結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年07月13日(水曜日)

万代知識商人大学院の「Financial Management」

関西出張3日目。
今日は東大阪市。

㈱万代本社。
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本社敷地の一角にある会議棟。
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今日は、
万代知識商人大学第7期、
今期だけ万代大学院。
会議棟の大ホールがその学び舎。

その三度目の講義。

部長クラスの次期役員候補生たちが、
全員参加している。
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朝、8時40分に到着すると、
すぐに講義の準備。
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全員が揃うと、
海野正敏さんが講義開始を告げる。
海野さんは人事部マネジャー。
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今日はFinancial Managementの講義。
英語では「ファイナンシャル」と言い、
米語では「フィナンシャル」と発音する。

第1講義は結城義晴。
いつものように、起立・礼のあいさつ。IMG_4292

後部席では、
万代の取締役のみなさんが、
これまた全員、聴講。

聴講だけではなく、
講義テーマに応じて、
講師を担ってくれる。
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はじめに、
月刊商人舎7月号の特集について、
簡単に解説した。

「流山おおたかの森の陣」
「角上魚類・ロピアvsヤオコー・ベルク・マルエツ・カスミのサバブの攻防」がサブテーマ。
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人口増の千葉県流山市おおたかの森エリア。
スーパーマーケットの競争が、
角上魚類とロピアの出店によって、
どのように変わっていくのか。

一昨日の兵庫県三田市もサバブだった。
その事例も挙げながら、
レクチャーした。

そして7月号のもう一つの特別企画。
「小売業”複合危機”の”戦略と戦術”」
良い戦略と悪い戦術、
悪い戦略と良い戦術。

落語の枕ではないが、
少し長話となってしまった。
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フィナンシャルマネジメントの本編は、
簿記、会計、財務の違い。
イトーヨーカ堂創業者・伊藤雅俊さんの、
「商人の才覚と算盤」。
一方、イオン創業者の岡田卓也さんの、
「大福帳と見競(みくらべ)勘定」IMG_4300
かつての大手チェーンのなかで、
残っている2社に共通するのが、
フィナンシャルマネジメントである。

さらに損益計算書と貸借対照表の構造。
さらに実地棚卸しの原価法と売価還元法。

ピータードラッカーの利益の考え方や、
重要な経営尺度としての数値など、
2時間ほど講義。
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第2講義は、田縁(たぶち)仁平取締役。
財務経理・秘書・品質管理部門担当。IMG_4306

万代の財務数値を挙げながら、
経営者として把握すべき数値について、
実に丁寧に講義してくれた。
戦略と財務は表裏一体であることが明示された。IMG_4309

いい講義だった。
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ここで昼食休憩。

午後の第3講義は、
谷内(やち)毅さん。
取締役経営企画担当。IMG_4330

多くのスライドを使って、
万代の戦略を決めるアプローチ法を、
事例満載で解説してくれた。IMG_4333

フィナンシャルマネジメントの講義は、
経営戦略と表裏一体となっている。
皆、真剣に聴講する。IMG_4335

3つの講義を終えると、
講師が前に出て、
7期生との質疑応答。IMG_4339

コーディネートは結城義晴。IMG_4347

7期生のまえに、
後列の役員から質問が飛ぶ。IMG_4354

コーポレート担当の加藤健常務取締役も、
前に座って質問に答える。IMG_4356

芝純常務取締役も質問する側に回る。IMG_4359
7期生も積極的に質問する。
それに今日の講師陣が答える。

もちろん質問だけでなく、
徐々に意見を述べるようになる。

この役員とのキャッチボールによって、
次世代の幹部候補生たちの理解が深まり、
視点や視界も拡がっていく。IMG_4361

フィナンシャルマネジメントのまとめは、
不破栄副社長。
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現在の中期経営計画が、
何を目指すのか。
それを具体的に、
財務の視点からまとめてくれた。

さらに経営者になっていくための考え方。
第1に、物事を大きく見る。
経営者を目指すには、
全体を見た中で考える。

第2に、結果責任を負う。

第3に、大胆にやる。

そして第4に、
誰にも負けない努力をする。
見えないところでやる努力が大切だ。
「努力は無限大」
これは不破さんの持論。

最後の総括講義は阿部秀行社長。IMG_4386

阿部さんの話は実にわかりやすい。
高度なことを優しい言葉で伝える。
これも経営者にとって重要なスキルだ。IMG_4391
先ほどの質疑応答のそれぞれに対して、
阿部社長としての回答を、
具体的な例を出しながら、
鮮明に語った。

