結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年12月10日(金曜日)

商人舎12月号はコロナで変わった「Progressive Presentation」

慈恵大学病院に入院して4日目。
朝、血糖値の検査で目覚める。

そして窓の外を見ると、
東京タワー。
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今日もいい天気。

昨日まで2日間絶食だった。
点滴で栄養を摂っていた。

しかし今日から食事が出る。

その朝食。
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重湯と塩、
スープだけの味噌汁、
それにストロベリージュース。

不思議なもので、
これだけでも口から胃に入れると、
すぐに腸を通って便が出る。

汚い話で恐縮。

しかし自分の循環器が、
しっかり機能していることを確認できて、
満足感がある。

そのあとは持ってきた本に取り掛かる。
あっという間に昼がやって来て、
またタワーを見あげる。
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ランチはこれ。
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やはり重湯と塩、
コンソメスープ。
ぶどうのゼリー、
ヨーグルトドリンク。

1品増えた。

重湯には塩が必須だ。
その塩も味わう。

食事は生活のリズムをつくる。
やはり質素であっても、
食事は人間にとって欠かせないものだ。

食事が終わって、
また読書。

太陽がタワーにかかる。
14時37分。
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曇り空が背景になると、
タワーの骨組みは、
きれいには透けて見えない。
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15時ごろ看護師さんがやって来て、
点滴を外してくれた。

やっと、という感じだ。
点滴の装置をつけていると、
動きに制約がある。

シャワーも浴びられない。

少しずつすこしずつ、
当たり前の生活が戻ってくる。

今日、
月刊商人舎12月号が発刊された。202112_coverpage
入院する前に責了してきた。

特集は、
Progressive Presentation
「陳列と演出の技術」はコロナ禍で進化した!!
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あえて英語のタイトルにした。
この際、英単語も覚えてほしいから。

Progressiveは「進歩的な」という意味の形容詞。
Progressは「進歩」という名詞。

米国には業界一の専門誌がある。
「Progressive Grocer」。

イギリスには「Grocer」があって、
カナダには「Canadian Grocer」がある。

米国ではそのGrocerに、
Progressiveをつけている。

いずれもGrocerは食品小売業のこと。

Progressiveな陳列・演出。

Cover Message。
アメリカのチェーンストアを、
初めて訪れて感動したことは二つ。

店の大きさ、広さと、
「プレゼンテーション」の
シンプルさ、美しさである。
そして大きさ・広さと
シンプルさ・美しさが、
売れて、利益が上がることにも共感した。

中内㓛も伊藤雅俊も岡田卓也も、
北野祐次も。
この感動は老若男女例外なく、
誰にも共通している。

この店舗の演出と陳列のテクノロジーが、
新型コロナウイルス感染拡大のなかで、
日本でも明らかに進化した。
何故、どのように進化したのか。
コロナはどんな影響を与え、
プレゼンテーション・テクノロジーの
進化を早めたのか。
そしてそれはポストコロナの時代に、
どんな効果を発揮するのか。
「Progressive Presentation」を検証しよう。

その目次。202112_contents

編集後記に書いたけれど、
1995年に食品商業別冊として、
『陳列と販促の強化書』を発刊した。
当時の鈴木邦雄著。
現在は國朗さん。

大ベストセラーとなった。
私が43歳の編集長のとき。

㈱万代ではそのころ、
山下和孝さんがこの別冊を教科書にして、
徹底的に現場教育をしていた。
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山下さんは万代の副社長、副会長、
㈱万代リテールホールディングス社長を歴任。

この別冊号を何度も何度も読んで、
書き込みをし、マーカーを引いて、
自分で徹底的に勉強した。

私が書いた巻頭言も、
ご覧の通り。
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その後で、全社員を徹底的に教育した。
それが現在の万代の血となり、肉となった。
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私はその前に販売革新で、
やはり技術別冊を編集した。
『プレゼンテーション・テクニクス』
これは島田陽介著で、
ベストセラーだった。

