結城義晴のBlog [毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年5月8日(火曜日)


フランス大統領選第2回投票で、
現職のニコラ・サルコジが負けた。

勝ったのは社会党のフランソワ・オランド。

ともに57歳。

得票率は、
オランド51.68%。
サルコジ48.33%。

オランドは勝利宣言のメッセージ。
「仏国民は変革を選んだ。
私はすべてのフランス人の大統領になる」

サルコジは、この結果を、
「『民主と共和』に基づいたフランス国民の選択」
「全ての責任は私にある」
潔い。

そしてオランド新大統領への電話でのコメント。
「試練の中での幸運を祈る」

ともに、気分のいい発言で、
こちらも気分がよくなる。

一方、ギリシャ総選挙は、投票、即日開票。
暫定政権を担っている二大政党が後退。
政権はますます不安定になる。

さらに、ロシア・モスクワでは、
ウラジーミル・プーチン大統領の就任式。
民主化の遅れと対欧米強硬姿勢が懸念される。

フランスは社会党で左向き、
ロシアは保守化で右向き、
ギリシャは渾沌。

三者三様のヨーロッパ情勢。

「欧州では左翼、右翼という政治区分は時代遅れで、
『ローカリスト』と『グローバリスト』という分け方が
現実に近い」

日経新聞のコラム『一目均衡』。 
特別編集委員の末村篤さんが、
「経済成長のパラダイム転換」と題して、
大上段から語り下ろす。

「経済危機が社会不安に発展し、
財政と雇用のトレードオフが政治問題化した欧州で、
経済成長のパラダイム転換への動きが台頭している」

「危機の打開には成長が不可欠というロジックは、
『改革なくして成長なし』と似ているが、
成長の中身も改革の中身も異なる」
どう違うのか。

国際労働機関ソマビア事務局長の言葉を引用。
「労働を生産コストと捉え、競争力と利益を最大化するために、
できるだけ低く抑えねばならないと考え、
少数者への富の偏在を招いた現在のモデルから、
人々の福利増進と格差是正を主目的とし、
生み出された良質の仕事の量で成功が測られる
異なるタイプのモデルへの転換が必要とされている」

つまりは、「新自由主義的政策」に対して、
対照的な「新社会民主主義の思潮」の台頭。

そしてフランス大統領選挙を持ち出す。
「民主政治の振り子も揺り戻し始めた。
仏大統領選を制したオランド氏は『60の約束』で、
生産と雇用と成長を最優先課題に掲げた」

一方、「米国を筆頭に先進国の多くで
空前の企業利益と戦後最悪の失業率の併存現象が広がる」。

結びの言葉は、
「危機の深化とともに
『むき出しの資本主義』を『人間の顔をした資本主義』
軌道修正するパラダイム転換の可能性も高まる」
難解な言い回しのコラムニストだが、
おそらく社会民主主義者だろうということは、
わかる。

企業は太る。
人々は細る。

この10年の経済政策の結果、
深まった危機。

「人間の顔をした資本主義」が、
この危機を救うというのが、
コラムニストの主張。

そのアメリカの失業率が下がってきた。
これも日経新聞朝刊。
「米失業率改善は本物か」

4月の失業率は8.1%。
前月から0.1ポイント低下。
なんと3年3カ月ぶりの低水準。

小売りサービス業が貢献しているに違いない。

昨2011年8月には9.1%だったから、
8カ月で1.0ポイントも低下。

アメリカの中央銀行「連邦準備理事会イエレン副議長も、
「謎(puzzle)だ」と発言。

2011年の実質成長率は2%を下回る。
そんな中で失業率が急低下。

失業率と成長率の間には「オークンの法則」がある。
「一国の国内総生産(GDP)が
潜在産出量より1%小さくなる度に、
失業率が約0.55%上昇する」
という経験則。
今回はそれを大きく逸脱し、
「特殊事例」のように見られる。

不思議な現象が頻発する。
そんな時こそ、
パラダイムの転換が起こる。
良い方向にあると期待したい。

さて、先々週訪れた㈱ロピアの店舗。
素晴らしい。

ゴールデンウィークが終わって、
やっと紹介できる。

ロピア小田原高田店は、
昨年11月にオープンしたロピアモールの核店舗。
モールの総売り場面積は6081㎡。
県道717号線高田入口交差点そばの工業団地の中に位置する。
20120508140120.jpg

モールには、ドラッグストアのクリエイトSDと、
ホームセンターのカインズホームがはいっている。
20120508140132.jpg

ロピアのファサード。
新CIを導入し、
デザインを一新。
20120508140152.jpg

壁面にはロピアの経営理念が掲げられている。
20120508140204.jpg
ロープライスのユートピア。
楽しくて感動的な店づくりを目指す。

入り口には、ショッピング・バッグの説明。
大切なインフォメーションだ。
20120508140216.jpg

入り口の両サイドには、今日のお奨め商品が、
什器に1アイテムずつ並べられて単品量販。
20120508140229.jpg

左サイドでも単品量販。
20120508140240.jpg

入ってすぐに青果売り場。
最初にバナナの木をプレゼンテーションしたプロモーション・コーナー。
20120508140258.jpg

青果売り場は、果物のコーナーから入る。
20120508141633.jpg

左壁面にはトマトのコーナー。
圧巻の陳列。
20120508140352.jpg

野菜の導入部は、季節のお買い得野菜。
新玉ねぎ1個、19円。
20120508141553.jpg

可動式の什器に投げ入れ陳列で量販する。
20120508141538.jpg

さらに壁面には季節の野菜が続く。
ごらんの通りの、1什器1アイテムでの販売。
そしてこの価格。
20120508140409.jpg

きのこ類は平台での展開。
20120508140435.jpg

ロピアのPOPは大文字が多い。
遠くからでもおすすめ商品の価格が一目でわかる。
20120508193825.jpg

青果売り場から精肉売り場への導入部には、
ハム・ソーセージがこのボリュームで並ぶ。
20120508140457.jpg

その主通路の対面は、冷凍食品のリーチインコーナー。
20120508142619.jpg

ロピアの強みは精肉部門。
もともと「ユータカラヤ」という精肉店から始まった。
まさしく核部門が食肉ということになる。
20120508140856.jpg

お客はお買い得商品の平ケースに、
どんどん吸い寄せられる。
20120508140914.jpg

広告の品の牛豚合挽肉100g50円。
20120509181416.jpg

この日は雨。
雨の日サービスの若鶏手羽元は100g29円。
20120509181610.jpg

対面売場では、牛肉を販売。
20120508140936.jpg

この店はいたるところにぬいぐるみが置かれている。
ぬいぐるみがセシウム不検出の情報をながす。
20120508141152.jpg

壁面にはロピアのマスコット「ロピタ」。
天井から大判のPOPが大量に掲示されている。
墨文字でデザイン性が高いため、うるささを感じさせない。
むしろ、お店の特徴になっている。
20120508141140.jpg
タイル壁面には、フライパンなどの調理器具が
プレゼンテーションされていて、楽しい。

