結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年08月17日(水曜日)

銅メダル福原愛の「感謝」と「グローバリズムvsエゴイズム」

今夜は満月。
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美しい。

リオデジャネイロ五輪。
卓球女子団体銅メダル。
キャプテン福原愛。

シンガポールとの3位決定戦。
第1試合の先陣役。
先行されたが、追いついてフルゲーム、
しかし最後に競り負けた。

第2ゲームを石川佳純が順当に勝ち、
第3ゲームはダブルス。
15歳の伊藤美誠とのダブルスで、
相手のペアを圧倒した福原愛、27歳。

「神様はいるんだなと思った」

第4ゲームはその伊藤が、
世界4位の彭ティアンウェイを破って、
団体戦を勝利。
銅メダルを獲得。

福原のチームワーク主義。
「本当に足を引っ張ってばかりで……。
みんなに感謝しています」

福原愛の最後のコメント。
「今までで一番苦しい4年間で、
一番苦しいオリンピックでした」

泣けた。

しかし、おめでとう。

さてWebサイト商人舎magazine。
Weekly商人舎の週刊特別企画が始まった。
[短期集中連載]
首都圏最新店舗研究
その第1回は、
ライフ西小岩店
(2層709坪のフルライン型)
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商人舎の編集記者・廣川裕の取材・執筆。

今日から、3週連続でお届けする。
ご期待とご愛読をお願いする。

さて、日経Web刊の経営者ブログ。
伊藤忠前会長の丹羽宇一郎さん。
タイトルは、
台頭する「AMEGOISM」

現在の世界を取り巻く新しい「空気」を、
丹羽さんは表現する。
「ずばりエゴイズムです」

前提はグローバリゼーション。
それが広がったきっかけは、
1991年のソビエト連邦の崩壊。

グローバリゼーションは、
国際協調や自由貿易の枠組みに支えられた。

「国家も国民も、
他国との協調や貿易の中で成長し、
幸福を生み出してきた」

「以来、実に四半世紀にわたって
このグローバリズムが世界を席巻し、
世界もその成果に酔いしれてきた」

そしてグローバリゼーションの恩恵は、
この25年間、世界のGDPは4倍化した。

米国は3倍、中国は25倍。
日本も。

しかし、今、その潮目も大きく変わる。

グローバリズムの反対は、
ローカリズム。

「しかし私には、
ローカリズムがさらに先鋭化して
エゴイズムに発展しているように思えます」

背景にあるのが、
「グローバリズムの副作用」
というよりも反作用か。

増えた富が一部の富裕層に独占され、
貧富の格差が拡大し、
先進国の中間層ははく落した。

「それが既存の政党やリーダー、
富裕層への不満として爆発」

まず、米国大統領選。
ドナルド・トランプ共和党候補。
丹羽さんはこの現象を、
「AMEGOISM」という造語で表現する。

つまり「アメリカのエゴイズム」

英国のBrexitも同様。
「移民の流入を嫌がり、
貿易の利権だけは守りたいという、
これまた身勝手な理屈から出た産物です」
これは「BREGOISM」

さらに「中国の振る舞いも
エゴイズムの塊のようなものです。
自分に都合のいい主張ばかりを
繰り返しています」
こちらは「CHEGOISM」

「日本だってこの流れに
無関係だとは思えません」

「大規模な金融緩和などで自国通貨を下げ、
貿易を伸ばそうとする取り組みを始めたのも
ほかでもなく日本です」

そこで丹羽さんの考察。

アンチグローバリズムという人々の不満は、
ポピュリズムによって吸収され、
エゴイズムとして世界に牙をむく。

丹羽さんの結論は、
「先進国・主要国が
エゴイストの集団になってしまえば
世界の安定した成長も平和も
あったものではありません」

つまり「エゴイストであってはならない」

グローバリズムに恩恵を受けた。
EUがそれだし、TPPも、
そのグローバリズムの典型だ。

しかし、グローバリズムの副作用・反作用。

それがローカリズムを通り越して、
エゴイズムに至った。

Think Global, 
Act Local!
Without Egoism.

