結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年08月21日(土曜日)

「艱難は人間を鍛える」と「罪を憎んで人を憎まず」

昨日の商人舎流通スーパーニュース。
新型コロナ感染ニュース|
8月20日(金)発表の主要小売業陽性判明250人

8月19日(木)発表の感染状況。

8月18日(水)発表の感染状況。

この3日間だけでも驚かされる。
第五波の脅威を目の当たりにして、
胸が痛む。

ワクチン接種の優先順位は、
医療従事者、高齢者の次には、
やはりエッセンシャルワーカーだ。

命の優先主義。
私たちは今、
大切なことを経験し、
それに耐えている。

昨日の8月20日に、
緊急事態宣言の対象地域が、
13都府県に拡大されてから、
最初の週末を迎えた。

しかし、多くの地点で、
人出は1週間前を上回った。

携帯電話の位置情報データをもとに、
日経新聞が全国10地点の推計滞在人口を分析。

東京は銀座駅・新宿駅東口・高尾山麓。
大阪は梅田、福岡は博多駅。
宮城は仙台駅、鹿児島は天文館。

いずれも先週土曜日より、
人出が多くなっている。

まるで政府の緊急事態宣言に、
反発するかのように。

残念なことだが、
なにか、どこか、
ちぐはぐになっている。

そして今日の全国の新規陽性者数。
3日連続で2万5000人を超えて、
2万5492人。

国内の重症者数は1888人で、
過去最多。

入院中や療養中などは、
昨日の時点で19万3355人。

まだまだ私たちは、
耐えねばならない。

艱難が商人を鍛える。
艱難が人間を鍛える。

全英女子オープンゴルフを、
深夜まで応援して、
それから原稿書きなどしていると、
白々と朝が明けてくる。

それからベッドに入って、
変な時間帯の仮眠。

今日は満月のはずだが、
雨がチラついたり、曇ったり。
夜の楽しみは消えた。
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赤く咲くのはケシの花。
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白く咲くのは百合の花。IMG_E61841

どう咲きゃいいのさ この私。
夢は夜ひらく。
〈詞・石坂まさを 歌・藤圭子〉

夕方はすぐにやってくる。
近所を散策。

木々は繁る。
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もうすぐ夏も終わる。
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「速度」
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「お」
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「と」
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「せ」
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「止まれ」は文字がかすんでいる。IMG_62021
歩き回って、気分が晴れた。

さて、プロ野球界。
北海道日本ハムファイターズの中田翔。
大阪桐蔭高校の「平成の怪物」。
2007年のドラフト1位で、
ファイターズに入団。

侍ジャパンにも選出されて、
不動の4番バッター。

しかし、チームメートへの暴行行為で、
球団から出場停止処分を受けていた。

その中田翔を読売ジャイアンツが、
無償トレードで獲得した。

昨日、それが発表され、
今日はDeNA戦の6回に、
代打として出場した。

日本野球機構は、
20日にファイターズから、
処分解除の届け出があったと発表。

だから出場すること自体は、
問題ないのだろう。

しかし違和感を感じざるを得ない。

「暴力行為」はプロ野球界全体の問題だ。
ファイターズだけのものではない。

だから巨人に電撃移籍したからといって、
すぐにそれが白紙になることはない。
理解しがたい。

巨人軍も謹慎期間を設けて、
たとえば今シーズンは謹慎させて、
来年度から起用するというのならば、
まだわかる。

業界全体、産業全体のことを考えて、
意思決定をするべきだし、
行動するべきだ。

小売業、流通業の世界でも、
これは同じだ。

艱難は人間を鍛える。

しかし艱難を受ける機会を奪って、
すぐに再起させてしまったことは、
中田翔自身の人生に対しても、
いい結果をもたらさないだろう。

この艱難は、
中田翔を鍛える機会だったからだ。

罪を犯せば、
罰を受ける。

これをプロ野球選手全員に、
それを目指す若者たちに、
知らしめねばいけない。
球団や監督にはその責任がある。

しかし一方で、
罪を憎んで、
人を憎まず。

孔子の言葉だ。
「悪其意、不悪其人」
「その意を悪(にく)みて、
その罪を悪まざりしか」

犯した罪は憎むべきだが、
罪を犯した人まで憎んではいけない。
人が罪を犯すには、
事情があったかもしれないのだから。

しかし罰は与えられねばならない。
それが謹慎と反省の「時間」だと思う。

残念なことだ。

「速度おとせ」
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すべての人が、
喜んでルールを守るような社会は、
「罪を憎んで人を憎まず」から生まれる。