小田原高田店では、特別に松阪牛コーナーを設け、
お客を誘引している。
20120508141210.jpg

精肉売り場に面するエンドは、焼き肉のタレのエンド。
20120508142417.jpg

精肉売り場から鮮魚売り場へ。
売り場のカラーは、精肉売り場の赤から、
ガラッと青へと変わる。
20120508193737.jpg
ロピアは最近、特に鮮魚売り場に力を入れ、
その成果が表れ始めている。

天井からレールを吊り下げ、模型の電車が走っている。
アメリカのウェグマンズのような仕掛け。
20120508142452.jpg

ガラスで仕切られているが、作業場が見える。
メバチマグロのぶつ切りにお客が群がる。
20120508194124.jpg

鮮魚売り場の奥には、
惣菜売り場を示すオレンジのロピア・ロゴ。
20120508141252.jpg

コンコースの平台では寿司の販売。
20120508141418.jpg

サービス品の魚萬ランチ握りずしは10貫399円。
20120508210025.jpg

視察をしたのは、雨の金曜日、
それも午前中。
よくお客が入っている。
平台では弁当の販売。
20120508141337.jpg

ロピア自慢の肉の揚げ物コーナー。
大皿でのばら売り販売。
20120508194845.jpg

墨文字のPOPで自家製キャベツ・メンチカツを訴求。
専任のPOP作成担当が手書きでつくる。
20120508194954.jpg

平台で販売する自家製おにぎり。
20120508195229.jpg

その壁面は日配コーナー。
20120508141951.jpg

そして青果の反対側の壁面は牛乳、飲料などのデイリー売り場。
売り場カラーは黄色に変わる。
20120508141907.jpg

果実ゼリー98円も、この通り1什器1アイテム。
20120508141855.jpg

ベーカリー売場。
ぬいぐるみが空を飛ぶ。
20120508142234.jpg

芳醇食パン98円は、これだけの量を並べるが、
補充に忙しい。
20120508210009.jpg

冷凍食品売り場は、全品半額。
20120508210102.jpg

そして主通路の最後は卵売り場。
20120508142046.jpg

水の売り場。下段ではケース販売。
20120508142203.jpg
そして売り場の真ん中に設けられた菓子売り場。

20120508142256.jpg

ここでも、おすすめ品は、
1什器1アイテムの単品量販を貫く。
20120508142151.jpg
「単品量販」がロピアの特徴。

お米のコーナー。
20120508142135.jpg

そしてチェックスタンド。
20120508142517.jpg

ほとんどのお客が二段カートに、かごを2つセットして店に入る。
20120508142334.jpg

そしてお客は、かごいっぱいの買い物をする。
20120508205031.jpg

小田原店に限らず、
ロピアは「1坪1000万円」のシンプルな目標を立てる。
そしてそれを実現させる。

だから500坪の店ならば、年商50億円。
小田原高田店のように、600坪ならば60億円。

高木勇輔専務は、語る。
「ロピアは分かりやすくてシンプルなんです」

しかし1坪1000万は、
並大抵のことでは実現しない。

精肉と青果を核部門にして、
鮮魚も強化する。

加工食品、菓子、日配品は低価格を徹底。

そうすると客数が増える。

客数が増えると、
商品回転が高まる。

商売が易しくなる。

シンプルで易しい商売。
それが実現される。
ロープライスのユートピア。
ロピアのネーミングの由来。

同じ商品ならより安く。
同じ価格ならより良いものを。

私はこの店を訪れて、
アメリカの1930年を思い出した。

ご存知、マイケル・カレンの「キング・カレンの店」。
スーパーマーケット最初の店舗。
『最新型高級車にお乗りの方も、うば車をお引きの方も、ご来店歓迎。
流行遅れのお召物でも、そのままお気軽に、さあ、さあ、どうぞ!
金曜午後九時、土曜午後十時まで営業』

『大衆に直結した廉価販売のチェーン方式で、
三〇〇品目は仕入原価、二〇〇品目は5%を、
三〇〇品目は15%を、三〇〇品目は20%を、
それぞれ仕入れ原価にかけた値で売ると、
世の人達は、わが店の入口を破って乱入するでありましょう』

ロピアにはこのキング・カレンのにおいがする。
革新的なスーパーマーケットは、
カレンの言う「大衆に直結した廉価販売」
その「チェーン方式」の原点を持つものなのだ。

<結城義晴>

2012年3月2日(金曜日)


昨日、大阪から帰ったら、
片隅に少しだけ雪が残っていた。

今日は朝、羽田空港国際線ターミナルに集合。
立教大学大学院・結城ゼミ第3期生の修了旅行。
総勢8人の動きやすい旅。
台湾へ向けて出発。

ラウンジで、朝からビール。
20120302090452.jpg
みな、元気いっぱい。
楽しみです。

さて昨日は大阪。
3月1日オープン当日の阪急オアシス野中北店。
大阪市北西部の阪急電鉄三国駅から徒歩圏に位置し、
マンションの1階に居ぬき出店した。
関西スーパーが撤退した後の物件。
20120302050753.jpg

この日は人出がひと段落する2時ごろに訪れたが、
開店の賑わいはごらんの通り。
20120302050838.jpg

入ってすぐに青果売り場。
地産地消を謳う「おひさん市」。
20120302050813.jpg
現在、1000軒余りの農家、生産者と契約して、
商品供給を受けている。

入り口に並べられたイチゴ1パック298円がオープンの目玉商品。
補充したとたんにお客が手に取り、飛ぶように売れる。
20120302052009.jpg

右手壁面には「おひさん市」の果物や野菜が木製多段什器に並ぶ。
20120302050909.jpg

「採れたての安心・安全でおいしい生産者直売」。
「おひさん市」のボードの下には、
生産者の顔写真が名前入りで掲げられている。
顔の見える商品として大人気だ。
20120302050927.jpg

