結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年09月04日(土曜日)

東京2020パラリンピックの「多様性」と「未来」

東京2020パラリンピック。
明日9月5日、最終日を迎える。

閉会式は20時から22時30分まで、
オリンピックスタジアムで行われる。

開会式が8月24日だったから、
2週間に満たない13日間。

あっという間だった。

商人舎9月号の編集期間と重なって、
あまり観戦することができなかった。

今日も一日、
私は原稿執筆。

それでもゴールボールやボッチャ、
ブラインドサッカーなど、
独特の競技には興味をひかれた。

それからもちろん陸上も水泳も、
各種の球技や団体競技も、
スリリングだった。

日本代表選手団も、
世界のパラリンピアンも、
感動的だった。

自国開催がなければ、
こんなに様々な競技を知ることも、
見ることもできなかった。

実際に前回の2016年リオ大会や、
前々回の2012年ロンドン大会は、
パラリンピック競技は、
こんなに丁寧に放映されなかった。

その意味でも東京での開催は、
われわれにとってよかったと思う――。

頭の中で考えていることと、
目や耳で知ること、感じることは、
まったく異なる。

それを思い知らされた。

どんな人にも、
打ち込むべきことが必要だ。

それが生きる力となる。

仕事でもボランティアでも、
スポーツでも芸術でも。

商売でも、経営でも。

そして打ち込む姿は、
とても美しい。

東京パラリンピック。
「3つの基本コンセプト」

・全員が自己ベスト
・多様性と調和
・未来への継承

谷川俊太郎。
「三十億六千万」

六十一億二千万本の手は
いまこの瞬間
それぞれに勝手なことをしている
旗を引き裂く手
無明の闇に合わされる手
あざむくために合図する手
愛する手 殺す手 まひした手
いかなる詩人の創造力をも超えて
六十一億二千万本の手は
いそぎんちゃくの触手のように
餓えて ふるえて――
それらは決してひとつの輪に
手をつないだりはしない
〈『地球へのピクニック』より〉
谷川俊太郎地球へのピクニック

地球の人口は1961年に30億人を超えた。
そのころにつくられた谷川の詩。

人間は多様だけれど、
バラバラだけれど、
その多様でバラバラであることを、
認めることこそ、
調和の本質である。

そしてパラリンピックは、
私たちに未来を見せてくれた。

同じく谷川俊太郎。
「未来」

青空にむかって
僕は竹竿をたてた
それは未来のようだった

きまっている長さをこえて
どこまでもどこまでも
青空にとけこむようだった

青空の底には
無限の歴史が昇華している
僕もまたそれに加わろうと――

青空の底には
とこしえの勝利がある
僕もまたそれを目指して――

青空にむかって
僕はまっすぐ竹竿をたてた
それは未来のようだった
〈同じく『地球へのピクニック』より〉
谷川俊太郎 地球②
パラリンピアン、
ひとりひとりが、
青空にむかって
まっすぐ竹竿を立てた。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2021年09月03日(金曜日)

菅義偉首相不出馬の弁の「トレードオフとトレードオン」

二百十日は台風の特異日だ。

その前後には、
大きな台風がやってくる。

ただしコロナ禍の2年間、
気象上の台風は来なかったが、
政治の台風がやってきた。

昨年は安倍晋三首相が突然の退任。

今年は菅義偉首相がこれまた、
突然の自民党総裁選挙不出馬。
つまり首相辞任。
菅退任顔②1

13時05分からの、
そのぶら下がり記者会見は、
たった2分。

私もテレビで見ていた。

「新型コロナウイルス対策と
(総裁選)選挙活動は
莫大なエネルギーが必要だ。
両立はできない」

だからコロナ対策に、
「専任(ママ)」する。

「専念」だろうと思うが、
今回は原稿を読んでの発言ではないから、
言葉の誤用か。
菅退任の顔①1
しかし首相としての任期は、
あと1カ月足らずとなった。
コロナ対策に「専任」するとしても、
1カ月で収まるはずはないから、
本格的な対策は、
次期総理総裁のもとで展開される。

