結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年12月16日(木曜日)

True Dataのマザーズ上場と非営利組織(NPO)の「五つの質問」

株式会社True Data。
東京証券取引所マザーズ市場に、
上場しました。td広告
おかげさまで。

ビッグデータをマーケティングする。
でも、まだまだ小さな会社です。

ベンチャー企業のなかで、
多額の利益を生みだすのが、
「ユニコーン企業」です。

しかし代表取締役社長の米倉裕之さんは、
ユニコーンを目指してはいません。

ゼブラ企業であることを標榜しています。

True Dataの取締役会も私も、
そして社員・従業員のみなさんも、
まったく同じ考え方をもっています。

ゼブラ企業とは、
ユニコーンと対比されますが、
利益を最優先するのではなく、
社会貢献を志向する新しい企業です。

ユニコーンは一角獣。
ひたすら成長と利益を追求する。

ゼブラはシマウマ。
社会貢献と利益を両立させつつ、
持続的な成長を目指す。

それはピーター・ドラッカーの思想そのものです。

そのドラッカーのイノベーションの原理。

シンプルに徹する。
小さく始める。
大きな志をもつ。

小さなゼブラ企業True Data。
長らくのご支援を心からお願いします。

ぜひ、株主となって応援してください。

さて、昨日は昼頃、
横浜商人舎オフィスに来客。

一般社団法人知見ラボのお二人。
常務研究員の竹垣吉彦さん(中)、
同佐々木泰行さん(右)。
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竹垣さんは元イオン北海道㈱常務で、
現在、㈱イオンファンタジー常勤監査役。
佐々木さんは野村證券のアナリストで、
現在、早稲田大学大学院准教授。
ビジネス・ファイナンス研究センター主任研究員。

お二人が中心になって、
今年3月3日に設立された。
代表理事は川口友紀㈱My Market社長。
知見ラボTOPのコピー

一般社団法人とは、
非営利法人、すなわち、
利益を分配しない組織です。

公証役場で定款の認証を受け、
法務局で登記すれば設立できる。
特別な許可や認可はいらないし、
行政機関の裁量も及ばない。

便利なNPO(Non-Profit Organization)です。

ピーター・ドラッカーは、
その著『非営利組織の経営』に書いている。
非営利組織の経営
「非営利組織は、
損益というコンセプトがないからこそ、
マネジメントが必要なことを知っている」
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そして「最も重要な五つの質問」を、
その経営ツールとして提示してくれた。

⑴われわれのミッションは何か
⑵われわれの顧客は誰か
⑶顧客にとっての価値は何か
⑷われわれにとっての成果は何か
⑸われわれの計画は何か

⑴のミッションにフォーカスして、
成果をあげていくための質問である。

「知見ラボ」は、
多様な知見を持つプロフェッショナルが、
集まるコミュニティ。

集まったのは、
流通実務家、
流通担当証券アナリスト、
経営コンサルタント、
データマーケターなど。
まだまだ広がりそうだ。

面白い組織です。

知見は化学反応するときに、
その面白さが増幅されると思う。

期待しよう。

今日は東京・大手町。
大手町プレイス内科で検査と診察。
IMG_97041
私の主治医は田嶼尚子先生。
先日の手術と入院も、
田嶼先生のご紹介で慈恵大学病院になった。

有難い。

その大手町の夕方。
銀杏が散って、街は黄色に染まる。IMG_97061

もうすぐ陽が沈む。IMG_97081

ちょっと歩くと東京駅周辺。IMG_97091

そしてライトアップされた日本の玄関・東京駅。IMG_97131

丸の内北口の天井。IMG_9716

いつものように自撮り。
入院と絶食で少しだけ痩せました。IMG_97151
それにしてもTrue Dataの株式公開。
2008年から社外取締役を務めてきて、
もう一番の古株になってしまった。

