結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年08月16日(火曜日)

盆明けの「生身魂七十」とコンビニの「本部太る・店痩せる」

盆の明け。

盆過ぎや人立つてゐる水の際                           〈桂 信子〉

1914年から2004年までの俳人。
『草苑』を創刊し、主宰した。

盆が終わる。祭の果て。
誰もが軽い放心状態にある。
そんな盆の明け、
川か池か、水の際に人が立っている。

生身魂七十と申し達者なり                           〈正岡子規〉

生身魂は「いきみたま」。

盆は先祖の霊を供養する。
それだけでなく、
生きている年長者に礼をつくす日でもある。

七十で達者な長寿の人。
生身魂。

明治のころには、
七十は九十にもあたっただろう。

34歳で早世した、病弱な子規には、
うらやましくもあり、
尊敬の対象でもあっただろう。
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盆はそんな人間たちの生きざまを、
それぞれに自覚させるときだ。

日本経済新聞電子版の記事。
「コンビニ宅配4200店に倍増」

日本経済新聞社の2021年度コンビニ調査。
17日の日経MJに掲載される。

全店舗売上高(比較対象可能な7社)は、
前の年度比約2%増。

しかし新型コロナ禍前の19年度比では3.9%減。

総店舗数も5万7825店で、
20年度比でわずかに0.1%増。

コンビニ業態は飽和である。

そこで宅配が4200店へと、
倍増した。

セブン-イレブンは21年度末時点で、
東京と北海道、広島の都市部で、
商品宅配対応店舗を約1200店に増やした。
前年比で約3倍。

午前10時から午後11時まで、
配送可能な注文を受ける。

店舗の来店客は男性が多いが、
宅配では20~30代の女性の利用が目立つ。

24年度中に約2万店、ほぼ全店に広げる。

セブンは宅配業務を、
外部の物流会社に委託している。
〈セブン-イレブン・ジャパン ホームページより〉
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ローソンは、
21年度末に全国に約2900店。

前年から1400店の増加。

23年2月には約4000店に拡大する。

ドーソンはウーバーイーツや出前館など、
宅配業者と提携。

一般的にコンビニの商圏は徒歩5分程度。
半径約350mから500m。
ローソンは商品宅配を活用すると、
約5kmに商圏が広がるとコメント。

1店平均日販は約50万円だが、
商品宅配で1日10万円以上稼ぐ店もある。

ファミリーマートは現在約50店で展開。
ミニストップとポプラは、
21年度から始めた。

いずれも宅配に力を入れる。

しかし本誌特派員の報告。
セブン-イレブンのあるオーナー。

コロナ禍で陽性者や濃厚接触者が多発。
9割以上の店が人員不足で困っている。

本部からは人員対策もないし、
応援者もない。

「相変わらず、店任せ」

毎年の最低賃金の上昇、
社会保険経費のアップ。
これも店の負担となる。

しかし、売上げは前年微増。

加盟店の利益は「アップアップ」。

すべて本部が儲かる仕組みでもないが、
店は痩せる、
本部は太る。

私の返答。

「残念ながら本部としての改良は物足りない。
加盟店の修練は進んでいますが」

商品宅配自体は、
外部に委託すると言うが、
受注やクレームなど、
店の人時を費やす業務は増える。

加盟店オーナーたちは、
本心では宅配を面倒だと考えている。

それよりも人手不足。

再び言おう。

本部太る、
店痩せる。

これではいけない。

〈結城義晴〉

2022年08月15日(月曜日)

77度目の「終戦の日」の日本の「近代と現代」

Everyone! Good Monday!
[2022vol㉝]

2022年第33週、
8月第3週。

今日の8月15日は、
77回目の終戦の日。

慶應4年9月8日から明治元年となった。
新暦の1988年10月23日だった。

それから明治、大正、昭和と元号が変わり、
太平洋戦争の終戦の1945年までが77年間。

それからまた平成を経て、
令和4年の今年を迎えた。
かの大戦から77年が経過して、
終戦の日を迎えた。

日本の「近代」は、
明治維新から終戦までのことを言う。
つまり77年間。

それからが、
「現代」となるが、
その現代も77年が過ぎて、
近代と同じ年月を経過した。

そろそろ「ポスト現代」が現れるころだ。
「現代の次」が考えられねばならない。

それこそが、
「新しい資本主義」なのかもしれないが、
まったく見えてはこない。

時代は進んでいない。
むしろ後退している。

日本だけの所為ではないけれど。

今日はそれを自覚する日だ。

朝日新聞「折々のことば」
第2466回。
人間が二人集まります。
力は倍になります。
しかし、
責任は半分になったと
感じるのです。
(なだいなだ『人間、この非人間的なもの』から)
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「強制収容所では人を番号で呼ぶ。
動物を食する時は”肉を食べる”と言う」

