結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年11月30日(土曜日)

米国小売業の「早仕掛け」とブルボン小林の「言葉も食べている」

2013年11月最後の日。

私は東京・池袋の立教大学。
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校門にはボードが掲げられた。
「St.Paul’s Christmas」

銀杏の木は、黄金色の葉が、
はちきれんばかり。
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本館の蔦は赤く染まった。
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名物の中庭の銀杏は、
今年、少し葉が少ない。
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それでも3号館の蔦には、
趣がある。
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社会人大学院ビジネスデザイン研究科。
その結城ゼミ。

ゼミ生は修士論文に挑んでいる。
その締め切りがもう、
1カ月余りとなってきた。

まさに佳境。

みんな「尻に火がついた」。

それでも夕焼けの富士。
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日本は美しい。
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一方、アメリカはいま、
サンクスギビング週間。

昨日はブラック・フライデー。
「黒字の金曜日」。
1年で最大の書き入れ時。

明後日の月曜日が、
サイバー・マンデー。

インターネット販売が、
最高潮に達する日。

日経新聞の記事。
「米歳末安売り前倒し」。

私が言い続けているは、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」

「今年は暦の関係で商戦の期間が短く、
小売り各社が値引きの前倒しを急ぐ。
個人消費は粘り腰をみせているが、
中低所得者の消費動向には
先行き不安も漂う」

しかしウォルマートをはじめとして、
米国小売業の「早仕掛け」は、
今年始ったわけではない。

今年は暦の関係で、
第4木曜日が28日となった。
去年はそれが22日だった。

しかし昨年もウォルマートは、
「早仕掛け・早仕舞い」
私はそれを指摘した。

毎年毎年、早まる。

「キリがないじゃないか」

そのとおり。
それが競争。

この中でいかに、
自分らしさを出すか。

それが小売業のポジショニング戦略。

アメリカ商務省。
10月の小売売上高は前月比0.4%増。
7カ月連続増加。

全米小売業協会(NRF)の予測。
11~12月の小売売上高は
前年同期比3.9%増。

これは、
前年の伸び率をさらに3.5%上回って、
好感触。

ただし、それを引っ張るのは、
Eコマースだ。

調査会社のIHSグローバル・インサイトの予測。
11~12月のネット通販は、
前年同期比12.5~13.5%増。

だからブラック・フライデーも大切だが、
サイバー・マンデーも重要。

一つの方法に頼りたいという誘惑は、
これを退けねばならない。

さて今日の朝日新聞『天声人語』。
11月13日の朝日新聞『オピニオン欄』の再掲。
タイトルは「言葉も食べている」。
コラムニストのブルボン小林の主張。
41歳の小説家・俳人でもある。

小説家としては長嶋有の名で2002年、
『猛スピードで母は』によって、
第126回芥川賞受賞。
2007年には『夕子ちゃんの近道』で、
第1回大江健三郎賞受賞。

俳人としては長嶋肩甲の名で、
俳誌『恒信風』所属。

1998年から、ウェブサイトを立ち上げ。
「ブルボン小林のインテリ大作戦」。

多彩な才能を持ち、
自ら世界を切り開いてきた。

そのブルボン小林。
食材の偽装に関してコメント。
「以前、コーラと言われて渡された麦茶を
飲んで『うぇっ』と驚いた」

「事前にコーラという『言葉』を
与えられていたからだ」

ここから導き出した結論
「我々は物を食すとき、
言語も食べている」

偽装表示は、
だから許されない。

私は思う。

これは、食べるものだけに、
適用されることではない。

形のないものにも。
無形財、つまりサービスにも。

その「サービスの特性」は4つ。

第一に「無形性」。
形がない。

第二に「非分離性」。
生産と消費が同時に行われ、
分離することができない。

第三に「変動性」。
提供者、時間、場所によって変動する。

そして第四に「即時性」。
つまり「消滅性」。
だからサービスは在庫できない。

この無形財としてのサービスに関しても私たちは、
「言葉を消費している」

結城義晴著『メッセージ』より、
「言葉」

瞬間、言葉を失う。
言語シンドロームか。
会話イップスか。

言いたいことが言えない。
私にもある。
だからこれは許そう。

しかし、商売に言葉は欠かせない。
仕事に専門用語は不可欠だ。
取り引き・取り組みに会話の手はぬけない。

難しいけれど、それでしか表わせない深い意味。
そのまま英語だが、新しい魅力的な概念を込めた用語。
記号だけれど、何度も使うに便利なもの。

商品という単語。
売場という文章。
店という思想。

半面、疲れ果てた古い言葉。
心のこもらない接客七大用語。
口先だけのマニュアル常套句。

独り善がりのひけらかし修飾語。
売り言葉に買い言葉。
体系のない借りもののカタカナ羅列語。

はじめに言葉あり
言葉は神とともにあり
言葉はすなわち神なりき
(ヨハネ福音書)