しかし罪には一定の罰が伴わねばならない。

〈結城義晴〉

2021年08月20日(金曜日)

隈研吾「ポストコロナの公共空間」と商業の店づくり

全国知事会。
「ロックダウン的」な措置を、
政府に求めることにした。

オンラインで開催されたのは、
新型コロナウイルス対策本部の会合。
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知事会は国への緊急提言案を示した。

知事会が指摘したことは、
デルタ株に対しては、
「緊急事態宣言では、
効果を見いだせないことが明白」

したがって、
「人の流れを抑える時限的な措置として、
ロックダウンのような方策の検討」を要求。

どうなることか。

ロックダウンは都市封鎖。
それは日本には合わないという議論もある。
今こそやらねばならないという意見もある。

ただし「的」だとか「のような」とは、
いったいどんなことか。

いい知恵があれば、それを出してもらいたい。

政府が知事会を、
冷ややかに見ているかどうかも、
わかってくる。

どうなることか。
私にはわからない。

「緊急事態宣言では、
効果を見いだせない」
これは同感だ。

今日は午後から東京駅。IMG_6175 (002)1

その前にそびえる丸ビルと新丸ビル。IMG_6176 (002)1

東京駅構内のステーションギャラリーで、
藤戸竹喜の展覧会が開かれていた。IMG_6177 (002)1
「木彫り熊の申し子」と言われる彫刻家。

それから大手町プレイスタワーへ。IMG_6170 (002)1

大手町プレイス内科。
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田嶼尚子先生が私の主治医。

毎月の血液検査と診察は、
私にとって必須のことだ。

今日はちょっとだけ悪い結果がでた。
さらなる食事の改善と運動の指令が出た。

私は偏食は全くしないし、
なんでもよく食べ、よく飲む。

しかし最近はなぜか、
肉が食べたくなる。

その結果が体に現れたのだと思う。
1カ月、節制します。

一昨日の朝日新聞「経済気象台」
タイトルは、
「ポストコロナの公共空間」

「コロナ禍の長期化に伴う
人流抑制の対策は、
対面形式の商売には
死活問題である」

「感染への不安をぬぐえない限り、
街中が以前のにぎわいを取り戻すのは
難しい」

そこで一方では、
「そもそも人が集まる場所は
どう設計されるべきかを
考え直す好機でもある」

店舗もショッピングセンターも、
人が集まる場所であり、
同じことが当てはまる。

東京国立近代美術館「隈研吾展」
2021年6月18日から9月26日まで開催中。
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隈研吾の建築には、
「アオーレ長岡」(新潟県長岡市)をはじめ、
複合施設が多い。

もちろん東京五輪の国立競技場も、
隈さんが設計に参画した。

「文化施設、行政サービス、
商業施設などを一つ屋根の下に収め、
多様な目的の人々が集まる公共空間を
街づくりに生かす発想は魅力的だ」

「人流を交流へと変換するような、
居心地の良い共用のリビングルーム」

人流を交流に変換する。
店にはそれが求められる。

隈研吾が生み出す空間は、
“斜め”のコンセプトにこだわる。
独創的だ。
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「TOYAMAキラリ」

富山県富山市西町にある。
富山市立図書館本館、
富山市ガラス美術館、
富山第一銀行本店などが入居。

2015年8月22日に全館オープン。

一度、訪れてみたい物件だ。

「吹き抜けが垂直ではなく
斜めに設計されており、
エスカレーターからは
違う階の様子がよく見える」

「フロアを壁の中に
閉じ込めるのではなく、
屋内でありながら視線の先が
次々に開けていく仕掛けは、
あそこに何があるのだろう
という興味をそそる」

コラムニストは絶賛する。

「隈氏の建築には
屋内に取り込まれた橋のような
味わいを感じる」

「橋は視界を遮る壁を持たず、
周囲を見渡せる場所であると同時に、
異なる領域をつなぐ装置でもある」

部門と部門を「橋」でつなぐ。
そんな店や商業施設があってほしい。

「別の世界を可視化しつつ、
そこへ誘導してくれる
橋のような複合施設は、
集まってきた多様な人々の垣根を払い、
文化活動・経済活動を活性化するには、
格好の舞台となろう」