その前は、
『インストアマーチャンダイジングのすべて』
すべて商業界のドル箱別冊だった。

鈴木さんの別冊はその後、
『陳列と演出の教科書』となり、
単行本では、
『陳列と演出ハンドブック』
新書では、
『陳列技術入門』となった。

それらをすべて総括して、
最新の技術雑誌にしたのが、
Progressive Presentation。

Progressiveには、
そんな意味が込められている。

だから今回は、
単品販売もしている。
申し込みは☞
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店長やチーフはもちろん、
若い人にもおすすめです。

こんなことを書いているうちに、
夕方が訪れる。
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部屋のなかは暖かい。
空気は澄んでいる。
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そしてイルミネーション。
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金曜日の夜の東京タワーです。
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慈恵大学病院に入院してよかった。
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雑誌もしっかり読んで、
学んでください。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2021年12月09日(木曜日)

慈恵大学病院入院三日目の断食と群馬県太田市長の「三方損」

朝6時半に起こされて、
血液検査。

窓の外を見ると、
東京タワーの灯がともっている。
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これは知らなかった。
夜中に点灯していて、
朝までそれが続いている。

こんな時間帯の東京タワーは、
見たことがない。
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ちょっと得した気分になった。

このところ雨続き。
しかし今日は全国的な冬晴れ。
タワーもくっきりと見えた。
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1日中、本を読んでいるが、
午後になると太陽が傾いた。
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東京タワーの駆体が透けて見える。
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ああタワーの本質はこれなんだ。
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部屋のなかにはハワイの絵画。
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今日の商人舎流通スーパーニュース。
イオンリテールnews|
恵方巻12/10予約受注開始、ずわいがに1万円商品も

来2022年2月3日の節分に向けて、
イオンリテール㈱は、
恵方巻の予約を始める。

なんと明日の12月10日から。

まさに「早仕掛け」
早すぎないのか。
だれでも当然、そう考えるだろう。

しかし2022恵方巻特設サイトを開設。
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これがあるからこそ、
年末年始を過ぎた後の恵方巻早仕掛け。

この特設サイトがどんどんアップデートされて、
人々の興味を引き続けるか。

それにかかっている。

しかしウェブサイトは、
早仕掛けを可能とする。

今週月曜日から臨時国会が開催されている。
岸田文雄政権は、
18歳以下の子育て支援策を決めている。

所得制限付きで子ども1人あたり、
10万円相当を給付する。

年内に現金5万円を支給し、
来春の入学シーズンに、
クーポン5万円分を配給する。

現金給付の事務費は約300億円、
クーポンには事務費が約900億円。

これに対して、
全国の市長からさまざまな意見が出た。

そのなかで群馬県太田市の清水聖義市長。
太田市清水市長
「市民は現金給付を求めている。
自治体は年度末の3月は忙しい上に
3回目のワクチン接種も最盛期を迎える。
クーポンにすれば事務費もかさむ。
これでは誰も喜ばない」

そのうえで決めの台詞。
「三方良しではなく、
“三方損”になってしまう」

座布団三枚!!!

市民、自治体、国の三方が、
すべて損をする。

市民、国民、消費者、顧客の、
心情を考えに入れずに、
頭だけで考えるとこうなる。

ピーター・ドラッカーの口癖。
「顧客からスタートしなければならない」

「顧客の価値、欲求、期待、現実、状況、
行動からスタートしなければならない」

これを忘れては政治ではない。
マネジメントでも商売でもない。

などと怒っていると、
日は暮れ始める。
タワーにかすかに灯がともる。
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そして冬晴れの日の夜の空に、
くっきりと浮かぶ。
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やはり夜のタワーも素晴らしい。
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慈恵大学病院に入院して、
今日で三日目。

初日は重湯の食事。
二日目に内視鏡手術をして、
その二日目と三日目は絶食。

「断食道場のようなもんだ」
多くの方に心配をかけているが、
そんな返答をしている。

ご心配なく。
大丈夫です。

〈結城義晴〉

2021年12月08日(水曜日)

