結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年10月29日(金曜日)

関西スーパー臨時株主総会のH2O経営統合案可決

関西スーパーマーケット臨時株主総会。
エイチ・ツー・オー・リテイリング傘下の、
イズミヤ、および阪急オアシスとの、
経営統合案が可決された。

かつて北野祐次社長(当時)のもと、
日本のスーパーマーケットをリードしたのが、
関西スーパーマーケットだ。
北野祐次
それ以来の注目を集めたのが、
この経営統合だ。

親しい友人が、
この臨時の株主総会に出席していた。
だから逐一、報告を受けた。

日本経済新聞は、
電子版で30分おきくらいに、
速報した。

横浜商人舎オフィスで、
それらの情報をチェックしつつ、
原稿書きの仕事をした。

身が入らなかったけれど。

日経新聞はもとより、
朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、
そして産経新聞まで、
会場の伊丹市のホテルに、
多数の記者を張り付けて報道した。

午後、4時10分過ぎ、
関西スーパー取締役会の議案が、
僅差で承認された。

それまで、
怒号が飛び交うやり取りもあった。
まるで昭和時代の総会屋が、
乗り込んできたかのようだった。

結果は、私の考えた通りだった。

オーケーの主張する「反対」は通らなかった。

しかしまだまだオーケーは、
関西進出をあきらめてはいない。

関西スーパーの経営統合も、
これですんなり進むわけではない。

総会後、関係者とも電話で話したが、
まだまだ棘の道は続く。

関西スーパー自身は、
経営立て直しのプロセスにある。

イズミヤは弱体化していて、
総合スーパー店舗は残っているものの、
スーパーマーケット業態に収斂していく。

阪急オアシスも、
かつての革新力を薄めている。
日本の高質スーパーマーケットの未来は、
阪急オアシスの双肩にかかっているが、
しかしそれとてもたやすいことではない。

それでも3社を合わせると、
3700億円の年商規模となって、
関西にネットワークする㈱万代と、
㈱ライフコーポレーション近畿事業部と、
同等の売上げスケールとなる。

今回の件は、
ステークホルダーとは何かを、
明らかにした。

株主=取引先、
株主=従業員。
株主=顧客。

そこに阪急阪神グループの小売事業と、
関東のオーケーが絡んで、
日本中の世論の注目を浴びた。

図らずもオーケーの経営も明白になった。

会社は誰のものか。
私はそれを考え続けた。
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「顧客のもの」などと、
真理だけれど表面的な結論で、
片づけるわけにはいかない。

この「関西スーパーの一番長い日」は、
月刊商人舎11月号において、
分析を含めて記事を書く。

注目度は異なれど、
これからの日本の小売業界に、
次々にやってくる出来事である。

「コロナはM&Aを早める。」

そして、
「商人の本籍地と現住所」

本籍地だけで一生を終わる商人は、
極めて稀なこととなる。

株主の総意が決めたこと。

その結論を重く考えて、
関西スーパーも、
阪急オアシス、イズミヤも、
いち早く経営統合を終わらせて、
「自己革新」に向かってほしい。

不死身の魂と鋼の躯体を、
取り戻してほしい。

そう、北野祐次の創業の精神に戻ることだ。

『コロナは時間を早める』
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この第五章は、
「ブレイクスルーの『戦略計画』」

そのなかで私は書いている。

――「ブレイクスルー((breakthrough)」とは、
「break (破壊する)」と「through (通り抜けて)」
による造語である。

大きな障害を新たな方法で突破することだ。
その意味でイノベーションとはまた異なる。

「ブレイクスルー」の考え方が求められるのは、
未来が過去の延長線上にない時である。

こんな時には、
過去と現在をベースにした
考え方や方法が使えない。
過去の研究や分析は
役に立たないとは言わないが、
それだけでは不十分なのだ。

ではどうするか。

何よりも、
「原点や根本に帰る」ことである。
意外なことのように見えるが、
最もよりどころとするものに
頼るのである――。

それが関西スーパーにとっては、
北野祐次イムズである。

阪急オアシスにとっては、
阪急の創業者・小林一三の考え方であり、
千野和利のリーダーシップである。

イズミヤにとっては、
和田源三郎の精神であり、
和田満治の経営である。

それぞれ、原点にもどって、
そこからまた再出発し、
今度は融合に向かう。

商人の本籍地と現住所の考え方である。

「現住所」は三者が統合して、
新たに創り出すものだ。

〈関西スーパーも阪急オアシスもイズミヤも、
みんなこの本を読んでほしいな……〉

最後にウィンストン・チャーチルの言葉。
チャーチル⑵
Never, never, never, never give up.
決して、
決して、決して、

決してあきらめるな。

〈結城義晴〉

2021年10月28日(木曜日)