グローバリズムのメリットを享受し、
ローカリズムの良さも堅持する。
しかしエゴイズムは避ける。

私の言い方ならば、
コモディティはグローバリズム、
ノンコモディティはローカリズム。
どちらも必要だし、どちらも重要だ。

両者の実現こそが、
生活の経済性や機能性と、
暮らしの個性化、多様化とを、
われわれに与えてくれる。

ビジネスにおいても、
商売においても、
ここにエゴイズムの儲け主義が出てくると、
ダメなんだろうな。

福原愛のように、
「みんなに感謝しています」でないといけない。

エゴイズムに決定的に欠けるものは、
愛と感謝である。

〈結城義晴〉

2016年08月16日(火曜日)

伊藤園大陳コンテスト審査会と「あの世で舞う1曲を残す」境地

盆の明けの日、
台風7号がやってきた。

昼間から、
その情報に、
胸がそわそわしてきた。

「台風クラブ」という映画があった。
1985年、工藤夕貴主演だった。

朝から、東京・清水橋。
㈱伊藤園本社地下の会議室。

恒例の伊藤園大陳コンテスト最終審査会。DSCN8215-6
「大陳」は業界用語で、「大量陳列」の略。
内容はディスプレーコンテスト。

一定期間に店舗の売場で、
決められたアイテムを、
決められたテーマごとに、
大量に陳列してもらう。

その陳列の技術や工夫を審査して、
大賞と優秀賞を決定し、表彰する。

伊藤園のトップの皆さんと、
㈱商人舎および㈱商業界から、
6人の審査員が参加。

もう、10数年も続いている。

5つのコース別の審査は、
スムーズに進む。
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そしてコースごとに大賞と優秀賞の決定。
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春の満開コース、春の大満開コース、
春の大茶会コース、テーマ訴求コース、
そしてリーフ・ティバッグ・インスタント編の、
それぞれの店舗賞。

さらにチェーン全体の実力を審査する企業賞。

大賞決定は、厳密な議論となる。
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一番右の本庄大介社長は、
カメラマンにポーズ。
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決定して、審査員のコメント。
今回私は、
月刊商人舎8月号のことを語った。
「特集・商品前線異常なし!」

この特集の中に、
「緑茶前線」と「麦茶前線」がある。
緑茶は「降温商品前線」を形成し、
麦茶は逆に「昇温商品前線」をつくる。
これは月刊商人舎8月号の33・36ページの、
「商品前線40カタログ」に掲載してある。

実に面白い。

最後に雑誌用記念写真。
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私の右から、本庄大介社長、
江島祥仁副会長、
本庄周介副社長。
私の左隣から、
松井康彦エグゼクティブプロデューサー、
竹下浩一郎「食品商業」編集長。

この写真が「食品商業」誌上で使われる。
クールビズなのでノーネクタイで恐縮。

その後、これも恒例となったが、
スタッフ全員でポーズ。
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日本最大の陳列コンテスト。
今回も充実した内容だった。

審査の後は江島副会長のオフィスで、
抹茶をいただいて、情報交換。

私はこれをいつも楽しみにしている。
実に、おいしい。

そしてこれも恒例の写真。
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本庄大介社長と江島祥仁副会長。

