結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年01月24日(月曜日)

セブン&アイ鈴木敏文会長の「2011業態認識」と日本チェーンストア協会での怒涛の懇親

Everybody! Good Monday!
[vol4]

2011年が始まって、
1月も最後の週。

新年の会合が続く半面、
もう2月を視野に入れている。

今日から第177通常国会。

2011年度予算案の審議が始まる。

通常国会は、「常会(じょうかい)」とも呼ばれる。
日本国憲法の第52条で定められているのは、
毎年1回の召集。

そのうえで、国会法第2条の規定で、
召集時期が「1月中を常例とする」となっている。

国会の仕事始めのようなもので、
今年こそ本質的な論議を期待したものだ。

さて今週。
大寒にもかかわらず、
東京・横浜をはじめ太平洋岸は、
暖かいというか、寒くはない。

店や売り場はもう2月はじめの、
節分をイメージしているが、
昨今は「恵方巻」の事前プロモーションに余念がない。

日本人全体の今週の気分をみると、
明日25日火曜日のサッカー・アジアカップ準決勝で盛り上がる。
ナショナリズムに火がついて、
一億総応援団&一億総評論家と化す。

相手が韓国と決まったからだが、
もしこの韓国戦に勝てば、
土曜日の29日の決勝がさらに盛り上がる。

期待も込めて、今週は、
「フットボール・アジアカップ・ウィーク」と、
決めつけてみてもよい。

さてさて今朝の日経MJ。
三面のマーケティング欄「売り手の考え」に、
鈴木敏文さん登場。
ご存知㈱セブン&アイ・ホールディングス会長。

日経新聞編集委員の田中陽さんが聞き手で、
とても良いインタビューに仕上がっている。

一面では今、話題の「フェイスブック」の特集をしているが、
マスコミに関係する人間としてみれば、
「鈴木敏文もの」を一面に持ってきてもよかったと思う。
最先端の情報と最も説得力のあるインタビュー。
その都度、どちらかを選択しつつ、
特集を組んだり、一面に持ってきたり。

鈴木さんのこの内容なら、
ちょっと古いスタイルながらも、
今朝は一面が正解だと思う。

そのくらいの柔軟性はあってよい。

もちろんフェイスブックは、
来年の私のゼミ候補生も、
研究したいと考えているくらいで、
重要なテーマ資源だが、
鈴木さんの洞察力を共有するというのは、
すべての知識商人やマーケッターにとって有益であると思う。

白鳥さん、いかが?

そのインタビューの全文は、
日経MJを読んでいただくこととして、
面白い視点が語られている。

セブン&アイ総帥による現在の業態別の認識。
「コンビニエンスストアが非常に好調です」
これは当然。

「中期的な視点ではデパートが
伸びてくるとみています」

この見方が、いい。

「3番目が食品スーパーマーケットで、
今、踊り場にあるのが総合スーパーです」

「鈴木敏文の業態認識」が良く出ている。
①コンビニ
②百貨店
③食品スーパーマーケット
④総合スーパー(国際的にはハイパーマーケットと称する)

鈴木さんは、もともと「業態論」には積極的ではなかった。
しかしその鈴木さんが「業態」ごとの現段階を分析する。

すなわち鈴木さんによる2011年初頭の業態の認識が、
明らかにされたことになる。

私は、「業態」という概念そのものが踊り場を迎え、
フォーマットという考え方に分化・進化しているとみている。

「デパートはやがて行き詰ると見る人たちが多いようですが、
そうではない」

百貨店という業態が同質化してきた。
従って百貨店業態そのものは、
立地が極めて限定され、
その立地の一番手、二番手までは、
これまで以上に繁盛する。

しかしそれ以外は、壊滅的な状況になる。
だから百貨店という業態が行き詰るわけではない。

これが私の見解。

「GMSは成長期に様々な商品やサービスを包含して伸びましたが、
それがいまは専門店として市場が独立していったため、
大きな曲がり角を迎えています」

「しかしデパートは違う。
得意として持ってきたものは
外に流れていないと考えます」

この観察と考え方は、鋭い。

「商圏は広く、よいものがほしいと思っている消費者が
わざわざ足を運んでくださいます」

「ただ今のままではだめです。
店の数は多く、並んでいる商品はどこも同じ。
改革は必要です」

この改革を私は、
フォーマットへの転換だという仮説を立てている。

神戸大学名誉教授の田村正紀先生は、
「業態」を最重視する学者である。
「業態」を、
「それなしには流通を語ることができない基礎コンセプト」とする。

「店舗がその小売流通機能を遂行する基本的な様式である」
このように定義し、
「戦略に共通したつくりを持つ企業の集りを認識するためのコンセプト」
とする。

百貨店という共通したつくりをもつ企業群。
それが共通する要素のうえに様々な分化を見せる。
企業ごとだけでなく、
企業の戦略ごとに、
あるいは立地特性ごとに。
それがフォーマットだ。

私には鈴木敏文さんも、
「フォーマット」を論じているのではないかと思えたが、
これは我田引水か。

さてさて、先週21日金曜の夜は、
ホテルニューオータニ赤坂鶴の間で、
日本チェーンストア協会の新年賀詞交歓会が行われた。
会合の冒頭の様子は、土曜にお知らせしたが、
今日は、結城義晴怒涛の懇親の模様を写真構成でご報告しよう。