「こういう”抽象化”によって
人は自らの残虐性に鈍感になる」

凄い観察と指摘だ。

著者は1929年、東京生まれ。
2013年逝去。
慶応義塾大学医学部卒業、
精神科医、作家。

ペンネームは、
スペイン語の “nada y nada”からとった。
意味は「何もなくて、何もない」

ときに「抽象化」は人間を、
自らの残虐性に鈍感な存在にする。

「組織の中に入るというのも同様で、
人は個人としては消え、役割になる」

そうすると、
「役割を認識せよ」と強調し過ぎると、
「個人を捨てて、残虐になれ」と、
なりがちだ。

気をつけねばならない。

「そして個人の肉体に内蔵された
攻撃と抑制の二つのスウィッチのうち、
後者がきちんと働かなくなる」

戦争は、
「抑制のスウィッチ」が、
まったく利かなくなって起こる。

元はと言えば、
人間が多数集まって、
力は何億倍になって、
その分、一人ひとりの責任が、
何億分の1になったと感じるところにある。

だから組織構成員が少ないほど、
ドラッカーの言う「責任の組織化」が、
強く機能することとなる。

組織における責任の問題と、
抽象化の行き過ぎは、
よくよく注意せねばならない。

ドラッカーはこれを、
「エントロピーの法則」と呼んだ。

組織は放置しておくと、
すぐに陳腐化する。
やがて官僚化し、
茹でガエルと化し、
大企業病となる。

今日は東京・小平。
第一屋製パン㈱へ。
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恒例の取締役会。
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パン工場はお盆でも稼働する。
だから役員会も休まない。

パンの製造において、
国際的な小麦の値上がりは、
大きな問題だ。

小麦の輸入価格が上がると、
パンの値段も上がる。

何といってもパン好きの消費者が困る。
小売業の販売にも影響する。

パンにかぎらない。
パスタやピザも、ラーメンも菓子も、
多くの食品が値上げされる。

そこで政府は、
輸入小麦価格を据え置く措置をとる。

今夜のNHK「ニュースウォッチ9」。
細貝正統(まさのり)社長が、
NHKのインタビューに答えた。
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まったく偶然に、この番組を見ていた。
落ち着いてしっかりと答えて、
頼もしく感じられた。

明日は盆の明け。

そして一般の人たちは、
仕事が始まる。

小売業も日常に戻っていく。

では、みなさん、今週も、
落ち着いてしっかりと。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年08月14日(日曜日)

9月23日「3か月予報」と黒澤明の「自販機と映画作り」

お盆の中日。

しかし今年のお盆商戦、
ちょっと異変が生じた。

台風8号の影響だ。

昨日8月13日(土)の盆の入りに、
静岡県に上陸。
東日本は直撃された。

そこで12日(金)に駆け込み需要が発生した。

その駆け込み需要は、
テレビなどで報じられる天気予報に、
大きく左右されて生まれる。

だから13日の盆の入りには客足が減って、
14日(日)の中日にずれた。

ほとんどの顧客の生活行動は、
盆の入りや盆の中日、
盆の明けのスケジュールよりも、
台風や異常気象、天候の予報に反応する。

たとえ台風の予報が外れたとしても、
生活行動は事前の予報に応じて、
変化する。

だから商売は、
その気象予報をベースとすべきである。

これがウェザーMDの本当のところだ。

月刊商人舎8月号。
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常盤勝美さんの提案。
㈱True Data気象コンサルタント。
2022秋冬のウェザーMDの要諦
「9/20寒候期予報」で今冬計画をアップデートせよ!
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「”気候危機”とも言える状況下では
気象予測情報の活用が必須になる」