今回もありがとうございました。
皆さんは、大賞・優秀賞の発表を、
楽しみにしてください。

さて、リオオリンピックは、
水泳から陸上へと主力競技が移り、
後半戦。

卓球団体なども準決勝・決勝。

もう2020年の東京オリンピックに、
視野が広がる。

メダルを取れなかった選手には、
次を期する発言がある。

それがとてもいい。

本庄大介さんが語ったが、
2020年の東京オリンピックの前年には、
ラグビーワールドカップが日本で開催される。

そして翌2021年には、
「関西ワールドマスターズゲームズ」がある。

これも4年に1回開催の国際総合競技大会。
コンセプトは生涯スポーツ大会で、
対象は30才以上の成人・中高年の、
一般アスリート。

2002年開催はメルボルン、
2005年エドモントン、2009年シドニー、
2013年トリノ、そして2017年オークランド。
選手は、無条件に、
参加料を払った人全員が参加できる。
そして大会規模は、95カ国から約2万9000人。

つまりこの3年間は、
世界中から日本に、
スポーツ観戦の来訪客がある。

その時には日本文化が見直される。

中国をはじめアジアの人々にとって、
そしてアメリカ人にとっても、
「高級化=日本化」である。

私の持論。

それが存分に発揮されるのが、
2019年・2020年・2021年だ。

さて朝日新聞『折々のことば』
鷲田清一編著。

能は舞い尽くさず、
あの世で舞う
1曲を残す
(金剛永謹〈こんごうひさのり〉)

能楽金剛流二十六世宗家の言葉。
写真家、白鳥真太郎に語った。
その真太郎の写真集「貌(かお)・KAO2」より。

「一つの境地に達すると、
これまでは見えなかった別の風景が
目の前に広がる」

そしてこれが大事な境地だが、
「たどり着いたこの場所も
また途中だと思い知る」

鷲田さんの述懐。
「名人はおのれの不完全を
もっともよく知る人のことなのだろう」

これは原稿や単行本執筆の場合にも通じる。
「文章は書き尽くさず、
あの世で書く1文を残す」

アスリートの達人にも、
もちろん陳列名人にも通じる。
「力を出し尽くさず、最後の力を残す」

オリンピック競技もそうだし、
ゴルフなど、まったくその通り。

鷲田さんの結論。
「では、普通の人が
あの世の1曲として残すものは
何なのだろうか」

台風一過は、
からりと晴れた一日を残す。

さて、普通の人は、
何を残すか。

そして普通の人は、
どうしたら名人の境地に至るのか。

自分を客観化できない普通の人は、
名人には近づけない。

〈結城義晴〉

2016年08月15日(月曜日)

製造業とサービス業の理想形と現実形

Everybody! Good Monday!
[2016vol33]

2016年第34週。
8月第3週。

そして今日、8月15日は、
終戦の日。
あるいは敗戦の日。
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暮れはててなほ鳴く蝉や敗戦日  
〈石田波郷〉

水筒の水廻し飲む終戦日  
〈古屋牧男〉

合掌。

終戦の日はもちろん、
お盆の期間にある。

そのうえ今年は忙しい。
リオデジャネイロ五輪。

人間最速の男を決める日。
男子陸上100メートル。DSCN8197-6

ウサイン・ボルト。DSCN8204-6

言葉はない。DSCN8208-6
日本代表選手たちの活躍は、
頼もしい、楽しめる。

甲子園高校野球は、
ベスト16が決定。
横浜高校はその前に、
負けてしまったけれど。

さらに、SMAP解散。
12月31日が彼らの大晦日。

でも、死ぬわけじゃあ、ない。

オリンピックで金メダルを、
とってもとれなくても、
甲子園で勝っても負けても。

死ぬわけじゃあ、ない。

終戦の日は、
お盆は、
死んだ人たちを、思う日。

その重さを忘れてはならない。

炎天下賢治の一詩恃(たの)みとす
〈朝日俳壇より 鹿児島市・青野迦葉〉

宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」にある。
「夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ」