それにワクチン担当の河野太郎大臣が、
総裁選に出馬すると表明したのだから、
河野大臣もいったい「両立」できるのか?
などということになってしまう。

つまりは総裁選に出馬しても、
ほぼ負ける情勢になってしまったから、
その言い訳として、
「両立できない」と口にしたに過ぎない。

退任の弁として、
これほど情けないものはない。

両立できないときに、
どちらかに割り切ってしまうことを、
「トレードオフ」という。

なんとしても、
両立をやり遂げることを、
「トレードオン」という。

しつこく書くけれど、
『コロナは時間を早める』の、
主テーマの一つ。
コロナ本

コロナ拡大防止対策と、
経済の活性化対策。

それを両立させようとしてきたのが、
菅首相にとっての
この1年間だったはずだ。

つまり懸命にトレードオンを志向した。

しかし最後の最後で、
トレードオフになってしまった。

ということはこの1年間、
結局、進化はなかった。
どちらもやれなかった。

それを証明してしまう最後の弁だった。

トレードオンのテーマは、
ずっと一定ではない。

いつもいつも複雑に変化する。
その複雑化から逃げてはいけない。

トレードオフは、
安易な逃げの構図に安住しやすい。

ちょっと厳しすぎる評価だろうか。

首相就任の直後は、
私も期待をした。

指名した大臣たちの就任の弁を聞いて、
菅総理もなかなかやるなぁ、と感じた。

その後の落差が大きかった。
だから落胆も激しかった。

しかし退陣の報道を受けて、
日経平均株価は、
2カ月ぶりに2万9000円を超えた。

株式市場は、
菅退陣を歓迎した。

二百十日前後のとんだドタバタ。

政府全体の行動としてみれば、
退陣表明自体がコロナ対策の中断であった。

「国民の命と暮らしを守ることが私の使命」
菅義偉首相は事あるごとに繰り返した。
商人で言えば、
「店は客のためにある」と、
呪文のように繰り返していた社長が、
その店も会社も潰してしまうことがある。

残念なことだが、
それがこの1年だった。

しかたがない。
取り返しはつかない。

後任の総理総裁が、
その分も取り戻してくれることを、
見守りつつ、期待しよう。

岩田健太郎神戸大学教授が、
朝日新聞DIGITALで語っている。

昨年2月、
「ダイヤモンド・プリンセス」号に、
自ら乗り込んで活躍した感染症内科医。

「菅首相は、
自分に都合の良いことを言う人は
味方につけ、
厳しいことを言う人は追い出す」

「人事で人を掌握する、
古いタイプの政治家だと思う」

人事で人を掌握するタイプの、
古い古い経営者と同じだ。

その結果として、
「楽観的な見方やデータだけを
採用するようになった」

そのうえ、菅首相のコロナ対応。
「最大の問題は
ビジョンがないこと」

「あるのは、
すでに起きてしまった事態への
対応だけだった」

「感染者や自宅療養者が
実際に増えてから対応するため、
後手後手になっている」

これも経営に通じる。
ビジョンのない経営。

感染症医がなぜ、
こんな発想をもてるのか。
それはわからないが、
説得力がある。

「現実から目をそらさないこと」
「楽観的なシナリオだけを追わない」
「悲観的な見解やデータもまっすぐに見る」
「現実がどちらに転んでも良いようにしておく」

最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

「現実から目をそらしたら、
それはもはや政治家とは呼べない」

現実から目をそらしたら、
それはもはや経営者とは呼べない。

現実から目をそらしたら、
知識商人ではない。

だから現実をモニタリングせよ。
自分の目で見、自分の耳で聴け。

ドラッカーの教えだ。
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そしてトレードオンをやり遂げる。

次の総理総裁に期待しよう。
選択肢はそれしかない。

今日のブログは、
政治の話ではない。

経営の話であり、
商売の話である。

〈結城義晴〉

2021年09月02日(木曜日)