COVID-19パンデミック。
そのなかから違うものが生まれてくる。

「ステイホーム慣れした社会が
新たに必要としているのは、
人々がつながる
公共空間ではなかろうか」

コラムを読んだだけで、
何か期待をもった。

高校生のころだったか、
ゲーリー・クーパー主演の映画、
「摩天楼」に魅了された。
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建築のイノベーションを求める、
若い建築家。

建物には何か、
思想がこもっていなければならない。

まだ国立競技場にも、
アオーレ長岡にも、
TOYAMAキラリにも、
行っていないが、
コロナ禍のなかから、
何かが生まれつつある。

隈研吾作品も昨年、今年と、
コロナのなかで、
次々にオープンしている。

たとえば、
角川武蔵野ミュージアム武蔵野坐令和神社。
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小売業がつくるのは、
それほど金をかけた、
贅沢な店である必要はない。

隈研吾さんに頼むと、
途方もない投資となるだろう。

しかし隈研吾の思想は取り入れたい。

人々がつながる公共空間。

隈研吾さんは、
猫が好きなのもいいなぁ。

〈結城義晴〉

2021年08月19日(木曜日)

「みんな一緒主義」をやめて「命の優先主義」を!

日本の新型コロナウイルス感染。

今日の全国の新規感染確認。
2万5156人。

初めて2万5000人を超えた。
つまり過去最多。

国内で感染が確認された人は、
これで累計123万2459人。

東京都の新規感染者は5534人、
大阪府は2443人で最多更新。

神奈川県は2340人、
埼玉県は2170人で最多更新。

千葉県1410人、愛知県1221人、
福岡県1134人、兵庫県1078人。

1日1000人以上が8都府県。

最多を更新したのは大阪、埼玉以外に、
沖縄県768人、静岡県677人。

広島県362人、群馬県317人、三重県311人。
栃木県273人、鹿児島県251人、滋賀県232人。

大分県198人、奈良県173人。
長野県158人、富山県147人、新潟県132人。
山口県119人。長崎県114人、
香川県111人、愛媛県102人。

和歌山県84人、高知県80人、秋田県39人。

過去最多は22府県。

明らかにお盆の帰省が、
全国にデルタ株を広めた。

その結果、今日の全国の死亡者は26人。

これまでにコロナ関連で、
1万5555人の方々が亡くなられた。

ご冥福を祈りたい。

西日本の雨は続くが、
今日の東京、横浜は真夏日。
気温は33度を記録した。

昼すぎに品川へ。
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90分の講演。

少人数制で、
完璧なソーシャルディスタンシング。

それ以外の人は、
ZOOMで聴講してもらった。
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質疑応答やディスカッションをして、
夕方まで。
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講演の後はいつも充実感が残る。
私にとっては幸せな時間だ。

聴いてもらえること自体、
本当にありがたい。

仕事はすべてを救ってくれる。

日経新聞一面コラム「春秋」
重要なことを指摘した。
読んだ人も多いだろう。

「手つなぎゴール」という都市伝説。

「運動会の徒競走で、
ぐんぐん差がついているのに
テープの手前でみんなストップ。
いちばん遅い子がやってくるのを待ち、
仲良く手をつないでゴールイン――」

「戦後教育のあしき平等主義の象徴」
「いかにも日本的な話」

コラムは指摘する。
「”みんな一緒”の形式に傾きがちな国」

そして現下の問題。
「コロナ禍を乗り越えるための
ワクチン接種にも、
その感覚は影響しているかもしれない」

「2回打った人は人口の4割に迫るが、
以前と変わらぬ日常が続いている」

私は少しずつ活動しているが。

「接種が完了した人から、
行動制限を緩和していくのが
欧米などのいき方だ」

その通り。

「いまやインド型が猛威を振るっているし、
そもそもワクチン自体が万能ではないが、
大きな流れとしてはそうやって経済を回し、
メリットを示すことで
接種をさらに促す手法である」

