結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年05月26日(月曜日)

農水省の「備蓄米」随意契約売渡しと「市民生活の砦たれ」

Everybody, Good Monday!
[2025vol㉑]

2025年第22週。
ああ、5月最終週。

来週の日曜日から6月。

さて、
小泉進次郎農林水産相。
動き回っている。
スクリーンショット 2025-05-27 043808

北海道札幌市に出向いて、
コメ関係者8人と面会した。

生産者は北海道東神楽町の久保宣夫さんら3人、
小売業からは横山清㈱アークス会長、
大見英明コープさっぽろ理事長、
富山浩樹サツドラホールディングス㈱社長。

「コメの異常な価格高騰がこれ以上続けば、
コメ離れを加速させかねない」
危機感を述べた。

そして今日、「備蓄米」売渡しについて、
概要を発表した。

商人舎流通SuperNews。

農水省news|
備蓄米の随意契約の概要公表/取扱い年間1万tの小売業対象

農林水産省が備蓄米を随意契約で売り渡す。
スクリーンショット 2025-05-27 043404

売り渡し数量は30万トン。
内訳は令和4年産米20万トン、
令和3年産米10万トン。

売渡し価格は玄米60㎏当たり、
加重平均で1万700円(税抜き)となる。
令和4年産が1万1010円、
令和3年産が1万0080円。

これまでは入札方式だったが、
前回入札の平均落札価格は2万302円だった。
今回は前回より47%安くなる。

対象は「大手小売業者」に限定する。
そのためのデモンストレーションが、
小泉農水相の面会だった。

農水省には「米対策集中対応チーム」が発足した。

希望する事業者から申請の受け付けをする。
買い戻しの条件は付けないし、
輸送費は国が負担して、
倉庫から買い手の小売業者が希望する、
センターなどまで国が届ける。

手厚いフォローだ。

ただし精米費用は小売業者が負担する。
まあ、当然だろう。

目安は5kgでみれば原価は、
1万700円÷60kg×5㎏=892円。
10kgならば1783円。

これに精米や輸送費などの、
コストをオンして、
さらに小売業の値入れが入って、
店頭販売される。

農水省の判断では、
これで小売価格が5kg2000円程度となる。

特定の小売価格の要請はしない。
独占禁止法上の問題。

ここで「大手小売業者」とは、
コメの取扱量年間1万トン以上の小売企業。
楽天などのネット通販事業者も含まれる。

1万トンは1000kgだから、
10kgで販売すれば100万袋、
5㎏ならば200万袋。

100店舗のチェーンストアならば、
10kgで1年間1店あたり1万袋の販売力が必要。
52週で割ると1週あたり192袋、
1日あたり27.4袋となる。

50店ならばその2倍の販売力が必要だ。
IMG_3518 (002)

しかしかなり多くの企業が、
30万トンを奪い合うことになる。

農水省はPOSデータの情報提供も求める。
契約後に社名を公表する。

8月には25年産のコメが出回る。
その前まで提供し販売する数量を、
それぞれに申し込んでもらう。
毎日先着順で受け付けて契約を結ぶ。

この「毎日先着順」がわかりにくい。

そして申込みが競合する場合は、
国が調整して分配する。

どう調整するのか。

取り扱い申請時に提出するのは、
⑴申し込み書
⑵誓約書
⑶名称などの公表同意書
⑷販売計画書など

申し込みが30万トンを上回った段階で、
放出量を上積みする方針。

農水省は今日、説明会を開催した。
そして318社が参加した。

総合スーパーやスーパーマーケット、
ホームセンターも、
主だったチェーンストアが参加した。
楽天やLINEヤフーなどオンライン業者も。

当然ながら年間1万トン未満の企業も、
参加の希望を出したようだ。

農水省は要件の緩和を検討する。

従来の備蓄米の売渡し対象は、
JA全農など大手集荷業者だった。

そこから卸売業、小売業と、
段階を追って流通させた。
これでは時間がかかった。
滞留も起こったし、価格も値上がりした。

小売業に直接提供して、
早期に店頭に並べる。
そして売価を抑える。

中抜きの流通だ。

それによって価格が下がることを、
証明してしまったことになる。

こんなところに「流通革命論」が出てきて、
2021年6月7日に亡くなった林周二先生は、
草葉の陰でほくそ笑んでいることだろう。

ただし緊急事態のお上主導の流通である。

従来の大手集荷業者も、
精米をはじめさまざまな機能を果たすのだろう。
ここは下手な戦術を使わず、
協力して国民への貢献に邁進してもらいたい。

では、みなさん、今週も、
市民生活を守る砦たれ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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