そして果物のカラーリング陳列の見事さ。
阪食の陳列技術の真骨頂。
20120302051304.jpg

野菜のばら売りコーナー。
1個単位で販売する。
手間暇がかりそうだが、
少人数世帯、単身世帯のお客には大好評。
20120302051110.jpg

トマトやさやブドウ、えんどう、天心甘栗など
ばら売りのアイテムも増えた。
20120302051059.jpg

青果売り場から鮮魚売り場へ。
20120302050951.JPG

ガラスで仕切られているが、
作業がみえるたオープンキッチンスタイル。
バックヤードの床を高くして、
作業状態を顧客が見上げる形にした。
ホールフーズが、
シアトルのパイク・プレイスの魚屋から学び取ったやり方と同じ。
だからマグロの解体ショーなどもよく見えるようになっている。
20120302051008.jpg

長崎県産地直送の鮮魚。
20120302051043.jpg
長崎県知事の肝いりで、
3つの島と4つの漁港から商品が途切れることなく供給される。

平ケースには、阪食が強化するハーフデリ商品。
半加工品から、最後に自宅で焼くだけの商品までそろう。
20120302051033.jpg

魚屋の鮨「魚彩」。
フレッシュな鮮魚をネタにリーズナブルな価格で提供する。
20120302051210.jpg

奥壁面に沿ってミート&デリの精肉売り場、
まず、とんかつなどの揚げ物コーナー。
20120302051544.jpg

揚げたてのとんかつは試食でお勧めする。
20120302051638.jpg

売り場の平台では、黒毛和牛の牛めし550円などのミートデリを販売。
20120302051425.jpg

主通路に設けられたキッチンステージではメニュー提案。
20120302051509.jpg

奥壁面の最後のコーナーは、
ワインとチーズ売場。
20120302051451.jpg

一角には、日本酒の島陳列。
20120302051621.jpg

そしてデリ&ベーカリーのコーナー。
20120302063305.jpg

惣菜は大皿に盛られたばら売り。
20120302063412.jpg

そして左壁面が惣菜売り場。
各売り場ではインカムをつけたスタッフが、
おすすめ商品をアピールする。
20120302051529.jpg

その前の主通路には、弁当類が並ぶ。
ごらんの通りの人。
20120302051248.jpg

平ケースのいちま鮨、
平台の和菓子コーナー。
什器使いにも常に工夫が加えられ、
洗練されてきた。
20120302051723.jpg

どれでも105円のインストアベーカーリー・コーナー。
20120302063249.jpg
コモディティ・アイテムは、
しっかり低価格をアピールする。

そして店舗最左翼左壁面最後に設けられた無料のレストスペース。
20120302063322.jpg

中央に配置されたグロサリーは低めの什器。
20120302051858.jpg

什器の上部には、
使用シーンをわかりやすく表示。
20120302051847.jpg

阪食では価格表示をおおきな文字で表示している。
高齢者にも見やすく、わかりやすい。
オリーブオイルの品ぞろえは、豊富。
20120302051942.jpg

阪食自慢のカレーコーナー。
阪食百貨店大食堂の名物カレーは1周年で10万食。
阪食の強みは、阪急ブランド。
この自社の「強み」、他の模倣を許さない商品は、
強烈に訴求する。
20120302063623.jpg

レジは6レーン。この日はダブル台でフル対応。
20120302051953.jpg

㈱阪食の千野和利社長と、
商品統括部志水孝行部長。

20120302051930.jpg
千野さんとは、
ポジショニング戦略について、
じっくり語り合った。

それがすなわち、
本当の「ブルー・オーシャン戦略」になっている。
つまりは簡単には模倣できない店づくり、売り場づくりを、
実現させ続けること。

そのために持続的な小さなイノベーションは、
欠かせない。

一方、この日は、
ひと月前の2月1日にオープンした
阪急オアシス平野西店
も視察。

大阪市南部の平野区は職住一体型の下町エリア。
800㎡の意欲的な小型店。
20120302065011.jpg

屋上駐車場42台だけの店だが、
近隣2キロ圏からの自転車客が多い。
足元商圏は2万4000人弱。
しかしポイント5倍セールのこの日は、
つぎつぎにお客が自転車をこいでやってきて、
駐輪場はあふれんばかり。
20120302065042.jpg

入り口を入るとご覧のひとだかり。
2週間目のポイント5倍セール日には、入場制限をしたという。
開店後ひと月が経過しても、
応援部隊が必要なほどの混雑ぶり。
20120302065627.jpg

次から次に顧客がやってくる。
カートが足りなくなるほどの来店客だ、
20120302065100.jpg

この平野西店では、青果部門の真ん中に、
加工スペース設けられた。
20120302072355.jpg

鮮魚売り場は長崎県と提携して、
常に鮮度抜群の商品が品切れしない。
20120302065139.jpg

寿司の商品化が間に合わず、
それでもお客が売場の前で出来上がるのを待っている。
20120302065119.jpg

平台の商品に群がる人人。
20120302065149.jpg

そして精肉売り場。
20120302065235.jpg

ここでも主通路は身動きできないほどの人。
20120302065353.jpg

デリ&ベーカーリー売場。
お客は主通路にあふれている。
20120302065423.jpg

ベーカリー売場にまで達したレジ待ちのお客。
20120302065507.jpg

こちらにもレジ待ちのお客。
20120302065539.jpg

これだけの来店客をいかにさばくか。
これが平野西店の課題になる。
20120302065528.jpg

それにしてもよく入っている。
高度成長時代のダイエーの店では、
並べた商品が飛ぶように売れた。
そんな風景をおもいだすほど、
平野店にはお客が殺到していた。
20120302065554.jpg
驚いたし、感動した。

阪急オアシス平野西店の近隣には、
万代、ライフストア、サンディ、玉出など、
激戦が繰り広げられている。

その真ん中に飛来した阪急オアシス。
異次元の競争を展開することで、
このエリアにも、こういったニーズが潜在することを証明した。

㈱阪食は、
エイチ・ツーオー・リテイリングのスーパーマーケット部隊。
2010年度年商898億6700万円。

千里中央店から始まった新しいフォーマットが成功をおさめ、
レギュラータイプの1500㎡から1200㎡、
そして900㎡、800㎡までのそれぞれのタイプを、
採算に乗せてきた。

千野社長は、
これからは「人が大事です」と言い切った。
その通りだと思う。

私は付け加えた。
「最後は商品の勝負になります」。

店とフォーマットが確立された、
人と商品。

この軌道に乗せるまでが、
本当に苦労の多いひと仕事だが、
軌道に乗ったら油断せず、
人と商品の充実に邁進する。

店や売り場の改革ほどに、
目に見えて成果が上がるという類の課題ではない。
しかし、人と商品こそ、
模倣のできない真のポジショニングをつくるものである。

この日、案内してくれたのは㈱阪食の松元努常務。
昼食は、なにわ筋にあるシチリア料理「ラ・クッカーニャ」。
20120302074239.jpg
素材を生かした調理で、本当においしかった。
松元さんに、心から感謝。