阿部さんと不破さんのこの語りは、
万代という会社の強みの一つである。

今日1日のまとめは、
結城義晴。
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今日1日学んだことが、
何を意味しているのか。
私自身、今日の講義のなかで、
驚くことがあった。

「戦略が良ければ、
戦術の失敗は挽回できる。
戦略が悪ければ、
戦術の成功が逆に、
マネジメントの死をもたらす」
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講義を終えて、
阿部社長、不破副社長と、
話し合う。
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コロナ禍の大変化のとき、
万代も良い戦略を選択してほしい。
「勇気ある決断」によって。IMG_4413

そして今日の講師の皆さんと。IMG_4406
最後は裏方の人事部マネジャーの面々と。
私の隣から津田睦さん、海野さん、
石川慎也さん。
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朝9時から夕方6時半ごろまで、
ほんとうにお疲れさまでした。

記念碑的な講義の1日だった。

右・左、上・下、
どっちを向いても感謝。

〈結城義晴〉

2022年07月12日(火曜日)

商人舎7月号の「良い戦略」と拡大令和名人会関西編

月刊商人舎7月号。
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特集「流山おおたかの森」の陣
角上魚類・ロピアvsヤオコー・ベルク・マルエツ・カスミのサバブの攻防

[Cover Message]
千葉県流山市。2007年、つくばエクスプレスの流山おおたかの森駅前に広大なショッピングセンターが登場した。高島屋の子会社東神開発の「流山おおたかの森S・C」である。当初は高島屋のデパ地下売場特化型「タカシマヤフードメゾン」とイトーヨーカ堂のこれまた食品特化型「食品館イトーヨーカドー」を核店舗に、シネマコンプレックスまでを擁した斬新な商業集積だった。その後、周辺にはベルク、カスミ、ヤオコー、マルエツと強力なスーパーマーケットが次々に進出。豊かで伸長著しいサバブ市場を棲み分ける形で、緩やかな競争が続いた。ところがコロナ禍を経て2022年、大和ハウス開発の商業集積コトエにロピアが出店、続いて東神開発のSCにはANNEX2が新設され、そこに角上生鮮市場が誘致されて、俄然、食を巡る激しい競争が展開されることになった。総合スーパーと百貨店の食品特化型の市場に、オーソドックスなスーパーマーケット群が、そして生鮮の専門性を看板にしたスーパーマーケットが積み重なるように登場した。この三つ巴の競争の勝者は誰か。そしてそれは何を意味するのか。
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「サバブ」(suverb)は「郊外」を意味するが、
小売業にとっては単なる郊外ではない。
新興住宅地が次々に誕生する、
肥沃なマーケットのことである。

その典型が千葉県流山市であり、
おおたかの森地区である。

その闘いを描いた特集だ。

昨日は関西へ来て、
兵庫県三田市のクリニックをした。

この三田エリアも典型的なサバブである。

ちなみに英語の”suberb”は名詞で、
“suberban”(サバーバン)は形容詞だ。
こちらは「郊外の」という意味で、
「サバーバン・エリア」などと、
名詞を修飾する使い方が正しい。

この号を読んでから、
流山を店舗クリニックしてみてほしい。

必ず良い勉強になります。

この特集で、
角上生鮮市場とロピアを、
スペシャルティ型スーパーマーケットと、
位置づけた。

その角上魚類は必見。
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もちろんロピアと角上生鮮市場との、
激闘も見ものだ。

しかし、その両者の闘いが、
周辺に及ぼす影響が大きい。
ロピアが登場すると競争は一変する。
角上生鮮市場とロピアが、
同じような時期に現れると、
その影響は倍加する。

