、サンディ、玉出など、
激戦が繰り広げられている。

その真ん中に飛来した阪急オアシス。
異次元の競争を展開することで、
このエリアにも、こういったニーズが潜在することを証明した。

㈱阪食は、
エイチ・ツーオー・リテイリングのスーパーマーケット部隊。
2010年度年商898億6700万円。

千里中央店から始まった新しいフォーマットが成功をおさめ、
レギュラータイプの1500㎡から1200㎡、
そして900㎡、800㎡までのそれぞれのタイプを、
採算に乗せてきた。

千野社長は、
これからは「人が大事です」と言い切った。
その通りだと思う。

私は付け加えた。
「最後は商品の勝負になります」。

店とフォーマットが確立された、
人と商品。

この軌道に乗せるまでが、
本当に苦労の多いひと仕事だが、
軌道に乗ったら油断せず、
人と商品の充実に邁進する。

店や売り場の改革ほどに、
目に見えて成果が上がるという類の課題ではない。
しかし、人と商品こそ、
模倣のできない真のポジショニングをつくるものである。

この日、案内してくれたのは㈱阪食の松元努常務。
昼食は、なにわ筋にあるシチリア料理「ラ・クッカーニャ」。
20120302074239.jpg
素材を生かした調理で、本当においしかった。
松元さんに、心から感謝。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.