加藤徹の「食品産業功労賞」受賞と高原豪久の「OODAループ」

日本食糧新聞社が制定し、
農林水産省が後援する。
食品産業功労賞。

日本食糧新聞創刊25周年を記念して、
昭和42年(1967)年に始まった。

現在は特別賞と生産部門、技術部門、
流通・情報部門、外食部門から、
それぞれわが国食品産業界に貢献し、
偉大な功績を残した功労者が顕彰される。

今年度の第54回までに、
流通部門では185人の経営者が、
この賞を受賞している。

昭和63年の第21回では、
故中内功㈱ダイエー会長兼社長(当時、以下同じ)

平成4年の第25回では、
伊藤雅俊㈱イトーヨーカ堂社長。
この年の外食部門には、
故藤田田日本マクドナルド㈱社長。

そして平成5年の第26回は、
岡田卓也ジャスコ㈱会長。
平成6年の第27回は、
故西川俊男ユニー㈱会長。

平成7年の第28回は、
故高丘季昭㈱西友会長と、
故夏原平次郎 日本流通産業㈱社長。

さらに平成8年の第29回は、
故北野祐次㈱関西スーパーマーケット社長。

最近で言えば、
平成26年の第47回には、
掛川興太郎㈱ツルヤ会長と、
千野和利㈱阪食会長。

平成27年度の第48回は、
川野幸夫㈱ヤオコー会長。

昨令和2年度の第53回は、
上田真㈱マルエツ会長、
三浦紘一㈱ユニバースCEO、
宗兼邦生㈱フレスタ社長。

そして、
今年度の第54回の流通部門は、
加藤徹さんが受賞した。

㈱万代リテールホールディングス社長で、
㈱万代前社長。
㈱万代油脂工業社長。
72歳。

会長制を採用していない万代では、
まあ、会長のような役割である。

選考委員がすごいメンバーだ。
浅野茂太郎明治ホールディングス元社長、
池田弘一アサヒグループホールディングス社友、
歌田勝弘味の素社元社長、
垣添直也日本水産元社長、
國分勘兵衛国分グループ本社会長兼CEO、
正田修日清製粉グループ本社名誉会長相談役、
田中茂治日本アクセス元社長、
中野勘治三菱食品前会長、
茂木友三郎キッコーマン取締役名誉会長、
そして今野正義日本食糧新聞社会長CEO。

加藤徹さんは、
このブログにはよく登場するが、
晴れがましいところにはほとんど出ない。
ごくごく控え目な経営者だ。
それが加藤徹の主義でもある。
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それでも万代を、
関西トップのスーパーマーケットに育て、
その近代化・現代化に大いに貢献した。

「日本一買物に行きたい店舗、
日本一働きたい企業」

このビジョンをつくり、
本気でそれを目指す会社となった。

日本のスーパーマーケットで多分、
一番最初に企業内大学をつくった。
「万代知識商人大学」

遅いくらいの受賞だと思う。

加藤さん、おめでとうございます。

来週木曜日の11月4日に、
贈呈式が行われる。

さて、日経新聞電子版「経営者ブログ」
高原豪久さん。
ユニ・チャーム社長。
60歳。
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サウジアラビアの現地法人の話を通して、
経営に重要な印象的なことを考察する。

第1は、
「見えない課題を見える課題にすると、
閾値(いきち)を超える」

閾値は「しきいち」とも読むが、
ある作用によって生体に反応がおこる場合、
反応を起こすのに必要な最小の強度をいう。
「限界値」とも言われるが、
私が使う「臨界量」や「爆発点」とも、
同じような意味だ。

本田宗一郎ホンダ創業者は言う。
「人間の知恵というものは、
見たり聞いたり試したりして、
この3つで我われは大体
こうやるべきだという判断をしているんだね。
しかし、この3つの要素のうち、
大切なのは見たり聞いたりではないんだね。
試したりということが、
いちばん判断の資料になるんだね」