言葉で仕事し、
言葉で思索し、
言葉で成長する。

新人諸君、先輩諸氏。
社長も部長も店長も。
モノ言わぬ者は、去れ。

評論家も、コンサルタントも。
識者も、学者も、編集者も。
考えぬ者は滅びることを知れ。

堤清二さんも、
言葉の人だった。
私ももちろん、
言葉の人でありたい。

みなさん、よい週末を。

〈結城義晴〉

2013年11月29日(金曜日)

堤清二セゾン創始者の『変革の透視図』と『日暮硯』

晩秋の銀杏。
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からりと晴れれば、
こんなにいい季節はない。
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商人舎オフィス裏の遊歩道。
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さて杉山昭次郎先生の絶筆。
『マス・カスタマイゼ―ション』。
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まだたいした宣伝をしているわけでもないのに、
大量注文があって、ニ刷決定。

ありがとうございます。

そのコンセプトと同期しているのが、
堤清二さんの名著『変革の透視図』。

お二人ともに、
昭和2年生まれで、
平成25年没。

11月25日に亡くなった堤さんに対して、
昨日、このブログで追悼文を書いたら、
凄いアクセス数。

大新聞各紙も今朝、
巻頭コラムで取り上げた。

日経新聞『春秋』。
「西武王国をつくった父親との確執、
共産党入党と離脱、結核療養、
詩と小説への接近……と書き並べるだけで
波乱の若き日々が浮かび上がろう」

著名人はこうしてプライベートが赤裸々にされる。

「やがて才能は時代と手を携え、
いわゆるセゾン文化は等身大の豊かさ、
居心地の良さを求める人々を魅了していく」

「セゾングループ解体を促したのは、
セゾン文化を享受しつくした大衆でもあった」

作家・辻井喬の活躍が目立った晩年。
「胸中は複雑だったに違いない。
消費が時代と切り結べなくなった風景を、
寂しく見つめていたかもしれない」

コラムニスト、
力が入ってカッコいい文章だが、
冷たい。

毎日新聞『余録』。

詩集「鳥・虫・魚の目に泪」から、
「きつつきはたたく たたく
たすけを呼ぶ技師のように」

「私ハモウ駄目デス
モウ駄目デス 駄目デス」

経営者・堤清二と作家・辻井喬。
「『二足のわらじ』とは陳腐な言い回しだが、
特大のわらじ2足があって
初めてなしとげられたこともある」

自戒しているように陳腐。

晩年は「戦死できずに生き残った」
という同時代の死者たちへの負い目を記した。

「二つの生を往還することで、
身をもって描き上げた堤さんの『戦後』だった」

私は堤清二さんと戦後を、
結びつける気にはならない。

朝日新聞『天声人語』。

西武百貨店の81年のコピー。
「不思議、大好き。」
翌年の「おいしい生活。」
糸井重里の作品。

モノから、情報へ。

堤清二は、
「消費社会の変容を仕掛けた。
その仕事には常に文化が薫った。
だが、消費社会は堤さんをも追い抜く」

バブル絶頂の88年のコピー、
「ほしいものが、ほしいわ。」

「買い物には飽きた。
欲望も萎(な)えた。
人々の心変わりに、
売り手が困り切っているようにも
読めた」

経営者として挫折を経験したが、
作家の辻井喬としては健筆を貫いた。
〈思索せよ/旅に出よ/ただ一人〉
「短い詩の一節が、旅立ちに似合う」

朝日は追悼文になっている。

そして私が一番注目していたのが、
『ほぼ日』の糸井重里。

「堤清二さんが亡くなったと知って、
なんだか、なんだろう、どういうことか、
ずいぶんと『終ろうとしているなにか』を感じた」

「ある時代までの文化が、
消えていくように感じている」

ここから何かを導き出すのが糸井だが・・・。

「『元』がなくても、イメージはある
‥‥という時代が、
ほんとうにやってきているような気がしている。
これが、デジタルということなのかもしれない」

ん~、わかりにくい。

「『元』になる自然があって、
そこから表現されるものが、
人びとの共感を呼んだりしていた
‥‥そういう時代が、
もしかしたら、ひょっとすると、
いつまでも続くものじゃないかもしれない」

