結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年08月10日(水曜日)

月刊商人舎月号「商品前線」とイオンの「役割等級制度」

月刊商人舎8月号、本日発刊!!
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特集  All Quiet on the Merchandising Front

商品前線異常なし!

ウェザー・マーチャンダイジングの決定的新機軸

気象の世界には「梅雨前線」や「秋雨前線」があって、そこから「サクラ前線」や「紅葉前線」が登場した。そして、その延長線上に「おでん前線」や
「アイスクリーム前線」が生まれた。ならば、「豆腐前線」も「スイカ前線」も、「マスク前線」もあってよい。
そう考えると全国パネルのPOSデータと天候データを融合させて、ほとんどの商品品種に日本列島の「商品前線」を描くことができる。英語では「Merchandising Front」となる。
その「商品前線理論」を全面特集した。
それはいわゆる「ウェザー・マーチャンダイジング」の発展形の実務理論である。しかしこの「商品前線」は顧客と接する局面では、顧客心理を読み取って、個店経営のためのウェザー・マーケティングとして駆使されねばならないし、仕入れ調達のマーチャンダイジング局面では、まさに「商品産地出来ばえ情報前線」へと展開されねばならない。
その結果、製配販のサプライチェーンはデマンドチェーンと融合していって、「商品前線異常なし!」の世界を創造するのである……。

CONTENTSを示そう。

[Message of August]
良きウェザー・マーチャントたれ! 

ウェザー・マーケティング進化論
「商品前線理論」を活用するために 結城義晴

徹底議論[常盤勝美・鈴木國朗・結城義晴]
「商品前線」理論のすべて
天候MDの現在と未来を語り合う
[第1部]ウェザーMDの停滞
[第2部]「商品前線」理論の要諦
[第3部]「商品前線」の近未来

ウェザーMD体系と日本列島商品前線論
第1部 ウェザーMDの基本と実践
第2部 日本列島商品前線総まくり

[40商品前線カタログ]  
ビール・発泡酒前線/だいこん前線/木綿豆腐前線/のど飴前線/じゃがいも前線/秋季チョコレート前線/おでん前線第一波・おでん前線第二波/白菜前線・白菜ピーク前線/マスク前線/牛肉しゃぶしゃぶ用前線/タラ前線/牡蠣前線/鍋つゆ(すき鍋)前線/リップクリーム前線/風邪薬前線/ボディローションクリーム前線/使い捨てカイロ前線/緑茶前線/ヨーグルトブレーキ前線/食パンブレーキ前線/アイスクリーム前線/そうめん前線/ささみ前線/牛肉焼肉用前線/絹豆腐前線/トマト前線/麦茶前線/ナス前線/チューインガム前線/キュウリ前線/メロン前線/スイカ前線/えだ豆前線/制汗防臭剤前線/殺虫剤前線/UVケア用品前線/ドリンク剤前線/虫刺され薬前線/ブドウ前線/スポーツドリンク前線

巨匠・鈴木哲男の大提言
ウェザーMDの実践手順と応用技術
地域顧客の生活実感を胎内化する仕組みをつくれ!!

セブン-イレブンの発注力とウェザーMD
「仮説・検証」と3つの力が決定的な差をつける!!
信田洋二
・・・・・・・・・・・・・

今回は常盤勝美さんと、
半年も前から念入りに打ち合わせをして、
完成した特集です。

常盤さんとディスカッションしていて、
「商品前線」の概念が浮かび上がった。

POSデータの全国パネルを持つのが、
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。
略称CCL、ブランドはTRUE DATA。

TRUE DATAのビッグデータと、
ウェザーマーチャンダイジングが融合して、
「商品前線」が誕生した。

今後も、この「商品前線理論」は、
常盤さんとCCLによって進化するだろう。

CCLのPOSデータだけでなく、
ID-POSデータを活用して、
「商品前線」は、さらに、
総合的で実践的に変貌するだろう。

そんな特集になった。

ご愛読を願っておきたい。

今日は午前中に、
自宅で原稿書き。
オール日本スーパーマーケット協会機関誌。
「AJSネットワーク」

原稿を送ってから、出社して、
今度はWeekly商人舎の
週刊特別企画をページアップ。
「2015年度コンビニ調査結果を評論する」

その後、石澤清貴先生来社。
特定社会保険労務士で、
㈱商業界時代からお世話になっている。

その後、税理士の宮田昇先生も登場。
創業の時からの商人舎の顧問税理士。

そして商人舎御用達の魚盛で暑気払い。

ずいぶん盛り上がったし、
新しいご提案もいただいて、
私は大満足。
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横浜駅の壁面展示。
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開港の絵柄が美しい。
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さて日経新聞朝刊一面トップ。
「イオン、地域社員を幹部に」

私は「これだなっ!!」と思った。

7月28日(木)のブログで、
岡田元也さんの言葉を紹介した。
場はイオンメディア懇談会。

「イオンには三つのコンセプトがあります。
平和産業、人間産業、地域産業。
もしわれわれが本当に、
この三つを実現できているとしたら、
いま、われわれには、
すごい追い風が吹いています」

「とりわけ地域産業という面では、
地方のミスマッチ・アンマッチに対応すれば、
相当大きなビジネスになる」

「この方針は決まった!!」

私は書いた。
「地域産業としてのイオンの戦略は、
もう変更なしで突っ走るということだ」

今日の記事は、それを証明した。
中核事業イオンリテール㈱の人事制度刷新。

「転勤のない地域社員が
店長や部長など幹部クラスの上位管理職に
昇格しやすくする制度を
2017年春に導入する」

「年収の実質的な上限も
1000万円程度にする」

地域社員の年収1000万円は、
本当に珍しい。

「保育や介護を抱える人材の離職を防ぐ」
「地域に根ざした専門性を備える人材を育成」

これが地域産業としてのイオンの、
考え方の基本となる。

イオンリテールの正社員は約2万人。
現在は「職能資格制度」を採用している。
ここでは個人の経験や能力をもとに
報酬が決まる。

しかし転勤できる「全国社員」のほうが、
地方の小型店などで管理経験を積みやすい。
だから現行制度では事実上、
地域社員よりも全国社員のほうが、
上位の管理職に就くことが多かった。

