春分の日です。
でも、ユウキヨシハルのおとうさん、
いません。

アメリカにシュッチョーです。

なんだか、さみしい。
みどりの山のうえに、
ならんだ風車。

サクラメントのウィンドミル。

これでデンキをおこす。
おとうさんは、ずいぶん、
とおくにいっています。
もうすぐ、かえってくるはずです。

みどりの山の風車から、
光る海へ。

ながいながい移動。

それがシュッチョーです。
サンフランシスコという街。

坂道のおおいところ。
建物のカベが、
ペイントされていた。

おとうさんは、
いちばんユーメーなところにも、
いきました。

バスがとまっていた。
ダブルデッカー。

ユーメーなところは、
ユーメーなつり橋。
ジョゼフ・シュトラウスという人の銅像。
このつり橋をつくるシゴトをした。

橋をつっているワイヤー。

太いですね。
おとうさんたち、
この橋を、あるくことにした。

「ホント?」
ゴールデンゲート海峡。
サンフランシスコ湾と太平洋のあいだにある。

あるきはじめました。

ひだりには、クルマがはしっています。

ボクは、ちょっと、
シンパイです。

おとうさんは、
「コーショキョーフショー」だからです。

たかいところが、トクイではない。
じつは、ボクも、
たかいところからおりるの、
にがてなんです。
おとうさんのことをおもっていたら、
ボクもちょっと、こわくなった。
それに、このテーブルのうえには、
あがってはいけないことになっているんです。
でも、おとうさん、
ずんずん、スピードだして、
あるいていった。

そして、三分の一のところに、
つり橋の柱がある。
そこが、今日の終点。

すこし、ほっとした。
ケシキはいい。
こわいけど、のぞいてみる。

「ゼッケーかな、ゼッケーかな」

こんなに晴れわたった日はめずらしい。
サンフランシスコ湾が一望。
サンフランシスコの街がみえる。

ひだりに、アルカトラズ島。

ボクも、ちょっと、
ひくいところに。

フシギです。
ちょっとひくくなるだけで、
ぜんぜんこわくない。
さいごに写真。
アサノ先生と。

シュッチョーのシゴトは、
いそがしい。
でもそれがおとうさんのシゴトです。
ちょっと、つかれているけれど、
じぶんのシゴトに手はぬかない。
でも人にシゴトを、強(し)いたりしない。
人のシゴトは、みとめてくれる。
もうすぐかえってきます。

ボクは、まっています。
それがボクの、
シゴトです。
<『ジジの気分』(未刊)より>





