そのカラダをたのみとする。

ふと風のそよぎに気づく晩夏かな
〈同 川西市・上村敏夫〉

リオ五輪、甲子園。
祭りが終わると、もう、
秋がやってくる。

晩夏は先んじて、
それを感じる時でもある。

さて今日の日経新聞社説。
「サービス業は異業種に学べ」

サービス業の生産性向上。

しかし「コストカットや効率化」は、
「安値競争、賃金抑制、質の低下につながりがちだ」
「付加価値を高めて新市場を育て、
従業員も潤う道を探したい」

社説はそのために、
製造業からノウハウを学べという。

第1に星野リゾートの「多能化」
「自動車産業の多能工」
1人の工員が異なる仕事をこなす仕組み。

宿泊業は通常、
フロント、客室、厨房などに職種が分かれ、
それぞれ特定の時間に仕事が集中する。

そこで1人の従業員が、
複数の職種を担当する。
従業員の人時は減り、
サービスの満足度も上がる。

㈱一の湯社長の小川晴也さんも、
同じ考え方だ。

第2に、作業手順の標準化。
これはヘアカット専門店チェーンのQBハウス。
「10分1000円」で成長。

社説はこれも、
「製造業の世界で培われた発想」という。

そして第3は、
ノウハウを持つ人材の中途採用。
ベビー用品専門店の西松屋チェーン。
大手電機メーカーなどの元技術者を採用、
独自商品の開発につなげた。

アイリスオーヤマは本社のある宮城県ではなく、
大阪市に専用のオフィスを設けて、
大企業からの転職をしやすくする。

結論は、
「これまで日本の製造業が蓄えたノウハウを
うまく生かし、サービス業の成長につなげたい」

当たらずとも遠からず、だが。

アメリカでは、
製造業のノウハウ開発と、
小売りサービス業のそれとは、
同時進行のような形で進化を遂げた。

標準化やオートメーションなど、
1900年の初めにヘンリー・フォードが考え、
すぐにそれをA&Pが学び取った。

多能化は小売りサービス業の、
現下のテーマだが、
これは小売りサービス業と製造業が、
これまた影響を与え合いながら開発してきた。

この社説は、
製造業からサービス業へ、
水が高きから低きへ流れるような、
そんな考え方をもとにしている。

製造業こそ、
サービス業のホスピタリティを学ぶべきだ。

もちろん良き製造業には、
ホスピタリティがある。
良いサービス業にもそれはある。

つまりは理想形と現実形の問題となる。

製造業の理想形と、
サービス業の現実形を、
比較してもはじまらない。

製造業の現実形と、
サービス業の理想形を、
対比してもよろしくない。

私の持論。
サービスとは無形財のことだが、
サービス業のごとき無形の財を、
製造業こそ、どうつくるか。
これが製造業の死命を決する。

つまり、すべての産業よ、
サービス業化せよ。

日経社説とは反対になってしまうが、
しかし、それがポストモダンの成長法だ。

では、みなさん、
今週もサービスマインドで、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年08月14日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その14】朝顔とその仲間たち

猫の目で見る博物誌――。
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猫の目は夜にも見える。
光のないところでも見える。
そんな猫の目で見る博物誌――。

夏の花といえば、
朝顔に つるべ取られて もらひ水
〈加賀千代女〉

つる性を有するから、この句が生まれた。
ただし、「朝顔」の季語は秋。

アサガオは、
ヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物。
学名はIpomoea nil。
英語で「Morning glory」
CLcD22nWEAAK9Tz
出典:twitter.com

花は大きく開いた円錐形。
外側から5つのがく、
5枚の花弁、
5つのおしべ、1つのめしべ。

原産地は熱帯アジアのヒマラヤ山麓。

アサガオは、多様な遺伝子変異を持つ。
つまり多様な朝顔がある。
青色、紫色、水色、白色などなど。

早朝に花を咲かせるが、
午前中にしぼんでしまう。
つまり一般的に「一日花」。

朝に花を咲かせる朝顔に対して、
「昼顔」「夕顔」「夜顔」がある。

ここに猫の目博物誌の視点が生まれる。

昼顔は、ヒルガオ科ヒルガオ属、
学名Calystegia japonica。
多年草のつる性植物。
地上部は朝顔と同様、
毎年枯れるが、
地下茎は残って増殖する。