結城義晴誕生日の「紀文正月フォーラム」無観客講演会

9月2日。
結城義晴の69回目の誕生日。

午前0時を過ぎたあたりから、
Facebookやメールで、
次々にお祝いの言葉をいただいた。

心から感謝したい。
ありがとうございました。

還暦のときには、
立教大学大学院の特任教授だった。

ゼミ生が中心となって、
お祝いの会を開いてくれた。

うれしかった。

しかし今はCOVID-19パンデミック。
しかも高齢者に属していて、
誕生日を祝うほどではないとも思う。

77歳の喜寿あたりから、
80歳の傘寿、88歳の米寿、
90歳の卒寿などになると、
今度は長生きしたことを、
祝うのかもしれない。

還暦から古稀、
そして喜寿までの間は、
昔と違って、
何とも中途半端な気がする。

「人生100年時代」ブームの影響か。

それでも多くの方々が、
健康に気をつけるように、
と言ってくれた。

ありがたい。

このブログでも毎月報告するが、
父親から受け継いだ軽い2型糖尿病で、
血液検査と診断をしてもらっている。

主治医は田嶼尚子先生。

私は田嶼先生のいい生徒だ。

ほかには左膝や左肩、両手首など、
痛いところもあるが、
これはゴルフスウィングのし過ぎ。

ちょっと心配なのは、
右目の眼圧が高まっていること。

10歳で白内障の手術、
商業界の社長となって網膜剥離の手術、
その後、商人舎を立ち上げたときに、
緑内障がひどくなって、
長時間の手術を二度、やってもらった。

このブログで10日連続の連載を書いた。
「結城義晴・燃える闘病日記」
DSCN0541-2
55歳。若かった。

主治医の富田剛司先生からは、
すでに言い渡されている。
「あなた自身の命よりも、
あなたの右目の命は短い」

それでも右目の疾患は、
命にかかわるほどのことではない。
だから達観している。

これ以外には、心配はない。

㈱商業界で約30年働いた。

そのあと「30年、現役で頑張る」
と言い切って商人舎を始めたが、
もう15年が過ぎてしまった。

あと15年か、いや20年か。
イオンの岡田卓也さんや、
ライフの清水信次さんのように、
あと25年か、30年か。

どんなかたちになっても、
現役で頑張ろうかと、
漠然と思っている。

よろしくお願いします。

さて8月31日に、
このブログで解説した問題が、
新しい展開を見せたようだ。

H2Oリテイリング㈱と、
㈱関西スーパーマーケットとの経営統合。

㈱オーケーが割って入った。

日経新聞がスクープして、
電子版で報じた。
他のメディアは記事にしていないが、
日経新聞のことだから多分、
事実なのだろう。

今日の関西スーパーの株価終値に対して、
6割以上上回る1株2550円で、
公開買い付けをする。
いわゆるTOB(Take-Over Bid)

