結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年06月09日(火曜日)

バルセロナ激突〈メルカドーナ・リドル・カルフールマーケット&・・・〉

メッシのチーム。
FCバルセロナ。
ヨーロッパ・チャンピオンリーグで、
5度目の優勝。

バルセロナの街は、
沸き立っている。
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その地で、クールに、
店舗視察と研修。

朝から郊外に出かけて、
スーパーマーケットの激戦を学ぶ。

まず近代的なショッピングセンター。
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核店舗は、メルカドーナと、
C&AやZARA。
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その意味ではエンクローズドモールだが、
中型のコミュニテイセンター。

メルカドーナ。
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真ん中に青果部門。
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右翼は特別の精肉部門。
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ちょうどウェグマンズが、
右サイドにフードサービス部門を、
特別に設けているような意味。
スペインでは、生ハムをはじめとした肉部門は、
サービスデリの役割を果たす。

青果部門の奥の壁面は、
シーフード売り場。
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氷の上に地中海のシーフードが並ぶ。

店の真ん中にはグロサリーや冷凍食品コーナー。
その冷凍ピザ。
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2枚重ねのこの商品は売れ筋。
安い。

これも売れ筋。
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酒売り場は、ワインもビールもウィスキーも、
安くて豊富。
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もちろん化粧品売り場も、
必ず用意されている。
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この店はレジのサービス精神も旺盛。
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このショッピングセンターの効力もあり、
地域一番店の地位を確保している。

そのメルカドーナに隣接するように、
国内二番手のエロスキ。
この地区のバナーはカプラーボ。
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しかし、全くひどい売り場。
腐った魚の匂いが充満している。
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一番奥に精肉の対面売り場。
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顧客はラガードしかいない。
つまり偏狭な保守主義者。

しかし、エロスキはスペイン第2の食品小売業。
年商は53億2930万ユーロ、7460億円、
1587店舗で5.6%のシェアをもつ。

その隣にカルフール・マーケット。
スーパーマーケット。
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これが意外に小洒落た店を作っている。

入口にはサンドイッチの対面、
その奥に寿司の対面コーナー。
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青果部門もアメリカ並み。
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壁面は精肉やデリの対面コーナー。
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天井はスケルトン。
最新型だ。
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冷凍食品は平ケースがずらりと並ぶ。
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ここに売れ筋が多数、投入されている。
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それがこのプライベートブランド。
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その前に鮮魚売り場。
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コカコーラの売り場は圧巻。
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カルフール・マーケットは、
フランスとアメリカの香りを漂わせて、
自分のポジションを確立しようと必死だ。

さらに隣接して、リドル。
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ドイツのシュワルツ・グループの小型店。
ハードディスカウンターで、
アルディと同じフォーマット。

入口のパン売り場は焼きたてを提供。
しかもスライスの機械が入っていて人気。
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青果部門、精肉部門も、
アメリカのアルディなどよりも、
断然、充実している。
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店舗中央のシーゾナル売り場には、
非定番のお買い得品が山積みされ、
顧客が群がっている。
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エブリデーロープライスを旗印に、
地域で一番低価格。
その上、プロモーションのディスカウント。DSCN3291-5

アルディがほぼ100%近く、
プライベートブランドを扱っているのに対して、
リドルはナショナルブランドを組み合わせる。
しかし、スペインにはアルディが進出していない。
だからリドルは独壇場。DSCN3297-5
ドイツ企業らしく、徹底して、
ローコスト・ロープライス。

ドイツ国内では、
アルディ、リドル、ネットー。
3社が同じ小型業態でしのぎを削る。
いずれも1000㎡。

国内で激しい競争を展開するから、
国外に出ても強い。

これはブンデスリーガにも通ずる。
サッカーでもまず国内。

スペインもサッカーは、
リーガ・エスパニョーラ。
FCバルセロナとレアルマドリードが、
激しく覇を競う。

だから国際的にも強い。

しかしスペインの小売業界には、
国内リーグを形成する前から、
フランス勢がやってきた。

つまりカルフールとオーシャン。

カルフールは1999年に、
フランスのプロモーデスを買収して、
ヨーロッパ第一の小売業に躍進したが、
そのプロモーデスが1976年に、
早くもスペインに進出していた。

オーシャンは1981年に、
アルカンポのバナーでスペイン侵攻。
ハイパーマーケット業態だった。

両者とも、もともと、
ハイパーマーケットの企業。

スーパーマーケットはこれから。

ウォルマートの主力業態は、
ハイパーマーケット。
そのバナーがスーパーセンター。
1988年から展開している。

ウォルマートのネイバーフッドマーケットは、
1998年から始められた。
こちらがスーパーマーケット。

カルフールも同じ。
やはり店舗規模の大きな店の方が、
売上げを稼ぐことができる。

だから国内が高度成長期にある場合など、
どこの国でもハイパーマーケットから始まる。

今、このバルセロナ郊外で展開される競争は、
スーパーマーケットの激突だ。

カルフール・マーケットは、
そのポジショニングを模索中。

アップグレードではない。
アップスケール。

その手法はアメリカ的フランス流。
それをポジショニングにしようとしている。

だから店名も、
Carrefour Market。
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フランス流ならば、
Carrefour Marchéのはず。

このアメリカ的フランス流で、
スペイン人の心をつかもうとする。

リドルはドイツ的ロープライスを、
迷わず前面に出してディスカウント。
ポジショニングを築いている。

メルカドーナは、
これまた徹底して、
スペイン流のマーケットリーダー。
リミテッドアソートメントで、
スペイン人に必須の商品群を、
エブリデーロープライスで、
安く提供する。

リドルはもっとリミテッドアソートメント。
だからメルカドーナの品揃えが、
適正に見えてくる。

日本人が訪れると、
メルカドーナの品揃えでは、
足りないだろう、などと、
軽率に考えてしまうが、
メルカドーナが標準。

何しろ国内だけで、
年商201億6100万ユーロ。
2兆8224億円。
1521店舗。
マーケットシェア14.4%。

その結果、エロスキは、惨敗。
チャンピオンリーグに参戦する意思もない。
すなわちポジショニングなど、
全く意識していない。

メルカドーナをめぐる国際的な競争。
それがこのエリアで展開されている。

メルカドーナとFCバルセロナ。
見事にダブって見える。
(つづきます)

〈結城義晴〉

 

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