結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年10月26日(火曜日)

カルフール・モンテッソン店、世界最大1万2000坪級ハイパーマーケットの「プロモ・リーブル」作戦

今回は、時差が抜けない。
地球を逆回転で、太平洋を渡り、
さらに大西洋を越えてから、
シベリア回りで帰国した。

いわゆる世界一周。

初めてのことではないが、
だからだろうか、真夜中に目が冴えて、
無理に寝ようとしてうとうとすると、すぐに朝がきて、
その分、日中、眠気が襲ってくる。
ブログ・アップの時間もずれてくる。
今しばらく、ご容赦のほど。

さて昨日は、富山へ講演旅行。
東京から上越新幹線に乗り、
越後湯沢で特急はくたかに乗り換える。

越後湯沢の駅は霧に煙っていた。
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直江津に出ると、そこから延々と日本海沿いを走る。
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富山に着くと、じゆう館へ。
大阪屋ショップの取引先の会「清文会」の記念講演。
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大阪屋ショップは富山県ナンバー1のスーパーマーケット企業。
私のテーマは「製配販協業の軌道」
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ローカル・スーパーマーケットのサバイバルと成長。
そのために、地域の製造業・卸売業といかに協業するか。
私の持論を展開させてもらった。
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半月余りの旅行から帰って、
フィジカルコンディションはよろしくはないが、
テンションは上がりっぱなし。
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ご清聴を感謝したい。

さて今日は、パリ郊外の世界的巨大店舗のレポート。
カルフール・モンテッソン店。
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カルフールは、フランス第1の小売業で、
ウォルマートに次いで、世界では第2位。
年商860億ユーロ、1ユーロ110円換算で9兆5000億円。
2009年度の伸び率はマイナス1.2%。

店舗はフランス国内に5540店ではあるが、
世界33の国と地域に1万5561店を有する。
店舗数だけで見るとウォルマートを凌ぐ。

そのカルフールの国内最大店舗が、このモンテッソン店。
およそ1万2000坪のワンフロア型ハイーパーマーケット。

多層階の百貨店を除けば、世界最大の店舗といえそうだ。

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カルフールは1960年にスーパーマルシェ第1号店を出店し、
3年後の1963年には、非食品強化型のハイパーマルシェを開発している。

これが衣食住フルライン型のセルフサービス店舗として完成され、
やがてアメリカではウォルマートのスーパーセンターに進化した。

日本では、ダイエーを始めとする総合スーパーとして発達したが、
日本はいち早く業態の成熟期から衰退期にはいってしまった。

アメリカのウォルマートは現在、 飽和を迎えつつも、
最強フォーマットとして君臨し、
フランスでもハイパーマーケットは必須のフォーマットである。

入口を入ると、モール・スタイルになっている。
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各種専門店が誘致されている。
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しかし何といっても凄いのが、直営のハイパーマーケット。
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「PROMO LIBRE」という一大作戦を敢行中。

フランス国民にとって必須のフォーマットであるものの、
ここ数年、ハイパーマーケットも売上げが上がらなくなっていた。

もともとカルフールは、
「PRODUITS LIBRE」という方式を34年間続けてきた。
「よりどり商品」とでも訳したらよいか。

それを 「PROMO LIBRE」に大転換。
「よりどり値引き」とでも言うべきプロモーション。

「値引き商品を決めるのはあなただ!」と銘打つ。

カルフールでは、お客が自分で値引き品を選ぶことができる。

その原理とは?

競合他社のように、割引き商品をお客に強要するのではなく、
顧客カードを持っているお客に、
割引き商品を自由に選んでもらおうというもの。

ロイヤル・プログラムの一種と考えてよい。

この戦略は今年2月16日から、
1年前に着任した副社長のラルス・オロフソンによって始められた。

対象の650品目から、
お客が3品目選ぶと、
顧客には、その割引差額がキャッシュバックされる。

週ごとにその対象となる棚が変わる。

まず朝食の棚から始まったが、
食品以外の売場でも商品を選ぶことができる。
例えば家電小物は20%引きで提供されている。

カルフールには割高というイメージが出来上がりつつあった。
マクネア教授の「小売りの輪」仮説のようになりかけていた。

しかし、この「よりどり割引き」作戦によって、
価格面において攻撃的に出ることを可能とさせた。

オロフソンは語っている。
「診断は終わった。
我々は今、提案をしているところだ」

カルフールは231店のハイパーマルシェを持つが、
それが売上げ総額の半分を記録している。
そのハイパーマルシェが、
「よりどり割引」によって、回復しつつある。

さて、店内を巡ってみよう。
まず、モール通路からレジを臨む。
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店舗左翼の半分くらいが食品。
まず、ベーカリーの売場。
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3ユーロのパンが山積み。
これがすごいボリューム。
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右手には乳製品、チーズのコーナー。
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ベーカリーの奥に精肉売場が連なる。

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左翼壁面沿いに対面売場。
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その右手がセルフサービス形式のコーナー。
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畜種別、メニュー別に、コーナーがつながる。

カルフールは、
重点販売方式といわれる単品強化型のプロモーションを得意とする。
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精肉売場の前面には、
平オープンケースの重点販売コーナーが設置されている。