そして完全子会社化するという。

さて、どうなることか。

私の見方や見解ははっきりしているし、
きっとそうなるだろうと確信しているが、
それはここでは書かない。

お客さまは支持してくれるか、
社員・従業員はどう考えるか、
お取引先はどう対応するか。

会社のためにはどうなるのがいいか。

どちらに大義があるか。

それが大事だ。

さて、今日は午前中に、
東京・東銀座の時事通信ホール。

2021紀文正月フォーラム。
ただしコロナ禍で無観客。
ビデオ撮りして、
商談会で流したり、
各社に贈ったりする。
IMG_65651

時事通信ホールは天井が高くて、
講演もしやすいし聴講もしやすい。

紀文食品正月担当部長の堀内慎也さん。
「2021正月フォーラム 紀文からの提案」IMG_65641
紀文ならではの丁寧な調査と、
具体的な提案。

それから関智美さん。
㈱クレオ生活行動研究部部長。IMG_65711

テーマは、
「ポストコロナの生活者潮流を読み解く」IMG_E65681

講演の最後は結城義晴。IMG_65831

紀文の役職員やスタッフが聴いている。IMG_65791

「2021年末商戦の戦略と政策」IMG_65841

私の講演が終わると、
堤裕紀文食品社長が、
花束を持って登場。

サプライズの誕生祝い。IMG_65861

カメラ担当も寄って来て、
シャッターを切った。IMG_65911

会場からは全員の拍手。IMG_65921

堤さんとツーショット。IMG_65881
ありがとうございました。

ここでちょっと休憩。IMG_66031

スタッフは朝一番でやって来て、
夕方までの一日仕事だ。IMG_66081

そして最後に締めは、
その堤社長のスピーチ。IMG_65961
堤さんは姿かたちもいいし、声もいい。

きちんとしたスピーチで、
今日の無観客講演会は終了。

最後の最後に講演者全員で写真。IMG_66111

一瞬だけマスクを取って、
息を止めて~、スマイル。IMG_66131
ありがとうございました。

今日の私の講演の最後の言葉。

「ポスト・コロナ時代への決断とは
“不確実な成果”に対して、
目隠しで一歩、踏み込む
心の在り方である。」

〈結城義晴〉

2021年09月01日(水曜日)

フジ&マックスバリュ西日本の統合とイオンの存在感

2021年9月1日。

急に涼しくなった。
10月中旬並みの気温。

今日は防災の日。
そして今週は防災週間。

98年前の1923年(大正12年)、
9月1日に関東大震災が発生した。

リスクマネジメントの心構え。
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

それが今日の在り方。

商人舎流通スーパーニュース。
フジ&イオンnews|
2024年3月にマックスバリュ西日本と完全統合

昨日のH2Oと関西スーパーに続いて、
小売企業の経営統合の発表。

商人舎オフィスにFaxが入って、
午後4時半から緊急記者会見が開かれた。

東京と松山の二元中継。

それを聞いただけで、
ピンときた。

そうイオン㈱と㈱フジの統合だ。

イオンからは岡田元也会長。
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吉田昭夫社長。
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そしてマックスバリュ西日本㈱の、
平尾健一社長。
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フジからは尾﨑英雄会長。
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山口普社長。
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私たちには松山会場の映像が映り、
尾﨑さんを中心に、
左に山口さん、右に平尾さん。

岡田、吉田両氏は、
スクリーンで登場。
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現時点ではイオンがフジの筆頭株主である。