「気象庁は毎日毎時、
膨大な量の情報を発信している」

常盤さんは、
「ここだけは見逃したくないポイント」を示す。
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そして気象予測の鍵となるものは、
「3か月予報」であると指摘する。
7月19日発表の「3か月予報」は、
8~10月までの予測。

8月23日発表の「3か月予報」は9~11月、
9月20日の「3か月予報」は10~12月が対象。

「年末までの計画を立案する際には、
9月20日の”3か月予報”の確認が必須である」

商人舎8月号を確認してほしい。

(ゆあみ)して我が身となりぬ盆の月
〈小林一茶〉

何かとせわしいお盆の夜、
湯に入って汗を流して、
ようやく自分の時間が持てる。
心が落ち着いたところに、
盆の月が出ている。

日経新聞の「私の履歴書」
今月は俳優山崎努。
面白い。

山崎は25歳の時に、
黒澤明監督の『天国と地獄』に出演。
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俳優座養成所を経て、文学座に入団。
舞台を中心に役者を目指すが、
やがて映画にも出るようになる。

ちょっとユニークな文体で、
山崎が自分で書いているのかもしれない。

1963年、黒澤映画出演の際、
誘拐犯人役を得るために、
オーディションを受けた。

「初めての経験だった」

「部屋に入って行くと、
黒メガネの”黒澤明”が
中央にでんと構えて居る。
両翼にスタッフがずらりと控えている。
パイプ椅子に坐(すわ)らせられ、
至近で正対。面談。雑談」

「じゃやってみようか、
僕が相手をしよう」
黒澤監督がおもむろに黒メガネを外す。

「刑務所の金網ごしに
主人公と2人きりで対面するシーン。
犯人が1人で延々と喋りまくる」

演技テストが済んだら、
「はい、ありがとう」とまた、
黒メガネをかけた巨匠。

「あのね、映画作りは、
自動販売機にコインを入れて
ジュースを買うようなわけには
いかないんだよ」

「毎日毎日、
目の前にある仕事を一生懸命やる。
そうするといつの間にか
終わっているんだ」

この言葉を俳優山崎努は、
「今も大切にしている」と述懐する。

「仕事中に萎えたとき、
自動販売機の話を思い出し、
当面の瞬間を楽しむ、集中する」

「一つ一つ、愉快に。
ピンチを脱するにはそれしかない」

映画づくりも、
店づくり、売場づくり、商品づくりも、
そして雑誌づくり、本づくりも、
まったく同じだ。

自動販売機にコインを入れて
ジュースを買うようなわけには
いかない。

毎日毎日、
目の前にある仕事を一生懸命やる。
そうするといつの間にか
終わっている。

倉本長治は若い商人に教えた。
この一瞬の積み重ねが、
君という商人の全生涯。
倉本長治像

自動販売機にコインを入れて、
ジュースを買うようにはいかない。

だから面白い。
だからやりがいがある。
だから一生をかけられる。

自販機のようなチェーンをつくる。
そんな考えもあったが、
そこには買う面白さはない。

自販機をつくる面白さはあるだろう。
つまり一握りの開発する人間にだけ、
面白さはあるかもしれない。
しかし運営する店の面白さ、
顧客の面白さはない。

私は黒澤映画をつくる側に加わりたい。

〈結城義晴〉

2022年08月13日(土曜日)

台風8号伊豆半島上陸と「雨が降ったら傘をさせばいい」

台風の近づく嶺の雲早し
〈小浦遊月〉

2022年の台風8号、メアリー。
夕方、本州の伊豆半島に上陸。

「今、箱根を通過中」などと、
テレビが報じる。

今日は盆の入り。

颱風の庭に出たがる子を叱る
〈稲畑汀子〉

稲庭汀子さんは、
台風の句を多く読んでいる。
今年、2月27日、91歳でご逝去。

あの高濱虚子の孫で、
俳句雑誌『ホトトギス』を継承し、
主宰した。

ウクライナ戦線。
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南部ザポロジエ原子力発電所が、
砲撃によって再び危機に陥った。
原子炉1基が稼働を停止した。

