結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年05月26日(水曜日)

全米小売業10傑とウォルマートにないモノを持つ者

商人舎Basic原理原則コース。
二日目の24日月曜日は、午前中、
スーパーマーケットを5店舗訪問し、
インタビューや見学、調査で、中身の濃い研修。

午後は、隣接する3つのショッピングセンターをめぐり、
商業集積のあり方、集積されるフォーマットの違い、
その役割など学習。

三日目は、ウォルマート環境対策店舗HE6型を皮切りに、
9店舗を訪れ、ギャラリアと称する大型商業集積を視察。

昼食は「イン&アウト」のハンバーガー。

この二日間で30店にも及ぶ店舗、ショップを訪れた。

今日は、その中から全米小売業ランキング上位10企業のダイジェスト。
その業績は、どんな原因で変化するのか、
どう読み取ればいいのか。

それが今日のテーマ。
第1位は何といっても、
世界小売業第1位でもあるウォルマートストアーズ。
売上高40兆8214億円、純利益1兆4335億円。
(以下1ドル100円換算で、円表示)
walsuper-1.jpg

このブログでも常連の企業で、
ウォルマート抜きに米国小売業は語れない。

そのウォルマートは「Thousands of Rollbacks」を展開中。

強力なインパクトを周辺に与え続けている。
walsuper-2.jpg

ウォルマートを第一の基準にして、
米国小売業が動いている。
だからウォルマートに勝る長所を持つ企業が、
成績を維持し、
ウォルマートに勝る部分が見当たらない企業は落ち込む。

それが顕著な特徴。
第二位は、スーパーマーケットのクローガー。
このエリアではスミスの店名で25.9%のシェアトップ。

dscn4374-2.jpg

クローガーは残念ながら、ほとんどの要素において、
ウォルマートに飲み込まれている。
生鮮食品やデリといった部門の個別の売り場、商品では、
勝っているものの、
米国スーパーマーケットにとって重要なグロサリーで、
ウォルマートに大きな格差をつけられた。

それがクローガーの最大の問題点。
全米第3位は、 コストコ。
年商7兆2483億円、純利益1282億円。
店舗数は、544店。

costco-2.jpg

いつ、どの店に行っても、
コストコに閑古鳥が鳴いていることはない。

もちろんここラスベガスの店も大繁盛。

costco-3.jpg

メンバーシップホールセールクラブという特異なフォーマットは、
「差異が価値を生む」という考え方そのもの。

ウォルマートのサムズ・クラブも、
コストコには遠く及ばない。

だからコストコは、今のところ、
数少ない安泰企業だと思う。

第4位は、ホームデポ。

homedepo.jpg

年商7兆1288億円。前年比マイナス7.8%と低迷。
サブプライムローン破たんから住宅産業は大不振。
その影響を一番大きく受けた小売業がホームデポ。

homedepo-3.jpg

2274店舗を配置し、米国最大のホームセンターとして、
社会的役割の大きさは変わらない。

そしてウォルマートは今、DIYやアウトドアに力を入れ始めた。
ウォルマートは弱い会社を徹底して、たたく。

ウォルマートの店舗はこれまで、入口は二つだった。
「Market」と書かれた入り口と、
「ホーム&ファーマシー」と書かれた入り口。

最近は第3の入口ができた。
「アウトドア・リビング」。

これはホームデポとロウズをターゲットにしていることを表している。

全米小売業第4位は、ターゲット。
ターゲット

年商6兆4948億円、純利益2214億円。
年商は前年比プラス2.5%、純利益はマイナス22.3%。

target-2.jpg

この企業も店舗レベルが下がることがない。
1682店舗は、いつも高い水準に保たれている。

しかしウォルマートと真っ向からぶつかる同業。
それにしては、本当によく頑張っていると思うが、
しかしターゲットの戦略は、ウォルマートとの違いを出すことで、
それ自体わかりやすいし、迷いはない。

それがこの企業のポジショニングの良さとなっている。
第6位、第7位は毎年のように、
抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げるドラッグストア。