それを合併に向けて、
株式交換やフジの会社分割などを行う。

昨日のH2O&関西スーパーと同じだ。

来2022年3月1日までに、
現在のフジは共同持株会社フジとなる。

この共同持株会社フジは、
マックスバリュ西日本と株式交換を行い、
分割した新事業会社フジと、
マックスバリュ西日本を子会社とする。

つまり持株会社体制へ移行する。

この共同持株会社フジが、
イオンの連結子会社となる。

最終的には2年半をかけて、
2024年3月までに、
事業会社フジとマックスバリュ西日本が合併。

統合新会社が設立される。

フジとイオンは2018年10月に、
資本業務提携を結んだ。

イオンはフジの株式を15.0%取得し、
フジはマックスバリュ西日本の株式を、
7.6%保有した。

フジの連結営業収益は3154億円、
マックスバリュ西日本は5632億円。
単純計算では8786億円規模になり、
1兆円が視野に入る。

「中国・四国No.1のスーパーリージョナルリテイラー」
それが目指す企業像だ。

結果として、
イオンの存在感は高まる。

岡田元也、尾﨑英雄両会長は、
ビジョンの見える発言をした。

吉田昭夫、山口普、平尾健一3社長も、
極めて手堅い説明をして、
将来像を確かにした。

その詳細な内容は急遽、
9月10日の月刊商人舎9月号で、
掲載することにした。

もちろん結城義晴の分析と見解も、
総括的にまとめるつもりだ。

今日の商人流通スーパーニュースには、
例によって【結城義晴の述懐】を書いた。
202003_yuzawa_04

月刊誌で分析するので、
シンプルな述懐だった。

「小売業の革新は地方がけん引する」

対するローカルチェーンも、
のんびり構えてはいられない時代が来た。

拙著『コロナは時間を早める』に、
書いた通りのことが今、起こっている。
コロナ本
私は予言者ではない。

ピーター・ドラッカー先生が言うように、
モニタリングを続けてきた。
もう45年になる。

そうしたら最近、
「すでに起こった未来」が見えてきた。

それを書いた。

もちろんその「未来」への考え方、
対処のための戦略も、
この本には書いてある。

現在は三刷り段階だが、
そろそろ四刷りとなりそうだ。

岡田さんは、
「時間が早まる」ことを指摘し、
トランスフォーメーションを語った。

尾﨑さんは、
「規模の経済と範囲の経済」を、
ベースにした論述を展開した。

私の持論や私の言葉が使われる。
広まっている。

それはちょっと誇らしいことだが、
私は予言者ではない。
予言者でありたいとも思わない。

ひたすらモニタリングを続ける。
そして「すでに起こった未来」を見る。

それがいい。
それだけでいい。

それが世のため、
人のためになれば。

〈結城義晴〉

2021年08月31日(火曜日)

二百十日の関西スーパーの「商人の本籍地と現住所」

立春から数えて210日目。
それが8月最後の今日、
二百十日。
「にひゃくとおか」

1985年から2020年までは、
平年なら9月1日が二百十日、
閏年なら8月31日が二百十日だった。

今年は8月31日。

台風来週の「特異日」とされるが、
実際に台風が来ることは少ない。

[極端気象]の今だから、
何が起こるかわからない。

商人舎流通スーパーニュース。
関西スーパーnews|
H2O傘下となってイズミヤ・阪急オアシスを子会社化

㈱関西スーパーマーケットが、
H2Oリテイリング㈱の子会社となる。
阪急と阪神が経営統合した、
エイチ・ツー・オーリテイリング。
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話はこの夏に急展開した。

関西スーパーは2016年10月27日に、
H2Oと資本業務提携契約を結び、
H2Oが筆頭株主となっていた。

その持株比率は10.65%である。

二番目の大株主は、
関西スーパー取引先持株会で9.19%。

そしてオーケー㈱の7.69%。

今回はこの筆頭株主のH2Oが、
100%子会社のイズミヤ㈱、㈱阪急オアシスと、
関西スーパーとの株式交換によって、
58.00%を保有し、完全子会社とする。

関西スーパーは12月に、
会社分割によって中間持株会社となる。
そのまえの9月中旬に、
100%子会社の分割準備会社を設立する。
この分割準備会社が、
現在の関西スーパーの事業を継承する。
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そのうえで、
持株会社は分割準備会社と、
イズミヤ、阪急オアシスを統合して、
3社の親会社となる。

関西スーパーの名前は残るし、
業容は単純計算で年商3727億円となり、
関西トップクラスのスーパーマーケットとなる。

現在の年商はそれぞれ、
関西スーパー1289億円、
イズミヤ1330億円、
阪急オアシス1107億円。

しかし関西スーパーは、
H2Oの完全子会社となる。

厳しい言い方だが、
関西スーパーが「名」を残し、
H2Oが「実」を取った形だ。

ただし、今日、
関西スーパーの株価は一時、
ストップ高となった。

関西スーパーの福谷耕治現社長。
よく頑張ったと思う。

玉村隆司会長も、
中西淳常務取締役も、
柄谷康夫常務取締役も、
よく会社に貢献した。

彼らは12月1日付で辞任する予定だ。
その後も準備会社の執行役などを務める。

【結城義晴の述懐】
202003_yuzawa_04
いつものように書いた。

あの関西スーパーが、
阪急百貨店と阪神百貨店の統合会社の
完全子会社となる。

感慨深い。

H2O子会社の阪急オアシスには、
すでにニッショーストアが吸収されていて、
かつてAJS加盟企業のリーダーだった、
トップ2社も今回、経営統合することになる。
それにイズミヤまでが統合される。

時代は進む。
「コロナは時間を早める」
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H2Oは7月下旬に、
㈱万代と資本の伴わない、
包括的業務提携をしている。