月刊商人舎7月号の巻頭言。
[Message of July]
今、良い戦略を。

戦略が良ければ、
戦術の失敗は、
挽回できる。

良い戦略があれば、
戦術でミスを犯しても、
その間違いを取り戻すことができる。

しかし戦略が悪ければ、
まず戦術は失敗しやすい。
現場の努力は実りにくい。

さらに悪い戦略の場合、
ある戦術が成功したとしても、
それが成功すればするほど傷は深まる。

戦術が成功するほどに、
悪い戦略の深みにはまっていって、
戦略の悪さが表に出てこない。

その結果として、
悪い戦略が長きにわたり継続され、
組織は茹でガエル化によって破滅に至る。

戦略が良ければ戦術の失敗は挽回できる。
戦略が悪ければ戦術の成功が逆に、
マネジメントの死をもたらす。
〈結城義晴〉
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特別企画は、
小売業「複合危機」の「戦略と戦術」 

これについては明日のブログで、
紹介しよう。

さて今日は、
拡大令和名人会関西編。

太平洋クラブ六甲山コース。
兵庫県三木市にあるチャンピオンコース。
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朝、7時39分アウトスタート。
3組のコンペ。
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ところがあいにくの雨。
午前中4ホールほどプレーすると、
大雨のため、いったん中断。

クラブに戻って、
1時間ほど雨の行方を見る。

10時半ごろ、
やっとプレー再開。

それでも午前中は、
次々と流れてくる雨雲に、
苦しめられた。

クラブがすべてのパーティに、
「スループレー」をお願いして、
9番ホールが終わっても、
すぐにインの10番に向かった。

午後になるとうっすらと青空が見えた。
15番ホールを回るころには、
天気も回復。

いつもの2倍くらい疲れた。

プレーを終えて、
成績発表の懇親会。

はじめに結城義晴の挨拶。IMG_4256

大雨の中、けがもなく、
無事に18ホールを終えたことに感謝。IMG_4257

この名人会は1989年から、
途切れなく続く。
33年も一緒にやってくれているのが、
鈴木國朗さん。

感謝したい。

オリジナルメンバーのなかで、
小森勝さんは亡くなった。
浅香健一さんは引退した。

残ったのは鈴木さんと私。

感慨深い。
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関西令和名人会を仕切ってくれたのが、
新谷千里さん。
㈱サミットリテイリングセンター代表。IMG_4261
その新谷さんが成績発表。

いつも優勝するのはこの人。

宮本洋一さん。
ブルーチップ㈱社長。
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環境が悪くなるほどに強さを発揮する。

結城義晴は2位。
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そしてドラコン賞3つを獲得したのは、
㈱アイダスグループ代表の鈴木さん。
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白石純一郎さんは3位。
昨夜遅く、熊本から駆けつけてくれた。
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白石さんは九州の菓子卸㈱白石社長。

拡大令和名人会にはいつも、参加してくれる。
ありがたい。

久しぶりの参加となった西川隆さん。
㈱プログレス・デザイン代表。
昨日の店舗視察でもお世話になった。IMG_4270
すべてのスケジュールが終わって、
皆さんに送られて、
新神戸駅から新幹線で、
新大阪駅へ移動。

大阪上本町へ。
定宿のシェラトン都ホテル。
その2階のレストランeu。
㈱万代のトップの皆さんと会食。

フルコースとワインをいただいて、
懇親。

レストランの前で写真。IMG_4273

真ん中の私の隣は阿部秀行社長。
田縁(たぶち)仁平取締役(右)と、
谷内毅取締役。
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お二人には、
明日の万代知識商人大学で、
講師をお願いしている。

明日はフィナンシャル・マネジメントだ。

戦略が良ければ、
戦術の失敗は挽回できる。
戦略が悪ければ、
戦術の成功が逆に、
マネジメントの死をもたらす。

〈結城義晴〉

2022年07月11日(月曜日)

商人舎7月号本日発刊!! そして今日は関西三田地区クリニック

Everyone! Good Monday!
[2022vol㉘]

2022年第28週。
7月第3週。

月刊商人舎7月号、本日発刊。
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特集は、
「流山おおたかの森」の陣
特別企画は、
小売業「複合危機」の「戦略と戦術」
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我ながら力の入った一冊。

今日は新横浜から、
朝7時18分発のぞみに乗って、
新大阪へ。

今日は関西地区の店舗クリニック。
コーディネーターは、
㈱プログレス・デザインのみなさん。

車2台に分乗して、
総勢9名でクリニック。
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初めに向かったのは、
フードマーケットサタケ。
佐竹食品㈱が経営している豊中稲津店。