このエリアはロシアに占拠されている。

ロシア、ウクライナ両国ともに、
相手側の攻撃だと非難し合っている。

ウクライナは、
国際原子力機関(IAEA)や国連に、
現地調査を依頼し、
原発周辺の非武装地帯設置を求めている。

ロシアは調査の受け入れに消極的だ。
つまり嫌がっている。

一方、今日8月13日から27日まで、
「国際軍事競技大会が開催される。
中国・ロシア・ベラルーシ・イランなど11カ国。

中国では「軍事のオリンピック大会」と呼ぶ。

この大会は2013年、
ロシアの提唱によって始められ、
年1回のペースで開催されている。

「オリンピック」などと名づけること自体、
本来のオリンピックをはき違えている。

核軍縮だけでなく、
軍縮そのものにも真っ向から反する行為だ。

しかし参加国は増える傾向にある。

環太平洋合同演習(リムパック)は、
アメリカ海軍主催の多国間海上訓練だ。

ハワイの周辺海域で行われるが、
それは8月4日に終了した。

こちらには日本も加わっていて、
イギリス、オーストラリア、
インド、フィリピン、タイなど、
26カ国が参加した。

世界は前には進んでいない。
悪い方向に向かって、
後退している。

さて、「ほぼ日」の糸井重里さん。
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高校時代の先生から教わったことば。
「多忙は怠惰の隠れ蓑である」

このことばをもうちょっと分解する。

「よしとされていることを、
まちがいなくせっせとやっていることは、
他の大事なことを考えなくさせるものだ」

「やるべき仕事を
機械的(効率的)にやっていると、
他の大事なことができなくなっちゃうよ」
と、いうこと。

「木を見て森を見ず」も似ている。

つまり逆説的な言い方。

「善人なおもて往生をとぐ。
いわんや悪人をや」

この親鸞の言葉も逆説的な表現だ。
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そして松下幸之助さんの言葉。
「雨が降ったら
傘をさせばいいんです」
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糸井さん。
「これはまいった!」
と、思ってしまった。

糸井。
「雨はなぜ降るかであるとか、
いつごろまで振るのかとか、
この雨のもたらす日本経済への影響だとか、
大きく考えるべきことはいくらでもあろう。
しかし、いまここに雨が降っているのなら、
傘をさしてやるべきことをやろう”
というわけだ」

今月の月刊商人舎8月号の、
阿部秀行㈱万代社長を思い出した。
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「今あるものしか売れないわけだから、
どのようにして売っていこうかと、
考えるのが商売です」

「安いものは安いし、高いものは高い。
それを、どう組み合わせて売っていくか」

それが商売。

「昨年の数字を見ても
大して役に立ちません。
暑いからこの商品がよく売れている
といったような直近のデータを見て、
想像して、何を売るかを考えるしかない」

「そして想像して売場をつくったら、
少々間違っていても、
お客さんは買ってくれます」
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これは松下幸之助さんと同じだ。

「雨が降ったら傘をさせばいい」
その前にあれこれと理屈はいらない。

最後にJR九州の唐池恒二さん。
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「いまの社長は、
係長の仕事をやれなきゃいけないんです」

小売業で言えば、
「社長は店長の仕事をやれなきゃいけない」

阿部さんは店長の仕事も、
誰よりもうまくやるだろう。

糸井の解釈。
「”具体的なアイディア”を
リーダー自身が出せないようでは、
テーマが届かない」

そして糸井さんは今、この言葉を、
「忘れないようにしている」のだとか。

私も商人舎の社長だが、
編集スタッフの仕事ができないといけない。

そう、思っているし、
できる。

雨が降ったら傘をさす。

そのとき、
「傘がない」なんて、
井上陽水のように、
わざと悲観的に考えたりはしないことだ。

〈結城義晴〉

2022年08月12日(金曜日)

岸田第二次改造内閣の「好事魔多し」と「民主的な組織」

台風8号、メアリー。
日本列島に接近。

盆の入りを直撃しそうだ。
〈イメージ写真、2019/10/11〉
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台風を古くは「野分(のわき)」と言った。
だから古い俳句では「野分」を使う。

吹き飛ばす石は浅間の野分かな
〈松尾芭蕉〉

浅間山のふもとを行く。
小石までが吹き飛ばされて、
すさまじい野分。

山川の水裂けて飛ぶ野分かな
〈村上鬼城〉

いずれも雄大な情景描写。

ただし「野分」は秋の季語。
そして二十四節気の暦の上では、
今はもう立秋を過ぎている。

第二次岸田改造内閣。
発足した。
〈首相官邸ホームページより〉
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しかし、
「好事魔多し」
うまく進んでいるときほど、
意外なところに落とし穴がある。

