結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年10月15日(金曜日)

解散総選挙の「分配・再分配」と関西スーパー株主総会の投票

岸田文雄首相によって、
衆議院が解散され、
総選挙が行われる。
20211011shitsugi
日本国民で年齢満18年以上の者は、
衆議院議員の選挙権を有する。

日本国民で年齢満25年以上の者は、
衆議院議員の被選挙権を有する。

毎回、選挙のときに、
日曜日に働くわが商業人に向けて、
私は訴えている。

選挙に行こう!
投票しよう!!

投開票日は定例的に日曜だ。

今回も10月19日の火曜日告示、
10月31日の日曜日投開票。

投票まで17日間。
例のない短期集中型総選挙。

小売業、サービス業、
卸売業、物流業など、
商業にかかわる人たちは、
選挙に行きにくい。

日曜日にルーチンの仕事があるからだ。

それでも期日前投票が増えてきた。
これを活用して商業人が投票すれば、
投票率は上がる。
その結果はずいぶん異なる。

どの党、どの候補に投票しようが、
それはその人の自由である。
かまわない。

それでも投票だけはしよう。

今回もそれを訴えたい。

東京新聞の巻頭コラム「筆洗」

アメリカでの実験。
「二人の人物の顔写真を見せ、
どちらが選挙に受かりそうかを尋ねる。
二人は実際に選挙に出た人物なのだが、
聞かれた人は、なんの情報もなくても
高い確率で当選者を言い当てられた」

『第一印象の科学』(みすず書房)
第一印象の科学
「人は他人の顔を見て
どういう人物かを一瞬で判断する。
選挙でいえば顔だけで
“有能そう”と選びやすい」

コラムは、
顔だけで選ぶことはお勧めしていない。
むしろ戒めている。

しかし私は、
それでもいいと思う。

札束で買収されて投票するよりも、
思考停止状態で投票するよりも、
自分の判断において顔で選ぶ。
それもよし。

国民の権利であり、義務である、
投票行為を実行したい。

朝日新聞の「天声人語」
分配と再分配を論じる。

「この国会でよく聞かれた言葉が
“分配”である」

「しかしなぜだろう、
平易な言葉なのに耳になじんでこない」

「考えてみれば昔から
経済政策でよく使われるのは、
分配ではなく再分配なのだ」

「分配は配るだけだが、
再分配となれば、
富める者からそうでない者へ
所得を移すという政策である」

岸田文雄首相は「分配」と言う。
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一方の立憲民主党は「再分配」を使う。

いずれも「野放図なバラマキ」の観は否めない。

コラムは主張する。
「与野党は財源について
もっと語るべきではないか」

「財源は赤字国債」
「それで開き直ってもらっても困る」

すべての政党が、
私には幼く見える。

「その借金を要する緊急性とは何か。
借金してでも目指そうとする
社会のあり方は、どういうものか。
説得力をもって語れるかどうかが問題なのだ」

さて業界のニュース。
日経新聞の記事。
「H2O社長”取引先の賛同手応え”」

傘下のイズミヤおよび阪急オアシスと、
関西スーパーマーケットは、
周知のように経営統合を発表している。

H2Oは関西スーパーの筆頭株主だ。

一方、第3位株主の㈱オーケーが、
1株2250円でTOBによる買収を提案。

伊藤忠食品はそれに連動するように、
「賛否を検討する十分な情報がない」として、
関西スーパーに質問状を送付した。

伊藤忠食品は、
関西スーパー株を4.75%保有する。

2021年3月末時点の関西スーパーの株主構成。
H2Oが10.65%、
関西スーパー取引先持株会9.19%、
オーケー7.69%。
続いて、伊藤忠食品4.75%、
国分グループ本社㈱3.40%、
日本マスタートラスト信託銀行㈱3.07%、
㈱かね清2.66%、
加藤産業㈱2.33%、
そして関西スーパー従業員持株会2.27%。