ユニ・チャームでは、
「為さざる失敗」という言葉を戒めにする。

「失敗と成功は裏腹です」

高原さんは述懐する。
「自身の過去を振り返ってみても、
失敗の回数に比例して成功している」

そう、
失敗の回数に比例して、
成功する

閾値を超えるために、
失敗を繰り返す。

第2は、PDCAサイクルの発展形。

「Plan計画・Do実行・Check評価・Action改善」から、
OODAループに舵(かじ)を切った。

戦闘機のパイロットは、
一瞬で敵機か友軍機かを見極めて、
攻撃の是非を決める。
その一連の思考と動作が、
理論化されたものがOODAだ。

Observe(監視)
Orient(情勢判断)
Decide(意思決定)
Act(行動)

年次・月次・週次・日次と、
PDCAを回すレベルから、
瞬時に状況判断して、
対応を迫られるレベルへ。

それは経営環境が変化したからだ。
時間軸が早まったからだ。

「最前線で休むことなく、
縦横無尽にOODAループを実践している
現場の人の意見を、
素直に、謙虚に、
そして真剣に聞くことが大事です」

PDCAサイクルから、
OODAループへ。

COVID-19の渦中にも、
高原豪久とユニ・チャームは、
一段と進化している。

恐るべし。

〈結城義晴〉

2021年10月27日(水曜日)

政治の中道化/コモディティ化とポジショニング競争

久しぶりに古い友人に電話した。
元気そうで安心した。

ある会社の雇われ社長だったが、
その会社が倒産した。

彼は自分の責任だと考えた。
もちろんすべては代表取締役の責任である。
それは否定しようがない。

しかし陰で院政を敷く人間がいた。
大した人物ではないが、
その人間の私利私欲によって、
会社はつぶれた。

私はそう見ている。

会社は誰のものか。
会社を存続させるものは何か。
考えさせられる。
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何はともあれ、一応、
元気そうに生きている。

それがうれしかった。
再会を約して電話を切った。

週末に衆議院総選挙が迫る。
選挙に行こう!
投票しよう!!

日曜日に働く人たちの投票によって、
国は変わり、地域は変わる。

自分の意志を社会に反映させよう。

ところで、
「小選挙区比例代表並立制」
現在の日本の衆議院の選挙制度。
小選挙区選挙と比例代表選挙が、
同じ投票日に行われる。

その比例代表の政党。
自由民主党
立憲民主党
公明党
日本共産党
国民民主党
日本維新の会
社会民主党
れいわ新選組
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で
〈NHK選挙web〉より
NHK

「民主党」という名称がくっついた政党が、
4党もある。

いずれも民主主義を基盤とするのだろうが、
私は全体の趨勢は「中道」だと思う。

公明党と日本維新の会は、
もともと古い左と右の中道の位置にいる。

そしてこれも民主主義を基盤とする、
日本共産党が「中道化」してきている。

自由民主党の中にも、
保守と革新がある。
右翼と左翼が混在して、
全体として大きな「中道」を形成している。

立憲民主党にも、
リベラルとコンサバティブが同居する。

そして4つの「民主党」。
その政策も似たり寄ったり。

完全に同質化してきている。
コモディティ化している。

同質化、コモディティ化すると、
一番大きなものが勝つ。
マーケットシェア最大のブランドが強い。
その他は必要ない。

それが世界の消費社会の趨勢である。

政治も同じだ。

アメリカの民主党のなかで、
バーニー・サンダース議員は、
「民主社会主義」を自認しているが、
これはヨーロッパから見ると「中道」である。
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しかしポジショニングが面白いから、
結構、人気がある。

「民主主義は、
最悪の政治形態といわれてきた。
他に試みられたあらゆる形態を除けば」

ウィンストン・チャーチル。
第二次世界大戦のときのイギリス首相。
チャーチル
「民主主義は、
いろいろ厄介な問題があるが、
これに勝る政治のかたちはない」

同感だ。

その民主主義が中道化し、
コモディティ化している。

だから、
マーケットリーダーが、
圧倒的に強い。

マーケットチャレンジャーは、
ひどく弱い。

リベラルとコンサバティブの両サイドに、
マーケットフォロワーが多い。

そのくせ互いに批判し合っている。

これはつまらない市場である。

それが今の日本の政治状況だ。
だから日本の政治は行き詰っている。

今回の自由民主党の総裁選挙は、
この行き詰まりの象徴だった。

国民はコモディティ化した政界に、
突き抜けた、確かな存在の登場を待っている。

だから私たちは、
選挙に行かねばならない。
投票しなければならない。

最後に、私の著書『Message』から。
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個と全体、その責任