上位管理職の「部長・大型店店長級以上」は、
約800人。
そのうち、地域社員はたった1人。

新しく導入される人事制度は、
「役割等級制度」

役職や職務の内容をもとに報酬を決める。
過去の経験にかかわらず、
与えられた役割に対する成果を
評価の対象とする。

これによって、地域社員と全国社員の間の、
昇進の格差をなくす。

地域社員は現在、正社員の4分の1強。
将来的には地域社員の上位管理職は増えるし、
上位管理職に昇格した地域社員は、
取締役など役員に起用される可能性も増える。

つまり「人間産業の地域産業」になる。

今回イオンは、
店頭販売員を対象とする「専門職コース」も、
新たに設けられる。

現行制度では、
主任や課長を経験しなければ
部長や店長になれない。

それを見直して、
売場や商品に精通した人材に、
上位管理職への門戸が開かれる。

さらに約10万人の時間給従業員を、
正社員に登用する。

「職能資格制度」から「役割等級制度」へ。

古典的な人事管理制度から、
ポストモダンのマネジメント制度へ。

岡田元也さんの「決まった!!」は、
これだった。

日経一面トップにふさわしい決断だ。

〈結城義晴〉

2016年08月09日(火曜日)

日本男子体操団体金メダルと岩井克人「株主主権論の破綻」

リオデジャネイロのオリンピック。
体操男子団体で金メダル。

じつに、うれしい。

小学校の5・6年生のころ、
担任の太田清美先生は、
クラス全員50人に機械体操を教えた。

男子は全員がバク転ができるようになった。
女子も全員が回転ができた。

バク転は「バックハンドスプリング」
後方倒立回転跳び。
回転は「ハンドスプリング」
前方倒立回転跳び。

6年の終わり、卒業間近のころ、
私たちの宮谷小学校6年2組は、
横浜体育館でその演技を披露した。

拍手喝采を浴びた。

側転からバク転への連続技の爽快感。
何とも言えないものだった。

中学に入ると、
器械体操部に入部した。

部員は少なくて、
中高一貫教育の学校だったので、
高校生と一緒に練習した。

私が中学一年生のころ、
高校一年生の先輩が、
野渡和義さんだった。

現在のユースキン製薬㈱代表取締役社長。

今回も、野渡先輩と連絡を取った。
ともに体操男子団体優勝に感動した。

日本体操界は、1960年代から5期連続で、
オリンピック団体金メダルを獲得した。

1960年のローマオリンピックは、
小野喬・遠藤幸雄を中心に、
竹本正男・相原信行・鶴見修治・三栗崇の6人。
このころから日本では、
器械体操がブームのようになってきた。

そして1964年の東京オリンピック。
私は小学校6年生だった。
遠藤幸雄がエースで、個人総合優勝、
団体メンバーは遠藤幸雄・小野喬が中心で、
吊り輪の早田卓次、跳馬の山下治広、
鶴見修治・三栗崇のメンバーだった。

テレビでリアルタイムで見ていて、
興奮した。

山下治広は「山下跳び」で跳馬金メダル。
これにも感動した。

そして私が高校1年の1968年。
メキシコオリンピックで団体金メダル。
加藤澤男がエースとなっていて、
個人総合と床運動でも金メダル。
美しいラインを出す、名手だった。
私は加藤澤男の大ファンだった。

遠藤幸雄もいたし、
塚原光男や中山彰規もいた。
加藤武司・監物永三がわき役だった。

1972年のミュンヘンオリンピックのときには、
大学生になっていたが、
このときにも日本男子は団体優勝。
加藤澤男は2大会連続で個人総合金メダル。
中山彰規・笠松茂・監物永三・塚原光男、
そして岡村輝一がメンバー。

塚原はこの大会であの「月面宙返り」を生んだ。

さらに1976年のモントリオール。
日本は塚原光男、加藤澤男を中心に、
5大会連続の団体優勝。
五十嵐久人・梶山広司・監物永三・藤本俊。

そして1980年、モスクワオリンピック。
日本は参加をボイコットして、
連続優勝の記録は途絶えた。

それと同時に体操競技そのものが、
やや、ブームも下り坂となった。

考えてみると、
私の青春は体操とともにあった。
私自身はまったくのへぼ選手だったけれど。

だから現在の体操競技の技は、
もう想像をはるかに超えたすごさだ。

それでもみんな、
ハンドスプリングや、
バックハンドスプリングからはじめて、
すごい技を身に着け、
それを完ぺきに演じているのだ。

エース内村航平、
オールラウンダー加藤凌平、
平行棒、鉄棒の田中佑典、
吊り輪と跳馬が得意な山室光史、
そして床運動と跳馬の天才・白井健三。

おめでとう、ありがとう。

4年後の2020年には、
56年ぶりに再び東京オリンピック。

もう一度、あの夢を見たい。

三日月が美しかった。DSCN7850-6

さて今日は一日、横浜商人舎オフィス。
夕方、鈴木堅さん来社。
㈱日本名刺印刷代表取締役社長。DSCN7869-6
もちろん月刊商人舎の印刷から、
セミナーパンフレット、
研修会テキストまで、
すべての印刷を担当してくれている。

名刺印刷からはじめて、
プリント事業の多店化を志向する。
私は事業家としての鈴木堅に、
大いに期待している。

さて日経新聞『経済教室』に、
岩井克人さん登場。
現在は、国際基督教大学客員教授、
東京大学名誉教授。

あの宇澤弘文先生の弟子で、
著書は『会社はだれのものか』(平凡社)、
『会社はこれからどうなるのか』(平凡社)、
『ヴェニスの商人の資本論』(筑摩書房)、
『二十一世紀の資本主義論』(筑摩書房)など、
いい本ばかり。