「オール関西はH2Oが牽引する」
そんな構想だろうか。

その万代は年商3676億円で、
㈱ライフコーポレーションは、
近畿圏の年商3758億円。

このライフ、万代と、
H2O傘下の関西スーパーの持株会社が、
ほぼ同じスケールで拮抗する。

関西スーパーの役職員諸君に贈ろう。
「商人の本籍地と現住所」という言葉を。

北野祐次・水谷久三イズムは、
永遠に本籍地として輝き続ける。
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その本籍地の輝きを失わず、
新しい現住所でさらに、
光らせてほしいものだ。

再び、コロナは時間を早める。

私たちはその早まる時間の中で、
生き抜いていかねばならない。

今日の朝日新聞「折々のことば」
第2131回。

理解すべきは、
このシステムは
悪人が悪意をもって
動かしているのではなく、
普通の人たちが
動かしているということです。
(英国の映画監督ケン・ローチ)

映画監督・是枝裕和との共著、
『家族と社会が壊れるとき』から。
ケンローチ

ローチ監督がここでいうのは、
「資本主義経済のシステム」のこと。

資本主義経済は、
「”不平等”を本質的に内在させ、
拡大してゆく」

ほったらかしにしておくと、
資本主義経済は不平等を増幅させる。

「経済格差とは別に、
他者の差別や排除も同じく、
“普通の人”の秩序感覚に
深く内在している」

そう、”普通の人”の秩序感覚が、
その格差や差別や排除を生み出す。

「その事実を見誤れば、
不幸を遠ざけることは
ついにできない」

この事実を見誤ることなく、
受け止めよう。

そうしなければ、
幸せは遠退(の)くばかり。

しかしこの事実を、
真摯に、正確に、受け止めれば、
どんな苦境のなかからも、
喜びと幸せと希望が見出される。

頑張れ。

〈結城義晴〉

2021年08月30日(月曜日)

「9月は食を愛でる月にしたい」 Good Monday!

Everybody! Good Monday!
[2021vol㉟]

2021年第35週。

8月最終週。
水曜日から9月。

2021年の8月は、
子どもたちの夏休みの間に、
東京オリンピックから、
お盆の休み、
甲子園の高校野球、
東京パラリンピックと続いて、
イベントの多い夏だった。

その間に新型コロナウイルスは、
大都市圏を中心に感染が爆発して、
第五波となった。

インド型デルタ株の猛威が、
その原因だったことは明らかだ。

一方で、ワクチン接種も進んだ。
しかし私たちはデルタ株を甘く見た。

大変な8月だった。

そして9月がやってくる。

新しい月には、
何ごとも甘く見ることなく、
一人ひとりができるだけ、
冷静で正確な判断をしたいものだ。

商人舎流通スーパーニュース。
イオンリテールnews|
9/1おせち受注開始/ECでは前年比2倍の149品目

9月に入るともう、
おせちの受注が開始される。

目数は前年比で約2倍の149品目。
本体価格10万円の和四段重「華鳳」から、
「1人前おせち」まで。

さらに洋風や和洋折衷タイプは、
最大33品目に拡充される。

おせちも早仕掛け。
ECと予約はおせちでも伸びに伸びる。

毎年、9月第1週に、
「紀文正月フォーラム」が、
開催される。
業界の風物詩ともなっている。
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しかし新型コロナの影響で、
昨2020年は中止となった。

