新浪剛史氏の辞任とミドルマネジメント研修会の「integrity」

新浪剛史さんが辞任した。
サントリーホールディングス会長。
66歳。
東京都内の新浪家宛てに、
海外在住の知人からサプリメントが発送された。
北九州市の門司(もじ)税関がそれを発見した。
海外では正規販売されている商品だが、
日本では違法な大麻成分が検出された。
税関から福岡県警に連絡が入って、
大麻成分を含む麻薬の密輸入の疑いで、
新浪氏の自宅が捜索された。
大麻や違法薬物は発見されず、
新浪氏の尿からも薬物成分は検出されなかった。
新浪氏は県警の任意の事情聴取に答えた。
知人から「健康に良い」と紹介されて送ってもらった。
「大麻成分が含まれていることは知らなかった」
しかし、
サントリーホールディングス鳥井信宏社長。
「取締役会では捜査結果にかかわらず、
新浪氏のサプリメントに関する認識が
代表取締役という立場にある人物として
容認できないとの結論に至った」
新浪さんは1981年に三菱商事に入社した。
2002年5月、ローソン社長兼CEO。
2014年にサントリーホールディングス社長、
今年3月に会長の座に就いた。
2023年からは経済同友会代表幹事。
サントリーは健康食品・サプリメントも売っている。
その売上高は2024年12月期で3363億円。
だからマーケットへの印象はすこぶる悪い。
退任もやむを得ないのだろう。
小売りのことをよく知ったメーカーのトップ。
貴重な存在だし、その発信力も評価されていた。
真相はまだわからない。
日経新聞編集委員の田中陽さんによると、
最近の新浪さんはIntegrityを強調していたそうだ。
だからこそ余計に残念だと思う。
しかし、真のIntegrityは、
この後の態度によって判明する。
新浪さんには凛としていてほしい。
さて第25回商人舎ミドルマネジメント研修会。
2日目は朝8時15分から理解度判定テスト。
商人舎の研修会では、
日本のセミナーでもアメリカ視察でも、
できるだけテストを実施する。
学んだことをどれだけ理解しているか。
それを受講生自身がわかることが大事だからだ。
もし理解していない事柄があれば、
もう一度、理解するまで復習したり、
わかっている人に質問したりできるからだ。
2日目の第1・2講義は高野保男講師。
「作業システムとL.S.P.」がテーマ。
高野講師は今も、
スーパーマーケットを指導して、
全国を巡る。
これによって参加企業のレベルと課題を知り、
その実情にあわせて講義をしていく。
理解度判定テストの回答を確認する。
追加したいことも語るから、
いつも30分近くの時間を使って、
設問の解説をすることになる。
そのあとは働きがいのある企業ランキングと、
顧客満足・従業員満足。
昼食をとって、
第3・4講義は山本恭広講師。
月刊商人舎編集長。
計数の講義は白部和孝講師が担当していた。
シラベ・リテイル・システム研究所代表。
データ活用のポイントを整理し、
在庫管理と人時管理の計数を教授してくれた。
それらを引き継いで、山本講師が講義する。
商品回転率と交叉比率、
さらに人時生産性の基礎知識。
計算方式。
コーヒータイム。
ちょっとした菓子も提供。
皆、それぞれにくつろいで談笑している。
研修ホテルのニューウェルシティ湯河原は、
講義会場自体が広くて天井が高くて快適だが、
ホワイエも広々としている。
缶詰セミナーではこの環境が大事だ。
2日目の午後4時15分から8時までは、
結城義晴が一気に講義。
最初はミドルマネジメントの経営数値。
山本編集長の現場の計数に対して、
経営に関する損益計算書と貸借対照表、
キャッシュフロー計算書の基礎。
簡潔に切り上げるつもりだが、
いつも熱が入ってしまう。
そしていよいよマネジメント講義。
まず悪い組織の兆候。
そして大企業病。
茹で蛙状態。
それらが生まれる理由の一つは、
マネジメント理論の間違いである。
古典的なマネジメント理論はすでに、
誤りが多いとされるにもかかわらず、
それを使って経営がなされ、
組織がつくられている場合が多い。
それを180度転換させねばならない。
一言で言えば、
アンリ・ファヨールから、
ピーター・ドラッカーへ。
これは日本の産業にとっても必要なことだ。
もちろん小売業にとっても、
製造業・卸売業にとっても、
それらの関連産業にとっても、
マネジメントにおいて必須のことだ。
具体的な行動に対しては、
私の著書の説明から入る。
『店長のためのやさしいドラッカー講座』
そのあと責任の組織化、
自己管理による目標管理、
そしてコミュニケーション。
ドラッカーのエッセンスを、
小売業の事例を交えて語る。
いつも自分で講義をしながら、
燃えてくる。
夜7時を超えて今日の最後の講義。
リーダーシップ実践法。
リーダーシップに関しては誤解が多い。
リーダー的資質とは関係ない。
カリスマ性とはさらに関係ない。
神秘的なものではない。
むしろ平凡で退屈なものである。
リーダーシップは手段である。
その本質は行動にある。
今回はジョン・マックスウェルの考え方を強調した。
「リーダーの中のリーダー」
「世界一のメンター」
そんな風に讃えられる。
マックスウェルも、
Integrityの「終始一貫」を指導してくれる。
2日目は朝8時15分から夜8時まで。
みんなよく聴いてくれた。
よく勉強した。
このあとも明日の理解度判定テストに向けて、
復習に余念がない。
濃密な学習によって、
自分なりの本当のIntegrityを追究してほしい。
私はそう思う。
〈結城義晴〉