今回のタイトルは、
「問われる資本主義」

米国共和党ドナルド・トランプ大統領候補選出、
英国国民投票の欧州連合離脱。

「この2つの出来事には多くの共通点がある」

「グローバル化の中で
巨万の富を得ているエリート層に対して、
残りの非エリート層が
異議申し立てをしているのだ」

「格差批判は世界的な広がりを持つ。
だが私が注目するのは、それが米英で
最も先鋭的な形で表れたことである」

「両国での格差の急拡大こそ、
米英型資本主義が旗印にしてきた
『株主主権論』の破綻
意味するからにほかならない」

これが岩井さんの主張。

岩井さんはトマ・ピケティ理論の矛盾を示し、
80年代以降の米英での極端な格差拡大を、
起因させたものを明らかにする。

「何と皮肉な事態なのだろう」

「米英両国が推し進めてきた
自由放任主義政策は、
同時に『株主主権論』も
推し進めてきたからだ」

そして「株主主権論」を説明する。
「会社は株主のものであり、
経営者は株主の代理人として、
株主資本の収益率を
最大化すべしという主張だ」

「だが株主主権論の旗印の下で
実際に大きく上昇したのは、
資本所得ではなく、
経営者の報酬だった」

なぜこうした逆説が生まれたのか。
岩井さんは言い切る。
「それは株主主権論が
理論上の誤りだからだ」

この言い切り、素晴らしい。
加藤澤男や内村航平の技の切れのようだ。

「株主主権論は、会社の経営者には
会社に対する『忠実義務』という倫理的義務が
課されていることに目を塞いでいる」

会社は法人である、
これが岩井さんの原点。

「法律上の人でしかない会社を
現実に人として動かすには、
会社に代わって決定を下し
契約を結ぶ生身の人が不可欠だ。
それが経営者なのだ」

「もし経営者に自己利益の追求を許すと、
会社の名の下に自分を利する
人事決定や報酬契約を行うことが可能となる。
それを抑制するのが忠実義務である」

「ところが株主主権論は、
経営者は株主の代理人だと称して、
この倫理的義務を株式オプションなどの
経済インセンティブに置き換えてしまった」

岩井さんはいう。
「まさにそれは、
自己利益追求への招待状だ」

結果として、米英の経営者は、
自分たちの報酬を高騰させ始めた。

その帰結が、米国トランプ旋風と英国EU離脱。

しかし、岩井克人、
再び技の切れを見せる。
「私は実は、これらの混乱が
米英で起きたことに、
一条の希望の光を見いだしている」

んっ?

「ベルリンの壁崩壊以降、
もはや社会主義は選択肢ではない。
私たちは、資本主義の中で
生きていかざるを得ない」

「もし米英の格差急拡大が
資本主義本来の傾向の
顕在化であるとしたら、どうなるか。
エリートと非エリートの抗争により、
資本主義は内部分裂し、
混乱に満ちた新たな中世を
迎えざるを得ないだろう」

「これに対して、米英の格差急拡大が
株主主権論の誤りに起因するものならば、
まだ選択肢は残されている」

ズバリ。
「その誤りを正せばよい」

「株主主権論を捨て去った後の資本主義が
どのような形になるかはまだ模索中だ」

結論はストイックだ。
「資本主義とは本来的に
倫理性を要求するシステムであること。
まずそれを確認することから
出発しなければならない」

マックス・ヴェーバーに戻ること。
『プロテスタンティズムと資本主義の倫理』
ヴェーバーは考えた。
プロテスタンティズムのもつ、
合理的禁欲の性格が、
初期の資本形成を可能にした一要因である。

そう、倫理性の経営。
忠実義務の経営。
ここからのスタート。

混迷する資本主義社会、民主主義社会。
そこに論理の切れを見せた岩井克人。

日本男子体操の金メダルと同様の解放感を、
私は味わった。

〈結城義晴〉

2016年08月08日(月曜日)

「選んだ孤独はよい孤独」と万代塚口店の「競争優位性」

Everybody! Good Monday!
[2016vol32]

2016年第33週。
8月第2週。

昨日の立秋が過ぎ、もう、
残暑お見舞いします。

広島原爆投下の8月6日(土曜)が終わり、
長崎投下の「原爆の日」9日(火曜)がやってくる。
そして15日(月曜)は終戦の日。

今週木曜の11日が山の日の祭日。
それから13日(土曜)から16日(火曜)まで、
2016年のお盆。

『広辞苑』では、
「盆」は「盂蘭盆(うらぼん)」の略。
「種々の供物を祖先の霊、神仏、
無縁仏に備えて冥福を祈る」
一般には「墓参・霊祭を行い、
僧侶が棚経にまわる」

現代社会では、
先祖の霊や神仏を、
信じるか否かは別にしても、
よく知る先祖には感謝し、
今、生きている人々が、
様々に交流を重ねる。

だからこの時期、
人々は故郷に帰省する。

ぐんぐんと緑色増す帰省かな  
〈朝日俳壇より 船橋市・藤井元基〉
この1週間ほどは、
日本にとって、特別なときだ。そして甲子園では夏の高校野球。
その高校野球出身のイチローは、
大リーガー30人目の3000本安打を記録して、
珍しく涙を見せた。

南米リオデジャネイロでは、
オリンピックが序盤の盛り上がりを見せる。

万緑に闘志漲る日となりぬ  
〈同 菅沼ひろし〉

朝日新聞『折々のことば』
選んだ孤独はよい孤独
(フランスの言い習わし)