それだけに感慨は深い。

米倉さんが、
ゼブラ企業を目指すと言い始めて、
私はうれしかった。

私は取締役会でも、
「パブリックな存在」だとか、
「社会的公器」などと、
ちょっと変な言葉使いをしてきた。

それが新しい時代の、
新しい成長企業のあり方だと思うからだ。

私の仕事の本籍地商業界も、
半ば公的な機関だった。

終始一貫、正しい商人道を啓蒙し、
チェーンストア産業構築に貢献した。

商人舎ももちろんゼブラだ。
商業の現代化を推進し、
知識商人を養成する。

私の仕事の人生は、
それに貫かれている。

そしてそのとき、
五つの質問が問われ続ける。

⑴われわれのミッションは何か
⑵われわれの顧客は誰か
⑶顧客にとっての価値は何か
⑷われわれにとっての成果は何か
⑸われわれの計画は何か

もっとも新しいTrue Dataが、
証券市場でスタートを切った。

おめでとう。
ありがとう。

〈結城義晴〉

2021年12月15日(水曜日)

関西スーパーの「新局面」とオーケーの「存在感あるプレーヤー」

日本経済新聞夕刊。
今週の[人間発見]は、
㈱成城石井社長の原昭彦さん。
原昭彦

独白の形式で物語は進むが、
インタービューと執筆は、
編集委員の田中陽さん。

通しタイトルは、
「らしさ」貫き再編乗り切る

原さんは1967年生まれの54歳。
東京都出身。
実家は千歳烏山の八百屋さん。
子どものころから、
「自分もお店をやってみたい」と思っていた。

根っからの商人だ。

90年に駒沢大学経営学部を卒業して、
成城石井に入社。

成城の本店と横浜市青葉台の2店のころ。
創業者の石井良明さんに直接会って、
入社を決意する。

店舗勤務後、営業本部商品部部長などを経て、
2007年執行役員営業本部本部長。

その後、2009年に、
コーネル大学RMPジャパンに、
「奇跡の第二期生」として入学。

私はここで原さんと出会った。

同期には、
㈱道南ラルズ社長となった土手光三さん、
㈱ベルプラス社長となった澤田司さん、
㈱平和堂常務の夏原陽平さん、
㈱関西スーパーマーケット常務の柄谷康夫さん。
彼らのほかにも錚々たるメンバーがいた。

原さんはほぼ一貫して営業畑を歩み、
大久保恒夫社長の後任として、
2010年に社長に就任。

しかし原昭彦の真価は、
社長になった後に発揮される。

それはまだ木曜、金曜の記事に出てくる。

とくにトップマネジメントには、
試練や艱難が必須だが、
原さんは成城石井社長という立場がそのまま、
試練や艱難となって、すごい成長を示した。

今週は日経夕刊が楽しみだ。

さて商人舎流通スーパーニュース。
昨日に続いて、
関西スーパーnews|
12/15株式交換でH20と経営統合し組織改編・人事異動
関西スーパー

オーケー㈱のTOBがなくなって、
今日、関西スーパーは株式交換によって、
H2Oリテイリングの連結子会社となった。

あとは来2022年2月1日に、
吸収分割の効力発生日を迎えて、
“現”関西スーパーは持株会社になって、
商号変更する。
その名は㈱関西フードマーケット。

全事業を承継した“新”関西スーパーと、
イズミヤおよび阪急オアシスの3社が、
その傘下に入る。

同時に新しい組織と人事が発表された。

関西スーパーマーケット社長には、
新たに林克弘さんが就任。
㈱H2Oリテイリング副社長。

H2Oは副社長を起用して、
本腰を入れて改革に挑む。

福谷耕治前社長は取締役執行役員になる。

玉村隆司さん以下、
中西 淳さん、柄谷康夫さん、
北山忠和さんは、
執行役員として関西スーパーの運営にあたる。

一方、二宮涼太郎オーケー社長は、
共同通信の取材に応じた。

オーケーは引き続き、
「京阪神地区への進出を検討する」

「単独出店か他社との経営統合か」
その手法は未定だが、
「店を出す以上は
責任を持った数にするつもりだ。
50でいいや、とかは全くない」

オーケーは現在、
首都圏に120店舗を展開するが、
関西圏にさらに100店くらいを有して、
首都圏・近畿圏の2ドミナント戦略を志向する。

㈱ライフコーポレーションと同様の、
二眼レフチェーン展開を図るようだ。
時期についてもコメントした。
「時間軸ありきではないが、
だらだらと検討するつもりもない」

すぐに次の手立てを講じると読める。
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そして断じた。
「存在感があるプレーヤーになりたい」

