結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年01月20日(木曜日)

「寒中マーチャンダイジング」と上野光平「最高で無比の仕事」

二十四節気の「大寒」

1年を24回に分ける。
それが二十四節気。

ほぼ半月ずつに分けられる。

それがいわゆる12カ月よりも、
季節に沿っていて、
商売をするには便利だ。

小寒から大寒、そして、
立春の前日の節分までのほぼ1カ月を、
「寒」という。

1年で一番寒い季節だ。

一番寒いときには、
それにふさわしいものが売れる。

食べ物では鍋材料、
着る物では防寒の下着上着。
家電でも、住居関連品でも、
ガーデニングでも。

サービスも。

だから1月、2月と区分するよりも、
小寒から大寒、節分までの「寒中」をベースに、
マーチャンダイジング、
プロモーションを組み立てるほうが、
理屈に合っている。

1月の31日間よりも、
2月の28日間よりも、
1月5日の小寒から2月3日の節分までの、
「寒中」のほうが寒い。

敢えて表現すれば、
「寒中マーチャンダイジング」

その寒中の真ん中が、
今日の大寒。

横浜商人舎オフィスの裏の遊歩道。
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木々の葉は落ちて、
寒々しい。
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今日の横浜の最低気温は0℃、
最高気温は8℃。

けれど今日は商人舎にとって、
いいことがあった。

おいおいこのブログでもお知らせする。

それにしても月刊商人舎1月号。
たいへんご高評をいただいている。
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ありがたいことです。

ある人が「刺さった!」と、
言ってくださった。

島田陽介と結城義晴。
存分に語っていただいたし、
思いきり書いた。

それでもまだ語り足りないし、
書き足りない。

しばらく、これは続けようと思う。
ご期待ください。

1月号の特集のまえがきは、
謹賀新年、予言仕る
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このなかで上野光平さんの文章を引いた。
西友の実質的創業者。

「私たちに課せられた課題の大きさに比べて、
私たちの仕事の質の低さに
いらだたざるを得ないのも事実であります」

「私たちの課題は、
“最高で比べるものもない”
ということであります。
私たちの規模と社会的責任とは、
私たちに最高かつ無比の
仕事のレベルを要求しております。
私たちはこの要求に
応えなければなりません」

「商品部の諸君、
あなた方は戦略商品群について、
“最高で無比の”戦略体制を
実現しているのでしょうか」

「管理部の諸君、
あなた方は経営管理の精度と
合理化と管理コストにおいて、
“最高で無比の”業績を
達成しているのでしょうか」

「店舗の皆さん、
あなた方は高い労働生産性と
低い店舗コストによる運営によって、
“最高で無比の”店舗運営を
しているでしょうか」

「課題への挑戦には、
自己満足のひとかけらも
許されないのです」
上野光平

これはかつての西友ストアーの社内報、
1967年6月の「今月のことば」からの引用。

もちろん当時の西友ストアーは、
全員が奮い立った。

上野先生は大正13年生まれで、
イトーヨーカ堂創業者の、
伊藤雅俊さんと同年だったが、
63歳で逝去された。

オーナーの堤清二さんに請われて、
西武百貨店に入社し、
西友ストアーを創業して支配人となり、
最後は流通産業研究所理事長・所長。

業界のご意見番のような存在だった。
人柄はすこぶる穏やか。
しかし随一の読書家、勉強家で、
高くて広い視野を持ち、
実に本質的な鋭い分析をした。

上野先生と盟友の故杉山昭次郎先生が、
毎月のように勉強会を開催していた。

私は門前の小僧のように、
その研究会に顔を出して勉強した。

今月号の「禁欲円と享楽円」概念は、
上野先生の座標軸を基本にしている。

「生活マネジメント」と、
「生活エンターテインメント」。

前者に使う金が「禁欲円」であり、
後者に費やす金が「享楽円」である。

そしてコロナ禍「キャズム」を経て、
「享楽円」購買が頭をもたげてきた。

それが私の観察だ。

その上野先生は、
秀逸の文章家であり、
言葉を大切にした。

その言葉をそのまま、
みなさんに贈ろう。

「みなさんは今、
最高で無比の仕事を、
しているか。
課題への挑戦には、
自己満足のひとかけらも
許されない」

〈結城義晴〉

2022年01月19日(水曜日)