編著者の鷲田清一さん。
人々から見捨てられていると感じること、
世評を気にせず自己の内に深く沈潜すること。

前者は「ロンリネス」(ひとりぼっちの寂しさ)、
後者は「ソリチュード」(孤独)。
両者はまったくの別ものである。

「町なかで人々と一緒に暮らしながら、
ひっそりとした一人の時間を
大事にする生き方」
評論家・川本三郎は、
これを「市隠」という。

日本中が、世界中が、
盛り上がるときにこそ、
「市隠」のソリチュードには、
価値があると思う。

先祖の霊や神仏を信じるか、
市隠を選ぶか。

いずれにせよ、
日本の夏はそんなときだと、
つくづくと思う。

さて月刊商人舎8月号特集。
「一・十・百・千万代スタディ」
おかげさまで、大好評。
ありがとうございました。

スタディの中で取り上げたのが、
兵庫県尼崎市の万代塚口店。

JR福知山線塚口駅前再開発エリアに、
今年2月9日にオープン。
複合施設「ミリオンタウン塚口」の核店舗。
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売場面積は674坪でワンフロア。
万代では西宮前浜店の750坪に次ぐ広さ。

商圏は半径1km内を設定しているが、
その世帯数は1万7000世帯、
人口は3万7700人余り。

この基礎商圏のうえに現在、
周辺にマンション群の建設が進む。
3年後にはすべてが完成し、1271戸。

この万代塚口店のコンセプトは、
「生鮮強化」。

「農水畜で合計45%の売上構成比をとる」
藤本誠次店長は語る。

現状の売上構成比は、
農産15.66%、水産10.76%、畜産13.91%で、
合計40.33%。

それを45%までもっていく。tsukaguchi_layout

農産部門では、
野菜売場はオープンケース24尺、平台128尺、
地場野菜コーナー20尺。
合計172尺で450~480アイテム。
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導入部の一丁目一番地では、
季節野菜をバラ売りする。tsukaguchi-42

鮮魚部門の人気コーナーのひとつが、
丸魚バラ売り。
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水産売場では壁面とオープンの2カ所に、
対面キッチン売場を配置する。
オープンの島型対面キッチンでは、
常時、従業員が商品づくりを行う。
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豚肉は140~150アイテムで、
牛肉を上回る品目数。
その豚肉は「さつま極味豚」を全面に訴求。
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左翼のコーナーに設けられた惣菜部門。
家庭の味を出すことがテーマで、
そのために徹底して素材や調味料を、
家庭用でつくる。
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We Cook what we Sell,
and we Sell what we Cook.

イータリーのコンセプトが、
現在の万代の惣菜部門の戦略だ。

惣菜部門では壁面売場に、
対面キッチンを設けた。
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惣菜と日配をゾーン化した第3コーナー。
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万代は関西ダントツを標榜する。
つまり売上高ナンバー1を意味する。

それはつまり「安売り屋」と、
誤解を受ける要因のひとつでもある。

しかし、現在の万代は、
全く違う。

表面だけ見て、
真似しようと考えても、
それができない。

繁盛店であればあるほど、
セミセルフレジ導入はメリットが高い。 tsukaguchi-41

ジェイ・B・バーニーが説くのが、
VRIO分析。

競争を優位に展開するには、
その源泉に企業独自の経営資源がある。

その経営資源や組織能力は、
4つのフレームワークで分析できる。

第1は経済的価値(Value)、
第2は希少性(Rarity)、
第3が模倣困難性(Inimitability)、
そして第4が組織力(Organization)。

万代の塚口店には、
この4つの観点からみた競争優位性がある。

この分析なしに、
表面的な真似をしても、
それは第1の経済的価値の模倣に過ぎない。

そして模倣は、
第2の希少性を生み出さないし、
第3の模倣困難性は、絶対に実現できない。

それは長続きしないし、
なによりイノベーションが起こらない。

塚口店の今期予算は日販850万円。
足元商圏のマンション戸数が増えていくと、
来期は900万円、来々期は1000万円。

企業経営においても、
選んだ孤独はよい孤独となるべきだ。

常にそれを志向すべきである。

お盆のこの時期にも、
それを忘れてはならない。

では、みなさん、
今週も、Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年08月07日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その13】蝉

猫の目で見る博物誌――。
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猫の目の全体視野は280度。
斜め後ろも見える。
両眼視野は130度。
そんな目で見る博物誌――。

夏の虫は、蝉。DSCN7680-6

英語でCicada、
フランス語はCigale。

オリンピックが開かれているブラジル、
その言葉のポルトガル語ではCigarra。
隣のアルゼンチンのスペイン語でもCigarra。

おんなじなんですね。

セミは、カメムシ目・頸吻亜目・セミ上科。
学名Cicadoidea。
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蝉は飛ぶ。
蝉は鳴く。
蝉は変態する。