これは自然科学や近代合理主義から、
現代化へのスライドを言っている、と思う。

「吉本隆明さんも、
堤清二さんも、
『元」のあるイメージと
共に生きていた」

「かたちのないものでも、
よくよくたどっていけば、
必ず、原型になる『元』が
あるように思えた時代」

「元」とは論理、合理。
だからモダン。

「その時代を凝視していた人たちが、
次々に他界していく。
入れ替わっていくのだなぁ、
と思わせられる」

ポスト・モダンへ。

だとすると、
「不思議、大好き。」
「おいしい生活。」
これは論理から編み出したコピーだった?

堤清二さんの著書の中で目立つものは、
訳・解説の『日暮硯』。
1983年、三笠書房刊。

江戸時代中期の信州松代藩、
家老恩田木工の藩財政改革を筆録した書。

堤さんが訳して解説。
その解説の中で、
「恩田木工の政策の背景にあるのは、
ゆるしと変化の容認という思想のように思われる」

「現実を認め、
ゆるし、ゆるされることにおいて、
相手に責任の意識を生ぜしめる発想の、
日本的ダイナミズムがある」

鋭い観察。
鋭い洞察。

これこそ堤清二の本質だと思う。

やはり企業人が堤清二の本業だった。
詩人と作家の文化人は、副業だった。

『日暮硯』の解説は、際立つ輝きをもつ。

企業人の本質を持たなければ、
ここまでの観察と洞察はできない。

〈結城義晴〉

2013年11月28日(木曜日)

堤清二「変革の透視図」と杉山昭次郎「マス・カスタマイゼーション」

再びみたび、訃報です。

堤清二さん、逝去。
昭和2年生まれの86歳。

商人舎最高顧問の杉山昭次郎先生と、
同年生まれ、同年の没となった。

西武流通グループ改め
セゾングループ創始者。
「辻井喬」のペンネームで、
こちらも手練れの小説家・詩人だった。

極めて珍しい経営者。

見渡せばほかには、
荒井伸也さんだろうか。

東京都出身。

父は堤康次郎元衆院議長、
西武グループ創業者。

その康次郎氏の秘書を務めた後、
1954年、西武百貨店入社。

1966年、西武百貨店社長に就任。

西友をはじめ、ファミリーマート、
良品計画、ロフト、パルコなどを創業し、
さらに金融、ホテル、不動産開発など、
多角化拡大路線を進め、
傘下企業100社以上、
売上高4兆円超の巨大流通グループを構築。