新規陽性判明者4万1485人と足して2で割る「玉虫色の判断」

新型コロナウイルスも、
かつてのアルファ株、べータ株、
ガンマ株やデルタ株と、
現在主流のオミクロン株は、
同じ次元で考えるべきではない。

そういった見解がある。

感染力は高まるけれど、
毒性は弱まる。

確かにこの流れの中にある。

しかしそれでも今日も、
全国で1日、4万1485人。
新規陽性判明者が出た。

東京は7377人、大阪は6101人。
首都圏の1都3県では1万3485人。
関西圏の1府2県で9817人。

症状としては約7割が発熱、
約4割は咳が出る。
肺炎はほぼゼロ。
さらに咽頭痛、倦怠感など、
風邪の症状が出ることが多い。

店で従業員に陽性反応が出たら、
保健所など行政機関と連携して、
感染者の行動歴、および、
濃厚接触の可能性のある従業員を調査し、
濃厚接触者行政機関の指示に基づいて、
適切な対応を実施する。

同時に速やかに店舗内の消毒作業実施する
さらに従業員の了承のもとで、
速やかに当該事業所従業員の抗原検査を実施し、
感染拡大の可能性がないこ
確認する

そして営業を続ける。

これはサミット㈱の対応の手順だ。
いわばお手本である。
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全国で4万人の陽性者が出ると、
一つひとつの局面で、
こういった措置が取られる。

たいへんな労力であるし、
たいへんなストレスである。

現場の対応には頭が下がる。

簡単に「軽症だ」などと、
片付けることはできない。

ブースター接種を待ちながら、
やれること、
やるべきことを、
やる。
やってはいけないことは、
やらない。

これはずっと変わらない。

ありがとう。

今日は午前中、
㈱True Dataの取締役会。
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最近はほとんどオンライン会議だ。

True Dataは今日、
ベトナム最大級のICT企業FPTソフトウェアと、
戦略的な業務提携契約を結んだ。

同時にその子会社のTRANDATAと、
資本業務提携をした。

アジアの成長市場ベトナムでも、
ビッグデータマーケティングが重視され、
True Dataのモデルが、
高く評価されたことになる。

いい方向に進んでいる。

午後は商人舎オフィスに来客。

13時に稲越大樹さん。
㈱万代総務部付業務サポートチームシニアリーダー。IMG_02481
重要な打ち合わせ。

それから15時には、
イオンリテール㈱のお二人。
工藤一実さんと越川泰江さん。IMG_02521
工藤さんは南関東カンパニー支社長付、
研修メイン講師。
越川さんは同人事総務部教育担当部長。

昨年に続いて2月に、
「店長塾」で講義する。

ケン・ブランチャードの話で、
意気投合。

イオンリテールの教育、
なかなか凄い。

さて、朝日新聞の「経済気象台」
タイトルは、
「足して2で割るだけでは」
コラムニストは硬骨漢の山猫さん。

「18歳以下の子どもへの10万円給付で
政府の判断は迷走した」

岸田政権発足直後の、
ちょっと古い話だが。

公明党案は一律10万円支給案だった。
「それを丸のみすると、
自民党のメンツがつぶれてしまう。
そこで現金とクーポンの2回に分ける。
クーポンは参院選前に配れば、
選挙対策になる」