まずは、小売業の大御所お二人。
㈱セブン&アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊さんと、
イオン㈱名誉会長相談役の岡田卓也さん
へのご挨拶から。
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重鎮のお二人が座っていると、
だれも近づかない。

しかしそれではまことにもって、失礼。
そこで結城義晴の出番となる。

なにしろお二人とも㈱商人舎発足の会当日、
わざわざご参加くださった。
伊藤さんは発起人に名を連ねてくださったし、
岡田さんは、「自分はいいが社長が発起人」として、
岡田元也社長が発起人となってくださった。

私は㈱商業界の最後の仕事として、
『岡田卓也の十章』という本を残してきた。

お二人とも、日本商業の恩人であると同時に、
私自身の大恩人でもある。

私は毎月、32ページほどの小冊子を約200名のトップにお贈りしている。
このブログをダイジェストした『月刊・毎日更新宣言Review』。
お二人とも熱心なご愛読者。

伊藤さんは「あの雑誌は、いい」
何度もお褒めくださった。
この春、ドラッカー本を発刊することになったことをお二人にご報告。
「本ができたら必ず送ってください」と口を揃えて仰った。
「もちろんです。
推薦人になってください」
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お元気なご様子のお二人と記念のショット。
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次は、日本チェーンストア協会会長の亀井淳さんを囲んで、
理事の皆さんと。
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亀井さんはご存じ㈱イトーヨーカ堂社長。
開会のごあいさつは、ことのほか素晴らしかったと申し上げ、固い握手。
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ここからは、商人舎発足の会の発起人の皆さんとのツーショット。

㈱平和堂社長の夏原平和さんも発起人のお1人。
商人舎へのご協力はもちろん、
コーネル・ジャパンにも三期連続で受講生を派遣くださって心より感謝。
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㈱ヨークベニマル社長の大高善興さん
とは、
コーネル・ジャパン第一期事務局長だった大高愛一郎さんが、
仕事で活躍されている話で大いに盛り上がった。
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愛一郎さんは、大高社長自慢の甥。
私にとっては、フラットな司会をする「親友」。
陰ながら応援しています。

協会副会長を務められている㈱ニトリ社長の似鳥昭雄さん。
故渥美俊一先生の一番弟子。
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大創産業㈱社長の矢野博丈さんも発起人のお一人。
昨年末、テレビ朝日系列の「シルシルミシル」でダイソーが放映される際、
矢野さんから携帯電話に直接ご連絡いただき、びっくり。
その時のお礼をしたら、いつものように照れくさそうにされた。
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日本スーパーマーケット協会会長で、
㈱ヤオコー会長の川野幸夫さんと、
ニッコーレン会長の本間健伍さん
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本間さんはコーネル・ジャパン立ち上げの影の功労者。
そして川野さんには、毎年、コーネル・ジャパンで経営哲学を話していただく。

㈱ライフコーポレーション社長の岩崎高治さん
仕事には厳しいだろうが、いつも笑顔が絶えない。
スーパーマーケットの産業化、商人の現代化のために、
ともに頑張りましょう。
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㈱いなげやの皆さんと肩を組んで。
私の隣は社長の遠藤正敏さん
もちろん発起人のお一人。
その隣が常務の藤木勇さんと、専務の成瀬直人(右)さん。
藤木さんは昨年の米国視察Special編に参加いただいた商人舎ファミリー。
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UIゼンセン同盟の落合清四会長も発起人のお一人。
流通部会副事務局長の木暮弘さん(右)は、私の担当者。
来月2日の講義ではお世話になります。
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日本水産㈱社長の垣添直也さんも発起人。
コーネル・ジャパンでは毎年、グローバルな視点で講義をしていただく。
その情報量と分析力にはいつも圧倒される。
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第一屋製パン社長の細貝理栄さん。
いつも私に憩いと安らぎを分けてくださる。
ありがとうございます。
今年も楽しみにしています。
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商人舎発起人の最後を飾るのは、
ブルーチップ㈱専務の宮本洋一さん。

今週末の高知出の店舗視察をコーディネートしてくれた。
今からワクワクしている。
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協会副会長で㈱フジ社長の尾﨑英雄さん(右)と、
協会専務理事の井上淳さん(左)。
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日清フーズ㈱社長の池田和穗さんは、
コーネル大学卒業のコーネリアン。
コーネル・ジャパン設立以来、懇意にしていただいている。
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㈱伊藤園の江島祥仁副社長と、
商人舎エグゼクティブ・プロデューサーの松井康彦さんとの、
いつものスリーショット。
今年は、茶畑と工場を必ず視察します。
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協会活動を支えるお二人。
井上専務理事と小笠原壮一常務理事(右)
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日経新聞社編集局消費産業部編集委員の田中陽さん。
今日のブログの冒頭で、
セブン&アイの鈴木さんに鋭くインタビューしていたのは、
この田中さん。
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いつもブログで田中さんの記事を取り上げさせていただいているが、
お会いしたのは実は初めて。
これからも、末長いお付き合いを。

