結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年06月04日(金曜日)

横山清・川野幸夫・荒井伸也、スーパーマーケット論客三人の弁

民主党代表選挙、菅直人氏の線で決まり。
その民主党の支持率も回復してきた。

菅氏は、アメリカの経済学者ポール・クルーグマン唱えるところの、
「インフレターゲット論者」で、
従って、外国為替市場では円売りの兆候。

しかし、信念を持って仕事してもらいものだ。

さて日経MJには、
2009年度の大型店新規出店件数の調査の報告が出ている。
ストアジャパンの2009年4月から2010年3月までの集計。
届け出件数は、約500件と2008年比マイナス22%。

総合スーパーは12件の届け出で、4割減少。
食品スーパーマーケットは222件で最多。
全体の44%を占める。

好調なのはスーパーマーケットということになる。
競争が激しいのはスーパーマーケットということになる。

そのスーパーマーケット三協会会長のコメント。
去る5月28日(金曜日)帝国ホテルで開催された記者発表会でのもの。

日本セルフ・サービス協会会長・横山清。
日本スーパーマーケット協会会長・川野幸夫。
オール日本スーパーマーケット協会会長・荒井伸也。

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以下、私のメモからそれぞれの弁をお届けしよう。

まず荒井伸也さんから、
冒頭のコメント。

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三つの団体はそれぞれに特色がある。
違いがある。
私たちオール日本スーパーマーケット協会は、
ある考え方のスーパーマーケットをつくろうという意思のもとに集まっている。
そこでメンバーの同質性は高いが、会員数は少ない。

今回の、三協会の販売統計に関しては、ある種の感慨がある。

30数年前、中国へいった。
そこで、スーパーマーケットの説明をしてほしいという要望が出た。
中国には市場はたくさんあるが、スーパーマーケットはなかった。
私は考えた。
スーパーマーケットは、「市場」と、何が一番違うのか。
そこで得た結論。
第一に、スーパーマーケットはセルフサービス方式を採用する。中国語で「自我服務」。
第二に、チェーンストアである。同じく「連鎖店」。

1960年ごろ、日本でも同じ。
最初に日本セルフ・サービス協会ができた
数年後、日本チェーンストア協会が誕生した。

それから50年。

新しい技術で作られた「市場」の統計がない。
消費者の動向、景気の動向がつかめない。

長い間、スーパーマーケットの統計がなかった。
市場であって、セルフサービス・システムを採用し、チェーンストアである業態の統計。

始めて認知されたという喜びがある。。

次に川野幸夫さんのコメント。

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たくさんの方々に集まっていただくことに、まず感謝したい。
スーパーマーケットは、1930年にマイケル・カレンがつくった。
1953年には日本で紀ノ国屋がスーパーマーケットを始めた。

そして高度経済成長のとき、
アメリカのスーパーマーケットを学びながら、
何でも売る「スーパー」ができた。
大店法が施行されても、大手といわれる「総合スーパー」が業界を代表していた。
「総合スーパー」が「スーパー」の代表となった。

一方、私たち食品スーパーマーケットには戦略がなかった。

これは統計上にも言えることだった。
日経新聞でも「スーパー」といえば、日本チェーンストア協会の数字を使う。
総合スーパーの数字が使われる。
業界の天気図を見ていても、
おかしいことがあった。
違うぞという思いもあった。

一昨年、総合スーパーの業績が悪いときに、食品スーパーは良かった。

しかしまとまった統計がなかった。それは私たちの責任でもあった。

スーパーマーケットは、生活者の日常の生活を支える。
従って、この統計の意味は生活者の日常が表われることだ。
生活者の生活態度の分析については、大いに役に立つに違いない。
これからは、景気対策をはじめとして、
いろいろなことにこの統計を使ってほしい。

そして横山清さんの弁。

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小売業は「士農工商」と、やや、低く見られている。

経済産業省の日本標準産業分類にも載っていない。
「スーパーに強盗」といえば、コンビニのこと。
75%以上の売上高が食品でしめられるのがスーパーマーケットである。
しかしその統計を取ることには苦労した。
きっかけは二つの社団法人が合併したこと。
全国スーパーマーケット協会と日本セルフ・サービス協会。
そこで、「戸籍がない産業」に戸籍をつくろうと考えた。

そのために一番先にやることは、統計を明らかにすること。
商売は数字である。
自らの開示なしに、他からの協力を得ることができない。

いま、新しい21世紀の分水嶺にある。
業界としてもカビが生えてきたかもしれない。

しかし食生活の実態を明らかにする。
そのために店頭の実態を数値で知ることが大切だ。

食生活は変わる。
40年前は、店頭でウナギを売っていなかった。
10年サイクルで歴然と変わる。
地域の動向、指向性、皆変わる。
それをとらえる統計となる。

オール日本スーパーマーケット協会(AJS)は入会が厳しい。
日本スーパーマーケット協会(JSA)は中堅がしっかり集まっている。
日本セルフ・サービス協会(JSSA)は小さい。

各協会垣根を低くして、数値を集め、
新しい分析技術を使っていけば、
未来予測が可能となる。
そのうえで、各協会が一緒になることも、
私個人としては、将来的には考えねばならないことだと思っている。

ここで記者からの質問。
「統計の意義について」
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我々は立派な流通産業だ。
この統計によって消費者にも産業として見てもらえる。
さらに働く人たちにも産業と認識してもらえる。

明らかに5年で様変わりするに違いない。

川野さん。
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私たちは日常ふだんの生活のベースになる部分を担当している。
その意味で大切な仕事だ。
スーパーマーケットは社会のライフラインとなっている。