ゴルフのラウンドなどで、
バーディをとったりすると、
必ずと言っていいほど、
その直後のホールで、
ダブルボギーやトリプルボギーが出る。

だからことのほかうまくいったときには、
いつも以上に注意を払う必要がある。

それはわかっているが、
過剰に注意して、
今度は消極的になり過ぎて、
それがまた「魔多し」の原因になる。

7月10日投開票の参議院議員選挙で、
自民党は圧勝した。

衆参両院で多数を占めつつ、
この後、3年間、国政選挙はない。
「黄金の3年間」

岸田文雄第27代自民党総裁自身に、
このラッキーな状況を生み出す力量が、
あったとは思えない。

しかし、安倍晋三元総理が銃撃され、
そこから旧統一教会と自民党との、
密接な「癒着」が表面化した。

選挙期間中の元首相の暗殺。
それが自民党圧勝につながったが、
その殺害者の暗殺の根拠が明らかになり、
旧統一教会と自民党との癒着が露呈した。

皮肉な巡りあわせだ。

そこで改造内閣では、
「旧統一教会との関係を見直す」と答えた者が、
閣僚に指名された。

だが「関係を見直す」というのもおかしな話だ。

霊感商法や多額の献金の強要などで、
「反社会的」団体と認識される。

その旧統一教会と関係をもったこと自体、
多額の献金を強いられたり、
霊感商法詐欺に遭ったりした人々にとっては、
許されない問題だろう。

それが首相暗殺の動機でもあった。

吉本興業の芸人たちは、
「反社会的勢力」との関係をもったことで、
例外なく放逐された。

比べると、
旧統一教会との関係を見直す、
という閣僚の基準こそが甘い。

河野太郎デジタル相兼消費者担当相。
「一般的に反社会的な団体とは、
関わりを持たないのが大原則だ。
政治家それぞれ、襟を正さなければいかん」

「一般的に」と前置きをしているが、
河野太郎も霊感商法の組織を、
反社会的団体と見ている。

「勝てば官軍」

国政選挙はとりわけて、
この意識が強い。

当選すれば、
禊(みそぎ)を済ませたことになる。

そのみそぎのために、
旧統一教会から選挙協力を受けた。

「本末転倒」だ。

高潔な政治家、
高潔な政党。

それが社会には必須だ。

しかし、
こういったときには、
ブレーズ・パスカル。
『パンセ抄』から。
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「王たちの権力は、
民衆の理性と愚劣さの上に、
基礎を置いている」

「どちらかと言えば、

愚劣さの上に立つ要素が
はるかに大きい」

「王たちの権力」は、
現代では「政治家たちの権力」となる。

米国やロシアでは大統領の権力、
日本では総理大臣の権力。
中国では総書記の権力。

「この世で
最も偉大で重要なものが、
弱さを基礎としているのである」

「ところが、この基礎は、
素晴らしく確かなものだ」

「なぜなら、
民衆は弱いということ以上に、
確かなことはないからだ」

「健全なる理性、たとえば
知性の尊重といったたぐいの上に
基礎を置いているものは、
はなはだ座りが悪い」〈断章三三〇〉

現代政治も、
弱さの上に基礎を置いている。

だから民主主義は、
座りが悪い。

それでも民主主義しかない。

会社組織も、
小売業やチェーンストアも、
デモクラティック(民主的)である。
つまり弱さの上に基礎を置いている。

そう考えて、
そこから出発する。

これしかないのだ。
これでいいのだ。

大いなるものが過ぎ行く野分かな 
〈高浜虚子〉

野分を前に考える。

これがいいのだ、
これしかないのだ、と。

〈結城義晴〉

2022年08月11日(木曜日)