飯田勧会長と二宮社長の意思は固い。

関西圏の競争は一段と激化する。
関西スーパーもそのなかにある。

拙著『Message』より。
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「天の邪鬼」(あまのじゃく)

競争は、闘争とは違う。
その混同は、成長と膨張を、
錯覚することに似ている。

競争を拒否する者は、
理念的平和主義者なのか。
それとも怠け者のキリギリスか。

一見、温厚に見える。
そんなヒューマニストが、
怠惰な天の邪鬼だったりする。

その天の邪鬼が、
競争から逃避しつつ、
闘争を煽る。

政治の世界にも行政にも、
業界や会社にも、
天の邪鬼の群れが潜んでいる。

それは、
私自身の心の中にも、
あなたの心のなかにも。

この天の邪鬼を退治するには、
勇気をもつこと、
競争環境を整えること。

疲弊を癒す活力は、
良質の競争の中にしか、
ない。

〈結城義晴〉

2021年12月14日(火曜日)

関西スーパーvsオーケー問題の決着と「成長・膨張と理念」

最高裁判所の決定は早かった。

関西スーパーvsオーケー問題。
関西スーパー

関西スーパーとH2Oリテイリングとの経営統合。

その子会社のイズミヤ、阪急オアシスを、
株式交換で一度、傘下に収め、
さらにH2Oの完全子会社になる案件。

H2Oが筆頭株主だが、
第3株主のオーケーが、
これに待ったをかけた。

株式公開買い付けで、
関西スーパーを買収することを表明した。

オーケーの主張――。
わが社のビジネスモデルを採用すれば、
関西スーパーを再生できる。
それが株主利益につながる。
この点に集中していた。

そこで10月29日の臨時株主総会で、
この経営統合への賛否が問われた。

この総会に出席した株主の1人が、
事前に「賛成」の議決権を郵送で行使していた。
しかし出席した総会では白票を投じた。
これは「棄権」を意味する。

株主投票を締め切った後に、
この株主が自己申告したために、
関西スーパーは「棄権」を「賛成」と修正し、
結局、この議案は、
出席株主の66.68%の賛成で可決された。

もしも「棄権」のままであれば、
H2Oとの統合案は否決されていた。

このプロセスに対してオーケーは、
統合手続き差し止めの仮処分を、
裁判所に申請した。
11月9日のことだ。

まず神戸地方裁判所から、
大阪高等裁判所へ。
そして最高裁判所へ。

結論は一転二転した。

商人舎流通スーパーニュース。
関西スーパーnews|
最高裁がオーケーの抗告棄却/H2Oとの経営統合へ

仮処分の申し立てに関して、
最高裁は12月14日(水)、
許可抗告を棄却した。

株主の意思は統合に賛成であった。
大阪高裁はこのことが明確であるとして、
オーケー側の主張を退けた。

それを最高裁が再度、是認したことになる。

この決定を受けてオーケーは、
関西スーパーの買収を断念することを発表。

12月15日(木)、
関西スーパーとイズミヤ、阪急オアシスは、
予定通りの株式交換を進める。

オーケーの最後の表明。
「反対株主の株式買取請求権に基づき、
保有株式を関西スーパー様に売却する」

このブログで私は、
神戸地裁から大阪高裁、
そして最高裁に抗告される間、
沈黙していた。

しかしこの案件の議論は、
きちんと総括されねばならない。

次の月刊商人舎でそれを試みる。

朝日新聞のコラム「経済気象台」
経済気象台タイトル
今日のタイトルは、
「成長に欠かせないもの」

日経新聞の「大機小機」同様、
現役として活躍する経済人や学者が書く。

今日のコラムニストは山猫さん。

アンゲラ・メルケル元ドイツ首相。
任期は16年に及んだ。

政界を引退するが、
どんな政治的ポストにもつかない。

山猫さんはメルケルさんを称賛する。
「どこかの国の元首相が国会議員に居座って
影響力を行使しようとするのとは違い、
本当に爽やかな幕引きである」

「その引き際もさることながら、
首相として一本筋の通った考え方を
貫いたことは特筆すべきことだ」

講演録「わたしの信仰」
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12月4日のこのブログでも、
引用したばかり。