今年も残念ながら中止だが、
今週の9月2日に、
無観客の講演会だけは行われる。

私も出講して、
「2021年末商戦の戦略と政策」を語る。

今年はこのフォーラムのビデオをとって、
それを商談会で流したり、
企業にプレゼントしたりする。

9月からもう年末商戦に備える。

気分を取り直して、
今年末から来年始を展望しよう。

今週の私のスケジュールは、
ずっと月刊商人舎9月号の執筆と入稿。

その間に紀文正月フォーラム。

いずれも全力投球です。
絶対に手は抜きません。

もちろん日常生活やプライベートでは、
手を抜くというわけではないけれど、
トンチンカンなことや失敗が多い。

ぼんやりしているときもあって、
周辺の人たちに迷惑をかけたり、
叱られたりばかりしている。

忘れ物も多い。

申し訳ないけれど、
仕方ない。

だが、仕事だけは手を抜かない。

さて北海道新聞の一面コラム。
「卓上四季」
先週金曜日は「格別のアイス」

コンビニで売っているアイス。

「東京五輪で来日した外国人記者が、
低温でも軟らかい餅の食感を
ツイッターで絶賛し、話題になった」

「すでに日本のアイス人気は
アジアや北米に波及し、
今年上半期の輸出額は
過去最高となった」

北海道新聞だけに、
世界に誇れる酪農王国・北海道の冷菓を、
国内外にPRしようと呼び掛けて終わる。

そういえば、
ワールドカップラグビーのときも、
来日したジャーナリストたちが、
「日本のコンビニのサンドイッチは世界一」と、
感動して、宣伝してくれた。

おせちもアイスもサンドイッチも、
日本の食べものは本当においしい。

新型コロナ禍によって、
社会には鬱々とした気分が蔓延している。

警察庁の発表。
昨年3月から今年5月まで、
国内で自殺した人は約2万7000人に及ぶ。
新型コロナ感染症が広がった時期だ。

東京大学の仲田泰祐准教授らは、
コロナ禍によって自殺者は、
約3200人増えたと試算した。

今年6月から2024年末までには、
2100人増えるという結果が予測された。

一方、厚生労働省の発表では、
児童相談所が対応した虐待相談件数が、
2020年度に全国で20万5029件となった。
前年度より1万1249件増えた。

集計を始めた1990年度以降、
30年連続で最多を更新したが、
20万件を超えたのは初めてだった。

コロナとの関係性はわからないが、
社会不安や格差問題が広がって、
人々のストレスが溜まっている。

そんなことにも、
日本のおいしい食べものは、
心の安らぎを提供してくれるに違いない。

暗いニュースや陰惨な報道も多いが、
それに目を背けず、
冷静に正確に判断をしたい。

その冷静で正確な判断によっても、
日本のおせちやアイスやサンドイッチは、
とてもおいしい。

野菜や果物、魚や肉もおいしい。
202012_yaoko_02 ??????????
豆腐や納豆も、牛乳もチーズも、
菓子も加工食品も冷凍食品も、
パンもスイーツもケーキも、
清酒もビールもワインも、
みんなおいしい。
202012_yaoko_28

食欲の秋が始まる。

9月は食を愛でる月にしたい。
日本の憂鬱を晴らす月にしたい。

では、みなさん、
今週も、美味い食べものを愛でよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年08月29日(日曜日)

[日曜漫歩]横浜から池袋、そして飯能まで

朝7時59分の東横線に乗る。
私の最寄り駅は妙蓮寺。

菊名でL特急に乗り換えると、
渋谷までが東横線。

新宿を経由して小竹向原までが、
地下鉄副都心線。

それから練馬、所沢、入間、
そして飯能までが西武池袋線。

乗り換えなしで9時25分に、
飯能に到着。

都合、1時間26分。

神奈川県から東京都、
そして埼玉県。

一本で行ける。

便利になったもんだ。

池袋まではかつて、
週に2回通っていた。
2009年4月から2014年3月まで。
20130720181200
立教大学ビジネスデザイン研究科で、
特任教授をやっていた。

2007年8月に㈱商業界を辞して、
2008年2月に㈱商人舎を創立し、
2009年4月に大学院特任教授に就任した。

あっという間の5年間だったが、
結城ゼミのゼミ生はきっちり30人。
20131019163733
私の講義を履修してくれた院生は、
ざっと数えて250人くらい。20130720181215

キャンパスに研究室を用意してもらって、
給料と研究費をいただいた。

はじめの研究室は、
蔦の絡まる3号館だった。 DSCN9304-1

立教名物の第一食堂の隣の建物で、
私はとても気に入っていた。DSCN9302-1

それから4年目に15号館に移動した。???????????????????????????????