一人は万人のために。
万人は一人のために。
幸せの時代、能天気の時代。
ひどく貧しかったか、
とりわけ豊かだったかの時代。

滅私奉公。
組織人間・立場人間。
ふびんな時代、無自覚の時代。
たったひとつの中くらいの価値に向かって
無秩序に競争した時代。

そんな要素をみんなひっくるめて、
今、「個と全体」。
「マイノリティとマジョリティ」。
民主主義の暴力的多数決制に
破綻が来た二十一世紀。

ならば、
この指止まれ。
しかし、寄らば大樹の陰。
そして、責任の放棄。
さらに、決断する勇気の喪失。

責任とは、
自らする意思決定のことである。
責任とは、
自ら為す行動のことである。

一番不幸で滑稽で情けないのは、
これができない者同士が向かい合って、
長々と調整を重ねることだ。
その時間の空費に、
無感覚になってしまうことである。

だから合併も経営統合も、
構造改革も組織変革も、
大いによろしい。
組織の責任と人間の存在のあり様が
明らかになる賢い行為だからである。

何世紀にもわたる大きな時代の流れが、
個と全体の、その責任のあり方を求めている。
この大命題の解を追求することは、
少なくとも、不幸で滑稽で情けない
時間の空費とはならない。

〈結城義晴〉

2021年10月26日(火曜日)

FSSFセミナー・プログラムと小室眞子さんの「人としての独立」

今日の横浜の最高気温は21℃。
暖かいけれど、風は強い。

昨日は17℃。
ちょっと肌寒かった。

こうして少しずつ寒くなっていく。

その昨日は一日中、東京・御成門。
東京タワーが見える。
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慈恵大学病院で大腸内視鏡検査。
朝7時半に着いて午後3時ごろまで、
1日がかり。

ああ、疲れた。

今日は2週間ぶりに、
朝から商人舎オフィス。

手紙や雑誌、機関誌、贈呈本、
さらにアマゾンで購入した本など、
机の上にどっさり積まれていた。

そのなかにポスター。
フードストアソリューションズフェア2021。
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略称FSSF2021。

12月2日(木)・3日(金)に開催。
会場はインテックス大阪。

主催は日本食糧新聞社。
共催は一般社団法人離島振興地方創生協会、
副主催は西日本のスーパーマーケット18社。
FSSF

今年から私もアドバイザーとして参加して、
セミナー企画を担当した。
フードストアセミナー
是非、おいでください。
2日間、会場に詰めています。

パネルディスカッションの司会や講演をします。
セミナーは事前登録制です。

[記念パネルディスカッション]は、
阿部秀行㈱万代社長
松元努㈱エイチ・ツー・オー食品グループ専務。
コーディネーターは結城義晴。
「ポスト・コロナのフードストア経営戦略」

今、関西で話題の経営者登場。

特別講演は、
大久保恒夫西友社長兼CEO。
「勝者総取り! ラストワンマイル戦略」

こちらもご存知、注目の経営者。

それからラストワンマイル戦略の2題。

住友達也㈱とくし丸ファウンダー
「移動スーパーの可能性と未来」

高倉照和スーパーサンシ㈱常務。
NetMarket事業本部長。
「ネットスーパーの意義と黒字化への軌跡」

マーチャンダイジングは、
小平昭雄惣菜サミット会長。
「新常態の惣菜MDの決め手」

マーケティングは、
越尾由紀㈱True Data執行役。
一般社団法人ビッグデータマーケティング教育推進協会。
「DXとビッグデータ活用講座」

そして冒頭の基調講演は、
千野和利離島振興地方創生協会理事長。
「地方創生の意義と食品産業の未来」

総括講演は結城義晴。
最後にすべての講座を総括し、
2022年への課題を提示します。

もちろん展示会も大盛況。
2025年大阪万博に向けて、
このFSSFも、
ホップ・ステップ・ジャンプで、
飛躍します。

さて、
小室眞子さんと小室圭さん。
今日、婚姻届けを提出し、
結婚を発表。
記者会見を開いた。
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「眞子さま」は皇籍を離脱し、
「小室眞子さん」になった。