「問題は政治や経済以上に、
精神的な価値観にかかっている」

コラム。
「政治や経済の論理よりも、
人として欠いてはならない価値観を大切にし、
最も弱い立場にある人々や
次の世代に寄り添った」

「この言葉に内外の批判をものともせず、
中東からの難民の受け入れを
断行した姿が重なってみえる」

「その一方で、ドイツを
欧州一番の隆々たる国に成長させた」

「これは我が国にとって大きな教訓だ」

同感。

「歴代首相は成長をメインに政策を掲げるが、
肝心の人の心を打つ理念に乏しい。
日本の将来はどうなるのかを思い描けない」

「少なくとも、メルケルさんのように
旧東ドイツで大変な苦労をし、
民の苦労を自分事として
共有できる人とは根本的に異なる」

トップに立つ人には、
この「苦労」が必須である。

私は「試練」と呼ぶし、
「艱難」と表現する。

自分にそれがあったかと問われれば、
この年になってさえも、
まだまだ足りないとは自覚している。

「戦中戦後に創業した
パナソニック、ホンダ、ダイエーといった
会社の創業者は、
水道哲学や流通革命など
独特の経営理念があった」

松下幸之助、
本田宗一郎、
中内功。
中内功

そして伊藤雅俊、岡田卓也、清水信次、
さらに北野祐次。

コラムニスト。
「その根底にあったのは
“人々の暮らしを
より豊かなものにしたい”
という強い思いだった」

「利益を出す株主受けする
ビジネスモデルを模索するより、
理念を実現しようと尽くした」

同感だ。

関西スーパーの案件にも、
根底にはこの理念が求められたと思う。
私はそれをずっと書いてきた。

山猫さん。
「成長とは、
正しい理念のもとに
努力した結果として生まれてくる。
それを忘れてはいけない」

「成長と膨張は異なる」
故田島義博学習院大学院長の考え。
成長と膨張
拙著『コロナは時間を早める』にも、
この考え方を書いた。

つまり理念なき規模拡大は、
膨張ということになる。

忘れてはいけない。

〈結城義晴〉

2021年12月13日(月曜日)

退院してから静養の1週間の「あすへの希望」

Everybody! Good Monday!
[2021vol㊿]

2021年もいよいよ第50週。
あと3週間で2022年。

昨日の日曜日に、
慈恵大学病院を退院して、
今週は静養を中心とした生活をする。
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さまざまな方々から、
退院のお祝いメッセージをいただいた。
感謝に堪えない。

お礼申し上げたい。
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大丈夫です。
69歳となって、
これまでよりもちょっとした変化に、
気を配る必要を感じた。

まだまだ、
見なければならないことがある。
確かめねばならないことがある。
考えねばならないことがある。
やらねばならないことがある。

だから命を大切にしたい。
決意、新たに。

私が手術した後の12月9日に、
「民主主義サミット」が開幕し、
10日に閉幕した。

ジョー・バイデン米国大統領が呼びかけ、
世界の111カ国・地域が参加し、
バーチャル形式で行われた。
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バイデン大統領のコメント。
「民主主義に対する持続的
かつ憂慮すべき挑戦に直面する中、
世界中において普遍的人権と民主主義が
擁護されなければならい」

2019年のスウェーデンVーDemの調査報告。
世界の民主主義国・地域は87カ国で、
非民主主義国は92カ国。

18年ぶりに、
非民主主義国が多数派になった。

民主主義国側からの、
一方的な見方かもしれない。

しかしこんなことが起こるなんて。

ホモ・サピエンスのことを、
もっと深く理解する必要がある。

だから見続けなければいけない。
確かめ続けねばならない。
考え続けねばならない。
そして行動し続けねばならない。

朝日新聞「折々のことば」
第2229回。
よりよい社会のためには、
市民社会と
強固な文化的連続性について、

はっきりした感覚を
持つ必要がある
(ダニエル・ベル)