朝顔が一年生だから、
この多年性であることが、
昼顔の特性。

原産地は日本、アジア太平洋諸島、
そしてヨーロッパなど。

午前中に花を咲かせるから昼顔。
花は薄いピンク色。
夕方にはしぼんでしまう。
つまり昼顔も原則、一日花。

そして「夕顔」は、
ウリ科ユウガオ属。
学名Lagenaria siceraria var. hispida。

朝顔、昼顔がヒルガオ科であるのに対して、
ウリ科がユウガオ。
一年草のつる性植物。

一年草は朝顔と同じ。

原産地は北アフリカ、インドなど。

夕方に白色の花を咲かせる。
そして翌日の午前中にしぼむ。
これも基本は一日花。

ウリ科のヒョウタンに似た果実を実らせる。
これも朝顔、昼顔とは異なる。

さらに「夜顔」は、
ヒルガオ科サツマイモ属。
学名Ipomoea alba。

分類からして朝顔に一番近いのが、
実は「ヨルガオ」。
一年草でつる性植物。

原産地は熱帯アメリカなど。

夜に白色の花を咲かせるが、
翌日の朝にはしぼんでしまう。
つまり原則的に一日花。

最後に整理しよう。
ヒルガオ科は朝顔、昼顔、夜顔。
ウリ科が夕顔。

一年草は朝顔、夕顔、夜顔。
多年草は昼顔。

すべて、つる性植物。

朝咲くのが朝顔、
昼咲くのが昼顔、
夕方に咲くのが夕顔、
夜咲くのが夜顔。

朝顔は加賀千代女、
昼顔はカトリーヌ・ドヌーヴ、
夕顔は『源氏物語』、
夜顔は、ない。

夜顔はかわいそう。
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しかし夜にも猫の目で見えるから、
「猫の目博物誌」登場としてあげよう。

〈『猫の目博物誌』(未刊)より by yuuki〉

2016年08月13日(土曜日)

「みんなちがってみんないい」と「一億総活躍」の違和感

8月13日、土曜日。
盆の入り。

迎え火の提灯。
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これ、リモコンで操作する電化製品。

来週の火曜日が、
盆の明け。

今朝は新横浜から新幹線。
岡山に着くと、
紫色の車体の新幹線。
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昨年11月7日に登場した「500 TYPE EVA」車両。
山陽新幹線全線開業40周年と、
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』20周年を記念。
「新幹線 : エヴァンゲリオン プロジェクト」の車両。

この車両は、
山陽新幹線こだま730・741号を改造。
監修は庵野秀明氏、
メカニックデザイナーは山下いくと氏。
「エヴァ初号機」をイメージした外観。

庵野氏はもちろん、
『新世紀エヴァンゲリオン』作者で、
第18回日本SF大賞受賞。

車内も1号車が「展示・体験ルーム」、
2号車が「特別内装車」
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帰省客などが写真を撮っていた。

そして35度を超える岡山の空。
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今日からのお盆、
そして期間中の15日(日曜)は、
終戦の日。