佐竹食品は、
業務スーパーのFC店もやっていて、
そのなかでは秀逸の店を展開する。

この店も一般客と業務筋を、
両方、顧客にする。
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コストコと同じ考え方で、
面白い商売だ。

そして豊中市のシェフカワカミまきおち店。
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今年3月にオープンした。
店舗周辺はマンションの開発が進んでいて、
成長性のある店舗だ。

プログレスデザインが設計した。
美しい内装と管理の行き届いた店内。

導入部は旬の果物。
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野菜は陳列線の低い縦陳列。
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壁面に精肉と鮮魚の両部門を配置。
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酒売場も楽しい。
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大阪から高速道路を飛ばして、
兵庫県三田市へ。

まずイオン三田ウッディタウン店。
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古い総合スーパーだが、
この店、頑張っている。
店長の奮闘ぶりが店頭に出ている。
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ベストプライスはもっと、
目立つようにしたほうがいい。

それから阪急オアシスえるむプラザ店。IMG_39902

よくできたオープンエアーの、
ショッピングセンターだ。
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ニトリも入っている。
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今年3月15日にオープンした、
ロピア兵庫三田店。
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兵庫県では、尼崎島忠ホームズ店、
神戸岩岡店に次ぐ3店舗目の出店となる。

青果から惣菜、鮮魚と、
ワンウェイの動線を敷いた。
これは京都ヨドバシ店と同じ。IMG_4226

惣菜部門でオオガメさんに、
最近の動向を聞いた。IMG_4204
競合激しい三田市で、奮闘中。

鮮魚の日本橋魚萬。
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対面販売の刺身と寿司のコーナー。
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そして最強部門の肉のロピア。
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広い酒売場はどんどん充実してきている。
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ワイン売場の壁面は、
セラー風の造りにしてある。
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このエリアのスーパーマーケット競争で、
強いのが万代三田店。

ロピア出店に改装で迎え撃った。
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青果の導入部では、
月曜恒例の葉物フェア。

ニラ98円、チンゲン菜98円、小松菜68円、
ホウレンソウ138円。
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トマトの品種も豊富。
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「みんなでBBQ」として、
トンテキやブラックアンガス味付け肉などを、
メガ盛りでコーナー化。
ファミリー向けに1パックも大容量だ。IMG_4241

中心部からちょっと離れた、
生活圏には、
マルハチウッディタウン店。
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オーソドックスなスーパーマーケット。IMG_39602月曜日だというのに、
ポイント3倍セールと、
「パンの日」で集客する。

もう一歩、
ポジショニング戦略が欲しい。

クリニックチームは、
三田市の闘いを見て、
一気に須磨まで南下。

ヤマダストアー 須磨離宮公園前店。
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ヤマダストアーの新フォーマットで、
話題の店舗だ。
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オーガニックとナチュラル、
そしてローカルやサステナブルを、
基本コンセプトにしている。

そのために、
ヤマダストアー独自の開発商品が多い。
いわゆるナショナルブランドは、
ほとんど扱わない。IMG_4247
実によく勉強していて、
それを斬新な店づくりに生かしている。

こういったフォーマットには、
セオリーがある。

ホールフーズマーケットの定石である。
それは次の機会に。

朝9時半から夕方5時まで、
関西地区の店舗クリニックをした。

皆さん、ありがとうございました。

そして今晩の宿に到着。
ホテルフルーツ&フラワー。

皆で記念撮影。
前に誰が座るか、
いつもの譲り合い。

私は「よいしょ」と、
さっさと座る。
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私の隣は西川隆さん、鈴木國朗さん。
後列は左から福田真由美さん、
新谷千里さん、井上謙二さん、
山本恭広さんと柳本浩三郎さん。IMG_4253

鈴木さんはアイダスグループ代表、
新谷さんはサミットリテイリング代表、
井上さんもプライズ代表。
山本さんは7月に商人舎に入社した。
月刊『商人舎』編集長。

そして、
プログレス・デザイン代表の西川さん。
営業の柳本さんと福田さんには、
終日お世話になった。
ありがとうございました。

宿泊組は、ゆかたに着替えて、夕食懇親会。
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明日は関西での拡大令和名人会。

