新教皇の「正義感」とラスベガス2日目の商品調査

コンクラーベで、
新ローマ教皇が決まった。
ベルーの市民権を持つアメリカ人。
史上初の米国出身のローマ法王。
レオ14世と名乗る。
ドナルド・トランプ大統領も、
「大変光栄だ」とご満悦。
1955年、シカゴ生まれ。
Xではロバート・プレボストの名で、
アカウントを持つ。
教皇になる前の最後の投稿。
エルサルバドルのブケレ大統領が、
トランプ大統領と会談をして、
不法移民の強制送還をした。
プレポスト氏は、
「心は痛まないのか」と発言した。
バンス米国副大統領の発言。
「隣人やコミュニティよりも、
家族への愛を優先すべきだ」
これに対して「バンス氏は間違っている。
キリストは他者への愛を順位づけしていない」
この正義感は頼もしい。
さて私はラスベガス2日目。
アメリカ視察の基本知識から、
マーケットデータ、
ラスベガスの特徴などまで、
簡潔に頭に入れてもらう。
ここで月刊商人舎5月号のことを、
少しだけ話題にした。
「特集・現場の生産性」
生産性対策には、
アナログとデジタルがある。
アナログはデジタルの基礎となり、
いざという時のカバー機能がある。
それは「自動化」に対する、
トヨタの「自働化」である。
トヨタは人間がオートメーションを助ける。
だから「自働化」と称する。
さらに今日視察する企業の情報を整理する。
とくにウォルマートのEDLPは、
その歴史と仕組みまで丁寧に解説した。
最近、日本でもEDLP政策を採用する企業が増えた。
しかし表面的な政策や甘いコストダウンが多い。
最後はスーパーマーケットの、
部門別売上構成比の話。
これを知っているだけで、
自分で店を判断できるようになる。
講義が終わると、班ごとに打ち合わせ。
ベーシックコースでは、
2日目と3日目に視察先店舗の商品調査を行う。
今回は8班に分かれて、
生鮮や加工食品、デアリー(乳製品)、
そして日用雑貨を調査する。
異なる企業の人たちが、
交流しながら協力して調査する。
この調査を通じて、
チームワークを体験する。
2日目の最初の店舗は、
スミスのマーケットプレース。
非食品強化型の大型店。
スミスのデリを購入して、
イートインスペースで中食。
私はボアーズヘッドのサンドイッチとサラダ。
ボアーズヘッドは加工肉とチーズのブランド。
クローガー系の店舗だけでなく、
多くのスーパーマーケットに導入されている。
イートインスペースには、
ビールバーが併設されている。
気温36度のこの日に、
地元住民が次々にビールを飲みに来る。
視察中のアルコールは原則禁止。
だからピザやデリを、
コーヒーやソフトドリンクで楽しむ。
ラスベガスにもアルディがやってきた。
すでに3店舗が出店している。
その中の1店舗を視察。
入り口を入るとすぐに、
クイックミール売場が始まる。
それからプロデュース(青果)へ続く。
奥壁面沿いの売場では、
縁の薄いリーチインケースを採用。
商品が目立つし、清潔感がある。
アルディでも調査。
リミテッドアソートメント店舗で、
商品が絞り込んであるから調査はしやすい。
青果の導入部にはスイカの大陳。
大型のアルミのケースで展開する。
ロールバックして上手に売り込んでいる。
インフレで価格志向の高まるアメリカ。
アルディもウォルマートも、
お客がよく入っている。
スプラウツ・ファーマーズマーケット。
ナチュラル&オーガニックのスーパーマーケット。
奥壁面に青果売場を設ける。
独特の売場づくりだが、
これがポジショニングとなる。
真剣に商品を見て回る。
ワインの品揃えは秀逸。
週末にはビールやワインのテイスティングを行う。
ミーティングルームもあって、
酒に関する各種セミナーも開催する。
ウィンコフーズ。
従業員が所有する会社。
入り口にウォール・オブ・バリュー。
価値ある壁。
ここだけコストコの売場が再現される。
そして価格比較POP。
ウォルマート、スミス、ボンズと、
ウィンコの売価が比較され、
ウィンコがこれだけ安いと告知される。
クラブカードを使って、
ロープライスを打ち出す。
しかし競争的なロープライスではない。
つまり安くはない。
残念ながら、顧客は数えるほどしかいない。
いかにも保守的といった男性顧客が多い。
アルバートソンは、
クローガーとの合併が破談になった。
これで、衰退が早まるかもしれない。
そんな印象を受けた。
入り口に小型の切り花コーナー。
もちろん母の日に向けたもの。
ホールフーズはアイテム数が多い。
調査もその分、大変になる。
ホールフーズのこの店は、
オープンからずいぶん時間が経っている。
それでもホールフーズの店の美しさは損なわれていない。
そして顧客がしっかりついている。
アメリカの消費者の財布のひもは固い。
価格志向、節約志向はますます強まっている。
それだけに企業の優劣が際立ってきている。
ホールフーズで視察は終了。
ホテルに戻って、わずかに仮眠。
夕食はホテルに併設されたレストラン。
マーサ・スチュアートの店。
マーサはカリスマ主婦で実業家。
極上の家庭料理に大満足。
レンゴー㈱澤田利憲さんと清水勇輝さん。
澤田さんは開発本部副本部長。
清水さんはデザイン・マーケティングセンター所属。
日穀製粉㈱の大月翔平さんと平林成介さん。
平林さんは開発本部部長代理、
大月さんは営業本部東京営業所勤務。
㈱伊藤園の大野哲哉さん、チルド営業部長。
そして㈱スズキヤの長谷部厳一さん。
長谷部さんは鮮魚担当バイヤー。
ベーシックコースは13年ぶり、2度目の参加。
ラスベガス2日目は、
粛々と過ぎていった。
節約モードは強烈だ。
だからディスカウントの店はいいが、
普通の価格政策の店からは、
どんどん顧客が去りつつある。
(つづきます)
〈結城義晴〉