商業の基幹産業化、
私流にいえば「現代化」。

それが押しも押されもしない段階に至るまで、
お力を貸してください。

白鳥和生さんともども。

そして、最後は、
カスタマー・コミュニケーションズ㈱
のみなさん。
私が非常勤取締役を務めている通称CCL。
社長の西川明宏さんと営業スタッフのみなさん。
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この賀詞交歓会では、若いスタッフが私の後に付いて歩き、
多くの方々と名刺交換をさせていただいた。
ご協力に感謝。

ともあれ、伊藤雅俊さん、岡田卓也さんのお元気な姿に接して、
私も80代後半、いや90代まで頑張ろうという気概が生まれた。

元気こそ、いつまでも若くあることの源です。

では、今週も。
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年01月23日(日曜日)

ジジと季節の変わり目[2011日曜版vol4]

ジジです。
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なんだか、ねむい。

ねむい、ということは、
春がちかい、ということ。
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光が、すこし、
かわりました。
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ロシアでは、
「光の春」といいます。
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まわりをみると、
それがわかります。
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川の水の色がかわった。
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よーくみると、
それがわかる。
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木の枝も、
空も、
かわってきた。
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よーくみると、
わかる。
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ちいさな芽が、
ふいている。
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そういえば、
おとうさんのしゅうへんも、
かわってきた。
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結城ゼミのみなさんが、
卒業のロンブンをかきおわって、
カンパイ。
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季節がかわると、
ニンゲンの生活もかわる。
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すこしずつ、
すこしずつ、
かわっていて、
それは気づきにくい。
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でも、そのすこしずつが、
いつのまにか、
季節やニンゲンを、
大きく、かわらせているのです。

季節は春にむかっています。
ニンゲンはナニにむかっているのでしょう。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年01月22日(土曜日)

晴天続きの東京で結城ゼミの面談/日本チェーンストア協会賀詞交歓会

大寒真っただ中だというのに、
東京、横浜は驚くほどの暖かさ。
晴天続きで、むしろ花粉が飛ぶぐらい。

今年のスギ花粉は昨夏の猛暑によって、
観測以来、二番目の多さになると予測されている。
ところによっては昨年の10倍の飛散ともいわれる。

花粉症の私は、そんなニュースを聞くだけで、
鼻がむずむずしてくる。

花粉症対策は早期治療に限るといわれるが、
売場での花粉症対策も、
早めの仕掛けが必要になる。

さて、昨日、今日と、立教大学。
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手前のシックな建物が私の研究室がある3号館。

その2階に研究室や打ち合わせ室がある。
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打ち合わせ室1を借りきって。
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結城ゼミの面談。
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立教大学大学院ビジネスデザイン研究科大学院生は、
2年次にゼミに属して、
修士論文や調査研究レポートを仕上げる。
院生はその指導教官を選ぶ。

私のゼミは昨年5人、今年6人と、
ちょうどよい人数で、
みんな立派な論文を仕上げた。

ちょうどよいというのは、
私の経験から出たもの。

それは月刊の経営雑誌の編集部の人数。
私は㈱商業界で25年間、
編集部に属し、あるいは編集部を率いた。
さらに11年間は編集部門を統括してきた。

立教ビジネスデザイン研究科結城ゼミも、
その頃の編集部のごとき運営をしている。

その編集部時代、
私が率いた最大人数は、6人だった。
私を加えた7人態勢の1996年が、
㈱商業界の史上最高の販売部数を記録した年
だった。

今年の結城ゼミはちょうどそのころと同じ。
すべてに私の目が行き届くし、
互いにコミュニケートし、研鑽することもできる。

しかし来年度は、結城ゼミへの志望者が多い。

そこで一人ひとり面談をして、
私なりの論文の書き方やテーマの設定の仕方をレクチャーしつつ、
私が指導できるテーマかどうかを確認する。

そのうえで、研究科の先生方と相談して、
メンバーを選ぶ。

そのための面談。

2日間、14人にも及んだ。

それでもひとり一人の問題意識が良く解ったし、
全員が、貴重な研究をしようと志を持っていることがわかった。

私は立教ビジネスデザイン研究科を誇りに思った。

さて昨日は、面談を終わらせてから、夕方、
東京赤阪見付へ。
ホテルニューオータニ鶴の間で、
日本チェーンストア協会の平成23年新年賀詞交歓会

日本チェーンストア協会は昭和42年(1967年)に発足。
その目的は、
「チェーンストアの健全な発展と普及を図ることにより、
小売業の経営の改善を通じて、
わが国流通機構の合理化、近代化を促進するとともに、
国民生活の向上に寄与する」。

現在、通常会員62社、賛助会員482社。

会場入口では、会長をはじめ、理事の皆さんがお出迎え。
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開会のあいさつは協会会長であり、
イトーヨーカ堂代表取締役社長の亀井淳さん
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「小売業はお客様と流通産業を結ぶインターフェイス。
お客様の暮らしのために、どのように貢献できるかを考え、
製配販が協働し、ムダ、ムラをなくしていかなければならない」20110122095153.jpg
亀井さんの挨拶、実に見事だった。