潔かった。
見事だった。
美しかった。
眞子さま3

新しい日本の皇室のあり方の一つを、
確かに示した。

しかし圭さん、
もう、尻に敷かれている。

それもよし。

おめでとう。

最後に朝日新聞一面コラム。
「折々のことば」

鷲田清一編著の私の大好きなコーナー。
毎日書いて、今日はその第2185回。

常に人を恐れ
人に諛(へつら)ふ者は、
次第にこれに慣れ……
恥づべきを恥ぢず、
論ずべきを論ぜず、
人をさへ見れば、
ただ腰を屈するのみ。
(福沢諭吉『学問のすゝめ』から)
福沢諭吉

「人を頼りにしてばかりいると、
卑屈になって人に諛い、
お世辞を言うだけの
腰砕けになってしまう」

腰抜けになってはいけない。

「自由で平等な世を求めるなら、
民はこうした”無気無力の鉄面皮”を脱ぎ、
まずは人として独立せねばならぬ」

小室眞子さんも、
人として独立した。

「内に居て
独立を得ざる者は、
外にありても
独立すること
あたはざる」

内に残っても、外に出ても、
インディペンデントな存在でありたい。

故上野光平先生が言い残したように、
会社の内に席を置いていても、
「独立自営商人」になれるのだ。

〈結城義晴〉

2021年10月25日(月曜日)

「時間よ、止まれ!」と「#選挙に行こう! 投票しよう!!」

Everybody! Good Monday!
[2021vol㊸]

2021年第43週。
今週は10月最終週で、
来週の月曜日からもう11月。

毎年、秋から冬にかけて、
さらに年末に向けて、
商売の時計の針は早まる。

それが昨年と今年は、
さらに加速された印象だ。

私の錯覚だろうか。

「コロナは時間を早める」
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私はこの本の第一章の終わりに書いた。
「本質的に
時間そのものは変わらない。

しかしCOVID-19との
危うい動的平衡の連続的緊張感によって、
少なくとも
人間自身が感じる時間が早まる」
(43ページ)

NHKが集計する県別新規感染者数。
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全国で153人。
大阪府が26人、兵庫県が19人。
東京はなんと17人。

2ケタはこの3都府県のみ。

信じられない。

だとすると、
時間は緩やかになるのか。

いやいやそうでもなさそうだ。
動的平衡の緊張感は、
簡単には解けないからだ。

商人舎2019年2月号の[Message]
時間よ、止まれ!

“Time is money”
〈アメリカ建国の父/ベンジャミン・フランクリン〉

「賢い人間は
時間を無駄にすることに
最も腹が立つ」
〈イタリアの詩人・哲学者/ダンテ・アリギエーリ〉

しかし、こんな言葉もある。

「珠玉の時間を無為に過ごさないようにと、
注意を受けたことがあるだろう。
そうなのだが、
無為に過ごすからこそ
珠玉の時間となるときもある」
〈イギリスの劇作家/ジェームス・マシュー・バリー〉

時間はなぜか二面性を持つ。
それが時間の特徴だ。

「労働は適時にはじめること。
享楽は適時に切り上げること」
〈ドイツの詩人/エマヌエル・ガイベル〉

「一番多忙な人間が、
一番多くの時間をもつ」
〈スイスの神学者/アレクサンドル・ビネ〉

これは真理だ。

私たちは誰もが、
「時間」の中で働き、学ぶ。
「時間」の中で休み、眠る。
「時間」で生きて、
「時間」で死ぬ。

「幻でかまわない
時間よ とまれ
生命のめまいの中で」
〈作詞家/山川啓介・作曲家/矢沢永吉〉

時間とは一生、付き合わねばならない。
その時間が止まった瞬間、
死が待っている。

だからこそ時間との向き合い方に、
ある種の決着をつけておきたい。
自分なりの羅針盤を携えておきたい。

仕事の時にもプライベートの時にも、
時間に対するマネジメント哲学をもって、
生きていきたい。〈結城義晴〉
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コロナが時間を早めるからこそ、
私たちはその時間を、
何よりも大切にしなければならない。