「中央集権的な国家でも
放埒(ほうらつ)な市場でもなく、
市民社会とその文化が
強い発言力をもつ社会が
“もっとも質がよく、
もっとも自由である”」

「そうした文化の連続性の中でこそ、
人びとの”相互信頼”や
“地域的な自生の感覚”は
培われるのだ」

そのなかでこそ、
商業は繁栄するのだと思う。

さて、静養中心とはいっても、
今日は朝11時からオンライン会議。

商人舎から私を含めて4人、
相手先が2人。

率直な話し合いをした。

私の仕事の本籍地・商業界は、
商業の近代化を果たした。

そして現住所・商人舎は、
商業の現代化を推進したい。
知識商人を数多(あまた)、養成したい。
それが理念の会社だ。

そのためには多くの他の会社と、
アライアンスを組むことを厭わない。

私はポジショニング競争の時代を主張する。
この時代にはそれぞれの存在にとって、
最も重要なのは自己のユニークさである。

しかしユニークな強みを持った、
それぞれの存在は一人では成立しない。

他のユニークな存在と協働する。
あるいはアライアンスを組む。

ユニークでなおかつ価値のある存在は、
アライアンスを組むことによって、
さらにその価値を高める。

新しいプロジェクトが始まるかもしれない。

明日もオンラインで取締役会。

明後日は以前から決まっていたアポイント。
商人舎で軽いランチミーティング。

木曜日は㈱True Dataが、
マザーズに上場する。
実に目出度い。

そして金曜日は、
伊藤園陳列コンテスト最終審査会。
月刊商人舎12月号も役に立つだろう。
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この金曜日になれば、
川越のヤオコー本社にも顔を出せそうだ。

そうして週末に入って、
2日ほど休む。

その間に単行本は、
着々と進んで年明け1月15日に発刊される。

これも目出度いことだ。

最後に、「今年の漢字」。
日本漢字能力検定協会主催で27回目。
今年の漢字
応募総数22万3773票のうち、
1万422票が投じられたのが、
ん~、「金」

東京オリパラの金メダルのイメージ。
今年の漢字金
昨2020年が「密」で、
これは的確な投票結果だと思った。

その前の2019年は「令」。
言わずと知れた令和元年で妥当。

今年の漢字「金」は4度目だが、
今年はもっと複雑で混沌とした年だった。

岸田文雄首相は「拓」を上げたそうだが、
我田引水が過ぎよう。

私はキャズムの「溝」だったと思う。

「溝」の中でのたうち回り、
五輪を開催して「金」を集めたが、
決して「拓」にはならず、
「混」や「迷」となったのが今年だ。

来年は今年のきんから「ん」を取り払って、
「希」であってほしい。

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。
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来年はここから始めよう。

では、みなさん、今週も。
あすへの希望を紡ごう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年12月12日(日曜日)

「病気を診ずして病人を診よ」と人間的力量をもつ「知識商人」

退院の日。

東京の冬の空。
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これで人生5度目の入院だった。

第1回目は10歳の時。
針金が右目に刺さって、
水晶体摘出手術を受けた。
夏休みの間中、
横浜の秋山眼科に、
両目を目隠しされて入院した。

第2回目は13歳の時。
中学校に入学したばかりの時点で、
盲腸炎で入院した。

その入院で英語の授業に後れをとった。
小学校でローマ字オタクだった私は、
英語のスペリングとローマ字の関係性に、
全く納得がいかずに苦しんだ。

もちろん必死で学んで、
すぐに追いついた。

第3回はずっと年を取って、
社会人になって㈱商業界の社長時代。
53歳の春。

水晶体を摘出した右目が、
今度は網膜剥離となった。

このときから、
東邦大附属病院にお世話になった。

網膜を縫い合わせてから、
第4回目は㈱商人舎を創立した直後。
55歳の、やはり春。
サクラ1
やはり右目の緑内障で、
硝子体全摘手術を受けた。

昨日のブログに書いた。

そしてこの入院のときに、
私の頭に言葉が浮かんだ。
「知識商人」

この言葉はその誕生の瞬間まで、
ブログに記されている。

入院中、ドラッカーの本を読んだ。
『ポスト資本主義社会』
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この本に出てきたキーワードが、
「知識労働者」「知識経営者」「知識専門家」だ。