2022「山の日」の2009「平富郎&結城義晴・富士登山記」再録

山の日。

中学・高校で一貫教育を受けた。
その学校が夏休みのイベントや遠足などで、
教育に登山を採り入れて、
生徒たちに奨励した。

筑波山、八ヶ岳、金峰山、
さらに会津磐梯山など登った。

同人誌を一緒にやっていた仲間が、
また山好きばかりだった。

先輩から受け継いだ同人誌は、
『蘖(ひこばえ)』といった。

その仲間とともに登った。

2009年の8月には、
㈱エコス会長の平富郎さんに誘われて、
富士に登った。

13年前のことだ。

[毎日更新宣言]だから、
登山の模様もブログに書いた。

「平富郎&結城義晴・富士登山記」

2009年08月08日(土曜日)
①山頂からのモバイル速報

2009年08月09日(日曜日)
②八号五尺までの「無茶と無理」

五合目・標高2305mから登り始める。
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この混雑ぶり。
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篠突く雨に襲われたが、
七合目までたどり着いた。
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雲海を下に。
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八号五尺の宿泊所。
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夜景をバックに。
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2009年08月10日(月曜日)
③ついに、標高3776m登頂!

山小屋で仮眠して、
暗い中、2時半に出発。
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明るくなってきて、ちょっと休憩。DSCN3771.jpg1

もう一息。
浅間大社奥宮鳥居の下で、
平富郎&結城義晴の握手。
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ご来光。
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山頂を極めた平さん。
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平さんは数え71歳だったが、
凄い気魄で山頂を極めた。
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平さんはなんと6回目の富士制覇だった。

山頂で記念写真。
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雲海。
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登山では下山が難しい。
それでも無事に降りてきた。
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ありがとうございました。

もう、平さんと一緒に登ることは、
できないんだろうな。

二度とない思い出だった。

夏山や一足づつに海見ゆる
〈小林一茶〉

一茶の観察力、素晴らしい。

夏山を行く岩岩に手触れつつ
〈山口誓子〉

朝日新聞「折々のことば」
第2460回。
考えごとをしていて、
テーマができても、
いちずに考えつめるのは
賢明でない。
しばらく寝させ、
あたためる必要がある
(外山滋比古『思考の整理学』から)
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「一つの問題をじっと見ていると、
視野が狭まり、思考が行き詰まる。
そういう時は熱(ほとぼ)りをさますため、
しばし忘れ、放置しておくこと」

「中心から周辺部にいったん移すのだ」

「すると、思考の縛りが解けて、
他のアイデアとの思いがけない繋がりが
閃光(せんこう)のように浮かぶことも」

山登りはこの「思考の放置」に最適だ。

コロナ禍の2020年7月30日に、
故人となった外山滋比古さん。

「弛(ゆる)めることの大きな効用」を説く。
この本は私の愛読書、
何度読んでも素晴らしい。

山登りは思考の放置に役立つ。

山を登っていると、
思考の縛りが解けて、
他のアイデアとの思いがけない繋がりが、
閃光のように浮かぶ。

山登りだけではない。
山の日は、
実はこのためにあるのだ。

日本特有の祝日。
不思議な効用がある。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2022年08月10日(水曜日)

月刊商人舎8月号「チェーンストアの営業と商売」発刊!!

青森や秋田の豪雨。
お見舞い申し上げたい。

これまでになかった気象現象が起こる。

とはいっても、
それは観測史上という短期間では、
初めてのことなのだ。

長いながい歴史を辿れば、
起こらなかったわけではない。

今、その「極端気象」が起こっている。

その根本原因は、
地球温暖化の進捗である。

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環境をピンボールの台に喩えると、
温暖化でその台が傾いてしまった。
温暖化をUnder Warmer Climateという。
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だから降る雨の全体量は同じでも、
集中豪雨が発生する。

線状降水帯ができる。
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それが極端な集中豪雨をもたらす。

今回のエリアにも、
多くの小売業が店を展開する。

地域のインフラとなって、
人々に貢献してほしいものだ。

最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

本日、月刊商人舎8月号発刊。
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特集は、
チェーンストアの営業と商売
戦略と戦術・計画と実践