命のこと、
生きること、
死ぬこと。
いろいろと考える。

毎日新聞巻頭コラム『余禄』
最近は、なかなか、いいものがある。

「亀は万年と昔の人がいうけど、ありゃウソだね。
この前買った亀がゆうべ死んじゃったよ」
「いや、きのうが万年目だったんだろ」

江戸小咄。

実際にはカメは、
脊椎動物で最長寿のランクに属する。

ゾウガメの飼育記録がある。
その期間は1766年からの152年間で、
死亡時の推定年齢は180歳。

コラムは長寿の動物をもうひとつあげる。
鶴は千年のツルではない。

北極海などにすむニシオンデンザメ。
英語でグリーンランドシャーク。

最高は400歳近い。
脊椎動物で最長寿。
成体になるまでに150年ほどかかる。

泳ぎは時速1キロで、
「世界で最ものろい魚」

1年間の成長も1センチに満たない。

コラムニスト。
「スローライフこそが長寿の秘訣か」

最後は長田弘の詩「人生の短さとゆたかさ」から。

「ゆっくりと生きなくてはいけない。
空が言った。
木が言った。
風も言った。」

コラムニストのオチ。
「もちろんカメも、
サメもそう言っている」

お盆にはそんな考察もする。

しかし盆商戦は書き入れ時だ。
商人はゆっくりと生き、
それでも忙しい。

日経新聞『記者手帳』
タイトルは「心に刻む一節」

夏休み中の安倍晋三首相、
地元の山口県長門市を訪れた。

金子みすゞは長門出身の童謡詩人。
そのブロンズ像を見学して挨拶。
「私も長門出身の首相として
日本を輝く国にしていくよう頑張りたい」

昨年12月に完成したブロンズ像の台座に、
みすゞの「わたしと小鳥と鈴と」の一節が、
首相の揮毫で刻まれている。

「みんなちがってみんないい」

第1次安倍政権のころから、
国会答弁や演説で引用してきた。
首相のお気に入りの一節だ。

「私と小鳥と鈴と」

私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。

私が体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。

「一億総活躍社会の基本は、
それぞれが個性を生かすことが
できる社会をつくること」
アベノミクスの目玉政策を、
この一節に絡めてみせた。

私も金子みすゞは、
大好きだが、
「みんなちがって、みんないい」と
「一億総活躍」とは、
つながりにくい。

たとえつながったとしても、
言葉のニュアンスとして、
おおいに違和感がある。

「一億総」から、
浮かぶのは、
「一億総竹槍」
「一億総玉砕」
「一億総特攻」

そして「総活躍」にも、
国民全員が無理やり活躍させられるような、
妙なニュアンスが混じっている。

「みんなちがって、みんないい」

みすゞが「みんな」を二度、
繰り返して使ったのは、
「ちがう」ことと、
「いい」ことが、
「みんな」でありながら、
ひとつひとつ、異なる尊厳を有しているからだ。

朝日新聞『折々のことば』
ワーク・ライフ・バランス
(現代の標語)

編著者の鷲田清一さんが、
今日はずっと語る。

「これがもし、
仕事という公的活動と
家族との私的生活とを
うまく両立せよという意味なら、
言われたくない」

「一企業の利益のためになすワークも
また私的であり、
結局この標語は
私的なものに専念せよと
人に告げるだけだから」

納得。

「逆に、一市民としての
活動に従事するかぎり
個人のライフも公的である。
そういう公的活動に個人として
もっと時間を割こうという意味なら、
聞ける」

賛成だが、それも、
「みんなちがって、みんないい」のはず。

長田弘の「ゆっくりといきる」
みすゞの「みんなちがって、みんないい」
鷲田流「ワーク・ライフ・バランス」

これらと「一億総活躍」の「働き方改革」は、
ずいぶんと感じが違う。

その差異は、
安倍晋三が詩的でない、
というだけではない。

命にたいして、
生きること、死ぬことに、対して。

安倍がどう考えているかが、
実は国民に、
わからないところにある。

終戦の日の前の、
盆の入りだからこそ、思う。

〈結城義晴〉

2016年08月12日(金曜日)