蝉は7年地中で暮らし、
7日だけ地上で生きる。

これは正しいのか。

セミの成虫の体。DSCF1240
頑丈な脚、長い口吻、発達した羽(翅、はね)。
触角は短い毛髪状。

前翅の前縁・後縁と
後翅の前縁・後縁の4枚の翅がある。DSCF1241
前翅が大きい。

飛ぶときには、
前後の翅を連結させて、羽ばたく。
ばたばたと羽音を立て、
かなりのスピードで飛ぶ。

鳴くのは雄。

雄の成虫の腹腔内には、
音を出す発音筋と発音膜、
音を大きくする共鳴室、
さらに腹弁。
つまり発音器官が発達している。

発音筋は1秒間に2万回振動する。
共鳴室は気管が拡大して生じた。
腹部の大きな空間を共鳴室が占めて、
それが蝉の大きな声となる。

雄が鳴いて、雌を呼び寄せる。
また、外敵に捕らえられたときにも、
大きな声で鳴く。

雌の成虫の腹腔内は、
大きな卵巣で満たされている。
尾部には硬い産卵管が発達している。

雄蝉は鳴いて、雌蝉を呼び寄せ、
雌蝉は卵を産む機能を発達させた。

種の存続のためだ。

鳴き声、鳴く時間帯。
種類によって異なる。

クマゼミとミンミンゼミは午前中に鳴く。
アブラゼミとツクツクボウシは午後に鳴く。
ヒグラシは朝夕に鳴く。
ニイニイゼミは早朝から夕暮れまで鳴く。

したがって、昼の暑い時間帯には、
あまり鳴かない。DSCN7681-6

蝉は変態する。
しかし不完全変態だ。

卵⇒(孵化)⇒幼虫⇒成虫。

完全変態は、
チョウ、ハチ、カブトムシなど。

卵⇒(孵化)⇒幼虫⇒(蛹化)⇒蛹(さなぎ)⇒成虫。

交尾が終わった雌蝉は、
枯れ木に尾部の産卵管をさし込んで産卵する。

その卵の多くは、
翌年の梅雨の頃に孵化する。

孵化したばかりの幼虫は、
薄い皮をかぶった半透明の白色。
目も機能していない。

幼虫は何度も脱皮する。

最初の脱皮のあと、
幼虫は土の中にもぐりこむ。
長い地下生活に入る。

幼虫は太く鎌状に発達した前脚で
木の根に沿って穴を掘り、
長い口吻を木の根にさしこみ、
道管より樹液を吸って成長する。

長い地下生活のうちに数回、脱皮する。

初期の幼虫は全身が白いが、
終齢の幼虫は体が褐色になる。
大きな白い複眼もできる。

さらに羽化を控えた幼虫は、
皮下に成虫の体ができあがっている。
そして白い複眼が、成虫と同じ色になる。

そして終齢幼虫は、
地表近くまで、竪穴を掘って、
なんと地上の様子を窺う。

目が黒くなった終齢幼虫は、
地上に出て、樹などに登っていく。

この蝉の幼虫の地下生活期間は、
3~17年。
アブラゼミは6年ほど。

蝉の成虫期間は、
7日間の1週間と言われるが、
これは「俗説」。

自然界では1カ月ともみられている。

「蝉の短命」などといわれるが、
昆虫類でも長寿のほうだ。

蝉には誤解が多い。DSCN7838-6

蝉の終齢幼虫は、
夕方、地上に現れて、
日没後に羽化を始める。

そして夜の間に羽を伸ばし、
朝までには飛翔できる状態にする。
羽化である。

木の幹や葉の上、裏側に、
まず爪を立てる。
そのあと、背中が割れて、
白い成虫が生まれる。

白い成虫は翌朝には、
外骨格が固まり、体色がついて、
蝉の体になる。
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閑さや岩にしみ入る蝉の声
松尾芭蕉『奥の細道』の句。
元禄2年5月27日(1689年7月13日)、
出羽国の立石寺で詠まれた。

ところが1926 年、
斎藤茂吉がこの句の蝉を、
アブラゼミであると発表。
雑誌『改造』に書いた。

これが発端となって、
文学論争が起こる。

1年後に、岩波書店店主の岩波茂雄が、
茂吉、安倍能成、小宮豊隆、中勘助など、
文人を集めて、議論の場を設けた。

茂吉はアブラゼミと主張。
小宮はニイニイゼミと反論。

「閑さ」「岩にしみ入る」という言葉は、
アブラゼミに合わない。
これは文学的な見解。

妥当な線だろう。

さらに芭蕉が詠んだ元禄2年5月末は、
新暦にすると7月上旬となるが、
アブラゼミは7月には鳴いていない。

これが科学的な見解。

議論は決着がつかず、持越し。

しかし1932年、茂吉自身が、
実地調査などして、誤りを認めた。

結論は、芭蕉の「蝉の声」は、
ニイニイゼミとなった。

じつに、おもしろい。
しかし蝉は誤解の多い虫だ。DSCN7813-6

最後に「蛻変」。
「ぜいへん」と読む。
籐芳誠一明治大学元教授が説くのが、
「蛻変の経営」

小売り流通業では、
㈱カスミ会長の小濵裕正さんの持論。

蝉の卵が幼虫になり、蛹になり、
羽化して成虫になっていく。

企業という「社会的生物」も、
変化する環境の中で、
意識的に「蛻変」を行わなければならない。

すなわち企業は、
自己変革を遂げねばならない。
DSCN7816-6
誤解の多い蝉も、
経営には「蛻変」によって貢献している。

不完全変態ではあるけれど。

〈『猫の目博物誌』(未刊)より by yuuki〉

2016年08月06日(土曜日)