それがこの本の底流に流れるテーマである。

さて日経新聞の連載。
「池上彰の大岡山通信」
今日のタイトルは、
「衆院選 投票に行こう」

同感だ。

池上さんは若者たちに説く。
「若者の投票率が下がってしまうと、
どうなるか」

候補者たちが、
当選するために考えること。

「あなたの選挙区の有権者を見て、
必ず投票に行く人と、
投票に行きそうもない人がいたら、
どちらの意見を大事に考えるでしょうか」

自分の当選を考えたら、
必ず投票に行く人に支持してもらいたい。
だからこの人たちの声を大事にする。
「投票に行かない人など、
どうでもいいやと思ってしまう」

「では、どんな人が投票に行くのか」

過去の例から明白だ。
高齢者ほど投票率が高い。

「長く生きていると、
選挙の大切さを痛感するようになり、
自分たちの意見を政治に反映させたいと
考えるようになるからです」

だから政治家たちも、
高齢者に支持されるような
政策を打ち出す傾向がある。

橋本大二郎元高知県知事の発言。
故橋本龍太郎総理の弟さん。

「次の選挙のことを考えれば、
ゲートボール場をたくさんつくればいい。
でも、県の今後の発展を考えれば、
子どもたちのために
サッカー場をつくったほうがいい」

素晴らしい。

「若者や子育て中の人たちが
投票に行かないと、
サッカー場がつくられないのです」

わかりやすい事例で、
投票の大切さを説く。

私は日曜日に仕事する人たちに訴える。
#選挙に行こう!
投票しよう!!

商業やサービス業が、
その社会貢献度に比して、
まだまだ低くしか認識されないのは、
この投票行為にもあると思う。

いや、期日前投票制度も活用されて、
いまや投票率は上がっているだろう。

それでも全体から見れば低い。

私はかつて、
UAゼンセン流通部会の幹部に、
確かめたことがある。

「流通は投票率が低くないですか?」

その投票率。
「正社員の組合員は9割をはるかに超える。
しかし非組合員や、
パートタイマーの組合員は、
一般の6割ぐらいでしょうか」

全体的に見ると、低い。

そして重要なことは、
政治家たちに商人は投票率が低いと、
思われてはいないかということだ。

それを払拭するのが、
ポリティカル・マーチャントである。
商人舎2018年8月号。
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商業のリーダーたちが群となって、
政治的発言をする。
多くの商業者の投票率が、
ぐんぐん高まる。

そうすれば商業・サービス業の地位が、
少しずつでも上がっていく。

それは池上彰さんが訴えかける、
若者たちの立場と似ている。

池上さんの最後の言葉。
「棄権は危険なのです」

同感だ。

今週いっぱい、
よく情報を見て、読んで、
自分で判断したい。

自分の選挙区の候補者だけでもいい。

そして経営者や店長や先輩が、
若い商業者たちに、
選挙の重要性を説いてほしい。

ただしパワハラ的な押しつけはご法度だ。

では、みなさん、今週中に、
選挙に行こう!
投票しよう!

Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年10月24日(日曜日)

松山英樹のZOZOチャンピンシップ制覇と「専門家の真剣勝負」

ZOZOチャンピオンシップ。
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米国男子プロゴルフの公式戦だが、
唯一、日本で開催されるトーナメントだ。

千葉県の習志野カントリークラブ。
パー70、7041ヤード。

松山英樹が4日目の今日、
見事な優勝。

最終ホールの18番パー5。
第2打を5番ウッドでオン。

そして最後のパット。
松山②

真ん中から流し込んでイーグル。
通算15アンダー。
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今年4月11日には、
米国ジョージア州のオーガスタで、
世界最高峰のマスターズを制覇。
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それ以来のPGAツアー7勝目。

私は今日1日、テレビに釘付けだった。

前半アウトの6番パー5でも、
ロングパットを決めてイーグル。

2位タイとなったキャメロン・トリンゲールと、
最終組でマッチゲームのような真剣勝負。

最後には5打差で勝ち切った。

松山英樹のゴルフに対する真摯さが、
存分に発揮されて、
ゴルフの神様が、
特別の褒美をくれたような試合だった。

さて日曜日の「あきないの心」
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倉本長治の言葉。
その80『真剣勝負』
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碁や将棋の専門家の棋譜や講評を、
新聞で見ていると、そこには、
素人の囲碁・将棋のような
「待った」がない。