楽しみです。

では、みなさんも、楽しんで。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年07月10日(日曜日)

第26回参院選の「投票」と「中道コモディティ化現象」

7月10日の日曜日。
第26回参議院議員通常選挙、
投開票日。
《総務省の広告〉
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横浜は快晴。
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太陽に緑の木々がまぶしい。
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神奈川県は24人の立候補者。
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私の投票所です。
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港北小学校の構内も、
森林浴ができるほど。
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投票所は体育館。
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あらかじめ決めてあったので、
さらりさらりと候補者と政党を、
投票用紙に鉛筆で書いて出てきた。
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そして、いつものようにもらってきた。IMG_E39212

投票証明書。
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あとは結果を待つのみ。

午後8時、
投票時刻が終了した時点で、
NHKをはじめ、
テレビ局は当選を打ち出す。

そして予想通り、
自民党圧勝。

公明党、日本維新の会が議席を増やし、
立憲民主党、国民民主党、
共産党、社民党などが減らした。

比例区の投票をする際、
立憲民主党も国民民主党も、
略称を「民主党」と届け出ている。

両党は旧「民主党」から袂を分かった。
そして略称に関して、
両党ともに譲らなかった。

その結果、
実際に「民主党」と書いたら、
開票区ごとに、有効票に応じて、
按分される。

なんとも馬鹿なことだ。
たとえば立憲に投票するつもりで、
民主党と書いても、
この開票区の割合に応じて、
按分されてしまう。

民主党と書いた投票者の真の意志は、
結果に反映されない。

総務省の資料では、
2021年衆院選の際、
「民主党」と書かれた票は、
362万6320票だった。

そこで立憲に295万8201.722票、
国民に66万8116.241票が、
割り振られた。

馬鹿馬鹿しい。

こんなことをやっているから、
野党総崩れとなる。

つまり両党をまとめるリーダーがいない。
あるいは政党そのものに、
右派と左派を統合するパワーがない。

自由民主党も、
「民主党」という言葉を使っているが、
略称は「自民党」である。

ついでに言えば社民党も、
「社会民主党」だ。

日本の政治は「民主党」だらけで、
それは「中道」を意味している。

昨年10月の衆議院選挙のときにも、
このブログに書いた。

日本の政党政治は、
どの党も民主主義を基盤とするが、
全体の趨勢は「中道」である。

公明党はもともと、
「古い左と右」の中道の位置にいて、
民主主義をベースとする。

日本共産党も「中道化」してきている。

だから全党党首が、
安倍晋三元首相殺害のとき、
「民主主義への挑戦」と憤った。

「汝、殺すなかれ」は、
民主主義の前のロジックのはずだ。
モーゼの十戒である。

安倍殺害は反民主主義勢力によるテロで、
政治家だけがそれを知っているのか。
そんなことも思ったほどだ。

ほとんどすべての党が中道で、
自由民主党の中にも、
保守と革新がある。
右翼的と左翼的が混在して、
全体として大きな「中道」を形成している。

旧民主党にも、
リベラルとコンサバティブが同居した。

それを明らかにしようとして、
分裂した。

ここが大人げない。

そして「民主党」を名乗っている。
これも大人げない。

自民党のように、
そのまま抱え込む度量があれば、
そこそこ対立軸になれたものを。

中道の中で、
ちょっと右寄りが多いのが、
自民党で、
ちょっと左寄りが多かったのが、
民主党だった。

いまはイデオロギーにおいて、
「右」も「左」もないのだが。

全体にコモディティ化している。

与党となっている公明党も、
原則的に護憲であり、
原発ゼロ派である。

それを「加憲」と言ったり、
