結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年06月05日(金曜日)

テスコ新CEOルイスのダークストア戦略とM&Sのポストモダン戦略

ロンドンに着いて、2日目の朝。
テレビをつけたらBBCに、
この顔が映し出された。
DSCN2315-5
テスコのCEOデーブ・ルイス。
昨年10月にユニ・リーバから転籍。
正式名称はUnilever N.V./Unilever PLC。
N.V.はNaamloze Vennootschapの略、
PLCはPublic Limited Companyの頭文字。
前者はオランダ語の株式会社で、
後者は英語のそれ。

ユニ・リーバは2本社制を採用している。

日本の西友CEO上垣内猛さんも、
ユニリーバ・ジャパン社長からの転身だから、
多国籍企業のユニリーバは、
人材の宝庫ということになる。

とは言っても、近年、
ユニリーバ全体の経営状態は悪化し、
再建中。

だから人材が外に流れている。

テスコの業績も、この2年、
よろしくない。

今年2月期の決算は、
過去最大の最終損失57億6600万ポンド。
これは約1兆320億円の赤字。

売上高は696億5400万ポンド、
これは前期比1.7%減。

ルイスは語っている。
「 当社の競争力がここ数年で色あせた。
それを反映した決算だ」

しかし昨年の秋、
不正会計の疑いが発覚。
2011年に中興の祖テリー・リーヒーが退任し、
その跡を継いだフィリップ・クラークは、
3年足らずで辞任した。

イギリスでは、ディスカウント旋風が吹き荒れる。
ドイツのハードディスカウンター・アルディ、
そして同じくドイツのリドルが絶好調。

テスコにはイノベーションがなくなっていた。

ルイスは財務再建を大胆に行うとともに、
1000品目の大幅値下げをし、
在庫を25%削減して、
さらに欠品を徹底的に減らす策に出た。

その結果、
顧客満足度は向上し、
シェアが回復しつつある。

ルイスはBBC放送では、
売り場でトマトを手に取って、
その生産から流通、販売までの、
テスコが実現させたイノベーションを、
真摯に語った。

好感が持てる。

その後、朝からセミナー。
DSCN2316-5

今回は、ゲスト講師を招いた。

ニック・マイルズさん。
IGDアジア・パシフィック地区マネジャー。DSCN2317-5

見た通りのナイスガイで、
通訳を交えて2時間近く、
丁寧にレポートしてくれた。
DSCN2331-5

テーマは、
英国オンライン食品市場の動向と、
テスコのダークストア戦略。DSCN2329-5
月刊『商人舎』4月号は売り切れたが、
特集は「ネットスーパー! 移動スーパー!!」
その中でセブン&アイのダークストアを紹介した。

オンラインビジネスのための、
プロセスセンターとディストリビューションを、
併せ持った機能だが、
ここにはテスコの工夫がある。

すごい内容で、これは、
ルイス新CEOの新戦略の一つ。

日本で再会することを誓って握手。
DSCN2370-5
実に今興味深いレクチャーは、
月刊『商人舎』かmagazineで、
私の分析を含めて、紹介する。

その後、1時間ほど、
結城義晴のセミナー。
DSCN2375-5

ニックさんのレクチャーの解説をして、
それからイギリスの競争の現状を語った。DSCN2379ー55

テスコ、アズダ、セインズベリー、
マークス&スペンサー、ウェイトローズなど、
有力企業の趨勢とアメリカ以上の寡占状態。
その中で我々は何を学ばなければいけないか。DSCN2381-5
アメリカも学ぶ。
イギリスも学ぶ。
ヨーロッパも学ぶ。