「足して2で割るような結論
だったのではないか」

二兎を追うもの一兎も得ず。

「最終的には、反発した自治体の判断に
任せるというまさかの結論になった」

「子育て世帯の救済という
本来の目的は置き去りにされた」

手厳しい。

北京五輪の「外交的ボイコット」の問題も、
足して2で割る感じだ。

山猫さん。
「同じことが企業活動にもいえる」

「正社員のシニア層は解雇できないので、
若者を非正規で採用することで
総人件費はキープする」

自動車業界。
「下請けの部品会社への配慮なのか、
電気自動車にシフトする世界的な潮流の中で
ハイブリッドも守る」

そして言う。
「いまや米テスラの時価総額は
トヨタ自動車の3倍になった」

「新規事業と時代遅れの事業の
新陳代謝を加速し、
成長を促す割り切りができない」

それはそうだが、
なかなかそれができない。

「スパッと決断できないのは、
確固とした理念やポリシーに
欠けているからだ」

「どんな社会の将来像を描いて
進んでいくのかが問われている」

「それをしっかりした
コミュニケーションにより、
相手に理解してもらうのが
政治や外交、そして経営の肝である」

正論だが、これこそ、
ミッションマネジメントである。

「岸田政権が掲げる”新しい資本主義”も、
いまさら大勢のメンバーで
話し合いをしているようでは遅い」

同感だ。

「聞く姿勢は大切だが、
周りの目を気にして
無難な落としどころを探るようでは
意味がない」

「政治も経済も、玉虫色の判断では
立ち行かない時代のはずだが」

玉虫色の判断が続くと、
「茹でガエル」となる。

ピーター・ドラッカー。
「経済活動の本質とは、
リスクを冒すことである」
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玉虫色の判断は、
リスクを冒すことからの回避である。

〈結城義晴〉

2022年01月18日(火曜日)

新規陽性判明者「初の3万人超」と商人舎1月号の「確信的予言」

今日は商人舎オフィスを、
片山隆さんが訪ねてくれた。
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㈱寺岡精工前社長で、
今、RTK-Design代表。
月刊商人舎常連執筆者。

商人舎1月号で書いていただいたのは、
[予言2]ストアフォーマットの変革 
破壊的チェックアウトイノベーション
2021年欧米トップ小売業の衝撃的自律型店舗総まくり
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片山さんは冒頭で書いている。

「この先10年、チェックアウトにおいて
破壊的イノベーションが起こり、
スーパーマーケットでの買物体験が
劇的に変化する。
買物の仕方が再定義される。
そして売場レイアウトを含めた
店舗づくりも大きく変わる。
私はそう確信している」

「未来から見ると2021年は
“自律型店舗元年”と
言える年になるに違いない。
それはチェックアウトの
破壊的イノベーション元年である」

「自律型店舗」とは、
キャッシャーレスストアのことだ。
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欧米では昨年がその「元年」だった。
日本でも今年、来年、再来年と、
このスタイルが進むに違いない。

人々は究極の利便性を求めるのだろう。

今月号の「特集のあとがき」で、
私はあるエピソードを紹介した。

万代の加藤徹さんとお孫さんの会話。
加藤さんは㈱万代リテールホールディングス社長。

「おじいちゃん、私が大人になったら、
万代の店でチェッカーさんになるよ」

「ユイカちゃん、ありがとう。
でもね、そのときには
チェッカーさんはいないかもしれないんだよ」

ユイカちゃんははたして
どんな仕事をしてくれるのか。
どんなイノベーションをしてくれるのだろうか。

今日もアメリカやヨーロッパ、
そして日本のチェーンストアについて、
最新の情報交換をした。

片山さんとの交流は、
学ぶところが多い。

話を聞きながら答えながら、私自身は、
日本のチェーンストアのことを考えた。

そしてその思考がまとまってくる。

ありがとうございました。

昨日、このブログに、
宮本洋一さんから投稿があった。
ブルーチップ㈱社長。
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「今日は商人舎1月号”2022確信的予言”を
2回もじっくりと読みました。
“確実な損失か、不確実な利益か”
“禁欲円消費、享楽円消費”
“自律型店舗の将来”
私にとって非常に革新的(確信的)な内容でした。
弊社も今年から本気の本気で、
“次世代のサービス創造”を
やりたいと思っています」

うれしい限りです。

雑誌を読んで決意を固めて下さる。

編集人冥利に尽きます。
ありがとうございました。

商人舎1月号、絶好調です。
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表紙は広大な麦畑。
大きな2022の文字が記されている。

そして[Message of January]2022-1Message
テーマを資源化せよ!!