「西のダイエー、東の西友」。

私がこの業界に入ったころは、
こう称えられていた。

バブル最盛期には、
インターコンチネンタル・ホテルズを買収。

しかし1989年、そのバブルが崩壊し、
まず百貨店事業が経営不振に陥った。

91年、セゾングループ代表辞任、
92年、西武百貨店の代表権も失い、
2000年には経営そのものから身を引いた。

ペンネームの辻井喬の活動は、
ここでは触れない。

しかしこの活動にも、
経営者であったことが活き、
企業人と文化人の二面性が、
独特の世界をつくり上げた。

私が初めて堤さんに会ったのは、
『販売革新』編集部の駆け出し時代。

故渥美俊一先生と、
堤清二さんとの対談が実現した時。

実は業界でも有名だったのだが、
お二人は「犬猿の仲」といわれた。

渥美先生が大正15年生まれで、
一つ上だった。

ともにチェーンストア理論に通じていて、
しかしその理論そのものには差異があった。

当時は渥美先生がひどくダイエー寄りで、
西友側にはアンチ渥美の観があった。

故上野光平先生が西友を実質的に経営し、
二人の間を上手に取り持っていた。

そんな時、
『販売革新』誌がB5判から
A4変形判に大リニューアルを果たし、
その第1号企画で「特別対談」が実現した。

赤坂の料亭で、
午後7時ごろからだったと思う。

もう、雑誌の締め切り最終日は過ぎ、
それでもこの大スクープを、
緊急掲載しようということになった。

高橋栄松、五十嵐宅雄、
高濱則行、そして結城義晴。

4人の編集部員が控えていて、
30分ずつだったか、
テープ戻しを分担し、
翌朝には原稿を仕上げて、
印刷所に放り込むという態勢を取った。

一番の若手の結城義晴が、
当然ながら一番後ろで、
起承転結の最後を担当した。

先輩たちは30分終ると、
そのままテープをもって、
帰宅して原稿化作業に入った。
だから私だけ、
緒方知行編集長といっしょに、
最後まで対談の場にいた。

渥美先生はいつになく、
緊張していた。

堤さんが遅れて部屋に入ってきて、
畳に正座し、
ビタッと両手をついて、
頭を擦り付けて拝礼した。

渥美先生も、
同じように礼をした。

それから着座して、
対談が始まった。

『販売革新』のバックナンバーには、
その対談が掲載されているはず。

読んでみたいとも思うが、
内容は当たらず障らずだったと記憶している。
得てして、そんなものだ。

その堤清二さんの著書の中では、
『変革の透視図』が名高い。
1979年発行。
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発行は、渥美対談の翌年だったか。

この本の第7章で堤さんは、
「マーケティング論の再検討」を提案する。

これはまさしく、
同年の杉山昭次郎の絶筆と同期する。
杉山が主張するのは、
『マス・カスタマイゼ―ション』。

1979年段階では、
この概念はなかったが、
堤清二と杉山昭次郎は、
同じ見解をもっている。

第8章は「経済現代化の課題」。
「市場体質の変化は、
小売形態における『専門化の時代』を
出現させる方向に強くはたらくことが予想される」

「専門化とは、
量販店は量販店らしく、
専門店は専門店らしく、
ということである」

これこそポジショニングであり、
商業のポスト・モダンである。

最後の章の最後の項は、
「流通産業の本質」。

この中で堤清二は語る。
「流通産業は、まだ
大きく変化する可能性を内蔵した産業である。
そしてその変化は、
『近代化』を内に含んだ『現代化』へと
すすめられなければならない」

これもまた、
結城義晴の「商業現代化」そのものだ。

ああ、あの対談の時、
私は堤清二に伝染していたのか。
そんなことも思う。

もちろん上野光平、杉山昭次郎、
二人の先生が私にそのことを教えてくれた。

あたらめて今日、
三人の先達のご冥福を祈りたいと思う。

合掌。

〈結城義晴〉

2013年11月27日(水曜日)

猪瀬直樹の「親切な方」とサラ・カサノバの「中心は家族客」

秋も煮詰まってきた。
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冬が近づく。

商人舎オフィス裏の遊歩道。
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落葉が美しい。

今日は朝から、東京・大門。
カスタマー・コミュニケーションズ㈱。
略称CCL。
月例の取締役会。

この中で、
社長の米倉裕之さんが、
“DMP”をちょっと話題にした。
「データ・マネジメント・プラットフォーム」。
今年になって広告業界から発信された概念。

ビッグデータを管理するための格納基盤、
とでも言ったらいいか。

つぎつぎに新しい概念が登場し、
それが三文字アルファベットで表され、
使い込まれていく。

これは本当に大変なことだ。
一つひとつ、自分の頭で、
理解しておかねばならない。

そのCCLの越尾由紀さんが、
今朝の日経MJ2面『消費分析』欄に、
記事を書いた。
CCL企画開発部次長。
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商人舎magazineの、
Weekly商人舎「日替り連載」の金曜日には、
売れ筋&リピート品目がわかる
ABCLランキング

大好評連載。

日経の記事とこの連載、
連動している。

今朝の日経MJといえば、
8・9面の「合格祈願」特集は、
わが盟友、鈴木國朗先生の販促提案と、
マルエツのケーススタディ。
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食品・菓子広告特集だが、
よくできている。