病院という知識社会で働いていたのは、
こういった人たちばかりだった。

主治医の富田剛司医学部教授、
執刀してくれた北善幸先生。

日本を代表する眼科の専門家。
緑内障・白内障・網膜剥離のスペシャリスト。
知識だけでなく、手術の腕も超一流。

こういった先生方は、
もちろん医学全般の知識はある。
しかし、その面だけでは、
多分、普通の医学人。

先生方が、社会貢献しているのは、
専門知識と専門技術によってであった。

今回の慈恵の炭山和毅教授は、
内視鏡の日本の権威だ。

それ以外にも、
多くの看護師さん、
薬を調合してくれた薬剤師さん、
食事を用意してくれた栄養士さん。

みんなそれぞれ専門知識を持つ、
知識専門家だ。

商人もこうならなくてはいけない。
だから知識商人だ。

そう、気がついた。

私は幸せだ。
入院して、収穫を得る。

さての最後の朝食はパン。
バターと杏子のジャム。
ダイコンとツナのサラダ。
そしてヤクルトジョアとミカン。IMG_96661

東京タワーはずっと、
入院患者を励ましてくれた。
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私の部屋は1103号室。
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個室です。
仕事もしなければならないし。
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結構、広い。

素振り用の短いゴルフクラブは、
どんな出張でも持っていく。

今回も持参して、
初日だけはきちんと練習した。
けれど手術してからは使えず。

パターをもってくれば、
パッティング練習ならばできた。
体への負担もかからない。
残念だった。
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この部屋に6日間。
お世話になりました。

ありがとうございました。
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広い広い窓の外に、
東京タワー。

ありがとう。
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退院です。
〈自撮りです。見事!〉
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慈恵大学病院本院の1階フロア。
中央棟。
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日曜日なのでロビーにも、
退院する人が数人いるだけ。
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学校法人慈恵大学の建学の精神は、
「病気を診ずして病人を診よ」
創設者の高木兼寛が目指した理想。
「医学的力量のみならず、
人間的力量をも兼備した医師の養成」

その精神に基づいて、
看護師、薬剤師、栄養士、
事務員、清掃担当者、
例外なく病人を見ている。

だからすべての人が、
患者を名前で呼ぶ。

私は炭山先生からも、
看護師さん、薬剤師さんからも、
「結城さん」と呼ばれた。

13年前に発見した「知識専門家」は、
いま、慈恵大学病院でさらに、
ホスピタリティを身に着けている。

とくに慈恵でそれを強く感じ取った。

知識商人も当然のこととして、
ホスピタリティが必須である。

ありがとうございました。

キャディバッグを引いて、
地下鉄の駅に行く前に、
病院のそばの芝公園へ。
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地上から東京タワーを見上げたかった。IMG_97011

銀杏が葉を散らせて、
下には黄色の絨毯。
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東京タワーにも、ありがとう。
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慈恵大学と同じように商人舎も、
「商売的力量のみならず、
人間的力量を兼備した商人の養成」を、
ずっと、目指したい。

まだまだ頑張ります。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2021年12月11日(土曜日)

「定型陳列・変化陳列」と東京タワーのライトアップ

退院が1日延びた。

予定は火曜日に入院して土曜日の退院。
5日間のつもりだったが、
炭山和毅教授の判断で、
日曜日の退院となった。

体調がおかしいわけではない。
慎重には慎重を期してくれている。

有難いことだ。

土曜日の朝は、
病院でも少し遅い。

今日もいい天気。
東京タワーは青い空にくっきり。
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今日から食事が少し変わる。
五分粥250グラム。
鮭の塩焼き、ナスの煮びたし。
それに果物と牛乳。
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味わって味わって食べる。

入院していると窓の外に見える景色は、
心を休めてくれる。
慈恵大学病院本院はタワーが見える。
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前回の入院は2008年3月だった。

東邦大学付属大橋病院。
あの時は窓の外に桜が見えた。

私はそのブログに、
「燃える闘病日記」とタイトルをつけた。

もちろんアントニオ猪木。
「燃える闘魂」のもじり。

緑内障で二度の手術をした。
あの時はつらかった。
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若かったけれど。

しかし今回は軽い。
養生のつもりで入院している。

食事はすべて完食。

午前中は読書。
4冊目に取り掛かった。

すぐに昼食。
五分粥250グラム。
ささみの卵とじ、
ニンジンとカリフラワの茹で野菜。
キューピーのマヨネーズが付いている。
それから缶詰のミカンとヨーグルト。
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もちろん完食。