高坂正堯「懐疑か熱狂か」と第一パン小平工場見学

朝日新聞『折々のことば』
鷲田清一編著。

「私の折々のことばコンテスト」開催。
それくらい、人気のコラム。

明るみに出ていることの裏にも
重要な事実があり、
原則には例外があり、
できごとには背景がある。
〈高坂正堯(こうさか まさたか)〉

1996年に62歳で亡くなった政治学者。
元京都大学法学部教授。
現実主義の論客。

その京都弁は穏やかで上品だが、
語ることの中身は鋭い刃物のようだった。
1968年の著書『宰相吉田茂』は秀逸。

あの高坂さんより年をとってしまって、
いまだ、こんな状態だなんて、
恥じ入るばかりだ。

「ものごとはすべて条件附きのものである」

だからピーター・ドラッカー。
「基本と原則を補助線として使う」

鷲田さんが、言葉を添える。
「そこに十分に深く
測鉛を垂らすことのできない思考は
だから、甘く一面的になる」

情報の氾濫に振り回された者は、
二つの態度しかとれなくなる。
「混沌のなかに当惑して立ちすくむ」か、
「事態を誤って単純化する」か。

つまり、
「懐疑に沈むか
熱狂に走るか」
これこそ、扇動する者の狙うところだ。

私は2007年10月31日のこのブログで、
高坂さんの言葉を引用している。

「成功は長期的には
失敗の種子を内包している。
それが現実化するのは、
あらゆる原則には例外があることを、
成功が忘れさせるからだ」
(『世界史の中から考える』から)

「山の日」からお盆へ。
連休の間の平日。

東横線も南武線も武蔵野線も、
車内は比較的、空いている。

電車を乗り継いで、
横浜・妙蓮寺から、
東京・新小平まで。

今日は第一屋製パン㈱の取締役会。
第1四半期は、おかげさまで増収増益。

ポケモンGOの影響が、
売場や品ぞろえにも反映され始めた。

取締役会が終わってから、
小平工場を見学。DSCN8075-6
上から下まで、見学衣装。

ご案内は、北村二郎さん。
生産本部小平工場製造部長。DSCN7922-6

まず手を洗う。
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衣服からも入念に、
異物やほこり、ごみをとる。
眉毛にも粘着テープをつけて、
毛が抜け落ちないようにする。DSCN7927-6

そしてマスク。
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署名。
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アルコールで消毒。DSCN7931-6

日めくりの「本日の重点ルール」DSCN7932-6

「ヒヤリハット」報告一覧。DSCN7933-6
第一屋製パンの製造部門には、
トヨタ自動織機のコンサルタントが入って、
徹底的に「トヨタ生産方式(TPS)」を導入した。
それがこんなところにも表れている。

いざ、工場へ。
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第一屋製パンの小平工場は、
1974年に完成。
1986年にバターロールラインが増設された。

1階に和菓子ラインと商品管理施設。
2階がロールパンと菓子パンのライン。

バターロールラインとペストリーラインが、
量産自動化工程となっている。
そのほかに菓子パン各種は、
丁寧に適量の生産体制を組む。

「トヨタ生産方式(TPS)」導入に、
時間をかけたが、
それが成果を上げて、
品質管理と生産性、
そして安全性の実現に貢献した。

見学が終わって、
前川智範社長、北村製造部長と写真。DSCN8078-6
パン工場の視察は初めてだったが、
いい勉強になった。

酒蔵には酒の匂い、
パン工場にはパンの香り。

お客さんにも、
小売業の経営者やバイヤーにも、
もっと公開してほしいと、
要望を出しておこう。

市場に出ているパンの裏にも、
重要な事実としての工場がある。

明るみに出ていることの裏にも
重要な事実があり、
原則には例外があり、
できごとには背景がある。

そこに真実があるのだ。

〈結城義晴〉

2016年08月11日(木曜日)

ポピュリストは「話を眼で眺めさせ・奇矯な論理でたぶらかす」

祝日「山の日」

趣旨は、
「山に親しむ機会を得て、
山の恩恵に感謝する」

毎日新聞巻頭コラム『余禄』

「何かの記念日ではない。
お盆休みのスケジュールの自由度を増し、
旅行先や帰省先で山野の自然を楽しむ
チャンスが増えればよしとすべきであろう」

この割り切りが、いい。

日経新聞『私見卓見』
山と渓谷社の久保田賢次さん。
ヤマケイ登山総合研究所所長。

「専門誌の一員として40年近く
登山業界を見守ってきた身として、
山に親しむ機会になることを期待しつつ、
山岳事故が右肩上がりで増えていることへ
懸念を伝えたい」