マルエツは毎年、
1月10日から受験生応援フェアを展開する。
その広告特集が11月27日に掲載される。
ほぼ45日前。

これが重要なことだ。

すなわち、
早仕掛け、
そして早仕舞い、
際の勝負。

さて昨晩のニュース。
見ていて、驚いた。

東京都知事・猪瀬直樹。
67歳。

徳田毅衆院議員から、
5000万円を受領した問題。
都庁内で記者会見し、
借用証を公表。

この会見のコメント。
徳田毅議員から、
大金を貸すという申し出を受けた。
この時の感想。
「親切な方だと思った」

私、思わず噴き出した。

5000万円の申し出の不自然さについて、
「金利とかはあまり
考えなかった」

こんな白々しい応対などせずに、
正直に謝罪して、
さっさと辞任するのが、
一番いい。

それしかないと、
言っておこう。

それにしても、
特定秘密保護法案強行採決。

朝日新聞の社説。
「数の力におごった権力の
暴走としかいいようがない」
学生運動の言葉づかいが、思わず出た。

毎日新聞社説。
「あぜんとする強行劇だった」
傍観するマスコミ。

温厚な日経新聞社説ですら、
「なんとも残念な光景というほかない」
冷ややかに見ている。

批判ばかりする態度は、
私自身好みではないが、
猪瀬直樹といい、与党といい、
なんだか子供染みてきた。

ちょっといい方向にくると、
「つけ上がる」。

『大辞林』では、
「相手の寛大さにつけこんで、増長する」

国民は、寛大過ぎてはいけない。

さてさて昨日の日経新聞、
『旬の人時の人』。
サラ・カサノバさん、48歳。
日本マクドナルド社長兼CEO。

「女性、外国人、40代」

「ニッポンの常識」に照らせば、
サプライズと映る人選。

しかしマクドナルド一筋22年。

カナダ人で、
ロシア、日本、シンガポールなど、
6カ国で経験を積んだ。

日本マクドナルドでは、
2004年から2009年まで。
「えびフィレオ」のキャンペーンで、
期間限定商品を大ヒットさせ、
そのまま定番メニューに育てた。

2009年7月から、
マレーシアのゴールデン・アーチズ・レストランCEO。
この会社がマクドナルドを展開するが、
4年間で全店売上高を8割伸長させた。

そのカサノバさん。
「ビジネスの中心は家族客」
断言する。

これ、まさにSTP。
セグメンテーションとターゲティング、
そしてポジショニング。

「思い出が作れるような環境が大切」

記事は書く。
「子育てを経験した女性らしい目配り」

だがこの「目配り」の表現は、
当たってはいない。

新CEOの視点はマーケティングにある。
彼女はSTPの極意を知っているのだ。

〈結城義晴〉

2013年11月26日(火曜日)