「日本でも、
考えを整理する時期に
来ているはずだ」

同感だ。

エッセンシャルワークをする人たちから、
優先的にワクチン接種をして、
そこから経済を回していく。

昨年5月18日のこのブログで、
ハーバード大学の提案を紹介した。
「パンデミックに強い社会への道」
HARVARD-UNIVERSITY

このブログの昨年5月18日、
日本全国の新規感染者数は、
驚くなかれ、29人。

今日の2万5156人と比べると、
あの頃はどれだけ恐れていたか。

そして1日の新規感染者は、
東京都が5人で大阪府は0人。
神奈川県も埼玉県も5人、
北海道が8人。

ハーバード大学は、
ワクチンではなく、
PCR検査の優先主義を提言した。

ワクチンが開発されるのは、
ずっと先のことだと考えられていたからだ。

しかし検査であっても、
社会基盤を担う職場から順に、
正常に近づけていく発想を提示した。

その職場の第1フェーズは、
エッセンシャル・ワーカー。
医療従事者や、
スーパーマーケットの店員、
電気・水道などライフラインを担う人、
警察官・消防署員など。
「全労働者の4割にあたる人」

第2フェーズは、
日用品の生産や食堂、公共交通など
日常生活に必要な機能を提供する人々。
「約3割の人」。

その後、第3フェーズは、
遠隔では難しいサービスに従事する人。

最後に第4フェーズが、
オフィスワーカー。

第1から第4へと、
徐々に範囲を拡大しつつ、
産業の機能を充実させていく。

私は結論づけた。

日常生活に必要な産業から、
順番に経済活動を活発にしていく。
金が儲かる産業から順に、
投資活動が進んだ時代とは違う。

すなわち〈命に近い産業〉から。
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検査をワクチンに変えて、
現在も使える考え方だ。

春秋のコラムニストは、
「みんな一緒主義」を止めて、
いわば「命の優先主義」を提案する。

ハーバードと同じだ。

しかし日本の議論が滞っているのは、
そればかりではない。

「この国のワクチン接種は
若者や働き盛りの人たちへの対応が遅れ、
スタート台にも着かせてくれないのだ」

政治や行政の責任は大きい。

「それでいて、緊急事態宣言など
我慢を強いる策はだらだらと長引く」

悪しき平等主義に乗じて、
全体にだらだらと我慢を強いる。

「少しは希望を抱かせてほしいのに、
ゴールがどんどん遠くなる」

同感だ。

しかしこの「みんな一緒主義」は、
ときどき企業のなかにも登場する。

経済や商売や仕事こそ、
優先主義でマネジメントされねばならない。

それが悪しき平等主義によって、
滞ることだけは避けねばならない。

商売においても、
いちばん求めたいのは、
命の優先主義だ。

〈結城義晴〉

2021年08月18日(水曜日)

化粧ではなく入れ墨のように「間違いの記憶を保て」

新型コロナウイルスの感染。
1日の陽性確認者が全国で2万3917人。
過去最多となってしまった。
〈NHK「8月18日 新たに確認された感染者数」〉
NHKzennkokusinnkikannsensha