[Cover Message]表紙の言葉。
「複合危機」は続く。夏から秋、秋から冬へ。コロナ禍はオミクロン株のBA.5となって爆発的に拡散し、ロシアによるウクライナ戦争は終わるどころか泥沼化し、新たに中国による台湾の恫喝にまで飛び火する。商品値上げラッシュは2022年末までとどまる気配はないし、エネルギーコストをはじめとする諸経費増の要因も解消される見込みはない。このとき小売業は、商業は、そしてチェーンストアは、いかに戦略を立て、戦術を行使するか。いかに計画し、実践するか。本特集はそれを考察し、素案を提示するものである。
日本のチェーンストアは「流通革命論」に触発されて、商業の工業化を志向し、それに向けて邁進した。その結果、インダストリアリズムやエンジニアリングの初歩を学び、抜本的な生産性の改革を求めた。しかしそれだけでは実利は出ない。そこであの手この手の「販促」に傾斜した。結果として、標榜する標準化と薄利しか生まない販促のはざまで、小売商業が本来的に有する「商売」が置き去りにされた。商販一体となって展開されるべき「営業」は分断された。今、複合危機を目の前にして、チェーンストアは本当の「営業と商売」を取り戻さねばならない。
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ウォルマートの創業者サム・ウォルトン。

商売を始めたばかりサムには、
「営業と商売」の意欲とアイデアが、
満ち溢れていた。

「セルコレポート」の連載、
結城義晴の「艱難は商人を鍛える」。
「第3回 サム・ウォルトンの絶望」から。

――サムはいつも、「型破りのメーカーや卸売業者」を探していました。さらに販売促進のためにポップコーンの機械を導入して、つくり立てのポップコーンを売り、やがてその横にアイスクリームの機械を置いてアイスクリームを販売しました。そんなバラエティストアは全米を探しても見当たるものではありませんでした。

――サム・ウォルトンには顧客を集める商売の才能があったのです。小さなニューポートのベンフランクリンは、開業してから5年間で、年間25万ドルを売り、4万ドルの純利益を上げるまでに育ちました。

――「アーカンソー州だけでなく、6州すべてのベンフランクリンの中で売上げ、収益ともにナンバーワンであった。バラエティストアとしてはアーカンソーで最大であり、おそらく近隣の3、4州のうちでも一番だっただろう」とサムは自慢げに書いています――。

このサム・ウォルトンの「営業と商売」がいま、
日本のチェーンストアに求められている。

私たち商人舎はそう考えた。

[Contents]目次。
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大久保恒夫㈱西友社長兼CEO。
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私との対談のタイトルは、
「安さ」は大事だけれど、
「安売り合戦」はしない!!

そして赤羽店の「大久保マジック」。
写真構成で紹介する。

それから阿部秀行㈱万代社長。
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阿部秀行の「シンプル商売論」
「上がったり下がったりして、
変化があるほうが商売には一番いい」

イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さん。
「商才と算盤」を強調するが、
この「商才」がチェーンストアマンから、
薄れていってしまっている。

[特別企画]
2022秋冬営業企画素案

この特別企画は、
山本恭広新編集長の労作。
編集部全員でサポートした。

9月・10月・11月・12月。
営業企画に関する大胆な素案を提案した。

この「素案」を参照して、
自社、自店の「商売」のストーリーを、
徹底的に見直してほしい。

それから㈱True Dataプロジェクトチーム。
2022の新しい購買動向と商品動向

さらに気象コンサルタントの常盤勝美さん。
2022秋冬のウェザーMDの要諦
「9/20寒候期予報」で今冬計画をアップデートせよ!

極端気象の考え方をもとに、
最も重要な商売の要件をアドバイスする。

最後に[Message of August]
今日も商売、
おまんまうまいよ。

岡田徹は謳う――。
あなたの今日の仕事は、
タッタ一人でよい
この店へ買いに来てよかったと
満足してくださるお客さまを
つくることです。
あなたの店があるおかげで
一人のお客さまが
人生は愉しいと
知ってくださることです。

チェーンストアとなって、
何十店、何百店、何千店となろうとも、
一人のお客さまをつくることに邁進する。
そこからはじめるのが商売だ。

ウォルマートのケビン・ターナーは言った。
私たちは世界最大の会社を、
つくろうとはしていない。
地域の1店1店を、
最良の店にしようとしているだけだ。

シンプルな商売ができれば、
それだけでいい。
それがいちばんいい。

そうすれば、
こんな人生を送ることができる。
今日も商売、
おまんまうまいよ。
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彫刻家・平櫛田中の言葉を借りた。
「今日もお仕事、おまんまうまいよ」

商品が値上がりしようが、
雨が降ろうが、台風が来ようが、
商売と向き合っていれば、
おまんま、うまいよ!

〈結城義晴〉

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