「確かな安全基準」で容認したり、
自民党に合わせている。

この融通無碍さが、
立憲や国民にあっていい。

立憲も国民も、
その線引きを自分たちだけ、
きっぱりとしようとして、
分裂し、負てしまった。

全体が中道で、
同質化、コモディティ化すると、
一番大きなものが勝つ。

マーケットシェア最大のブランドが強くて、
その他は必要ないとさえ言える。

それが消費社会の趨勢である。

政治も同じだ。

日本の民主主義が中道化し、
コモディティ化している。

だから、
マーケットリーダーが、
圧倒的に強い。
そのフォロワーが増える。

リベラルとコンサバティブの両サイドに、
マーケットフォロワーが多い。

マーケットチャレンジャーは、
ひどく弱い。

そのくせ互いに批判し合っている。

実はこれは、
つまらない市場である。

ドイツやフランスは、
その政治のコモディティ化に、
我慢ならない国民が増えて、
中道が負け始めた。

極右などが出てきて、
決していい状態とは見えないが。

日本の政治は、
中道コモディティの行き詰まり段階である。

安倍晋三元首相は、
そのなかで少しだけ、
ポジショニングを明確にした。

だから人気を博した。

日本の政治は今、
突き抜けた存在の登場を待っている。

与党側にも野党側にも。

ただし期待されるのは、
小粒な安倍晋三の再来ではない。

この参議院選で一番印象に残ったのは、
そのことだ。

〈結城義晴〉

2022年07月09日(土曜日)

安倍晋三銃撃は「幼児化と素人化」の表出である。

安倍晋三氏、逝く。
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第26回参議院議員通常選挙の、
応援演説のときだった。

自民党をはじめ、
各党党首たちが、
「民主主義への挑戦」などと、
いきり立っている。

メディアもそれを主張している。

しかし山上徹也容疑者は、
民主主義など考えもせず、
恨みに思った宗教団体に関連する大物として、
安倍元首相を狙った。

歴史は得てして、
こういったつまらない理由で、
人間が殺されることを伝えている。

それよりも日本社会が、
幼児化していると私は感じる。
素人化しているとも思う。

日本にかぎらない。
世界がその方向に進んでいる。

私自身もその中にいる。

ドナルド・トランプなど、
幼児化と素人化の末の米国大統領だった。

ウラジーミル・プーチンを見ていると、
「おしゃぶり」を加えさせてみたくなる。
(これは冗談だが)

世界のトップが、幼児化している。
政治手法は素人化の域を出ない。
ごく単純な手法である。

知性の欠落である。

幼児化は、
「物事を単純に白だ黒だと決めつけて、
どちらかを一方的に攻撃する、
他人は自分の思い通りに動くものだと
思い込む」

榊原英資氏がそう定義しているし、
社会全体がその傾向をもっている。

山上容疑者は、
憎いと思ったら殺すという行為に走った。
幼児化である。

「民主主義への挑戦」と唱えるのではなく、
社会の幼児化を見つめなければならない。

一方、「素人」は、
「ある事に経験のない、専門的でない人」

「素人化」は、そんな人が増えること。
玄人やプロフェッショナルが少なくなること。
そんな未経験者が重要なポストに就くこと。

安倍元首相の警護側も、
そして山上容疑者自身も、
社会の素人化を象徴してはいないか。

それが問題だと思う。

もちろん幼児は可愛いことこの上ない。
幼児が悪いのではない。

大人が幼児のようになることが問題である。

また素人発想が、
思わぬ創造性に結びつくことはある。
だから素人を無条件に非難するものでもない。
だれでもはじめは素人だった。

しかし仕事や企業において、
幼児化と素人化が進めば、
すぐに生産性は貶められ、
経営は崩壊する。

そんなコンサルタントも増えてきた。
そんなジャーナリストも多い。

戒めねばならない。

社会の幼児化と素人化が、
安倍晋三元首相の暗殺となった。

だから安易な模倣犯が出やすい。
それを阻止しなければならない。

「仮に、われわれは、
不死なるものになれそうにないとしても、
やはり人間はそれぞれ
ふさわしいときに消え去るのが望ましい」

「自然は他のあらゆるものと同様、
生きるということについても
限度をもっているのだから」

「因(ちな)みに、人生における老年は
芝居における終幕のようなもの。
そこでへとへとになることは、
避けなければならない、
とりわけ十分に味わい尽くした後ではな」

古代ローマの政治家・哲学者、
キケロの言葉。
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古代共和制のユリウス・カエサルの同時代人。