荒木直也H2Oリテイリング社長の発言。
「銀行や食品会社など取引先の賛同に
手応えを感じている」

「6%程度の株式を持つ
銀行など金融機関や食品会社は
統合によるスケールメリットを支持し、
大半が賛同している」
H2O荒木直也社長

この案件が承認されるには、
出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要。

統合後の利益計画に関しても、
「裏付けのある数字だ」と説明。

3社合算の営業利益は、
2026年3月期に22年3月期見込み比で、
8割増の135億円としている。

記事は報告している。
「オーケーも関西スーパーの株主に
臨時総会で経営統合への反対を
呼びかける手紙を送るなど、
攻防が激しくなっている」

考えてみれば株主総会も、
株主による投票である。

H2Oもオーケーも、
選挙運動を展開中だ。

一人1票ではなくて、
持株比率によって投票権の比重は異なる。

こちらは顔で選ぶことはないだろうが、
私は信頼関係で選ぶことになると思う。
経営は信用と信頼である。

もちろん一面的には、
金で選ぶことにもなる。

しかし総選挙では断じて、
札束で選ぶことは許されない。

〈結城義晴〉

2021年10月14日(木曜日)

ヤオコー和光丸山台店の新機軸とイオンのキャンドゥ買収

朝一番で埼玉県和光市へ。

横浜からは東横線、副都心線、東武線を、
一気通貫で乗り換えなしに1時間ほど。

意外に便利だ。

和光市駅からタクシーで500円。

㈱ヤオコーの新店が今日、オープン。
和光丸山台店。IMG_74201

近隣型ショッピングセンター。
「the market Place和光」。
この商業集積もヤオコーの開発。

核店舗として、
「ヤオコー和光丸山台店」が開業。

敷地面積3004坪、延べ床面積2585坪。
1階がスーパーマーケットのヤオコー。
2階に無印良品。
それ以外に美容室、体操教室、
歯科や診療所、シミュレーションゴルフ教室、
クリーニング店。

駐車台数は234台。

商人舎流通スーパーニュース。
ヤオコーnews|
ファミリー向け旗艦店「ヤオコー和光丸山台店」10/14新設
IMG_73451
そのヤオコーは、
売場面積は825坪。
初年度目標は年商28億円。

「ファミリー向け旗艦店」と紹介されている。

ストアコンセプトは、
「未来に向けて、新たな楽しさ、
豊かな食生活を提案するお店」

ヤングファミリー層に特化させた、
旗艦店の構築。

入口に青果部門と惣菜部門を設けて、
鈴木哲男言うところの「こってり型」のフロア構成。
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反時計回りに第一主通路奥に精肉と鮮魚部門。IMG_73761
店舗左サイドは冷凍食品部門だが、
ここが一つのカギを握る。

「ヤングファミリー狙い」は、
どのようの具現化されているか。
そしてそれは成功しているのか。

「辛口でお願いします」と言われたので、
月刊商人舎には「やや辛」くらいで書こうか。

いつものように、
川野幸夫会長と川野澄人社長。IMG_E73981
社長はリクエストに応えて、
笑顔を見せてくれた。

それから小澤澤三夫取締役営業企画部長。IMG_E73891
元気いっぱいで自信ありげ。
「辛口で」と言ったのは小澤さんだ。

ヤングファミリー向けの旗艦店。
それが成功するための考え方がある。

それは商人舎で披露しよう。

開店直後に並木利昭さんとばったり。
㈱ライフコーポレーション取締役専務。IMG_E73951
ライフとヤオコーは提携関係にある。
互いに学び合い、互いに高め合う。

ともにブランドをつくる。

いわゆる切磋琢磨。

将来ともに合併はないだろうが。

今日は重要なニュースが多発。
その一つ。

イオンnews|
100円ショップ第3位「キャンドゥ」株式を公開買い付け

この記事には【結城義晴の述懐】を書いた。
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100円ショップはアメリカでは、
バラエティストアと呼ばれる。
フランク・ウールワースが開発した業態。

1800年代後半の当初は5セントストアだった。
サム・ウォルトンが戦後に始めたころは、
5セント&10セントストア。

それが今、1ドルストアとなって、
ダラーストアと呼ばれる。

アメリカでは、
断トツのダラーゼネラルに対して、
第2位のファミリーダラーと
第3位のダラーツリーが経営統合。

鼎占から複占へと業態内の地殻変動が起こった。
3位が2位を飲み込む劇的な経営統合だった。

日本のキャンドゥは、
業態内で第3位の売上げと店舗数。
第1位が㈱大創産業のダイソー、
第2位が㈱セリア。
第4位は㈱ワッツ。

その第3位の企業をイオンが傘下に収める。

私は書いた。
「イオンとしては実に的確なM&Aである」。
イオンモールやイオンタウンなどの、
ショッピングセンター事業に
バラエティストアは不可欠。

その業態を傘下に収めることの
メリットは計り知れない。

キャンドゥでは2011年2月、
創業者の城戸博司氏が61歳で急逝。
現社長にバトンタッチした。

それから10年が経過し、
さらに直近の経営状況を見れば、
この判断も間違いではないだろう。

イオンとのシナジー効果は確かにある。

かくて、「コロナは時間を早める」によって、
コロナはM&Aを早める。

〈結城義晴〉

2021年10月13日(水曜日)