慈恵大学病院での手術と「タフでなければ生きていけない」

目が覚めると目の前に、
東京タワー。
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今日の東京は雨模様。
街が煙っている。
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今日、明日は絶食。
7時半から2リットルの液体を、
30分に500ミリリットルずつ、
飲み始める。

タワーが少しだけくっきりしてきた。IMG_95331

昼すぎまで腸の中を、
すべてきれいにする。
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12時ごろ点滴の準備。

そして午後1時から、
4階の手術室に降りて、
手術が始まる。

執刀医は炭山和毅教授。
慈恵医科大学内視鏡部診療部長。

この病院で年間2万例以上、
慈恵大学附属4病院合計で、
4万8000件以上の検査治療を実施して、
慈恵は世界最大級の内視鏡センターである。

左手に点滴、
右手は血圧計。
鼻には酸素吸入。

そのまま眠ってしまった。

行きは自分で歩いて、
帰りはストレッチャーに寝たまま運ばれた。

部屋に戻って、
そのままぐっすりと眠り込んだ。

目が覚めると夕方。
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炭山教授が背広姿でやって来た。
私のお腹を指で押さえて診療。

「きれいに取りましたよ」

「ありがとうございました」

しかし、点滴は続く。
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腹は減っているけれど、
元気です。
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不死身の結城義晴。
なんちゃって。

意外に見えるかもしれないけれど、
体だけは丈夫です。

「タフでなければ生きていけない、
優しくなければ生きていく資格がない」
“If I wasn’t hard,
I wouldn’t be alive.
If I couldn’t ever be gentle,
I wouldn’t deserve to be alive.”

ご存知、探偵フィリップ・マーロウの台詞。
レイモンド・チャンドラーのハードボイルド。

東京タワーを背に、
マーロウの台詞を呟いてみる。
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再び宵闇がやって来て、
タワーが浮かび上がる。
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チャンドラーも好きだが、
R・B・パーカーも大好きだ。

その探偵はスペンサー。
恋人はスーザン・シルバーマン。

スペンサーもタフガイだ。

スペンサーの有名な台詞。
「誰かが言っている。
あらかじめ真実はこれだと
決めてかかったら、
真実を見出すことはできないと」

私の姿勢は、いつもこれだ。

東京タワーのこの姿は真実だろうか。
決めてかかってはいけない。
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今日はここまで……。
ぐっすりと眠ろう。

おやすみなさい。

〈結城義晴〉

2021年12月07日(火曜日)

東京タワーを眺めた1日と大阪高裁の「関西スーパー抗告承認」

入院しました。

東京御成門の慈恵大学病院。

新型コロナウイルス禍のため、
面会謝絶。

だから自撮りです。
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中央館11階。
部屋の窓いっぱいに、
東京タワー。

凄い。

10時24分。
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ビルの裏側まで歩くと、
愛宕ヒルズのツインタワー。
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12時前には昼食。
これだけです。
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あっという間にランチが終わって、
雲が出てきた。
12時24分。
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肉眼で見ると、
こんな印象です。
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パソコンを取りだして、
メールをチェックしたり、
ニュースを見たり、
仕事をしていたら、
15時31分。
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大阪高等裁判所が、
㈱関西スーパーマーケットの抗告を認めた。
エイチ・ツー・オーリテイリング㈱との経営統合。