松山英樹のショットにも、
打ち直しやマリガンはない。

必死の真剣勝負に
「待った」があるわけがない。

打ち下ろす太刀に
「待った」があってよいはずのものか。

血が流れるか、
生命を失うかの、
必死の瀬戸際だからである。

ところで商売の畠には、
このような真剣な気魄は
なくともよいのかしら。

だらだらと、その毎日が
「待った」「待った」の連続の、
ヘボ将棋のようなものなのではないのか。

一つの問題を取り上げても、
いつも一種の「待った」である。

それでいても、専門家として、
恥ずかしくないのであろうか。

一品を仕入れ、
一品を売るにも、
これを真剣に、
命をかけての必死の場という覚悟には
なれないのだろうか。

しょせん、この問題は、
あなたが人生をぼんやりと
甘く考えて過ごしているか、
つねに真面目に真摯な精神で
これと取り組んでいるかということに
つながっているのである。
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将棋の藤井聡太は、
今週の竜王戦第2局を、
70手で勝利した。

相手は豊島将之。

いま、渡辺明名人とともに、
圧倒的な強さを誇っている天才棋士だ。

しかし「19歳の専門家」には、
真剣勝負の気魄が漲っていた。
その気魄が豊島に勝ったのだ。

長治は商人を、
「専門家」と呼ぶ。

敬意を表しつつ、
厳しい言葉を投げかける。

「専門家として、
恥ずかしくないのか」

どんな仕事でも、
「専門家」として、
恥ずかしくないか。

それを肝に銘じて、
明日も明後日も仕事に邁進しよう。

長治の言葉はそんな勇気をくれる。

〈結城義晴〉

2021年10月23日(土曜日)