全日食チェーン60周年記念大会の「ポストモダンの商業」

東京湾。IMG_72931

レインボーブリッジ。
IMG_72961

お台場のグランドニッコー東京。IMG_73001

全日食チェーン大会。
その全日食は創立60周年を迎える。
感慨深い。

記念講演は渋澤健さん。
渋沢栄一の玄孫だとか。
「げんそん」と読むが、「やしゃご」とも言う。
子、孫、ひ孫、玄孫。
つまり孫の孫。

テーマはやはり、
「渋沢栄一の『論語と算盤』で未来を拓く」??????????

全国のチェーン加盟店と取引先、
報道陣などが参集した。??????????

記念講演のあとはチェーン大会。??????????

冒頭で大会会長の演説。
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㈱全日本食品代表取締役社長の平野実さん。??????????
9月からスタートした、
第12期中期3カ年計画を、
丁寧に語った。

テーマは「全日食Re-born(再生)」。
7つの柱が打ち立てられた。
⑴VC再確認
⑵DX推進
⑶拠点拡大
⑷店頭改革
⑸商品力追求
⑹物流改革
⑺地域社会への貢献そして地球環境への配慮

いずれも必須の柱となる命題である。

堂々としていて、素晴らしい話だった。IMG_73151

ただしこの会場に、
齋藤充弘さんはいない。
それが淋しかった。
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会長スピーチの次は、
来賓者の挨拶。

まずは政治家。
衆議院議員平将明さんの後は、
小泉進次郎さん。IMG_73231 - コピー
歯切れのよいスピーチに会場は沸いた。
しかしちょっと元気はなかった。

取引先代表の挨拶は、
雪印メグミルク㈱社長の西尾啓治さん。IMG_73241 - コピー
全日食の歴史をたどって、
いい挨拶だった。

毎回、必ず出席するのが甘利明さん。
自民党幹事長。
しかし今回は祝電で参加。
ジュニアボードの嶋津剛一さんが、
甘利さんの文面を読み上げた。
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そして最後の名物「大会宣言」。
ジュニアボード全国会議元会長。
高野好一朗さん。
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力強く、高らかに大会宣言を読み上げた。

いつもながらよかった。

シンプルなチェーン大会は、
ソーシャルディスタンシングを堅持して開催された。

最後に幹部が並んで、
参会者を送った。
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ちょっとだけマスクをとって、
いつものように記念写真。

全日食の「顔」田中彰さん(右)と、
木村建造さん、平野実さん。
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木村さんは、
全日食チェーン商業協同組合連合会理事長。

ここでも思った。

齋藤充弘さんがいない。
それでも全日食チェーンは大丈夫です。
平野さん、木村さんがその遺志を継ぎます。

もちろん田中さんは、
全日食の象徴として、
いつまでもお元気です。

60年を経過して、
平野さんは「90年を目指す」と言った。
企業の30年サイクルを2巡して、
3巡目に入った全日食チェーン。

中小小売店の集まりだが、
その将来は決して暗くない。

私は「ポストモダニズムVC」と、
高く評価している。

ボランタリーチェーンは、
ポストモダンの商業だ。

1979年発刊の故堤清二著『変革の透視図』
「流通産業の本質は、
“資本の論理”と“人間の論理”の境界に
位置しているというところにある」

「したがって
ここまでは工業化するべきであり、
ここからは工業化してはならない、
といった2つの性格をもった産業」である。

つまり商業の改革は、
商業と工業の間で行われる。
工業化し過ぎた商業には破綻が来る。
それがつまり商業の現代化である。
ボランタリーチェーンは、
その現代化において必須のピースである。

グランドニッコーの隣は、
フジテレビ本社。
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その向かいにアクアシティ。
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残った4人で食事。