実際はイズミヤ㈱と㈱阪急オアシスと、
株式交換する。

10月29日に臨時株主総会が開かれ、
統合に関する議案が66.68%の賛成で承認された。

しかし、その手続きを巡って、
オーケー㈱が神戸地方裁判所に、
異議の申し立てをした。

投票内容を株主の希望に応じて、
「棄権」から「賛成」に変えた点を衝いたものだ。

神戸地裁は11月22日付で、
そのオーケーの言い分を是として、
統合手続きの差し止め仮処分を決定。

関西スーパーはこれに対して、
大阪高裁に抗告していた。

その抗告が今度は認められた。

関西スーパーはコメントした。
「臨時株主総会の決議が
適法かつ公正に行われたと
裁判所に理解された結果であり、
正当な判断が示された」

12月15日に株式交換を実施する。

オーケーは今度は、
最高裁判所に抗告を行う。

泥仕合になってきた。

どちらに転ぶとしても、
社員、従業員は、
店を守ってほしい。

「店は客のためにある」のだから。

そんなことを考えていると、
街に灯りがともり始めた。

16時29分。IMG_94781

東京タワーも点灯し始めた。IMG_94801

第二展望台の上の方も点灯。IMG_94811

ボーッと眺める。
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徐々に暗くなってきて、
タワーが映える。
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16時43分の全容。
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愛宕ヒルズの高層マンションにも、
多くの部屋に灯がともる。
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霧が出てきた。
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17時55分に夕食が届く。

重湯150グラムと茶碗蒸し。
チーズケーキのゼリーとジュース。
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これだけです。

すぐに食べ終わって、
18時25分。
タワーとヒルズ。
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霧の中にボワッと浮かぶタワー。
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美しい。
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街の灯も美しい。
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20時35分。
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タワーの頂には、
霧がかかったが、
それもまた、よし。IMG_95151
あのタワーの右下のあたりの建物で、
30年間働いていた。

しかしこんなに長時間、
東京タワーを眺めていたことはない。

それだけで満足のいく1日だった。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2021年12月06日(月曜日)

年末年始商戦に向けて「売れる売場と美しい売場」を。

Everybody! Good Monday!
[2021vol㊾]

2021年第49週。
12月に入って、第2週。

2021年もあと4週間。
年末年始商戦の準備は整っていると思う。

紀文正月フォーラムで示された、
「年末年始曜日回り」

今年の年末年始は6連休が多い。
年末年始集中型で、
したがって「安近短」型レジャー消費。
高い在宅率も見込める。
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それでも昨年ほどではないだろう。

オミクロン株の話題が沸騰しているが、
今日の新型コロナウイルス感染は、
新規陽性判明者が日本全国で60人。
2021-12-06コロナ全国新規感染
静岡県が一番多くて8人。
以下、東京都7人、
大阪府と神奈川県、山形県が6人、
千葉県5人。
沖縄県と新潟県が4人。

土曜日に私もPCR検査を受けたが、
どうやら陰性だったようだ。

慈恵大学病院からは、
陽性のときにだけ、
電話が入ることになっているが、
その連絡がない。

一安心。

そして明日から、
その慈恵大学病院に入院する。

8日の水曜日に手術を受けて、
11日の土曜日まで入院。

2週間前の11月第4週は、
9万字の長編原稿に取り組んだ。
アメリカのサンクスギビング週間だった。

1週間前の先週は、
4泊5日の大阪出張。
火曜日と木曜日、金曜日に、
講演や公開対談をした。

その合間に、
月刊商人舎12月号の原稿執筆と入稿。
土曜日の夜に責了した。

それから昨日の日曜日と今日の月曜日には、
9万字の原稿のゲラが上がって来て、
その校正にかかりきりになった。

そしてこれも今日、責任校了した。
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単行本の新装版に取り組んでいたのだ。