<結城義晴>

2012年2月25日(土曜日)


今月の商人舎標語。
一心不怠 成長無限。

常にこの心持で、
何事にも邁進したい。

昨日から細貝理栄さんとご一緒。
第一屋製パン㈱代表取締役社長。
商人舎発足の会の発起人のおひとりでもある。
20120225171153.jpg
その細貝さんの第一屋製パン。
トヨタ生産方式(TPS)によって、
目覚ましい成果を上げている。

成果は2011年12月期決算に如実に表れた。
連結最終損益は従来予想3億5000万円の赤字だったものが、
3500万円の黒字へと転換。

細貝さんは語る。
「提携する豊田通商から専門家400人の派遣を受けた。
昨年4月に主力工場でTPSを導入。
それを全工場に広めた。
人の配置や製造工程、発注プロセスの見直しなどを、
地道に地道に重ねた」

「何も難しい言葉は使わない。
しかし小さな改善を徹底して行う」

まさに「一心不怠」。

「トップが率先して改善に取り組んでいるが、
上からの命令ではなく、
現場がやる気になっている」

この工場段階でのTPSは、
今後、営業現場や業務管理にも活用される。

マネジメントは大きく5つに分けられる。
第1がストラテジック・マネジメント。
経営戦略に関するマネジメント。

第2がプロダクト・マネジメント。
これが製造業の場合、
工場現場におけるマネジメントで、
第一屋製パンはこのイノベーションを果たした。

小売業ではオペレーション・マネジメントと呼んでいい。
サミットのレイバースケジューリングは、
オペレーション・マネジメント改革の成功例だ。

第3は、マーケティング・マネジメント。
フィリップ・コトラーの言う如く、
「マーケティングは組織で行う。
従って、マーケティング・マネジメントが重要になる。」

第4はフィナンシャル・マネジメント。
財務に関するマネジメント。

そして第5がヒューマンリソース・マネジメント。
組織で働く人間、経営する人間に関するマネジメント。

細貝さんは、第2のプロダクトマネジメントを、
TPSによって成し遂げ、
それを組織文化に変えようとしているのだと思う。

さて、昨日の続きのフランスのピカール。
20120224142120.jpg
冷凍食品の商品開発・デリバリーから小売りまで、
一貫した事業を展開。

いわばユニクロの冷凍食品版。

ご覧のように、アイスクリーム・ケースがずらりと並んだような店内。
20111215174604.jpg

リーチインケースではないところが、
ピカールの特徴。
20111215174616.JPG

延々と冷凍ケースが並ぶ。
20111215174759.jpg

825店すべてが標準化された店づくり、売り場づくり。
20111215174816.jpg

ワンウェイコントロールの客動線。
20111215174903.jpg

店外とはガラスで仕切られ、
あかるい雰囲気をつくる。
20111215174939.jpg

青果・シーフード・精肉、半加工品、乳製品、パン、惣菜、デザート、菓子。
スーパーマーケットの食品部門で、
冷凍化できるものはほぼすべて1000品目の中にある。
20111215175009.jpg

オペレーションは、ケースの中に陳列するだけ。
しかも生鮮食品やデイリー食品と比べて、
鮮度管理も楽だ。
20111215175024.jpg
生鮮食品は、鮮度のいいうちに瞬間冷凍すれば、
むしろ生鮮のまま流通させるよりも、
鮮度レベルが高い。

顧客からも「ピカールは鮮度がいい」と評判。
そして「冷凍でもおいしい」。
いや、「冷凍だからこそおいしい」。

サインやPOPも洗練されていて、
しかもシンプル。
20111215174630.jpg

商品名、価格がわかりやすく、
料理の写真も掲げられて、
メニュー提案がなされている。
20111215174644.jpg

レシピはこんな感じ。
20111215174659.jpg

平ケースであることの意味は、
店内の見通しの良さと、
このショーカードやPOPの見易さ。
20111215174714.jpg

商品パッケージ・デザインにもフランス流の洗練ぶりが見られる。
カルフールやオーシャンのプライベートブランドとは、
どこか違っていて、量販商品というイメージがない。
しかし単品量販であることは間違いない。
20111215174737.jpg

ピザは大人気商品で、
とてもおいしいそうだ。
20111215175035.jpg
フランスのデータでは、
パリをはじめとした都市部に住む25歳~49歳の女性の約8割が仕事を持つ。
そんなワーキング・ウーマンたちに絶大な人気を誇る。

約1000アイテムの内訳は、
素材から半加工・加工食品・デザートまでの冷凍食品。
シーフード20%、青果20~30%、精肉20~30%。

1人用、2人用からファミリー用まで、
必要量に応じたパッケージングの商品が揃う。
さらに家庭での保存・使用方法などもレクチャーされている、。

半加工品は、「素材の皮をむいたり、切ったりする手間がはぶける」
ピカールは、冷凍食品の製造小売業。
だから製品製造は冷凍食品メーカーに仕様書発注される。

その委託メーカーは、
75%がフランス国内の企業、
25%がヨーロッパ、南米産もあるし、
最近はアジアの食材も品揃えを広げている。

価格は、値頃を追求する。
野菜やシーフードなどには、
生鮮食品の半額に近い商品がある。

さらに電話とインターネットによるカタログ注文販売にも力を入れる。
冷凍食品の強みを徹底的に発揮したビジネスモデルである。

ピカールは、もともとが氷屋だった。
それが戦後、冷蔵庫・冷凍庫の普及で、
そのハードウェアを売るとともに、
冷凍食品も売り始めた。

だからの特徴の第1は、
冷凍の専門家であること。

その強みを徹底的に活かす。

第2は、この店だけですべてが揃うことを狙わないこと。
つまりコンプリートストアであることを放棄したモデル。

近隣にカルフールのハイパーマーケットや、
カルフール・マーケットのスーパーマーケットがあったほうがいい。
補完関係の中で、冷凍食品は安くてうまい。

第3は小型店の多店化が実現されていること。
従って出店スピードは、速い。
フランスにはラファラン法という出店規制法規がある。
だから大型店は極めて出店しにくい。

ピカールの出店スピードは、いま、
図抜けている。

つまりリミテッドアソートメントストアということになる。

アメリカで言えば、トレーダー・ジョーと同じグループ。
従って、日本のコンビニとは対極にある小型店。

面白いフォーマットが発達したものだと、
つくづくと感心させられる。

<結城義晴>

2012年2月24日(金曜日)