よくよくあなたがたに言っておく。
一粒の麦が地に落ちて死なない限り、
それはただの一粒のままである。
しかし、もし死んだならば、
豊かに実を結ぶようになる。
( 「ヨハネによる福音書」第12章24節)

一粒の麦はテーマである。
テーマは資源とみなされない限り、
それはただの一粒のテーマである。
しかし、もし資源化することができれば、
豊かに実を結ぶことになる。

コロナ禍パンデミック3年目の2022年。
大きく変わったことは目の前に横たわっている。
変わらなかったことも同じく目の前にある。
私たちはこの感染症の蔓延によって、
変わり続けていくテーマを知らねばならない。

消費意識と消費行動はどう変質するのか。
マーチャンダイジングはどう変貌するのか。
店やフォーマットはどう変革されるのか。
会社は、組織は、経営はどう変容するのか。
そしてあなた自身はどう変身するのか。

ドゥ・ハウス創始者の小野貴邦さんの言葉。
「過去から押しても怪獣は動かない。
未来から今日を引っ張ってやれば、
怪獣は動いてくれる」
怪獣は社会であり、経済であり、消費である。

コロナ禍の断絶によって、
過去から怪獣を押す必要はさらになくなった。
だからテーマの資源化を原動力にして、
未来から今日を引っ張ってやろう。
消費や市場という怪獣は必ず動き出す。

よくよくあなたがたに言っておく。
一粒の麦が地に落ちて死なない限り、
それはただの一粒のままである。
しかし、もし死んだならば、
豊かに実を結ぶようになる。

一粒の麦はあなたの観察であり着想である。
この一粒をテーマ資源化しない限り、
それはただの一粒のテーマである。
しかしもし資源化し、掘り起こすことができれば、
それは仕事に商売に豊かな実をつけることになる。
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最後に新型コロナウイルス感染。
新規陽性判明者は今日1日で3万2197人。
初めて3万人を超えた。

大阪府が5396人で、
過去最多を更新。
東京都が5185人で、
昨年8月21日以来の5000人超。

いくら重症化する確率が少ないとはいえ、
店や会社は社会性を持っている。
その社会の公器には、
顧客や取引先がやって来てくれる。
従業員も働いている。

お客さまやお取引先、
そして社員・従業員の安全は、
確保されなければならない。

臆病になり過ぎる必要はないが、
いくらケアしてもし過ぎることはない。

一粒の麦は人であり、
キリストであり、
テーマである。

そしてコロナウイルスもまた、
一粒の麦である。

〈結城義晴〉

2022年01月17日(月曜日)

阪神淡路大震災から27年の「明日を見つめて」

Everybody! Good Monday!
[2022vol③]

2022年第3週。

今日は阪神淡路大震災から27年。
1995年1月17日。
阪神淡路大震災
私は㈱商業界「食品商業」2月15日発行号で、
緊急特集を組んで、巻頭言を書いた。

「阪神大震災」

阪神大震災、
お見舞い申し上げたい。
亡くなられた方々の
ご冥福を祈りたい。

尊い命を、家族を、同朋を、
奪い取られた悲しみはつきない。
家を、店を、
財産を失った絶望は深い。

しかし、人びとは、
たくましかったし、
モラルは高かった。
被災地の商業は任務を果たし続けた。

スーパーマーケットは、
生存のための配給基地となった。
コンビニは、
余震の続く闇のなかの灯台に変わった。

フードサービスは、
温かい食べ物の炊き出し係に徹した。
メーカーや問屋は、
補給部隊の役を担った。

小さな店も、大きな企業も、
皆が、このときこそと、
日ごろの仕事の腕を発揮した。
いつもよりも素早く、力強く、黙々と。

そのそばで、
瓦礫のなかに
埋まったままの人たちも、
また、いた。

雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、
商業は働き続けねばならない。
店は客のために、是が非にも、
開けておかねばならない。

有事のときにこそ、頭を柔らかくし、
冷静に、活躍せねばならない。
人びとが立ち上がる礎に
ならねばならない。

商業人は、
どんなときにも、
明日を、
見つめていなければならない。

私たちは、震災に勇敢に
立ち向かった仲間を心から尊敬しよう。
商業という仕事を貫いた同志たちを
誇りにしよう。

こんなときだからこそ、深く深く、
私たちの役割の大切さを自覚しよう。
そして、この阪神大震災を
永く記憶にとどめておこう。

崩れ果てた廃墟のなかで、
人びとに喜んでもらった
この感動を、
これからの支えにしよう。

未来のために。
客のために。
店のために。
蘇える街のために。

私たち自身のために――。
合掌。
2019120501
れから16年後の2011年3月11日。
東日本大震災が起こった。
東日本大震災
たちは有事のときにこそ、
頭を柔らかくし、
冷静に、活躍せねばならない。

