結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年05月02日(土曜日)

「配偶者控除」見直しと「103万円の壁」、そして「パスカルの壁」

朝日新聞の『天声人語』に、
今枝貞代さんの一句。
富士晴れて裾野茶摘みの一斉に

昨日、伊藤園副会長の江島祥仁さんから、
お送りいただいた新茶。
DSCN2472-5

いい季節です。

さて日経新聞一面トップに、
「配偶者控除、17年に新制度」

日経のスクープか?
やっと動き出してくれた。

偶然にも月刊『プレジデント』は、
「金持ち夫婦 ビンボー夫婦」の特集。
このタイトルは露骨で、
まったく、いただけない。

安倍内閣が、所得税改革の一環として、
2017年をめどに、
「配偶者控除」の見直しをする。

検討段階だけれど。

「103万円の壁」が、
働く妻の就労に制限を与えている。

妻の年収が103万円以下なら、
夫の課税所得から、
38万円の控除が受けられる制度。

なんと約1400万人に適用されている。

妻がフルタイムで働く世帯にも、
一律に適用される。

現在は、控除枠を超えないようにするために、
就労時間を抑えている。

こんなつまらない制度、
改正は、もっと早くしておくべきだった。

適用対象者は、
現在よりも大幅に増える見込みだ。

この6月に政府は、
経済財政運営と「骨太の方針」に、
方向性を明記する。
それをもとに、
政府税調が具体案を詰める。
さらに来年1月召集の通常国会で、
関連法案を成立させ、
再来年の2017年1月から新制度導入。

こんな段取りと見通し。

今の絶対多数の与党なら、
この見通し通りになるだろう。

パートタイマーの人たちの、
就労環境が変わる。

小売サービス業の現場は、
ますます働く女性たちを中心に、
運営されることになる。

今から、準備に入るのがいい。

「働くこと」

「働くこと」への
深い理解が求められている。

働くことの中身。
働くことの実態。
働くことの動機。
働くことの目的。
そして働くことの喜び。

どんな環境の中で働くか。
どんな時間帯に働くか。
どんな制度の中で働くか。
どんな会社で働くか。
そこからどんな働き甲斐が生まれてくるのか。

私たちは誰もが、このことに対して、
自分なりの回答を
用意しておかねばならない。
それなくしては、
企業活動も、
組織運営も、
日常生活もまっとうできない。

経営者は従業員に、
上司は部下に、
会社はパートタイマーに、
明快な「働くこと」の
意味を示さねばならない。

そして従業員は経営者に、
部下は上司に、
パートタイマーは会社に、
同じように明快な「働くこと」の
意思を伝えねばならない。

「働くこと」を通じた意思疎通は、
「労働」への
深く、謙虚な理解から
生み出されるのである。
〈結城義晴著『message』より〉

さて、ローソンの上に月。DSCN2473-5

月に叢雲。
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満月のちょっと手前の月。
DSCN2475-5

月を見ながら、
土曜日の『パンセ』。
グレーズ・パスカルの言葉。
1923年に生まれ、1962年に没した。
フランスの科学者・哲学者。

『パンセ抄』は、
鹿島茂編訳、飛鳥新社刊。
2012年7月14日第一刷発刊。

7月14日はパリ祭の日。
1789年のこの日、
バスチーユ監獄が襲撃され、
フランス革命が始まった。

フランスはパリ祭を、
建国の日としている。
この本の発刊日、
洒落ている。

このところ、土曜日には、
『パンセ』の言葉を紹介している。

「わたしたちの本性は
運動のうちにある。
完全な静止は死でしかない」
〈断章一二九〉

仕事は運動だ。
それを止めると死が待っている。

ゴールデンウィーク、
目いっぱい生を楽しみたい。

「取るにたりないことが
わたしたちを塞ぎ込ませるのと同じ理由で、
取るにたりないことが
わたしたちの慰めとなる」
〈断章一三六〉

「どんなものも、
わたしたちに役立つものでさえ、
わたしたちにとって
命取りになりかねない。
自然の中において、
壁がわたしたちを殺すことがある。
また、階段も、
わたしたちがそれを踏み外せば、
わたしたちを殺す」

「どれほどわずかな運動も
自然全体に影響を及ぼす。
大海原も石ころ一つで変化する」

『パスカルの定理』は、
16歳のときにパスカルが発見した、
円錐曲線に関する定理。
圧力の単位「ヘクトパスカル」に名を残す。

「恩恵の世界においても、
ごくささいな行為が、
あらゆるものに影響を与え、
大きな結果を引き起こす。
だから、どんなものも重要なのだ」

サム・ウォルトン。
「Retail is Detail」
小売りの神は細部に宿る。

「どんな行為においても、
行為そのもののほかにも、
わたしたちの現在と
過去と未来の状態をしっかり見極め、
それが影響を及ぼすであろう他の状態も調べ、
これらすべてのものの
関係を見なければならない。
そうなると、人は非常に
慎重にならざるをえない」
〈断章五〇五〉

これはパスカルの、
科学者としての態度であると同時に、
哲学者の態度だ。

だから「パスカルの定理」が生まれ、
ヘクトパスカルとして、
現在も使われている。

これは、
ピーター・ドラッカーに通じる態度である。

そしてこれは、
現代の研究者の態度であるし、
「働くこと」を見極めるときの態度でもある。

トップマネジメントもマネジャーも、
学者もジャーナリストもコンサルタントも、
基本的にこの態度でなければならない。

つまり「思いつき」ではいけない。
「思いつき」を次々に指示しては、
なおさらいけない。

「非常に慎重」でなければいけない。

「配偶者控除の改正」にも、
この態度で臨んでほしいものだ。

〈結城義晴〉


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