食べたら少し、うとうととする。
目覚めてまた読書。

15時を過ぎると日が傾いてくる。
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15時18分。
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西の空に陽が沈み始める。
16時09分。
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そして16時半ごろ、
東京タワーに点灯。
このボーッとした点灯もいい。

秋田県の大曲の花火大会には、
「昼花火」というのがあって、
あれもなかなかに良いものだが、
この夕暮れのタワー印象は、
それに似ている。
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17時12分になると夜花火のようなタワー。IMG_96521

金曜日は特別のイルミネーションだった。
令和のインフィニティ・ダイヤモンドヴェールという。
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土曜日は元に戻った。
こちらは、
「ランドマークライト冬バージョン」。
オレンジ色の高圧ナトリウムランプが使われている。
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それでもこれは、
東京タワーらしくて、いい。

今月の商人舎12月号では、
「Progressive Presentation」を特集した。
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陳列には大きく二つの分類がある。
定型陳列と変化陳列だ。

定型陳列は一つ。
すなわち前進立体陳列だ。
商品の顔を顧客側に向けて揃える。

一方、変化陳列は20種類ある。
⑴ジャンブル(カゴ什器などへの投げ込み)陳列
⑵プッシュアウト(突き出し)陳列
⑶エクステンド(陳列線を前面に張り出す)陳列
⑷ウイング(翼型)陳列
⑸ステップ(ひな壇)陳列
⑹パイルアップ(塔型積み上げ)陳列
⑺シャワー(ウォーターフォール型・滝型)陳列
⑻ライン(線状)陳列
⑼ジョイン(交互積み上げ)陳列
⑽フック(引っ掛け)陳列
⑾段ボールカット(ダンボールケースをカットしてそのままの)陳列
⑿カートラック(カートラックのままの)陳列
⒀クレート(運搬器機のクレートのままの)陳列
⒁スペース(空いた空間への)陳列
⒂ウォール(壁面)陳列
⒃サンプル(サンプルを添えての)陳列
⒄インクリネーション(斜形)陳列
⒅ハーフサークル(扇形)陳列
⒆ボックス(箱型)陳列
⒇ハンガー(衣料品のハンバーのままの)陳列

変化陳列は種類が多いし、
これ以外にもまだまだ、
バリエーションが生まれる。

しかし種類が多いからと言って、
多用し過ぎると効果が薄れる。

定型陳列8に対して、変化陳列2。
これは変化が20%。
あるいは定型7で変化3。
これは変化が30%。

これが定石だ。

ハレとケも、こんな塩梅だ。

ディスカウント型店舗は定型が多くなり、
サービス&クォリティ型は変化が多くなる。

東京タワーのライトアップも同じ。
ウィークデーが定型で、
金・土・日のウィークエンドが変化かと思ったら、
そうではなかった。

これでは〈定型4対変化3〉になって、
変化が42.9%になってしまう。

タワーは〈定型6対変化1〉なのだろう。
変化が14.3%である。
それがいわばセオリーに近い。

夕食は18時から。
五分粥250グラムに、
ギンダラのムニエル、
野菜の入った炒り鶏、
そしてほうれん草とはんぺんの煮びたし。
デザートはない。
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ムニエルは美味かった。

食べるとまたうとうと。

気がついたら22時。
ランドマークライトと名づけられた定型の点灯。IMG_96631

やはり最後の夜は、これが落ち着く。
定型はいいもんだ。
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定型がきちんとしているから、
変化が効果を発揮する。

日常生活が充実していれば、
入院生活も楽しめる。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2021年12月10日(金曜日)

商人舎12月号はコロナで変わった「Progressive Presentation」

慈恵大学病院に入院して4日目。
朝、血糖値の検査で目覚める。

そして窓の外を見ると、
東京タワー。
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今日もいい天気。

昨日まで2日間絶食だった。
点滴で栄養を摂っていた。

しかし今日から食事が出る。

その朝食。
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重湯と塩、
スープだけの味噌汁、
それにストロベリージュース。