一昨日の水曜日、
林廣美先生がTBS系「ひるおび!」に、
テレビ出演。

本格ハンバーグを紹介。
そのレシピは1人前80円
お元気です。

このサイトへのアクセス数が突然、跳ねるので、
ああ、そういえば林先生が出るんだった、と気づく。

今日のブログ「林廣美の今週のお惣菜」は、
181回を数える。
このホームページ右段にtodayと出ている。

「野菜が高い!
でも食べたい」
そんな顧客に「野菜たっぷりチキン南蛮」
そのシリーズ①

林先生は本物のコンサルタント。
ご自分の深くて長い経験をもとに、
自分で考案し、自分で提案する。

これぞ本物コンサルタント。

それでいて実に謙虚で、
「俺が俺が」がない。
お役立ちを優先する。

いつまでもお元気で、
頑張って欲しいものだ。

さて日本銀行が、
消費者物価上昇率1%の「目途」を掲げ、
金融緩和の追加処置をとったら、
1ドル80円と円高へと逆転し、
株価も上向き傾向。

インフレ・ターゲット論は、
確かに効果がある。

アメリカの連邦準備理事会(FRB)は、
2%のゴールを明示し、
下限を1%に設定しているが、
ポール・グルーグマン教授に批判されていた日銀も、
おずおずと1%。

昨日の予算委員会で自民党の中川秀直衆議院議員が、
日銀白川方明総裁と野田佳彦首相を追求。
しかしそれでも、日銀の姿勢を市場が評価した。

政治に関しては、
小沢一郎に復権の兆し。
秘書に対する検察の供述調書が証拠不採用。
俄然、小沢の「ドヤ顔」がクローズアップされた。

昨日の一面トップと、
今日のオピニオン欄で、
朝日新聞は小沢一郎を取り上げた。
これまで反小沢の急先鋒だった同紙は、
「朝日、小沢に白旗」などと揶揄されている。

さて今日は、フランスの「ピカール」
20111215174539.jpg
「PICARD」と綴って、
「ピカール」と発音する。

「フローズンフード・ストア」のナショナルチェーン。
つまり冷凍食品専門店チェーン。

または「フリーザー・ストア」、
あるいは「フリーザー・センター」。
20111215175050.jpg
林先生がフランス人なら、
きっとピカールだけでつくるお惣菜を考案するに違いない。

そのくらい、いい店。

そしてスーパーマーケットにとって、
大いに脅威となっている。

この店は、パリの西側の郊外。
ラ・デファンスの外側。

マンションにかこまれた近隣型ショッピングセンターの一角にあって、
広場を挟んだ反対側にスーパーマーケットがある。
カルフール・マーケット
20111215174450.jpg

生鮮食品、乳製品、加工食品、雑貨のフルラインの店で、
「地域の台所代わり」の役を果たしている。

もちろん冷凍食品売り場もあって、
今では珍しくなったセミ多段ケースで販売されている。
20111215174503.jpg
しかし、妙に冷凍食品売り場は狭い。
それはピカールのせい。

ピカールの隣には、
嗜好食品の店ニコラスがある。
20111215174523.jpg

ピカールの店に入ると、平冷凍ケースがずらり並んで、
「もしかしたら冷凍ケースショップ?」と勘違いしそう。
20111215174918.jpg

入り口にレジがあり、
オペレーションはたった一人。
20111215174551.jpg
究極のローコスト店舗。
店舗面積は150坪くらい。

昨2011年段階で、
なんと店舗数825店。

1906年に製氷販売会社として創業。
創業者はRaymond PICARD(レイモン・ピカール)。
そこから社名、店名が採用された。

電気冷蔵庫が発明される前の時代。
カフェやレストラン、家庭向けに氷を卸した。
日本にもあった「氷屋」。

第二次大戦後、冷蔵庫が普及。
家庭用冷凍庫も登場。

そこで1962年、ピカールは冷凍食材と冷凍庫を販売し始めた。
10年後の1971年、冷凍食品のカタログ販売スタート。
このころ約300アイテムがあった。

1987年、ピカール直営店舗は100店舗。
パリから地方都市へと出店攻勢。

1991年、とうとうカルフールがピカール資本の10%を保有。
以来、毎年10数店の出店、10%の売上げ増を続け、現在に至る。

約1000アイテムの品ぞろえ。
すべて冷凍食品。
すべてプライベートブランド。
肉、野菜、果物、シーフードの食材、
アペリティフ用おつまみ、オードブルやメイン、つけ合わせ、デザート、
パティスリー、パン、、ソースやハーブなど。

働く女性80%というフランスで、
人々の力強い味方となっている。

カルフール・マーケットが「地域の台所」なら、
ピカールはまさしく「地域の冷凍庫」。

台所よりも冷凍庫の方が、
絞り込まれていて、ユニーク。
だから店数が増えたら、強い。

すごい店がフランスにある。
(明日に続きます)

<結城義晴>

2011年12月8日(木曜日)


日経新聞の『会社研究』で、
セブン&アイ・ホールディングスが取り上げられた。
その(上)は 「ヨーカ堂改革、背水の陣」

イトーヨーカ堂社長の亀井淳さんは、
日経新聞夕刊の『人間発見』にも今週、連載で登場していて、
いい話をしている。

ショッピングセンター開発を担当している当時、
「大型SCには高齢者らがゆったりと過ごせる休憩所を設ける」。

「明るくきれいなトイレ作りにも力を入れてきました。
買い物が現実の世界だとすると、
トイレは利用者がほっとできる、ある意味で非現実の世界」

亀井さんの視点は正しい。

けれども総合スーパー業態は「回復途上」。
「セブン&アイ・ホールディングスの連結経常利益が2012年2月期、
17%増の2840億円と最高益を更新する」

ただし、これはセブン-イレブンのおかげ。
イトーヨーカ堂は足を引っ張っている。

ここで重要な改革。
「キャッシュバックセール」の廃止。
昨年12月を最後に同セールをやめた。

「レシートをみせれば最大で20%程度を返金するこの手法は、
簡単に売り上げが作れて予算達成に役立つ半面、
利益はついてこない」

「かかるコストは年間50億円程度とみられるが、
副作用はそれ以上に大きい『麻薬』」。

ポイントセールの5倍増、10倍増なども、
同じく小売業にとっての『麻薬』。

それを止めた。
「売り上げはすべてを癒やす」
この「業界の呪縛からの脱却」である。

「危機感から部門横断的に約50人の緊急対策チームを組成」
そのチームでの激論の末の結論。

「今年上期、ヨーカ堂は60億円の営業黒字に浮上。
売上高が減る一方で、
粗利益率が約30%と1.4ポイントも改善した」

ただしこれも『麻薬』をやめただけ。
記事では「収益構造改革はまだ『5合目』」と指摘する。

本格回復は「祖業」の衣料品改革。
しかしこれとても、いまだ迷走。

亀井さんは「生ぬるい商売はしない」と、
背水の陣を敷いた。

「我々はまだ過去の成功体験に縛られている」
これは鈴木敏文会長の言。

イトーヨーカ堂の本格改革は、
これから。

私は業態論とフォーマット論でも、
イトーヨーカ堂のコンセプトが問い直されていると考えるが、
いかがだろうか。

さて、昨日は大阪での2日目。
㈱万代の新店を視察した。
朝から兵庫県の伊丹荒牧店へ。
今年9月オープン。
20111208233920.jpg

2階にしまむら、1階にセガミ・ドラッグ、
駐車場の反対側に西松屋などを誘致し、
万代は600坪とたっぷり売場をとった意欲店舗。
20111209030115.jpg
しまむらと万代のマッチングがいい。

