日経新聞一面トップ記事。
「セブン銀株、伊藤忠が取得」
サブタイトルは「コンビニATM再編」
セブン&アイ・ホールディングスは、
セブン銀行の一部株式を伊藤忠商事に売却する。
伊藤忠は子会社のファミリーマートと、
セブン銀行との相乗効果を狙う。
セブン銀行のATM設置台数は2万8000。
ファミリーマートは1万6000。
それを統合してセブン銀行に集中する。
セブン&アイはこのニュースを否定している。
しかし伊藤忠がやや吹聴気味だ。
事実なのだろう。
ATMの再編だが、
これは鼎占が複占に変容する、
そのきっかけになるかもしれない。
さて、東大阪市の渋川にある㈱万代本社。
奥の建屋が本社。
その1階に渋川店がある。
敷地の一角に会議棟があって、
ここで万代知識商人大学の講義が行われる。
今年は10期目を迎えた。
朝9時、結城義晴の講義からスタート。
後列に加藤健副社長と河野竜一常務、
そして和久正樹取締役が座って見守る。
初めに、数字の意味と面白さを語る。
いつもの「あなたは数字が好きですか‽」
それから簿記と会計、財務の違い。
これらを包含して、
フィナンシャルマネジメントととらえる。
商業の世界では「計数管理」と呼ぶが、
そのレベルの高いバージョンだ。
それを1日で学んでもらう。
しかもスーパーマーケットの実務に即して。
数字を大切にした二人の創業者。
伊藤雅俊イトーヨーカ堂創業者は、
「商人の才覚と算盤」、
そして四つのルール。
岡田卓也イオン創業者は、
大福帳と見競(みくらべ)勘定。
バランスシートと損益計算書の経営。
フィナンシャルマネジメントは、
現場の人たちにとって、
最もとっつきにくい分野かもしれない。
しかし昔、商人たちはここから商売を学んだ。
帳簿こそ一番大事な原則だった。
現代のチェーンストアマンも、
フィナンシャルマネジメントを、
使いこなしてほしい。
私の次の午前中の2・3講座は、
㈱万代広報・IR担当取締役の頓宮博さん。
元三井住友銀行の優秀な銀行マン。
今、芯からの万代マン。
財務諸表の見方を2時間15分で講義。
初めに財務3表の基本とその見方。
貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)、
そしてキャッシュフロー計算書。
万代の決算書をベースに解説していく。
だから第10期生も自分たちの身近な数字として、
PLとBSをとらえ、CFを知っていく。
万代の決算数値データから、
経営指標の数値を求める演習も行う。
実践的な講義だ。
万代の強みと弱みを、
フィナンシャルの視点から、
存分に語ってくれた。
いい講義だった。
昼食をはさんで、
午後の4講義目は、
結城義晴が2時間を担当。
私はウィークリーマネジメントを提唱している。
だからフィナンシャルもウィークリーが基本だ。
そして「実地棚卸し」の重要性を強調する。
経営の神様が会社を立て直す時には、
必ず現場の実地の棚卸しから始める。
その本質を教える。
さらに損益計算書と貸借対照表の基本を、
おさらいする。
私なりに工夫を重ねたわかりやすい説明。
商業高校の簿記の授業で使う、
借り方、貸し方の覚え方なども教える。
チェーンストアでは、
総資本回転率と経常利益率から、
ROAを導き出して、
企業の現場力と財務力の評価をする。
故人となった川崎進一先生、渥美俊一先生も、
ROAを最も重視していた。
私もこの点はお二人に倣っている。
ROAはBSとPLの両サイドからアプローチする指標だ。
つまり現場で使える、焦点となる経営数値なのだ。
さらに分配率経営についても、
丁寧に解説していく。
この時間の講義の最後は、
上げる数字と下げる数字、
そして一定に保つ数字。
勘違いが多い。
店舗がコントロールできる数値、
それをしっかり管理する。
コントロールできない数値を、
必死で追い求めても意味がない。
人件費、ロス対策、
データに基づくコミュニケーションなど、
現場の実例をもとに講義してくれた。
安倍さんは、
第1回商人舎ミドルマネジメント研修会で、
S評価を獲得している。
ありがとう。
ウォルマート、クローガー、コストコをはじめ、
セブン&アイ、イオン、PPIH、
そしてライフコーポレーションやヤオコーなど、
日米の主要企業の経営数値を示しながら、
その実態をズバリずばりと評価する。
店を視察するときにも、
経費率や粗利益率、営業利益率を知ったうえで、
観察するようにと指導する。
最後にデータドリブン経営。
データを中心にして経営をすること。
タグボートの話は覚えておいてほしい。
そして目的は、
データを原動力として、
組織の風土を変えることだ。
データという真実の前では、
トップも店長も若手も対等で平等である。
この意識を組織全体で共有してほしい。
財務3表のBSとPL、CFを、
実にわかりやすいたとえ話で説明する。
和久さんはアナロジーの使い方が巧みだ。
10期生の西口竜也シニアマネジャーが、
ホワイトボードに図を書いてサポートする。
最後の最後は和久さんと写真。
万代知識商人大学は、
社内講師のレベルが高い。
そして現場に根差した講義をしてくれる。
これこそ企業内大学という仕組みの長所である。
今日も社内講師陣と、
全受講生に心から感謝したい。
〈結城義晴〉