小売業・チェーンストアの代表として、
気合のこもった年頭の挨拶だった。

私はうれしくなった。

来賓挨拶は二人。
ひとりは、経済産業省の池田元久副大臣
「日本経済の再建のために、
チェーンストア産業が元気を出してほしい。
そのための支援を行いたい」
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乾杯の音頭は三井物産㈱代表取締役社長の飯島彰己さん
ここのところ私は、三井物産づいている。
コーネル・ジャパンの合宿は、
物産の湯河原人材開発センターをお借りしたばかり。
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簡潔なごあいさつに会場から盛大な拍手。

そして懇親・交流。
結城義晴怒涛の懇親模様は、来週月曜にご報告。

ところで、日本チェーンストア協会の最新の販売統計。

2010年11月の総販売売上げは、1兆0137億円。
前月比100.5%だが、前年同月比では98.2%とマイナス。

もうひとつの総合業態、百貨店の売上げは12月度が発表されている。
91社261店舗の総売上高は7246億円。
前年同月マイナス1.5%。

重衣料の不振はあるものの、
クリスマスのギフト需要、ファッション雑貨などが好調で、
12月は回復の兆しを見せた。

来週は日本チェーンストア協会の12月度の販売月報が発表され、
さらにスーパーマーケットやフードサービスの12月の成績発表がある。
はたしてどれだけ回復したのか。

そんな興味を抱きつつ、
今週もご愛読に、感謝。

よい週末を。

<結城義晴>

2011年01月21日(金曜日)

2010年の年間販売額・百貨店6.3兆円、コンビニ8兆円の明暗とコーネル・ジャパン湯河原合宿2日目

日本の百貨店とコンビニ。
かたや最初の業態にして、最大面積の店舗の小売業態。
かたやもっとも成長著しい業態にして、最小面積店舗の業態。

その百貨店とコンビニの2010年の総売上高が、
それぞれの協会から発表された。

日本百貨店協会の2010年の売上高は6兆2921億円
これは前年同期比マイナス3.1%。

一方、日本フランチャイズチェーン協会コンビニ部会10社の総年商。
全店ベースの年間売上高は8兆0175億円、プラスの1.4%。
既存店ベースでは7兆3947億円で、こちらマイナス0.8%。

10社の内訳は、セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、
ファミリーマート、サークルKサンクス、
そしてデイリーヤマザキ、ミニストップ、
さらにココストア、スリーエフ、セイコーマート、ポプラ。

それ以外にもコンビニはあるのだから、
8兆1000億円か、8兆2000億円か、8兆5000億円か、
コンビニの総売上高は商業統計の発表を待つしかない。

百貨店協会には全企業が参加しているから、
これは商業統計を待つまでもない。
コンビニは新規出店分が0.6ポイント、
総売上高に貢献している。

百貨店はご存知のように、閉店が相次ぎ、
既存店の統計を出す必要がない。

明暗くっきりの最大店舗小売業態と最小店舗業態。
この間に様々な業態が社会的機能を見出し、
それが分化してフォーマットが出現している。

さて昨1月20日木曜日は、コーネル・ジャパンの湯河原合宿2日目。
朝から温暖な日差しが中庭にさしこむ晴天。
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私たちの会場は大研修室。
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廊下にも朝日が溢れている。
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朝食を取ったあと、8時30分から第一講座。
昨夜は11時過ぎまで懇親会だったが、
一人の遅刻者もなく全員がそろう。
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第一講義の講師は大久保恒夫さん。
テーマは「スーパーマーケットの経営効率と生産性」。

大久保さんはご存知、㈱セブン&アイ・ホールディングスの顧問であり、
㈱成城石井前社長。そしてコーネル・ジャパン伝説の第一期生の一人。
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今日の講義を最後に、しばらく講演活動を自粛する。
それだけに力のこもった素晴らしい内容だった。
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データは実行のためのツール。
実行計画目標が予算であり、
その経営管理に必要なデータとその見方。
同じ帳票を見、問題を共有し、行動を具体化する。
データでのコミュニケーションの重要性などを
これまでの経験をもとに語ってくれた。
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第二、第三講座の講師は當仲寛哲さん。
USP(Universal Shell Programming)研究所所長。
テーマは「情報システムとデータ分析、その基本と応用」
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システムとは、会社を維持・発展させる「仕組み」であり、
経営者はもっともシステムを理解している。
コンピュータは単なる道具(記録+電卓+電話)にすぎない。
経営者の仕事は、会社のシステムに、
「コンピュータを、何の目的で、どこに導入したら、何がよくなるか」を、
考え、判断すること。
その視点において、経営者に必要なコンピュータリテラシーとは何かを、
はじめに解説。
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そして、流通・小売業の情報システムとは、商売の基本となる
単品管理の実現と生データの整理・蓄積にあると強調。
優れた情報システムをつくるための考え方、
内製化の意味と効用、採用技術の選び方、
技術者の育成と活用の仕方などを分かりやすく説明してくれた。

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事例を紹介しながら、
次々に情報システムの誤解を正していく。

第二講義を終え、全員で昼食。
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第三講義は、単品管理の実現に必要な情報システム化のポイントの話のあと、
いよいよLinuxのコマンドを使った、デモンストレーション。