入り口では、いちご1パック398円が大々的にアピール。
20111208234246.jpg

万代は1品1品が魅力的な商品。
ダイコンとネギ。
20111209025707.jpg

鮮魚部門ではよこわの販売。
20111209025721.jpg

パック商品の商品化も的確。
20111209025731.jpg

この時期はとらフグとあんこう。
20111209025742.JPG

そして天然真鯛598円。
20111209025750.jpg

個食なべ物用セット2パックで698円。
20111209025811.jpg

次々にお買い得単品が続く。
20111209025801.jpg

豚ロースしゃぶしゃぶ用138円。
このボリューム。
20111209025821.jpg

豚もも切り落としは100グラム98円。
20111209025828.jpg

ひき肉売り場のボリューム陳列。
20111209025847.jpg

国産若鶏モモ肉。
20111209025856.jpg
安くて、味が良くて、鮮度が良くて、たっぷり。

鍋用豆腐、絹あげ、うすあげのエンド平台。
20111209025907.jpg

惣菜部門の煮物。
20111209025921.jpg

米飯売り場。
20111209025939.jpg
寿司カテゴリーに一人、
米飯カテゴリーに一人、
こういった分担でバイヤーが担当している。

揚げ物売り場。
20111209030000.jpg

カキフライ298円。
20111209025948.jpg
本当に1品1品に魅力がある。

スープバーと実際に手で握ったおにぎり。
20111209032553.jpg

菓子パンの98円均一と88円均一のアイランド売り場。
20111209030009.jpg

カテゴリーごとに、
1品ごとに、
力のこもった開発や仕入れが行なわれ、
商品化が展開されている。

万代の売り場には、
その単品の力とカテゴリーの魅力がある。
左から吉川英樹惣菜部マネジャー。
圓石一治店長、
東本明店次長、
黒田久徳デイリー部マネジャー。
20111208234220.jpg
一気に初年度で36億円の年商を上げる勢いで推移。
凄い店だ。

次に、宝塚中筋店。
荒牧店から直線で10分ほどの約300坪。
20111208234600.jpg
300坪で改装を施し、
20億円を売り上げる。

こちらは「べたべた」の万代スタイルの店。
20111208234320.jpg

中ノ忠敏店長をかこんで、激励。
20111208234307.JPG

最後に、12月にオープンしたばかりの中小阪店。
20111208234328.jpg

入り口や出口あたりにお祝いのランの花が並ぶ。
20111208234347.jpg

御堂宏司店長を囲んで、笑顔。
20111208234337.jpg

入り口の青果部門からして気合が入っているが、
「万代のイメージを一新」。
20111208234400.jpg
要は洗練された店。

しかしオープニングセールはすごいインパクト。
20111208234413.jpg

その一例。
バターロール105円。
20111208234438.jpg

ドラッグ部門を導入した。
20111208234448.jpg

万代は100坪から300坪、600坪まで、
いわばマルチ・フォーマットのような展開。
148店舗。

ただしそれはすべて、
一貫したマーチャンダイジング。
4つのフォーマットで、
統一したライフスタイル提案をするテスコと同じ。

だから、迷いはない。

商品部も店舗も、スーパーバイザーも、
全社挙げて、50周年の3000億円に向けてまい進中。

2012年は日本全体にとっても「復活の年」だが、
ここで「迷いない」方針と仕事の実現が、
一番重要となる。

日本国も迷いなく、
全国民あげて一心に突き進みたいものだ。

<結城義晴>

2011年8月19日(金曜日)


夏の甲子園大会。
明日の決勝の対戦が決まった。
青森・八戸の光星学院と、
西東京の日大三校。

今年を象徴するようなカード。

私の心境は、
「赤勝て、白勝て、どっちも勝て」

しかし全国的にみると、
東日本大震災被災地の光星学院に、
圧倒的な人気が集まる。

日大三校が闘いづらいかというと、
そうでもないと思う。

完全に外野の声は無視して、
己に没頭すればよい。

今日2時過ぎ、福島県沖を震源に、
震度5弱の地震。

まだまだ余震が続く。
忘れてはいけない。

さてキョーエイの店舗。
まずタクト店。
20110819171030.jpg

キョーエイの基幹店で、
様々な実験が行われる。

例えば、高野保男さんがコンサルティングに入って、
レイバースケジューリングプログラムの導入を図るときには、
タクト店が舞台となった。

新しい店舗デザインを採用するときにも、
タクト店がそのモデルとなった。

年商約23億円で、実験に耐えうる店。
20110819171047.jpg

現在は、入り口を入ると、
「すきとく市」が展開されている。
「好き」と「徳島」が縮まって、「すきとく」。
いわゆる地産地消の農家直送の売り場。
20110819171226.jpg

私は日本の食品市場の場合、
江戸時代の「藩」の単位で、
マーケティングが成り立っていると考える。

その藩が巨大な場合、
地産地消は大きなマーケットとなる。
だから徳島=キョーエイのような場合、
地産地消はジャスト・ミートする。
それが「すきとく市」。
20110819171244.jpg