深く深く、
自分たちの役割の大切さを、
知覚しなければならない。

私たちはどんなときにも、
明日を、
見つめていなければならない。

今、
オミクロン株の感染急拡大によって、
まん延防止等重点措置の適用が、
拡大されようとしている。

すでに実施されているのが、
沖縄・広島・山口の3県。

それに東京など首都圏4都県と、
愛知・岐阜・三重の中部3県が要請決定。

さらに新潟・熊本・宮崎が調整中、
長崎が検討中。

期間は3週間程度。
2月11~13日の3連休ごろまで。

このままでは全国から次々に、
「まん防」の適用申請が出されそうだ。

それから緊急事態宣言も、
発生される可能性がある。

昨2021年9月末に、
緊急事態宣言が解除されたが、
それから3カ月半が経過した。

オミクロン株に関しては、
昨2021年11月30日に空港検疫で、
国内第1号が判明して以来1カ月半で、
1日2万人を超える新規陽性判明者が出る。

感染症のセオリーは、
「伝染力が高まれば、
毒性が弱まる」

オミクロン株は流行性インフルエンザと、
それほど変わらないという見方もある。

それでも小売業やサービス業は、
店に顧客を迎える商売だ。

インフルエンザであっても、
店の中でそれを発症させてはならないし、
万が一にも顧客に影響を及ぼしてはならない。

したがって小売業界では、
さまざまな会合が延期されたり、
オンラインに変更されたりしている。

今週金曜日の全国セルコチェーントップ会は、
残念ながら延期された。

来週木曜日のドラッグストアMD研究会は、
私がリアルの基調講演をする予定だったが、
聴衆なしでビデオ撮影をしたうえで、
オンライン配信することとなった。

たちは有事のときにこそ、
頭を柔らかくし、
冷静に、活躍せねばならない。

私たちは深く深く、
自分たちの役割の大切さを、
知覚しなければならない。

私たちはどんなときにも、
明日を、
見つめていなければならない。

では、みなさん、今週も、
決意新たに、明日を見つめて。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年01月16日(日曜日)

「100年に一度」のトンガ沖海底噴火と「厳冬に想う」

スマートフォンの津波警報が、
何度もなんども鳴った。

トンガ沖海底火山が噴火。
世界標準時1月15日午前。

それが日本列島の太平洋沿岸にも、
津波となって押し寄せた。

火山名は、
「フンガトンガ・フンガハーパイ」

噴煙は上空1万6000mを超え、
専門家は「100年に1度の規模」と評した。

首都ヌクアロファでは、
海岸に津波が到達し、道路や建物が浸水。

トンガ王国は約170の島から成る。
人口は約10万7000人。

トンガ沖海底火山の大噴火は、
太平洋岸のアジア、オセアニア、
そしてアメリカ大陸まで、
津波と言う形で影響を及ぼした。

しかし神奈川県の度重なる津波注意報は、
実は誤送信だった。

原因は委託業者の設定作業ミスだった。
それを黒岩祐治神奈川県知事が、
Twitterで何度も謝罪した。

それにしても、
100年に一度の感染症のパンデミック。
100年に一度の海底火山の噴火。

何ごとも過剰な反応は避けるべきだが、
その一方で忘れてはならないのが、
リスクマネジメントだ。

すなわち最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

今日は朝から東京・自由が丘。
東急東横線の急行で15分。

いつもの花屋はまだ開店していない。IMG_01321

1時間後、店は開いていた。IMG_01351

小ざっぱりした店頭。IMG_01401

今日の目玉はこれ。IMG_01411
花屋さん、パン屋さん、
豆腐屋さん、牛乳屋さん。

朝の早い商売。

もちろんコンビニエンスストアも、
スーパーマーケットも、
ドラッグストアも、
小売業、サービス業も。

そこには狩猟的な活動よりも、
農耕的な営みがある。

私はそれが大好きだ。
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さて日曜日の倉本長治。

「倉本長治 商訓五十抄」から。
第2弾のサブタイトルは、
「損得より先に善悪を考えよう」
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当時の商業界主幹・倉本初夫編。
商業界全国連合同友会監修。
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2004年2月17日、
発行所は株式会社商業界。
発行人は結城義晴。