リオ五輪開会式と広島平和記念式とコモディティ化現象

リオデジャネイロ・オリンピック。
始まった。DSCN7717-6

開会式のショーは、もう恒例となったが、
その国の歴史などを学ぶことができる。

南アメリカの新大陸に、
ヨーロッパ人が押し寄せる。
荒海を乗り越えて、
ポルトガル人が、
ブラジルにやってくる。DSCN7720-6

そして国をつくる。

その労働力として、
アフリカから奴隷を連れてくる。DSCN7726-6
南アメリカでの奴隷制は、
400年も続いた。

それから日本人もやってきた。DSCN7729-6

日系移民はブラジルの産業づくりに貢献した。DSCN7731-6

このショーで、
次のオリンピックの国、
日本が紹介されているとき、
その日本の広島では、
第71回目の「原爆の日」を迎え、
式典が開かれていた。

広島平和記念公園。
「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」
約5万人が参集。

世界から91カ国と、
欧州連合代表部も参列。

今年の5月、オバマ米国大統領が、
はじめて広島を訪れた。
「核保有国は核兵器のない世界を
追求する勇気を持たなければならない」

松井一実広島市長は、
平和宣言を読み上げたうえで語った。
「核兵器廃絶に向け力を尽くす」

安倍晋三首相も、
「唯一の戦争被爆国として
非核三原則を堅持しつつ、
核拡散防止条約体制の維持
および強化の重要性を訴えていく」

午前8時15分、原爆投下時刻に、
平和の鐘が鳴って、黙とう。

そのとき、リオ五輪開会式では、
ショーの日本移民の部分が、
クライマックスを迎えた。DSCN7735-6
この演出は素晴らしかった。

そしてリオの大都市化。DSCN7737-6

人口が増える。
DSCN7738-6

リオデジャネイロの街の夜景を紹介。DSCN7739-6

そして最後はダンス、ダンス、ダンス。DSCN7747-6

リオのカーニバル。
DSCN7748-6

花火、花火。
DSCN7749-6

世界中の人々が、
花火の美しさに魅了された。
DSCN7752-6

そして開会式のハイライト。
選手団入場式。

まず、オリンピック発祥の地ギリシャ。
DSCN7758-6

104番目が日本。

ただし、今回も、
その選手団のユニフォームは、
いただけなかった。

全員、浴衣、というのはどうだろう。
リオのカーニバルにひっかけて、
阿波踊りスタイルなんてアイデアもあったと思う。

ユニフォームはポジショニング競争。
自分らしさを出して、しかも、
とんがっていなければいけない。
DSCN7765-6
政治家・橋本聖子が先頭に立っていたが、
これも感心できなかった。

旗手は陸上十種競技の右代啓祐。
DSCN7766-6

最後の入場は、
ブラジル選手団。
DSCN7777-6

いつもこの入場行進を見ていて思う。
世界にはこんなにたくさんの国がある。
そしてそれぞれに生活を営み、
それぞれの産業と経済をもっている。
その経済は一様に、
グローバル化に向かっている。

それでいいのだろうか、と。

ふたたび花火。
DSCN7782-6

すばらしい開会式だった。
DSCN7786-6

ブラジルも南米も、
このオリンピックを契機に、
健全に、自分らしく発展してほしいと、
本当に思った。
DSCN7789-6

8月21日まで、
各競技が展開される。
DSCN7791-6
選ばれたアスリートたち。
だから「選手」というのだろうが、
その健闘を期待しよう。

さて、日経新聞「ビジネスTODAY」欄。

「化学、リストラ第2幕」
サブタイトルが重要だ。
「速まるコモディティー化」

三菱ケミカルホールディングス。
中国とインドで、
合成繊維原料PTA事業からの撤退を発表。
小酒井健吉・最高財務責任者の発言。
「ビジネスモデルががらりと変わってしまった」

PTAはかつて三菱ケミの稼ぎ頭。
11年3月期の売上高は2500億円、
5~10%の営業利益率。

しかし状況は5年で一変。
11年段階の利幅は1トンあたり200ドル超。
しかし、中国企業が相次ぎ参入。
利幅は70ドルに縮小。
採算ラインの120ドルを大幅に下回る。

しかし中国大手企業幹部の一言。
「まだまだ投資を続けますよ」

世界の生産能力は、
需要より5割近くの過剰状態。
なのに衰えを知らない中国勢。

5年前は日本や欧米メーカーが上位を占めた。
しかしいまは1位・2位が中国企業だ。

日本の化学工業の大手企業は、
2010年ごろからリストラに着手した。

三菱ケミ、住友化学、旭化成が、
エチレン設備を停止して高機能素材へシフト。

これがリストラ第1幕。

「いまや高機能素材にも
コモディティ化が押し寄せる」

住友化学も高機能素材のリストラに着手。
「世界中で増産が進み、
1社で踏ん張っても難しくなる」

韓国LG化学も積極投資を始めた。

「目線はさらに高収益が見込める素材へ向く」

しかし高収益商材は、
中韓勢が追い上げに動く。

「付加価値を高めるスピードを上げていかないと
コモディティ化のワナは逃れられない」

日経新聞は今日の言葉で、
「コモディティ化」を定義する。

「製品の機能や品質で
他社と区別ができなくなると
価格だけの競争に陥る」

「この状況を脱するために
高付加価値商品へシフトしても
新興国企業の追い上げを受け
再び価格競争に巻き込まれる。
これが果てしなく繰り返されることが
コモディティー化のワナ」

「新興国は経済成長を続けるために
高機能品に力を入れており、
コモディティー化のスピードが速まっている」

私が問題意識のひとつはいつも、
「コモディティ化現象」にある。

それがケミカルの世界で、
どんどん進む。

食品でも日用雑貨でも、
衣料品でも進む。

しかしこのコモディティ化現象は、
世界中を見渡すと、
生活の向上を意味する。

製品が低価になり、
世界中のすみずみに供給される。

飢餓や貧困は、
コモディティ商品によって、
救われる。

一方、それを提供する企業は、
低収益に陥り、企業統合が進む。

ただしコモディティ化は、
実に平和を意味している。

核廃絶を断行し、
それを飢餓と貧困への対策に向ける。

リオ五輪と広島平和祈念と、
コモディティ化現象から、
そんなことを思った。

〈結城義晴〉

2016年08月05日(金曜日)

「一番困っているところに、イノベーションは眠っている」

第31回オリンピック競技会。
南米大陸初のリオデジャネイロ五輪。

今日8月5日に開幕して、
21日に閉幕。

日本とはちょうど12時間の時差だから、
昼夜正反対となる。

開会式は日本時間の明朝6時。

ニューヨークが13時間差だから、
ちょっと意外だが、
リオはそれよりも東にある。

アメリカ大陸が北から南に向かって、
傾いているからだ。

大会開催前からなんだかんだ、
不安材料が報じられているが、
始まってしまえば何とかなるし、
世界中から注目されつつ、
熱狂が巻き起こるに違いない。

私はこの面で楽観的だ。

サッカー男子は、
開会式前に試合が組まれて、
ジャパンはナイジェリアに、
5対4で惜敗というか、完敗。

前途多難のスタート。

それでも17日間、
競技者自身はもとより、
現地での応援者たちも、
日本でのテレビ観戦者たちも、
最高の精神と肉体、
最高の技術とパフォーマンスを、
存分に堪能することができるだろう。