そうして、自分で考える。

デーブ・ルイスや上垣内猛が、
ユニリーバから転職して、
すぐに活躍できるのは、
そういった姿勢を持ち続けたからだ。

多くの事象を見て、聞いて、
自分の頭で考える。

ピーター・ドラッカー先生が言う、
「ポスト・モダンの七つの作法」。
その第一の作法が、
「自分の目で見て、耳で聞くこと」

さて、視察。

ホテルからロンドンの中心部を抜ける。
ウェストミンスター寺院。DSCN2385-5
王室の結婚式、葬式、
ほとんどここで行われる。

チャールズ皇太子とダイアナ妃は、
例外的にセントポール大正堂だったけれど。

ビッグベンの前の人ごみ。DSCN2388-5
ロンドンには観光客が、
溢れかえっている。

そしてテムズ川河畔の大観覧車ロンドン・アイ。DSCN2391-5

そして到着しました。
ウェストフィールドショッピングセンター。
DSCN2404-5
ロンドンオリンピック跡地にできた最新型。

まずは腹ごなし。DSCN2402ー5
Wagamama。

1992年、香港出身のアラン・ヤウが創業。
ロンドンを中心にアイルランド、オランダ、
トルコ、オーストラリア、
そしてアメリカに出店するチェーン。

メニューは「日本風料理」。DSCN2401-5
カジュアルな店内で、
麺や丼、カレーなどを提供する。

しかし日本人の手は入っていない。

このショッピングセンターは、
2つの核店舗を持つ。

一方が、百貨店のジョンルイス。 DSCN2405-5

高級百貨店だが、
大衆化路線を走っている。DSCN2406-5

その1階フロアには
高級スーパーのウェイトローズ。  DSCN2410-5
ジョンルイスの傘下にある企業。

H2Oにおける阪急オアシス、
三越伊勢丹におけるクイーンズ伊勢丹。

百貨店が43店、
スーパーマーケットが336店。
全体の売上高は109億ポンド、
ウェイトローズはその中で65億ポンド。

入口の花売り場。DSCN2426-5

そしてベーカリー。DSCN2411-5

キッチンサービスコーナーと惣菜。DSCN2412-5

その奥に生鮮食品売り場。DSCN2413-5

青果部門も奥にある。DSCN2414-5

クレート陳列。DSCN2415-5
私はこれには疑問を抱いている。
この方式はテスコが開発して、
テレビでルイスCEOが語るように、
目覚しい成果を上げた。

そしてみんな真似をした。

しかしウェイトローズは、
アメリカのホールフーズやウェグマンズのように、
美しい立体陳列をすべきだ。

そうしなければ、
ウェイトローズのポジショニング、
アウトスタンディングにならない。

精肉・シーフードの対面コーナー。DSCN2419-5

ワインは25%offを強調している。DSCN2422-5
つまりこの店、売れていない。

一方の核店はM&S。
マークス&スペンサー。DSCN2431-5
こちらが断然、いい。

マークス&スペンサーは、
ほぼプライベートブランド100%の、
ディスカウントデパートメントストア。

かつて一世を風靡して英国第一の小売業だった。

しかし、その後、低迷。
どんな企業にも成長と低迷がある。

今でも世界50カ国に出店しているが、
国内の建て直しが最大の課題。

そして建て直ってきた。

食品売り場は素晴らしい。DSCN2432-5

地下鉄出入り口の近くに、
店舗の導入口を設けて、
客数はジョンルイスを圧倒している。DSCN2433-5
入口の右手に長いレジがあり、
それの前の通路は、
斜めに切り込まれている。

ポストモダンな店づくりは、
新しいポジションを予感させる。DSCN2434-5

天井も床もアメリカ流。
それがイギリス人にとっては、
斬新なイメージを作り出す。DSCN2436-5

イギリス国内の売上げは、
食品が今や55%、衣料品・住関連が45%。DSCN2440-5

精肉・シーフード・デリは、
対面販売方式とセルフの併用。DSCN2445-5

コンビニエンスフードも、
全てプライベートブランド。DSCN2448-5

花売り場がポストモダンな店づくりに、
見事にフィットしていて、
その向こうはイートインコーナー。DSCN2449-5
アメリカではウェグマンズ、ホールフーズ、
これが当然のごとしだが、
イギリスではM&Sだけ。

ウェイトローズにもこの観点はないし、
テスコやセインズベリーにも薄い。
アズダにはそれがあるけれど。

昔から定評のある衣料品売り場。DSCN2461-5

既存のブランドを刷新して、
2013年からBest of Britishを開発。
ポストモダンの店づくりと相まって、好調。DSCN2465-5
イギリスでも、
イノベーションとポジショニング、

極めて重要な競争与件となっている。

そのあと、テスコ・メトロと、
セインズベリー・ローカルへ。DSCN2506-5
テスコもセインズベリーも、
マルチフォーマット戦略。
その都市型小型店。

いい勉強は続く。

夕食はチャイナタウンの中華。DSCN2518
大満足。

その中で一番は、カニのヌードル。DSCN2520-5
青島ビールと紹興酒で、
10時まで明るいロンドンの夜を、
存分に堪能した。
(つづきます)

〈結城義晴〉

追伸で日本のイベントを紹介。
3日、全国セルコグループトップ会、
2015年懇親会が開かれた。
DSCN9638-1

全国セルコチェーンの経営トップと、
卸・メーカーの幹部が参集。
DSCN9633-1

地域密着型のスーパーマーケットが終結し、
グッドカンパニーを目指す。
それがセルコグループ。
それを長年率いてきたのが、
エコス会長兼CEOの平富郎さん。
今年、理事職を離れ、相談役となった。
DSCN9648-1
現理事長の佐伯行彦さんと、
副理事長の伊原實さんが、
次代のセルコを率いることになる。

平さん、まだまだ砥石ならぬ、
セルコの重石として
活躍ください。

ロンドンの空から、
応援しています。

「月刊商人舎」購読者専用サイト

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人
海外視察研修会
  • 2020年の開催研修会
  • USA視察研修会 Basicコース2020年11月5日(木)~11日(水)<5泊7日>開催場所:ラスベカス
月刊商人舎magazine Facebook
ミドルマネジメント研修会
  • 2020年の開催予定
  • 商人舎2020年 ミドルマネジメント研修会2020年9月8日(火)~10日(木)<2泊3日>開催場所:湯河原

ミドルマネジメント研修会、Blog記事を読む

東北関東大震災へのメッセージ

商人舎の新刊
流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介
新着ブログ
ブログ・スペシャルメニュー
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人達の公式ブログ

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.