あるスーパーマーケットの1カ月間の売上げ明細データを、
集計・加工していくという内容。

もちろん担当は、今年も鹿野恵子さん。
3000万のPOS明細データを、
20ほどの簡単なコマンド入力で、次々に集計していく。
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3年目ともなると鹿野さんのパソコン操作も、説明も慣れたもの。
3000万のデータ処理が、4万円のパソコンで
わずか16秒で処理できるという実演に、3期生も驚きの表情。

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當仲さんの三期生への講義は、これまでで一番分かりやすかった。
講義を終えた當仲さんと感謝をこめて握手。
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合宿最後の第四講義の講師は、宗像守。
「改正薬事法によって変わるマーケットとマーチャンダイジング」

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宗像さんは日本チェーンドラッグストア協会事務総長であり、
㈱日本リテイル研究所所長。
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改正薬事法の概要説明から始まって、
セルフ・メディケーションの推進、
さらにヘルス&ビューティケア・マーケットの成長のなかで、
ドラッグストア産業10兆円構想まで、
一気に語ってくれた。

ドラッグストアは2000年に2兆6628億円だった業界が、
2009年5兆4430億円への成長を遂げ、
2010年には5兆6000億円マーケットとなった。

2015年には10兆円を構想する。
それは狭小商圏タイプが中心となる。
まさにドラッグストアにはフォーマットの時代がやってきている。
いや、ドラッグストア産業のリーダーたちは、
フォーマットに時代を自ら演出している。

その結果、コンビニのように、
ドラッグストアが配置されるというイメージが描かれている。

宗像さんはこの、一種の社会革命を推進している。

百貨店、コンビニ、そしてドラッグストア。
あたらしい時代はもう、やってきている。

<結城義晴>

2011年01月20日(木曜日)

コーネル・ジャパン第3期の湯河原合宿「52週MD」と「価格決定と価値創造プロモーション」

今日は大寒。
「寒さが最も厳しくなるころ」。
「寒稽古」は大寒の頃に行われる。

「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」
『暦便覧』より。

1月下旬というよりも、
2月初旬というよりも、
大寒というほうが「寒さ」を表現するにふさわしい。

日本人と日本語の豊かさ。
豊かさを味わい、噛みしめて、
生きていきたい。

それが実感できる日。

朝日新聞のコラム『経済気象台』
このコラムニストのなかでも私が同感することの多い遠雷氏。

今朝も切り口と切れ味がいい。
日本経済を長期停滞させているといわれる論拠、
「高齢化&人口減原因説」に反論する。

まず、2055年の日本人口予測。
現在の1億2700万人から8900万人に。
前提にあるのは、
①出生率は変化しない
②外国人の日本への流入(移住)を認めない

遠雷氏は、「とくに後者の考え方は危険である」という。
私も同感。

「先進国は、悩みながらも
『不幸からの脱出』を願う難民や『より幸福になりたい移民』を受け入れている。
彼らの生きようとする努力は社会の活力そのものでもある」

「人口減」=「経済成長はない」にも反論し、言い切る。
「人口と経済成長とは連動していない」。

近年の中国や東アジア諸国の毎年10%近い成長は、
「それぞれの国の人口増と連動して」いない。

戦後の日本総人口は約7200万人。
現在は1億2700万人。
2倍にも達してないのに、GDPは較ぶべきもない。

「欠落しているのは『技術革新』と『国際化』に関する構想力」。
「付加価値をもたらす人間の知恵(技術革新)は無限である」

悲観論が蔓延する。
しかし、まったく悲観することはない。

川崎進一先生の言葉を思い出す。
「一心不怠 成長無限」

一方、昨日の日経新聞『大機小機』
こちらでもコラムニスト追分氏が、
「ローカルパワーを発揮せよ」と主張する。

「政府が新成長戦略で掲げる有望分野も、
医療をはじめとして必ずしも製造業が
主役となる産業ではない」

「むしろ地域で生まれ、
地域で育まれるべき産業や事業体である。
主役も大企業ではない。

その意味で、日本経済再生の鍵は
地方が握っているといっても過言ではない」。

「問題は地域再生の動きが点に留まり、
動線になっていないことである」

「地域住民が自らも気付いていなかった価値を再発見し、
地域にあるコンテンツ、素材、食、ライフスタイル、観光などを
『物語』のあるブランドに仕立て上げ、
それを戦略的に国内外に売り込んでいくための取り組みが必要である」。

民間の、地方の企業や店や組織が、
日本経済の活性化の鍵を握っている。

さて昨日から、
コーネル大学リテールマネジメントプログラムの1月講義。
今回は湯河原で合宿。
深夜まで、盛り上がった。
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全国から午前11時前後に、熱海駅に集合。
駅前には「足湯」の施設があって、観光客が楽しんでいる。
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私たちは、バスに乗り込んで、
合宿所へ向かう。
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事務局の太田美和子さんが点呼をとる。
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バスで約20分。
合宿所に到着。
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今年も三井物産㈱の人材開発センターを使わせてもらった。20110120095003.jpg