ローカルチェーンでも、全店で大きな売り場をつくる必要はない。
一番売る店、二番目に売る店、三番目に売る店、
5番手くらいまででいい。

農家や生産者もそのほうがやりがいが出ることは確かだ。

その中で超のづく売れ筋商品が出てきたら、
全店に広げればいい。
20110819171611.jpg

このタクト店、まず青果部門が良い。
20110819171325.jpg

そして鮮魚部門も強い。
20110819171959.jpg

ローカルチェーンの強みは何処にあるか。
それは地元に卸売市場がある部門。
つまり青果と鮮魚。
20110819172032.jpg

ちょうど「ライブ販売」をやっていた。
握りずしのライブ販売。
20110819172057.jpg

新鮮な寿司アイテムが、
目の前で次々につくられる。
「握りたての握り寿司」

当然ながら寿司は絶対にウェグマンズを超えている。
20110819172114.jpg

夏はウナギ。
鰻の平台も充実。
20110819172305.jpg

冷凍干物もパネルをつくり、
きちんとコーナー展開。
20110819172926.jpg

タクト店の特徴の一つが惣菜デリ。
対面売り場とセルフ売り場を振り分けて展開。20110819172353.jpg

デザートには「ミセスケイコ」のコーナー。
こういったコーナー展開のブランディングが、
キョーエイは上手だ
20110819172243.jpg

タクト店には現時点のキョーエイの特徴が満載されている。
それをいかに他の店に反映させるか。

タクト店で開発された「知識商人の知恵」を、
他店にも水平展開できるか。
もちろん他店にも「知識商人の知恵」が生まれる。
それをタクト店がいかに取り入れるか。

ホールフーズマーケットでも、
オースティンのヘッドクオーターの店が旗艦店といわれる。
フラッグシップストア。

その旗艦店の開発ノウハウが全店に活かされる。
フラッグシップストアは様々な実験が行われるからだ。

仮説を立て、実験をして、それを検証する。
そして全店に展開できるものは、全店に。
この店だけのものは、この店で。

この考え方が重要だ。

沖浜店もいい店。
20110819225845.jpg

この店は「すきとく市」もタクト店以上。
20110819225904.jpg

農家の協力も積極的。
20110819225932.jpg

徳島一番のスーパーマーケットだけに、
農家への説得力も強いし、
農家の協力も大きい。
20110819225827.jpg
その生産者マップ。

売場はどんどん広がる。
20110819230002.jpg

そしてひとつ一つの商品に由来がある。
それを伝える。
20110819230017.jpg

他のキョーエイの店同様に、
青果部門がいい。
20110819230228.jpg

現在のアメリカのスーパーマーケットのトレンドも、
しっかり学んでいる。
20110819230246.jpg
この店の特徴は、地域の子供たちの写真を、
各売り場にどんどん掲示していること。

レオナルド・ダ・ビンチの最後の晩餐が、
パネルになっている。
20110819230401.jpg
店全体が、大塚美術館のようなところもある。

この店は子供を大切にする。
20110819235420.jpg

最後のレジ前。
20110819235514.jpg
タクト店、沖浜店。
両店をご案内いただいて、
私は、満足した。

阿波踊りに熱狂する徳島。
そこで生活する顧客たち。
そしてキョーエイの店。

すべてに一気通貫されたものがある。
それがキョーエイの強み。

「市民生活を守る砦たれ」
20110819235405.jpg
故倉本長治商業界主幹がキョーエイに送った言葉。
それが社是となっている。

倉本主幹は、きっと阿波踊りのパワーを感じ取ったに違いない。
そして「市民」という言葉を使った。
徳島の市民は、他県他市の市民とは違う。

阿波踊りの情熱を持った市民のための、
生活の砦となれ。

これは阿波踊りの熱狂の中に身を置けるものにしかわからない。

これこそキョーエイの強みなのだと思う。

何度も言おう。
この夏、
私は徳島に、
はまった。

< 結城義晴>

2011年7月15日(金曜日)


「水戸黄門」が終わる。
日本最長寿時代劇ドラマが、今年末で終了する。
1969年(昭44年)8月から42年、約1200回。

私が高校2年の夏から番組は始まったことになる。
そして現在放送中は第43部。

1979年がピーク。
番組スタート10年後。
第9部最終話は、史上最高の視聴率43.7%。

40年目の2008年10月20日、
初めて視聴率9.7%の1ケタに落ち込み、
近年は視聴率低迷にあえいでいた。

なんだか業態や企業、店舗の盛衰を見ているよう。
「テレビの歴史上でも役割を果たし切った」
「現代の世相やニーズに、合わなくなった」
関係者のコメント。

主役の水戸黄門を演じたのは5人。
東野英治郎、西村晃、佐野浅夫、石坂浩二、里見浩太朗。

東野、西村といった悪役役者が演じた黄門さまが、
一般から見ると意外性を持っていたし、
実は本質に近かった。

だから大ヒットし、長寿番組になった。
私はそう思っている。

勧善懲悪のわかりやすさには、その奥に、
深くて複雑なものが横たわっていなければ、
面白くはない。

佐野は悪役も演じたが、
晩年は善人役でもあった。

石坂、里見となると、
完全に二枚目役者。

こうなると黄門の本質から遠ざかる。

黄門のコンセプトを活かし、
最後に大悪役を抜擢する手もあったろうが、
果たせるかな日本に、
「ジョーカー」役のジャック・ニコルソンのような役者がいない。

まあ、日本社会全体の特徴でもあるかもしれないが、
政治の世界では小沢一郎が、かすかに資格を有するか。

最後の放送で、
黄門が杖を、
格さんが印籠を、
「静かに置いて」、
この番組は幕を閉じる。

日経新聞経済欄コラム「大機小機」。
コラムニスト一礫氏が、
「経済の基盤は事上磨錬」を書いている。

実践儒学陽明学を起こした中国の思想家・王陽明の「伝習録」。
「人はすべからく事上(じじょう)に在って磨錬(まれん)すべし」

「事の上」、すなわち実際行動の中で、
「磨錬」、知識を磨き、人格を錬る。

「真の理念とは決して日常の生活から乖離(かいり)したものではない、
毎日の生活や仕事の中で自らを磨かねばならない、
そうして初めて成果があがる」

体験した成功・不成功から学ぶ。
すなわち「現場力の維持・向上」を主張するのだが、
そのための土壌として、「長期雇用形態」が必須であるという。

コラムニストは、
「日本経済再建の基盤の1つとして、欠かせない要」と書く。

「事上磨錬」は、小売りサービス業においても、
必須である。

さてさて東日本大震災がらみの発言。
日経の「決算トーク」。
100円ショップ㈱キャンドゥの城戸一弥社長。
「東日本大震災で日本人の生活観が変わった」

どう変わったか。
「低価格で品質の良い商品を以前よりも求めるようになった」
「防災グッズや食品の需要が高まり、
3月以降の既存店売上高が好調に推移」

「2010年12月~11年5月期の営業利益は、
前年同期比2倍の11億円になった」

震災特需ではないのか?
「関東も西日本もまんべんなくいい。
震災後に100円ショップのリピーターが増えた」

分かりやすい購買。
単純明快な消費。

マーケティングの方向性が、この震災で、
そちらに振れたことも確か。
しかし、それだけではないと思う。

「生活者は考えるようになる」
㈱たいらやの村上篤三郎さんの言葉。
生活者が考えるようになることで、
単純な思考と複雑なマインドが混然としてくる。

水戸黄門になぞらえると、
悪役役者の演じる善人役が受けて、
二枚目役者の黄門に味がないのと同じ。

さて、栃木県真岡(もうか)市のスーパーマーケット視察報告。
真岡市は地盤が軟らかかったためか、
内陸部ながら、東北・北関東大地震で
思いのほか被害が大きかった。

屋根瓦の多い地域でもあり、
家屋の修復のブルーシートが目についた。

真岡市は宇都宮市中心部から15キロ圏内に位置する。
人口は、2011年3月1日現在、8万2554人。
この真岡市に、たいらやの新店がオープンしたのが4月21日。
「プライムマート真岡店」