500円+税で販売したが、
この冊子もよく売れた。

そのなかの一文。
「厳冬に想う」

「諸君のうちには、
営業の成績は
別に悪化していないのにもかかわらず
不運な経営を続けた人々も、
多々あったことであろう。」

マイケル・ポーターのファイブフォース。
5つの外的競争要因をあげる。

⑴新規参入の脅威
(2)供給業者の変化
(3)顧客の変化
(4)代替するものによる間接競合
(5)競合企業による直接競合

不運はこれら5つの競争要因の、
いずれかを原因としている。

一方、J・バーニーは内部環境を分析する。
内部環境にも不運の源は存在する。

「不健康な人の苦痛は、
病気の味を知った人でないと判らないように、
事業上の苦労もまた、事実、
その立場を嘗めたことのある者でなければ、
真の同情は持ち得ないのであろうと察するが、
実は、逞しく且つ立派な商人というものは、
難関を幾つも幾つも通過してはじめて
鍛え上げられるのだと信じたい。」

私にも何度か訪れた。
しかしそれがあったから、
今の私がある。

そう、思う。

それをもたらした対象を、自分自身を、
許せないと考えていたときもある。

しかしいまは、
それらの試練が、
新しい自分をつくってくれたのだと、
考えている。

「不幸な事態は、
諸君を立派な商人として
育てようとする試練であった、
自然が自分を訓練していたのだ、
こうして自分は
幸福な商人となることができるのだ
――という実感が歯を食いしばって、
苦痛に耐えつつも、
その間に、次第に蓄積され、
そして、やがてそれが沈殿し、
発酵するようになった時、
諸君は、世の中の一切が、
自分を守護し、
育成してくれているのだという事を、
心から自覚するに相違ない。」

苦痛に耐えることによって、
試練は蓄積され、
沈殿し、発酵する。

「そのことは、
厳冬の冬の厳しさに耐えている
木や草の持っている何かと
まったく同じことなのである。」
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倉本長治はたびたび、
試練や艱難の重要性を語る。

それは仕事をするうえで、
商売をするうえで、
あるいは経営をするうえで、
試練や艱難が頻発しているからである。

仕事や商売や経営は、
試練や艱難そのものである。

100年に一度の感染症も、
100年に一度の海底噴火も、
人類に対する試練である。

厳冬に耐える草木が持つ「何か」。
それは試練や艱難に耐える経験からしか、
わからないものかもしれない。

〈結城義晴〉

2022年01月15日(土曜日)

「四住期&人生の四季」と米国小売業のコロナからの復活

寒の水飲み干す五臓六腑かな
〈細見綾子・兵庫県出身の俳人〉

東京新聞巻頭コラム「筆洗」が、
取り上げた一句。

「寒の水」は寒中の水。

「寒九」と言う言葉がある。
1月5日の寒の入りから9日目のことだ。

その寒九に汲んだ水は、
1年のうちでもっとも澄み切っている。
服薬に用いるのがよいし、
酒造りにも化粧水としても、
紙漉きにも欠かせない水だ。

その寒九の水を飲み干すと、
五臓六腑に染み渡る。

その意味では、寒いけれど、
ほかにはない、いい季節だ。

新型コロナウイルス新規感染は、
オミクロン株によって、
第五波までよりもスピードが速い。
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1日の新規陽性判明者数は、
全国では2万5630人。
東京都が4561人、大阪府が3692人。