白鳥和生さん、松井康彦さん、
亀谷しづえさん。

アクアシティのゆるキャラの前で写真。IMG_73361

白鳥さんは日経新聞調査部次長、
松井さんは商人舎特別プロデューサー。IMG_73371
ポーズをとって、
全日食チェーンの豊かな未来を願った。

フジテレビ本社はカラフルに変わっていた。IMG_73411
ポストモダンの商業は、
ポストコロナ時代に、
再び大テーマとなる。

ボランタリーチェーンは、
そこに欠かせない機能である。

〈結城義晴〉

2021年10月12日(火曜日)

「コロナは医療進歩を早める」と「OXも重視しています」

夜、パソコンがフリーズした。
ほんとうに久しぶりだ。

そこで頭も思考停止して、
寝た。

ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン。
オーストリア出身の哲学者。
その『反哲学的断章』から。
ヴィトゲンシュタイン
「私の頭に
帽子をかぶることができるのは
私だけであるように、
誰も私のかわりに
考えることができない」

目覚めてフリーズしたパソコンを、
強制終了して、再び考え始めた。

ヴィトゲンシュタインは、
ピーター・ドラッカーの20歳ほど年上だ。

イギリスのケンブリッジ大学で、
バートランド・ラッセルに師事した。
メイナード・ケインズとは親友だった。

そのヴィトゲンシュタイン。
「世界の未来を考えるとき、
いつもわれわれが考えるのは、
世界がいま見えているまま
運動を続けるとしたら、
世界はどこにあるのだろうか、
ということだ。そして、
直線的な運動ではなく、
曲線を描いて、
たえず方向を変えるとは、
考えないのだ」

同感だ。

「フィナンシャル・タイムズ」
イギリスの新聞で、通称FT。

10月10日の記事が、
翻訳されて日経新聞に掲載された。

書き手はジリアン・テット記者。
イギリス生まれの女性ジャーナリスト。

1993年、FT入社。
97~2003年東京支局長。
現在はFT米国版編集長。
2008年、British Business Journalist of the Year受賞。
2009年、Financial Book of the Yearを受賞。
その作品は「愚者の黄金」
愚者の黄金

FTの記事のタイトルは、
「医療の進歩は早められる
コロナワクチン開発が実証」

様々な証言を集めて、
記事を紡ぎあげていく。

「パンデミック以前に進められていた
数千件に上る有望な臨床試験が中断され、
なかには打ち切られたものさえあった」
これは米国の非営利団体FFBの報告書。

その結果、
コロナ感染による犠牲者に加えて、
「非ウイルス関係の犠牲者」が今後、
増える公算が大きい。

テット記者。
「これは悲劇にほかならない」

そして、同時に2つの重要な疑問。

「1つ目は、未来の歴史学者が、
過去2年間の異常な時期を回顧した時、
コロナ禍の直接的な影響と比べ、
二次的、間接的、あるいは、
見えにくい被害をどう評価するかだ」

見えにくい被害の評価は、
実は極めて大事だ。

「2つ目の疑問は、
コロナ感染が収束した時に、
コロナ禍で頓挫した計画を
再開させる方法はあるのかという点だ」

「これは長期的損失を軽減するために
最大限の手を打てるか、
という問題も含む」

「2つ目の問いに答えが出ない限り、
1つ目の問いには答えられない。
そして、この問いの結論は
どうなるかはわからない」

「コロナ禍は、
医学研究の長期的な未来について、
以前より楽観的な気持ちにさせてくれる結果も
もたらしたからだ」

米国経済シンクタンク・ミルケン研究所。
「コロナ禍という
苦境のなかでの希望の光は
生物医学の研究者らが
科学の前進、革新に
つながる行動をとったことだ。
この進歩を特定、認識し、
その基盤の上にさらに
積み重ねていくことが極めて重要だ」

「最も顕著だったのは、
科学者たちが
デジタルプラットフォームを使い、
かつてないほど
緊密に協力し合ったことだ。
これにより、ワクチンが
前代未聞のスピードで開発された」

コロナ禍は、
科学者の緊密な協力をつくった。

ミルケン研究所。
「一方、企業は政府と協力し、
多額の資金を受け取った」

「もしこのひな型を
医学の他分野でも実現できれば、
ワクチン開発と同じくらい
目覚ましい成果を確実に出せるだろう」

科学者・研究者の連携と、
政府や企業の資金。

ただしテット記者。
「研究者らの力を
結集する上で障害となるのは、
盲目のような医学的課題については
切迫感があまりないことだ」

地味な課題と研究資金の障害。

「コロナ禍との戦いには
多額の資金が捻出されたが、
例えば膵臓(すいぞう)がんなど、
生物医学研究の一部の分野は
コロナ以前でさえ
研究資源の確保に苦労しており、
今後もその状況が続くとみられる」