皆さんの仕事で言えば、
店舗リニューアル。

手前味噌だが、
実にいいリニューアルができた。

発行は1月15日の予定。
ご期待ください。

しかしこのところ3週間休みなし。

振り返ってみると、
2021年11月は仕事漬けだった。

それも明日からの入院を、
本当の骨休めにするためだ。

簡単な手術をして、
その事後経過を見るために、
慈恵大学病院に籠る。

私は1年間の疲れをとるつもり。

だからこのブログも、
シンプルで短くなる。

ご容赦いただきたい。

さて、12月の商人舎標語。
[Message of December]
売れる売場と美しい売場

美しい売場がつくりたい。
いや商売は、
売れてなんぼだ。

楽しい売場にしたい。
いやこれも商売は、
儲かってなんぼだ。

どちらが正しいか。

もちろん売れなければ意味がない。
店や売場は美術館ではない。
遊園地でもない。

商品を選んでもらう場だ。
商品を買ってもらう場だ。
ショッパーのためのバイイングの場だ。

だからわかりやすいさ、シンプルさが第一にくる。
そのうえで商品の魅力を最大化させる。
商品の価値を効果的に訴求する。

売れてなんぼの条件は、
どんな国のどんな店、どんな売場でも、
優先されねばならない。

かといって、
美しい売場、楽しい売場が、
否定されてはいけない。

売れて美しい売場、
儲かって楽しい売場、
それこそ求められる売場だ。

しかしそれよりも大切なことがある。

嘘のない売場である。
真実の売場である。
正しい売場である。

シンプルな美しさ。
理屈のない楽しさ。
それが嘘を退ける。

嘘のない売場にしか、
真の美しさはない。
真の楽しさはない。

そして嘘のない美しさこそ、
真の楽しさこそ、
最後に儲かってなんぼを実現させるのだ。
〈結城義晴〉
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年末に向けて、
美しい売場、楽しい売場を、
つくり続けてほしい。

私の願いだ。

だが、その背景になければいけないのは、
売れる売場、儲かる売場だ。

そして嘘のない売場である。

そこんとこ、よろしく。

私は今週、養生します。

では、みなさん、今週も、
嘘のない商売を。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年12月05日(日曜日)

孔子「仁と恕」と聖書「Golden Rule」と長治「商売の根本」

倉本長治のことば。
「あきないの心」
あきないの心2
25番目にあるのが、
「思いやりこそ商いの根本」

このタイトルは誰がつけたのか。
長治自身ではないと思う。

編集者の目で見ると、
あまりよろしくはない。

しかし内容は素晴らしい。
この稿は長治が好んだ孔子の話だ。
思いやり1

「孔子は、学問の上でも、
日常生活の上でも、
政治上でも、

“仁”を一番に尊んだが、
それを実践するのが
“恕”であったようで、
その行為が身についた像が、
“徳”なのかと判断される」

仁と恕と徳。
「じん」と「じょ」と「とく」。

「ある弟子が、孔子に
“仁とは何か”と問うたとき、
孔子は、
“自己抑制と
忠孝義信の道を守ること”

としているが、
また別の弟子が問うと、
ただ”人を愛す”とだけ
答えていた」

政治家の「仁」は、
「自己抑制と忠孝義信の道」である。

それがない者が多い。

日常生活の「仁」は、
「人を愛す」である。

商売はこちらである。

「その孔子が
一生涯貫き通そうとし、

貫き通した
“思いやりの心”こそ

私は商売の上においても
根本だとしたい」

長治は商売の根本を、
「仁と恕」に求めた。

その「仁」

「仁義なき戦い」などに使われる「仁」

広辞苑では、
「いつくしみ、思いやり、
とくに孔子が重んじた道徳概念」

さらに説明がある。
「礼にもとづく自己抑制と、
他者への思いやり」

長治。
「”一以貫之”というが、
突きつめてみると、
それは”愛”である」

「一以貫之」は「いついかんし」と読む。
この言葉も孔子の論語にある。

四字熟語だが訓読みすると、
「いちをもって これをつらぬく」

一つのことを貫く。

そしてその貫くことを、
突き詰めると「愛」であるという。

これは「博愛」のことだ。

「博愛」はひろく愛すること。
すべての人を等しく愛すること。

アメリカのJCペニー。
コロナ禍のなかで昨年5月、
会社更生法を適用申請して倒産した。

しかし、かつて1970年代まで、
シアーズと並んで米国小売業の王者だった。

その創業の精神は、
「ゴールデンルール」

聖書マタイ福音書7章12節に示された、
神との契約。

創業者のジェームズ・キャッシュ・ペニーさん。
牧師のお父さんから習った言葉を、
商売の根本に据えた。

それが「ゴールデンルール」。
店の看板にも「Golden Rule」とだけ、
大きく書かれていた。

拙著『お客様のためにいちばん大切なこと』では、
1節を費やして紹介した。
お客様のためにいちばん大切なこと
「さらば、すべて、
人にせられんと思うことは、
人にもまた、そのごとくせよ」