1000人台は7県。
沖縄県1829人、神奈川県1538、
愛知県1480人、広島県1212人、
兵庫県1191人、埼玉県1173人、
そして福岡県1098人。

あっという間に広がった。

マスクに手洗い、ディスタンス♫
マスクに手洗い、ディスタンス♫

ファイザー社が経口薬の販売承認を、
厚生労働省に申請した。

ワクチンのブースター接種も始まる。

明るいニュースだ。

それでもリスクマネジメントは、
商売する者にとって必須だと思う。

コロナ禍を教訓として、
むしろそれをバネにして、
前進したい。

忌み嫌ってはならない。
動的平衡の中で、
感染症と共生していく。

それが三千年紀の私たちである。

かつて五木寛之さんが言っていた。
「この年齢になってつくづく感じることは、
人生の設計についてです」

インド人は人生を4つに分けて考える。
「四住期」と言う。

第1は学生期(がくしょうき)
学び、成長していく期間。

第2は家住期(かじゅうき)
仕事を得て懸命に働き、
家に住んで頑張る期間。

第3は林住期(りんじゅうき)
林の中に住み、世俗を離れ、
自分らしく自由に生きる時期。

第4は遊行期(ゆぎょうき)
何者にも囚われず、
遊ぶように過ごす人生の最終期。

中国人も同じく人生を4つに分ける。
「人生の四季」と言う。

①青春
20歳ころまでの人間としての春の時期で、
青い色に象徴される。
②朱夏
40歳ころまでの夏の時期で、
赤や朱色に喩えられる。
③白秋
60歳ころまでの秋の期間で、
白の時代である。
④玄冬
80歳ころまでの冬の時期で、
「玄」の色はほぼ黒の時代といっていい。

日本画家の篠田桃紅は書いている。
「玄というのはまた、
一筆の濃墨で書くのではなく、
淡い墨を重ねて刻していき、
真っ黒の一歩手前で控えた色」

篠田桃紅さんは107歳まで生きて、
玄を極めていった。
篠田桃紅

人生100年時代にこの4つの期間は、
大昔の区分とは大分、異なる。

青春は25歳まで、
朱夏は50歳まで、
白秋は75歳まで、
玄冬が100歳までか。

そうすると私はまだ白秋であり、
林住期にある。

自分でもそれがぴったりだという気がする。
そんなときにコロナに出会った。

篠田桃紅さんのように生きれば、
玄冬はもっと長くて、豊かになる。

さて全米小売業協会。
NRFと略される。

2021年のホリデーシーズンの実績を発表。
11月から12月にかけての商況。
??????????

総売上高は8867億ドル、
100円換算では89兆円。
前年同期比14.1%増。

アメリカはすごい。

売上高総額と伸び率。
いずれも過去最高。

ウォルマートとアマゾンにけん引されて、
11月から「早仕掛け」を展開した。

それが効果を生んだ。

もちろんオンライン販売も、
絶好調だった。
前年比11.3%増の2189億ドル。
全体のほぼ4分の1のシェアとなった。

まだまだこの比率は高まる。

eコマースはリアル店舗よりも、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」である。

一方、
米国商務省国勢調査局の発表。
12月の小売業売上高実績。
6268億ドルで前年対比16.9%の増加。
もちろん休日と季節調整済みの数値だ。

さらに2021年全体の売上高は、
2020年より19.3%の増加。

2021年10月から12月までの四半期は、
前年比17.1%の増加。

食品と飲料は8.4%増。
衣料とアクセサリーは29.5%増。
ゼネラルマーチャンダイズは14.6%増、
無店舗販売は10.7%増で、
フードサービスは41.3%増。

日本もじわりじわりと復活するだろう。

国家や企業の景況は、
人間よりももっと雄大で緩やかだ。

すぐに白秋や玄冬には至らない。

アメリカと言う若い国家の時代は、
まだまだ朱夏なのだろう。

寒の水を五臓六腑に染み渡らせて、
自分自身の時代と向き合いたいものだ。

〈結城義晴〉

2022年01月14日(金曜日)