とりわけ日本人は食を大切にしてきた。
だからスーパーマーケットの役割はさらに大きい。

この統計は、年間販売額が14兆円と集計された。
商業統計ではスーパーマーケットは17兆円を超える。

残念ながら今まで、統計の重大さの認識がなかった。
その努力を怠ってきた。

これによって業界全体が評価していただいたり、価値を認められたりする。
優秀な人も採用できる。

社会的評価が高まる。

小売業は店頭で競争しているから、大同団結がやりにくい。
しかし、時期が来れば、小異を捨てて大同に付くことも必要になるだろう。

荒井さん。
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小売業は、消費者の生活のシーンを売っている。
狂牛病がはやると牛肉が売れない。
しかし豚肉が売れ、鶏肉が売れ、魚が売れ、豆腐が売れ、卵が売れる。
つまるところ消費者はタンパク質がほしいということがわかる。

衣料が悪い、家電が悪い。
そうすると食品が埋もれてしまう。
これまでの「スーパー」の統計がそうだった。

スーパーマーケットはインフラストラクチャーである。
すなわち生活のベースを支える。

したがって、インフラが完成するまではスーパーマーケットは成長する。

そのスーパーマーケットの協会ごとの統合など、
私は「呉越同舟」と思ったことは一度もない。
「呉でもなく越でもない」と考えている。

AJSは店頭とバックヤードの勉強会。
団体で徒党を組むといった次元にはない。

質問は続く。
「現状のスーパーマーケットの景況感」

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札幌では、商品の売れ筋の変化や競争環境を考えた時、
もう少し深刻な状況が来ると「身構えた心境」だ。

上から下まで安売り戦争となっている。
超大手といえども、さらに特別の評価を得ている企業も、
業界全体で利益を失っている。

それが「闘い終わって日が暮れて」となるか。

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もっともっと厳しい状況が続く。

年金を初めとした社会保障の問題に関しても、
さらに財布のひもを占めさせることになった。
マスコミも「安売りこそ正義、賢い消費者」とあおった。

オーバーストア、オーバーカンパニーであることは間違いない。

まだ整理されていないし、秩序が回復していない。

安く売るのは、値札を変えるだけでいい。
だから安売り大会が始まってしまった。
ただし、一回下げた価格は上げられない。

もちろん、コモディティは安さが価値だから、
理にかなった安さは求められる。

大きな企業は恫喝すればいいが、
小さな企業はそうはいかない。

しかし、ただ安いだけでは消費者は満足しない。

そういった点からも、評価される企業にならなければいけない。
当面、安売り大会は続く。
しばらくは、ある意味の我慢比べは続く。

世界の状況、日本の状況を見ると、まだまだ続く。

荒井さん。dscn4864-3.jpg

社会全体がいい時はちょっと良い。
悪いときもちょっと悪い。
それがスーパーマーケットのインフラたる所以だ。

店の数は過当競争と言えるかもしれない。
しかし必要な店は少ない。

それが入れ替わってゆくプロセスが、現在だと思う。

この過程を通じて、だんだんいいスーパーマーケットが増えていく。
総合スーパーは行き詰る。
社会的機能がはっきりしていないからだ。
スーパーマーケットは提供する機能がはっきりしている。

だからまったく問題はない。

むしろ魚の売上げが下がっていることは問題だと思う。。
肉中心の売上げになり、それは社会全体として変化している。

惣菜が伸びている。
高齢化社会の中で、自分の家の食そのものが弁当化することは、
果たしてそれでいいのか。

こういったことのほうが問題だと思う。

「食品スーパーの将来観」

横山さん。dscn4879-3.jpg

使命感だけでは、商売できない。
お客の支持がなければ、商売はできない。

日本はアメリカと違って、チェーン化で2~3社で事足りるわけではない。

この安売り戦争は、
新しいことを生み出す力となる。

まじめにやっているだけではうまくはいかないが、将来は明るい。

川野さん。dscn4865-3.jpg

そんなに大きな変化が起きるわけではない。

生活者は要求水準を高めてくる。
要求水準が高まるとは、「何でもあることは何もないこと」となる。

商いのコンセプトを明確にする。

スーパーマーケットとしてどんな専門店になるか。
本当にお客のニーズにこたえるスーパーマーケットがどのくらいあるか。

これまで私たちも、大型店舗法で、規制に守られてきた。

それがなくなって競争が激しくなった。
顧客の要求水準も高まった。

専門店として、
それぞれの企業にとって、
どうなるのかと考えると、
将来性は高い。

荒井さん。dscn4864-3.jpg

物事を、全国で考えてはいけない。
それがスーパーマーケットであり、小売業である。
スーパーマーケットは店ごとに競争が行われている。

スーパーマーケットで消費する額は、一世帯当たり年間約80万円。

人口6万人、2万世帯の街とすると、160億円となる。
それが人口3万人に減ると、80億円になる。
しかしスーパーマーケットは年商20億円で成り立つ。
だから160億円のマーケットならば8社必要だが、
80億円なら4社となる。
つまり強いスーパーマーケットだけ残る

人口に応じた店の数になる。
従って一番店を続けていると、十分に成長できる。
これからは強いスーパーマーケットの競争となる。

いかがだろう。

最後に結城義晴のコメント。

「この三人の会長だったから、
この歴史的統計の集計が実現した。

この三人の会長だから、
日本のスーパーマーケットの将来は明るい」

長文のご講読、感謝。

<結城義晴>

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