「自分が、
そうしてもらいたいと思うことは、
すべて、同じように、
お客様にしてあげなさい」

「自分が、
そうありたいと思うことは、
すべて、同じように、
従業員にもしてあげなさい」

イエス・キリストは結局、
孔子と同じコンセプトを訴えたのだ。

長治が達した結論。
「”仁とは
人を愛することだ”という、

その実践を
孔子が”恕”といって

終生行えと唱えたことで、
商売も究極のところ
“愛”に基づくのでないと
本当ではない
という結論に
達したのであった」
倉本長治モノクロ

たとえばイオン㈱の理念は、
「平和産業・人間産業・地域産業」だ。

ここにも「仁」と「恕」がなければいけない。

「仁」の実践を孔子は、
「恕」と言った。

すなわち「恕」は、
「仁」の実践行動の指標である。

広辞苑の説明では、
「恕」は「ゆるすこと」である。

実にシンプルだ。

「恕」という文字は、
「心」の「如(ごと)く」と書く。

つまり「心のままに」。
それが「許すこと」。

福沢諭吉も恕を説明している。
「思いやりとは競争社会で、
相手をおもんぱかる心のこと」

再び長治。
「その孔子が一生涯貫き通そうとし、
貫き通した”思いやりの心”こそ
私は商売の上においても
根本だとしたい」

長治はこの「愛」と「思いやり」を、
商売の根本だとする。

「仁」と「恕」である。

そして「仁と恕」を備えた商人には、
「徳」がそなわる。

お説教や道徳としてではなく、
人柄に「仁と恕」がにじみ出ている。
そんな人間になりたい。
そんな商人でありたい。

残る12月も、
仁と恕で仕事を全うしたい。

〈結城義晴〉

2021年12月04日(土曜日)

万代ニトリモール東大阪店オープンの「正しい問いと正しい答え」

4泊5日の大阪出張から帰って、
一晩、ゆっくり寝た。

それにしても、
オミクロン株。

世界保健機関(WHO)が、
「懸念される変異型(VOC)」に指定。
Variants of Concern。

指定されたら1週間で、
30カ国・地域を超える感染が確認された。

もう世界中に広がっていると見られる。

欧州疫病予防管理センターは、
EU内では数カ月後に、
コロナ感染者の半数超が、
オミクロン型になると予測した。

南アフリカ共和国の国立感染症研究所の発表。
10月はデルタ型が92%だったが、
11月の感染の74%がオミクロン型に変わった。

南アは6月から8月に第三波に襲われた。
デルタ型が主流だった。

それが11月中旬には、
1日200~300人程度まで減少。

日本も同じようになる危険性が、
ないとは言えない。

オミクロン型は、
ワクチンの免疫をすり抜けるようだ。
ただし毒性は弱そうだが、実態は不明。

一方、新しいPCR検査手法が確立された。
オミクロン型が1日以内で判別できる。

検査法やワクチン、経口薬など、
開発のスピードも上がっている。

私は朝から東京・御成門。
慈恵大学病院。IMG_94011

こちらは古い病院の建物。IMG_94021

新しいのがこちら。IMG_94031

近代的な建築。IMG_93941

ショッピングセンターか、
ホテルのロビーといった感じ。IMG_93951

この古い病院舎ではじめてのPCR検査。IMG_93921
感染したとか、熱があるとか、ではない。

来週、この病院に入院するので、
あらかじめ検査を受けた。

血液検査、レントゲン検査、心電図検査。
一通りの検査をして、
これも結構、疲れる。

昼前の東京タワー。IMG_94051

銀杏の黄色にタワーの赤と白。
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それから商人舎オフィスに出た。