「キャンドゥ×イオン」のスピード感と優先順位

新型コロナウイルス感染第六波。

過剰に騒ぎたくはないが、
それでも感染は急激に増えている。

全国に新規陽性判明者は、
2万2045人。

東京都が4051人、大阪府が2826人。
沖縄県が1596人、愛知県が1317人、
神奈川県が1155人。

4ケタの増加は5都府県となった。

900人台は広島県997、埼玉県955人、
兵庫県929人、916人。

東京周辺、大阪周辺の件に広がっている。

「冷静に恐れよ」

個人的性向を自己判断すると、
私は怖いもの知らずで、
無鉄砲な一面がある。

その半面、ひどく臆病でもある。

人間は複雑だ。

しかし年を経るにしたがって、
臆病な側面が強くなった気がする。

だから「冷静に恐れよ」は、
納得がいくのだろう。

「オクシモロン」と言う。
冷静は静かなこと。
恐れるは動揺して動くこと。
それを同時に行う。

たとえば仏教は「慈悲」の宗教である。
「慈」はヒンズー語で「マイトリー」、
「励まし」を意味する。
「悲」は同じく「カルナ」と言い、
「慰め」を表わす。

「慈&悲」は中国人の造語だが、
反対の意味を重ねた言葉である。

この反対の意味を並べる語法が、
ギリシャ語の造語「オクシモロン」だ。
oxys(鋭い)とmōros(愚かな)を組み合わせた言葉。

そしてオクシモロンに、
問題を解くカギがあることが多い。

仏教の慈悲もそうだし、
シュンペーターの創造的破壊も、
江崎玲於奈博士の「組織化された混沌」も、
オクシモロンだ。

だから今、「冷静に恐れる」。

今日は東京・日本橋で記者会見。
東京日本橋タワー。IMG_01091
会社が何かを決定して、
それを社会に公にする。

その際に使われるのが記者会見。

商人舎流通スーパーニュース。
イオンnews|
キャンドウ子会社化/5年間で820店増の2000店舗体制へIMG_01101

㈱キャンドゥ社長の城戸一哉さんと、
イオン㈱社長の吉田昭夫さん。IMG_01612

イオンがキャンドゥを、
株式公開買い付けで子会社化した。

キャンドゥは100円ショップ業態で、
ダイソー、セリアに続いて第3位に入る。

2011年2月20日に、
創業者の城戸博司社長が61歳で急逝。
城戸一弥さんが25歳で代表取締役に就任。

現在、代表取締役社長。

吉田イオン社長は、
今回のM&Aの目的と革新を、
丁寧に語った。
IMG_01762

それから城戸社長は、
イオンの子会社になることによって、
キャンドゥをさらに成長させるビジョンを、
これも誠実に語った。IMG_01881
私はこの案件が発表された時から、
両者にとって「いい判断」だと指摘した。

キャンドゥ×イオン。

この「×」はシナジー効果を意味する。
そしてその相乗効果は、
間違いなく出るだろう。

あとはそのスピード感と、
その迅速性を出すための優先順位だ。

それぞれの表明が終わると、
質疑応答。

悪いけれど、
たいした質問は出なかった。

記者会見での一問にかぎられた質疑では、
深い内容、本質的な問題解決には至らない。

ある証券アナリストが質問した。
「イオンがキャンドゥを相手に選んだ理由は?」

そんなことは明確だ。
ダイソーやセリアをM&Aできないからだ。

キャンドゥnews|
年商731億円0.1%増・経常利益37.1%減の増収減益

キャンドゥだから公開買い付けで、
スピーディに子会社化できる。

そしてイオンはそれをした。

だから今、スピードが一番大事だ。
そして優先順位がことさら重要になる。

記者会見が終わると、
写真撮影。IMG_01111

記者が集まって、シャッターを押す。
私はその光景を撮影した。IMG_01141

吉田さんと城戸さんはスマイル。IMG_01922

城戸さんにとっては試練が待っている。
しかし100円ショップ業態は、
世間が考えるほど軽いものではない。

1879年、フランク・ウールワースが、
バラエティストアを創業した。
店名は「The Great Five Cent Store」

100円ショップではない。

ワンコインストア、
またはツーコインストア。

1879年段階、
アメリカでは5セントストアだった。
1945年にサム・ウォルトンが始めた時は、
5セントと10セントの2コインストアだった。

今は、ダラーストア。
それ以上のコインストア。

この業態は、
百貨店、グロサリーストアに次いで、
史上三番目に古いビジネスモデルである。

バラエティストアから、
Kマートが生まれたし、
ウォルマートが登場した。

この業態には潜在的なパワーがある。
そのパワーの源泉はシンプルさにある。

それを吉田さんと城戸さんが背負う。IMG_01982

私はキャンドゥ取締役の新宮孝仁さんと写真。
IMG_02101

記者会見が終わって、
エレベーターホールにいたら、
偶然、吉田さんが現れた。

そこでちょっと立ち話した。

吉田さんにはよくわかっている。

「インタビューを申し込みますから」と、
言っておいた。
広報のみなさん、よろしく。

イオンにとってキャンドゥは、
強い武器になるだろう。

目先のメリットだけでなく、
小売業のコングロマーチャントとして、
必須の業態を手中に収めたという、
長期的な視野に立つ必要がある。

しかしそれもスピード感と、
そのスピードを加速させる優先順位だ。

イオンにかぎらない。
あらゆる企業がいま、
スピードを求められている。

〈結城義晴〉

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