登山業界の専門誌40年の編集キャリア。
いいねえ。

久保田さんが指摘するのは、
遭難件数の急増。
2015年は約2500件。

日本の登山人口は700万~800万人。

この多くが60代後半~70代。
つまり、「団塊の世代」以上の高齢者。

私の友人たちにも、
若いころからの登山家は多い。

「日常生活でもつまずくなど
体力の衰えを感じる年齢である。
遭難だけでなく
持病で倒れる人も多いのが現状だ」

ここは、悪いけれど、笑った。

久保田さんは危機感を訴える。
「今は個人登山が主流である。
山は危険な場所だという認識を持たずに
『自己流』で登る人が増えている」

「山を学び、山を恐れ敬う気持ちを
持ちながら
登ることも忘れないでほしい」

それでも毎日新聞『余録』は「山の日」を、
「盆休みのスケジュールの自由度」ととらえる。

この両方が日本の祝日「山の日」の本質だ。

自由度といえば、
「山の日」のリオ五輪。

完全に甲子園野球大会が霞んでしまった。

卓球の福原愛。DSCN7882-6

銅メダルは取れなかったが、
あの真剣な鋭い目つきは、
福原愛の本質を示した。DSCN7885-6

柔道女子70キロ級の田知本遥。
DSCN7890-6

見事な抑え込みで金メダル。DSCN7891-6
男子73キロ級の大野将平も、
圧勝の連続で優勝して、
爽快な気分にさせてくれた。

そして体操の内村航平。
DSCN7893-6

男子団体優勝に加えて、
個人総合優勝。
DSCN7910-6

二つの金メダル。
DSCN7903-6
銀メダルのオレグ・ベルニャエフ。
ウクライナの若き挑戦者は言った。
「僕は内村を尊敬している。
彼は体操の王様なんだ。
マイケル・フェルプスや
ウサイン・ボルトのようにね」

水の王者フェルプス、
陸の王者ボルト。

内村は彼らと同じ、
尊敬される「王様」である。

さて、日経新聞巻頭言『春秋』

古代ギリシャのアテネの政治家を取り上げた。
「黄金期を築いたペリクレスなきあと、
扇動政治家が相次いだ」

その一人のクレオン。
トゥキュディデス「戦史」(久保正彰訳)より。

「諸君はつねづね、
話を目で眺め、
事実を耳で聞く
という悪癖をつちかってきた」

コラムニストが言い換える。
口達者な者の話には、
その通りと思って目を奪われ、
事実を自分で見ずに耳から信じる。

そんな市民の扇動は難しくない。

クレオン。
「奇矯な論理で
たぶらかされやすいことにかけては、
諸君はまったく得がたいかもだ」

米国共和党大統領候補ドナルド・トランプも、
大衆は「話を目で眺め、事実を耳で聞く」者と、
考えている節がある。

コラムは指摘する。

「経済政策の演説で
『多くの労働者の税率をゼロにする』と強調」

「有権者は話をうのみにするだろうと
思っているなら失礼千万だ」

「ウソに惑わされる危険はどの国にもある」
どの国、どの産業、どの業界にも、
「話を目で眺め、事実を耳で聞く」者はいる。

それだけ、ビジュアルな扇動は恐ろしい。

ポピュリストは
「話を眼で眺めさせる」
「奇矯な論理でたぶらかす」

ただし、内村やフェルプス、ボルトの、
そして福原愛や田知本遥らの、
無言の競技や演技は、
それを超えた本物である。

「有権者自身、
事実をつかむ力を
問われてもいよう」

すべての国、すべての産業の人々が、
「事実をつかむ力」を問われている。

〈結城義晴〉

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