マルクス・アントニウスと対立し、
最後には追放され、殺害された。

弁舌の徒として知られる。

安倍晋三さんも、
政治家としてはまだ引退の年ではないが、
十分に味わい尽くしたことは確かだろう。

生きている時には、
片隅から一方的に、
いろいろと注文をつけたし、
批判もした。
20200601sei_yoto0200
お許しいただきたい。

しかしキケロに言わせると、
「ふさわしい時」だったのかもしれない、
とも思う。

ご冥福を祈る。

合掌。

〈結城義晴〉

2022年07月08日(金曜日)

安倍晋三元首相、凶弾に倒れる。FSSF運営委員会開催。

安倍晋三元首相、
奈良で参議院選の応援演説中に、
銃撃され、逝去。

父の安倍晋太郎元外相も、
67歳での永眠だった。

日本の憲政史上最長在位の元首相の死は、
世界レベルの影響を与えるに違いない。
それだけの政治家であった。

英国のボリス・ジョンソン首相は、
すでに辞意を表明している。

世界の政治が大きく変わる。

参議院選は、
自民党の圧勝で終わるだろうが、
政府与党もそれに奢ることなく、
世界の平和と日本の繁栄のために、
鋭意努力してほしい。

搬送される救急車の中では、
まだ意識があったというから、
誰よりも残念な思いをしたのは、
安倍晋三その人だ。

ご冥福を祈りたい。

私はこの惨劇を、
東京・八丁堀で知った。

日本食糧新聞社本社主催、
フードストアソリューションズフェア。
略してFSSF。

その社内ミーティングに参加し、
その後の運営委員会にも出席した。

オンラインで、
全国の運営委員と話し合う。

東京本社に参集したのは、
4人の面々。IMG_4128 (002)2
左から杉田尚さんと今野正義さん、
千野和利さんと結城義晴。

モニターには、
西日本の食品小売業のトップのみなさん。

この食品展示会は、
18社の副主催企業が重要な役割を担う。IMG_38672

今野日本食糧新聞社会長が、
ユーモアを交えた冒頭の挨拶をし、
千野離創協会長が、
強いメッセージを発した。
離創協は一般社団法人離島振興地方創生協会。

その後、事務局から、
フェアの全貌が丁寧に説明された。

私はセミナー企画の内容を説明した。IMG_4133 (002)2
もうすでにすべての講演者が決まっている。

尾﨑英雄フジ・リテイリング会長の記念講演。
パネルディスカッションは、
万代の芝純常務と、
関西スーパーマーケットの柄谷康夫常務。
コーディネーターは結城義晴。IMG_4131 (002)2
千野さんには総括講演をお願いした。

それ以外にも、いい講演が並ぶ。
私は西川隆さんと、
「店づくり」に関する対談をする。

ローコストで個性的、
しかもコストパフォーマンスの高い店。
どうつくったらいいか。
事例報告もふんだんに盛り込む。

ご来場とご聴講をお願いします。
その方法は追ってお知らせします。

FSSFは9月7日(水)8日(木)。
インテックス大阪。
外食産業展示会とFABEXが同時開催されて、
大いに盛り上がる。

この展示会は、
2025年の大阪万博を、
ひとつのピークに設定して、
西日本の地方創生と離島振興を推進する。

意義の深い食品展示会である。

最後に記念写真。
杉田さん、今野さん、千野さんと私。IMG_4138 (002)2
よろしくお願いします。
頑張ります。

横浜商人舎オフィスに戻ると、
セルコレポートが届いていた。IMG_E38892

私の連載の第三回は、
「サム・ウォルトンの絶望」IMG_E38862
世界最大企業をつくった経営者の物語。

サムは1945年に、
ベンフランクリンの加盟店として創業し、
5年後の1950年、創業の繫盛店を失う。

しかし絶望の底から立ち上がって、
アメリカ第一のチェーンストアをつくりあげる。

「艱難が忍耐を生み出し、
忍耐が練達を生み出し、
練達が希望を生み出す。
この希望は失望に終わることがない」
(新約聖書・ローマ人への手紙5章)

安倍晋三党政治家も、
2007年に一度、
首相の座を降りてから、
再び2012年に総理として立ち上がった。

故吉田茂首相以来のことだった。

安倍晋三さん、
お疲れ様でした。

合掌。

〈結城義晴〉

2022年07月07日(木曜日)