遠く、真鶴半島が望める。
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講義は、A4の階段教室で行われる。
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まずは、新年のご挨拶。
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副学長の役目。
このブログの冒頭に書いたこと。
日本経済の蘇生や活性は「民間の力が鍵を握る」
そんな1年にしたい。
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第一、第二講座は、鈴木哲男講師。
㈱REA代表取締役社長。
テーマは『実践 52週マーチャンダイジング』20110120091304.jpg

もう、『52週MD』は鈴木さんの代名詞になるくらい、
日本の小売業に普及している。

鈴木さん自身、「超」売れっ子のコンサルタントで、
私もこのコーネルでしか会うことができない。

私は1977年(昭和52年)に、㈱商業界に入社直後、
鈴木さんに巡り合った。
当時、イトーヨーカ堂のRE部の社員だった。
REとはリテール・エンジニアリングの略。

鈴木さんは、まさに、
日本を代表する小売りエンジニアリングの専門家。
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『52週MD』といっても、
商品政策や販促政策だけのことではない。
「重点商品を中心にした営業力強化と
店舗活性化及び組織風土改革」のことだ。

当たり前のことをより楽しく、
当たり前のことをよりスピーディに、
当たり前のことにより工夫を。

これが鈴木さんの基本的な考え方。

鈴木さんの言い回し、定義がおもしろい。
例えば、「小売業」とは、
「真似て、学んで、真似し尽くして、
俺が本家と言い張る産業」
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王道の考え方から始まって、
具体的な技術論、ケーススタディまで、
充実した講義だった。

例えば、「POPの原則」
「POP洪水・POP公害が氾濫している」と鈴木先生。
その原則は3つ。
①商品自身で語らせる
②商品自身で語りえないもののみPOPをつける
③POPをつける場合、
安い商品はよりやすく見えるPOP
良い商品はよりよく見えるPOP

これがリテール・エンジニアリングそのもの。
正しい。

2時限180分の講義はあっという間に終わった。

1年に一度となってしまったが、
鈴木さんと固い握手。
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この日の第3、第4講座は、上田隆穂先生。
学習院大学経済学部長。
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上田先生は学習院マネジメントスクールの校長でもあって、
私はそのなかで「流通概論」を担当し、講義している。20110120091512.jpg
上田先生のテーマは、
第3講座が「流通新時代における価格決定」
第4講座が「価値創造型プロモーションと未来店舗のあり方」

大学の先生方は学生とのコミュニケーションが得意。

コーネルの授業でも次々に3期生へ質問を浴びせて進めていく。
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通路のこちら側、あちら側と交互に移動しながら全員に質問していく。
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双方向の上田先生の講義180分は、同じく、またたく間に終了時間を迎えた。

そして19時30分から立食の懇親会。

初めに村尾芳久さんがご挨拶。
コーネル・ジャパンを主催する社団法人新日本スーパーマーケット協会営業本部長。

三井食品㈱からのビールやお酒に感謝しつつ、
懇親会は始まった。
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乾杯の音頭は副学長。
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講義を終えられた上田先生も残って懇親会に参加してくださった。

さらに、明日の講義を担当してくださる大久保恒夫講師。
現在、㈱セブン&アイ・ホールディングス顧問で、
昨年まで㈱成城石井社長、
そしてコーネル・ジャパン伝説の第1期生。
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USP研究所所長の當仲寛哲さんと、
デモンストレーション担当の當仲(旧・鹿野)恵子さんも、
先乗りで懇親会に参加。
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3期生初めての合宿。
皆、交流・懇親を深めながら、
よく飲み、よく語らった。

少し風邪気味だった荒井伸也先生もワインを片手に3期生の
㈱万代の山口成樹さんと日本製粉㈱の池尾良さんと談笑。
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上田先生も㈱紀ノ國屋の阿部智則さんと盛り上がっている。
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一次会のあとは、畳座敷の談話室に移動し、さらに懇親。
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上田さん、大久保さんとは、今年南米へご一緒する話で盛り上がった。
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夜も更けた11時。
最後まで残っていた皆で、記念撮影ををすることに。
ここでも副学長の指示。
「3期生だから3本の指を立てて映すぞ」
皆、聞いているかどうかわからないが。
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お見事。よくできました。
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合宿初日の夜は
「実行の第3期生」、
誰一人泥酔することなく無事、終了。

明日は8時半から大久保さんの授業。
ゆめゆめ、遅れることなかれ。

<結城義晴>

2011年01月19日(水曜日)

芝寿し創業者・故梶谷忠司氏の霊前にて『商売十訓』の「文化のために経営を合理化せよ」を考える

JR東日本の新幹線には五つの路線がある。
東北、上越、長野、山形、秋田。
そのすべてが、一昨日、一時運休。

私はJALの空の便で小松空港に飛んでいたが、
新幹線トラブルの原因は、
運行一括管理システム「COSMOS(コスモス)」に関連していた。

面白いことに、朝日新聞は、
「運行担当部門がシステム表示の仕組みを知らされておらず、
不具合発生と誤解したためだった」点を強調し、
読売新聞は「ダイヤ変更情報の件数が、
新幹線の運行管理システムの設定上限を超えた」ことを、
主な理由にしている。

