結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年01月23日(火曜日)

安倍首相施政方針の「働き方改革」と「現物何物なりや」

昨日1月22日の記録的な大雪。O
東京都心などに大雪警報が発令された。
2014年2月14日以来、約4年ぶり。

関東甲信・東海地方で40㎝、
関東地方南部で20㎝、
近畿地方で20㎝。

毎日新聞「余録」。
「南岸低気圧」による雪がもたらした、
劇的な歴史的事件を取り上げた。

赤穂浪士の忠臣蔵。
元禄15年12月14日は、
西暦1703年1月30日だった。

桜田門外の変は、
当時の桃の節句の雪だが、
新暦で3月24日。

2・26事件は、
それこそ2月26日。

「いずれも冬から春先に、
列島南岸を発達しながら東進する低気圧」
かつては「台湾坊主」と呼ばれたが、それが大雪を降らせる。O

朝日新聞「天声人語」は、
擬態擬音語を取り上げた。

雨は「しとしと」降る。
風は「びゅうびゅう」吹く。

「では雪は。『しんしん』か。
いやいや『こんこん』だろう」

国語学者の若井勲夫さんの説では、
「来む来む」が正しい。

「『雪よ降って来い』の意味だと思うと、
雪だるまや雪合戦に興じる
子どもの実感に沿うかもしれない」

ちなみに小学唱歌では、
昨日のブログにも書いたが、
「雪やこんこ、あられやこんこ」で、
「こんこん」ではない。

天声人語、間違い。
O

一夜明けて、快晴。
雪がまぶしい。
O

みなとみらいは白く霞む。O

今日は午後1時から夕方までロングラン。
商人舎web会議。DSCN0015.JPG78
5年前の5月、月刊商人舎の発刊とともに、
websiteの商人舎magazineを創刊した。

5年を経過して、
大リニューアルを敢行する。

全員が燃えている。DSCN0017.JPG7
ズラリ揃って左から、
Webコンサルタントの猪股信吾さん、
Facebook研究家の内田憲一郎さん、
㈱プラージュの長谷川温子さんと、
岩田幸大さん。

商人舎の鈴木綾子。
写真は亀谷しづえ。

よろしくお願いします。

さて、コンビニに異変。
商人舎流通SuperNews。
12月コンビニ統計|
既存店0.3%減/2017年総売上高10.7兆円1.8%増

商人舎も指摘し続けているが、
日経新聞も取り上げた。
「コンビニ3年ぶり減収」

日本フランチャイズチェーン協会の発表。
2017年の上位8社の既存店売上高は、
2016年を0.3%下回って、3年ぶりの減少。
客数は1.8%減で2年連続ダウン。

2017年の既存店売上高は9兆4738億円。
12月まで7カ月連続でマイナス。

客数ダウンは12月まで22カ月連続。

しかし新店を含めた全店ベースは、
10兆6975億円で1.8%増。
総客数は0.7%増の173億327万人。

国民1人当たり年間136回、
月間4.5回、週間2.6回の来店となる。
赤ん坊も後期高齢者も含めた数字だから、
これはもう最大の小売産業だが、
それが目減りし始めた。

つくづくと思う。

どんな産業、
どんな業態にも、

ライフサイクルが
あるのだと。

日経新聞は書く。
「コンビニ同士に加え、
ドラッグストアとの競合も激しく」

しかしeコマースの台頭と、
スーパーマーケットの健闘は、
見逃しにはできないだろう。

日経電子版「経営者ブログ」
鈴木幸一㈱IIJ会長。
インターネットの育ての親。

タイトルは、
「リーマン・ショック以来の出来事」

何がリーマン・ショック以来なのか。
「NHKを含めてテレビ局が、
50位以内に入らなかったのは」

学生の就職先人気ランキングの話。

元NHK番組プロデューサーの友人の言。

「新聞やテレビというマスメディアに
未来を感じなくなったのか、
長時間労働の典型のように思われたのか」

「いまの学生さんの志向が、
明らかに変わった
象徴のようなものかもしれない」

同感。

「月曜日の朝、
金曜日までの着替えを持って家を出て、
ビジネスホテルに泊まり続け、
金曜日に家に戻るという、
女房にあきれかえられるような生活」
これも元NHKプロデューサー。

そこで鈴木さんの考察。
「労働者不足が深刻な
建設業、システム産業は、
膨大な数の2次、3次の
下請け事業者によって支えられている」

深刻なのは、
小売業、サービス業だけではない。

下請けに支えられているのは、
テレビ会社も同じ。

そして下請けの制作会社は、
長時間労働が日常となっていて、
ますます人が来ない。

昨日の安倍晋三首相の施政方針演説。
明治時代の山川健次郎の言葉を引用。
「国の力は、人に在り」

新政府に歯向かった白虎隊の一員ながら、
東京帝国大学総長に登用された。

この言葉自体には賛同を惜しまない。

そこから安倍演説は展開される。
⑴働き方改革
⑵人づくり革命
⑶生産性革命

もちろんこれらのイノベーションが、
必須であることは論をまたない。

しかし「国の力」となる「人」は、
この3つの方針から生まれるか。
それこそが問題だ。

鈴木幸一さん。
「働き方改革の流れを支えているのは、
残業や長時間労働を嫌う若者の
働くことに対する意識の変化が
世論として形成されているからなのだろう」

その通り。

だが「働き方改革」の若者の人材論は、
著しく国際競争力を低下させはしないか。

「日々競争といったITの先端分野は、
プロ野球みたいにエンジニア一人ひとりに
個人事業主になってもらって、毎年、
契約更改という形にするほうがいいと思う」

これは超大企業で労務・人事担当だった、
鈴木さんの友人の言葉。

「組織人としての働き方や
生き方を選択する人間は、
個人事業主ではない従来の形でいいし、
ナンボでも働いて能力を伸ばして、
正当な対価をもらいたい人間は、
個人事業主となったほうが、
お互いのためにもなる」

さらに、
「楽な道を選択した人間に、
期待以上のアウトプットを
要求するのが、無理なのだよ」

鈴木さんの結論。
「競争の激しい世界をさて置いて、
いつまでも、平均的なシアワセを
享受し続けることが可能かどうかを、
少しは疑ってみるのも、
大切なことかもしれない」

私は思う。
一国の首相の方針は、
「平均的なシアワセ」を追って、
耳に心地よいだけではいけない。

夏目漱石全集の中の狩野亨吉の言葉。
「現物何物なりやと観察する。
其の観察が徹底すればするほど、
現実何物の性質が明(か)に分かって来る。
従って之を改変する具体案も
できるということになる」

鈴木さんの結びの言葉。
「現物何物なりやを、
徹底して観察することは、
言うまでもなく難しいのである」

安倍晋三首相には、
この「現物何物なりや」を、
徹底的に観察する姿勢が望まれる。

そうすれば、一方的に、
ポピュリズムに陥ることはない。

私は安倍さんより年上だし、
大雪の翌日だから、
敢えて一言。

「現物何物なりや」である。

〈結城義晴〉


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