古代オリンピックが、
大会期間およびそれに先立つ移動期間を、
休戦としたように、
この期間だけでも、
世界中から戦争、戦闘とテロを、
止めることはできないものか。

今日は、商人舎スタッフそろって、
暑気払いの打ち上げ。
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横浜駅東口のベイ・クォーター。

Le Bar a Vin 52。
ル・バーラ・ヴァン・サンカン ドゥ。
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成城石井のワインバー。

スパークリングワインから始めた。DSCN7701-6
生ハムとチーズ。

もう1本スパークリング。
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編集スタッフ鈴木綾子。

そして白ワイン、赤ワインに、
ラム・サーロイン、ムール貝、
ズワイガニのパスタなどなど。

月刊商人舎7月号は万代スタディ。
8月号も責了して、よく働いた。

「自分がやる」という気分が、
横溢していた。

だからみんな、満足。
DSCN7708-6

もう一枚、満足の写真。
DSCN7711-6

さて、朝日新聞一面『折々のことば』
一番困っている産地にこそ、
いままでにはないなにかが
眠っているはずなんです。〈松下弘〉

「コム・デ・ギャルソン」の布地を、
一手に任されたテキスタイルデザイナー。
それが故松下弘さんとその会社・織物研究舎。
「アバンギャルドな生地職人」の発言は、
1994年11月号の『広告批評』に掲載。

しかし松下は、コムデとヨウジヤマモトの、
両者のテキスタイルを担当して、
双方の緊張感を演出してもいた。

コム・デ・ギャルソンは、1969年、
伝説のデザイナー川久保玲さんが、
26歳で立ち上げたブランド。

“Comme des Garçons”。
直訳は「少年のように」だが、
真意は「少年の持つ冒険心」

川久保さんは慶応義塾大学文学部を出て、
旭化成に入社、宣伝部に配属。
しかし3年で退職し、
フリーランスのスタイリストとなる。

その後、スタイリストとして、
どうしても必要だと感じる洋服が、
どこを探しても見つからなかった。
そこで仕方なく、
自分自身の手で洋服をつくった。

以来、ケースバイケースで服づくりを始めた。
スタイリストの役目から、
デザイナー・パタンナー・縫製・仕上げまで、
全部、自分自身で手掛ける。

1973年、30歳で、
㈱コムデギャルソン設立。
現在も代表取締役兼デザイナー。

2016年5月期決算で、
売上高約200億円、
従業員数600名。

その川久保さんの要求にこたえた松下弘。
「売れている産地からは
新しいものは生まれない。
これまでなかったような何かをと
話をもちかけても見向きもされない。
苦しんでいる産地、
弱りきっている産地 だと、
少々むちゃな提案にも、技を生かし、
工夫を重ねて協力してくれる」

製品・商品、素材・原材料から、
ものの考え方、ノウハウ、
さらに人材や組織まで、
一番困っているところに、
イノベーションは眠っている。

糸井重里の『ほぼ日』
巻頭の「今日のダーリン」

「前橋ビジョン発表会」なるイベントに出て、
糸井さんが興奮している。

日本のほとんどの地方都市。

どこの土地に行っても、
「東京やら大阪やらにはない
水と緑の美しい町だ」と、
同じように自慢している。

つまり、それは、
その土地ならではの魅力がない、
ということでもある。

糸井は嘆く。
どこの地方に行っても、
その土地の名産品を
ジャムにしたりしている。

それをジャムにして
「第六次産業化」とか言っても、
食べる人にとっての
魅力あるものとはかぎらない。

「うちのイチゴがいちばんうまい」
どこでもそんなことをいう。

しかし、しかし。

どこも「おんなじ」なのだ。
そんな「おんなじ」時代が、
ずっと続いている。

これを、コモディティ化現象という。

ひとつの地方都市が抱えている問題は、
日本中の地方都市の
解決したい問題である。

土地の歴史だの名産だの
特長だのをいくら書き出しても、
はじめないことにははじまらない。

いちばんの問題は、
「だれかがやればいいのに」と、
批判や評論ばかりしている
「その土地のみんな」だ。

そこで前橋の「ビジョン発表会」

内容の完成度ではなく、
「おれがやる」という当事者が、
たくさん集まっていた。

市役所、企業人、
若い人たち、お年寄りが、
日本中の地方都市の
先頭になろうと決めたという。
まだ、はじまってもいない夜に、
ぼくは興奮した

松下弘が言う「一番困っているところ」
糸井重里の「おれがやるという当事者」

この二つが、何かをつくりだす。

わが商人舎も、
織物研究舎や「ほぼ日」のようでありたい。

〈結城義晴〉

2016年08月04日(木曜日)