昨日、緊急事態宣言を拡大延長した。
皮肉にもその発表の翌日が過去最大。

もちろん確認が最大なのだから、
多分、お盆の人の流れや交流が、
大きく災いしたのだろう。

その前の東京オリンピックの高揚感も、
この「過去最大」に影響を与えた。

アスリートたちには、
まったく責任はないけれど。

毎日、こんなことは書きたくはない。
しかし、書かずにおられない。

自分自身でこの「災害」を、
頭と心に刻むためにも。

1年ほど前に、
COVID-19を敵に見立てて、
「コロナ軍」と言ったりした。
糸井重里さんが言い出した。

そのコロナ軍はどんどん軍備を増強した。
わが日本軍はほとんどそのままだった。

いや、われわれ人類の英知を集めた世界軍も、
素早くワクチンを開発したくらいで、
全軍の意思統一が図られたわけではなかった。

これでは負ける。

なにしろ「コロナ軍」は、
一つの例外もなく、一刻の猶予もなく、
攻め続けてきているからだ。

東京都は1日の新規感染判明者が、
5386人で8月13日に次ぐ二番目の多さ。

大阪府は2296人で過去最多。

神奈川県はこのところ毎日、
2000人超えで今日は2021人。

千葉県1692人、埼玉県1451人、
そして福岡県1253人。

愛知県1227人、兵庫県1088人は、
初めて1000人超えの最多。

さらに沖縄県761人、静岡県590人。
21府県が過去最多を更新。

全国の重症者は1716人。
これも6日連続で過去最多を更新。

言葉がない。

台湾の、
中央感染症指揮センターの発表。
今日のCOVID-19国内感染者は、
新たに6人が確認された。
死者は4日連続でゼロ。

蔡英文総統の持論。
「最も大事なのは感染防止対策を徹底し、
外出を減らすことだ」

64歳の女性総統。
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唐鳳(オードリー・タン)行政院政務委員。
通称「IT担当大臣」と呼ばれる天才。
トランスジェンダーの40歳。
オードリー タン

その信条は「即断即決」。

ニュージーランドでは、
昨日の17日、男性1人が、
COVID-19の陽性と判定された。

ジャシンダ・アーダーン首相は、
「全土で緊急ロックダウン実施」を発表。
首相は41歳の女性。
ジャシンダアー
ニュージーランドのワクチン接種完了率は、
約20%にとどまっているが、
市中感染者が見つかったのは半年ぶり。

一方、日本は過去最多の新規感染の上、
昨日のコロナ関連の死者は47人。
7日間平均で24人。

昨日までに1万5497人が亡くなった。
ご冥福を祈りたい。

「国民の命と暮らしを守る」の公約は、
残念ながら果たされていない。

小さな国だからできる。
それもあるだろう。

しかし為政者の真剣度は、
ずいぶん違うように感じられる。

言葉がない。

今日は朝から、
㈱True Dataの取締役会。
オンライン・ミーティング。
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ビッグデータ・マーケティング。

お陰様で仕事は、
すごいスピードで進んでいます。
みなさんの会社にもお邪魔します。

よろしくお願いします。

朝日新聞一面の「折々のことば」
第2118回。

真理を方向感覚と考える。
その場合、間違いの記憶を
保っていることが必要なんだ。
(哲学者・鶴見俊輔)

「負けたこと、失敗したこと、
間違ったこと。それらを、
すぐに洗い落とすことのできる
化粧のようにではなく、
容易(たやす)くは消せない入れ墨のように、
自身の肌に刻みつけておくこと」

「いっそう痛いだろうが、
そのように過ちと
正面から向きあう中でしか
真理は指し示されない、
未来は見えてこない」

〈作家・関川夏央との対談『日本人は何を捨ててきたのか』から〉
鶴見俊介

間違いの記憶を保っておく。
化粧のようにではなく、
入れ墨のように。
そして「即断即決」。

コンピュータもウイルスも、
入れ墨のように記憶を残している。
化粧のように洗い落とせる状態ではなく。

悔しいけれどこれこそ、
真理を追究する姿勢なのだ。

〈結城義晴〉

2021年08月17日(火曜日)

「災害級の豪雨・災害級の感染」と「二つの無知」

災害級の大雨。
西日本の豪雨。

お見舞い申し上げたい。

そしてCOVID-19第五波も、
災害級の感染。

菅義偉首相が夜9時に記者会見をして、
一昨日発表したことをなぞった。
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これで緊急事態は13都府県に宣言された。
効果が薄いまん延防止等重点措置は16道県。

しかも9月12日まで延期される。

残念ながら新鮮味もなかったし、
国民に訴えるものもなかった。
私にはそう見えた。

解除のめどは立たない。

そのなかで東京パラリンピックも、
1週間後の8月24日に開幕する。

私はパラリンピックに対して、
反対しているわけではない。

しかしそのあたりは記者会見などで、
きちんと説明されなければならない。
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一国の総理大臣はリーダーであり、
国の指導者だ。

「指導者」という言葉に使われている、
「導く」の意味は、
1.道案内をする。
2.正しい方向に手引きをする。
3.物事がそうなるように働きかける。
4.答えや結論を引き出す。