日曜日に働く商人たちへ!「選挙に行こう! 投票しよう!!」

二十四節気の「霜降」

露が冷気によって、
霜となって降り始めるころ。

このブログを毎日、
書くようになってから14年。

季節の変化にひどく敏感になった。
そして同時に、
二十四節気を意識するようになった。

毎日書くことは、毎日考えることだ。

紀貫之の「土佐日記」が、
日本の文学史上最初の日記とされる。
土佐日記
「をとこもすなる
日記といふものを
をむなもしてみんとて
するなり」

男の貫之が女を装って、
男がするという日記を
書いてみようと始める。

土佐から京都への帰途の、
55日間の日記である。

「土佐日記」に続いて、
「蜻蛉日記」、「和泉式部日記」、
「紫式部日記」、「更級日記」と、
次々に名作が生まれる。

日記は日々の事柄を観察し、
それを描くからこそ、
季節とつながってくる。

だから日々の商売も同じように、
強く季節とつながっている。

しかしその季節はいつも、
寒くなったと思ったら、
また暖かくなる。

さて、
新型コロナウイルス感染。
新規陽性判明者は、
全国で285人。
2021-10-23全国感染

300人を切ってしまった。
大阪府46人、東京都32人。

わが神奈川県など9だ。
ピークは今年8月20日。
2878人だった。

この日本の激減ぶりを、
イギリスの「ガーディアン」紙は、
「ワクチンとマスク」と分析する。

明快な解説でありがたい。

そのワクチン接種の司令塔だったのが、
菅義偉前首相と河野太郎前ワクチン担当相。

もう政治の中心にはいない。

これに関して日経新聞のコラム。
「大機小機」
活躍する経営者、学者などが、
匿名で書く。

匿名だから、
かなり思い切った発言がある。

「日本は国家資本主義なのか」
コラムニストは吾妻橋さん。

かなり怒っている。

それが文面に表れていて、
難しいことが易しく書かれている。

「日本経済の基本的な問題は
長期停滞である」

国内総生産(GDP)が、
それを明らかにしている。
1995年はドルベースで5.5兆ドル。
それが2020年は5兆ドル。

25年間も横ばいだった。

「GDPが増えなければ
賃金が上がらないのは
当然である」

その通り。

そして断言する。
「長期停滞は
需要不足によるものでもない」

「タンス在庫」などと言う言葉もあるほど、
需要は飽和に近い。

コロナ禍直前の19年の失業率は2.4%。
これは完全雇用水準だ。

「ジニ係数でみた所得格差も、
2010年代には縮小している」

「ジニ計数」は、
統計学者コラド・ジニが考え出した。
イタリア人だ。

所得などの分布の均等度合を示す。
ジニ係数の値は0から1の間にあって、
係数が0に近づくほど所得格差が小さくなり、
1に近づくほど所得格差が拡大している。

ジニ係数が真ん中の0.5を超えると、
所得格差は高い状態と考えられる。

そのジニ係数が、
日本の2010年代には縮小した。
つまり所得格差が減った。

にもかかわらず需要は増えず、
長期経済低迷は続く。

コラムニストの結論。
「生産性の低迷など、
供給面の制約が真の要因」である。

需要ではなく、
供給が問題。

小売業、サービス業も、
その供給の一翼を担う。

長期経済低迷の克服には、
「大きな反発があっても
過去の制度改革が不可欠である」

コラムニストは安倍晋三政権を、
ちょっとだけ評価する。
「不十分ではあったが、
労働市場改革が試みられた」

そう、不十分だった。
それでも労働市場改革が、
お題目にはなった。

しかし岸田文雄新政権。
「分配優先で成長戦略を封じ込め、
賃上げ企業への減税で
更なる賃上げを期待する」

「小手先の対策のみである」
手厳しい。
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「減税に意味があるのは
法人税を負担する一部の企業にすぎない」

「財政による賃上げ促進という
官僚の発想では効果は期待できない」

その通りだと思う。

「中間層の所得を手厚くするには
経済成長を通じた賃上げしかない」
これこそ王道の政策だ。

経済成長は、
なにも輸出だけではない。
国内供給をもっと強化して、
新たな需要を生み出すことも含まれる。

「米国のような富裕層が少ない日本で
財政を通じ中間層に所得を分配すれば、
負担は同じ所得層が担う」

これも全く正論だ。

岸田政権の唯一の現実的な公約は、
「金融所得税制の見直し」だった。
しかし「僅かの批判で早くも撤回」。

「金融所得」は、
株式の譲渡益や配当金など、
金融取引によって得た利益のことだ。

延びているのは株価だけという現在、
「分配」の即効策の一つは、
この金融所得税制の見直しにある。

もちろんわずかな金融所得で余生を過ごす、
高齢者は例外として対応すべきだ。

安倍晋三政権も菅政権も、
この面では消極的だった。

しかし自民党総裁選では、
候補者たちがこぞって、
金融所得税制を問題にした。

岸田候補は「1億円の壁だ」と発言して、
年間所得1億円超の層は、
所得税負担率が低下することを指摘。
したがってこの層の金融税率を、
現在の一律20%から引き上げて、
中間層や低所得者への恩恵を、
厚くすべきだと主張した。

河野太郎候補も、
近著『日本を前に進める』に、
「検討すべきだ」と書いた。

高市早苗候補は「30%」の数字を示したし、
野田聖子候補も格差是正を訴えた。

にもかかわらず、
政権をとった途端、
「改革」の言葉は一掃された。

「企業の活力重視」と言いながら、
「民間人による規制改革会議」は、
「デジタル臨調に改組」される。

吾妻橋コラムニスト。
「改革を迫られている
多くの社会の構造問題から目を背け、
官僚の作成する
抵抗の少ない目先の対応策で
お茶を濁すのだろうか」

そう、お茶を濁そうとしている。

さらに、
「”新しい資本主義について考える”
という悠長な会議も設置された」

私もこの会議に対して、
10月8日のブログで、
「途方もなく大きくて重いテーマだ」
と書いた。

吾妻橋さん。
「資本主義の原動力は、
民間企業の競争を通じた、
アニマルスピリットにある」

「アニマルスピリット」は、
ジョン・メイナード・ケインズの言葉。
ケインズ
アニマル・スピリットは、
「企業家の野心的な意欲」と訳され、
長期低迷を脱するときの基本中の基本だ。

「岸田政権の目指すものは、
大胆な構造改革を避け、
官僚の意見をよく聴く
“財政に依存した資本主義”」

そして最後の痛烈な皮肉。
「それなら中国の”国家資本主義”が、
良いお手本になる」

衆議院総選挙まで、
あと1週間。

私たちの日本国は、
どっちに進むのか。
ジャンセン
決意をもって、
選挙に行こう!
投票しよう!!

日曜日に働く人たちが、
もっともっと投票し続ければ、
世の中は必ず良い方向に変わる。

私はそれを信じている。

〈結城義晴〉

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