3月オープンの予定だったが、
震災の影響で1カ月遅れとなった。

プライムマートは、たいらやの通常店とは異なり、
ライフスタイルアソートメント型スーパーマーケットを志向する。
「多少グレードの高い商品」を日常的に取り扱う。
真岡店はその4店目となる。
20110715135058.jpg
売場面積551.8坪、駐車台数105台。
初年度の売上目標15億円。

入ってすぐに、平台で季節の果物を展開。
生活催事や季節、旬に合わせたタイムリーな商品提案が、
売場づくりのテーマのひとつ。
20110715135123.jpg

青果売り場も「デプス・アソートメント」。
深い品揃え。
20110715135131.jpg
デプス・アソートメントには、
それにふさわしいプレゼンテーションが必須。
どちらも一朝一夕には確立できない。

地場モノの野菜コーナー。
地元有志生産者の野菜を強化している。
「ゆでとうもうろこし販売中」のPOPが目立っている。
20110715142639.jpg

奥主通路の鮮魚売り場から精肉売り場を望む。
バックヤードは透明ガラスで仕切られている。
20110715135138.jpg
鮮魚の鮮度はぴちぴちで、
商品化技術も高い。

たいらやは精肉が強く、高い収益力を誇る。
栃木県産しもつけ牛の展開。
20110715144247.jpg

平ケースでは「肉の専門店プライムミート」の幟(のぼり)。
メキシコ産豚肉切り落とし100g88円。
20110715135149.jpg
デプス・アソートメントで、
なおかつコモディティ・ディスカウントも展開する。

日米ともに、
このタイプの店舗の見落とせない政策。

ウェグマンズも「コンシステンシー・ロープライス政策」を採用した。
すなわちウォルマート流のエブリデー・ロー・プライス。

青果売り場の反対側で展開する惣菜売り場。
鉄板焼きコーナー、季節の焼き魚、手焼きの焼きとりなど、
店内手作り食品が強化されている。
20110715135312.jpg
需要の高い揚げ物は買いやすい価格でのバラ売り。

惣菜に続くインストアベーカリー売場「森のパン屋さん」。
透明のリーチインショーケースで販売する。
清潔感があって、とてもよい。
お客様の抵抗もなく、売上げは上々。
20110715135331.jpg

惣菜売り場の一角にある 「田舎の食堂」。
ライス、手づくりのチャーハン、みそ汁、カレーを温めてカップで販売する。
アメリカのスーパーマーケットで展開するスープバーを思い起こさせる。
20110715135353.jpg

加工食品の中通路の床には、大きなサイン。
20110715135341.jpg

通常レジ7台、セルフレジ4台。
セルフレジの稼働率はこの店では22%と高い。
20110715145900.jpg
半径1キロの一次商圏は3023世帯8247人、
2次商圏は8286世帯2万22232人と設定している。
世帯主年齢は30代と若い家族が中心。
したがって、食シーンに合わせた関連販売、
メニューや食べ方の提案など、
さまざまな仕掛けがなされている。

真岡市は、10店舗がひしめく競争エリア。

スーパーマーケット地域一番店と言われるのが、
とりせん真岡店
周辺に専門店が集まり、
自然発生的なオープンエアー型SCが形成されている。
とりせんは、その中心に位置して、
立地はすこぶる良い。
20110715135543.jpg

地元のスーパーマーケット企業オータニ
真岡エリアで2店舗を出店している。
オータニ真岡店と写真のフードオアシスオータニ荒町店。
20110715140431.jpg

さらに、たいらやの親会社エコス真岡荒町店。
やや年数のたった小型店。
20110715140417.jpg

他にも、㈱カスミのフードオフストッカー真岡店、
水戸に本部を置く㈱パワーマートの真岡店がある。

駅前には地元の老舗・福田屋百貨店真岡店、
駅周辺には震災で閉店し、取り壊し中のベイシア真岡店。

わずか8万の人口の都市に、
これだけの数の店舗が展開されている。
まさにオーバーストア状態。

福田屋百貨店はついに、
真岡店の閉店を余儀なくされている。
一方で、ベイシア跡地には、
ヨークベニマルが出店を表明。
ますます、競争が激しさを増す。

激戦の嵐の中でいま台風の目となっているのは、
「ザ・ビッグエクストラ」真岡店。
今年6月17日にリニューアルオープン。
イオン・スーパーセンター渾身のリモデル版。
20110715135402.jpg

私はちょっと驚いた。
イオンが変わり始めている。
20110715135419.jpg
ディスカウント戦略に本気になってきた。
そしてそれが顧客から支持されている。

アメリカのスーパーセンターというよりも、
スーパーウェアハウスストア。

つまりウォルマートではなく、
クローガーのフード4レスか、
ウィンコ・フードかという感じ。
20110715135519.jpg
こちらは分かりやすい店、
分かりやすい売り場、
分かりやすい商品、
分かりやすい価格。

真岡ではその軸が、鮮明になってきた。
だとすると対極のポジショニングがいい。

ウォルマートに対するホールフーズやウェグマンズ。

中間に位置するクローガーやセーフウェイには、
新たなポジショニングが求められることになる。

日本の地方都市にも、
アメリカのようなエリアが出現してきた。

私が真岡で得た収穫は、
このポジショニングの重要性である。

視察が終わると、長くて暑い北関東の夏も、
少しずつ暮れようとしていた。

ご案内いただいた村上さんに感謝。

<結城義晴>


今月の標語
著書の紹介
最新刊
1秒でわかる!小売業界ハンドブック


六刷出来!
好評発売中

店長のためのやさしい《ドラッカー講座》


小売業界大研究
二刷出来!
小売業界大研究


お客様の為に
いちばん大切なこと
お客様のために いちばん大切なこと

毎日更新宣言カレンダー
2012年 5月
« 4月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
  • ホームに戻る
  • トップに戻る
  • 友達・上司・部下に知らせる

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。
Copyright © 2008-2012 Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.