マキムホール。
20140831001247

5階の研究室のロビーから、
キャンパスを見下ろす。
20130720184459

M503号室。
20140322185912

平浩一郎教授と同室。20140322185713

在室・授業・会議・外出・帰宅。
所在を明らかにしていた。
20140322185655

2014年3月22日に、研究室を撤収。
20140322185620

このころ私は自分の部屋を、
三つもっていた。

横浜の商人舎オフィスと、
この立教の研究室。
それから神田の小部屋。
新日本スーパーマーケット協会にあった。

とても使い切れずに、
神田はご無沙汰ばかりだった。

立教で私はマーケティングを教えた。
故渥美俊一先生に反論するような内容だった。
20140326132550

池袋を通過するときはいつも、
そんなことが走馬灯のように蘇る。

それから飯能まで電車に揺られる。

飯能にも縁が深い。

杉山昭次郎先生が住んでいた。
私は「流通仙人」と呼んだ。
杉山昭次郎(著者近影)
80歳を超えるまで、
一緒にゴルフを楽しんだ。

飯能パークカントリークラブ。
それから焼鳥屋・多貫喜(たぬき)で語り合った。

杉山先生の晩年は、
水曜日にゴルフ、
後の6日間はフナ釣り。

「フナに始まりフナに終わる」
まさに隠遁の生活。

杉山先生は流通システム研究所所長。
コンサルタントとしては、
あの坂本藤良の弟子のひとりで、
血筋は申し分なし。

坂本藤良は日本のコンサルタントの草分け。
「倒産学」「再建学」などの著書でも知られる。

私は、㈱商業界に入社して、
1週間のうちに、
高橋栄松という先輩に連れられて、
杉山先生に会いに行った。

いきなり黒板に書きながら教えられたのが、
「ソシオ・テクニカル・システム論」。
杉山先生の持論だった。

故上野光平先生は杉山先生の盟友。
私はその門前の小僧をやっていた。

上野先生は堤清二さんの東京大学の先輩。
乞われて西武百貨店に入り、
実質的に㈱西友ストアーを創業した。
その後、流通産業研究所所長理事長。

上野先生は1987年に、
63歳で逝去された。

杉山先生は2013年5月22日、
肺がんで永眠、享年87。
20131125165053
商人舎公式ホームページに、
杉山先生の連載を書いてもらっていた。

その遺稿を単行本にした。

タイトルは、
『マス★カスタマイゼ―ション』
商人舎刊。
20131125103622
サブタイトルは、
「スーパーマーケットの現代化戦略」

結城義晴自身が使いたいタイトルを、
杉山先生に捧げた。

㈱商人舎の第1号単行本。
杉山先生の絶筆。

マスの時代が終焉し、
ポスト・マスの追求が始まった。
それがマス・カスタマイゼーション。

杉山先生はこの著書の中で書く。
「不特定多数を意味する”マス”に対し、
カスタマイゼーションとは
“固定客づくり”である。
“マス化”と”固定客づくり”を
両立させようとする、
相対立するものを結びつけた
新しい概念である」

その考え方や組織のつくり方、
問題解決のモデルが、
わかりやすく展開された。

飯能はだから、
私にとって馴染み深い地だ。

その飯能に今年8月3日、
「フーコット」がオープンした。

㈱ヤオコーの子会社が開発した、
新しいフォーマット。

ディスカウント・スーパーマーケット。IMG_78361
その店の前に立って、
感慨深いものがあった。

オープンしてから、
ほぼ4週間後の日曜日。

朝9時50分に到着すると、
300人くらいの行列ができていた。

オープンは10時。

ヤオコーやフーコットの人たち、
手ごたえを感じているに違いない。

その模様は月刊商人舎9月号に。

ヤオコー本体が目指すのは、
マス・カスタマイゼーション。
一方、フーコットは、
マスを追求する。

しかし実現させたいのは、
「旧いマス」ではないだろう。

どんな「新しいマス」なのか。

それがこのフォーマットのカギを握るものだ。

〈結城義晴〉

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