研究資金の不足は、
政府予算に制約が多いこと。

日本だけでなく、欧米も同じだ。

民間資金が投じる研究費も、
分野によって不均衡である。

「大手製薬会社も、
病気が少数の人にしか影響しない場合は
支援を渋る」

これは「死の谷」と呼ばれている。

「科学者はしばしば、
画期的な研究の初期段階については
公的部門から資金をかき集めるが、
研究を実証するための開発での
資金の獲得には苦労する」

もう一つの問題。
「政治家も市民も
集中力が持続しないことだ」

小売業、サービス業にとっては、
行政も顧客も、
集中力が持続しない。

「コロナ禍のような
大惨事が発生した時には
医学研究への支持を得やすいが、
がんや視覚障害など進展が遅い危機は
さほど注目を集めない」

そう、新店が遅い危機は注目を集めない。
そして「茹でガエル」が出来上がる。

「研究が進まないことが原因で出る犠牲者は
気づきにくいからだ」

だが、
「コロナ禍の脅威が薄れつつあるなか、
こうした注目を集めにくい研究を
無視し続ける理由は薄れている」

「新型コロナは、
科学がなぜ重要なのか、
大胆なアイデアのために
財源をみつけた時に何ができるかを
実証してみせた。
この教訓を今こそ、
万事において
実現していく必要がある」

ワクチン開発の奇跡的なスピードは、
こうして得られた。

確かに、
コロナは医学進歩を早めた。
コロナは時間を早めた。

しかしそれが、
コロナだけで終わってはならない。

商売や仕事も同じ。

日の当たる領域、
目に見える分野だけでなく、
隠れたところ、
気づきにくい仕事に、
スポットが当たらねばならない。

先日、㈱カスミを訪れた。
常務の塚田英明さん(右)が言った。
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「いま、DXも大事ですが、
私たちはOXも重視しています」

DXはDigital Transformation。
OXはOperation Transformation。

「直線的な運動」だけではいけない。
「曲線を描いてたえず方向を変える」
その思考回路が社会を変革し、
仕事を前身させる。

〈結城義晴〉

2021年10月11日(月曜日)

商人舎10月号[実践]コロナ禍二度目の年末年始作戦の狙い

Everybody! Good Monday!
[2021vol㊶]

2021年第41週。
10月第3週。

月刊商人舎10月号、本日発刊!!
【特集】
[実践]コロナ禍二度目の年末年始作戦
ポスト・コロナ時代を決する正念場を迎えた!
202110_coverpage
年末だから赤いリボンの表紙。
いかがでしょう。
気に入ってます。

[Cover Message]
コロナは時間を早める。
コロナは経営統合を早める。
コロナは商売のサイクルを早める。
そしてコロナは、
ロイヤルカスタマー化を早める――。
コロナ禍二度目の年末年始商戦は
正真正銘の正念場である。
ポスト・コロナ時代の体制が
決定づけられてしまうからだ。
菅義偉総理が退陣し、
岸田文雄内閣が発足した。
軌を一にするように、
コロナは理由も告げずに、
去って行った、かに見える。
ただし第六波が訪れ、
新たな変異株が登場する可能性も
十分考えられる。
マスクと手洗い、
ソーシャルディスタンシングの
生活や商売は続く。
2019年末に戻って、
激しい体力勝負の消耗戦が復活する。
価格コンシャスは高まる。
業界ごとの商品値上げが進むなかで、
イオンは「価格凍結宣言」を発した。
早仕掛け・早仕舞い・際の勝負。
一に天候、二に気温、三四がなくて五に雨量。
それへの機敏な対応――。
コロナ禍二度目の年末年始作戦を提案する。

[目次]
202110_contents

特別企画は、
’21秋のイオンリテールとイトーヨーカ堂

日本小売業のトップ2社は、
イオン㈱と㈱セブン&アイ・ホールディングス。
両者の祖業は総合スーパー業態。
イオンリテール㈱と㈱イトーヨーカ堂。

スタートのころは「SSDDS」と称した。
セルフサービスディスカウントデパートメントストア。

そのイオンリテールとイトーヨーカ堂の、
最新の軌道はやや重なりつつある。
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そのキーワードは、
フード&ドラッグ。
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20年前の2001年と、
10年前の2011年、
そして直近の5年間を比較した。
それらを時系列に追いかけつつ、
総合スーパー業態の社会的機能を検証し、
その近未来を描き直す。