どちらもJR東日本の記者会見を取材し、
同じ言葉を聞いているのに、
強調する点が違う。

朝日は「人為的な事故」とし、
読売は「システムの上限の問題」とする。

理由をどこに求めるか。
もちろんどちらも原因に大きく影響していて、
それが同時に理由となって起こったトラブル。

しかし、どちらを第一に考えるかによって、
対応は変わってくる。

人の問題なのか、
システムの問題なのか。

新聞によって、捉え方が違うことそのものが、
問題の本質を描いている。

さて、昨日は、雪の金沢。
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午前中は、
芝寿しの創業者・故梶谷忠司さんのご霊前へ。

お線香をあげ、手を合わせて、
心から感謝しつつご冥福を祈った。

梶谷さんは商業界のエルダーとして、
全国の商業者のリーダーだった。

1913年、大阪に生まれ、
大阪市立天王寺商業卒業後、
製菓会社に入社し、20歳で独立、菓子製造業を始める。

日中戦争に応召された後、
戦後、製塩業、喫茶店、古着店、化粧品店、趣味の店、ボタン店、
洋装店、毛糸店、東芝のショールームなど、
10回転職し、最後に、1958(昭和33)年、芝寿しを創業。

月産200万個の笹寿しを筆頭に、ヒット商品を連発し、
北陸を代表する食品製造小売企業を育てた。

昨年11月30日朝8時、97歳の天寿を全うされた。
12月20日には「偲ぶ会」が開催され、
金沢国際ホテルは哀悼の意を表する人々であふれた。

とにかく動く人だった。
体が、心が、気持ちが。
私もその心づかいに、
何度も何度も感動させられた。

その梶谷エルダーとの私のお別れが、
遅ればせながら昨日だった。
ご遺体は金沢大学の医学部に献体された。

ご冥福を祈りたい。
合掌。

その後、商業界石川県同友会「華の集い」で、講演。

この会は、梶谷香月さんがつくった女性経営者の会。
梶谷エルダーのご長男が、現在の芝寿し代表取締役社長の梶谷晋弘さん。
香月さんはその晋弘さんと夫唱婦随のおしどり夫婦として有名だが、
芝寿しの常務取締役であり、女性経営者たちのリーダーでもある。

11時半から1時間ちょっと、講義。
テーマは「倉本長治とピーター・ドラッカー」

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーを読んだら』は、
222万部の「超」のつく大ヒット単行本となっている。
通称「もしドラ」のこの本が読まれるようになったから、
今回のようなテーマを掲げての講義もできるようになった。
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マックス・ウェーバーの話から始めた。
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」。

そして倉本長治の『商売十訓』とドラッカーのマネジメント。
驚くほどに共通することが多い。

『商売十訓』の第九訓。
「文化のために経営を合理化せよ」
今回は特にこの第九訓を丁寧に語った。

梶谷忠司さんがこの言葉にふさわしい人だったから。

ドラッカーは、言う。
「仕事が出来る者は、集中する」

そして続ける。
「集中するための原則は、
生産的でなくなった過去のものを捨てることである。

過去を捨てなければ、明日をつくることは出来ない」

これが、「経営の合理化」そのものである。

ドラッカーにならって、
生産的でなくなった過去のものを捨てる。
何が残るか。
生産的な過去のもの。
それが「文化」である。

明日につながる昨日のもの。
それが「文化」である。

だから「文化」のために「経営」を「合理化」することは、
なんら矛盾するものではない。

10数回の転職を繰り返した梶谷忠司は、
非生産的な過去のものを捨て続けた。
そして芝寿しという文化をつくった。

「文化のために経営を合理化せよ」

その後、昼食会。
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料理長の榎本桂治さんが、
この会のためにつくってくれたデコレーション。

昼食しながら、3時半まで質疑応答。
一人ひとりの考え方や問題・課題が披露され、
私がそれに答えるスタイル。

しかし、みんな自分で答えを持っている」。
私はそれを引き出す役目。
気づかせる機能。

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全員から学ばせてもらった。
心から感謝。

夕刻の便で帰京。
日本海側から太平洋側へのフライト。
比較的穏やかな気候。
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夕闇が迫る上空3000メートルに、
ぽっかり浮かんだ月が美しかった。
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羽田に着いて、モノレールに乗り、
山手線に乗り換えて、
東京から日本橋へ。

商業経営問題研究会(通称RMLC〉の1月例会は終了していたが、
その流れの新年会に参加。

このRMLCで単行本を執筆することが決まった。
目出度い。
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左から㈱たいらや社長の村上篤三郎さん、
代表世話人の高木和成さん、
月刊『マーチャンダイジング』編集長の宮崎文隆さん。

RMLCも非生産的となった過去のものを捨てて、
「集中」しなければならない。

「出来る者は、自分の強みに集中する」からである。

<結城義晴>

2011年01月18日(火曜日)

「寒波一休み」の金沢で阪神大震災17年目を思う

急に私のパソコンのバッテリーが切れた。
だから電源を繋いでいないと、
パソコンが使えない。

そのため今日はずっと、
移動中のブログ書きができなかった。

通常は、車のなかでも、
新幹線のなかでも、モノレールのなかでも、
空港の待合室でも、
すぐにパソコンを開いて、
ブログや原稿を書いたり、
メールをチェックしたりする。

