結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年01月24日(水曜日)

小売3業態の停滞感と「ゆでカエル」の“No rain, no rainbow”

今夜は快晴の夜空。
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上弦の月が美しい。
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昨2017年の業態別売上実績が、
それぞれの協会から発表されている。
商人舎流通SuperNews。

12月百貨店|
師走既存店0.6%減/2017年5.9兆円・雑貨牽引で0.1%増
12月スーパーマーケット統計|
2017年既存店0.4%増/12月既存店回復
12月コンビニ統計|
既存店0.3%減/2017年総売上高10.7兆円1.8%増

総合スーパーは、これから発表される。

だが3業態は大きな成長が見られなかった。
つまり小売業全体が成熟化している。

一番歴史の古い百貨店は、
世界中の流通先進国で衰退業態である。

それでも昨年の百貨店既存店は、
0.1%増。

スーパーマーケットは波の少ない業態で、
景気が良くてもそんなに伸びないが、
消費低迷期にもそんなに落ちない。

昨年の食品スーパー既存店は、
0.4%増。

コンビニは最も新しい業態で、
現在のマーケットリーダーだ。
しかしコンビニ既存店は、
0.3%減。

一方、日本の景気動向は、
昨2017年12月段階でも、
61カ月連続上昇。

有名な「いざなぎ景気」は、
1965年11月から1970年7月まで、
57カ月間続いた。

さらに史上最長の「いざなみ景気」は、
2002年1月~2008年2月の73カ月間。

今年を通してこの好況が続けば、
「いざなみ超え」となって、史上最長。

このことは、
月刊商人舎1月号に書いた。

しかし、その好況の2017年の1年間。
コンビニ既存店は0.3%減で、
百貨店も食品スーパーも、
伸びたとはいえ0.1%と0.4%。

しかも小売業は深刻な人手不足。

この景況と消費のアンバランスをこそ、
この1年間、自覚しておかねばならない。

最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

さて今日は1日、
横浜商人舎オフィス。
午後3時に川勝利一さん来社。
商人舎エグゼクティブコーディネーター。

最近のスーパーマーケット業界。
全国の企業動向を徹底的に話し合った。

ヤオコー、ベルク、ベイシア、
ツルヤ、バロー、カスミ、
ハローデイ、タイヨーなどなど。

川勝さんは経営者に直接会って、
現場からの視点で、直言する。

最近の言葉は、
“No rain, no rainbow”
「雨降らずして、虹は出ず」

それこそ昨年の小売業態そのものだ。

その後、夕方、
染谷剛史さんが来訪。
ナレッジ・マーチャントワークス㈱、
略してKMWの代表取締役社長。

昨年3月1日に創業。
人材の採用と能力開発の会社。

私のキーワード「知識商人」を、
英語にして社名にしてくれた。
10カ月が経過して、
奮闘しながら成果が上がってきた。

その報告をしてくれた。

川勝さんとも合流して、
3人で熱談。
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染谷さんは月刊商人舎1月号に、
寄稿してくれた。

タイトルは、
人手採用対策最新6成功例
「いかに人を採用し定着させるか」

そのあと、商人舎近くの柳瀬。
酒を一滴も飲まない川勝さんの独演会。

実に有意義な時間だった。

さて、日経新聞電子版「経営者ブログ」
丹羽宇一郎さん。
伊藤忠商事前会長にして、
初の民間出身中国大使だった。

タイトルは、
「議論することへのアレルギー症状 」

いきなり断ずる。
「日本の政治が停滞しています」
まるで小濵裕正さん。
日本チェーンストア協会会長が内定した、
(株)カスミ会長。

「政治家の動きは政局ばかりで、
政策を争う政治になっていません」

丹羽さんが一番懸念しているのは、
国民の間に議論をすることへの
「アレルギー症状」が出ていること。

例えば憲法改正論議。

「三権分立により憲法を変える動きを
始められるのは立法府である国会です」

その通り。

「行政府の長である総理大臣では
ありません」

別に丹羽さんは、
憲法改定反対を唱えているわけではない。

議論は深めねばならない。
それが進まないのは、
この「アレルギー症状」にある。

2012年、民主党と自民党・公明党との間で
「社会保障と税の一体改革」について、
3党合意が結ばれた。

しかし「消費税増税は、
2度にわたって延期」

「世界一の借金を抱え、
高齢化も進む日本で
財政健全化の答えが見えてこない」

「3党合意からすでに5年がたっています」

「時の政権への文句や批判への
アレルギーがあるとしたら問題です。
口を開いて物を言うと批判されるため
アレルギーが起きるとしたら危険です。
沈黙は賛成になってしまうからです」

賛成だ。

そして現在の日本に対する警鐘。
「全てにわたりぬるま湯に浸る
ゆでカエルになっていないでしょうか」

「議会民主制なのですから
国会議員がそれを代表して訴え、
国民に問うていかなければいけません。
メディアや有識者ももっと声を上げて、
公約は一度言って終わりではなく、
何度も繰り返して言い、
議論し実行することが肝要だと思います」

この「ゆでカエル」状態は、
国会議員やメディア、
有識者だけではない。

経営者や実務家にも、消費者にも、
蔓延している。

もちろん私自身の中にも、
「ゆでカエル」がいないとは思わない。

そこで丹羽さんや小濵さん、
そして川勝さんの言葉が、
とても重いものとなる。

“No rain, no rainbow”
「雨降らずして、虹は出ず」

だから最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

〈結城義晴〉


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