今月号も何とか、
水準以上の雑誌ができあがりました。

ご愛読、お願いします。
お申し込みは

月曜日の今日は、
ランチミーティング。
千野和利さん。
千野和利
ご存知、㈱阪急オアシス元社長・会長。
現在は離島振興地方創生協会理事長。
一般社団法人のトップとして、
日本中の離島を視野に入れて、
精力的に現地を巡り、
地方創生に全力投入中。

フードストアソリューションズフェア。
略してFSSF。
西日本を主体にした食品展示会。
FSSF
主催は日本食糧新聞社。
共催が離島振興司法創生協会。
副主催は西日本の食品小売業18社。
FSSF2

「地方創生」をコンセプトにしているが、
私は千野さんのお手伝いをしている。

当初は9月8日・9日を予定していた。
しかし緊急事態宣言が継続されて、
やむなく10月21日・22日に延期。

ところがそれも開催できず、
さらに12月2日・3日に延期して、
今度こそ実施できそうだ。

会場はインテック大阪。
西日本最大の食品展示会で、
2025年の大阪万博の年には、
「地方創生」のために、
なくてはならないフードフェアとなる。

世界最大の食品メッセは、
ドイツ・ケルンで開催される。
アヌーガ。
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コロナ禍中、今年も、
10月9日から13日まで開催中。

12月の大阪のFSSFも、
開催されます。

ご期待ください。

今週のスケジュール。

明日の火曜日は久しぶりに、
商人舎オフィス。
膨大なテキストの最終確認。

明後日の水曜日は、
全日食チェーン大会。
齋藤充弘前会長が逝去されて、
そのあとのチェーン大会。

遺志を継ぐ決意表明がなされるだろう。

木曜日はヤオコー和光丸山台店のオープン。

商人舎流通スーパーニュース。
ヤオコーnews|
ファミリー向け旗艦店「和光丸山台店」10/14新設
yaoko_wakomaruyamadai
朝7時半ごろ、現地に行きます。
新店オープンは大好き。

その後、東京・御成門へ。
True Dataの役員会。

それから金曜日は、
「てっちゃん塾」の無料ウェビナー。
大越鉄夫さんも、
コンサルタントとしての仕事が始まった。
応援している。

おめでとう。

さて最後に、
今日の新型コロナウイルス感染。
新規陽性判明者は全国で、
369人。

東京都・大阪府・神奈川県、
ともに49人。

東京は1年4カ月ぶりに50人を切った。
神奈川は2021年で最も少ない。
大阪は6月28日以来の50人以下。

このまま沈静化されてほしい。
それを願うばかりだ。

今日も千野さんと話し合った。
「仕事が人間を救う」

人生100年時代、
高齢者にとっても、
仕事は必須のものだ。

その仕事が目の前にある人は、
この一瞬を充実させたい。

では、みなさん、今週も、
目いっぱい仕事しよう。
仕事に感謝しよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年10月10日(日曜日)

[日曜漫歩]上総モナークの「特異日」と「勇気ある決断」

10月10日。

1964年(昭和39年)10月10日に、
東京オリンピックの開会式が開催された。

私は12歳の小学6年生だった。

翌々年の1966年(昭和41年)に、
10月10日は「体育の日」として、
国民の祝日になった。

同じ年に2月11日は建国記念の日、
9月15日は敬老の日と制定され、
それぞれ祝日となった。

2000年(平成12年)以降、
体育の日は10月第2月曜日に変わった。

さらに2018年に祝日法が改正され、
2020年(令和2年)から、
体育の日は「スポーツの日」に、
名称変更された。

それでも私にとって、
10月10日は体育の日だ。

だから上総モナークカントリークラブ。244951313_1923290924516582_4348355165634229360_n
朝6時15分、横浜を出発するときには、
美しい朝焼けだった。