「セブンとイオン」第1四半期決算の格差と「ああ、もったいない」

七夕。

今年は梅雨も明けているし、
台風も去って、
空は晴れた。

夜にはちょっと雲が出たが、
織姫と彦星の1年に一度の逢瀬は、
成就したのだろう。

商人舎流通SuperNews。
第1四半期決算が発表されている。

セブン&アイnews |
第1Q営業収益57%増・経常37%増過去最高/米コンビニ貢献

セブンアンドアイ・ホールディングスは、
営業収益2兆4473億(57.3%増)、
営業利益1024億(32.1%増)、
経常利益955億円(36.7%増)、
四半期純利益650億円(51.2%増)。

すべてが四半期としては過去最高。

国内コンビニ事業は、
営業収益1.1%減で、
2152億4300万円。
営業利益は592億8200万円(2.1%減)。

海外コンビニ事業が、
1兆7239億円で、
これは153.8%増。
前年比153.8%ではない。
153.8%増。

営業利益も262.4%増で、
439億8100万円。

日本のセブン-イレブンは、
全店売上高は1兆2567億円(2.0%増)で、
収益性も米国より高い。

それでもセブン&アイの過去最高益は、
米国のセブン-イレブンとスピードウェイが、
大きく貢献して、
同社を日本一の小売業に引き上げた。

一方、スーパーストア事業は、
営業収益3558億円で21.2%減。

イトーヨーカ堂は1788億円で32.1%減、
ヨークベニマルは1198億円で0.5%増。

営業利益は、
イトーヨーカ堂が7億7000万円(18.3%増)、
ヨークベニマルが44億6200万円(26.1%増)。

利益はベニマルがヨーカ堂の5.8倍。
完全に逆転している。

一方、
イオンnews |
第1Q過去最高/営業収益2兆2032億円・営業利益12%増

営業収益2兆2032億円(2.3%増)、
営業利益4398億(12.0%増)、
経常利益444億(10.0%増)、
四半期純利益194億円(287.3%減増)。

こちらもすべて過去最高。

ただし、セブンには四半期で、
2331億円の差をつけられた。

事業会社のイオンリテールは、
営業収益4188億円(6.4%減)で、
イトーヨーカ堂の2.3倍で、
差を広げた。

さらに九州・北海道・東北の、
それぞれの総合スーパーを加えると、
総営業収益7890億円で2.0%減ながら、
イトーヨーカ堂の4.4倍となった。

セブン&アイの総合スーパー業態は、
イトーヨーカ堂1社だから、
イオンとセブンの祖業比較をすると、
4.4倍の差となった。

イオンのスーパーマーケット事業は、
全国にマックスバリュやU.S.M.H、
そしてダイエーがある。
ザ・ビッグをはじめとする、
ディスカウントスーパーマーケットを加えると、
営業収益は6434億円の2.8%増で、
これもセブンを圧倒する。

さらにイオンのヘルス&ウエルネスは、
営業収益2690億4100万円(7.6%増)、
営業利益74億7900万円(6.4%増)。

セブン&アイがコンビニ事業に収斂し、
イオンはコングロマーチャントとして成長する。

月刊商人舎5月号で[特別企画]を組んだ。
セブンとイオン「逆転のダイナミズム」

10年ぶりに日本小売産業の首位が逆転した。
両者の2022年2月期決算を比較すると、
営業収益は300億円の「微差」だった。
202205_seven-aeon1

それが新年度の第1四半期で、
2331億円の差となった。

ひとえに米国コンビニのおかげ、
さらに「円安」の影響もあった。

2020年3月5日(木曜日)のこのブログ。
セブン&アイの[米国コンビニ買収断念]を考察する
Speedway-600x600-448x448

私は「ああ、もったいない」と、
三度も書いた。

その後の2020年8月3日のブログ。
米Speedway買収/セブン&アイの「もったいない」と水際の勇気

逆転の買収が相成って、
私の「もったいない」が届いたかと思った。

「米国セブン-イレブンCEOが奮闘。
ジョセフ・デピントCEO。
そして再び買収にこぎつけた――」

そして付け加えた。

「その買収効果が出るのは、
今期の最終決算であるし、
来期からである」

その結果がこの第1四半期だ。

それにしても、
よく買収をあきらめなかった。

「水際の勇気」が「今」につながっている。

〈結城義晴〉

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