結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2008年12月18日(木曜日)

岡田元也イオン社長の、考えに考えに考え抜いた「新時代のイオンをつくる」考え

アメリカ合衆国の金融政策が歴史的転換を見せる。
米国の中央銀行の役回りを担う連邦準備制度理事会(FRB)が、
事実上のゼロ金利政策と量的緩和政策を決定。

FRBは日本でいえば、日銀。
Federal Reserve Board、
またはBoard of Governors of the Federal Reserve System。
全国の主要都市に散在する連邦準備銀行を統括する。

この政策は、何よりも金融の信用収縮にストップをかける目的。

米国史上初のゼロ金利。

1990年代以降、金利自由化が進み、
「市場重視政策」がとられてきた。

その大転換。
16年ぶりに日本の政策金利を米国が下回った。

そのため金利が安くなったドルを売り、円を買う傾向が高まり、
またしても円高ドル安。

13年ぶりに1ドル87円台に突入。

激変の世界経済である。

そんな昨日、千葉県幕張のイオンタワー。

イオン㈱社長の岡田元也さんを訪問。

岡田さんは、今年4月17日の商人舎発足の会の発起人。
だから、他の発起人の皆さん同様に、
「商人舎ファミリー」と呼ばせていただいている。

さまざまなパーティで顔を合わせることもあるが、
ゆっくりお話しする機会もなく、
年末のお忙しいときに、時間をとっていただいた。

午後1時から、1時間半ほど。

インタビューではない。

友人としての懇談。

だからまず、私の方の近況報告とお礼。

コーネル大学リテイルマネジメントプログラムには、
ずいぶんと関心を持っていただいた。

私たちは、産業内大学をつくろうと構想した。
この志は、次代のリーダーの養成を目的としている。
志の部分では、岡田さんも同志といえる。

私にとって、この1年ほどは、激変のときであった。
岡田さんにとっても、ものすごく「考えた」1年であったという。

イオンを持ち株会社にした新体制を築いた。
三菱商事との提携発表は、一昨日のことだった。

これは、世界戦略へのスタートを意味した。

真意は、なかなか伝わりにくい。
しかも日本の商業を代表するイオンの意思決定。

政治、行政、産業界、流通業界。

岡田元也の腹の中を探りつつ、動向を注視した。

その中で、岡田元也は、
考えに考えた。

父君の岡田卓也さんの本『岡田卓也の十章』にある。

「考えて考えて考え抜け」

それが岡田元也のこの1年ほどだった。

偶然にも、私も、この1年、
考えに考えた。

そして私は「商業の現代化」という志に至った。

岡田さんは、
「新時代のイオンをつくる」
この思考に没頭した。

「これまで、迷ったことは一度もない」

決断の人、岡田元也。

その岡田さんが、考え抜いた。

そんな時代なのだと、私は感動した。

三菱商事との提携。

イオンは、中国やアジアに、
もうひとつ「新しいイオンをつくろう」と考えた。

ウォルマートやカルフール、テスコと、
真正面から闘う。

そのためのベストパートナーを選んだ。
それが三菱商事だった。

視野は世界に向けられている。

私は、ドラッカー先生がジャック・ウェルチに言った言葉を使った。
ゼネラルエレクトリックの社長だったジャック・ウェルチに。

「あなたは、いま、
ドキドキ、ワクワクする仕事をしていますか。
自分でドキドキワクワクする仕事が、
あなたの会社には、どれだけありますか。
自分でドキドキワクワクする仕事だけしなさい。
ドキドキワクワクしない仕事は、
他人に任せなさい」

さすが、ドラッカー先生。

ここからジャック・ウェルチの、
有名な「選択と集中」の政策が生まれた。

岡田さん、その言葉に反応した。
「ドキドキ、ワクワク、
それからジリジリですかね」
(ニヤリ)

しかし、この「ドキドキ、ワクワク、ジリジリ」の果てに、
この冬から、また走り始める。

岡田元也の疾走。

「社長はすべてを自分でつくる。
もしくはやめるしかない」

岡田さん、社長哲学で、
私との濃密な時間を、結んだ。

刺激的なひとときだった。
私も、疾走しなければ、と思った。

「疾走していなければ、失速する」
亡き宿澤広朗の言葉を、思い出した。

岡田元也さんに感謝。

<結城義晴>


2 件のコメント

  • 2年前、立教大学院で結城先生の授業を受けました田中と申します。当時は銀行に勤めていましたが、現在、小売業と深く関わる仕事をしており、先生のブログを楽しく拝見させていただいています。
    毎日更新は大変かと思いますが、1ファンとして応援しております。

  •    田中さん、お元気ですか。
       小売業と深くかかわって下さっているとのこと、
       ありがとうございます。
       商人舎オフィスに、ご訪問ください。

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