甘糟章の「両極」と三井物産米国視察トップセミナー同窓会

甘糟章(あまかす・あきら)さん、
84歳で、老衰のため死去。

元㈱マガジンハウス副社長。
1970年、雑誌『an・an』の創刊編集長、
その後、1977年『クロワッサン』でも創刊編集長。

当時の社名は平凡出版㈱といったが、
実は私、この会社に、
入社しようと考えていた。

残念ながらその年は、
採用が行われず、
いろいろあって㈱商業界に入社した。

この77年、私が配属された『販売革新』誌では、
甘糟さんをゲストに呼んで、
城功先生と対談をしてもらった。

このとき、甘糟さんは語った。
「雑誌には、
右の極と左の極の両極が、
込められていなければいけない。
その極の落差が大きいほど、
面白い雑誌になる」

私の頭から離れない。

その後の㈱商業界での雑誌づくりに関しても、
現在の月刊『商人舎』に関しても、
私は甘糟章の「両極」を意識している。

世界で最も有名なWalmartを取り上げ、
誰も知らないMERCADONAを発掘する。

そしてこの両極の考え方は、
小売業としてはコストコに結実されている。

ダイヤモンドとトイレットペーパー、
この両極の商品を一つ屋根の下で売る。

コモディティとノンコモディティを、
見事にバランスさせた品揃え。

「トレーディング・アップ」という。

甘糟章のMagazineづくりのコンセプトは、
こんなところにも適用できる。

甘糟さんはその後、81年には、
『ダカーポ』の創刊編集長など、
意欲的に活躍し、
老衰で亡くなった。

ご冥福を祈りつつ、
世界は異なれど、
その遺志を継いでいきたい。

さて今日の午後は、
丸の内にある三井物産㈱本社へ。

9月開催の米国視察TOPセミナー。
三井物産が主催し、
私がコーディネーターを務めた。
その同窓会。

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進行役は秋葉浩平さん。
食品流通部加工食品営業部長。
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そして私の総括講義。
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9月の視察以降、3回、
アメリカの視察研修会を行った。
その変化を含めて、
アメリカ小売業の一番重要なポイントを再整理し、
同時に最新動向を報告した。
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年末商戦に向けての心構え、
フォーマットとポジショニング戦略の重要性、
そしてコモディティ論などを一気に語った。
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アメリカで一通り、語っている。
それでも座学で聞く復習の内容は、
頭に沁みとおるはず。
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総括講義の意味はそこにある。
最後までのご清聴に感謝。

私の講義のあと、
互いに写真交換会。
これも同窓会の意義。

同窓会を終えた丸の内。
街は冬のイルミネーション。
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あぁ、もうすぐ一年が終わる。

東京駅へと人々が急ぐ。
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東京駅の天井を見上げながら
今日一日に感謝。
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それにしても甘糟章さん、
こころよりご冥福を祈りたい。

〈結城義晴〉

[追伸]
商人舎magazineの、
今日のDaily商人舎。
「ウォルマート後任CEOは
47歳の若きリーダー」

公開中。

面白いです。

2013年11月25日(月曜日)

杉山昭次郎先生ご逝去、『マス・カスタマイゼーション』発刊

Everybody! Good Monday!
[2013vol47]

2013年もあと5週。
第47週で、
11月最後の週にして、
今週末の日曜日から、
12月師走。

朝寒やタバコの香りらしきもの
〈日経俳壇 浜松・加藤若磯〉

「あさざむ」と読むが、
そんな気分になってきた。
「らしきもの」がいい。

フクシマを終の住処に冬近し
〈日経俳壇 いわき・坂本玄々〉

「ついのすみか」
死ぬまでここに住むという意思。
その心意気やよし。
応援します。

それでも今年は秋が長い。
銀杏もまだ葉を落としてはいない。

クリムトの絵の中にをり銀杏散る
〈朝日俳壇 高松市・桑内繭〉

黄金色をふんだんに使うオーストリアの画家、
グスタフ・クリムト。
私のiphoneカバーはクリムト。

今日ははじめに訃報とお知らせ。

杉山昭次郎先生、逝去。
商人舎最高顧問、
享年87。
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酒と煙草をこよなく愛し、
釣りとゴルフを楽しんだ。

今年5月22日に、
肺癌をこじらせて永眠。
その後、ご遺族の意向もあり、
ずっと伏せておりました。

遺稿による単行本が、
刷り上がってきて、
そのお披露目もあって、
訃報をお知らせします。

偲ぶ会は、
12月5日(木)。
ごく親しい人々で、
静かに執り行います。

単行本のタイトルは、
『マス★カスタマイゼ―ション』
商人舎刊。
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サブタイトルは、
「スーパーマーケットの現代化戦略」

結城義晴自身が使いたいタイトル。
それを杉山先生に捧げます。

私はこの本のゲラを、
二度、三度と読んで、
噛みしめつつ、校正した。

㈱商人舎初の単行本です。
これからどんどん単行本をつくって、
出版社の機能も充実させていきます。

その第1号単行本。
杉山先生の絶筆。
素晴らしい本です。
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[章目次]
第1章 食品流通の50年とマーケティング
第2章 マス・カスタマイゼーション
第3章 スーパーマーケットの組織論
第4章 スーパーマーケットの問題解決
第5章 現代化とグローバリゼーション

スーパーマーケットの世界に、
マーケティングを持ち込むのは、
故渥美俊一先生の対極。

しかしマーケティングのためには、
組織論や問題解決手法が必須となる。
つまりマーケティング・マネジメント。
フィリップ・コトラーと同じ考え方。

そして商人舎が標榜する〈現代化〉。
マス・カスタマイゼ―ションは、
その〈商業の現代化〉には、
不可欠の条件です。

マスの時代が終焉し、
ポスト・マスの追求が始まっている。
それがマス・カスタマイゼーション。

杉山先生はこの著書の中で書く。
「不特定多数を意味する『マス』に対し、
カスタマイゼーションとは
『固定客づくり』である。
『マス化』と『固定客づくり』を
両立させようとする、
相対立するものを結びつけた
新しい概念である」