不思議なもので、
これだけでも口から胃に入れると、
すぐに腸を通って便が出る。

汚い話で恐縮。

しかし自分の循環器が、
しっかり機能していることを確認できて、
満足感がある。

そのあとは持ってきた本に取り掛かる。
あっという間に昼がやって来て、
またタワーを見あげる。
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ランチはこれ。
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やはり重湯と塩、
コンソメスープ。
ぶどうのゼリー、
ヨーグルトドリンク。

1品増えた。

重湯には塩が必須だ。
その塩も味わう。

食事は生活のリズムをつくる。
やはり質素であっても、
食事は人間にとって欠かせないものだ。

食事が終わって、
また読書。

太陽がタワーにかかる。
14時37分。
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曇り空が背景になると、
タワーの骨組みは、
きれいには透けて見えない。
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15時ごろ看護師さんがやって来て、
点滴を外してくれた。

やっと、という感じだ。
点滴の装置をつけていると、
動きに制約がある。

シャワーも浴びられない。

少しずつすこしずつ、
当たり前の生活が戻ってくる。

今日、
月刊商人舎12月号が発刊された。202112_coverpage
入院する前に責了してきた。

特集は、
Progressive Presentation
「陳列と演出の技術」はコロナ禍で進化した!!
202112_cover

あえて英語のタイトルにした。
この際、英単語も覚えてほしいから。

Progressiveは「進歩的な」という意味の形容詞。
Progressは「進歩」という名詞。

米国には業界一の専門誌がある。
「Progressive Grocer」。

イギリスには「Grocer」があって、
カナダには「Canadian Grocer」がある。

米国ではそのGrocerに、
Progressiveをつけている。

いずれもGrocerは食品小売業のこと。

Progressiveな陳列・演出。

Cover Message。
アメリカのチェーンストアを、
初めて訪れて感動したことは二つ。

店の大きさ、広さと、
「プレゼンテーション」の
シンプルさ、美しさである。
そして大きさ・広さと
シンプルさ・美しさが、
売れて、利益が上がることにも共感した。

中内㓛も伊藤雅俊も岡田卓也も、
北野祐次も。
この感動は老若男女例外なく、
誰にも共通している。

この店舗の演出と陳列のテクノロジーが、
新型コロナウイルス感染拡大のなかで、
日本でも明らかに進化した。
何故、どのように進化したのか。
コロナはどんな影響を与え、
プレゼンテーション・テクノロジーの
進化を早めたのか。
そしてそれはポストコロナの時代に、
どんな効果を発揮するのか。
「Progressive Presentation」を検証しよう。

その目次。202112_contents

編集後記に書いたけれど、
1995年に食品商業別冊として、
『陳列と販促の強化書』を発刊した。
当時の鈴木邦雄著。
現在は國朗さん。

大ベストセラーとなった。
私が43歳の編集長のとき。

㈱万代ではそのころ、
山下和孝さんがこの別冊を教科書にして、
徹底的に現場教育をしていた。
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山下さんは万代の副社長、副会長、
㈱万代リテールホールディングス社長を歴任。

この別冊号を何度も何度も読んで、
書き込みをし、マーカーを引いて、
自分で徹底的に勉強した。

私が書いた巻頭言も、
ご覧の通り。
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その後で、全社員を徹底的に教育した。
それが現在の万代の血となり、肉となった。
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私はその前に販売革新で、
やはり技術別冊を編集した。
『プレゼンテーション・テクニクス』
これは島田陽介著で、
ベストセラーだった。

その前は、
『インストアマーチャンダイジングのすべて』
すべて商業界のドル箱別冊だった。

鈴木さんの別冊はその後、
『陳列と演出の教科書』となり、
単行本では、
『陳列と演出ハンドブック』
新書では、
『陳列技術入門』となった。

それらをすべて総括して、
最新の技術雑誌にしたのが、
Progressive Presentation。

Progressiveには、
そんな意味が込められている。

だから今回は、
単品販売もしている。
申し込みは☞
202112_magazine-banner
店長やチーフはもちろん、
若い人にもおすすめです。

こんなことを書いているうちに、
夕方が訪れる。
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部屋のなかは暖かい。
空気は澄んでいる。
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そしてイルミネーション。
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金曜日の夜の東京タワーです。
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慈恵大学病院に入院してよかった。
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雑誌もしっかり読んで、
学んでください。

ありがとう。

〈結城義晴〉

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