第3次安倍第二次改造内閣と「大統領選挙の夫人選挙」

月刊商人舎8月号を責了して、改めて、
暑中、お見舞い申し上げます。

こう、あいさつできるのも、
明後日まで。

今度の日曜日はもう立秋。

その立秋の直前に、
ダッタンそば茶。

日穀製粉㈱から送られてきた。DSCN7683-6

飲んでみると、なかなかいける。
ルチン30㎎を含んで、
ノンカロリー・ノンカフェイン。
DSCN7686-6
緑内障、境界型糖尿病の私には、
ちょうど良い。

昨夜というか今朝というか、
3時ごろまで商人舎オフィスで、
月刊商人舎8月号の責了業務をしていた。

疲れ切ったが、
なにかをつくり上げる瞬間は、
どんなときにもいいもんだ。

その疲れを和らげてくれた。

さて安倍晋三首相が組閣。
今回は第3次安倍第二次改造内閣。
NHKの表現だが、ややこしい。

第1次安倍内閣は、
安倍自民党総裁が、
第90代の内閣総理大臣となって、
2006年9月26日から2007年8月27日まで。

2007年7月29日、
第21回参議院議員通常選挙が実施され、
自由民主党・公明党は歴史的惨敗。

そこで第1次安倍改造内閣を発足させたが、
この年の8月27日から9月26日までの
短命政権となった。

9月10日召集の第168回国会会期中に、
突然の辞任表明。

第2次安倍内閣は、
再起した安倍総裁が、
第96代内閣総理大臣に任命され、
2012年12月26日から2014年9月3日まで。

首相および全閣僚が変わらない内閣として、
617日の戦後最長記録を更新。

そして第2次安倍改造内閣は、
すぐさま2014年9月3日に発足して、
2014年12月24日まで。

11月21日に衆議院解散、
そして12月14日、
第47回衆議院議員総選挙ののち、
第3次安倍内閣が発足。

このとき安倍総裁は、
第97代内閣総理大臣に就任。
2014年12月24日から、
2015年10月7日まで続く政権。

そして第3次安倍改造内閣は、
昨2015年10月に発足し、
さらに昨日の2016年8月3日に、
二度目の改造内閣としてスタートした。

だから第3次安倍第二次改造内閣。

戦後の総理大臣で、
第3次内閣まで続いたのが、
吉田茂、鳩山一郎、池田勇人、佐藤栄作、
そして中曽根康弘、小泉純一郎。

安倍晋三総理は、
第3次内閣まで続けたという点では、
この名首相たちの仲間に入る。

首相になってから一度退任し、
再起した首相は戦後、
吉田茂と安倍晋三しかいない。

それほどの名総理かと問われれば、
すんなりとは頷けないが、
それでも長期政権の強みを生かして、
まっとうな政治をしてもらいたい。

朝日新聞デジタル。
村山富市第81代首相(92歳)の発言。
「いろんな総理大臣がおりましたけども、
この安倍さんというのは
最悪の総理大臣です」

「本音を隠して都合のいいことばかり言い、
国民をだまし て選挙に勝とうと。
こんな魂胆を持っている総理は初めてです」

「私はもうあまり
先が長くないかもしれませんけどね、
今のような政権が続く限りは
死んでも死にきれない気持ちなんですよ」

元首相のこんな発言があることは、
書いておこう。

丸谷才一のエッセイ集
『腹を抱へる』(文春文庫)
index

そのなかの「男の運勢」
大庭みな子さんとの会話。
1968年『三匹の蟹』で芥川賞受賞の女流作家。

丸谷さんも同じ1968年に、
『年の残り』で第59回芥川賞を受賞している。

「彼女によると、
アメリカの大統領選挙で選ばれるのは
大統領ではないのださうである」

丸谷さんは旧仮名遣いだ。

「あれは実は大統領夫人が
選ばれるのだと言ふ」

丸谷さん、
「このときばかりはキョトンとした」

「アメリカ人は大統領選挙の時期になると、
勤めさきでも、パーティでも、家庭でも、
寄るとさはると大統領夫人の品さだめをする」

考えてみると当然のこと。
「アメリカ中の女は
候補夫人に注目してゐるし、
アメリカ中の男もまた
候補夫人に関心がある。
そこでかういふことになるのだ」

「そしてこの、全国民的討議の結果、
大統領夫人としては
誰がいいかといふことが決められる。
その結果、付随的に、あるいは自動的に、
彼女の亭主が大統領といふことになる」

ケネディが大統領になれたのは、
ジャクリーンのおかげ。

エリノア・ルーズベルトが
大統領夫人に当選したから、
その結果としてルーズベルトが大統領…。

現在のアメリカ大統領も、
ミッシェル・オバマ夫人が、
当選したと考えていい。

私はそれに賛成。

丸谷さん、つぎに、
日本の首相を例に出す。

三木睦子さんが、
三木武夫を総理大臣にした。
佐藤寛子さんが、
首相夫人たるべき人だったから、
佐藤栄作が首相になった。

なるほど。

とすると、安倍昭恵さんが、
こんな第3次安倍改造長期政権を、
誕生させたことになる。

うなづけるものはある。

例外はある。
小泉純一郎元首相。
だからだろうか、
小泉さんは、なぜか、
すごいと感じさせる。

それなら現在のアメリカ大統領選は、
どう考えたらいいのか。

民主党候補のヒラリー・クリントンは、
1992年と1996年に、
二度、ビル・クリントンを大統領にした。

今回の2016年は、
今度はビル・クリントンが、
国民から選ばれることになるのか。
それともヒラリーが選ばれるのか。

一方の、共和党候補ドナルド・トランプの、
メラニア・トランプ夫人。
ユーゴスラビア出身の元モデル。

ミシェル・オバマのスピーチを盗用したり、
学歴詐称との疑いをもたれたり。

女性の国家元首は、
イギリスのテリーザ・メイ首相、
ドイツのアンゲラ・メルケル首相。

ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は、
現在、職務停止中で、
リオ五輪が開催されてしまう。

丸谷才一さんのエッセイ、
初出は1977年だから、
やはり、ちと古い。

鉄の女マーガレット・サッチャー英国首相は、
1979年にその地位に就いているのだから。

大庭さんはアメリカ生活が長くて、
デビュー作の『三匹の蟹』も、
アメリカ市民の生活を主題としている。

1970年代のアメリカ合衆国の、
男性中心社会の良さであり、
ファーストレディ物語の中の、
アメリカンジョークでもある。

しかしこの時代、一方でアメリカは、
ベトナム戦争の泥沼の中にあった。

政治も経営も、
文学も仕事も、
二つのサイドから、
見るのがいい。

第3次安倍第二次改造内閣と村山発言。
大統領選挙と夫人選挙。
そして70年代アメリカの繁栄とベトナム戦争。

そうして、考える。
そんな季節でもある。

では、最後に、ふたたび、
暑中、お見舞い申し上げます。

〈結城義晴〉

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