「国民の命を守ること」を繰り返し、
「緊急事態宣言の出口に向かって、
最大限の努力をする」と発言しても、
残念ながら「導く」がない。

残念ながら「空気」に、
忖度している首相だからである。

気になることが一つ。

これまでも緊急事態宣言発出のときに、
百貨店やショッピングセンターの、
休業、営業時間短縮、入場制限などが要請された。

そのときにの対象となった店舗は、
「1000㎡以上」

1000㎡は300坪である。
日本のスーパーマーケットの平均的な面積だ。

全国には数多の300坪以下の店があるし、
現在も都市部で盛んに開発されている。

百貨店や総合スーパー、
そしてショッピングセンターは、
1000㎡と比べると超巨大な商業施設である。

人が集まること、
人が流れてくること、
人が密になること。
これらを規制したいのならば、
デパ地下など致し方ないとも思うが、
1000㎡以下の店舗という、
一律の基準の定め方は、
いかがなものだろう。

『コロナは時間を早める』にも書いた。
ここに「業態」の概念は、
取り入れられないものかと思う。

最近は空を見上げることが多い。
今日の横浜の空。
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西日本の豪雨の影響もあって、
雲がさまざまな形をつくる。IMG_61481

そして東から青空がやってくる。IMG_61491
これは私たちにとって、
ちいさな希望かもしれない。

ちいさな喜び
ささやかな幸せ
あすへの希望

人が生きるには、
この三つが必要だ。

そして商業は人々に、
この三つを提供する生業(なりわい)だ。

ブレーズ・パスカルの『パンセ抄』
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断章三二七「二種類の無知」

「世間はものごとを正しく判断する」

世間を甘く見てはいけない。

「というのも、
生まれついての無知のなかにあるからだ」

「この無知こそが
人間の真の本拠地である」

同感したい。

「知識というものには二つの端があり、
その二つの端は互いに触れ合っている」

鋭い考察だ。

「最初の端は生まれついての純粋な無知である」

「すべての人間は生まれたときには
この無知のなかにある」

純粋な無知。

「もう一方の端とは、偉大なる魂が、
人間の知りうるすべての過程を
経巡ったのちにそこに辿りついて
自分は何一つ知っていないということを
発見する無知である」

発見する無知。

「彼らは自分たちが出発した
その無知に戻って、
自らに出会うのである」

「だが、これはおのれ自信を知っている
賢明な無知である」

賢明な無知。

「一方、この二つの無知の中間にある人たち、
すなわち生まれついての無知から出発しながら、
もう一方の無知には辿りつけないでいる人たちは、
これで十分と判断した
釉薬(うわぐすり)のような知識しかもっておらずに、
知ったかぶりをする」

中間の無知。

「こうした人たちこそ世を迷わし、
すべてを誤って判断する」

「民衆と真の識者が
世間の動力を成しているが、
中間の連中はこの動きを軽蔑し、
それによって軽蔑される」

指導者は真の識者であってほしいし、
そうあらねばいけない。

しかし指導者となった人が、
中間の無知にしか達していなかったら、
「世間」は不幸なことになる。

「彼らはありとあらゆることを
誤って判断するが、
世間は正しく判断する」

発見する無知と賢明な無知を、
誰もが目指さねばならない。

中間にありながら、
世間を甘く見てはいけない。

〈結城義晴〉

2021年08月16日(月曜日)

緊急事態宣言「拡大・延長」と「空気」に忖度する首相

Everybody! Good Monday!
[2021vol㉝]

2021年第33週。
8月に入って第3週。

盆の明け。

㈱商人舎は今日まで夏季休業。
今日は新聞各紙も休刊。

年中無休に見える新聞記者も、
休むときは休む。

新聞マスコミが休んでいる間に、
政府が緊急事態宣言の地域拡大を決めた。

菅義偉首相が記者会見した。
2021-08-16菅記者会見
宣言の対象に加えるのは、
茨城、栃木、群馬、静岡、
そして京都、兵庫、福岡の7府県。

現在はまん延防止等重点措置を適用中だが、
宣言への移行で対策を強める。
結果として宣言は13都府県に拡大する。

重点措置の対象地域は、
宮城、山梨、富山、岐阜、三重に、
岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島を加える。

