日経新聞『真相深層』に、
GEのジェフ・イメルトCEO登場。
ジャック・ウェルチ氏の後任。
2001年9月から、
ゼネラル・エレクトリック9代目会長兼CEO。
現在、57歳。
160カ国以上で事業展開するGE。
年間200日、世界を飛び回る。
「メイドインUSA」が息を吹き返している。
イメルトは、その要因を語る。
「アメリカ製造業の復活は本物だ」
自信満々。
「競争力のあるものづくりが可能になった」
要因を三つあげる。
①生産コストの人件費比率が低下した。
だから材料費の占める割合が大きく、
より重要になった。
②生産性が向上した。
3次元プリンターのような新しい製造技術が登場した。
③市場に近い。
「巨大な工場1カ所ですべての製品を生産し、
世界中に出荷する製造業の時代は終わった。
いまは『機敏さ』が求められる時代だ。
市場に近ければ、
イノベーションのスピードや質を高められる。
顧客が米国にいる場合は米国生産のメリットは大きい」
マス・カスタマイゼーションの時代であることを、
イメルトは強調。
最後の言葉。
「すべての企業は今後、程度の差はあれ
データの活用に投資をしなければならなくなる。
これが未来の姿だ」
「変化は始まったばかりだが、
我々はこの巨大な波をリードしていくつもりだ」
今現在は、いいかもしれない。
しかしデータ活用に投資しなければ、
すべての企業は、
マーケットをリードできなくなる。
置いていかれてしまう。
それは企業が、
老いることを意味する。
さてバルセロナ滞在2日目は、
市内の小売業視察。
はじめは、
エコロジックスーパーマーケットのBIO SPACE。
一部2層式で650㎡ほどの店舗に
オーガニックやナチュラルフーズを、
約9000アイテムそろえる。
もともとは精肉屋だったが、
3代目のアルトゥーロ・サンティアゴさんが、
エコロジックスーパーマーケットに転換した。
だからミートは売場の導入部に配されて、
充実した品ぞろえ。
女性スタッフがオーダーを受け、
カッティング販売する。
スペインも他のEU国同様、
BIO商品が拡大している。
アメリカのホールフーズや
スプラウツ・ファーマーズマーケット同様、
Bioに専門化されたスーパーマーケットだ。
アルトゥーロさん、
万代の西水啓介さんと三人で握手。
この店の2件隣にあるスーパーマーケット。
「SENSE INTERMEDIARIS」。
バルセロナとマドリードで
74店を展開するスーパーマーケットチェーン。
天井はむき出し、木製什器の多用、
クレンリネスが行き届いた実にいい店。
店舗中央におかれたキッチンコーナー。
ここで、スタッフが
カットフルーツやフレッシュジュースなどを
手づくりする。
壁面はリーチインの冷蔵ケースと冷凍ケースが並ぶ。
この店もナチュラル志向。
わずか5メートルほどのところに
2つのスーパーマーケットが立地する。
さらに道路沿いの反対側には
鮮魚専門店PEIX de PLATJA。
5坪ほどの店舗には、
フレッシュな魚介類が並ぶ。
オーナー女性だろうか。
カッティングさばきも、
実に堂に入っている。
大きな湾曲した包丁を使って、
手早く加工する。
わずか15メートルほどのところに、
スーパーマーケット2店、そして鮮魚店。
それぞれの店が十分に成り立っている。
なぜならバルセロナは、高齢化が進んでいる。
500メートル四方に、
スーパーマーケットや専門店がなければ
高齢者の生活が成り立たない。
だから市街地には、
小型のスーパーマーケット、
専門店が数多くあるし、
顧客がいて成り立っている。
次に視察したのがドイツ資本のリドル。
アルディと同じ小型ディスカウント業態。
スペインに2012年段階で、
555店舗を出店する。
150坪ほどの店で、生活に必需の商品だけを低価格で販売。
店舗中央では、シーズン商品のセール。
もちろんローコストオペレーション。
ドイツではアルディにかなわないが、
スペインでは健闘している。
そしてメルカドーナ。
スペイン訪問の最大の目的は、
メルカドーナ視察。
地上1階、地階の2層式店舗。
スロープ型のエスカレーターで
地下の食品売場に誘導する。
プライベートブランドが圧巻。
鮮魚部門は、セルフと対面の売場。
青果部門は主通路の最後に配置されている。
クレートを活用したローコスト運営。
メルカドーナは、
CS(顧客満足)とES(従業員満足)に優れた
好循環企業と言われる。
クレンリネスの行き届いた売場からは、
従業員のモラールの高さが感じられる。
スペインナンバー1企業の実力をしかと見た。
詳細は、毎日、このセリフで恐縮だが、
商人舎magazineで報告したい。
乞うご期待。
最後は El Corte Inglés。
百貨店からハイパーマーケット、
スーパーマーケットまで展開する企業。
そのバルセロナ中心部にある百貨店の、
地下のスーパーマーケット。
古い店舗での制約もあるだろうが、
売場はごく普通。
業績が悪化している同社だが、
せっかくの一等地店舗なのに、
イノベーションが感じられないのは残念。
この日の店舗視察はここまで。
この後は、市街観光と自由視察。
バルセロナのグラシア通りにあるカサ・ミラ(Casa Milà)。
ガウディが54歳の時の設計。
実業家のペレ・ミラの邸宅として建設され、
1984年にユネスコの世界遺産に登録された。
観光客よろしく記念撮影。
グエル公園。
バルセロナの街が一望できる。
1984年にユネスコの世界遺産に登録された。
ガウディの作品群が堪能できる。
全員写真。
そして、メインはサグラダ・ファミリア。
聖家族教会と呼ばれるカソリック協会。
ガウディの生誕100周年位には完成する、はず。
内部はすでに、あらかた出来上がっている。
圧巻の景色が目に飛び込んでくる。
2026年には完成されると言われているが、
それからまだ10年はかかりそう。
つまり2036年くらいか。
私は84歳。
85歳まで現役宣言をしている結城義晴、
絶対にサグラダ・ファミリアの完成を、
この目で見てやろうと決意した。
そのときメルカドーナは、
どうなっているのだろうか。
ウォルマートは、
トレーダー・ジョーは、
ホールフーズは。
そして日本の企業群はどうなっているのだろう。
もちろんこの目でしっかりと見届ける。
企業が老いてしまっていないかを。
(つづきます)
〈結城義晴〉