結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年11月05日(金曜日)

[Message]一人のお客さまに誠実を尽くせ。

今日は一日、
商人舎オフィス。

原稿を執筆し、
校正して責了した。
IMG_E80491
予定していた時評の原稿は、
誌面が足りなくなって書けなかった。
申し訳ない。

だが特集に関しては、
新しい概念を披露して、
9000字くらいの主要原稿を書いた。

それから[Message of November]
これは11月の商人舎標語でもある。

ヨークベニマルのホームページから、
言葉と画像をお借りした。IMG_E80501
一人のお客さまに誠実を尽くせ。

一人のお客さまに誠実を尽せ。
これが野越え山越えの精神である。
「ヨークベニマル十二章」の有名な第二章。

究極のカスタマイズド・マーケティング。
孤高のワン・トゥ・ワンマーケティング。
そしてラスト・ワンマイルの根本思想。

しかしいつまでも、
一人のお客さまだけでは、
商売にならない。

一人のお客さまでは、
売上げも儲けも大きくならない。
店の成長も会社の発展もない。

だから一人のお客さまを、
十人のお客さま、百人のお客さまへ、
さらに千人へ、万人へ、億人へ、兆人へ。

そのためにチェーンストアが考え出された。
そのためにセルフサービスが生まれた。
業態やフォーマットが試行された。

カスタマイズから始めて、
それを増やしていく。
それがマス・カスタマイゼーションだ。

ひとりずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

逆に大衆やマスから始めると、
必ず行き詰まりがやってくる。
一人のお客さまを忘れてしまうからだ。

大衆から始めるのは革命である。
革命は世の中を変える。
しかし永遠の商売は革命ではない。

かくて革命の終わった小売り商いの原則は、
マス・マーケティングではなく、
マス・カスタマイゼーションとなる。

今、革命の発想から事を起こしてはならない。
一人のお客さまに誠実を尽せ。
野越え山越えの精神から始めよ。〈結城義晴〉
benimaru-12shou-2
ありがとうございます。

「岡田徹詩集」にある。
商人の姿
一人のお客の喜びのために
誠実をつくし
一人のお客の生活をまもるために
利害を忘れる
その
人間としての美しさをこそ
わが小売店経営の
姿としたい
IMG_69751

さて、日経新聞の社説。
タイトルは、
「流通業は逆風乗り越え成長を」

小売業を取り上げて、
提言をしてくれることは、
本当にありがたい。

「流通産業の2021年8月期通期や、
3~8月期の決算が出そろった」

実はまだ出揃ってはいない。
3月期決算の企業が未発表。
スーパーマーケットがその代表だ。

好調業態が含まれないから、
この社説全体に、
低調のトーンとなっている。

それから「流通産業」というワードは、
この場合は、適していない。

広辞苑の「流通」の定義。
「貨幣や商品が移動すること。
特に、生産者から消費者までの販売過程」

この定義に従えば、
「卸売業と小売業を合わせて、
流通業と呼ぶことになる。
この際、総合商社も卸売業に属す」

総合商社は過去最高を示す好決算だ。

社説子が論じたいのは、
小売業の百貨店や総合スーパーなのだろう。

「新型コロナウイルスの
感染拡大に伴う影響が色濃く残り、
減益や赤字の企業が目立った」

ん~。

全体を見れば、
業態ごとの成果の濃淡があった。
これがこの上期決算の特徴だ。

吉田昭夫イオン㈱社長の、
四半期決算説明会の言葉。
「今年度をスタートした段階の見立てでは
ワクチン接種が進捗し、
コロナの収束を見越していました。
しかし変異株が想定以上の感染力で、
その拡大によって、緊急事態宣言は
われわれが想定した以上に
度重なり延長となり、長期化しました。
これにより、第2四半期は
事業に大きく影響を受け、
業績にも事業ごとに濃淡が出ました」

私もそう思う。

スーパーマーケットや、
ホームセンター、
ドラッグストアは、
いい決算だった。

「緊急事態宣言解除後への期待は強い」

「だが景気不安に伴う購買意欲の低下、
節約志向の高まりに加え、
原料高、賃金上昇など
新たな課題が増えている」

この課題の指摘は正しい。

そこで社説の提案。
「これまで以上に
きめ細かい販売対策が必要だ」

この「きめ細かい」という言葉、
私は大嫌いだ。

「販売対策」も大雑把過ぎる。

巨匠鈴木哲男によると、
商品計画、販売計画、販促計画の一体化こそ、
52週MDの本質である。

商品計画は「作」の商品部、
販売計画は「演」の店舗、
販促計画は「調」の販促部。

「作・演」システムは、
安土敏さんが考案した、
本部と店舗の機能分担のこと。
それに巨匠は「調」を加えた。

スーパーバイザーや販促部などが、
作と演を調整し、サポートする。

それらが一体となって、
小売業の経営は実行される。

社説子の「きめ細かい販売対策」は、
おそらくそんなことを、
漠然と言っているのだろうが、
「きめ細かい販売対策」では、
仕事は進まない。

「8月期を振り返ると、
最悪期は脱したが、
新型コロナ以前の水準には遠く及ばない」

「とりわけファッション市場は苦戦が続く」

そしてその事例。
高島屋は最終損益が43億円の赤字。
J・フロントリテイリングも19億円の最終赤字。

「衣料品を扱う総合スーパーも苦戦しており、
イオンは6~8月期の連結決算で
4億円の赤字だった」

総合スーパーはイオンリテール。
イオンはその親会社の純粋持ち株会社。

6~8月期の連結決算は、
最終損益が4億円の赤字だが、
前年同期は35億円の赤字だから、
少し回復した。

上半期は営業利益も経常利益も、過去最高だった。

「21年上半期は前年に比べると人出が増え、
コンビニエンスストアは
スーパーに流れた客の一部を取り戻した」

ここで「スーパー」という言葉を使うが、
業態用語では「スーパーマーケット」
これも日経社説には正確を期してほしいところだ。

「セブン&アイ・ホールディングスの場合、
国内コンビニの営業利益は4%増で、
ローソンやファミリーマートも
増収増益に転じている。
しかし19年に比べると
客数は軒並み低下したままだ」

宣言解除によって、
下半期はある程度消費は回復するだろう。

社説。
「しかし新たな経営課題を不安視する声も多い」

悪いけれど、この表現も嫌いだ。
「不安視する声も多い」は、
あまりに無責任だ。

それでも不安の内容が2つ指摘される。

「1つは景気不安だ。
10月以降の百貨店の売り上げを見ても、
低い伸び率にとどまっている。
期待された旅行需要も力強さを欠く」

どうも「流通産業」の代表を、
百貨店に置いているようだ。

「2つ目はコスト高だ。
原料高で値上げラッシュが起こり、
消費が冷え込む懸念も強い。
人手不足に伴う賃金上昇も無視できない」

これこそ小売業全体に及ぶ不安材料だ。

「このため個店ベースでの需要発掘や
割安なプライベートブランド商品の拡充など、
買いやすい環境づくりが急務だ」

この指摘と表現はあまりに雑駁。

結語。
「逆風を乗り越えられる経営体質をつくり、
次の成長を目指したい」

取り上げてくれたことは感謝したい。
しかしもう少し正鵠を射る指摘が欲しい。

小売業に従事する人たちが、
「やるぞ!」と奮起するような、
それが消費や経済を盛り上げて、
国民も大いに喜ぶような、
そんな社説を、
日経新聞にはお願いしたい。

私は、この11月に必要なことを思う。
「一人のお客さまに誠実を尽くせ」

〈結城義晴〉

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