現在適用中は、
北海道、福島、石川、愛知、滋賀、熊本。
合計で16道県となる。

宣言と重点措置は20日以降、
合計で29都道府県に拡大する。

結局、47都道府県の61.7%が宣言と重点措置。

そして期限も9月12日まで延長しそうだ。

ああ。

後手後手のモグラ叩き。

「最後の措置だ」と、
神奈川や埼玉、千葉に、
宣言を発令したのが、
8月2日からだった。

それから半月で、
「最後の措置」はまた拡大され、
延長された。

「デルタ株は世界中で広がっている」
これが責任を問われた時の首相の言葉。

残念なことだ。

神奈川県では今日の新規感染者が、
2584人と爆発して、
月曜日の発表なのに過去最多。

千葉県も1608人と急拡大で過去最多。

飲食店の営業自粛要請だけでなく、
百貨店の食品売場などにも、
時間短縮や入場制限を求めていく。

宣言の対象地域では、
飲食店での酒類の提供を一律停止。
重点措置の地域も原則として停止。

朝日新聞のコラム「経済気象台」
14日のタイトルは、
「政策の根拠は明確か」

「高齢者に運転免許証の返納を促す。
酒を出す飲食店に休業を要請する。
この二つの政策の共通点は何だろうか」

前者の目的は、
「暴走などで人を傷つけないこと」
後者の目的は、
「新型コロナの感染を広げないこと」

「多くの国民が何となく当たり前に思い、
それに従う人も多い」

「しかし、政策の根拠は
明確に示されているだろうか」

コラムは根拠を探す。

警察庁の死亡事故データ。
免許保有者10万人あたりの死亡事故件数。

「16~19歳と80~84歳のあいだに
大差はない」

「事故率を下げることは確かに重要だが、
高齢者を目の敵にして
運転をやめさせるには根拠が薄い」

他方、飲酒会食と感染の拡大。

国立感染症研究所の7月初旬の発表。
「3人以上の飲酒を伴う会食に、
2週間以内に2回以上出席した人の
感染リスクは0~1回の人の5倍」

しかしアンケートの対象は、
300人に満たない。

調査の母数が少なすぎるし、
詳細な分析内容は示されていない。

新型コロナウイルスの感染経路は、
明らかになっていないケースが多い。

コラム。
「飲食店が主な経路だという
調査結果は聞かない」

運転免許の高齢者と、
コロナ感染の飲食店。

何となく納得しているが、
本当にそれが事実なのか。

そしてその措置で問題は解決するのか。

「政策の根拠は、
事実と論理に基づくもので
なければならない」
kokkai_touben_taido_warui

会社や店でも同じことが起こる。

空気を読んで、
「こうだろう」と推定する。
何となく納得して、
そのことに集中するが、
結果が出てこない。

それは前提とすることの根拠が、
事実と論理に対して甘いからだ。
あるいは間違っているからだ。

故山本七平さんは、
太平洋戦争に突入した意思決定を、
「空気で決めた」と指摘した。
山本七平

日本において「空気」は、
ある種の絶対権力を握っている。
山本七平さんの分析だ。
空気の研究

誰でもないのに誰よりも強いこの妖怪を、
今、首相までもが「忖度」している。

このあとの8月下旬には、
お盆休み期間中の感染の結果が、
発表されてくる。

どこまで広がるか。

国民は不安の中にある。

しかし、
「事実と論理に基づく根拠」に沿って、
国民が一丸となっていれば、
希望があるはずだし、
必ず成果が上がるはずだ。

「空気で決めた」ことには、
国民は一丸となれない。

会社も店も同じである。

事実と論理に基づく根拠。
これこそ私たちが頼りにするものだ。

「空気で決めた」政策や対策は、
結局、空気の流れによって、
うやむやになっていく。

少なくとも仕事や商売においては、
それは避けなければならない。

では、みなさん、今週も、
事実と論理に基づく根拠をもって。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年08月15日(日曜日)