その考え方や組織の作り方、
問題解決のモデルが、
わかりやすく展開される。

私は1977年の4月に、
㈱商業界に入社し、
1週間後に杉山先生に会った。

場所は、飯田橋の流通システム研究所。
杉山先生は所長。
流通業のトップ・コンサルタントだった。

そこで黒板に書いて教えられたのが、
「ソシオ・テクニカルシステム論」。

懐かしい。

同じ週に渥美先生にも面会して、
こちらは圧倒された。

お二人が私の師匠となった。

渥美先生は、
商業近代化の申し子のような指導者だった。
大規模化とチェーンストア産業づくりを、
高々と標榜していた。

今になって振り返ると、
杉山先生ははやくも、
「脱近代化」を志向していた。

だから渥美先生はまさに時流に乗り、
コンサルタントとして大成功し、
杉山昭次郎はこの世界で、
中程度の成功だった。

上野光平先生が、
杉山先生の親友で盟友。
上野さんは西友の実質的な創始者で、
流通産業研究所理事長・所長。

思い返せば当時から、
上野・杉山のお二人は、
近代化の次、脱近代を、
議論していた。

それが今、
『マス・カスタマイゼーション』として、
結実した。

晩年は「杉山ゼミ」を主宰し、
人を集めて研究会をつづけ、
㈱商人舎では最高顧問。
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私はその後を継いで現在も、
「商業経営問題研究会」の座長を務める。

杉山先生の逝去は残念でならない。
しかし、単行本の上梓は嬉しい。

心からご冥福を祈りつつ、
今日から発売を開始します。
164ページ1600円〈本体価格〉。

お申し込みは、
㈱商人舎までご連絡ください。

故人の遺志により印税は全て、
東日本大震災に寄付されます。

さて今週は、
月刊『商人舎』12月号の最終入稿。
毎日毎日、自分の原稿を書いたり、
原稿チェックしたり、見出しをつけたり。

今日は夕方から、
立教でサービス・マーケティングの講義。
明日は三井物産で夏のトップセミナー同窓会。
明後日はカスタマー・コミュニケーションズの役員会。
そして金曜、土曜は立教。

その間に、雑誌をつくり上げる。

ああ、たのしい。

今日は午前中、
大高愛一郎さんが、
商人舎を訪ねてくれた。
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現在、三井物産㈱食品事業本部マネージャー。

コーネル大学ジャパン創設の時、
私の右腕となって、
事務局長の役目を担ってくれた。

積もる話をして、
将来のことなど語り合い、
私は心からうれしかった。

なんというか、
実の弟のような感じ。
それもできのいい弟。

ありがたい授かりものだ。

今日はありがたいことが、
重なった。

黙祷しつつ、合掌。

心から感謝し、
惜しみなく努力し続けたい。

みなさんも、
Good Monday!

〈結城義晴〉

< 追伸>

今日の『商人舎magazine』の日替り連載は
「11月第5週の販促企画はこれだ」
ぜひご覧ください。

2013年11月24日(日曜日)

ジジの眠り[日曜版2013vol47]

ジジです。
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ユウキヨシハルのおとうさん、
1週間まえにかえってきました。
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サンフランシスコのホテル。
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ユニクロのむこう。
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Parc 55 Wyndham。
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ボクはずっと、
ねてました。
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あたたかい秋のひだまり。
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おとうさんは、
フライト。
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ながいながい滑走路。
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サンフランシスコ・ベイ。
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ボクはずっと、
ねむっていました。
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サンフランシスコの街。
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パシフィック・オーシャン。
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半島。
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ボクは夢のなか。
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海と雲。
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ちいさなちぎれ雲。
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ちぎれ雲がおおきくなった。
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夢は雲のうえ。
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あつい雲が、
海をおおってしまった。
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雲のかたまり。
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ニッポンは雲のしたでした。
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そしておとうさん、
かえってきました。
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それからも、
すぐに講演。
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インタビュー。
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ボクはまっていました。
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おとうさんは、
ゴルフもしました。
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rikkyoで、
ゼミもしました。
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ボクはずっと、
ねてました。
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あたたかい秋のひだまり。
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おとうさんがいないとき、
ボクはねむっています。
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それがボクの、
しあわせです。
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そして、はたらくことが、
おとうさんのしあわせです。

それでいいのだと、
おもいます。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

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