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さらに乳製品の裏側には、対面のデリ売場。
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グルメの国フランスだけに、デリカテッセンは豊富な品揃え。
1万2000坪のハイパーマーケットだけに、
重点販売方式をとりながら、そのうえで品揃えが深く、広い。
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小型パックのソーセージがエンドに積まれている。

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ロテサリー・チキンの売場。
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簡便商品のコーナー。
キャセロール料理などが並ぶ。
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こちらはホットデリ・コーナー。
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ハムの塊が並んだ平ケースのエンド。

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ベーカリーから始まって、精肉や乳製品、デリ、鮮魚とくる。
そのあとで、店舗中央あたりに、
一大ファーマーズマーケットのように青果部門が位置付けられている。
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「よりどり割引」展開の野菜売場。
キュウリもクレートに盛り付けられている。
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売場で盛んに使われているクレートは、EU共通。
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葉物野菜も重点販売方式。
すなわち単品大量販売。
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単品大量で、作業効率の良い売場づくり。
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陳列棚の前面にさらにクレート陳列。
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手前はピーマン、パプリカ。
向こうは柿。
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青果部門の最後に、サラダ・パックは多段ケースに並べられている。

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青果部門が終わったら、グロサリー。
ながーい奥壁面沿いのコーナー展開と、内側のゴンドラ・アイルとを、
交互に覗きながら1万2000坪のハイパーマーケットを歩いてみよう。

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よく売れている菓子売場。
エンドにはスーパーマリオのキャラクター菓子。

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エンドはヴィッテルの水のエンド。
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カルフールの重点販売が良く表れた売場。

壁面は同じく、ペットボトルの水の売場で、呼応させている。

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リカーコーナー。
前面に高級ワインを詰め込んだアイランドケースが立っている。

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本場フランスワインのコーナー。
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エンドには箱入りビール。
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エビアンもフォークリフトで運ばれ、そのままパレット陳列。
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フランス人は飲料をよく飲む。
ソフトドリンク売場も巨大だ。
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酒・ソフトドリンクの一角が終わると、いよいよ雑貨から非食品に入っていく。
このエリアが、スーパーマーケットと異なり、
生活全般にわたるワンストップショッピングを可能としている。

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雑貨のゴンドラの先には、いよいよ衣料品売場。
雑貨と衣料の間に、冷蔵の飲料ケースがあり、
さらにその隣に搬入口がある。
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店舗奥壁面沿いを延々と、店舗右翼の方まで、
実用衣料の売場が伸びている。
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壁面に上下2段のハンガー陳列。

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その対面のエンドには室内履きやスリッパのハンガー陳列。

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アウター衣料の一部も品揃えされている。
その前にハンガーにかかった紙袋。

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内側の売場には、これもリングハンガーで 女性用のニット。

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アイルにはTシャツがボリューム陳列。

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そして奥主通路の壁面沿いに試着室がある。

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園芸用品売場も、奥主通路にめり込んだ形でコーナーがとられている。

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玩具売場はハイパーマーケットの核カテゴリーのひとつ。

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「oui」は「ウィ」。
「yes」。
中通路には「oui」だらけ。
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自転車売場も定番で、壁面から内側に向かって設けられている。

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奥壁面には、搬入口が直接、設置されている。
外には在庫スペースはない。
だからほとんど全商品を店頭に陳列していることになる。

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家具は、軽家具ともいうべき品揃え。

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ぬいぐるみもゴンドラ陳列。
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店舗右翼に向かって最後の一角はウッディな床。
ここに家電コーナーが設けられている。

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ゴンドラアイル内を見ると、書籍雑誌コーナー。
子供たちが座り込んで、読んでいる。
「立ち読みではなく、座り読み」。
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奥壁面にテレビ売場がみえる。
映像機器は売場のマグネットになる。

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1万2000坪のハイパーマーケットの奥壁面沿い。
向こうの端まで見渡せない。
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そして店舗右翼面。
家電売場によって構成されている。

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白物家電は、店舗のレジに向かった側に広いコーナーどり。

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ベッド売場も店舗を縦断している。
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そして「ソルド」のコーナー。
セール品の売場。
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これはいわゆる「バーゲンセール品」

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店舗を右翼から左翼に横断する中通路はやはり広い。

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店舗中央の入口に向かって、非定番のシーゾナル島陳列が続く。

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客層は極めて広い。
フランスにはイスラム教徒も多く住んでいる。
ハイパーマーケットは最も広い客層を飲み込んだフォーマットである。

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世界最大級のハイパーマーケット・モンテッソン店。
売上げが上がりにくいといっても、
この店は例外だ。

パリ郊外の新都市ラ・デファンスの、
さらに外側の新興住宅地。

そこで独占に近い状況で商いし続ける。

フランスには1996年に施行されたラファラン法という出店規制法がある。
このモンテッソン店は、厳しい規制の中で誕生した最大店舗。
しかも、典型的なサバブ立地。

繁盛しないはずはない。
地上駐車場は当然のこと、
地下駐車場も満杯。
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今年度から始まった「よりどり割引」作戦への大転換は、
この世界最大ハイパーマーケットにもうひとつのパワーを与えた。

「繁盛」とは何かを、
まざまざと見せつけてくれる店。

この店舗を訪れるだけで、
元気の素を分けてもらったように感じられる。(つづきます)

<結城義晴>


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