終戦の日の「死んでも死にきれない」

終戦の日。

76年前の今日、
先の大きな戦争は終わった。

日本にとっては敗け戦。
米英中露にとっては勝ち戦。

重い重い日だった。

「戦争を知らない子供たち」であっても、
その重さを背負っている。

私も「知らない子供たち」のひとりだ。
戦争は知らないけれど、
その重さを背負わねばならないし、
背負いたいと思う。

父は戦争の最後の最後に従軍した。
中国の大連で成長した父に、
「赤紙」が来て、
満州の関東軍に配属された。

ほとんど訓練も受けずに、
父ら新兵たちは列車に詰め込まれて、
満州鉄道を奥へ奥へと連れて行かれた。

ある駅に到着したら、
上官が新兵たちを列車から下ろした。
そして言った。
「お前たちはここから歩いて帰れ。
戦争は終わる」

それで父は生き続けた。
だから私が存在する。

横浜は今日も雨。
IMG_61101

街中が煙っている。IMG_61201

遠くにみなとみらいの高層ビル。IMG_61181

雨と霧に隠れてぼんやりとしか見えない。IMG_61211

横浜そごうの駐車場のジューススタンド。IMG_61111

ひまわりのブーケを買いました。
IMG_E61161
それを実家の仏前に。

線香をあげて、
両手を合わせる。

例年の8月15日は、
カンカン照りの日が多い。

しかし今年2021年は、
梅雨の終わりのような停滞前線が、
日本列島を覆いつくす。

[極端気象]
極端気象

そして新型コロナウイルス感染。
東京都の1日の新規陽性判明者は、
日曜日として最多の4295人。

重症の患者は251人で、過去最多を更新。

神奈川県は2081人。
こちらも日曜日としては過去最多。

千葉県は1374人で、
日曜日にもかかわらず、
3日連続で過去最多更新。

関西も新規感染者は多い。
大阪府1764人、兵庫県517人、
京都府414人。

福岡県681人、
沖縄県661人、
愛知県609人。

そして全国では1万7832人。
これまでの死者は1万5424人。

朝日新聞「折々のことば」
第2116回。

死のがわに拉致されるか、
生のがわにのこされるかは、
まったくの偶然。
〈歌人・佐藤通雅(みちまさ)〉

「東日本大地震の日の
その時間、偶々(たまたま)
“だれと、どこにいて、
なにをしていたか”で
被災のかたちはみな違った」
(『路上』最終号から)
路上最終号
編著者の鷲田清一さん。
「こうした偶然に人は苦しみ、
そしていつか運命として受け容(い)れる」

先の大戦で私の父は、
生のがわにのこされた。

「が、無謀な戦争や
過失による災禍のように、
これが誰かの不見識、
その愚かで小心な差配によるのなら、
納得は最後まで訪れない」

「死んでも死にきれない」

毎日新聞一面コラム
「余禄」

「今度の戦争に敗れた一つの理由は
主観的な観念性に走って
科学を媒介とした客観性、世界性から
遊離したことにあった」

1945年8月20日の、
高坂正顕(こうさか・まさあき)さんの言葉。
京都大学人文科学研究所長。
カント哲学の祖の一人。
1900年~1969年。

故高坂正堯(まさたか)さんはその次男。
元京都大学教授、国際政治学の巨人。
1034年~1996年。
高坂正あき

その高坂さんの父上。
終戦の5日後に言い切った。
「外に目をふさいで己(おのれ)を高しと
いうような趣はなかったか」

「ひとりよがり」な日本の、
「自己認識、世界認識に敗因を求めた」

トップのひとりよがりや不見識、
主観的な観念性への傾斜、
客観性、世界性からの乖離によって、
末端の人間たちは、
死のがわに拉致されるか、
生のがわにのこされるか。
それがまったくの偶然だとすると、
「死んでも死にきれない」

志村けんさん、
岡江久美子さん、
高田賢三さん、
岡本行夫さん、
羽田雄一郎さん。

新型コロナウイルスによって、
死のがわに拉致された。

終戦の日は多くの人々の死と、
向き合うときである。

それがお盆の真ん中にある。
COVID-19の感染拡大の最中にある。

死と向き合うとき私たちは、
想像を超えた恐怖とともに、
命の尊さを痛いほどに実感する。

なによりも大切なものが、
心のなかで浮き彫りになる。

それが生き抜く力にもなる。

〈結城義晴〉

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