映画「教皇選挙」と「ローマ法王の休日」の知性と理性

Everybody, Good Monday!
[2025vol⑱]
2025年第19週。
ゴールデンウィーク終盤、
こどもの日だが、
ホームコースでゴルフ。
立夏だ。
名物ホール8番。
ピンの上にワンオンして、
バーディー逃しのパーだった。
スコアはよくなかったが、
ドライバーの飛距離が伸びた。
毎日のスクワットが効いているのだろう。
さて大統領ドナルド・トランプ。
自分のローマ教皇の姿の画像を自身のSNSに投稿。
世界中から批判の声が沸き上がった。
ホワイトハウスが公式SNSでも、
同じ画像を投稿している。
「誰かが冗談でやっただけだ。
別に問題ないだろう。
私も少しは楽しむのが好きだ」
フランシスコ教皇が亡くなったばかりで、
後継者を選ぶコンクラーベが始まろうとしている。
カトリック教徒にとっては、
冗談では済まされない。
トランプは外国産の映画に対して、
100%の関税をかける方針を示した。
そして米国商務省と通商代表部に、
輸入映画に関税をかける措置を取れと指示した。
米国の映画産業は、
「急速に死につつある」と言った。
米国の映画制作者やスタジオが、
外国から引き抜かれていると非難した。
だから100%の関税をかけて、
米国の映画産業を守るべきだと訴えた。
アカデミー賞脚本賞受賞の「教皇選挙」を見た。
原題は「Conclave」
レイフ・ファインズの演技をはじめ、
伏線の映像の巧みさ、
そして驚愕のどんでん返しに、
久しぶりに大きな感動を得た。
「ネタばれ」は書けない。
観てほしい。
トランプは就任演説の冒頭で言った。
「本日から性別は、
男性と女性の2つだけというのが、
政府の公式方針となる」
この映画はそんなトランプに対する、
強烈な批判でもある。
アメリカとイギリスの共同制作。
監督はドイツのエドワード・ベルガーだが、
アメリカ映画の質が落ちているとは思えない。
むしろ自由な国際交流が、
映画の質を高める。
批評家たちのこの映画への評価。
「知的なエンターテインメントを求める観客にとってはまさに神からの贈り物だ」
その通りだと思う。
続けて、
「ローマ法王の休日」を、
Amazonプライムビデオで見た。
こちらはイタリアとフランスの共同制作。
原題はラテン語の「Habemus Papam」
「我ら教皇を得たり」の意味。
教皇選挙のコンクラーヴェが終わって、
新法王が決まったときに、
主席枢機卿が宣言する言葉だ。
日本語タイトルは、
オードリー・ヘップバーンの映画を、
モジっている。
こちらは2012年に日本でも公開されたし、
テレビでも放映された。
ローマ法王が逝去し、
コンクラーヴェが開催される。
誰も予想していなかった無名の枢機卿が、
新法王に選ばれる。
しかし、聴衆を眼下にした、
ベランダでの就任スピーチができない。
重圧に耐えられない新法王メルヴィルは、
ローマの街に失踪する。
市井の人々と接する中で、
信仰心を考える。
法王の存在を見つめなおす。
メルヴィルは役者志望だった。
市内を彷徨う中で役者たちと知り合う。
チェーホフの「かもめ」が上演され、
メルヴィルは台詞を口づさみながら、
観劇している。
枢機卿たちが劇場に現れて、
メルヴィルを連れ戻す。
ヴァチカンに戻ったメルヴィルは、
新法王としてベランダに立って、
聴衆に向かって語る。
「自分は導く者ではなく、
導かれる者である」
そして信者らの前から去っていく。
100%の関税がかけられると、
こういった映画を見るアメリカ人も減るだろう。
芸術やエンターテインメントに関税をかける。
人間の知性や理性から逸脱した政策だ。
ハーバード大学をはじめ、
アカデミックを嫌う大統領トランプ。
アメリカのこどもたちの将来に、
暗い影響が及ぼされないか。
そんなことを考える日本のこどもの日だ。
では、みなさん、今週も、
知性と理性を忘れずに。
Good Monday!
〈結城義晴〉