バッテリーが切れるとそれができない。

いま、やっと、電源を繋いで、
ブログを書いている。

本当に申し訳ない。

さて、昨日から金沢へきている。
こちらの一昨日は雷が鳴って、
その上、大吹雪。

しかし大寒の20日まで、
「寒波も一休み」
北国新聞の見出しにある。

太平洋岸と日本海側。
日本列島もがらりと様相が変わる。

羽田空港から飛び立ったばかりの東京の上空は、
カラリと晴れた青空で、
関東平野は赤茶けて見える。
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少しずつ白い雲が現れる。
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そして日本列島の中央を越える頃から、
ジェット機は雲のなかを飛ぶ。
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さらに白雲は厚くなる。
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そして山肌に雪の光景が見え始める。
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金沢の市街は真っ白。
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東京周辺の赤茶けた風景から、
45分のところにこんな景色の街がある。
そこに舞い降りる。

信じられないほど。

こうして、小松空港に到着。

夕方、事務局とセミナーの打ち合わせ。
そして金沢駅前のイオンのショッピングセンターを視察。
これはイオンが取り組んだ「デパートメントストア」。
そうしてみると、面白い。
成功しているかどうかは、わからないが。

昨日はあの阪神大震災から17年。

各地で、慰霊の催しや、
地震対策の行事が行われた。

1995年1月17日。

当時、私は㈱商業界の『食品商業』編集長。
2月15日発行の3月号の巻頭に追悼文を書いた。

「阪神大震災」

阪神大震災、お見舞い申し上げたい。
亡くなられた方々のご冥福を祈りたい。
尊い命を、家族を、同朋を、
奪い取られた悲しみはつきない。
家を、店を、財産を失った絶望は深い。
しかし、人びとはたくましかったし、
モラルは高かった。
被災地の商業は任務を果たし続けた。

スーパーマーケットは、生存のための配給基地となった。
コンビニは、余震の続く闇のなかの灯台に変わった。
フードサービスは、温かい食べ物の炊き出し係に徹した。
メーカーや問屋は、補給部隊の役を担った。
小さな店も、大きな企業も、
皆が、このときこそと、
日ごろの仕事の腕を発揮した。
いつもよりも素早く、力強く、黙々と。

そのそばで、瓦礫のなかに埋まったままの人たちも、
また、いた。

雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、
商業は働き続けねばならない。
店は客のために、是が非にも、開けておかねばならない。
有事のときにこそ、頭を柔らかくし、
冷静に、活躍せねばならない。
人びとが立ち上がる礎にならねばならない。
商業人はどんなときにも、
明日を見つめていなければならない。

私たちは、震災に勇敢に立ち向かった仲間を、
心から尊敬しよう。
商業という仕事を貫いた同志たちを誇りにしよう。
こんなときだからこそ、深く深く、
私たちの役割の大切さを自覚しよう。
そして、この阪神大震災を永く記憶にとどめておこう。
崩れ果てた廃墟のなかで、人びとに喜んでもらったこの感動を、
これからの支えにしよう。

未来のために。
客のために。
店のために。
蘇える街のために。

私たち自身のために。

私は今もこの時の気持ちを失ってはいないし、
拠点をもつビジネスの重要性を、
もっともっと認識すべきだと思っている。

小売業や外食業、サービス業。
店をもつ。

その店は、平時には営業して、
顧客の満足を創り出し、
売上げと利益を生みだす。

しかし有事のときには、
人間の生存の拠点となる。

「凡事徹底・有事活躍」
私はこう言っているが、
平時のときにこそ、
いつも、有事を考えて、
力を蓄えておかねばならない。

平時の力が、有事に生きる。

ウォルマートには、特別の部署がある。
「ビジネス・コンティニュイティ」
(Business Continuity)

2005年8月24日の水曜日、
メキシコ湾の熱帯低気圧がハリケーンに分類変更された。
その名は「カトリーナ」
ウォルマートではアーカンソーの本社内に、
ビジネ・スコンティニュイティの担当者を中心に、
非常時の指揮センターが立ち上げられた。

8月28日の日曜日に、カトリーナがニューオリンズに上陸してくると、
緊急物資を被災地周辺の店舗へ配送し始めた。

29日月曜日、30日火曜日には、
2400台もの自社トラックが動いていた。

9月2日の金曜日には、15店の重大な被害を受けた店以外は、
営業を再開していた。

店々には顧客が殺到した。
入場制限するほどだった。

これもウォルマートの「有事活躍」の事例。

ウォルマートに限らない。

阪神大震災ではダイエーやセブン-イレブンの活躍が有名だが、
私はすべての小売業やフードサービス業、サービス業が、
地域に貢献したと信じている。

この時は、通常、隣同士で競争している店が、
互いに助け合って、お客を助けた。

それが商売をする者の本質だ。

そんなことを私たちは、いつも、
考えておかねばならない。

だから阪神大震災を、
新潟県中越地震を、
カトリーナを、
私たちは忘れてはいけない。

合掌。

<結城義晴>

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