しかし、
東京湾を渡るアクアラインを越えて、
千葉県に入ると空を雲が覆い、
霧がかかった。

クラブハウスに到着すると、
雨が降っていた。

クラブは半年ほどの改装が終わって、
10月1日から新装開業。
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ジャック・ニクラウスの設計。
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今日は、
令和拡大名人会。
1989年から続けている。
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宮本洋一さん、鈴木國朗さん、
そして亀谷しづえさん。
宮本さんはブルーチップ㈱社長、
鈴木さんは㈱アイダスグループ社長、
亀谷さんは㈱商人舎ゼネラルマネジャー。

雨と霧の中でスタート。

しかし雨はすぐに上がり、
雲の間に日が射し始めた。
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風はないのに雲が移り変わって、
青空が広がってゆく。
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10月10日は「晴れ」の特異日のはずである。
東京オリンピック開会式が、
この日に選ばれた理由がそれだ。

特異日は英語で”singularity”。
シンギュラリティ。

偶然とは思われない高い確率で、
特定の気象状態が現れる日。

しかし現在、
シンギュラリティは、
「技術的特異点」とも理解される。

アメリカのレイ・カーツワイルらが、
「AIが人間の能力を超える時点」として、
仮説し、予測した。

カーツワイルは発明家であり、
未来学者である。
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技術的特異点とは全然関係ないが、
空は激しく変化して、
快晴の特異日に向かった。

気のおけない仲間とラウンド。
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17番グリーンのパッティング。
私は32インチの短いパターを使う。
だからちょっと前かがみになる。244996837_1923290947849913_8830443150612609377_n

午後のラウンドはもう夏のような陽気。IMG_E72681

最終ホールは9番パー5。
宮本プロがグリーンに乗せて、
上がってくる。
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青い空と白い雲、
緑の木々と黄緑のグリーン。
これがいい。
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プレーが終わって、
宮本プロとツーショット。
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今日も負けました。
でも満足。
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しかしいつの日か、
追いつけるかもしれない。

きっと特異日には。

そのために必要なこと。
10月の商人舎標語。
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勇気ある決断

私たちは
いつも
勇気を
もたねばならない。

弱い人も、
強い人も。
小さな人も、
大きな人も。

力ある人も
知恵ある人も。
地位ある人も、
将来ある人も。

最後の最後には
勇気ある
決断を
しなければならない。

恐れてはいけない。
くじけてはいけない。
悔やんでもいけない。
逃げては、もちろんいけない。

日々の
小さな意思決定にも
勇気が
潜んでいなければならない。

人生一度の
大きな勝負どころには
勇気が
あふれていなければならない。

四面楚歌の
窮地には
勇気でしか
立ち向かえない。

勇気とは
未知なる世界に一歩、
目隠しで踏み込む
心のあり方だ。

イオンリテールもイトーヨーカ堂も、
ヤオコーも万代も平和堂もロピアも、
関西スーパーもH2Oもオーケーも、
そしてユニクロも。

人びとが
すべて
勇気ある決断を
しつづけなければいけない。

〈結城義晴〉

2021年10月09日(土曜日)

米国ローカルチェーン同士のM&A[Raley’s & Bashas’]

何とか心と秋の空。IMG_72571

秋の日は釣瓶落とし。
すぐに夕方がやってくる。IMG_72511

商人舎流通スーパーニュース。
その海外ニュース。

レイリーズnews|
アリゾナの老舗スーパーマーケット「バシャス」を買収

最近はちょっと珍しいニュースだが、
ローカルチェーンによる、
ローカルチェーンのM&A。

カリフォルニア州のレイリーズ(Raley’s」が、
アリゾナ州のバシャス(Bashas’)を買収した。

レイリーズは1935年創業。
ウエストサクラメント市に本部を置く。
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サンフランシスコから北東に向かうと、
レイリーズのドミナントに着く。

有名なナゲットマーケットの商勢圏と重なる。
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ナゲットがファンタスティックな店ならば、
レイリーズは普通の店。

現在は、
カリフォルニア州北部とネバダ州で、
124店舗を展開する。

強いローカルチェーンで、
そのローカルチェーンから、
リージョナルチェーンに変貌中の会社だ。

店舗バナーも数多い。
つまりマルチフォーマット戦略。

Raley’s、Bel Air、Nob Hill Foods、
そしてRaley’s O-N-E Marketなど。
DSCN01800

地元北カリフォルニアの企業を、
少しずつ統合してそのバナーを残した。
さらに自ら新しいフォーマットに挑戦。

結果としてビジネスモデルが増えた。

一方、バシャスは1932年創業。
昭和7年のことだ。

レイリーズと同じころ、
事業を起こしている。

東海岸のウェグマンズは、
1916年にロチェスターに青果店として開業。
第一次世界大戦の直前。

そして第2次大戦後の1949年に、
スーパーマーケットに業態転換。

全米1位のクローガーは1883年、
オハイオ州シンシナティ市に第1号店を出店。
こちらはグロサリーストアだった。
1904年には精肉店を買収して、
初めてグロサリーストアに精肉部門を導入。