月刊商人舎12月号の最終責了。
大阪出張で書ききれなかった原稿を、
一気呵成に全部書いて、責了。

特集のまえがき、
結城義晴の「定義集」。
表紙のCover Message、
扉のMessage of December。

表4の広告はブルーチップ㈱。
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宮本洋一さん、
ありがとうございます。IMG_E94221

さて、昨日のブログでお約束した、
万代ニトリモール東大阪店。
12月3日オープン。
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ニトリモールのユニクロが撤退。
そこですでに入居していたAOKIを、
そのユニクロのスペースに移動させて、
AOKIのあとに万代が入った。

変則的な390坪。

しかし万代の最新型で、
しかも大胆に方針変更した。

朝7時から全体朝礼。

まず相川徳央店長が、
自分の特長を述べたあとで、
この店の方針を語った。

店長自身のポジショニングだ。
相川さんは万代知識商人大学1期生。
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それから阿部秀行社長の講話。IMG_92021

いつものように実にわかりやすい話。
パートタイマーの人たちにも、
よくわかる話し方だ。
メモを取る社員もいる。IMG_92081

幹部に交じって私も講話を聴く。

左はエリアマネジャー中ノ忠敏さん。
万代知識商人大学花の2期生。
私の右が取締役店舗運営担当の圓石一治さん。
その後ろが芝純常務取締役。
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阿部社長のあとは中ノエリアマネジャー。
東大阪は万代の本部があるお膝元。
そのドミナントの真ん中への出店だから、
中ノさんも力が入る。
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最後に「やるぞ!」三唱。IMG_92181
万代らしく、締めた。

店舗入り口には惣菜部門と青果部門。
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ヤオコーが「こってり型」店舗で採用する方式。
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入口の一丁目一番地には、
開店記念の「7つのデニッシュ」
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ベーカリー部の藤本光哲さんが、
何度もなんども試作して開発した自信のアイテム。
藤本さんは万代知識商人大学第1期生。

それからホールのピザ。
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焼きあがるとベルを鳴らして顧客に知らせる。
これはトレーダー・ジョーのレジ方式。IMG_93111
オープン日は1日で1000枚売る。

青果部門ががらりと変わった。
IMG_92231

農産出身の阿部社長の指示だ。IMG_92291
見る人が見ればわかる。
来年の日本中の潮流を示している。

畜産もがらりと変わった。
これも見ればすぐにわかる。
IMG_91861

水産は万代の「顔」だ。
対面販売の「立ち売り」に、
顧客が群がる。
IMG_93051

バックルームでは、
腕利きの精鋭メンバーが、
フルスピードで調理をする。
この速さはほかの企業ではまねできない。
IMG_91801

これがあの万代か、と思わせるような、
洗練された店づくりとなった。
ポジショニング戦略を正しく採用している。
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冷凍食品、日配品、グロサリーは、
万代の原動力である。
FSSFセミナーで阿部さんが語り、
結城義晴が丁寧に解説し過ぎたMD。
IMG_92721

来年は消費もマーチャンダイジングも、
さらに大きく変わる。

それを見せつけた万代の新店だ。

朝日新聞「折々のことば」
第2223回。

重要なのは、わたしたちが、
正しい問いを出すことです。
そして……
正しい答えを聞く耳を

持とうとすることです。
(アンゲラ・メルケル講演集『わたしの信仰』から)
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「時代をめぐる”正しい問い”は、
“正しい答え”を含んでいるはずで、
それを政治の手法で
実現してゆくことが望まれる」

「問題は政治や経済以上に
精神的な価値観に懸かっている」

正しい問いは、
正しい答えを含んでいる。

万代の朝礼で全員が唱和した経営理念。
「正しい商品を、
正しいサービスで、
正しい価格にて提供する」

その正しさは、
正しい問いによる、
正しい答えが教えてくれる。

〈結城義晴〉

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