第6位が、ウォルグリーン。

ウォルグリーン

年商5兆9034億円、純利益2157億円。
どちらも前年比9.8%、5.7%とプラスで、
不況の中、堅実な成長を見せている。

walgreen-2.jpg

ウォルグリーンもウォルマートが叶わないものを持っている。
「調剤部門」である。

だから不況をものともしない。

第7位は、CVSケアマーク
店名は「CVSファーマシー」
cvs-2.jpg

年商4兆8989億円、店舗数6981。
cvs-1.jpg

アルバートソンのドラッグストア部門を買収したりして、
ウォルグリーンのスケールに迫っているが、
その分、店づくりやオペレーションにむらがある。

しかしこの企業も調剤部門では、ウォルマートをしのぐ。

何度も言うが、ウォルマートを凌駕するところを何か、
持っていなければ、成長もないし、存続もない。

第8位はロウズ。
ホームデポに次ぐホームセンタ―第2位。
年商4兆8230億円、純利益2195億円、店舗数1649。

年商の前年比マイナス0.1%、純利益はマイナス21.9%。
こちらもサブプライムローン問題の打撃を受けた。
今回は訪問せず、従って写真はない。

第9位は、シアーズホールディングス。
ご存知、シアーズとKマートを傘下に置く持ち株会社。
年商4兆6770億円、純利益53億円。

売上高の前年比はマイナス7.8%。
純利益は、間違いではない、マイナス93.6%。

シアーズもKマートも惨憺たる店舗状況。

当然、訪れる価値なしで、写真もなし。

そして第10位は、ベストバイ。
家電専門チェーン第1位。
売上高4兆5015億円、純利益1003億円。
bestbuy-1.jpg

店舗数は3942で、 ウォルマートと家電販売領域を分け合っている。
bestbuy-3.jpg

写真は「ギーク・スクワッド」のコーナー。
bestbuy-4.jpg

コンピュータ・サービスコーナーで、
ここで受け付け、バンが走り回って、
顧客サービスを展開する。

bestbuy-2.jpg

これはウォルマートにはないサービス。

こんなソフトウェアを次々に開発しているのがベストバイ。

だからベストバイはウォルマートと共存する。

そのあおりを受けて、
レディオシャックとサーキットシティは、
どちらも経営がおかしくなってしまった。

以上、全米10位までのダイジェスト。

ウォルマートにない特徴を持つ者が残る。
それがない者は衰え、滅びる。

しかしそう考えると、小さな単独店のスーパーマーケットには、
十二分にサバイバルの可能性がある。

小さいだけで、
ウォルマートにない経営資源を持っていると考えられるからだ。

これは日本にも適用できるコンセプトであり、
極めて面白い現象である。

(明日につづきます)

<結城義晴>


2 件のコメント

  • 結城先生 
    毎回の米国視察のブログを楽しみにしています。
    ウォルマートストアーズを指標にしての、米国小売業十傑との比較は判り易く大変参考になりました。
    差別化やブルーオシャン戦略など、日本でも役立つ情報です。

    質問ですが、ウォルマートストアーズの伝説となっている、
    ①入口のグリーティングサービス(お客様に挨拶をして、カートを手渡す?一部店舗のみ?)はまだ実施してますか?

    ②「エブリディロープライス」の有名な標語は、「エブリディセイムプライス」に替えた?

    ③ウォルマートストアーズのアーカーソンの本部には、各メーカーから派遣された人々が、カテゴリーキャプテンとして勤務していて、バイヤーも兼任している?

    ご無事で帰国されますようご祈念しています。

  • いまちゃん、いつもご投稿感謝します。
    帰ってきました。
    今回は疲れた。

    さてご質問の件。
    ①グリーターのサービスは現在も、
    ほとんどのスーパーセンターで行っています。
    時間帯によって、グリーターがいない場合もありますが。
    続けているし、やめない。
    これがウォルマートのポリシーだからです。

    ②「エブリデーセイムプライス」とか、
    「エブリデーセイムロープライス」とかの標語は、
    ウォルマートは使いません。
    渥美俊一先生が、日本の小売業者が勘違いする危険性があるので、
    そう表現したほうが間違いがないだろうと、使ったもので、
    それが日本国内で普及しているのかもしれません。

    ③P&Gを筆頭に有力メーカーのスクワッドチームが、
    アーカンソーに常駐しています。
    そしてカテゴリーマネジメントと呼ばれる活動を展開しています。
    だから当然、カテゴリーキャプテンのような役割を演じている場合もあるでしょう。
    しかし、バイヤーとしての役割を小売業が放棄することはありません。
    すなわち最終の意思決定は、ウォルマートのバイヤーが行います。

    以上、私の知っている限りの範囲でお答えします。

    ありがとうございました。

    <結城義晴>

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