結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年05月18日(土曜日)

豊島将之新将棋名人誕生と福岡伸一の「how疑問」

将棋界に新名人が誕生した。
豊島将之、29歳の天才。
史上初の平成生まれの名人である。

王位、棋聖の二冠を保有しているが、
さらに棋界最高峰の名人位を獲得。

第77期名人戦7番勝負の第4局を完勝して、
4戦連勝の完全制覇。
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133手目、豊島の6四桂の王手。
ここで佐藤名人が投了。
統領図
豊島将之は三冠となって、
羽生善治九段(48歳)の次の時代の、
令和の王者に名乗りを上げた。

佐藤天彦前名人もまだ31歳だが、
無冠となって出直し。

この令和の攻防も、
藤井総太七段の登場によって、
将棋界全体に活力が生まれた結果だ。

愛知県出身で、2007年に、
17歳でプロ入りしている。
これも超のつく天才だ。

藤井総太も愛知県瀬戸市出身だから、
尾張名古屋が逸材を輩出している。

羽生はもとより、豊島も藤井も、
本当に穏やかな性格で、
誠実な努力家だ。

それが日本の令和時代を象徴するようで、
頼もしいとともにうれしいことだ。

若いのに良い人柄で、
品格が備わっている。

それが日本人の一つの典型となって、
令和時代が幕明けた。

日本の小売流通の世界も、
こんな人材の登場が待たれる。

今日の朝日新聞「折々のことば」
第1465回。

大きな問いに
答えようとすれば、
答えは必然的に
大きな言葉になってしまう。
(福岡伸一)

「人間や生命がそもそも
なぜ存在するのかという問いは重要だが、
その解像度は低い」

生物学者の福岡さんは言う。

「それより身近な現象の有り様を
丹念に見るほうが世界の解像度は上がる」

ビジネスの解像度、
商売や商業の解像度、
それが問題だ。

例えばコミュニケーション。
「その本質は何かと問うより先に、
椅子をどのように並べたらいいか
考えるべきなのだろう」

編著者の鷲田清一さんにしては、
珍しくわかりづらい。

初出は「福岡伸一の動的平衡」
朝日新聞の連載コラムの昨年6月7日版。
タイトルは、
問い続けたい「いかにして」
福岡伸一

「世界の成り立ちの問い方として、
why(なぜ)疑問と、
how(いかにして)疑問がある」

「why疑問文は大きい問いであり、
深い問いでもある」

「なぜ私たちは存在するのか、
なぜ地球はこんなに
豊かな生命の星になったのか。
なぜ家族を作るのか、
科学や芸術を含む人間の表現活動は、
究極的にはwhy疑問に対する
答えを求める営みだ」

哲学といわれるものだ。

「しかしここに落とし穴がある」

「大きな問いに答えようとすれば、
答えは必然的に
大きな言葉になってしまう。
大きな言葉には解像度がない」

たとえば、
「世界はサムシング・グレイトが作った」
Something Greatは「偉大なる何者か」。

「それは結局、
何も説明しないことに
限りなく近い」

気をつけねばならないことだ。

「だから表現者あるいは科学者が、
まず自戒せねばならぬことは、
why疑問に安易に答える誘惑に対して
禁欲すること」

表現者や科学者に限らない。
政治家も経営者も実務家も、
学者もジャーナリストも。

「そして解像度の高い言葉で、
(あるいは表現で)丹念に
小さなhow疑問を解く行為に徹すること」

小さく始めよ。
シンプルに考えよ。

「なぜなら、いちいちの
howに答えないことには、
決してwhyに到達することは
できないからである」

商売にとっては、
この点が極めて重要だ。

日経新聞「私の履歴書」
今月は脚本家の橋田壽賀子さん。
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今日の「亭主関白」の稿で、
ドラマの脚本の書き方の神髄を語る。

「テレビの世界では視聴率は
絶対的なものと思われている。
しかし私はあまり気にしない」

「私が書くものは辛口ドラマと
呼ばれるようになるのだが、
確かにドラマで問題提起をして、
視聴者の共感を呼ぶのは容易ではない」

そこで橋田さん。
(1)身近なテーマ
(2)展開に富んだストーリー
(3)リアルな問題点――
この3つの要素を持っていれば、
必ず視聴者の心をつかむことができる。

福岡さんのhow疑問への回答そのものだ。

これは羽生善治や、
豊島将之、藤井総太の、
天才的行為と同じだ。

彼らの一手一手は、
how疑問への回答である。

そしてこれは、
私たちの仕事のやり方と同じである。

ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ。

「コンビニの見切り問題」への回答も、
ここから解き明かされねばならない。
(明日へ続く)

〈結城義晴〉

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