そして1916年、セルフ・サービスを導入。
クラレンスサンダースが、
この新システムを開発した年だ。

1929年には、5575店舗に達していた。

一方、西海岸はまだ遅れていて、
こちらの企業は生鮮食品店が多かった。

バシャスは現在、
アリゾナ州を中心に113店舗を展開。
マルチフォーマット戦略。

Bashas’、Bashas’ Diné、Food City、
AJ’s Fine Foods、
Eddie’s Country Storeなど。

レイリーズ、バシャスともに、
ファミリービジネスの非上場企業だ。

レイリーズは北カリフォルニア、
バシャスはアリゾナ州。

それぞれのスーパーマーケットとして、
エリアの2番手に入る。

それ以下は淘汰されてしまった。
だから2番手に残るのは、
大変な事だ。

レイリーズCEOのマイケル・ティールは、
創業者トーマス・レイリーの孫、
バシャスCEOのエドワード・バシャも、
創業者ナジーブ・バシャの孫にあたる。

どちらも三代目。

ローカルチェーンは、
同族経営が多くて、
それが一番強い。

昨2020年半ばのCOVID-19真っ最中に、
レイリーズ側からM&Aが提案された。

一方のバシャスは2009年に、
チャプター11(連邦破産法11章)を申請。
民事再生の方向で再生中だった。
30店舗を閉鎖、2000人を解雇。
資金繰りから財務までを立て直した。

しかしアリゾナ州は、
フライズというトップ企業が強い。

そしてこのフライズは、
ローカルチェーンだったが、
クローガーの傘下に入っている。

私はフライズがクローガーなら、
バシャスはアルバートソン傘下か、
などと言っていた。

全米のスーパーマーケットは、
どちらかのグループに入るしかない。

ローカルチェーンで生き残るのが、
ひどく難しいから、
リージョナルチェーンを目指す。

ウェグマンズがそれに成功しているし、
パブリックスもHEBも、
ハイヴィーもリージョナルチェーンである。

ナショナルチェーンは、
クローガーとアルバートソン。
アルバートソンはセーフウェイと統合して、
何とか蘇生した。

レイリーズとバシャスは、
地元で人気のスーパーマーケットだ。
そこで今回のM&Aの目標は、
互いのノウハウをシェアし、
仕入れスケールを拡大することで、
競争力を上げて成長すること。

買収額など詳細は公表されていない。
バシャスの店舗バナーや経営陣、
さらに8500人ほどの社員は、
そのまま引き継がれる。

エドワード・バシャCEOは、
売却が終了した時点で退任する。
彼の弟マイケル・バシャと、
従兄弟のジョニー・バシャは、
引き続き経営に携わる。

私は「複占の理論」を提唱している。
上位2社によってほとんどが占有される状態。
3番手はマーケットフォロワーとなって、
衰退していく。

アリゾナ州の複占は、
ウォルマートとフライズ。

だからバシャスはしんどい。

2010年3月17日(水曜日)のブログ。
アリゾナ州フェニックスの死闘

このなかで紹介したのが、
「森の中の二人の男と熊の話」

――森の中を二人の男が歩いていた。
そこへ熊が出てきた。
一人の男が、叫んだ。
「早く逃げよう」
もう一人は、言った。
「君より早く逃げさえすればいい」

熊とは、ウォルマート。
ふたりの男は、ローカルチェーン。

ここアリゾナ州では、
このふたりとはバシャスとフライズ――。

バシャスが逃げ遅れて、
フライズはクローガーに逃げ込んだ。

そして今、バシャスは、
レイリーズによって蘇生を図る。

ただしこのM&Aの2社も、
永劫に存続するとは限らない。

2020年1月14日(火曜日)のブログに書いたが、
その兆候は見えている。
ナゲットの革新とレイリーズの停滞
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厳しい現実ではあるけれど。
コロナが経営統合を早めたことは確かだ。

〈結城義晴〉

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